4月13日のニュース
タイ1部リーグ第26節-ディオン・コールズはフル出場もジュニオール・エルドストールは出番なし、断食月中のサファウィ・ラシドは途中出場
クランタンオーナー「新監督も5連敗すれば交代させる」
FIFAが今季3部降格のサラワクUに昨季在籍選手への未払い給料支払いを命じる

タイ1部リーグ第26節-ディオン・コールズはフル出場もジュニオール・エルドストールは出番なし、断食月中のサファウィ・ラシドは途中出場

4月8日と9日にタイ1部リーグ第26節が行われています。ディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)は、今節も先発してフル出場していますが、イスラム教の断食月中のサファウィ・ラシド(ラーチャブリーFC)は後半からの途中出場、そして前節には今季初出場を果たしたジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)はベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第26節
2023年4月8日@サームアーオスタジアム
PTプラチュワップFC 5-1 ノーンブワ・ピッチャヤFC
 前節に6試合ぶりの勝利を挙げたPTプラチュワップFCが連勝で、13位から11位へ躍進しています。
 PTプラチュワップFCのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は、2試合連続でベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。

2023年4月9日@PATスタジアム
ポートFC 1-0 ラーチャブリーFC
 この試合に勝てば3位のポートFCと勝点で並ぶ可能性もあったラーチャブリーFCですが、4試合ぶりに敗れて、4位のムアントン・ユナイテッドとの勝点差も5と開いています。
 ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは65分から出場し、試合終了までプレーしています。

2023年4月9日@チャンアリーナ
ブリーラム・ユナイテッド 2-0 ラムパーンFC
 前節は2位のバンコク・ユナイテッドに敗れたブリーラム・ユナイテッドですが、今節は2-0で解消しています。また今節はバンコク・ユナイテッドがシーズンも残りあと6試合というところでの首位攻防戦は、2位のバンコク・ユナイテッドが14位のラムプーン・ウォリアーFCに敗れる波乱があり、首位のブリーラム・ユナイテッドとバンコク・ユナイテッドの勝点差は再び12に広がっています。この結果、ブリーラム・ユナイテッドは次節第27節に勝利はもちろん、引き分けても昨季に続く2連覇が決まります。
 ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは先発して、フル出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第26節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU26214166224467
2バンコクU26174547182955
3ポート26129544311345
5ラーチャブリー2610972819939
11プラチュワップ2677123645-928
クランタンオーナー「新監督も5連敗すれば交代させる」

開幕からの6試合で1勝1分4敗の成績でリーグ13位に低迷するクランタンは、今季から就任した元韓国代表でJリーグ大分でもプレー経験があるチェ・ムンシク監督を「休養」させ、今月テクニカルディレクターに就任したばかりの元マレーシアU23代表監督でドイツ出身のフランク・バーンハートを正式に監督とすることを発表しました。

この監督交代について、チームオーナーのノリザム・トゥキマン氏がマレーシア語紙ブリタハリアンとのインタビューに応じ、背景などを説明しています。現在の成績を黙認したり、あるいは愚かな行動をするつもりはないと話したノリザム氏は、自身がチームの状況に満足していないことが監督交代の理由であると述べています。さらにノリザム氏は、バーンハート新監督にはU23代表やUITMの監督時代にスーパーリーグで指揮を取った経験に期待している一方で、チームが設ける達成目標を果たすことができなければ躊躇なく監督を交代させることも伝えてあることを明らかにしています。具体的には今後5連敗すれば契約を解除することになっているということで、バーンハート新監督もそれを了承しているとしています。

また実質上は解任となったチェ監督については、オーナーとして求めていた試合後のレポートの提出について、「どんな業界であれ、現場の人間が後の評価や分析に必要となる報告を経営者に行うのは、一般常識である。」と述べて、チェ監督がその必要性を否定していたことに驚いたと話しています。さらにこのインタビューでノリザム氏は、クランタンのサッカーの発展とチームに投資しようという人物がいれば、チームを売却するつもりもあると話しています。

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別の記事では、今年1月に就任したチェ前監督よりも、オーナーとなって3年近く経つ自分の方がチームをより良く理解していると主張したり、さらに「ファンの声に押される形で」チェ監督に特定の選手の起用を「提言」したと述べたりするなど、側から見ればオーナーによる現場介入では、という発言もありました。またチェ監督と選手とのコミュニケーション不足や戦術の難解さに選手がついていけなかったなど、チェ監督を全面的に否定する発言を繰り返しています。その真偽はともかく、リーグ再編により2部プレミアリーグから1部スーパーリーグに昇格した5チームのうち、クランタンを含む4チームが現在11位から最下位14位までを占めているのはむしろ順当な結果であり、昇格初年度でたいした補強もせずトップリーグで勝てると思っていたのであれば、ノリザム氏自身がプレミアリーグとスーパーリーグの違いを理解できていないのでは、とも思えます。

FIFAが今季3部降格のサラワクUに昨季在籍選手への未払い給料支払いを命じる

昨季は1部スーパーリーグで11位となったものの、選手への未払い給料問題が未解決だったことからクラブライセンスが不交付となったサラワク・ユナイテッドは、このクラブライセンスが必要なスーパーリーグでのブレーができなくなり、今季は3部のセミプロリーグM3リーグに所属しています。そのサラワク・ユナイテッドに対して、FIFAは昨季在籍した外国籍選手のウチェ・アグバ(現PDRM)に対して未払い給料の支払いを命じたと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

3月31日にFIFAの本部で訴訟が審理された結果、サラワク・ユナイテッドはアグバ選手に対して45日以内に未払い給料20万リンギ(およそ600万円、1リンギはおよそ30円)を支払うようにという命令書がサラワク・ユナイテッドとアグバ選手の弁護士に送られているということです。

アグバ選手の弁護士を務めるザフリ・アミヌルラシド氏によると、45日以内に未払い給料が完済されない場合には、サラワク・ユナイテッドは今後3回のトランスファーウィンドウ期間での新たな選手の獲得が禁止されるということです。

サラワク・ユナイテッドが給料未払いによりFIFAから処分を受けるのはこれが初めてではなく、昨季も外国籍選手のサンドロ・ダ・シルヴァに未払い給料15万リンギを支払う命令が出されていますが、これまでサンドロ選手に支払われたのは4万リンギのみで、残りは現在も未払いとなっているということです。さらにマレーシア人選手への昨季の給料未払いもあり、マレーシアプロサッカー選手会PFAMによると、その総額は40万リンギに及ぶということです。マレーシア人選手の未払い給料問題については、マレーシアサッカー協会FAMの紛争解決委員会に持ち込まれており、サラワク・ユナイテッドが支払いに応じない場合には、PFAMは民事訴訟を起こす用意があるとしています。

なお今年2月には2017年シーズンの給料が未払いだったクアンタンFAとマルセラ・ユナイテッド(現在はいずれも解散)の選手たちが民事訴訟を起こした結果、禁固刑も含めた判決が下ることを恐れたかつてのオーナーが支払いに応じた事例もあり、サラワク・ユナイテッドも対応を間違えると、かつての選手たちに民事訴訟を起こされる可能性があります。

2023マレーシアスーパーリーグ
第8節結果とハイライト映像-首位攻防戦はジョホールがクダを粉砕、監督交代のクランタンは連敗が止まらず

4月9日と10日にマレーシアスーパーリーグ第8節の7試合が開催されています。今節は日曜日と月曜日という通常とは異なる開催日ですが、これは4月8日がヌズール・コーランというイスラム教の祝日だったことによります。マレーシアではラマダン(断食月、イスラム暦では9番目の月)の17日がこのヌズール・コーランに当たりますが、この日は神が預言者ムハンマドに啓示を始めた日ということになっており、国民の祝日になっています。

(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年4月9日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:3,584人
トレンガヌ 2-0 クチンシティ
⚽️トレンガヌ:ジョーダン・ミンター2(22分、53分)
🟨トレンガヌ:シャールル・ニザム
🟨クチンシティ:シロジディン・クズイエフ、ヒディール・イドリス
MOM:ジョーダン・ミンター(トレンガヌ)

 トレンガヌがジョーダン・ミンターの2ゴールで3連勝しています。
 新外国籍選手が活躍しないことからやっと出番が回ってきたジョーダン・ミンターが、3試合連続先発となったこの試合でも前後半にそれぞれゴールを決め、出場5試合で4ゴールと調子を上げてきています。
 また、開幕戦の勝利以降、引き分けを挟んで6連敗となったクチンシティのイルファン・バクティ監督は、この日のトレンガヌは決して良いプレーをしたわけではないと話す一方で、クチンシティーの選手たちが試合を通して集中力が続かなかったことと、つまらないミスを繰り返したことが敗因と分析するコメントを出しています。とは言え、ここまでの8試合でわずか4ゴールではなかなか勝機はなさそうです。クチンシティには昨季の2部プレミアリーグでは11ゴール(17試合出場)で得点王となったアブ・カマラがいますが、ここまで2ゴール(8試合出場)とスーパーリーグの壁に突き当たっています。
 クチンシティーの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2023年4月9日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:1,224人
ペナン 4-2 PDRM
⚽️ペナン:ジェームズ・オクゥオサ(11分OG)、スーニー・サアド2(17分、69分)、ラフマット・マカスフ(90分+3分)
⚽️PDRM:マーカス・マコーレー(3分)、アズミ・ムスリム(28分)
🟨ペナン:ハディン・アズマン、ニック・アキフ・シャヒラン
🟨PDRM:ファディ・アワド、マーカス・マコーレー、ノルフィクリ・タリブ
🟥PDRM:ファディ・アワド(🟨x2)
MOM:スーニー・サアド(ペナン)

