3月2日のニュース
今月のFIFAカレンダーは23日がトルクメニスタン戦、28日が香港戦に決定マレーシア
クチンシティはクラブ史上初となるホームでのスーパーリーグ公式戦で無料チケット配布

3月のFIFAカレンダーは23日がトルクメニスタン戦、28日が香港戦に決定

マレーシアサッカー協会(FAM)は、公式サイトで今月3月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)の日程を発表しています。対戦相手は既に香港とトルクメニスタンとなることが発表されていましたが、試合日は3月23日がトルクメニスタン戦、3月28日が香港戦と決定しています。なおこの2試合は通常、代表戦が開催されるブキ・ジャリル国立競技場が改修中のため、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)で開催されます。

キム・パンゴン代表監督が2012年から2017年まで代表監督を務めていた香港は、協会公式サイトで早々と遠征日程とメンバーを発表しており、その中でマレーシア戦が3月28日と明記されていたことから、FAMが成績に発表する前からサポーターの間では既に知られていましたが、今回、トルクメニスタン戦の日程も正式に発表されたことで、FIFAカレンダーの日程が確定しました。

直近(2022年12月)のFIFAランキングが145位のマレーシアが今回の対戦するトルクメニスタンは135位、香港は同146位ですが、このレベルのチームと対戦するのは今年10月から始まるFIFAワールドカップ2026年大会予選を見込んでのことです。ワールドカップ2026年大会アジア一次予選は10月から始まりますが、この一次予選の組み合わせ抽選までにアジア内で上位25位までに入っていれば、この一次予選ではなく11月から始まる二次予選から出場となることから、現在まさにその25位にいるマレーシアはこのランキングを死守する必要があるわけです。

なおマレーシアは昨年2022年もトルクメニスタン、香港と対戦しており、AFCアジアカップ2022年大会最終予選で対戦したトルクメニスタンには、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、ラヴェル・コービン=オング、サファウィ・ラシド(いずれもジョホール・ダルル・タジム)のゴールで3-1、国際親善試合で対戦した香港にはサファウィ・ラシドとサフィク・ラヒム(いずれもジョホール・ダルル・タジム)のゴールで2-0でそれぞれ勝利しています。

クチンシティはクラブ史上初となるホームでのスーパーリーグ公式戦で無料チケット配布

昨季はMリーグ2部のプレミアリーグで3位となったクチンシティは、プレミアリーグと1部スーパーリーグを統合するリーグ再編に伴い、今季からスーパーリーグに昇格しています。クラブ史上初のスーパーリーグ参戦となった第1節では、アウェイながら同じプレミアリーグから昇格したクランタンFCを逆転で破って、歴史的なスーパーリーグ初勝利を挙げています。

クチンシティFCは本日3月2日に開催される第2節で、スーパーリーグ公式戦ホーム初開催となるスランゴールFC戦を戦いますが、この歴史的な試合をできるだけ多くのサポーターとともに祝いたいと、この試合のチケットが無料で配布されることをクラブ公式SNSで発表しています。

クラブ公式SNSでは、「これまでクラブを応援してきたサポーターへの感謝の気持ちを示すもの」として、試合会場となるサラワク州クチンのサラワク州立スタジアムで午前10時から午後3時までの予定で、スランゴールFC戦のチケットが無料で配布されることが告知されています。

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サラワク州には、サラワク州サッカー協会が運営していたサラワク・ユナイテッドFCもありますが、こちらは昨季途中に起こった選手らへの給料未払いが解決しなかったことから、今季のクラブライセンスが交付されず、スーパーリーグへの参戦の道が絶たれ、今季はアマチュアリーグのM3リーグへ参戦します。サラワク州サッカー協会が運営するサラワク・ユナイテッドFCが3部でプレーする一方で、サラワク州の一都市であるクチン市サッカー協会(クチンFA)が母体だったクチンシティFCが1部リーグのスーパーリーグでプレーする図式はなんとも皮肉です。前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ監督と前UKM FC(既に解散)監督のスライマン・ハッサン コーチのコンビが就任以降は着実に進歩を遂げているクチンシティFCが州内のサッカーファンの期待を背負う一方で、外国籍選手を高額で獲得しながらその給料が払えず、結果的に3部へ降格したサラワク・ユナイテッドFCに失望したサポーターも多そうです。

2023マレーシアスーパーリーグ
第2節結果とハイライト映像(1)-PDRMはホーム開幕戦でスコアレスドロー

先週末に開幕した2023マレーシアスーパーリーグは3月1日から第2節に入りました。この日は、第1節ではいずれも4失点で大敗したPDRM FCとペラFCが対戦し、試合は0-0に終わり、両チームとも今季初勝利はなりませんでした。

2月28日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:2250人
PDRM FC 0-0 ペラFC
🟨PDRM:ノーフィクリ・タリブ、ズルファーミ・アブドル・ハディ、アミル・サイフル・バデリ、鈴木ブルーノ
🟨ペラ:シャフィジ・イクマル・カイルディン
MOM:ラマダーン・ハミド(PDRM FC)

今季からMPBJスタジアムをホームとするPDRM FCは、サバFCに0-4で敗れた試合の先発メンバーからキャプテンのアズミ・ムスリムや新外国籍選手のジャック・フェイやウチェ・アグバ、チョー・ミン・ウーらに代わり、鈴木ブルーノやマコーリー・マーカスら5名を入れ替えました。またクダ・ダルル・アマンFCに1-4で敗れたペラFCのリム・ティオンキム監督は初戦で退場処分を受け、この試合は出場停止となっているサンディ・アフォラビとアフマド・アフィク・プアドの両選手を除くと1名だけを入れ替えた布陣でこの試合に臨みました。
 試合は両チームとも得点のチャンスはあったものの、この試合のMOMに選ばれたラマダーン・ハミド(PDRM FC)、ブアイアン・シー(ペラFC)の両GKの活躍などもあり、0-0の引き分けに終わっています。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は今季初先発し、フル出場しています。

2月28日のニュース
今季第1節の観客数は7スタジアムでおよそ8万人
タイ1部リーグ第21節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発
サッカー協会主導でマレーシア国籍取得のデ・パウラは今季は3部でプレー

スーパーリーグ第1節の観客数は7スタジアムでおよそ8万人

先週末の2月24日から26日にかけて行われたマレーシアスーパーリーグの今季第1節のスタジアム入場者が発表になっています。待ちに待ったシーズン開幕!と皆が待ち焦がれていたのかと思いますが、思ったよりも少ないです…。
 ジョホール・ダルル・タジム(JDT)の昨季の1試合あたりの観客動員数ははおよそ1万6000人なので、30000人を越えたこの日は別格ですが、サバFCは昨季1試合平均およそ9000人、スランゴールFCは同およそ2000人だったので、今季の開幕戦は平均以上の観衆を集めています。またヌグリスンビランFCは昨季およそ6000人、KLシティFCは同およそ1000人をそれぞれ1試合平均で集めており、今季第1節は平均なみだったと言うことになります。
 またクランタンFC対クチンシティFCが行われたクランタン州はイスラム教の影響が強く、日曜日から木曜日までが「平日」、金曜日と土曜日が「週末」に当たります。試合は「週末」の土曜日に開催されましたが、キックオフはまだ暑さが残る午後5時30分だったことも動員数に影響しているかもしれません。
 とは言え、今回は開幕戦でしかも週末の開催だったことを考えると、今日2月28日(火)から3月2日(木)と週のど真ん中で開催される第2節はこれより少ない動員数になる可能性があります。

順位開催日カード試合会場入場者数
12/24
(金)
ジョホール対
トレンガヌ
スルタンイブラヒムスタジアム
(ジョホール州)
31, 889人
22/25
(土)
ペラ対クダペラスタジアム
(ペラ州)
15,106人
32/25
(土)
サバ対PDRMリカススタジアム
(サバ州)
12,602人
42/26
(日)
スランゴール対
クランタンU
MBPJスタジアム
(スランゴール州)
6,710人
52/26
(日)
ヌグリスンビラン
対パハン
トゥンクアブドルラーマンスタジアム
(ヌグリスンビラン州)
6,329人
62/25
(土)
クランタン対
クチンシティ
スルタンモハマド4世スタジアム
(クランタン州)
5,138人
72/25
(土)
KLシティ
対ペナン
KLフットボールスタジアム
(クアラルンプール)
1,291人
合計79,056人
タイ1部リーグ第21節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発

2月25日と26日タイ1部リーグ第21節が行われ、マレーシア代表のDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)とFWサファウィ・ラシドはいずれも先発しています。また、DFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)は今節もベンチ外でした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第21節
2023年2月25日@ラムパーン県立タジアム
ラムパーンFC 1-0 ラーチャブリーFC
ラーチャブリーFCは3試合連続の完封負けながら順位は変わらず5位に留まっています。
サファウイ・ラシドは先発して、84分に交代しています。

2023年2月26日@サーム・アーオスタジアム
PTプラチュワップ 0-1 ブリーラム・ユナイテッドFC
リーグ首位のブリーラム・ユナイテッドFCはリーグ再開からの6試合で5勝1分。またこの日、2位のバンコク・ユナイテッドFCが敗れたため、勝点差は12と開きました。一方のPTプラチュワップFCはこの日の敗戦で、順位を一つ下げて13位となっています。
ブリーラム・ユナイテッドFCのディオン・コールズは先発して、フル出場しています。
PTプラチュワップFCのジュニオール・エルドストールはベンチ外でした。

