5月18日のニュース
ヌグリスンビランのエラルド・グロンが「深刻な健康状態悪化」のため今季絶望
来月タイで開催のAFC U17アジア杯予選出場のU17代表候補合宿参加メンバー発表
9月の国際マッチデーでマレーシアはイラクと対戦の可能性が浮上

ヌグリスンビランのエラルド・グロンが「深刻な健康状態悪化」のため今季絶望

4日前に行われたスーパーリーグ第4節の再試合、対KLシティ戦で5試合ぶりの勝利を挙げたヌグリスンビランですが、チームの核として攻守に貢献してきたDFエラルド・グロンが「深刻な健康状態悪化」により、今季残り試合の出場が絶望になったとサッカー専門サイト「スムアニャ・ボラ」が伝えています。

フランス出身で195cmと長身センターバックのグロン選手は今季ここまで8試合(内7試合先発)に出場し、2ゴール2アシストを記録していますが、5月14日の試合では今季2度目となるベンチ外で、これは3月6日以来でした。

ヌグリスンビランのK・ディヴァン監督は、「深刻な健康状態悪化」が具体的にどのようなものかについては言及しませんでしたが、グロン選手は今後はチームに帯同しないこと、またこの状態では十分なプレーができないだけでなく、おそらく手術が必要になると述べています。さらに復帰までに時間がかかるようであれば、新外国籍選手獲得など次の手を考えざるを得ない、とも述べています。

今季のヌグリスンビランは、リーグ規定で外国籍選手枠が9名(内アジア1名、東南アジア1名)の登録が認められている中、チーム予算の都合上、外国籍選手はグロン選手の他には、今季ここまで3ゴールで現在チーム得点王のFWカサグランデ(ブラジル)、ジョホール・ダルル・タジムから期限付き移籍中のMFレヴィ・マディンダ(ガボン)そしてDFサフワン・バハルディン(シンガポール)の4名しか登録しておらず、グロン選手の離脱は現在9位のチームにとっては大きな痛手です。

DFながら、その長身からセットプレーでは驚異となるグロン選手の離脱に加え、チーム得点王のFWカサグランデもケガで直近の2試合はベンチ入りしておらず、今後、順位を上げていくためには、7月5日に開くドランスファーウィンドウで外国籍選手の補強はチームにとって必至です。

来月タイで開催のAFC U17アジア杯予選出場のU17代表候補合宿参加メンバー発表

来月6月15日からタイで開催されるAFC U17アジアカップ予選に向けて、マレーシアサッカー協会FAMは公式ホームページ上で、U17代表候補最終合宿参加メンバー25名を発表しています。

U17代表は、2月に国内で行った第1次合宿に続き、先月4月にはおよそ2週間の第2次合宿をカタールのドーハで行い、カタールクラブの年代別チームと積極的に練習試合をこなし、5勝1敗の成績を挙げて合宿を終えています。今回発表された25名中、20名はこのカタール合宿の参加メンバーです。また残る5名は第1次合宿には参加したものの、カタール合宿には呼ばれなかったメンバーが復帰する形となっています。

今回の合宿はFAMと青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会が共同で運営にあたっている国内トップサッカーアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーで今月21日から30日まで行われ、5月31日以降はスランゴール州にあるFAMの施設で、タイ出発予定日の6月12日直前まで続けられます。なお合宿期間中には、サウジアラビア、カザフスタンといった強豪のU17チームとの練習試合も予定されています。なお合宿参加者25名はこちらです。

今回のアジア杯予選でA組のマレーシアは、イエメン(6月15日)、タイ(6月18日)、ラオス(6月21日)と対戦し、準々決勝の出場権がかかるA組2位以上の成績を目指します。

9月の国際マッチデーでマレーシアはイラクと対戦の可能性が浮上

サッカー専門サイトのヴォケットFCは、今年9月のFIFA国際マッチデーでマレーシア代表がイラク代表と対戦する可能性があると伝えています。

イラクサッカー協会(IFA)はマレーシアサッカー協会(FAM)と協議中だとされており、これが実現すれば2006年12月にカタールのドーハで開催されたアジア競技大会以来13年ぶりの対戦となります。この時は両チームはグループステージで中国、オマーンとともに同組となり、ユニス・マフムードの2ゴールの他、アリ・ヘレマ、ムスタファ・カリムにもゴールを許し0-4で敗れています。

アジアカップ2007年大会で優勝しているイラクは、今月11日に行われたAFCアジアカップ2023年大会の組み合わせ抽選で日本と共にD組に入りましたが、インドネシア、ベトナムの両東南アジアチームとも同組となったことから、同様のチームとの対戦相手としてマレーシアを大会前の練習試合相手の候補に上げているようです。なおイラクは昨季の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ優勝のタイとの対戦も検討しているとされています。

アジアカップ2023年大会でマレーシアはヨルダン、バーレーン、韓国と同じE組に入ったことから、イラク戦が実現すれば、マレーシアにとっても大会前に中東の強豪相手に実力を試す貴重な機会となります。

5月17日のニュース
東南アジア競技大会-インドネシアが延長戦を制して32年ぶりにサッカー男子で金メダル獲得
ディオン・コールズがタイ1部リーグの年間ベストXIに選出

東南アジア競技大会-インドネシアが延長戦を制して32年ぶりにサッカー男子で金メダル獲得

試合開始から両チームが激しくぶつかり合う展開となる中、準決勝では大会3連覇を狙うベトナムをロスタイムの決勝ゴールで3-2と破ったインドネシアは、そのベトナム戦同様、ロングスローで相手ゴールを狙います。ロングスローを得意とするプルタマ・アラハン(東京ヴェルディ)はベトナム戦でのレッドカードで出場停止となる中、この試合では右サイドで得たスローインをアルフェアンドラ・デワンガ(PSISスマラン)がゴール前へのロングスロー、これをラマダン・サナンタ(PSMマカッサル)がタイDFと競り合いながらも押し込んでインドネシアが先制します。さらに前半終了間際の45分には、自陣ゴール前からのロングキックをタイDFと争いながら、タイGKソポンウィット・ラキャート(タイ2部プレー・ユナイテッド)のポジショニングを見透かしたように浮き球のシュートを放つとこれが無人のゴールにそのままイン。今大会通算5ゴールで大会得点王に並ぶこのゴールで前半はインドネシアが2-0で折り返します。