 合わせて6ゴールの派手な撃ち合いを制したペナンが2連勝。
 お互い点の取り合いとなった前半は、リードしたペナンにPDRMが追いつく展開となり2-2で折り返しました。後半に入ると53分にはスーニー・サアドがフリーキックからこの試合2ゴール目となる30メートルのミドルシュートを決めて、ペナンが再びリードを奪い、さらに69分にはラフマット・マカスフのゴールで追加点を挙げて、そのまま逃げ切っています。ペナンはこの勝利で順位を2つ上げて8位に浮上しています、
 PDRMは自殺点でペナンに先制点を献上したものの、そこから2-2まで追いついた前半40分に、司令塔のファディ・アワドが2枚目のイエローで退場となったことが響き、逆転には至りませんでした。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は76分から途中出場して、試合終了までプレーしています。

2023年4月9日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:13,722人
ジョホール・ダルル・タジム 6-0 クダ・ダルル・アマン
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ(23分)、フェロズ・バハルディン(48分)、オスカル・アリバス(50分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(53分PK)、アリフ・アイマン(77分)、レアンドロ・ヴェラスケス(86分)
🟨ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ
🟨クダ:マヌエル・オット
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)

 1位ジョホールと2位クダの対戦は、首位攻防戦と呼ぶにはあまりにも一方的な試合でした。
 追随するスランゴールとサバをいずれも4-0で撃破したジョホールが、2位のクダを6-0と粉砕しています。しかも6ゴールをいずれも異なる選手が決める選手層の厚さは、もうマレーシアでは誰にも止めることはできなそうです。
 この日のゴールで7得点目(8試合)を決め、得点王争いの首位を守ったフェルナンド・フォレスティエリ、それ2点差でを追う若きエース、アリフ・アイマン、その後にいずれも4ゴールで続くジオゴとフアン・ムニスと、昨季のリーグ得点王ベルグソン・ダ・シルヴァが出遅れても、開幕からの8試合で挙げた得点が36点、しかも失点はわずか1点と無双状態です。今季はまだ3分の1しか終わっていませんが、既にジョホールの10連覇が見えてきました。
 クダはジョホールの早いペースに圧倒されながらも前半を0-1で折り返して、後半に期待を抱かせましたが、48分にアリフ・アイマンのゴールで0-2とされると、そこからの5分間でさらに2点を失うなど、堰を切ったように崩れてしまいました。

2023年4月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:5,761人
スランゴール 3-0 クランタン
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ(28分)、ラウフ・サリフ2(80分、90分)
🟨スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ、ヤザン・アル=アラブ、V・ルヴェンティラン
🟨クランタン:ジェラルド・ガディット
MOM:ラウフ・サリフ(スランゴール)

 第5節でジョホールに0-4と一蹴された後の2試合では5得点2失点で2連勝中のスランゴールが、新監督が就任したばかりのクランタンを一蹴して連勝を3に伸ばすとともに、2位に浮上しています。
 この試合のヒーローはガーナ出身の20歳FWラウフ・サリフでした。第2節のクチンシティ戦以来となった今季2試合目の出場は73分からだったものの、そこから今季初ゴールを含む2ゴールを決め、終始、試合を優勢に進めながら、28分のエイロン・デル・ヴァイエのゴール以降は得点がなかったスランゴールの勝利を確実なものにしています。
 この試合前日にテクニカルディレクターのフランク・ベルンハルトが、「休養」中のチェ・ムンシク監督に代わり正式に新監督に就任することが発表されましたが、流石に監督が代わって改善するほどチーム状況は良いわけではありませんでした。試合後の会見では選手のフィットネスレベルの低さを指摘したベルンハルト新監督ですが、8試合で1勝の原因は果たしてそこなのでしょうか。

2023年4月10日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:2,811人
スリ・パハン 1-0 クランタン・ユナイテッド
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(90+3分)
🟨パハン:なし
🟨クランタン:なし
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハン)

今季のパハンは、新加入のステファノ・ブルーノを加えてトップチームに7人のセンターバックがいますが、ファンディ・アフマド監督はDF陣と起用する以外に、そのステファノ・ブルンドや今季2年目のシェルゾド・ファイジエフらをMFとして起用したり、その他のセンターバックをローテーションさせるなどの采配を見せていますが、それが功を奏し、失点はリーグ最小のジョホールに次ぐ2位で6点、しかもパハンはジョホールと並んで今季まだ無敗と、ファンディ監督の構想がチームの好成績を生み出しています。守備が安定すれば、あとはゴールを決めるだけですが、この試合でもロスタイムの90+3分にステファン・ブルーノが191cmの高さを生かしたヘディングで、セットプレーからゴールを決め、パハンが1−0でクランタン・ユナイテッドを破っています。
 土壇場で失点したクランタン・ユナイテッドは今季未だ勝利がなく、0勝2分6敗で最下位のままです。

2023年4月10日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:1,260人
KLシティ 1-0 ペラ
⚽️KLシティ:セバスチャン・アヴァンジーニ(45+3分)
🟨KLシティ:T・サラヴァナン
🟨ペラ:シャフィジ・イクマル、ルチアーノ・ガイコチェア、イクワン・ハフィゾ
🟥KLシティ:T・サラヴァナン(🟨x2)
MOM:ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)

KLシティが辛勝で今季2勝目
前節に今季初勝利を挙げたKLシティが2連勝しています。前半終了間際に相手ペナルティエリアの外でKLシティが得たフリーキックは、ペラGKのT・シャヒースワランに防がれたものの、そのこぼれ球をセバスチャン・アヴァンジーニが押し込んでKLシティが先制して前半を折り返しました。しかし64分には、T・サラヴァナンがこの試合2枚目のイエローで退場となり、KLシティは10人になってしまいました。数的有利から若手主体のペラは好機を作るものの、シュートの精度を欠き得点できず、KLシティが逃げ切って2連勝しています。

2023年4月10日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:1,738人
ヌグリスンビラン 1-1 サバ
⚽️ヌグリスンビラン:トミー・マワト(21分)
⚽️サバ:パク・テス(76分)
🟨ヌグリスンビラン:ザイナル・アビディン、サフワン・バハルディン、カサグランデ、ハフィズ・ラムダン
🟨サバ:パク・テス、サディル・ラムダニ
MOM:シーク・イズハン・ナズレル(ヌグリスンビラン)

 開幕から4勝1分と好調だったサバは、第6節でジョホールに0-4と大敗すると、次節第7節ではKLシティに今季初勝利を許し2連敗。開幕からの5試合では2部プレミアリーグからの昇格組との対戦も多かったことから15得点5失点だったチームは、ジョホール戦とKLシティ戦の2試合では0得点6失点と、開幕当初の勢いを急速に失いつつあります。
 昨季からスーパーリーグでプレーするヌグリスンビランとの試合でも、昨季まで鯖に在籍しながらシーズン途中で退団したトミー・マワトに21分に先制ゴールを決められて、後手に回ってしまいます。
 後半の76分には、FWダレン・ロックに代わってチームのエースとなったMFパク・テスのゴールで追いつきますが、反撃もここまで。連敗は止まったものの、昨季スーパーリー在籍のチームとの対戦成績はこれで1勝2分2敗となり、昨季の3位からさらに上位を目指すサバにとっては苦しい試合が続いています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第8節終了時)

順位チーム勝点
1JDT88003613524
2SEL8611178919
3SRP8440146819
4KDA85121311216
5SAB84221612414
6TRE8413116513
7PDRM8314711-410
8KLC7323810-29
9NSE7232914-59
10PEN82241215-35
11PRK8125416-125
12KCH8116417-134
13KEL8116925-164
14KLU8026513-82
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第8節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)7291658
2アリフ・アイマン(JDT)513758
エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)5151108
ステファノ・ブルンド(SRP)517708
パク・テス(SAB)514707
6スーニー・サアド(PEN)418907
ジョーダン・ミンター(TRE)410615
ジオゴ(JDT)411625
フアン・ムニス(JDT)4181007
クパー・シャーマン(SRP)413528
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

4月10日のニュース
今年9月の日本代表戦は実現せず
サッカー協会がMFLにケランタンのチェ監督の「休養」問題について事情聴取を求める
断食中に平常通りプレーすることに問題はない-サファウィ・ラシド
ルクマン・ハキムがついにアイスランドで公式戦デビュー

今年9月の日本代表戦は実現せず

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、今年9月のFIFA国際マッチデーカレンダー(FIFAカレンダー)で日本代表との対戦が実現しなかったことを明らかにしています。マレーシアの通信社ブルナマによると、FAMは日本サッカー協会JFAからは他の試合があり、対戦が困難であるという返事を最近、受け取ったということです。

その一方でハミディン会長は、9月のFIFAカレンダーではクウェート、中国、台湾の3カ国がマレーシア代表との対戦に関心を示しているとも話し、マレーシア代表は国外での試合を希望していることから、対戦相手が中国と台湾となる可能性が高いと述べていますが、最終決定はキム・パンゴン監督次第となるとしています。

さらにハミディン会長は、来年1月に開幕するAFC選手権アジアカップ直前に代表チームが大会開催地のドーハで10日間の合宿を行ってから、そのまま大会に臨む予定であることも明らかにしています。 なおマレーシアは、東南アジア4ヵ国が共同開催した2007年大会での出場を除くと、クウェートで開催された1980年大会以来、43年ぶりのアジアカップ出場を決めています。

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日本代表の対戦が実現しなかったのは残念ですが、今年はW杯2026年大会の予選も始まるので、またそこで対戦があるかもしれません。ちなみにマレーシアが日本代表と最後に対戦したのは2004年2月7日のキリンチャレンジカップ2004で、このときはカシマサッカースタジアムでジーコ監督率いる日本代表を相手に小笠原満男、宮本恒靖、山田暢久そして遠藤保仁選手のゴールで4-0で敗れています。