タイ1部リーグ順位表(第20節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU21174054173755
2バンコクU21134436112543
3チョンブリー21113735211436
5ラーチャブリー219672415933
13プラチュワップ2155112742-1520
サッカー協会主導でマレーシア国籍取得のデ・パウラは今季は3部でプレー

ブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラは、2015年にスランゴールFA(当時、現スランゴールFC)でマレーシアリーグでの選手生活をスタートすると、2016年にはマレーシア王立警察が運営するPDRM FA(現PDRM FC)、2017年から2019年まではクアラルンプールFA(現KLシティFC)、そして2020年からはペラFA(現ペラFC)でプレーを続けました。マレーシア国内での連続プレー期間が5年を超え、デ・パウラ選手がFIFAが規定する帰化選手となる条件をクリアしたことから、マレーシアサッカー協会FAMは代表チーム強化を目的とした帰化支援プログラムを立ち上げ、このデ・パウラ選手と、コソボ出身でやはり5年間マレーシアでプレーしたMFリリドン・クラスニキ両選手のマレーシア国籍取得を支援し、このプログラムのおかげでデ・パウラ選手は2021年3月に、クラスニキ両選手は同年2月にマレーシア国籍を取得しました。

しかしマレーシア国籍を取得した際には既に35歳となっていたデ・パウラ選手はマレーシア代表に招集されたものの、2021年6月に行われたFIFAワールドカップカタール大会のためのアジア2次予選では目立った活躍ができず、多くの代表チームサポーターは「デ・パウラ選手(と帰化選手)不要論」を唱え、FAMの帰化支援プログラムの廃止を求める声が高まりました。そして行き場を無くしたデ・パウラ選手はジョホール・ダルル・タジム(JDT)に移籍し、帰化支援プログラムは一時中断が決まりました。

リーグ戦でもマレーシア人選手として登録が可能になったにもかかわらず、代表選手ですら控えに回るJDTでは2021年シーズンはリーグ戦出場3試合、そして昨季は出場が全くなかったデ・パウラ選手ですが、今季はJDTから3部リーグのM3リーグに初参戦するマラッカFCへ期限付き移籍したと、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。

「(アマチュアリーグの)M3リーグでプレーすることは自分は全く気にならない。スーパーリーグではもうプレーする能力がないとと言われていることは知っているが、M3リーグはむしろ自分の能力を証明できる最良の場だと考えている。できるだけ多くの得点を挙げて、チームの昇格に貢献することが今季の目標だ。」と話したデ・パウラ選手は、先日行われたチームの選手披露イベントの席上で、今季創設されたばかりのチームのM3リーグ優勝とスーパーリーグ昇格に貢献したい、と決意を述べています。

2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(4) クランタンFC
クチンシティFC
クランタン・ユナイテッドFC
PDRM FC
ペラFC

クランタンFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル-22000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-2位(18試合11勝4分3敗 得点27失点14勝点37)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-1回線敗退
<主な新規加入選手>
FWヌハ・マロング(ガンビア、インド2部ラジャスタン ユナイテッドFCから移籍)
FWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア、前バングラデシュ1部シェイク・ラッセルKC)
FWレオナルド・ロロン(アルゼンチン、前アルゼンチン2部CAミトレ)
MFマリオ・アルケス(スペイン、前ベトナム1部ソンラム・ゲアンFC)
MFカルリ・デ・ムルガ(フィリピン、ジョホール・ダルル・タジムから移籍)
MFカン・イーチャン(韓国、韓国1部江原FCから移籍)
DFミゲル・シフエンテス(スペイン、前スペイン2部UDイビザ)
DFキム・ミンギュ(韓国、韓国1部浦項スティーラーズFCから移籍
DFクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン、ペナンFCから移籍)
FWカイリル・アヌアル(サラワク・ユナイテッドから移籍)
MFジェラルド・ガディット(サバFCから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)

<チーム概要>
2012年にリーグ優勝、マレーシアカップ優勝、マレーシアFAカップ優勝の国内三冠を達成したこともある名門のクランタンFCは、国内三冠達成後から凋落が始まり、2019年にプレミアリーグに降格すると、選手への給料未払い問題が明らかになり、プレミアリーグでも低迷を続けました。しかし2020年シーズン終了後、チームオーナーがクランタン州サッカー協会からビジネスマんのノリザム・トゥキマン氏に代わりました。ノリザム氏は資金を投入してチーム再建に着手し、クラブをスーパーリーグに復帰させています。
 昨季は2部プレミアリーグで2位となり、リーグ改変がなくともスーパーリーグ昇格を果たしていたクランタンFCは今季、元韓国代表でJリーグ大分でもプレー経験があるチェ・ムンシク氏を新監督に迎え、5シーズン振りのスーパーリーグへ挑みますが、昨季の外国籍選手5名はシーズン途中から加入した原健太選手を含めて全員が退団し、今季の外国籍選手枠上限の9名を獲得しています。
 オーナーのノリザム氏は今季の目標としてトップ10入りを挙げていますが、外国籍選手以外は比較的若い選手で構成されたチームでもあり、うまくハマれば台風の眼になる可能性もありますが、歯車が狂い出すと苦しいシーズンになる可能性もあります。

<注目選手>
FWヌルシャミル・アブドル・ガニ
昨季のプレミアリーグではチームトップ、プレミアリーグでも3位となる8ゴールを挙げたヌルシャミル選手ですが、その実力は果たしてスーパーリーグでも通用するのか。昨季のFAカップでPJシティFCとクランタンFCが対戦した際に、このヌルシャミル選手の実際のプレーを見る機会がありましたが、シーズンが始まったばかりということもあったでしょうが、素人目ではスーパーリーグのPJシティFC相手では、当たられた際の身体の強さも感じず、怖さを感じさせることなくプレーしていた印象です。そんなヌルシャミル選手がトップリーグでどのようなプレーを見せてくれるのかに注目です。

クチンシティFC

<ホームスタジアム>
サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン-20000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-4位(18試合10勝4分4敗 得点30失点20勝点34)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWスディ・アブダラ(ブルンジ、イラク1部アル・ナフトFCから移籍)
MFシロジディン・クジエフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部ネフチ・フェルガナから移籍)
DFセリオ・サントス(ブラジル、タイ2部カセサートFCから移籍)
GKジュリアン・シュワルツァー(フィリピン、フィリピン1部ADTから移籍)
MFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)
DFバドルル・アフェンディ(サバFCから移籍)
DFカイヨム・マルジョニ(クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
DFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(右がホーム、左がアウェイ。)

<チーム概要>
スーパーリーグには創設から100年を超えるチームがある中、2015年創設と比較的新しいチームのクチンシティFCは、2019年の入れ替え戦で当時2部のサラワクFA(現サラワク・ユナイテッドFC)を破って2部プレミアリーグに昇格し、それから4年でクラブ史上初となる1部スーパーリーグ昇格を果たしてます。
 2021年にはトレンガヌFA(現トレンガヌFC)でリーグ準優勝を2度経験しているイルファン・バクティ監督が就任すると、2021年は5位、そして昨季2022年は3位となり、リーグ改変がなくともスーパーリーグ昇格を果たすほどのチームになっています。昨季いっぱいで退団を表明していたイルファン監督が残留した今季は、昨季のリーグ得点王アブ・カマラ(リベリア)、そして守備陣を支えたいずれもチーム在籍3年目となるアイルトン(ブラジル)、谷川由来の両選手が残留する一方で、初のスーパーリーグ参戦に向けてFWスディ・アブダラ(ブルンジ)、MFシロジディン・クジエフ(ウズベキスタン)、DFセリオ・サントス(ブラジル)そしてGKジュリアン・シュワルツァー(フィリピン)を獲得しています。
 昨季はとにかくアブ・カマラにボールを集めるスタイルに徹したクチンシティFCですが、そのカマラ選手が自由にプレーさせてもらえない時に新加入のスディ・アブダラがどのようなプレーを見せるかが、チームの順位に直結しそうです。

<注目選手>
FWアブ・カマラ
昨季は2部プレミアリーグで11ゴールを挙げた得点王が、果たしてスーパーリーグで通用するのか。通用すれば、スーパーリーグを掻き回す存在になれるでしょうし、通用しなければ、今季は入れ替え戦がなくて良かった、という順位に終わる可能性があるクチンシティFCでは、単純にそこだけが注目ポイントです。

クランタン・ユナイテッドFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル-22000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-5位(22試合6勝7分5敗 得点23失点19勝点25)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWダヴィット(ブラジル、前アルバニア1部KFティラナ)
FWグレゴリ(ブラジル)
FWホセ・エルメル・ポルテリア(フィリピン、キリヴォン・ソク・セン・チェイFCより移籍)
MFエルニスト・バトゥルカノフ(キルギス、キルギス1部FCアブディシュ・アタ・カントから移籍)
MFモルガロ・ゴミス(セネガル、スコットランド3部クライドFCから移籍)
DFヤン・ヴィクトル・シルバ・パイシャン(ブラジル、韓国2部忠北清州FCから移籍)
FWシャズワン・ザイノン(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
FWインドラ・プトラ・マハユディン(ペラFCから移籍)
FWアキル・ヒルマン(ペラFCから移籍)
DFシャズワン・ザイポル(ペナンFCから移籍)
FW S・シャルヴィン(スランゴールFC2から移籍)
FWディルガ・スルディ(サバFCから移籍)
DFラティフ・スハイミ(ペナンFCから移籍)
DFアフマド・タスニム・フィトリ(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
GKアシラフ・オマル(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(右がホーム、左がアウェイ。)