東南アジア競技大会通称シーゲームズ2023年大会のサッカー男子の決勝がカンボジアのプノンペン行われ、延長戦の末、インドネシアが5-2でタイを破り1991年大会以来32年ぶりの優勝を飾っています。なおシーゲームズは2001年大会からU23チームの、2017年大会はU22チームの対戦になっていますが、年代別大会となってからはインドネシアは初優勝となります。

しかし準決勝ではミャンマーに3-0と快勝した大会通算14回と最多優勝を誇るタイも、後半の64分にマレーシア戦でもゴールを決めたアナン・ヨドサンワル(ラムプーン ウォリアーズ)が素晴らしいヘディングシュートでゴールを決めて1点差に詰め寄るものの、その後は両チームが激しくせめぎ合うも得点にはならず、このまま試合終了かと思われたそのとき、主審がフリーキックを与えるために吹いた笛を試合終了と勘違いしたインドネシアのインドラ・シャフリ監督らがピッチに飛び出し、試合は一時中断します。そこでインドネシアの集中力が一瞬途切れたのか、それともタイの勝利への執念が勝ったのか、そのロスタイムにやはりマレーシア戦でゴールを決めていた17歳のヨッツアコン・ブラパ(タイ2部サムットプラーカーン・シティ)が劇的な同点ゴールを決め、土壇場でタイが同点に追いつきます。

この同点ゴール直後に両チームの首脳陣や控え選手間で小競り合いが起こり緊張が高まり、試合も東南アジアのサッカーらしいラフプレーが随所に見られる展開になっていく中で、試合は延長戦に突入し、95分にはタイDFのミスからボールを奪ったイルファン・ジャウハリ(プルシス・ソロ)がゴールを決めて、再びインドネシアがリードします。そして、このゴール直後には両チームのベンチ間で再び小競り合いが起こり、インドネシアはコマン・トリスナンダ(ボルネオFC)、タイはGKソポンウィット選手がレッドカードで退場、さらにインドネシアはコーチ2名に、タイは控え選手とコーチの計3名にレッドカードが出される事態となってしまいます。

さらにタイが99分にこの試合2枚目のイエローが出されたジョナサン・ケムディー(ラーチャブリーFC)が退場となり9名となると、インドネシアはその数的有利の機会を逃さず、106分にはファジャル・ファスル・ラーマンがこの試合4点目のゴールを決め、会通算5ゴールで、ラマダン選手と得点王に並ぶと、さらに118分に今度はティーラサク・ポイティマイ(ポートFC)が2枚目のイエローで退場すると、その直後にベッカム・プトラ(プルシブ・バンドン)がダメ押しとなるゴールを決め、そのままインドネシアが5-2で勝利し、32年ぶりの金メダルを獲得しています。なおこの試合の前に行われた3位/4位決定戦では、ベトナムがミャンマーを3-1で下して銅メダルを獲得しています。

東南アジア競技大会サッカー男子決勝
2023年5月16日@オリンピックスタジアム(プノンペン、カンボジア)
インドネシア 5-2 タイ(延長)
⚽️インドネシア:ラマダン・サナンタ2(21分、45分)、イルファン・ジャウハリ(95分)、ファジャル・ファスル・ラーマン(106分)、ベッカム・プトラ(120分)
⚽️タイ:アナン・ヨッドサンワル(64分)、ヨッツアコン・ブラパ(90分)

https://youtu.be/nwrXGYlyp9E
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

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なお、この試合でイエロー2枚で退場となった長身センターバックのジョナサン・ケムディーは、試合直前に自身のSNSで今大会の決勝を最後にタイ代表からの引退を発表しています。U22/23代表としてこれまで17試合に出場して2ゴールを決めているケムディー選手は引退の理由は明らかにしていませんが、タイ生まれながら、これまでタイのA代表への招集経験はないことから、父親の母国であるデンマーク代表入りも視野に入れてのタイ代表引退宣言ではといった憶測も出ています。

ディオン・コールズがタイ1部リーグの年間ベストXIに選出

タイ1部リーグで今季は既に二冠を達成し、三冠目となるタイリーグカップにも決勝しているブリーラム・ユナイテッド。このチームに今年1月に移籍したマレーシア代表DFのディオン・コールズが、今季のリーグベストXIに選ばれたと、マレーシア国外でプレーするマレーシアに関連した選手を紹介している「ハリマウ・アブロード」が伝えています。

タイリーグのスポンサーになっている携帯電話会社AIS Playによる2022/23年シーズンのタイ1部リーグベストXIには、コールズ選手の他、かつてJリーグの横浜FマリノスでもプレーしたMFティーラトン・ブンマタン、来季は英国プレミアリーグのレスターシティへの移籍が噂されるFWスファナット・ムエアンタを含めて6選手がブリーラム・ユナイテッドから選出されています。この他にはGKミカエル・ファルケスゴーア、DFエヴァートン(バンコク・ユナイテッド)、サミュエル・ローザ(PTプラチュワップFC)らが今季ベストXIに選出されています。

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サラワク州のクチン生まれながら、ベルギーで育ったコールズ選手にとっては、ブリーラム・ユナイテッドへの移籍がアジアで初めてのプレーとなりました。移籍が決まった際のインタビューでは、ブリーラム・ユナイテッドが東南アジアで最大のクラブの一つであり、ちょうど声がかかった時点ではどことも契約を結んでいなかったことに加え、ブリーラム・ユナイテッドが長期契約をオファーしたことが契約の要因となったと説明したコールズ選手ですが、主力選手としてチームの国内二冠達成に貢献し、目指す三冠達成まで後1試合を残すのみとなっています。