サッカー協会がMFLにケランタンのチェ監督の「休養」問題について事情聴取を求める

今季開幕から不振のクランタンは、今年1月に就任したばかりの元韓国代表のチェ・モンシク監督を「休養」させましたが、この直後からチェ監督の代理人が過去2ヶ月分の給料が未払いとなっていることや、選手たちが満足な食事を与えられていないといった告発をSNSに投稿し、チームはこれを全面否定し、逆にチームを貶めようとする悪意のある投稿だと非難する泥試合になっています。またチェ監督の代理人は、給料未払いなどの状況を国際サッカー連盟(FIFA)にも訴える用意があるとしています。

この状況についてマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、マレーシアのイメージを損なう可能性があるとして、マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に対して、ケランタンに事情聴取を行うように依頼したことを明らかにしています。「FAMとして、現時点では問題解決のために介入する予定はないが、事実の誤認を避けるためにもMFLにはクランタンからの状況説明を受けるように要求した。MFLからは正式な発表があるはずで、そ子で何らかの違反行為があれば、MFLの規定に基づいた処分も追って発表になるだろう。」とSNSで誤解が広がらないようにするための指示を行なったと述べています。

今季1部のスーパーリーグに昇格したクランタンは、第7節までで1勝1分5敗と14チーム中13位と不振を極め、現役時代にはJリーグの大分でもプレーしたチェ監督は、今季スーパーリーグで「休養」となった最初の監督となりました。なお、ケランタンのオーナーであるノリザム・トゥキマン氏は、チェ監督「休養」の理由として、開幕からのチームの不振に加えて、チェ監督と選手やコーチとの間のコミュニケーションの難しさを挙げ、チームの決定の正当性を主張しています。

断食中に平常通りプレーすることに問題はない-サファウィ・ラシド

3月23日から始まったラマダン(イスラム教の断食月)は1ヶ月間続きますが、このラマダン中はマレーシアスーパーリーグのキックオフはムスリム(イスラム教徒)が住民の大半を占めるマレー半島部では22時となります。これは1日5回の礼拝の義務があるムスリムに、夜の礼拝(イシャー)と夜明けの礼拝(ファジュル)の間に行うラマダン限定の「タラウィー」と呼ばれる礼拝が加わることから、キックオフの時間をこの礼拝後にするための措置です。この時期のマレー半島部だと19時20分前後となる日没で1日の断食が開けますが、キックオフが22時であれば、断食明けの食事を取り、タラウィーの礼拝を行なってからの試合となります。

しかしイスラム教徒が少数派の隣国タイでは、ラマダン中もキックオフの時間が変更になることはないようです。今季からタイ1部のラーチャブリーFCでプレーするサファウィ・ラシドがイスラム教国でないタイでのラマダンについて、ブリタハリアンのインタビューに答えています。「タイでも断食自体は問題はないが、チーム練習は断食中の夕方に、また試合も夜に行われるのかなり疲れる。しかし、プロ選手としてこの状況を受け入れなければならず、特に試合当日は十分で適切な栄養を摂取する必要がある。」と話したサファウィ選手は、日の出とともに始まる断食の前の食事スフールと断食明けの食事イフタール、そして軽めのワークアウトで試合に向けた準備をしていると説明しています。

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ムスリムのアスリートにとってラマダンは避けて通れない問題ですが、前述のようにマレーシア国内リーグでは、選手のパフォーマンスに支障を起こさないようにとの配慮がありますが、22時キックオフの試合は、スタジアムで観戦するサポーターにとっては、次の日に仕事がある平日開催だと試合後に帰宅すると日付が変わっており、なかなか厳しいものがあります。

ルクマン・ハキムがついにアイスランドで公式戦デビュー

ルクマン・ハキムがベルギー1部KVコルトレイクと契約を結んだのは2019年、彼が17歳の時でした。チームのオーナーが英国2部カーディフシティなども所有するマレーシア人の実業家ヴィンセント・タン氏だったこともあり、5年契約という大型契約でしたが、チームでは機会に恵まれず、今季はアイスランド1部のUMFニャルズヴィークへ期限付き移籍しています。そのルクマン選手が4月8日に行われたアイスランドカップの2回戦、オーグナブリック・コーパヴォグルで先発し、60分間プレーしたとマレー語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

移籍後初出場が初先発となったルクマン選手ですが、ゴールは挙げられなかったもの、アシスト1を記録しているということです。ブリタ・ハリアンの記事では労働許可証の取得が遅れたことがこれまで公式戦に出場がなかった理由だと説明されています。先月行われたプレシーズンの試合では、ルクマン選手は先発して 2 ゴールを決めており、マレーシア人サポーターの間では公式戦出場の期待が高まっていました。

4月8日のニュース
最新のFIFAランキングでマレーシアは2011年以来となる138位に上昇
東南アジア競技大会の男子サッカー組み合わせ決定-マレーシアは「死の組」入り
未だ勝利なしのクランタンUのトーマス・トルチャ監督が今季2人目の「休養」

最新のFIFAランキングでマレーシアは2011年以来となる138位に上昇

4月6日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアはそれまでの145位から7つ順位を上げて138位となっています。なおマレーシアの通信社ブルナマの報道によると、この138位という順位となるのは2011年以来だということです。、世界のサッカー統括団体であるFIFAが発表した最新ランキングによると、ハリマウ・マレーシアは7つの順位を上げ、世界ランキングで138位に位置しています。

FIFAの公式サイトによると、マレーシアは前回のランキング発表から15.53ポイントを加えて1,082.13ポイントを獲得していますが、これは先月のFIFA国際マッチデーカレンダー期間に行われた、格上のトルクメニスタン戦、そして対戦時はほぼ同じランキングだった香港戦に連勝したことによるものです。

またこの138位という順位ですが、すぐ上の137位にはトルクメニスタン、すぐ下の139位にはセントクリストファー・ネイヴィスがいます。(ちなみにこのセントクリストファー・ネイヴィスは馴染みがない国でしたので調べてみたところ、カリブ海に浮かぶ人口5万人強の島国で、マレーシアと同じ英帝国の旧領土である56の加盟国から構成される国家連合のコモンウェルス(旧称英連邦)のメンバーでした。)

今回発表になたFIFAランキングを東南アジア内で比べると、1位はベトナム(1229.69ポイントでFIFAランキング95位)、2位タイ(1,171.88ポイントで同114位)、3位フィリピン(1,097.67ポイントで同136位)がマレーシアより上位にランクされており、以下、5位インドネシア(同149位)、6位シンガポール(同158位)、7位ミャンマー(同160位)、8位カンボジア(同176位)、9位ラオス(同188位)、10位ブルネイ(同191位)、11位東ティモール(同196位)と続いています。

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今回の最新FIFAランキング発表に合わせて、当地のサッカー専門サイト「スムアニャボラ」は「なぜマレーシアは75位から転落したのか」という記事を掲載しています。この記事では1992年12月に初めて発表されたFIFAランキングでは91位だったマレーシアが、1993年8月の発表では75位までランキングを上げながら、その後は徐々に順位を下げ、2018年3月には史上最低の178位となった理由が詳しく説明されています。以下はこの記事の抜粋です。

FIFAランキング導入当初はポイントの計算式が単純だったことや、それによる東南アジアでも比較的高いランキングのおかげで韓国や中国、オーストラリアさらには中東のイラクやサウジアラビアなどとも国際親善試合が行われていたとし、そんなマレーシアの評価が下落した理由として幾つか挙げていますが、その一つが1994年から1995年にかけて起こった国内リーグの八百長事件でした。この事件では100名以上が警察の取り調べを受け、80名を超える選手やコーチが永久追放処分を受けた大スキャンダルでした。(なお2016年には78名が恩赦を受け、永久追放処分が解除されました。)永久追放処分を受けた選手の中には、1993年のムルデカ大会で韓国を破ったマレーシア代表の選手なども複数名おり、この八百長事件が代表の弱体化へ繋がったと分析しています。

また2006年にFIFAランキング集計システムが変更されましたが、それにマレーシアサッカー協会FAMが適切に対応しなかったことも、ランキング下落の原因と指摘されています。当時のFAMが重視していた試合は東南アジアサッカー連盟AFF選手権でした。このためランキングが高いチームとの対戦はなく、それまでは多くの強豪を招いて開催されていたムルデカ大会でも、そういった代表戦は開催されることがなかったということです。

その代わりにFAMが注力したのは海外のクラブチーム、特に英国プレミアリーグ(EPL)クラブとの対戦でした。マレーシアだけでなく東南アジアでは絶大な人気を誇るEPLとの対戦は人気を集めましたが、当然のことながら国際Aマッチではないため、FIFAランキングのポイントには何ら関係がありませんでした。またAFF選手権以外では、モルジブ、ネパール、スリランカといった国との代表戦をFAMは開催しましたが、こういったランキング下位国との対戦では、マレーシアのランキングは改善するどころか、逆に低下し続けていったということです。

東南アジア競技大会の男子サッカー組み合わせ決定-マレーシアは「死の組」入り

今年5月5日から17日までカンボジアのプノンペンで開催される第32回東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーの組み合わせ抽選が行われ、U22代表が対戦する今大会でマレーシアは、過去16回の優勝を誇るタイ、前回、前々回と2大会連覇中のベトナム、シンガポール、ラオスと同じB組となりました。これまでマレーシアが何度も苦杯を舐めさせられている東南アジアの上位2チーム、ベトナムとタイと同組になったことから、マレーシアのメディアはB組を「死の組」と評しています。なおA組には開催国カンボジア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、東ティモールが入っています。

近年、マレーシアはシーゲームズでは良い成績を残せておらず、新型コロナの影響で1年遅れで開催された前回大会では、マレーシアはグループステージ2位で準決勝に進出したものの、開催国のベトナムに0-1で敗れ、さらに銅メダルの懸かった3位決定戦ではインドネシアと対戦し、延長戦を終えても1-1と両者譲らず、結局PK戦で敗れています。