<チーム概要>
昨季在籍した本山雅志、深井脩平両選手と東山晃テクニカルディレクターが去り、日本人選手路線から方向転換をしたクランタン・ユナイテッドFCは、新監督に元ペナンFCのトマス・トルチャ氏(チェコ)を据えて、クラブ史上初のスーパーリーグに臨みます。
 外国籍選手は全員が新加入でダヴィッドとグレゴリーの両FWはいずれもブラジル出身で、ここに東南アジア枠のFWホセ・エルメル・ポルテリアが加わります。中盤はMFエルニスト・バトゥルカノフ(キルギス)、MFモルガロ・ゴミス(セネガル)、ディフェンスはDFヤン・ヴィクトル・シルバ・パイシャン(ブラジル)といった正直なところ、その実力はいずれも未知数のメンバーです。
 しかし今季のクランタン・ユナイテッドで注目したいのはむしろ新規加入のマレーシア人選手です。良く言えばリーグ経験が非常に豊富な、悪く言えば選手としてのピークを過ぎたような選手を大量に獲得しています。インドラ・プトラ・マハユディンを筆頭にシャズワン・ザイノン、アブドル・ラティフといった選手たちは前の所属チームでは出場機会を減らしていた選手たちですが、2部プレミアリーグが中止となっていることから降格の心配もなく、若い選手中心のクランタン・ユナイテッドFCにとっては、この「ベテラン」の力を借りて若い選手を育てていくシーズンとなるかもしれません。そういった意味ではトルチャ監督の手腕が試されるシーズンといっても良いでしょう。

<注目選手>
FWインドラ・プトラ・マハユディン
今季で選手生活21年目を迎えるインドラ・プトラ選手。国内リーグは400試合近くに出場し、150以上のゴールを挙げています。またパハンFA(現スリ・パハンFC)やクランタンFA(現クランタンFC)でリーグ優勝も経験している41歳は、昨季は若手中心のペラFCで9試合に出場しています。前述した通り、今季のクランタン・ユナイテッドFCもチームとして若返りを図る中で、このインドラ・プトラ選手は自身のプレーでこれまでの経験を伝えていくことになりそうです。ただしインドラ・プトラ選手への依存が高まるようなことがあれば、入れ替え戦のない今季は残留できても、来季以降は苦しい戦いを強いられることになります。

PDRM FC

<ホームスタジアム>
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ-25000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-6位(18試合6勝3分9敗 得点20失点28勝点21)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-1回戦敗退
<主な新規加入選手>
FW鈴木ブルーノ(日本、タイ3部バンコクFCから移籍)
FWウチェ・アグバ(ナイジェリア、サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
FWチュクウ・チジョケ(ナイジェリア)
MFジャック・フェイ(セネガル)
MFチョー・ミン・ウー(ミャンマー、ミャンマー1部ヤンゴン・ユナイテッドより移籍)
DFジェームズ・オクウォサ(ナイジェリア、クウェート1部アル・シャバブより移籍)
DFマーカス・マコーレー(リベリア、ヨルダン1部モグハイェア・アル=サーハンより移籍)
GKラマダン・ハミド(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(右がホーム、左がアウェイ。)

<チーム概要>
PDRM FCは、昨季からは守備的MFファディ・アワド(ヨルダン)が残留しただけで、そのほかに7名の外国籍選手が加入しています。特にトランスファーウィンドウ終了直前に加入が決まったFWチュクウ・チジョケ(ナイジェリア)とMFジャック・フェイ(セネガル)については、Transfermarktにも前所属などの記録が見つからず、どんな選手なのかが全く不明です。その一方で、昨季はサラワク・ユナイテッドで、その前はマラッカ・ユナイテッドでプレーしたウチェ・アグバや2シーズンぶりにマレーシアに復帰を果たした鈴木ブルーノ選手などもMリーグ経験者も獲得しています。とは言え、昨季は給料未払い問題により新戦力獲得をFIFAから禁止され、U21やU19の選手で構成されたペラFCやスランゴールFCのセカンドチームのスランゴール2と変わらない18得点25失点(18試合)から新規獲得選手がどのくらい戦力をアップさせてくれるのかに、チームの順位がかかっています。

<注目選手>
2017年にヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)でMリーグでプレーを始めた鈴木ブルーノ選手。その後はトレンガヌFA(現トレンガヌFC)、PDRM FCとプレーした後、昨季2022年途中からはタイ3部のバンコクFCでプレーした後、2年ぶりにPDRM FCに復帰しました。1部スーパーリーグと2部プレミアリーグ(今季は中止)合計62試合で29ゴールを記録し、マレーシアでのプレー経験も豊富なブルーノ選手は、前述したように深刻な得点力不足のチームにとって即戦力のフォワードとして期待されています。

ペラFC

<ホームスタジアム>
ペラスタジアム(ペラ州イポー-27000人収容)
<2022年シーズンの成績>
プレミアリーグ-9位(18試合5勝2分11敗 得点16失点30勝点-給料未払いにより勝点9が剥奪されています。)
マレーシアカップ-プレミアリーグ上位4チームに入れず出場資格なし
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWクリスチャン・オビオゾール(ナイジェリア、レバノン1部タダモン・スルから移籍)

FWハディ・ファイヤッド(J2岡山から移籍)
FWスニル・チャンドラン(PJシティFC から移籍)
FWアミルル・アクマル(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
FWシャフィジ・イクマル(クチンシティFCから移籍)
FWファーミ・ダニエル(スランゴールFC2から移籍)
MFオズウィン・リム(PJシティFC から移籍)
MFハスヌル・ザイム(スリ・パハンFCから移籍)
MFファディル・イドリス(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFファーミ・ダニエル(スランゴール2から移籍)
DFシヴァン・ピレイ(PJシティFCから移籍)
DFファリス・ズディハム(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFフェリックス・アドリアーノ(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFハジック・プアド(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFラジャ・イムラン(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
DFハフィザル・モハマド(トレンガヌFCから移籍)
GKブライアン・シー(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
GKフィルダウス・イルマン(PDRM FCから移籍)
GKトーフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(右がホーム、左がアウェイ。)

<チーム概要>
昨季のペラFCは、給料未払い問題未解決を理由に新規選手獲得を禁止されたことから、U19やU21チームの選手をやりくりしてシーズン前半を戦いました。2度目のトランスファーウィンドウでは新たな選手との契約を結ぶことが許されたものの、資金難から大型補強はできず、昨季は10チーム中で9位となりました。それでも昨季終了後に通信事業やIT関連企業を運営するXOX社が新たなオーナーとなったことで経営は安定し、その後就任したのがリム・ティオンキム監督です。
 現役時代はヘルタ・ベルリン(ドイツ)やUDイビザ(スペイン)でプレーした後、バイエルン・ミュンヘンのユースでコーチをしていたリム監督は、マレーシア開催となったAFC U16アジアカップでマレーシアU16代表監督を務めるために帰国しましたが、チームはグループステージで敗退しました。ユースの指導経験が豊富ではあるものの、トップチームの指導経験はない中、今季ペラFCの立て直しを任されたリム監督ですが、今季は育成の年として若い選手を起用する方針を明らかにしているものの、クラブ創設100年を超えるチームのサポーターは2季ぶりの復帰となったチームへの期待は高く、育成とは言え成績が悪化すれば、リム監督への不満の声も聞こえてきそうです。
 そんなチームに欠かせない外国籍選手ですが、ルチアーノ・ゴイゴチェア(アルゼンチン)、サンディ・アフォラビ(ナイジェリア)の両MFは残留した一方で、FWクリスチャン・オビオゾール(ナイジェリア)を獲得しましたが、さらに開幕直前にはDFシム・ヒョンキ(韓国4部平澤市民FCから移籍)、GKイ・ジュハン(前オーストリア3部ATSVシュタッドル=パウラ)、FWソ・ソンウン(スペイン5部C.D.トゥイージャ)の3名の韓国出身選手を獲得しています。ただし、この3選手はプレシーズンでの不振を見た経営陣がリム監督の意思に反して獲得したといった報道もあります。
 いずれにせよ今季のスーパーリーグ最下位候補の1つであることは明らかで、外国籍選手が不発に終わると、早い段階でリーグ界に沈む可能性があります。

<注目選手>
FWハディ・ファイヤッド
U19、U23とマレーシアの年代別代表では飛び級で活躍してきたハディ選手ですが、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のセカンドチームを退団後、2018年12月にJ2岡山と契約してマレーシア人選手初のJリーガーとなりました。しかし岡山でプレーすることはなく、出場機会を求めて期限付き移籍したJ3沼津でも膝前十字靭帯損傷の大ケガなどもあり、2年間で3試合出場にとどまり、昨年オフに出身地のペラ州を本拠地とするペラFCと2年契約を結んでいます。
 ハディ選手は、リム監督が指揮を取ることがペラFCとの契約を結ぶ決め手の一つとなったことを明らかにしていますが、今年23歳ながらハディ選手には自分より若い選手も多いペラFCでは主力としての活躍が求められます。
 