2023マレーシアスーパーリーグ
第4節、第10節結果とハイライト映像(3)-ジョホールは開幕10連勝

 5月13日と14日に未消化だったマレーシアスーパーリーグ2試合が開催されています。豪雨のためキックオフ後に試合中止となった第4節のヌグリスンビラン対KLシティ、また両チーム合意の上、日程が変更となった第10節のジョホール・ダルル・タジム対クランタン・ユナイテッドはいずれもホームのチームが勝利しています。
 東南アジア競技大会にマレーシアU22代表が出場するため中断されていたスーパーリーグは今週5月18日に始まる第11節から再開します。(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年5月13日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:10,833人
ジョホール・ダルル・タジム 6-0 クランタン・ユナイテッド
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(8分、61分、69分PK)、フェルナンド・フォレスティエリ2(22分、90+2分)、レアンドロ・ヴァレスケス(76分PK)
🟨ジョホール:エンドリック・ドス・サントス
🟨クランタン:S・シャーヴィン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

 この表現を今季、既に何度使ったかわかりませんが、この試合もジョホールが圧勝しています。昨季はリーグ新記録となる29ゴール(出場19試合)でリーグ得点王となったベルグソン・ダ・シルヴァは、今季はケガで出遅れ、ここまで出場5試合で3ゴールでしたが、この試合では試合開始から8分でミドルシュートからのゴールを決めると、61分、69分(PK)とさらにゴールを決め、ハットトリックを決めて、得点王争いの3位に浮上しています。また現在の得点王のフェルナンド・フォレスティエリも1アシスト2ゴール、さらに今季は4試合目の先発となったレアンドロ・ヴァレスケスも今季4ゴール目をPKで決めるなど。圧勝で10連勝を飾っています。
 スーパーリーグで今季で唯一の未勝利チームとなっているクランタン・ユナイテッドは、この試合では前後半とも圧倒され、GKアシャラフ・オマルはの好守が無ければ、さらに大差で負けていた試合でした。なおクランタン・ユナイテッドはこの試合で3試合連続零封負けとなりました。

2023年5月14日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:452人
ヌグリスンビラン 2-1 KLシティ
⚽️ヌグリスンビラン:ザクアン・アドハ(73分)、サフワン・バハルディン(87分)
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ(85分)
🟨ヌグリスンビラン:サフワン・バハルディン
🟨KLシティ:セバスチャン・アバンジーニ
MOM:サフワン・バハルディン(ヌグリスンビラン)

 3月11日に行われた試合が開始後27分で豪雨のため中止となり、再戦となったこの試合はヌグリスンビランは辛勝しています。直近の4試合で4ゴールと得点不足に悩むヌグリスンビランは、チームトップの6ゴールを挙げているカサグランデを欠くなど苦しい布陣でしたが、前半を0-0で折り返すと、後半には73分にキャプテン、ザクアン・アドハの今季初ゴールで先制します。85分にはザフリ・ヤハヤのゴールでKLシティに一旦は追いつかれたものの、その2分後にはサフワン・バハルディンがやはり今季初ゴールを挙げて再びリードを奪います。2ゴール以上を挙げたのは今季これが3試合目ながら、過去2試合はいずれも勝利しているヌグリスンビランは、この試合もKLシティの反撃をこの1点に抑えて4試合ぶりの勝利を挙げています。
 KLシティはリーグ中断前まで4連勝と調子を上げていましたが、3月31日以来の敗戦となりました。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了時)

順位チーム勝点
1JDT1010004314230
2SEL1071223111222
3SRP106401771022
4SAB1062224141020
5KDA106131715219
6KLC104331514115
7PEN104241616014
8TRE104151313013
9NSE103431318-513
10PDRM10316715-810
11PRK10235819-119
12KCH10118520-154
13KEL101181334-224
14KLU10028521-162
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第10節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)104022610
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)71713010
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)6201016
4アリフ・アイマン(JDT)516869
ステファノ・ブルンド(SRP)5209010
パク・テス(SAB)514709
スーニー・サアド(PEN)52914010
クパー・シャーマン(SRP)515729
ウィリアン・リラ(KDA)5247110
9ジョーダン・ミンター(TRE) 410617
イヴァン・マムート(TRE)4301408
ジオゴ(JDT)411626
フアン・ムニス(JDT)4181008
ダニエル・ティン(SAB)44418
サディル・ラムダニ(SAB)413929
ファイサル・ハリム(SEL)41311310
パウロ・ジョズエ(KLC)4261419
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

5月14日のニュース
タイ1部リーグ第30節-ディオン・コールズは3試合ぶりの先発も、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールはベンチ外で今季終了

マレーシアは男女とも既に敗退した東南アジア競技大会のサッカーは、準決勝が行われ、U22代表が対戦する男子はフィリップ・トルシエ元日本代表監督が率いるベトナムがインドネシアに2-3で敗れて大会3連覇を逃しています。ウィタン・スレイマン、リスキ・リド(いずれもプルシジャ・ジャカルタ)、ラマダン・サナンタ(PSMマカッサル)、プラタマ・アルハン(東京ヴェルディ)、マルセリーノ・フェルディナン(ベルギー2部KMSKダインゼ)といったA代表でもプレーする選手を揃えたインドネシアは1991年大会以来32年ぶりの優勝を目指して、ミャンマーを3-0で下したタイと対戦します。
 女子は、カンボジアを4-0で下して4連覇に王手をかけたベトナムと、タイを4-2で破ったミャンマーが大会初優勝をかけて対戦します。

タイ1部リーグ第30節-ディオン・コールズは3試合ぶりの先発も、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールはベンチ外で今季終了

5月12にタイ1部リーグの今季最終節となる第30節が行われています。既に今季の優勝を決めたブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは3試合ぶりに先発しましたが、PTプラチュワップFC所属のジュニオール・エルドストールと、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはいずれもベンチ外で今季最終戦を終えています。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第30節
2023年5月12日@チャンアリーナ
ブリーラム・ユナイテッド 4-0 ナコーンラーチャシーマーFC
 既にリーグ戦とFAカップの優勝を決めているブリーラム・ユナイテッドが最終戦に勝利し、来週土曜日5月20日のリーグカップ決勝に弾みをつけてました。
 ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは先発してフル出場しています。

2023年5月12日@サーン・アーオスタジアム
PTプラチュワップ 2-0 スコータイFC
 前節では降格圏と勝点差3だったPTプラチュワップFCは無事に1部残留を決めています。
 PTプラチュワップのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)はベンチ外でした。