またその前の2019年大会では、現在はサバの監督を務めるオン・キムスイ監督が率いたU23代表がグループステージで4位となりメダルどころか、準決勝進出を逃しています。ちなみにマレーシアがメダルを獲得したのは、自国開催となった2017年に決勝でタイに敗れ銀メダルを獲得したのが最後で、、金メダルに至っては2011年大会で開催国のインドネシアをPK戦で破って獲得したのが最後です。

なお今回のシーゲームズの女子サッカーでは、マレーシアはフィリピン、ミャンマー、インドネシアと同組のA組となり、開催国カンボジア、前回大会覇者ベトナム、タイ、シンガポール、ラオスとがB組となっています。マレーシア女子代表の最高成績は、1995年にタイのチェンマイで開催された際の銀メダルですが、前回大会には参加していませんでした。

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この組み合わせ抽選終了後、マレーシアU22代表のE.エラヴァラサン監督がメディアの取材に応え、今回の組み合わせを「興味深くて挑戦的」と表現した一方で、A代表のハリマウ・マラヤ(マレーの虎)に対してハリマウ・ムダ(若虎)の愛称で知られるU22代表が他のチームと同じくらいに準決勝に進むチャンスがあると楽観的であり、2年に1度の競技会で彼のチームが他のチームに負けないようにできる自信があると述べています。

「我々の目的ととビジョンは(組み合わせが決定しても)変わらない。この組で待ち受ける困難な任務に対応する準備が整っており、今の私の仕事は、チームが最高の状態にあることを確認することだ。」とエラヴァラサン監督は述べています。

エラヴァラサン監督は今年2月に初めてU22代表の合宿を行った際には、各クラブの協力が得られれば「最低でも決勝進出」を目標にすると豪語していましたが、シーゲームズはFIFA国際マッチカレンダー外ということもあり、スーパーリーグの中には選手の招集に非協力的なチームが出る可能性があります。

未だ勝利なしのクランタンUのトーマス・トルチャ監督が今季2人目の「休養」

スーパーリーグ第7節を終えて2分5敗と、未だ勝利を挙げていない唯一のチームがクランタン・ユナイテッドですが、今季からこのクランタン・ユナイテッドの指揮を取るトーマス・トルチャが正式に「休養」となったことを、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。

クランタン・ユナイテッドのワン・モハマド・ズル・イクマン取締役は、トーマス・トルチャ監督に対してラマダン(イスラム教の断食月、今年は3月22日から4月21日まで)の終わりまで一時的に「休養」し、ラマダン後にはチームに復帰することを伝えたと話しています。そして今週末の第8節からは、ナズルーラーワン・マクモル コーチが監督代行を務めることも発表しています。

ワン・モハマド・ズル・イクマン取締役は、チームが過去7試合で状況の改善が見られなかったことから、トルチャ監督の休養を決定したと説明しています。また経営陣が現在チーム内の再編を検討しており、その後、トルチャ監督がチームのテクニカルディレクターの役割を与えられる可能性を排除していないと付け加えています。

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4月5日の第7節、クチンシティ戦を封じるクランタン・ユナイテッドの公式Facebookの投稿にもナズルーラーワン コーチの写真しか挙がっておらず、この段階でトルチャ監督「休養」の噂が出ていました。今季は既に同じクランタン州のコタ・バルに本拠地を持つクランタンがJリーグ大分でもプレー経験がある元韓国代表のチェ・ムンシク監督を休養させており、奇しくも同じスルタン・モハマド4世スタジアムを共有する2チームが揃って監督を休養させることになりました。

2023マレーシアスーパーリーグ
第7節結果とハイライト映像-クランタンの元Jリーガー・チェ監督が今季休養第1号、KLが今季初勝利

FIFAの最新ランクが発表され、マレーシアは7つ順位を上げて138位となりました。この順位は2011年以来12年ぶりで、昨年2月のキム・パンゴン監督就任時には154位だったことを考えると、確実に順位を上げてきています。
 閑話休題。4月4日と5日にマレーシアスーパーリーグ7節の7試合が開催されています。前節はペナンが今季初勝利を挙げましたが、今節はKLシティが待望の初勝利を挙げ、今季未勝利はいずれもマレー半島東海岸のクランタン州を本拠地とする、クランタンFCとクランタン・ユナイテッドFCの2チームとなり、クランタンは開幕から7試合未勝利ということで、早くもチームのテコ入れが行われています。(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年4月4日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:5,025人
トレンガヌ 5-0 クランタン
⚽️トレンガヌ:ジョーダン・ミンター(16分)、アディサク・クライソーン(21分)、イヴァン・マムート2(67分、90+3分)、ハキミ・アブドラ(90+1分)
🟨トレンガヌ:なし
🟨クランタン:アリプ・アミルディン
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌ)

 トレンガヌが2連勝で6位に浮上
 トレンガヌは連敗ストップとなった前節には、開幕から不振のFWイヴァン・マムートに代わって先発したジョーダン・ミンターとアディサク・クライソーンのFWコンビが起用され、これが機能しました。この試合では、このコンビにさらにマムート選手が加わりFW3人という超攻撃的な布陣で臨みましたが、そのマムートが移籍後初ゴールを67分に決めると、さらにロスタイムにもゴールを挙げる活躍で、トレンガヌが圧勝し、順位を8位から6位に上げています。
 一方のクランタンは、この試合開始30分前にチェ・ムンシク監督の「休養」と、昨季まで監督を務めたリザル・ザムベリ コーチが代行監督となることを発表するドタバタぶりでした。Jリーグ大分でのプレー経験もあるチェ監督の元、クランタンはこの試合の前まで1勝1分4敗の11位となっていました。なおチェ監督の代理人はチームが過去2ヶ月分の給料が未払いとなっているとSNSで明らかにしており、この問題をFIFAに持ち込むことも辞さないとしています。また、このブログでも取り上げましたが、クランタンは先日、元マレーシアU23代表監督のフランク・ベルンハルト氏をテクニカルディレクターに採用しており、チェ監督の後任の最有力候補と目されています。

2023年4月4日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:5,754人
スランゴール 2-1 ヌグリスンビラン
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(56分)、シャルル・ナジーム(90+2分)
⚽️ヌグリスンビラン:エラルド・グロン(45+8分)
🟨スランゴール:なし
🟨ヌグリスンビラン:トミー・マワト、ザイナル・アビディン、チェ・ラシド
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴール)

 スランゴールがロスタイムの劇的ゴールで3位浮上
 首位JDTを勝点差5で追うスランゴールは、前半終了間際にエラルド・グロンのゴールでヌグリスンビランに先制を許します。後半に入っても好機は作るもののゴールに至らなかったスランゴールは、56分にファイサル・ハリムの2試合連続ゴールで同点に追いつきますが、そこからは決め手を欠き、このまま引き分けかと思われたロスタイムに、フリーキックに合わせたシャルル・ナジームのヘディングシュートが決まり、劇的な逆転勝利を挙げています。
 なおスランゴールはラマダン(イスラム教の断食月、今年は3月22日から4月21日)中に開催されるスーパーリーグ5試合の内、4試合がホームのMPBJスタジアムで組まれており、リーグ首位を快走するジョホール・ダルル・タジムのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、この日程をスランゴールが有利になるように仕組まれていると発言し、物議を醸し出しています。 ラマダン中は日の出から日没まで食事はおろか、水も飲めず。敬虔なイスラム教徒は唾液すら吐き出します。そのような環境の中、遠征がほとんどない日程は確かに楽ではありますが、イスマイル殿下が指摘するような「陰謀」なのかどうか。スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの反応が待たれます。

2023年4月4日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:6,799人
ペラ 0-5 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:ハスヌル・ザイム(5分OG)、レアンドロ・ヴァレスケス2(25分、95+2分)、ジオゴ(45分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(66分)
🟨ジョホール:ナサニエル・シオ、
🟨ペラ:ハディ・ファイヤッド、クリスティアン・オビオゾール
MOM:レアンドロ・ヴァレスケス(ジョホール)

 昨季は29ゴール(19試合出場)のリーグ新記録を作ったベルグソン・ダ・シルヴァはこの試合が今季2試合目の先発でしたが、このベルグソン選手の今季初ゴールを含む4ゴールなどで、ジョホールは開幕から7連勝しています。この試合で2ゴールを挙げたレアンドロ・ヴァレスケスや昨季終盤のケガから復帰したシェーン・ローリーらもこの試合が2試合目の出場と、昨季の主力もローテーションで出場機会が減るほど充実したジョホールの外国籍選手枠ですが、代表クラスのマレーシア人選手もチーム内での激しい競争に晒されており、昨季まで代表の正GKだったファリザル・マーリアスは今季出場がなく、先月の代表戦で2ゴールを挙げたアキヤ・ラシドは相変わらずスーパーサブ的な起用となっています。その選手層の暑さは、ここまでの7試合で得点が30失点が1で得失差29という、他の追随を許さない成績にも表れています。
 一方のペラは元J2岡山のハディ・ファイヤッドを含めて先発11名中、6名が23歳以下と若いチーム。長期的育成プランのもと、バイエルン・ミュンヘンのユースコーチでもあった元U17代表監督のリム・ティオンキム氏が今季から監督に就任していますが、この試合で敗れて1勝2分4敗となっています。リム監督は、開幕前から今季は若い選手を積極的に起用することを明言してリーグに臨みましたが、直近の試合では得点1失点11の3連敗となったこともあり、試合後に中継された記者会見の場で、チームの状況を尋ねられるとそのインタビュアーに対し、自分で分析して自分で質問に答えることを求めるなど、プロチームの監督しては失格と言われてもしょうがないような対応をし、記者協会から講義を受けています。今季は2部プレミアリーグが休止されており、入れ替え戦も降格の心配もない中で、非難を受けようと信念を持って育成を続けていけば良いと思うのですが、バイエルン・ミュンヘンで指導経験があるとは言え、そこは所詮ユースチームということで、メディアやファンの矢面に立つトップチームの監督の器ではなかったのかも…。