2023マレーシアスーパーリーグ 第1節結果とハイライト映像(3)スランゴールは辛勝、パハンとヌグリスンビランは引き分けスタート

2月24日のJDT対トレンガヌ戦で開幕した2023年シーズンのマレーシアスーパーリーグ。2月26日には第1節の残り2試合が行われています。ジョホール・ダルル・タジム(JDT)に敗れたトレンガヌFCを除くと、第1節で勝点を挙げられなかったのはいずれも昨季は2部プレミアリーグでプレーしたチームで、同じ昇格組のクランタンFCを破ったクチンシティFCのみが勝点を挙げ、残る4チームは全て敗れています。
 第2節は2月28日から3月2日に行われ、第1節でともに敗れている昇格組のPDRM FCとペラFCの一戦はスーパーリーグ初の勝点を賭けた戦いになりますが、未勝利のクランタン・ユナイテッドはサバFCと、クランタンFCはスリ・パハンFCといずれもアウェイで対戦します。(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 1-0 クランタン・ユナイテッドFC
⚽️スランゴール:ヤザン・アル=アラブ(40分)
🟨スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ、ダニアル・アスリ、アリフ・イズワン・ユスラン
🟨クランタン:カイル・アズリン・カザリ、ラティフ・スハイミ、
MOM:ヤザン・アル=アラブ(スランゴールFC)

 クラブ史上初のスーパーリーグ参戦となったクランタン・ユナイテッドFCの守備的布陣に苦しみながらも、スランゴールFCはヤザン・アル=アラブのゴールで辛勝しています。
 昨年末のAFF選手権でプレーした新加入の代表DFクザイミ・ピー、そしてやはり代表MFのムカイリ・アジマルがベンチスタートとなったスランゴールFCは、試合開始からチャンスを作りながらも得点には至らず、このまま前半は0-0で終了の気配が漂い始めた40分、ファイサル・ハリムの右サイドからのコーナーキックをヤザン・アル=アラブが頭で合わせてゴール!ここまで厳しく守ってきたクランタン・ユナイテッドでしたが、この時だけはヤザン選手をフリーで跳ばせてしまいました。
 スランゴールFCはキャプテンのブレンダン・ガンが後半には何度も好機を作りましたが、追加点は奪えず、今季初昇格のクランタン・ユナイテッドFCに辛勝しています。

2月26日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロ)
ヌグリスンビランFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️ヌグリスンビラン:カサグランデ(21分)
⚽️パハン:マリク・アリフ(48分)
🟨ヌグリスンビラン:カサグランデ
🟨パハン:シェルドゾ・ファイジエフ
MOM:トミー・マワト(ヌグリスンビランFC)
 戦前の予想ではスリ・パハンFC有利とされたこの試合は、今季がMリーグ7シーズン目となるカサグランデのゴールでヌグリスンビランFCが先制しました。戦前の予想に反して両チームが激しくせめぎ合う中、。新加入のシンガポール代表MFサフワン・バハルディンのクロスをエラルド・グロンが頭で落とし、それをカサグランデが押し込んだ、チームが今季の理想とする形での得点でした。
 しかし後半になるとスリ・パハンFCが徐々に優勢に試合を進め、48分には右サイドのデヴィッド・ローリーからのクロスを身長164cmの小兵、マリク・アリフがヘディングし、これがゴールとなり、スリ・パハンFCが同点に追いつきました。
 その後もスリ・パハンFCがチャンスを作るも、それに耐え切ったヌグリスンビランFCが貴重な勝点1を手にしています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第1節終了時)

PosTeamPWDLGFGA+/-Pts
1SAB11004043
2KDA11004133
3JDT11002023
4KCH11002113
5SEL11001013
6KLC10102201
7PEN10102201
8SRP10101101
9NSE10101101
10KEL100112-10
11KLU100101-10
12TRE100102-20
13PRK100114-30
14PDRM100104-40
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 第1節結果とハイライト映像(2)
昇格組対決はクチンシティに軍配
KLは10人のペナンに追いつかれて引き分け
クダとサバは昇格組のペラとPDRMに力の差を見せて圧勝

2月24日のJDT対トレンガヌ戦で開幕した2023年シーズンのマレーシアスーパーリーグ。2月25日には第1節の3試合が行われています。昨季は共に2部プレミアリーグでプレーしたクランタンFCとクチンシティFCの対戦はクチンシティFCが逆転で勝利しています。また昨季のAFCカップ準優勝のKLシティFCは昨季スーパーリーグのペナンと対戦し、2-0とリードしたところから退場者が出て10人となったペナンに追いつかれて引き分けています。また昨季プレミアリーグでプレーしたペラFC、PDRM FCをそれぞれホームに迎えたクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)とサバFCは揃って4ゴールを挙げる圧勝で今季を白星でスタートしています。本日2月26日には第1節の残り2試合、スランゴールFC対クランタン・ユナイテッドFC戦、ヌグリスンビランFC対スリ・パハン戦が開催されます。(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2月25日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタンFC 1-2 クチンシティFC
⚽️クランタン:ミゲル・シフエンテス(51分)
⚽️クチンシティ:アブドラー・スディ(58分)、アブ・カマラ(71分)
🟨クランタン:ヌハ・マロング、ジェラルド・ガディット
🟨クチンシティ:セリオ・サントス、アダム・シリーン
MOM:アブ・カマラ(クチンシティ)

昨季のプレミアリーグ2位と3位の対戦となったカードは、ホームのクランタンFCが新外国籍選手ミゲル・シフエンテスのゴールで先制したものの、クチンシティFCはアブ・カマラのパスを受けたアブドラー・スディのゴールでその直後に追いつき、最後は相手DFのミスからボールを奪った昨季プレミアリーグ得点王のアブ・カマラが決勝ゴールを決めて、クチンシティFCが勝利しています。MOMには1ゴール1アシストのアブ・カマラが選ばれています。
 クチンシティFCの谷川由来選手はベンチ入りしませんでした。

2月25日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 4-0 PDRM FC
⚽️サバ:サディル・ラムダニ2(13分、71分)、パク・テス(38分)、スチュアート・ウィルキン(90+3分)
🟨サバ:ダニエル・ティン、パク・テス、リザル・ガザリ
🟨PDRM:アミル・サイフル、チョー・ミン・ウー、サフィー・アフマド
MOM:パク・テス(サバFC)

昨季スーパーリーグ3位のサバFCが3季ぶりにスーパーリーグに復帰したPDRM FCを破って、今季初戦を圧勝しています。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は68分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2月25日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1-4 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️ペラ:イクワン・ハフィゾ(3分)
⚽️クダ:リー・タック(17分)、ウィリアン・リラ(68分PK)、アリフ・ファルハン(84分)、ジョナタン・バロテッリ(90+4分)
🟨ペラ:サンデー・アフォラビ、ラジャ・イムラン・シャー、ハジック・プアド
🟨クダ:アクマル・ザヒル、ウィリアン・リラ、ジョナタン・バロッテリ
🟥ペラ:ハジック・プアド(🟨x2)、サンデー・アフォラビ(🟨x2)
MOM:リー・タック(クダ・ダルル・アマンFC)

2月25日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 2-2 ペナンFC
⚽️KL:パウロ・ジョズエ2(15分、72分)
⚽️ペナン:ハディン・アズマン(74分)、ジオヴァネ・ゴメス(86分)
🟨KL:ロメル・モラレス、ケニー・パッラジ、アンワル・イブラヒム、パウロ・ジョズエ
🟨ペナン:ラーマット・マカスフ、A・ナマテヴァン
🟥ペナン:A・ナマテヴェアン(🟨x2)
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)

いずれも昨季はスーパーリーグでプレーした両チームの戦いは、昨季5位のKLシティFCが2点のリードを守りきれず、昨季最下位12位のペナンFCと引き分けています。
 ブラジル出身のパウロ・ジョズエがマレーシア国政取得と同時にマレーシア人選手登録されたことで、先発にはロメル・モラレス(コロンビア)、カイオン(ブラジル)、セバスティアン・アヴァンジニ(イタリア)、ジャンカルロ・ガリフオコ(オーストラリア)、ケヴィン・メンドーザ(フィリピン)と5名の外国籍選手が起用されたKLシティが、そのジョズエ選手の素晴らしいフリーキックで15分に先制しました。
 一方のペナンも攻め込まれながらもカウンターを仕掛けてKLゴールを狙いますが、前半はゴールを奪えないまま試合が進みました。さらに57分にはA・ナマテヴァンガこの試合2枚目のイエローをもらって退場、その後72分には再びジョズエ選手がペナルティエリアの外からシュートを放ちゴールを決めてKLに2点差をつけられてしまいました。
 しかし数的不利をものともせずボールを前へ運ぶペナンは、その直後の74分には昨季までKLシティでプレーしたハディン・アズマンがゴールを決めて1点差に迫り、さらに86分にはニック・アキフからのパスを受けたファリス・シャーのクロスをジオヴァネ・ゴメスが頭で合わせ、新戦力トリオが同点ゴールを生み出しました。
 試合はこのまま終了し、ペナンはアウェイで貴重な勝点1を得た一方で、KLシティは手中にしていた勝点2を失った気分でしょう。

2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(3)
スリ・パハンFC
クダ・ダルル・アマンFC
ペナンFC