2023年5月12日@サンダー・ドームスタジアム
ムアントン・ユナイテッド 4-0 ラーチャブリーFC
 5試合続けて勝ち星がなかったラーチャブリーFCは、この試合でも敗れて最終順位が8位に転落しています。
 韓国やインドネシアへ移籍の噂が出ているラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはベンチ外でした。

タイ1部リーグ最終順位表(第30節終時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU30235275274874
2バンコクU30195655223362
3ポート301410652381452
8ラーチャブリー30101193229341
11プラチュワップ3098134451-735

*****

いずれも今年1月に移籍しながら、ディオン・コールズはブリーラム・ユナイテッドで主力選手となり、チームの国内二冠達成に貢献した一方で、サファウィ・ラシドはラーチャブリーFCでは途中交代と途中出場を繰り返し、ジュニオール・エルドストールに至ってはベンチ外となった試合数が出場試合数を上回るなど、マレーシア代表選手の間で明暗が分かれています。

このままではサファウィ、エルドストール両選手は、アジアカップの対戦相手が決まったことで強化がいよいよ本格化する代表チームに招集されるかどうかも危うくなってしまうため、出場機会を求める両選手の今後の動向が気になります。

5月12日のニュース
アジアカップの組み合わせ決定-16年ぶり出場のマレーシアは韓国、ヨルダン、バーレーンと同じE組に
東南アジア競技大会-予選敗退決定のマレーシアは最終戦のシンガポール戦で大勝
給料未払いのクランタンFCオーナー「給料を全額受け取りたければ、試合に勝て」

アジアカップの組み合わせ決定-16年ぶりに出場のマレーシアは韓国、ヨルダン、バーレーンと同じE組に

来年1月12日から2月10日にカタールで開催されるAFC選手権アジアカップ2023の組み合わせ抽選会が11日にカタールのドーハで行わ、直近のFIFAランキング138位のマレーシアは、E組に入り同27位の韓国、同84位のヨルダン、同85位のバーレーンと1次リーグを戦うことが決まっています。

アジアカップは、東南アジア4ヵ国での共催となった2007年大会に開催国枠での出場が最後ですが、予選を突破して本大会出場を決めたのは1980年以来43年ぶりというマレーシアのキム・パンゴン監督は、この組み合わせ抽選会後にオンラインでメディアに対応し、母国監督との対戦について「韓国はアジアのトップチームの一つであり、サポーターがマレーシア代表を誇りに思えるよう、全力で立ち向かいたい」と述べています。

アジアカップは出場24チームが6組に分かれて1次リーグを実施し、各組2位までと3位のうち成績上位4チームが決勝トーナメントに進みます。試合は昨年のW杯で日本がドイツ、スペインを破ったドーハのハリファ国際競技場など6つのW杯スタジアムを含む8会場を使用します。なお、以下が抽選の結果決まった、アジアカップ2023の1次リーグの組み合わせです。

グループ所属国
Aカタール、中国、タジキスタン、レバノン
Bオーストラリア、ウズベキスタン、シリア、インド
Cイラン、アラブ首長国連邦、香港、パレスチナ
D日本、インドネシア、イラク、ベトナム
E韓国、マレーシア、ヨルダン、バーレーン
Fサウジアラビア、タイ、キルギス、オマーン
東南アジア競技大会-予選敗退決定のマレーシアは最終戦のシンガポール戦で大勝

いまさら大勝してもなぁ。

東南アジア競技大会通称シーゲームズ男子サッカーB組最終節が11日に行われ、いずれもグループステージ敗退が決まっているマレーシアとシンガポールの対戦は、マレーシアがシンガポールを7-0と無駄に一蹴しています。既にグループステージ敗退が決まったからか、今大会これまでマレーシアの試合を全て放送してきた国営放送局のRTMは、この試合が予定されていた時間に、金メダルがかかる男子バドミントンの試合に急遽差し替えられる仕打ちも受けた(笑、いや泣)マレーシアの先発XIは以下の通りです。なお前節のベトナム戦でナジムディン・カマル(ジョホール・ダルル・タジムII)とアザム・アズミ(トレンガヌ)はレッドカードをもらっているため、この試合は出場停止になっています。


14分にT・サラヴァナン(KLシティ)のゴールで先制したマレーシアは、そのサラヴァナン選手のクロスにハキミ・アジム(KLシティ)が頭で合わせて2点目を決め、前半を終了します。後半に入るとサラヴァナン選手は48分、54分とゴールを決めてハットトリックを達成すると、63分にはゴール前でのこぼれ球を押し込んでこの試合4得点目を挙げます。さらに88分にはキャプテンのムカイリ・アジマル(スランゴール)、そして途中出場のアイマン・アフィフ(クダ)が追加点を挙げて、7-0と圧勝しています。

*****

重要なベトナム戦で先発させてもらえなかったサラヴァナン選手がその鬱憤を晴らすかのようにこの試合では4ゴール1アシストの大活躍。この結果に一番喜んでいるのはサラヴァナン、ハキミ両選手が所属するKLシティのボヤン・ホダック監督でしょう。この両選手がこのシーゲームズをきっかけにブレークすれば、今季はここまで9試合で14得点とリーグ7位の得点力不足に悩むKLシティの救世主になるかもしれません。

2023年5月11日@プリンススタジアム
シンガポール 0-7 マレーシア
⚽️マレーシア:T・サラヴァナン4(14分、43分、58分、62分)、ハキミ・アジム(45+2分)、ムカイリ・アジマル(87分)、アイマン・アフィフ(90+3分)

https://youtu.be/O7yZzmF3Mjc
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

また、マレーシアに開催されたB組のもう1試合は準決勝進出を決めているとタイとベトナムが1-1で引き分け、得失差でタイがB組1位、ベトナムが同2位となり、タイはA組2位のミャンマーと、ベトナムはA組1位インドネシアとの準決勝に臨みます。

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第7節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1タイ4310103710
2ベトナム431086510
3マレーシア420213586
4ラオス4013211-91
5シンガポール4012213−111
給料未払いのクランタンFCオーナー「給料を全額受け取りたければ、試合に勝て」

クランタンFCの選手とされる数名がSNS上で給料が未払いとなっていることを明らかにしたことに対し、そのオーナーが、試合に勝てば未払い給料を支払う用意があると述べていると、マレーシア語紙のシナル・ハリアンが報じています。