2023年4月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:188人
クチンシティ 1-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️クチンシティ:シロジディン・クズイエフ(52分PK)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン・ヤシン(90+4分)
🟨クチンシティ:アミルル・シャフィク・チェ・ソー
🟨クランタン:ファンディ・オスマン
MOM:ジュリアン・シュワルツァー(クチンシティ)

 ロスタイムのゴールで両者痛み分け
 開幕戦勝利の後、5連敗中のクチンシティがホームに今季未勝利のクランタン・ユナイテッドを迎えた対戦は、13位のクチンシティと14位のクランタン・ユナイテッドの最下位攻防戦でした。
 いずれも前節第6節まで得点4と点が取れない両チームということもあり、クチンシティはシロジディン・クズイエフのフリーキックや谷川由来選手のミドルシュートでゴールを狙うも得点に至らず、またクランタン・ユナイテッドは41歳のインドラ・プトラが攻撃をリードするもやはりゴールを決めることができず、前半は0-0で折り返しました。
 後半の51分にはPKを得たクチンシティがシロジディン・クズイエフの今季初ゴールで先制し、試合はそのまま1-0で進み、残りあと1分を切ったロスタイムに、クランタン・ユナイテッドのアスラフ・アリフディン・ヤシンが土壇場でヘディングシュートで同点ゴールを決め、引き分けに持ち込んでいます。
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2023年4月5日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:3,230人
クダ・ダルル・アマン 1-0 ペナン
⚽️クダ:ウィリアン・リラ(65分)
🟨クダ:アリフ・ファルハン、アミルル・アフィク
🟨ペナン:ラファエル・ヴィトール、ファリス・シャー
🟥クダ:アミルル・アフィク(🟨x2)
MOM:マヌエル・オット(クダ・ダルル・アマン)

 首位のジョホールを勝点差5で追うクダは、次節第8節には直接対決を控えています。それまではこれ以上勝点で離されるわけにはいきません。しかし先月3月のFAカップではこのペナンにPK戦の末に敗れており、このマレー半島北部ダービーでは同じ轍を踏むわけにはいきません。
 前半を0-0で折り返したこの試合は、後半の立ち上がり54分にアミルル・アフィクがこの試合2枚目のイエローで退場となり、クダは10人になってしまいます。それでも65分にコーナーキックからのこぼれ球を昨季はJ2甲府でプレーしたウィリアン・リラが押し込んでゴール!これが決勝点となって勝利したクダはこれで引き分けを挟んで3連勝とし、今週末のジョホール戦に弾みをつけました。
 前節には今季初勝利を記録したペナンは、連勝とならず、順位を一つ下げて10位となっています。

2023年4月5日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:1,194人
KLシティ 2-0 サバ
⚽️KLシティ:T・サラヴァナン(15分)、ショーン・ジャネッリ(90+4分)
🟨KLシティ:モハマド・ファウジ、デクラン・ランバート、ショーン・ジャネッリ
🟨サバ:カブリエル・ペレス、スチュアート・ウィルキン、ドミニク・タン
MOM:セバスチャン・アヴァンジーニ(KLシティ)

 KLシティが今季初勝利。
 開幕からの5試合で3分2敗と勝ち星がなかった昨季のAFCカップ準優勝チーム、KLシティがホームで今季初勝利を挙げています。
 試合はサバがダレン・ロックとインドネシア代表のサディル・ラムダニが率いる攻撃陣でKLシティを圧倒しますが、先制したのKLシティでした。今季初先発となったU23代表のT・サラヴァナンがパスを受けると、飛び出してきたサバGKダミエン・チェンの上を超える絶妙なロビングシュートを放ち、これがゴールとなり、KLシティが1-0とリードします。その後はセンターバックのジャンカルロ・ガリフオコの活躍や、正GKのケヴィン・メンドーザに代わりこの日も先発したU23代表GKアズリ・ガニが、サバの反撃を好セーブで防ぎ、ロスタイムにはダメ押しの2点目を挙げたKLシティが今季初勝利を挙げています。
 前節ジョホールに0-4と大敗したサバは、今季未勝利のKLシティ相手に痛い星を落として2試合連続の完封負けで2連敗となり、3位から5位に順位を下げています。

2023年4月5日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:471人
PDRM 1-2 スリ・パハン
⚽️PDRM :ジェイムズ・オクゥオサ(76分)
⚽️パハン:バキウディン・シャムスディン(16分)、クパー・シャーマン(22分)
🟨PDRM:アミル・サイフル
🟨パハン:アザム・アジー、クパー・シャーマン
MOM:鈴木ブルーノ(PDRM)

 昨季は2部プレミアリーグでプレーし、今季1部スーパーリーグに昇格した5チームの内、唯一3勝を挙げているPDRMと、ジョホールと並んで今季未だ無敗のパハンの対戦となったこのカードは、いずれも両チームの好調さが見てわかる試合でした。
 ホームのPDRMはパハンを相手に引くどころか、ファディ・アワドを起点に積極的にゴールを目指し、前半8分にはあわやゴールという場面もありましたが、この試合は前節のクランタン・ユナイテッド戦で肩をケガしたウチェ・アグバがベンチ外となった上、リーグ3位の6失点(6試合)のパハンDF陣が相手ということもあり、今季2ゴールを挙げている鈴木ブルーノ選手までなかなかボールが繋が利ませんでした。またMFサフィー・アフマド、DFノルフィクリ・アブドル・タリブの主力両選手が警告累積でこの試合出場停止と、ベストのメンバーでなかったことも選手層が厚いわけではないPDRMには厳しいところでした。
 一方のパハンも帰化選手のエセキエル・アグエロが足の筋肉断裂で最低でも4週間の離脱が明らかになった他、FIFAカレンダーではフィリピン代表でプレーしたケヴィン・イングレッソも足の張りを訴えてベンチ外となるほど、こちらも決してメンバーが揃っていたわけではありませんが、18分にPDRMのオウンゴール(記録はパハンのバキウディン・シャムスディンのゴール)で先制すると、その4分後にはPDRMのミスをついて追加点を挙げ、前半は2-0で終了しました。
 後半にはジェイムズ・オクゥオサが191cmの高さを生かしたヘディングシュートが決まり、PDRMは1点を返しますが、反撃もここまでとなり連勝はなりませんでした。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して、81分に交代していますが、この試合のMOMに選ばれてます。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第7節終了時)

順位チーム勝点
1JDT77003012921
2KDA7511135816
3SEL7511148616
4SRP7340136713
5SAB74121511413
6TRE731396310
7PDRM731357-210
8NSE6222813-58
9KLC6132710-36
10PEN7125813-55
11PRK7125415-115
12KCH7115414104
13KEL7115922-134
14KLU7025512-72
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第7節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)6251357
2パク・テス(SAB)410606
アリフ・アイマン(JDT)411647
ステファン・ブルーノ(SRP)414507
エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)412907
フアン・ムニス(JDT)4161006
ジオゴ(JDT)411625
クパー・シャーマン(SRP)410527
9エンドリック・ドス・サントス(JDT)36505
サディル・ラムダニ(SAB)37626
ノー・アル=ラワブデ(SEL)33306
ソ・ソンウン(PRK)316607
カサグランデ(NSE)316615
イスマヒル・アキネード(KEL)37305
ウィリアン・リラ(KDA)319417
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

4月5日のニュース
コギレスワラン・ラジが韓国デビュー
タイ1部リーグ第25節-ジュニオール・エルドストールが今季初出場で、ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドの3人が揃い踏み

コギレスワラン・ラジが韓国デビュー

昨季はPJシティ(現在はリーグ撤退)でプレーしたコギレスワラン・ラジは、昨季終了後、国内チームからの誘いを断り、Kリーグ2部の忠北淸州FCに移籍しました。マレーシア人選手としては初となるKリーグへの移籍でしたが、チームはここまで5試合を終えている一方で、コギレスワラン選手は出場がありませんでした。しかし英字紙スターによると、このコギレスワラン選手が3月29日に行われた韓国FAカップの2回戦、ソウル中浪FC戦に先発出場したと報じています。なお先発したコギレスワラン選手は60分で交代しましたが、チームは3-0で勝利し、3回戦に進出しています。

所属する忠北清州FCはKリーグ2部で1勝2分2敗の9位(13チーム中)と苦しんいるにもかかわらず、出場機会がなかったコギレスワラン選手ですが、試合後のマレーシアメディアとのインタビューでは、加入直後に体脂肪率を落とすように指示され、結果として6kg体重を減らしたこと、また自分が想像していた以上に韓国2部のレベルが高く、特に試合の展開の速さと強度に慣れるのに時間がかかったと述べ、今回のデビュー戦では首脳陣に良いアピールができたことで、今後は出場機会が増えることを期待しているとも話しています。

タイ1部リーグ第25節-ジュニオール・エルドストールが今季初出場で、ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドの3人が揃い踏み

4月2日から4日にかけてタイ1部リーグ第25節が行われています。FIFAカレンダーで中断したリーグが再開となった今節ですが、代表戦ではキャプテンを務めたDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)は先発してフル出場しています。また予備の交代要員に選ばれたFWサファウィ・ラシドは先発出場、そしてやはり交代要因に選ばれたDFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)は今季初のベンチ入りから初出場を果たし、今季タイリーグでプレーするマレーシア人3選手が初めて揃っての出場となりました。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第25節
2023年4月2日@コーンケンスタジアム
コーンケン・ユナイテッド 0-3 PTプラチュワップFC
 6試合ぶりの勝利となったPTプラチュワップFCは、降格圏の14位から一つ順位を上げて13位となっています。
 PTプラチュワップFCのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は、この試合で移籍後初のベンチ入りし、86分からではあったものの、今季初出場も果たしています。