スリ・パハンFC

<ホームスタジアム>
ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン-40000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-7位(22試合8勝4分10敗 得点33失点31勝点27)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWクパー・シャーマン(リベリア、トレンガヌFCから移籍)
FWルーカス・シルヴァ(ブラジル、ペナンFCから移籍)
DFステファノ・ブルンド(アルゼンチン、アルゼンチン2部エストゥディアンテス・ブエノスアイレスから移籍)
DFマイケル・グラソック(オーストラリア、オーストラリア1部シドニー・オリンピックFCから移籍)
FWシャミー・イスズハン(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
DFファドリ・シャス(JDTから移籍)
DFアズリフ・ナスルハク(JDTから期限付き移籍)
DFシャズワン・アンディック(JDTから期限付き移籍)
GKイルハム・タルミジ(JDTから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(左からホーム、アウェイ、サードユニフォーム)

<チーム概要>
2021年には元米国代表でフィリピン代表監督も経験したトーマス・ドゥーリー、2022年にはそのドゥーリー氏がコーチとして連れてきたクリストフ・ギャメルと、いずれもシーズン途中で監督を更迭したスリ・パハンFCは、3年連続となる新監督に昨季はチームのテクニカルディレクターを務めたシンガポールのレジェンド、ファンディ・アフマド氏を迎えています。
 ファンディ監督のもとで新体制となったスリ・パハンは、DFシェルゾド・ファイジエフ(ウズベキスタン)、MFケヴィン・イングレッソ(フィリピン)の両外国籍選手を残留させた一方で、シーズン後半に加入し13試合でチーム最多となる9ゴールを挙げたスティーヴン・ロドリゲス(ブラジル)との契約を延焼せず、またチーム2位の7ゴールを挙げたリーグ屈指のMFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)もチームを去るなか、昨季はトレンガヌFCで6ゴール(14試合)を挙げたFWクパー・シャーマンを獲得しています。これまでスーパーリーグでは61試合で39ゴールを挙げたシャーマン(リベリア)選手に加え、昨季はペナンFCで6ゴール(11試合)を挙げたFWルーカス・シルヴァ(ブラジル)といずれもスーパーリーグ経験者FW2名を獲得しています。
 またDF陣はいずれも190cmを超えるセンターバックのステファノ・ブルンド(アルゼンチン)、マイケル・グラソック(オーストラリア)が加わり、またJDTから大挙4名の選手(DF3名、GK1名)を期限付き移籍で獲得するなど、今季リーグ上位争いの大穴になりそうなのが今季のスリ・パハンFCです。

<注目選手>
MFアザム・アジー、MFエゼキエル・アグエロ
上では今季のスリ・パハンFCが「今季リーグ上位争いの大穴になりそう」と書きましたが、その鍵を握るのがこの両代表選手です。近年はケガを押して出場を続けているアザム選手は、以前のような自陣深くから相手サイドへの正確なロングパスなどは見られなくなっているものの、それでもスリ・パハンの司令塔として昨季は20試合に出場しています。その才能から毎年オフになると移籍が噂されますが、地元愛からか今季もスリ・パハンFC残留を決めたアザム選手は、自身の代表復帰のためにも今季の復活が期待されます。
 また昨年マレーシア国籍を取得したアルゼンチン出身のアグエロ選手は、代表初招集となった昨年末のAFF選手権でもゴールを決めるなど、帰化手続きにより昨季プレーできなかった鬱憤を晴らすかのような活躍を見せました。スリ・パハンFCで求めらる役割は、クダ・ダルル・アマンFCに移籍したマヌエル・イダルゴが抜けた穴を埋めることです。残留したケヴィン・イングレッソやAFF選手権ではチームメートとしてプレーしたデヴィッド・ローリーらとともにその穴が埋められるかどうかに注目です。

クダ・ダルル・アマンFC

<ホームスタジアム>
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター-32000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-8位(22試合8勝3分11敗 得点32失点41勝点27)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWウィリアン・リラ・ソウザ(ブラジル、ヴァンフォーレ甲府から移籍)
FWジョナタン・バロッテリ(ブラジル、前韓国2部全南ドラゴンズ)
FWエベネゼル・アシフアー(ガーナ、前フランス2部ポーFC)
MFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン、スリ・パハンFCから移籍)
MFマヌエル・オット(フィリピン、トレンガヌFCから移籍)
MFアミルベック・ズラボエフ(タジキスタン、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFアラン・ロバートソン(南アフリカ、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFボヤン・シガル(セルビア、ウズベキスタン1部PFCナフバホール・ナマンガンから移籍)
MFリー・タック(スリ・パハンFCから移籍)
GKカラムラー・アル=ハフィズ(PJシティFCから移籍)
GKフィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)

<チーム概要>
シンガポール出身のアイディル・シャリン監督が就任した2019年は4位、そこから2020年2位、2021年2位と順調に力をつけていったクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)でしたが、昨季は何故か外国籍選手を総入れ替えし、さらにマレーシア人選手の中心選手だったバドロル・バクティアルやリザル・ガザリなども放出するなど全く別のチームになった結果、8位となりました。
 シーズン終了を待たずに退団したアイディル監督に代わり、昨季までトレンガヌFCの監督を4季務めたナフジ・ザイン氏が新監督に就任したクダFCは、アイディル監督時代には考えられないほど積極的な補強を行い、昨季の8位から今季は一気に上位争いに加わりそうな勢いです。
 J2甲府から移籍したウィリアン・リラはJ2では90試合出場18ゴール、前韓国2部全南ドラゴンズのジョナサン・バロッテリはKリーグ2部で58試合で18ゴール(いずれもTransfarmarktによる)を挙げているようですが、前フランス2部ポーFCのエベネゼル・アシフアーも含め、心配なのはどの選手とも湿度の高い東南アジアでのプレーは初めてということ。気候だけでなく反則まがいの激しいプレーも多い中で期待通りの活躍を見せてくれるかどうかは未知数です。
 リーグ9位の41失点を喫した守備陣はPJシティFCから代表GKカラムラー・アル=ハフィズ、クランタン・ユナイテッドFCからは正GKのフィクリ・チェ・ソーを獲得した他、アラン・ロバートソン(南アフリカ)、ボヤン・シガル(セルビア)の両センターバックを獲得していますが、外国籍選手出場枠(ピッチ上は3名+アジア枠1名+東南アジア枠1名、この他ペンチ入り1名)もあり、アジア枠はアミルベック・ズラボエフ、東南アジア枠はマヌエル・オットになるので残る3枠をどう割り振るのかがナフジ監督の手腕にかかっています。マヌエル・イダルゴの起用の可能性は高いので、残りはFW1名、センターバック1名が外国籍選手起用の基本線となりそうです。
 後は昨季の成績を犠牲にしてまで起用された若手や中堅選手たち、DFではアリフ・ファルハンやアクマル・ザヒル、MFではアル=ハフィズ・ハルンやファズルル・ダネル、FWではファイヤド・ズルキフリなどが、その経験を生かしてチームに貢献できるかどうかがクダFC上位進出の鍵となりそうです。

<注目選手>
MFリー・タック、GKカラムラー・アル=ハフィズ
 英国出身のリー・タックは、2017年からマレーシアでプレーし、FIFAによる同一刻のリーグで5年連続でプレーする、という要件を満たしマレーシア国籍を申請、昨季はその国籍取得手続きが長引いたためリーグ戦の出場がありませんでした。それでも念願の国籍取得後には昨年末のAFF選手権に向けたマレーシア代表合宿に初招集されると、JDT勢不在の代表では8試合に出場し、2ゴールを挙げ存在感を示しました。そのタック選手は国籍取得申請を支援したスリ・パハンFCを離れ、今季はクダFCでプレーします。スーパーリーグでの豊富な経験に加え、チームを鼓舞するプレースタイルのタック選手はベテランが少ない今季のクダFCには貴重な存在です。
 これまで何度も代表合宿に呼ばれながら、試合出場がなかったカラムラー選手も昨年末のAFF選手権で代表デビューを果たしています。2020年からはPJシティFCの正GKを務め他からムラー選手はスーパーリーグでもトップクラスのGKでもあり、昨季は正GKが決まらず、起用された選手たちがことごと安定感を描いたクダFCには最適な補強となりました。

ペナンFC

<ホームスタジアム>
シティタジアム(ペナン州ジョージ・タウン-20000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-12位(22試合2勝5分15敗 得点22失点45勝点11)
マレーシアカップ-ベスト16
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手>
FWジオバネ・ゴメス(ブラジル、SERカシアス・ド・スルから移籍)
FWスーニー・サアド(レバノン、タイ1部PTプラチュワプFCから移籍)
MFアドリアーノ(ブラジル、マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
MFカート・ディゾン(フィリピン、フィリピン1部ユナイテッドFCから移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、英国3部モアカムFCから移籍)
DFゾー・ミン・トゥン(ミャンマー、タイ1部チョンブリーFCから移籍
DFリュウ・ヤマグチ(日本、FCマラガシティアカデミーから移籍)
DFアン・セヒ(韓国、ベトナム1部ホアンアイン・ザライFCから移籍)
FWハディン・アズマン(KLシティFCから移籍)
FWヌル・イザット(スリ・パハンから移籍)
MFニック・アキフ(トレンガヌFCから移籍)
DFアズミール・アリフ(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
DFダニッシュ・ハジック(ペラFCから期限付き移籍)
GKランディ・リニン(UITM FCから移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)