今季はここまで1勝1分10敗でリーグ13位に低迷するクランタンFCのオーナー、ノリザム・トゥキマン氏は、選手はチームが求めるKPI(重要業績評価指標)を達成していないとして、給料を50パーセントカットしていることを認めた上で、KPIを達成すればカットした50パーセントの給料を支払う予定があるとして、選手は未払い給料を受け取るためには、チームがあと2勝しなければならないと、自身のSNSに投稿しています。

シナル・ハリアンの記事とほぼ同時期に、サッカー専門サイトのヴォケットFCは「マレー半島東海岸の州に本拠地を持つチームが、新規選手獲得禁止処分を受けるという噂を報じています。国内で選手代理人を務めるジョー・ベルバトフ氏が公表した声明によると、ベルバトフ氏はマレーシアスーパーリーグのチームに関して、そのチームだけでなく、マレーシアサッカー協会FAM、アジアサッカー連盟AFC、国際サッカー連盟FIFAに対しても苦情申し立てを行なったということです。

そしてそのチーム名は伏せられているものの、上で取り上げたようにクランタンFCでは給料が50パーセントカット、つまり契約書で約束された給料全額が支払われていないことが明らかになっていることから、ベルバトフ氏が苦情申し立てを行ったのがクランタンFCではないかとされています。マレーシアの今季2度目のトランスファーウィンドウは7月5日から8月1日までですが、もし新規選手獲得禁止処分を受けることになれば、リーグ13位のチームにとって大きな痛手になりそうです。

5月11日のニュース
東南アジア競技大会-サッカー女子代表は3連敗で男子に続きグループステージ敗退が決定
サファウィ・ラシドに韓国やインドネシアのチームが関心?
フットサル-ジョホールはフットサルでもあくなき補強でリーグ加入初年度で優勝を目指す

東南アジア競技大会-サッカー女子代表は3連敗で男子に続きグループステージ敗退が決定

カンボジアで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズで5月9日にサッカー女子のグループステージA組最終節が行われ、ここまで2連敗中だったマレーシアは、ミャンマーに1-5で敗れて3連敗となり、勝点0でグループステージ敗退となりました。昨日はU22代表が対戦するサッカー男子でマレーシアはベトナムに敗れてグループステージ敗退を決めており、男女とも準決勝に進むことなく大会を終えています。また、昨年12月にマレーシア女子代表監督に就任したソリーン・アル=ゾウビ氏にとっては残念なA代表デビューとなりました。

初戦のベトナム戦では0-3、前節のフィリピン戦ではロスタイムの失点で0-1と惜敗したマレーシア女子代表は、女子ワールドカップに出場する両チームに善戦したことから、この日のミャンマー戦では大会初勝利も期待されました。しかし、ミャンマーはこの試合に大量得点で勝利すれば、準決勝進出の可能性が残されていただけに、試合開始からマレーシアゴールに襲いかかり、開始3分でジュライ・チョーが、さらにはキン・マーラー・トゥンが26分、39分と立て続けにゴールを決め、マレーシアは前半だけで0-3とリードを広げられます。

しかし後半に入ると、マレーシアは途中出場のインタン・サラーが58分に今大会チーム初得点となるゴールを決め、点差を縮めます。しかし62分、82分とサン・トー・トーがゴールを決めたミャンマーがマレーシアに圧勝しています。なお、ミャンマーはこの大量得点が功を奏し、この日ベトナムを破り勝点で並んだフィリピンを得失点差で上回り、準決勝進出を決めています。

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グループステージ敗退後、女子代表のソリーン・アル=ゾウビ監督は、今回の結果について、初戦のベトナム、2戦目のフィリピンと強豪との対戦が続き、3戦目となったミャンマー戦は消耗した選手たちにとって最も難しい試合だったと述べた上で、今回は若い選手や国際試合の経験がない選手が多いチームだったことも勝点0に終わった理由の一つと分析する一方で、国内リーグのレベルアップと新戦力の発掘が今後の課題となると説明しています。

2023年5月9日@RCAFオールドスタジアム
ミャンマー 5-1 マレーシア
⚽️ミャンマー: ジュライ・チョー(3分)、キン・マーラー・トゥン2(26分、39分)、サン・トー・トー2(62分、82分)
⚽️マレーシア:インタン・サラー(58分)

東南アジア競技大会2023 女子サッカーA組順位表(最終結果)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム32017346
2ミャンマー32017436
3フィリピン32013216
4マレーシア300304-40
サファウィ・ラシドに韓国やインドネシアのチームが関心?

成績不振からクランタンの監督を更迭されたチェ・ムンシク氏の代理人が、自身のSNSにタイでプレーするサファウィ・ラシドと撮った写真を投稿したことから、サファウィ選手が韓国でプレーするのでは、という期待が国内サッカーファンの間で高まっています。サファウィ選手との写真を投稿したのは代理人のレオ・ジョン氏で、この投稿にはジョン氏がサファウィ選手を韓国に連れていくのでは、といったコメントもついています。

所属するジョホール・ダルル・タジム(JDT)では出場機会に恵まれず、今年1月からタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍しているサファウィ選手ですが、同じくタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーするディオン・コールズとは違い、レギュラーポジションが掴めていません。以前このブログでも取り上げましたが、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はサファウィ選手と直接連絡を取った際に、サファウィ選手がチームに「馴染めておらず、JDTに戻りたがっている」と話したと明かしましたが、チーム関係者がそれを否定しています。

またサファウィ選手がマレーシアリーグに戻るのであれば、是非、獲得したいと出身地のトレンガヌ州を本拠地とするトレンガヌのCEOが名乗りを上げるなど、一時はマレーシアリーグ復帰が濃厚に見えていましたが、今回の一件でマレーシア以外、という選択肢も浮上しているのかも知れません。

またTwitter上では、サファウィ選手はインドネシア1部で来季はプレーするのでは、といった噂も出ています。そしてサファウィ選手クラスであれば、国内トップクラブのプルシジャ・ジャカルタやプルシブ・バンドンの名が上がっています。特にプルシブ・バンドンは終了したばかりの2022/23シーズンでは右ウィングのフェブリ・ハリヤディが大不調だったこともあり、同じポジションのサファウィ選手ならそこにそのまま当てはまる、ということのようです。