2023年4月2日@ドラゴン・ソーラー・パークスタジアム
ラーチャブリーFC 1-1 ナコーンラーチャシーマーFC
 この試合に引き分けたラーチャブリーFCは連続無敗記録を4試合に更新しています。
 ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは先発して、59分に交代しています。

2023年4月5日@タマサートスタジアム
バンコク・ユナイテッド 4-3 ブリーラム・ユナイテッド
 シーズンも残りあと6試合というところでの首位攻防戦は、2位のバンコク・ユナイテッドが首位のブリーラム・ユナイテッドに今季初黒星をつけています。
ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは先発して、フル出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第25節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU25204164224264
2バンコクU25174446163055
3ポート25119543311242
5ラーチャブリー25109628181039
14プラチュワップ2567123144-1325

2023マレーシアスーパーリーグ第6節
結果とハイライト映像-首位攻防戦を制したジョホールが独走の予感、ペナンが今季初勝利もKLとクランタンUは未勝利のまま

FIFA国際マッチカレンダーで中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、第6節の7試合が3月31日と4月1日に開催されています。今節の注目は何と言ってもジョホール・ダルル・タジム対サバの首位攻防戦でしたが、終わってみればあっけない結果でした。(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年3月31日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:4,204人
KLシティ 1-3 スランゴール
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ(24分)
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ2(32分PK、53分)、ファイサル・ハリム(40分PK)
🟨KLシティ:パウロ・ジョズエ
🟨スランゴール:アレクサンダー・アギャルカワ、ブレンダン・ガン、クェンティン・チェン
MOM:エイロン・デル・ヴァイエ(スランゴール)

 マレーシア連邦直轄地クアラ・ルンプールとそれを取り囲むスランゴール州を通って流れるクラン川にちなんでクランバリー(クラン渓谷)ダービーと呼ばれるこのカードは、昨季も試合終了後にサポーター同士が衝突したことから、この日はスタジアム内外に警官だけでなく暴動鎮圧部隊が配置される物々しい雰囲気の中で開催されました。
 試合は開幕から5試合で未勝利のKLシティが24分にチェチェ・キプレのゴールで先制しましたが、前節では首位のジョホールに0-4と大敗し、首位からこれ以上離されるわけにはいかないスランゴールが、その8分後にエイロン・デル・ヴァイエのPKで同点に追いつきます。さらに40分にはこのエイロン選手がペナルティエリアで倒されてPKを得ると、このPKをファイサル・ハリムが決めて逆転に成功します。代表戦2試合にいずれも先発したファイサル選手のスランゴール移籍後初ゴールでスランゴールが2-1として前半を終えました。
 後半に入るとこの日は絶好調のエイロン選手が今季4ゴール目となる3点目のゴールを決め手スランゴールがKLシティを突き放し、今季4勝目を挙げて順位は変わらず4位となっています。一方、ここまでの5試合で7失点の守護神ケヴィン・メンドーザがケガ、そしてやはりここまでの全試合にフル出場してきたMFセバスチャン・アヴァンジーニが警告累積で出場停止と今季のキーマンを欠いたKLシティは、またも今季初勝利を逃し、順位を1つ下げて12位となっています。

2023年3月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:19,836人
ジョホール・ダルル・タジム 4-0 サバ
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(20分)、フアン・ムニョス(39分)、シャーミ・サファリ(81分)、フェルナンド・フォレスティエリ(89分)
🟨ジョホール:マシュー・デイヴィーズ
🟨サバ:パク・テス
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジム)

 開幕から5連勝中の首位ジョホールと、それを4勝1分で追う2位サバの対戦は今節の最大注目カード。前節ではやはり開幕から無敗だったスランゴールを一蹴したジョホールは、今節でサバを敗れば、2位との勝点差が5と開き、早くも首位を独走する可能性があります。
 代表戦で2ゴールを挙げるなど活躍したアキヤ・ラシドやラヴェル・コービン=オングがベンチスタートとなる一方で、代表合宿に招集されながら、「ケガ」を理由に途中離脱したアリフ・アイマンとエンドリック・ドス・サントスは、休養も十分でこの大事な試合では揃って元気に先発XIに名前を連ねています。
 試合は20分にアリフ・アイマンがサバDFを振り切る素晴らしい切り返しのドリブルを見せた後にシュート!休養十分、ケガしていたことが嘘のようなアリフ選手のゴールでジョホールが先制しました。さらに39分にはフアン・ムニョスがペナルティエリアの外から放ったカーブをかけた美しいシュートが決まり2-0、終盤には代表戦ではほとんど出番がなかったシャーミ・サファリが81分に、そして現在、リーグ得点王のフェルナンド・フォレスティエリが89分にそれぞれゴールを決めるなど、終わってみれば首位攻防戦はジョホールの圧勝に終わり、っています。

2023年3月31日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:3,540人
ペナン 3-1 ペラ
⚽️ペナン:ハサン・サアド(6分)、ニック・アキフ・シャヒラン(37分)、ジオヴァネ・ゴメス(84分)
⚽️ペラ:ソ・ソンウン(71分)
🟨ペナン:なし
🟨ペラ:ハフィザル・モハマド
MOM:ニック・アキフ・シャヒラン(ペナン)

 第5節を終えて未勝利だったペナンが今季初勝利を挙げています。
 ここまで監督代行として指揮を取ってきたチョン・イーファット コーチが健康上の問題を訴えたことからマンズール・アズウィラ監督が正式に就任したペナンは、外国籍選手の活躍で今季初勝利を挙げ、順位を13位から一気に9位まで上げています。
 一方のペラは、ソ・ソンウンが今季3ゴール目を決めましたが、経験不足の若い選手中心のチームに外国籍選手が先発XIに2名ではペナンに太刀打ちできませんでした。

2023年3月31日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:4,250人
トレンガヌ 2-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️トレンガヌ:リリドン・クラスニキ(6分)、ジョーダン・ミンター(28分)
⚽️クランタン:ホセ・エルメル・ポルテリア(76分)
🟨トレンガヌ:サルドール・クルマトフ、ジョーダン・ミンター
🟨クランタン:シャーヴィン・セルヴァクマラン、アリフ・アル=ラシド、カイル・アズリン・カザリ
MOM:リリドン・クラスニキ(トレンガヌ)

 開幕からの5試合でわずか2得点と深刻な得点力不足に悩むトレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督は、今季唯一の勝利を挙げているPDRM戦と同じジョーダン・ミンター、アディサク・クライソーンのツートップを再び採用し、今季2勝目を目指しました。帰化選手でコソボ出身のリリドン・クラスニキの今季初ゴールで先制したトレンガヌでしたが、クランタン・ユナイテッドの猛攻に遭う中、自身も今季2度目の先発となったジョーダン・ミンターがヘディングシュートを決めて、トレンガヌが2-0とリードを広げ、結局、これが決勝点となったトレンガヌが今季2勝目を挙げています。
 一方のクランタン・ユナイテッドは好機を作るものの、勝利には至らず、これで開幕から1分6敗と勝利がなく最下位に沈んだままです。

2023年4月1日@サラワク州立スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:292人
クチンシティ 0-1 PDRM
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(73分)
🟨クチンシティ:ズラズラン・イブラヒム、アミルル・シャフィク
🟨PDRM:サフィー・アフマド、ノルフィクリ・タイブ、アリフ・シャアアニ、ウィルフレッド・ジャブン
MOM:ジェイムズ・オクゥオサ(PDRM)

 リーグ改編により昨季の2部プレミアリーグからは5チームが1部スーパーリーグに昇格していますが、各チームとも1部の壁にぶち当たっています。第6節を終えて5チーム中、今季未勝利が1チーム、1勝が3チームという中で、PDRMはこの日の勝利で3勝目を挙げています。今季1勝目のクダ・ダルル・アマン戦、そしてこの日のクチンシティ戦はいずれも1-0の辛勝でしたが、その両試合で決勝ゴールを挙げているのが、今季からMリーグに復帰した鈴木ブルーノ選手です。この試合でも相手DFのミスからボールを奪いゴールを決め、チームトップの2ゴールでPDRMを勝利へと導いています。
 敗れたクチンシティは開幕戦で1勝を挙げたものの、そこから5連敗。しかも直近3試合ではいずれも完封負けです。昨季の2部得点王だったアブ・カマラが2得点では、今季6試合でわずか3得点なのもわかりますが、そんな得点力がないチームが、GKに外国籍選手を使わざるを得ないところが今のチームの苦境を表しています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して1ゴール挙げる活躍で、フル出場しています。
 クチンシティの谷川由来選手も先発して、フル出場しています。

2023年4月1日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:7,296人
スリ・パハン 1-1 クダ・ダルル・アマン
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(62分PK)
⚽️クダ:ジョナサン・バロテッリ(90+2分)
🟨パハン:なし
🟨クダ:アリフ・ファルハン、マヌエル・イダルゴ
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハン)

 まさかの同点弾で引き分け。
 チームトップの4ゴール目となるステファノ・ブルンドのPKで先制したホームのパハンが終始、指導権を握り続けた試合でしたが、そのパハンにとって痛かったのは86分に得たPKを失敗したこと。今季のパハンのPKはここまで全てステファン・ブルンドが蹴っていましたが、今季初めてPKを蹴ったルーカス・シルヴァがクロスバーの上に外して、追加点を奪えなかったことから、ロスタイムの同点ゴールを許し、今季6試合で4度目の引き分けとなっています。
 最後までゴールへの執念を見せたクダはこの引き分けでサバ、スランゴールと勝点13で並んだものの、得失差で今季最高位の2位となっています。