<チーム概要>
2020年にマンズール・アズウィラ監督のもと、2部プレミアリーグで優勝し1部スーパーリーグに昇格したペナンFCは、マンズール監督がスーパーリーグで監督を務めるのに必要なAFCプロライセンスを保持していなかったことから、スーパーリーグ参加に向けてチェコ出身のトマス・トルチャ監督が就任しました。
 昇格初年度となった2021年は新型コロナの影響でリーグは11試合に短縮されたものの、リーグ3位となる大躍進を見せましたが、監督と経営陣の意見の相違が明らかになると、トルチャ監督を更迭されてしまいました。そして迎えた昨季2022年シーズンは後半はほぼ最下位を独走した後、最終的には11位に勝点差6をつけられて最下位に終わっています。幸いにもリーグ改編により2部プレミアリーグが中止となり、入れ替え戦を逃れることはできましたが、今振り返ってみても、監督交代は経営陣の明らかな判断ミスでした。
 今季のペナンFCは、マンズール監督がAFCプロライセンス取得見込み(注:この記事執筆時点ではマンズール監督はライセンス取得ができていません)のため、昨季の監督代行から昇格して指揮を取りますが、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)、トレンガヌFC、クランタンFCとともに外国籍選手枠9名の上限いっぱいまで選手を獲得したチームです。
 2021年シーズンの好成績に貢献したブラジルトリオのうち、昨季から残留したのはDFラフェエル・ヴィトール(ブラジル)だけで、MFエンドリック(JDTへ移籍)、FWカサグランデ(ヌグリスンビランFCへ移籍)は退団しています。それでもチームのブラジル路線に変更はなく、昨季までの2シーズンをマラッカ・ユナイテッドFCでプレーし4ゴール(19試合)上げたMFアドリアーノ、そしてFWジオバネ・ゴメス(SERカシアス・ド・スルから移籍)の両ブラジル出身選手を獲得しています。
 FW、DF共に新戦力を積極的に獲得したのは、22得点がリーグ最多9位タイ、45失点がリーグ最多2位と、昨季は攻守共に課題が山積みだったことがあります。人数を増やせば解決する問題とは思えませんが、幸いなことに今季も2部プレミアリーグは中止のため2部降格の心配がないので、たとえ今回の大型補強が大失敗に終わっても安心です。

<注目選手>
FWハディン・アズマン、DFリュウ・ヤマグチ
KLシティFCから移籍したハディン・アズマンはフェルダ・ユナイテッドFC(既に解散)時代から見えている選手なのですが、先発で起用されるとそこそこ力を発揮するものの、スーパーサブ的な器用ではあまり効果的な役割が果たせない選手です。フェルダ・ユナイテッド解散後はクダFC、KLシティFCとプレーしたものの、主力としての起用はなく、数字も残せていません。ただ今回所属するペナンFCにはマレーシア人FW/攻撃的MFの人材がおらず、一花咲かせる機会はKLシティFCよりははるかにありそうです。
 リュウ・ヤマグチ選手に関しては、transfermarktを見ても何の情報もなく、どんな選手なのかが分からないので、プレーに注目する選手というよりも、そもそもどんな選手なのかを知りたいという感じです。ググってみると、本名はリュウ・クリスティアン・ヤマグチでマレーシア国籍という記述やマラガシティFC所属などという記事も見つかるのですが、詳しい情報が見つからないのが現状です。

2023マレーシアスーパーリーグ
第1節結果とハイライト映像(1)
ジョホールが快勝で開幕戦を飾る

いよいよ2023年シーズンのマレーシアスーパーリーグが開幕しました。今季は昨季までの1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが統合され、チーム数は14となり、12月17日に予定されている第26節まで例年にない長丁場のリーグを戦います。(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2月24日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 トレンガヌFC
⚽️ジョホール:フアン・ムニス(5分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(57分)
🟨ジョホール:オスカル・アリバス
🟨トレンガヌ:イヴァン・マムート
MOM:ジョルディ・アマト(ジョホール)

昨季のリーグ覇者とマレーシアカップ王者が対戦するスルタン・ハジ・アフマド・シャーカップとして行われた今季開幕戦は、昨季リーグ覇者でマレーシアカップ王者のジョホール・ダルル・タジム(JDT)とリーグ2位のトレンガヌFCが対戦。JDTが開始5分に左サイドのベルグソン・ダ・シルヴァのからのクロスに新加入のフアン・ムニスが頭で合わせ、挨拶代わりのヘディングシュートを決めて先制しました。さらに後半の57分には昨季28ゴールを挙げてリーグ得点王となったベルグソン自身が右サイドのアリフ・アイマンからのクロスに合わせてゴールを決め、リードを広げたJDTがそのまま逃げ切って勝利しています。
 ラヴェル・コービン=オング、シャールル・サアド、ファリザル・マーリアスら代表選手6名がベンチスタートとなったこの日のJDTの布陣は、新加入のフアン・ムニス、オスカル・アリバス、シーハン・ハズミが先発する一方で、ユース育ちのフェロズ・バハルディンも先発に名を連ね、選手層の厚さを見せつけました。
 一方のトレンガヌは、期待のアディサク・クライソーンがほとんどボールに触ることなく、前半で交代するなど、終始JDTに圧倒されて敗れた試合でした。
 MOMには1ゴール1アシストのベルグソン・ダ・シルヴァではなく、この試合ではキャプテンとし守備陣をコントロールしたジョルディ・アマトが選ばれています。

2023マレーシアスーパーリーグ チーム紹介(2)
ヌグリスンビランFC
スランゴールFC
KLシティFC

マレーシアスーパーリーグはいよいよ今日2月24日に開幕します。昨日から始めた今季のマレーシアスーパーリーグのチーム紹介は、昨季の4位から6位のヌグリスンビランFC、スランゴールFC、KLシティFCです。
*昨日、トレンガヌFCのチーム紹介記事を挙げましたが、トランスファーウィンドウ最終日となった昨日、トレンガヌFCは、昨季はヌグリスンビランFCでプレーしたMFオミド・ナザリ(フィリピン)の獲得を発表しています。なおトレンガヌFCには既に東南アジア枠の選手としてタイ代表FWアディサック・クライソーンが在籍しています。

ヌグリスンビランFC

<ホームスタジアム>
トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ-45000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-4位(22試合12勝5分5敗 得点33失点26勝点41)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWカサグランデ(ブラジル、ペナンFCから移籍)
MFレヴィ・マディンダ(ギニア、JDTから期限付き移籍)
MFヴィニシウス・レオネル(ブラジル、CEオペラリオ・ヴァルゼア=グラデンセから移籍)
DFサフワン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFCより移籍)
FWシャーレル・フィクリ(スランゴールFCから移籍)
MF R・バラトクマル(PJシティFCから移籍)
MFトミー・マワト(サバFCから移籍)
MFマハリ・ジュスリ(PJシティFCから移籍)
DFアルーン・クマル(PJシティFCから移籍)
DFザイナル・アビディン(PJシティFCから移籍)
DFハスブラー・アブ・バカル(JDTから移籍)
DFファリド・ナザル(UITM FCから移籍)
GKシーク・イズハン・ナズレル(スランゴールFCから期限付き移籍)
GK T・シャヒースワラン(JDTから移籍)
GKトフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)

今季ユニフォーム(画像はアウェイ。この記事の執筆時点でホームは発表されていません。)

<チーム概要>
昨季はスーパーリーグ昇格1年目ながら最後まで上位争いに加わったヌグリスンビランFC。最後は3位のサバFCと勝点差1でAFCカップ出場権を逃したものの、その快進撃は見事でした。
 しかし昨季オフにいずれも代表選手のGKシーハン・ハズミ(JDTに移籍)、DFクザイミ・ピー(スランゴールFC)を失うなど、好成績の要因となったリーグ3位タイの26失点の守備陣に今季は不安が残ります。シンガポール代表のDFサフワン・バハルディン、守備的MFのヴィニシウス・レオネル、そしてU23代表GKシーク・イズハンなどを新たに獲得していますが、この選手たちと守備の要でもあり昨季から唯一残留した外国籍選手のエラルド・グロンがうまく連携できるかどうかが上位争いに絡めるかどうかのポイントになりそうです。
 一方の攻撃陣は、昨季途中に加入したJリーグ鹿児島ユナイテッドでもプレー経験のあるグスタヴォが13試合で11ゴールを挙げましたが、チーム2位タイの6ゴールを挙げたマテウス・アウヴェス共々、契約は延長されず、チーム総得点の33点中半数以上の17ゴールを挙げたFWコンビが抜けた穴は、ペナンFC在籍中の35試合で27ゴールを挙げているカサグランデ、そして2020年のマレーシア人リーグ得点王のシャーレル・フィクリの両FWが埋めることになりそうです。
 当初は外国籍選手枠9名のところに3名のみと発表されていたヌグリスンビランFCは、その後は結局5名となりましたが、マレーシア人選手についても昨季上位のクラブと比べると見劣りする補強となっており、今季は苦しいシーズンになりそうです。

<注目選手>
FWシャーレル・フィクリ、DFサフワン・バハルディン
いずれも昨季はスランゴールFCに在籍した両選手ですが、その実力を発揮することはできませんでした。ペラ州出身で、地元のクラブ一筋でプレーしてきたシャーレル選手は、新型コロナのせいで11試合に短縮された2020年シーズンには10ゴールを挙げ、翌シーズンはスランゴールFCへ移籍しました。しかし2021年は1ゴール(10試合)、昨季2022年シーズンも1ゴール(13試合)しか挙げられず、シーズン終盤には出場時間も減っていきました。そんな中で絶対的なFWがいないヌグリスンビランFC移籍は大きな転機となるとともに、得点力不足に悩む代表復帰への足掛かりになってくれそうです。
 同様に昨季は試合中の脳震盪からさらに頭のケガが続き、シーズン後半を治療のため棒に振ったサフワン選手も捲土重来を期しての移籍となっているはず。スランゴールFC在籍3シーズンで、昨季は5試合と最も出場試合数が少なかったですが、頭のケガが完治していれば、東南アジアトップクラスのセンターバックと言われた実力を発揮してくれるはずです。