フットサル-ジョホールはフットサルでもあくなき補強でリーグ加入初年度で優勝を目指す

国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグは、先週末で前半戦が終了し、今週末から後半戦が始まります。後半戦開幕を前に5月1日から開いているトランスファウィンドウでは、Fリーグの名古屋オーシャンズから日本代表の平田ネトアントニオマサノリ選手がスランゴールTOTユナイテッドに7月までの限定期間ながら移籍することを、このブログでも取り上げました。

前半戦を3勝3敗のB組4位で終えたスランゴールTOTユナイテッドは、準決勝進出がかかる2位以内を目指しての補強ですが、前半戦をB組首位で折り返すジョホール・ダルル・タジム(JDT)も、リーグ加入初年度から優勝を目指して積極的な補強を行っています。サッカーでは国内トップリーグのスーパーリーグで昨季まで9連覇を達成し、今季は第10節を終えた時点で既に10連覇が濃厚のJDTですが、フットサルでも開幕前には他のチームからマレーシア代表クラスを次々と獲得し、その結果が昨季のリーグ覇者スランゴールMACを得失差で抑えての前半戦首位折り返しとなっています。

そのJDTは、ケガが噂されるアブドル・ラーマン・サラニ(イラン)に代わり、ニノことタナトゥル・タダヴィロット(タイ)をアジア枠の外国籍選手として6ヶ月の期限付き移籍で獲得したことを発表しています。タイの強豪チョンブリー・ブルーウェーブ出身で、2021/22シーズンはスペイン1部のショタFSでプレーした23歳のタナトゥル選手は、この移籍ニュースを取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、タナトゥル選手はスペイン語と英語も堪能で、JDTのフアン・アントニオ・ミゲル・ガルシア監督やチームメートとのコミュニケーションには全く問題がないだろうとしています。

5月9日のニュース
東南アジア競技大会-最後は9人となったマレーシアはグループステージ敗退決定
KLシティのオーナーは国外クラブと提携を模索
AFFフットサルクラブ選手権-パハンレンジャーズは4位、ブラックスティールFCパプアが初優勝

東南アジア競技大会-最後は9人となったマレーシアはグループステージ敗退決定

東南アジア競技大会通称シーゲームズ男子サッカーのグループステージB組第4節が5月8日に行われ、フィリップ・トルシエ元日本代表監督が率いるベトナムU22代表と対戦したマレーシアU22代表は、1-2で敗れて、2大会ぶりに準決勝進出を逃しています。完敗だったシンガポール戦から中1日という日程で臨んだこの試合で、マレーシアU22代表のE・エラヴァラサン監督はMFナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジム-JDT II)を今大会初先発で起用、またタイ戦では先発を外れたFWハキミ・アジム(KLシティ)とMFムカイリ・アジマル(スランゴール)が再び先発XIに復帰するなど、エラヴァラサン監督が絶対的エース不在の中、選手起用に悩んでいることが見て取れます。(以下はこの日の先発XI)

試合は開始7分でいきなり動きました。ベトナムのヴォ・ミン・チョンが放ったミドルシュートが、ペナルティーエリア内でハリス・ハイカル(スランゴール)の手に当たり理ます。ハリス選手は手が自然な位置にあったと抗議しますが、日本人の飯田淳平主審はこれを受け入れず、ベトナムにPKを与えます。グエン・ヴァン・トゥンの放ったシュートはシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)が一旦、止めたものの、詰めていたヴァン・トゥン選手がこれを押し込み、ベトナムが先制します。このゴールで勢い付いたベトナムは、試合を優位に進め、33分にはファン・トゥアン・タイがマレーシアDFラインの裏へロングボールを挙げると、これを受けた左サイドのミン・チョン選手がゴール前にクロスを上げ、ヴァン・トゥン選手がマレーシアDFと競ることなく頭で合わせてゴールし、ベトナムがリードを2点に広げます。

この試合で負ければグループステージ敗退が決まるマレーシアは、ここからギアを上げて反攻に転じますが、それが実ったのが43分でした。ペナルティエリアすぐ外でフリーキックを得たマレーシアはアリフ・イズワンがゴール前へ蹴り込みます。このボールは一旦はベトナムGKクアン・ヴァン・チュアンが触れながらも捕球しそこね、それをアイマン・アフィフ(クダ)が押し込んで、マレーシアが1点を返し、後半に望みを託します。

後半に入るとマレーシアは、ラインを押し上げて同点ゴールを狙いますが、ブレーにも荒さが現れ始めました。78分には途中出場のサフワン・マズラン(トレンガヌ)がベトナム選手に手を挙げて一発レッド、さらに前線で機能していたナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジム-JDT II)が84分にレイトタックルで2枚目のイエローをもらうなど、押し気味に進めながらも最後は9人となったマレーシアではそれ以上の反撃はできず、1-2で大会3連覇を狙うベトナムに敗れてグループステージ敗退が決まりました。マレーシアはB組最終戦となるシンガポール戦が

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今大会のマレーシアU22代表は、リーグ2年連続MVPのアリフ・アイマン、ACLでもプレーするなどチームの主力となっているナサニエル・シオ(いずれもジョホール・ダルル・タジム-JDT)といったA代表クラスの選手を、この大会がFIFAカレンダー外だったことから招集できなかった点を差し置いても、最終的には個々の選手の能力に依存し、戦術、戦略ともに準備不足な印象だけが残りました。「目標は決勝進出、最低でも準決勝進出」という目標を公言しながら、先発メンバーを試合ごとに変更した上、公言した通りの結果が残せなかったE・エラヴァラサン監督以下首脳陣が今後もこのチームを率いるべきなのか、の再考が必要です。またベトナムやタイの若い選手が活躍する様子を見ると、今年から始まったU23リーグのMFLカップの外国籍選手枠の見直しなど、マレーシアサッカー協会としての育成方針の見直しも必要かも知れません。