2023年4月1日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:1,885人
ヌグリスンビラン 4-2 クランタン
⚽️ヌグリスンビラン:マハリ・ジャスリ(16分)、エラルド・グロン(38分)、シャーレル・フィクリ(76分)、カサグランデ(89分)
⚽️クランタン:イスマヒル・アキネード2(36分PK、54分)
🟨ヌグリスンビラン:サフワン・バハルディン、トミー・マワト
🟨クランタン:なし
MOM:カサグランデ(ヌグリスンビラン)

 2020年シーズンには短縮されたリーグながら11試合で10ゴールとマレーシア人最多得点を挙げ、鳴り物入りでスランゴールへ移籍したシャーレル・フィクリは、そのスランゴールではケガなどもあり、在籍した2シーズンでわずか2ゴールと期待外れに終わり、今季はヌグリスンビランに移籍しました。そのシャーレル選手が移籍初ゴールを決め、そのお膳立てをしたカサグランデ自身もゴールを決めるなど、粘るクランタンを突き放したヌグリスンビランが順位を8位から7位へ上げています。
 クランタンはイスマヒル・アキネードのゴールでヌグリスンビランに2度追いつきながら、勝利には至りませんでした。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第6節終了時)

順位チーム勝点
1JDT66002512418
2KDA6411125713
3SAB6411159613
4SEL6411127513
5SRP6240115610
6PDRM621245-110
7NSE5221711-48
8TRE621346-27
9PEN6123812-45
10PRK6123410-65
11KEL6114917-84
12KLC5032510-53
13KCH6105314-113
14KLU6015411-71
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第6節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)6231346
2パク・テス(SAB)410606
アリフ・アイマン(JDT)410636
ステファン・ブルーノ(SRP)411506
エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)49706
フアン・ムニス(JDT)4161006
6ジオゴ(JDT)39524
エンドリック・ドス・サントス(JDT)36505
サディル・ラムダニ(SAB)37626
ノー・アル=ラワブデ(SEL)33306
ソ・ソンウン(PRK)314606
クパー・シャーマン(SRP)39426
カサグランデ(NSE)316615
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

4月2日のニュース
政府支援のピッチ張り替え申請を行ったのはクダとペラのみ
MFLの新賞金分配制度で優勝チームが手にするのは7200万円超
6月のFIFAカレンダーでマレーシアはイエメンとソロモン諸島と対戦
アジアカップ出場のU17代表はカタールで合宿実施

政府支援のピッチ張り替え申請を行ったのはクダとペラのみ

今年1月にマレーシア政府青年スポーツ省は、マレーシア全ての州の青年・スポーツ行政評議会に対し、各州内で1つのスタジアムを選び、そのピッチをゼオンゾイシア芝に張り替えるための資金を提供することを発表しましたが、この資金提供に対して申請書を出したのはクダ、ペラの両州政府のみであると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

マレーシア政府のハンナ・ヨー青年・スポーツ相は、クダ・ペラの両州政府は既に申請書を提出している一方で、マレーシア青年・スポーツ省は、申請書の内容を確認した上で、張り替えた芝の所有権に関する州の行政評議会との会議を経て、両州政府の決定を確認する必要があるため、しばらく時間が必要であることも明らかにしています。

マレーシアの大半のスタジアムのピッチは、当地で「カウ・グラス」と呼ばれる芝?草?を使っていますが、排水設備の不備などもあり、一旦大雨が降ると水が浮くなど劣悪な状況となりますが、その状況を改善するために青年・スポーツ省が乗り出した結果が今回のピッチ張り替えの資金提供です。しかしピッチの張り替えを望む州は、芝張り替え後のピッチの年間メンテナンス費用は州政府が負担することになっており、年間30万リンギ(およそ900万円)程度かかるとされるそのメンテナンス費用の出費を嫌って、この申請をしない州があると言われていましたが、申請したのが現時点でマレーシア13州のうちのわずか2州というところを見ると、良いピッチでサッカーをする、ということはこの国では重視されていないことがわかります。

MFLの新賞金分配制度で優勝チームが手にするのは7200万円超

スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2023年から2025年までの成績を元にした新たな賞金分配制度を新たに導入したことを発表し、これにより今季のスーパーリーグ優勝チームは総額で240万リンギ(およそ7200万円、1リンギはおよそ30円)を受け取ることになることを、公式サイトで発表しています。。

リーグ収益の一部を各チームに分配するこの新たな賞金分配制度の導入により、今期のスーパーリーグ14チームは分配金として一律で50万リンギを受け取る他に、リーグ優勝すれば190万リンギ、2位は140万リンギを、3位は100万リンギ、そしてリーグ最下位14位は10万リンギと、順位に沿った賞金を受け取ります。昨季の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが統合された今季のスーパーリーグでは、全14チームへ分配されるの賞金の総額は昨季から96.55%増の1,567万5000リンギとなっているということです。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、今季終了時の各チームの成績に基づいて、合計で695万リンギットの賞金が分配される一方で、リザーブリーグに当たるMFLカップの優勝チームと準優勝チームもそれぞれ50万リンと25万リンギを受け取ることも発表しています。

新型コロナの影響を受けた2021年と2022年の両シーズンのリーグ収益の分配は、スーパーリーグの各チームが一律50万リンギ、プレミアリーグの各チームが一律25万リンギの分配金を受け取り、賞金が授与されたのはスーパーリーグとプレミアリーグのそれぞれ上位3チームだけでした。

6月のFIFAカレンダーでマレーシアはイエメンとソロモン諸島と対戦

スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナは、マレーシアサッカー協会(FAM)が次のFIFA国際マッチデーカレンダー(FIFAカレンダー)となる6月に、イエメンとソロモン諸島と対戦することを決定したと報じています。

先月3月の今年1回目のFIFAカレンダーでは、FIFAランキング145位のマレーシアは、同135位のトルクメニスタン、同146位の香港と対戦し、それぞれ1-0、2-0で勝利を収めていますが、アストロ・アリーナの記事では、トルクメニスタン戦の勝利によりマレーシアはFIFAランキングポイント5.27を、香港戦の勝利では4.85ポイントを獲得し、今月4月に発表される予定の最新のランキングでは139位になることが予想されています。

*****

6月に対戦予定となったイエメンは現在のFIFAランキングでは154位、ソロモン諸島は136位と、FIFAランキングで見ると、今回のトルクメニスタン、香港同様、これまた微妙なレベルの相手ですが、これは現在FAMが最優先としている、FIFAワールドカップ2026年大会のアジア予選組み合わせ抽選までアジアで25位以内に入ることと関わっています。と言うのも、アジアの上位25位のチームは11月から始まるワールドカップ予選の2回戦から出場しますが、26位以下のチームは10月から始まる1回戦からの出場となります。現在、マレーシアはまさにそのアジア25位におり、1回戦からの出場をなんとしても避けたいFAMは、相手選びも慎重に行う必要があるわけです。

アジアカップ出場のU17代表はカタールで合宿実施

今年6月にタイで開催されるAFC U17アジアカップ2023年大会に出場するU17代表のオスメラ・オマロ監督は、大会に向けてカタールで合宿を行うことを明らかにしています。なおカタールでは現地のプロクラブと数試合の練習試合も行うということです。

大会に向けた準備として、先月3月に福岡で開催されたサニックス杯国際ユースサッカー大会に出場したマレーシアU17代表は、順位決定戦で最終的には14位(出場16チーム中)に終わりましたが、予選グループではサガン鳥栖U18前橋育英福岡大付属若葉と対戦するなど、貴重な経験を積んでいます。なお、オマロ監督は、カタール遠征後は東南アジアのチームと対戦して最終調整を行うとしています。

なおAFC U17アジアカップ2023年大会では、マレーシアはA組に入り、開催国タイ、イエメン、ラオスと同組になっています。

3月29日のニュース
国際親善試合-アキヤ・ラシドの2戦連発などで香港に勝利

国際親善試合-アキヤ・ラシドの2戦連発などで香港に勝利

マレーシア代表が香港代表を2-0で破り、今年1回目のFIFA国際マッチカレンダーで行われた2試合を2連勝で終えています。奇しくも3月26日にはシンガポールで開催されたマーライオンカップ2023でマレーシアU22代表が香港U22代表を破って優勝しており、A代表もこれに続いた形になりました。

マレーシアのキム・パンゴン監督は、1-0で勝利した3月23日のトルクメニスタン戦からは、DFドミニク・タン(サバ)、DFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジムJDT)、MFブレンダン・ガン(スランゴール)、MFエンドリック・ドス・サントス(JDT)に代えて、DFシャールル・サアド(JDT)、DFクエンティン・チャン(スランゴール)、アザム・ノー(スリ・パハン)、そしてMFノーア・レイン(アイスランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ)の4人を起用しました。(以下はこの試合の先発XI)


昨年もマレーシアと対戦し敗れている香港のヨルン・アンデルセン監督は、試合前の記者会見で前回とは違ったチームを見せると話していた通り、香港は試合開始から積極的にマレーシアゴールを狙います。これに対して、初めてコンビを組むクエンティン・チェンとディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)の連携が今ひとつのマレーシアは試合開始からピンチが続きますが、香港FW陣のシュートミスやゴールポストに救われて、なんとか無失点で切り抜けます。

DF陣が落ち着き始めた一方で、前線ではがFW陣が激しくプレッシャーをかけますが、18分にはこれが功を奏します。ダレン・ロック(サバ)が香港GKに詰め、そこから蹴り出されたボールに今度はファイサル・ハリム(スランゴール)とパウロ・ジョズエ(KLシティ)がチャージし、これがルーズボールとなると、そのボールをファイサル選手が奪って、ゴール前へのアキヤ・ラシド(JDT)ヘパス。これをアキヤ選手が決めて、マレーシアが先制しました。