スランゴールFC

<ホームスタジアム>
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ-25000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-5位(22試合8勝6分8敗 得点39失点33勝点30)
マレーシアカップ-準優勝
FAカップ-ベスト4
<主な新規加入選手>
FWラウフ・サリフ(ガーナ、米国2部スポーティング・カンザスシティIIから移籍)
FWエイロン・デル・ヴァイエ(コロンビア、コロンビア1部オンせ・カルダスから移籍)
MFヨハンドリ・オロスコ(ベネズエラ、コロンビア1部デポルテス・トリマから移籍)
MFヌール・アル=ラワブデ(ヨルダン、ヨルダン1部アル・ファイサリーFCから移籍)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌFCから移籍)
MF K・サルクナン(ヌグリスンビランFCから復帰)
MF V・ルヴェンティラン(PJシティFCから移籍)
DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビランFCから移籍

今季ユニフォーム(画像は左がホーム、右がアウェイ)

<チーム概要>
かつては隆盛を誇った「赤い巨人」も2010年以来、優勝から遠ざかっており、その間にJDTの天下となっています。また近年は強化方針も迷走し、ここ数年のヨーロッパ志向も結局は功を奏しませんでした。昨年はカイオン、ユーリとブラジル出身FWを獲得するなど南米路線へ回帰し、得点はリーグ2位タイの39点としたものの、失点はリーグ7位の33点、4位のヌグリスンビランFCには勝点で11差をつけられての5位でした。それでも昨シーズン後半に前代表監督のタン・チェンホー氏が就任して以降は、リーグ戦は3勝1分、マレーシアカップは優勝した2015年以来の進出と、長い低迷期を抜け出すきっかけが見えたようなスランゴールFCですが、今季はその真価が問われるシーズンです。
 リーグ2位の14ゴールを挙げたカイオン、そして期待に添えなかったユーリとの契約を更新せず、FWエイロン・デル・ヴァイエ(コロンビア)、攻撃的MFヨハンドリ・オロスコ(ベネズエラ)と再び南米路線を踏襲しています。また代表でもエースとして活躍するファイサル・ハリムが加入したことで、同じく代表の中盤を務めるブレンダン・ガンとムカイリ・アジマルがチームメートにおり、彼らとのホットラインで今季も攻撃陣はある程度計算が立ちそうです。
 課題の守備は、残留したセンターバックのヤザン・アル=アラブの左右に新加入の代表DFクザイミ・ピーとやはり代表DFのアフロことシャルル・ナジーム、そして昨年末のAFF選手権ではJDTコンビが不在の中、代表の左右サイドバックを務めたクエンティン・チェンとファズリ・マズランとメンバーは揃っており、昨季たびたび見られた不用意なミスが減れば、今季の目標とするアジアの舞台への出場権獲得も夢ではありません。

<注目選手>
FWファイサル・ハリム、MF V・ルヴェンティラン
ミッキーの愛称で知られるファイサル選手は160cmに満たない小兵ながら、昨季は代表戦でチームトップの6ゴールを挙げ、一気に代表のエースとなりました。リーグ戦では20試合で6ゴールと爆発的な活躍をしたわけではないですが、トレンガヌFC時代とは違い、スランゴールFCには代表の若き司令塔ムカイリ・アジマル、そしてベテランMFブレンダン・ガンがおり、そこから出るパスで今季は二桁ゴールも夢ではありません。
 PJシティFCの試合を最も多く見た日本人(自称)として、ルヴェンティラン選手が代表でプレーし、スランゴールFCでプレーすることになったのは感慨深いものがあります。2年前にPJシティFCでデビューしたことは自信がなさそうなプレーで、チームメートから試合中に叱責される場面も見てきましたが、AFF選手権では持ち味の正確なクロスを度々披露するなど、その堂々としたプレーぶりをスランゴールFCでも見せてくれれば、チームのトップ3でのフィニッシュも期待できます。

KLシティFC

<ホームスタジアム>
KLフットボールスタジアム(クアラルンプール-18000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-6位(22試合8勝5分9敗 得点30失点31勝点29)
マレーシアカップ-ベスト8
FAカップ-ベスト16
AFCカップ-準優勝
<主な新規加入選手>
FWチェチェ・キプレ(コートジボアール、トレンガヌFCから移籍)
FWパトリック・ライヒェルト(フィリピン、タイ1部PTプラチュワップFCから移籍)
FWカイオン(ブラジル、スランゴールFCから移籍)
MFセバスチャン・アヴァンジニ(イタリア、デンマーク1部ホブロIKから移籍)
DFマッコ・ジルダム(クロアチア、クロアチア1部NKスラヴェン・ベルポから移籍
MFフィルダウス・サイヤディ(ペラFCから期限付き移籍)
DFナジルル・ナイム(サバFCから移籍)

*今季ユニフォームはこの執筆時で発表がありません。

<チーム概要>
昨季のAFCカップでは、2015年のJDTに次ぐ東南アジアのクラブとしては2チーム目となる決勝に進出する快進撃を見せましたが、共に初優勝をかけた決勝戦ではオマーンのアル・シーブSCに0-3で敗れて、残念ながらJDT以来のMリーグクラブの優勝とはなりませんでした。その快進撃を支えたのはグループステージ4試合で2失点、ノックアウトステージに入ってからも準決勝までの4試合を3失点に抑えた守備陣と、名将ボヤン・ホダック監督のもとチーム全体で共有されていた守備の意識の高さでした。しかし、それは裏返せばチームとしての得点力が低く、大量得点が期待できないということ。これは、ノックアウトステージでは延長でも0-0のままPK戦で勝利した試合が2試合あったことからも分かります。
 得点力不足はKLシティFCにとっては積年の課題であり、昨季の30得点はスーパーリーグ8位でした。毎年新たなストライカーを獲得するものの、期待外れだったり、デビュー戦でシーズンを棒に振るケガをするなどし、本来ならば司令塔として機能して欲しいMFパウロ・ジョズエがチーム最多の6ゴール、MFながらFW的に起用されているロメル・モラレスが5ゴールと、昨季も絶対的エース不足が解消できませんでした。
 そんなKLシティFCは、昨季のスーパーリーグでリーグ2位の14ゴールを挙げたカイオンをスランゴールFCから、同3位の13ゴールを挙げたチェチェ・キプレをトレンガヌFCから獲得しています。さらにかつてマラッカ・ユナイテッドFC在籍時の2019年に12ゴールを挙げているパトリック・ライヒェルトまで獲得するなど、スーパーリーグで実績のあるFWトリオが額面通りに働いてくれれば、得点力不足は一気に解消します。
 FW陣が固定されればキャプテンのジョズエ選手、攻撃的MFのモラレス選手も本来のポジションに戻ってプレーできるはず。守備の要のジャンカルロ・ガリフオッコ、そして守護神ケヴィン・メンドーザが控える守備陣が昨季同様の安定感を見せてくれれば、昨季以上の順位も十分ありえるKLシティFCです。

<注目選手>
FWハキミ・アジム、MFザフリ・ヤハヤ
昨季のスーパーリーグでは11試合出場でわずか1ゴールながら、昨年末のAFF選手権で初めて代表に選出されたハキミ・アジム。しかし代表デビューとなったラオス戦でゴールを決めるなど、キム・パンゴン監督の期待に応える活躍を見せました。その勢いのまま今季に臨みたかったところですが、上記のようにチームは次々と外国籍FWを獲得しており、ボヤン・ホダック監督が今年20歳になったばかりのハキミ選手をどのように起用するのかが注目したいところです。
 2021年のマレーシアカップ決勝でJDT相手に先制ゴールを決めたザフリ・ヤハヤは、前年の活躍に比べると昨季2022年シーズンはやや低調でした。今季は外国籍FWの大量加入もあり、中央ではなく右サイドでの起用が増えそうですが、売り物のスピードが活かせるポジションでもあり、個人的にはそこが一番しっくりくる印象を受ける選手です。その右サイドからFW陣にこのザフリ選手がボールを供給できれば、KLシティFCは再びアジアの舞台でプレーするチャンスも得られそうです。


2023マレーシアスーパーリーグチーム紹介(1)
ジョホール・ダルル・タジム
トレンガヌFC
サバFC

マレーシアスーパーリーグはいよいよ明日2月24日に開幕しますが、開幕戦で対戦するのは昨季は国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジム(JDT)とリーグ2位のトレンガヌFCです。明後日2月25日には他のチームの試合も始まりますが、今日から数回に渡り、今季のマレーシアスーパーリーグのチーム紹介をしていきます。1回目は明日の開幕戦で対戦するJDTとトレンガヌFC、そして昨季3位のサバFCです。

ジョホール・ダルル・タジム(JDT)