2023年5月8日@プリンススタジアム
ベトナム 2-1 マレーシア
⚽️ベトナム:グエン・ヴァン・トゥン2(7分PK、33分)
⚽️マレーシア:アリフ・イズハン(43分)

https://youtu.be/LTkZQQJGqJI
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第7節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1タイ33009279
2ベトナム33007259
3マレーシア31026513
4シンガポール301226−41
5ラオス4013211−91
KLシティのオーナーは国外クラブと提携を模索

今年からスーパーリーグに所属するKLシティのオーナーとなったアズリ・アゼライ氏が、先日、韓国1部の光州FCとFCソウルを表敬訪問したことを自身のSNSに投稿し、さらにKLシティと外国クラブとの提携を模索していると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

今年3月にKLシティの51パーセントの株式を510万リンギ(およそ1億6000万円)で購入した財務コンサルティング企業リナニ・グループ社のトップであるアズリ氏は、英国のプレミアリーグやスペインのラ・リガ、イタリアのセリエAの他、KリーグやJリーグといった各国のリーグのクラブと提携し、KLシティの強化に繋げたいと話しています。

「(表敬訪問した)韓国の両クラブはそれぞれの「雰囲気」を持っていた。光州FCは「落ち着いて家庭的な」雰囲気で、FCソウルはKLシティの本拠地、クアラルンプールと同様の「都会的な」雰囲気を持っていた。」と話したアズリ氏は、今後数ヶ月の内に複数の外国クラブとの具体的な提携関係が正式に調印されることになるだろうと話しています。

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別の記事では、こういった外国のクラブと提携関係が確立された場合、KLシティは海外でプレシーズンのトレーニングを行う可能性があるなどとも報じられています。2022年AFCカップ準優勝のKLシティですが、現在はクラブ専用の練習施設がないことから、アズリ氏は以前のインタビューで、チームに自前の施設を持たせ、選手たちがトレーニンググラウンドを移動する必要がなくなるようにするという、クラブの短期的および長期的な計画を述べ、チーム専用の練習施設を建設するために、土地購入なども検討していることを明らかにしています。

AFFフットサルクラブ選手権-パハンレンジャーズは4位、ブラックスティールFCパプアが初優勝

タイで開催されていた東南アジアサッカー連盟AFFフットサルクラブ選手権に出場していたマレーシアのパハン・レンジャーズは、3位/4位決定戦でタイ・ソンナム(ベトナム)に0-3で敗れて4位に終わっています。

準決勝ではブラックスティールFCパプア(インドネシア)に0-7で敗れていたパハン・レンジャーズは19分にベトナム代表グエン・アイン・ズインのゴールで先制されて前半を0-1で折り返すと、後半開始2分にはトゥ・ミン・クアンのゴール、さらには34分にリズワン・バクリのオウンゴールで0-3となり万事休す。2021年大会のスランゴールMAC以来の3位を狙ったパハン・レンジャーズは4位に終わっています。

なお決勝は延長戦を含む50分の試合でも1-1と決着がつかず、PK戦となりましたが、スティールFCパプアが、ホンイエン・タカム(タイ)を4-3で破り、AFFクラブフットサル選手権優勝を果たしています。

決勝は開始1分でターサック・チャロンポンのゴールでホンイエン・タカムが先制するも、32分にエヴァン・サモレナがボレーシュートを決めて同点に追いつきます。ブラックスティールFCパプアのラクフォル・サイネットン 監督とホンイエン・タカムのコーチ1人にレッドカードが出されるほどの激しい試合は延長に入っても決着がつかずPK戦へ。

4人全員がPKを決めたブラックスティールに対し、ホンイエン・タカムは2名が外し、この結果ブラックスティールFCパプアが初優勝を飾るとともに、前回2022年大会のビンタン・ティムール・スラバヤに続くインドネシア勢による2連覇を果たしています。またホンイエン・タカムにとっては前回大会に続き2大会連続の準優勝となりました。

5月8日のニュース
東南アジア競技大会-男子はタイに敗れて準決勝進出は絶望、女子はW杯出場のフィリピンに惜敗も2連敗
タイ1部リーグ第29節-ディオン・コールズはベンチ外、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールは途中出場
アイディル・シャリン氏はクランタンのチームの監督に就任か

東南アジア競技大会-男子はタイに敗れて準決勝進出は絶望、女子はW杯出場のフィリピンに惜敗も2連敗

カンボジアで開催中の東南アジア大会通称シーゲームズは、男女のサッカーが行われ、U22代表が争う男子サッカーでグループステージB組に入るマレーシアは、大会最多の16回の優勝を誇るタイと対戦し、0-2で敗れて通算成績を1勝1敗としています。本日5月8日に対戦するベトナム戦で敗れれば、グループステージ敗退が決まります。一方の女子はFIFA女子ワールドカップに出場するフィリピンと対戦し、0-1と惜敗したものの初戦のベトナム戦に続いて2連敗となり、自力での準決勝進出の可能性がなくなっています。

初戦のラオス戦に5-1で勝利していたマレーシアのE・エラヴァラサン監督は、初戦で途中出場ながらゴールを挙げたファーガス・ティネリー(ジョホール・ダルル・タジムII)、シャヒール・バシャー(スランゴール)らを先発から起用し、先手必勝の布陣を洗濯しています。(以下はこの日の先発XI)

この日は39度という暑さの中、両チームとも好機は少なく、タイが押し気味に進めながらも前半は0-0で終了しました。後半に入ると、好機は作るもののフィニッシュまで辿り着かないなど、徐々に動きが悪くなったマレーシアがゴールを目指して前掛かり気味になる一方で、タイはそれを見計らったかのようにカウンターで最終ラインにパスを通し始めます。特にGKシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)との間が開き始めた73分に、パスを受けたタイFWアナン・ヨッドサンワルがマレーシアのセンターバック2人をかわしてシュート。これが決まってタイがリードすると、84分にもやはりマレーシア最終ラインの間を縫うようなパスを受けた17歳のFWヨッツアコン・ブラパがGKをかわしてゴールを決め、これで万事休す。この日の敗戦でマレーシアははB組3位に転落し、いずれも無敗のベトナムとタイが勝点6で同率首位となっています2位となっています。、

2023年5月6日@プリンススタジアム
タイ 2-0 マレーシア
⚽️タイ:アナン・ヨッドサンワル(73分)、ヨッツアコン・ブラパ(84分)