トルクメニスタン戦に続くアキヤ選手の2試合連続ゴールで1-0とリードしたマレーシアは、41分にGkシーハン・ハズミ(jDT)からのキックをロック選手が前線で受けると、走り込んできたファイサル選手にパス。ファイサル選手がドリブルで香港DFをかわしてシュート!ファイサル選手の代表通算10ゴール(21試合)が決まってマレーシアはリードを2点に広げました。

後半に入っても共に好機を作りながら得点には至らなかったものの、要所ではマレーシアは試合をコントロールして進み、試合はこのまま2-0で終了。この試合は平日開催、しかもブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)がシバの張り替えなどで利用できないためジョホールでの開催ということも重なってか、代表戦としてはやや寂しい4500人程度の観衆でしたが、その全員が代表のパフォーマンスに満足した試合になったのではないでしょうか。

*****

昨季オフにトレンガヌからスランゴールに移籍したファイサル選手は、リーグ戦でのパフォーマンス自体は悪くはないものの、開幕からここまでの5試合で0ゴール(3アシスト)と目に見える結果が出ておらず、国内でもサポーターの数が多いスランゴールでプレーすることでトレンガヌとは違った重圧があったかと思います。ファイサル選手はこの香港戦でのゴール直後に涙を流していたという報道もありますが、このゴールがきっかけとなり、そのスランプが解消されそうな予感がします。

また2試合で2ゴールと活躍したてアキヤ選手はJDTに戻っても先発の機会を与えられるのか、それともこれまで通り「スーパーサブ」と言えば聞こえが良い、ただの控え選手になってしまうのかも気になります。今季ここまでチームの5試合中、いずれも途中出場の2試合、出場時間は51分ながら今回代表に選ばれたことで、試合後には「出場時間など関係ない」という意見もSNSでは見られましたが、逆にリーグ戦でも出場機会が得られれば、もっと良い選手になれるのではとも考えられるでしょう。23歳とまだまだ成長過程にある選手に最も必要なのは試合時間以外の何者でもないと思うので、JDTでスーパーサブを続けるくらいなら、マレーシア国内外を問わず、機会を求めての移籍も考えて欲しい選手です。

そして最後もJDT関連ですが、ケガを理由に代表合宿を途中で離れたアリフ・アイマンとエンドリック・ドス・サントスが、今週末に再開するスーパーリーグの首位攻防戦JDT対サバに何もなかったかなように出場するのかどうかも気になります。サバのエース、ダレン・ロックは今回の代表戦2試合とも先発しており、アリフ、エンドリックの両選手が「休養十分」でサバとの試合に臨めば、代表招集は「ケガ」を理由にいつでも辞退できるものという声が上がりそうです。

国際親善試合
2023年3月28日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:4,593人
マレーシア2-0 香港
⚽️マレーシア:アキヤ・ラシド(18分)、ファイサル・ハリム(41分)

マレーシア対香港戦のハイライト映像(マレーシアサッカー協会FAM公式YouTubeチャンネルより)

3月28日のニュース
今日の香港戦を前にアリフ・アイマンとエンドリックがチームを離脱
香港代表監督は昨年の対戦とは違う試合になると自信を見せる

今年1回目のFIFA国際マッチカレンダーの2試合目として、本日はマレーシア代表(直近のFIFAランキング145位)と香港代表(同146位)が対戦します。マレーシア代表のキム・パンゴンがかつて指揮を取っていた香港代表とは、昨年6月に国際親善試合で対戦していますが、このときはサファウィ・ラシド(タイ1部ラーチャブリーFC)とサフィク・ラヒム(ジョホール・ダルル・タジム)のゴールで2-0で勝利しています。一昨日はシンガポールで開催されたマーライオンカップ2023決勝で、マレーシアU22代表は香港U22代表を2-1で破って優勝していますが、A代表もU22代表に続けるのでしょうか。

今日の香港戦を前にアリフ・アイマンとエンドリックがチームを離脱

1−0で辛勝した3月23日のトルクメニスタン戦では、先発どころかベンチ入りすらしていなかった若きエース、アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム、JDT)ですが、マレーシア代表のキム・パンゴン監督は、マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookに声明を発表し、アリフ選手が負傷により、すでに代表合宿を離脱していることを明らかにしています。マレーシアの通信社ブルナマなど複数のメディアは、合宿中にアリフ選手の姿が見えないことを報じており、SNS上でもこれまでに様々な憶測が飛び交っていました。

また同じ声明では、トルクメニスタン戦では先発しながら、スーパーリーグのような躍動感が全く見られなかったエンドリック・ドス・サントス(JDT)についてもやはりケガのため代表合宿離脱が発表されています。エンドリック選手については、この負傷がトルクメニスタン戦で負ったものかどうかは明らかにされていません。

*****

トルクメニスタン戦に出場したエンドリック選手はまだしも、代表合宿に招集されながらケガのため離脱と説明されたアリフ選手には、そもそも招集するのに十分な体調だったかのかどうかが疑問です。しかし、その一方で今季開幕から5連勝で首位に立つJDTでは、アリフ選手はここまで3ゴール3アシスト、エンドリック選手は3ゴールといずれもチーム躍進の立役者であり、この両選手が他の選手より先に代表合宿を離脱し、今週3月31日に予定されている勝点差2で迫る2位サバとの首位攻防戦に「休養十分」でシラーっと先発フル出場するのかどうかが個人的には気になります。サバは代表合宿にダレン・ロック、スチュアート・ウィルキン、ドミニク・タンが「拘束」されている上、香港戦に彼らが出場することになれば、リーグ戦視点では代表戦は「罰ゲーム」のように見えてしまいます。

香港代表監督は昨年の対戦とは違う試合になると自信を見せる

本日の香港戦を前に記者会見が行われ、香港側からはヨルン・アンデルセン監督とツイ・ワンキット(徐宏傑)選手が出席し、その席上でアンデルセン監督は、かつて対戦したマレーシアとは様変わりした様子に驚いたと話していると、英字紙スターが報じています。

ノルウェー出身ながら現役時代の大半をドイツで過ごしたアンデルセン監督は、1992年に在籍したアイントラハト・フランクフルト時代にはブンデスリーガ初となる外国籍選手の得点王となっています。引退後は指導者に転じ、2008年には現リバプール監督のユルゲン・クロップ氏がドイツ1部のボルシア・ドルトムント監督就任のために退団したFSVマインツ05の監督に就任し、クロップ前監督が果たせなかった1部昇格を果たしています。

このアンデルセン監督がマレーシアと対戦したのは2016年5月から経済制裁の影響で2018年3月に退任した北朝鮮代表監督時代のことでした。AFC選手権アジアカップ2019年大会3次予選で対戦したマレーシアと北朝鮮はホーム、アウェイの2試合とも北朝鮮が4-1で勝利していますが、その当時を振り返ったアンデルセン監督は、「6年前に対戦した北朝鮮代表監督時代は、マレーシア代表を難なく破ったが、現在のマレーシアは大きくメンバーが変わっているだけでなく、半数近くが帰化選手で占められており、チームのレベルは明らかに上がっているのは明らかだ。」と述べています。

昨年6月1日に対戦している両チームですが、このときはマレーシアが2-0で勝利しており、当時も香港代表を率いていたアンデルセン監督は、高い位置からのプレスをかけ、果敢にボールを奪いにくるマレーシアのスタイルは理解しており、それを踏まえた上で前回の対戦とは違った香港代表のプレーを見せられるだろうと述べる一方で、今回のチームはブラジル出身の帰化選手DFエリオとFWマット・オー(いずれも香港1部傑志体育会)と主力を欠くメンバーであることも明かしています。

*****

上で取り上げた北朝鮮対マレーシア戦は、3度の延期という紆余曲折の末に開催された試合でした。北朝鮮の平壌で予定されていた2017年3月28日の試合は、同年2月13日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害されたことによる両国の関係悪化による互いの国民の渡航禁止、さらには両国による大使館員帰国などの措置が講じられたことから延期されました。(マレーシアは北朝鮮と国交があり、北朝鮮大使館もあります。)

その後、両国間で徐々に緊張は和らぎ、マレーシア政府による渡航禁止が解除になったことから、試合は一度は6月8日に平壌で開催されることに決まりました。ただし、渡航後の選手の安全を不安視したマレーシア政府は朝鮮半島の核による緊張の高まりなども受け、国民の北朝鮮渡航を再び禁止し、この試合の北朝鮮国外の中立地での開催をアジアサッカー連盟AFCに求めました。これを受けたAFCは朝鮮半島の「地政学上の緊張状態」を理由に2度目の延期を決定し、同年10月に開催することを発表しました。

10月5日と試合日程が決まると、同年9月には、当時のマレーシア・サッカー協会FAMの会長だったジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下(当時、現ジョホール・ダルル・タジム オーナー)が、北朝鮮大使とマレーシアで会談し、その席上で選手および関係者の安全について話し合いました。会談後には、それまでは「北朝鮮で選手は毒を盛られる可能性がある」とも話していたトゥンク・イスマイル会長は、自身が希望するタイミングでいつでも直接入国することができると北朝鮮側から通達されたことを明かしていました。

しかしその直後に今度はマレーシア外務省が、北朝鮮のミサイル発射が続き、朝鮮半島の緊張が拡大したとして、全てのマレーシア国民の北朝鮮への渡航を禁止したことから、試合の1週間前となる同年9月28日にAFCは3度目となる試合の延期を発表しました。

そして3度の延期を経たこの対戦は、北朝鮮のホームゲームは同年11月10日に、マレーシアのホームゲームは3日後の11月13日に、いずれも中立地のタイで行われることで決着した経緯があります。