<ホームスタジアム>
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ-40000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-1位(22試合17勝5分0敗 得点61失点12勝点56)-ACL本戦出場権獲得
マレーシアカップ-優勝
FAカップ-優勝
ACL-ベスト16
<主な新規加入選手>
FWジオゴ(ブラジル、前BGパトゥム・ユナイテッドFC)
MFオスカル・アリバス(スペイン、スペイン2部FCカルタヘナから移籍)
MFフアン・ムニス(スペイン、ギリシャ1部アトロミトスFCから移籍)
MFエンドリック(ブラジル、ペナンFCから移籍)
GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビランFCから移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)


スーパーリーグは現在9連覇中、さらに昨季はマレーシアカップとFAカップにも優勝して国内三冠を達成するなど他を圧倒する強さを誇るジョホール・ダルル・タジム(JDT)は、新監督にエステバン・ソラリ前アルゼンチンU23代表コーチを迎え、昨季のクラブ史上初となったACLベスト16以上の成績を目指して、あくなき補強を行なっています。
 外国籍選手は、2019年から20年まで在籍し32試合で16ゴールを挙げたFWジオゴ(ブラジル、前タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)や今季中のマレーシア国籍取得取得を目指すMFエンドリック(ブラジル、ペナンFCから移籍)ら4名が新たに加わります。またマレーシア人選手の獲得については常々「国内トップクラスの選手しか興味がない」と話すオーナーのイスマイル殿下の言葉通り、代表GKで昨季のリーグ最優秀GK賞を受賞したシーハン・ハズミをヌグリスンビランFCから獲得し、同じく代表GKファリサル・マーリアスとの間で正GK争いが繰り広げられます。
 既存の選手も昨季はリーグ新記録となる29ゴール(19試合)を挙げたFWベルグソン・ダ・シルヴァ(ブラジル)や2年連続リーグMVPの若きエースFWアリフ・アイマン、昨季リーグ最優秀MF受賞のアフィク・ファザイル、同最優DF受賞のシャールル・サアドに加え、代表チームでも両サイドバックを務めるマシュー・デイヴィーズとラヴェル・コービン=オングらもおり盤石です。この他、代表選手ながらチームでは控えに回っているアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、モハマドゥ・スマレのFWトリオ、そして今季は代表入りが期待されるMFナタニエル・シオ・ホンワンなど豊富な資金力による選手層の厚さこそがJDTの強さの根源です。スーパーリーグトップクラスのチームを2チーム作れるほどの陣容は、ローテション起用も問題なく、死角が見当たらず、今季も優勝候補の最右翼です。

<注目選手>
MFアフィク・ファザイル、MFシャマー・クティ・アッバ
 昨季のリーグ最優秀MFに選ばれたものの、MFナズミ・ファイズとの併用も多く、絶対的な主力選手とは言いがたいアフィク選手。今季からの試合数増加に加え、守備的MFとしてポジションがかぶるベテランのナチョ・インサの衰えもあり、今季は出場試合数を増やして一気にブレークする可能性があります。
 一方、昨年7月に負った膝のケガからやっと復帰するシャマー選手は、JDTでは主力の座を掴み、代表でも自身初ゴールを挙げるなど実績を積み始めた矢先のケガでしたが、今では完治してドバイ合宿でも元気な姿を見せていました。試合の流れを読むことに長けたアフィック選手とピッチを所狭しと駆け回るシャマー選手の2人がチームで活躍すれば、それはそのまま代表チームの強化にもつながります。

トレンガヌFC

<ホームスタジアム>
スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ-50000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-2位(22試合14勝2分6敗 得点39失点20勝点44)-AFCカップ出場権獲得
マレーシアカップ-ベスト4
FAカップ-準優勝
<主な新規加入選手
FWソニー・ノルデ(ハイチ、マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
FWジョーダン・ミンター(ガーナ、KLシティへの期限付き移籍から復帰)
FWイヴァン・マムート(クロアチア、ルーマニア1部FCSBから加入)
MFアディサック・クライソーン(タイ、タイ1部ムアントン・ユナイテッドFCから移籍)
DFサルドル・クルマトフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部PFCソグディアナ・ジザフから移籍)
DFドマゴイ・プシッチ(クロアチア、クロアチア2部NK BSKビイェロ・ブルドから移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)


過去5季に渡り監督として安定した成績を収めたナフジ・ザイン氏が経営陣への不信からチームを去り、テクニカルディレクターのトミスラフ・スタインブリュックナー氏が新監督に就任したトレンガヌFCは、外国籍選手も昨季から残るのはハビーブ・ハルン(バーレーン)1人と、大幅な入れ替えを行なっています。
 マレーシア人選手でも、代表で主力のFWファイサル・ハリムがスランゴールFCへ移籍し、近年リーグ上位にあったチームとは全く違うチームとなっています。その一方でGKラーディアズリ・ラハリム(21)、DFアザム・アズミ(22)といった若き代表選手も擁しており、新外国籍選手が上手く機能すれば、今季もリーグ上位進出は狙えるチームです。
 また今季はAFCカップにも出場するトレンガヌFCの懸念材料を探すとすれば、選手層が薄く、主力と控えの差が大きいことでしょう。シーズンも佳境となる9月にはAFCカップ1回戦、そして勝ち残っていればマレーシアカップ準決勝もあり、過密日程での選手のやりくりを間違えれば、リーグ上位進出も危うくなります。

<注目選手>
FWイヴァン・マムート、FWジョーダン・ミンター
チェチェ・キプレ(13ゴール)、クパー・シャーマン、ファイサル・ハリム(いずれも6ゴール)、マヌエル・オット(5ゴール)と昨季のチーム総得点39点中30点を叩き出した4選手が退団したトレンガヌFC。その代わりとして期待されるのが新加入のイヴァン・マムートと、KLシティFCへの期限付き移籍から復帰するジョーダン・ミンターのFWコンビです。192cmと長身のマムート選手は今季が自身初となるアジアでのプレーになります。一方のミンター選手は2020年から2022年途中までセカンドチームのトレンガヌFC IIでプレーし、32試合で30ゴールを挙げ、昨季後半はKLシティFCへ期限付きしていました。KLシティFCでは10試合で3ゴールでしたが、この両選手の活躍が今季のトレンガヌFCの浮沈を担っています。

サバFC

<ホームスタジアム>
リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル-35000人収容)
<2022年シーズンの成績>
スーパーリーグ-3位(22試合13勝3分6敗 得点36失点36勝点42)-AFCカップ出場権獲得
マレーシアカップ-ベスト4
FAカップ-ベスト8
<主な新規加入選手
FWジェィコブ・ンジョク(ナイジェリア、クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
FWジャイルトン・パライバ(ブラジル、中国2部青島青年島FCから移籍)
MFテルモ・カスタニェイラ(ポルトガル、アイスランド1部ÍBヴェストマンナエイヤ から移籍)

MFコ・グァンミン(韓国、韓国1部FCソウルから移籍)
DFガブリエル・ペレス(ブラジル、ブラジル3部GEブラジウから移籍)
FWダレン・ロック(PJシティFCから移籍)
FW S・クマーラン(PJシティFCから移籍)
FWジャフリ・フィルダウス・チュウ(ペナンFCから移籍)
MFスチュアート・ウィルキン(JDTへ復帰、その後完全移籍)
DF R・ディネシュ(スランゴールFCから移籍)
DFイルファン・ザカリア(KLシティFCから移籍)
DFダニエル・ティン(JDTから期限付き移籍)

今季ユニフォーム(左がホーム、右がアウェイ)

昨季はシーズンの大半で2位をキープしながら、最終節に敗れて3位となったサバFCは、終盤の失速の原因となった得点力不足を解消するための補強を中心に行いました。スーパーリーグ撤退を決めたPJシティFCから代表FWダレン・ロックとチームメートのFW M・クマーランを、また昨季の2部プレミアリーグでリーグ2位の6ゴールを挙げたFWジェィコブ・ンジョクをクランタン・ユナイテッドFCからそれぞれ獲得、さらに2019年と2021年にJリーグ東京ヴェルディでもプレー経験があるFWジャイルトン・パライバも獲得しています。
 また中盤にはJDTから期限付き移籍していたスチュアート・ウィルキンを完全移籍で獲得、センターバックにはいずれもの新加入のイルファン・ザカリアとガブリエル・ペレス、サイドバックには代表候補のダニエル・ティンなどを次々と獲得し、このオフでは最もバランスの良い補強ができた印象です。
 既存組では昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権での活躍が記憶に新しいMFスチュアート・ウィルキンやDFドミニク・タン、DFながらチーム最多の8ゴールを挙げたパク・タエスー、中盤の司令塔MFバドロル・バクティアル、元代表GKカイルル・ファーミらもおり、サバFCは潜在能力的には今季もリーグ上位を狙えるチームです。

<注目選手>
MFコ・グァンミン、MFスチュアート・ウィルキン
FCソウルではKリーグ出場159試合を誇るクラブの「レジェンド」プレーヤーですが、同時に「アジアの舞台」知る選手でもあります。ACL33試合出場、しかも準決勝2度、ベスト16も2度という経験を持つコ選手の加入は、今季初めてAFCカップに出場するサバFCにとって貴重な補強となりそうです。
 JDTからの期限付き移籍を経て、完全移籍となったウィルキン選手は、そのJDT勢が大量に代表招集を辞退したことから昨年末のAFF選手権では主力として活躍し、シンガポール戦での2ゴールを含む4ゴールは、自身がリーグ戦で記録した2ゴールを上回るものでした。この大会で一皮剥けた感のあるスチュアート選手ですが、その実力をリーグ戦でも見せてくれるのかに注目です。