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第3節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム22005146
1タイ22005146
3マレーシア21015323
4シンガポール301226−41
5ラオス301217−61
https://youtu.be/pBYYB0NFrpI
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

一方の女子は初戦のベトナム戦に続きFIFA女子ワールカップに出場するチームとの対戦になりましたが、超守備的な布陣を引いたマレーシアはロスタイムまで0-0と善戦したものの、試合終了間際にWEリーグのちふれASエルフェン埼玉で2021/22年シーズンから2季プレーしたサリナ・ボールデンに決勝ゴールを許して惜敗しています。

2023年5月6日@RCAFオールドスタジアム
マレーシア 0-1 フィリピン
⚽️フィリピン: サリナ・ボールデン(90+6分)

東南アジア競技大会2023 女子サッカーA組順位表(第2節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム22006156
2フィリピン21011103
3ミャンマー210123-13
4マレーシア200204-40
タイ1部リーグ第29節-ディオン・コールズはベンチ外、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールは途中出場

5月6日と7日にタイ1部リーグ第29節が行われています。既に今季の優勝を決めたブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズはベンチ外、PTプラチュワップFC所属のジュニオール・エルドストールとラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはいずれも途中出場しています。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第29節
2023年5月6日@ラムパーン県立スタジアム
ラムパーンFC 4-3 PTプラチュワップFC
 前節では2位のバンコク・ユナイテッドを破るなど、引き分けを挟んで3連勝中だったPTプラチュワップFCが、15位で馬場悠企選手が所属するラムパーンFCに敗れ、1部残留を確定できず、また順位を一つ下げて12位となっています。最終節を前に降格圏とは勝点差3ですが、次節30節で大量失点で破れない限りは1部残留が濃厚です。
 PTプラチュワップのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は85分から出場して、最後までプレーしています。

2023年5月7日@ドラゴン・ソーラー・パークスタジアム
ラーチャブリーFC 1-1 ブリーラム・ユナイテッド
 4試合続けて勝ち星がないラーチャブリーFCが、今季既にリーグ戦とFAカップの二冠を獲得しているブリーラム・ユナイテッドをホームに迎えたこの試合は、マレーシア代表選手同士の対決も期待されましたが、ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズはベンチ外で実現しませんでした。
一方、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは78分から出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第29節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU29225271274471
2バンコクU29194654213361
3ポート291410551351652
7ラーチャブリー29101183225741
12プラチュワップ2988134251-932
アイディル・シャリン氏はクランタンのチームの監督に就任か

現在8位と低迷するトレンガヌの監督就任が噂されたアイディル・シャリン氏ですが、トレンガヌのCEOがこの噂を否定する正式声明を発表して、この噂は噂で終わりましたが、トレンガヌ州に隣接するクランタン州にある2つのスーパーリーグのチームはいずれも今季開幕時に指揮を取っていた監督を更迭しており、今度はこのどちらかのクラブにアイディル氏が就任するのでは、という噂が流れています。

今季はインドネシア1部のプルシカボ1973の監督を務めたアイディル氏ですが、そのプルシカボ1973から出されている監督契約延長のオファーに対し、昨日を期限に考慮する時間を求めたとされています。「来季も契約を望んでいるプルシカボ1973のオファーを優先して考える必要があ理、その回答は今週末(5月7日)が起源となっている。それまでに今後の方針を決めたい。」と話したアイディル氏は、プルシカボ1973のサポーターの熱意が素晴らしく、それはとても素晴らしい経験だった。」と話す一方で、最終戦では、サポーターが暴走し、昨年10月の「カンジュルハンの悲劇」と似たような事故が起こりそうな状況となったことについても触れるなど、来季もインドネシアリーグに残るかどうかを思案している様子が窺えます。

インドネシアに渡る前には、クダの監督として4年間指揮を取ったアイディル氏ですが、就任1年目の2019年にはFAカップで優勝、マレーシアカップで準優勝し、翌2020年、2021年には2シーズン続けてリーグ2位の好成績を挙げるなど、マレーシアスーパーリーグでの実績は確かなアイディル氏は、「トレンガヌからは正式にオファーは受けていないが、代理人には契約内容に関する連絡が入っていると聞いている。また(マレー半島)東海岸」のチームからは正式に監督就任オファーを受けている」と既に交渉する用意があるチームがあることを明らかにしています。、

自分自身としては3季に亘り良い結果を残せたと自負している一方で、まだやり残したこともあると感じていると話したアイディル氏は、出身地のシンガポールに近いこともあり、マレーシアスーパーリーグで再び指揮を取りたいという希望があるとも話しています。

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「(マレー半島)東海岸」には北からクランタン州、トレンガヌ州、パハン州がありますが、これらの州に本拠地を持つチームのうち、公式声明で噂を否定したトレンガヌと現在リーグ3位と好調のスリ・パハンは、監督交代の可能性が低いことから、ここで言われている東海岸のチームはいずれもクランタン州に本拠地を持つクランタンとクランタン・ユナイテッドを指すと思われます。この両チームはそれぞれ13位と最下位の14位となっており、クランタンはチェ・ムンシク監督を、クランタン・ユナイテッドはトマス・トルチェ監督をいずれも解任しており、アイディル監督がマレーシアに戻るとすれば、このどちらかになる可能性が濃厚です。

5月5日のニュース
MFLと選手会が選手保護のための仕組み構築で合意
AFFフットサルクラブ選手権-パハン・レンジャーズが準決勝進出を決める
昨季パハンを実質クビになったギャメル氏がベトナムU22代表のコーチに

MFLと選手会が選手保護のための仕組み構築で合意

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLとマレーシアプロサッカー選手会PFAMは、プロサッカー選手を保護し、またプロサッカーチームの利益も守るための仕組みづくり構築に関する相互協力協定に署名したことを、マレー氏の通信社ブルナマが報じています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、スーパーリーグクラブの運営や選手のキャリアップといった面を含めた国内プロリーグの質の向上につながるとし、PFAMとの協力を歓迎すると述べています。またPFAMのイズハン・イスマイルCEOは、PFAMはスーパーリーグの商業価値を維持することに協力する一方で、選手の権利が確実に守られるようMFLと協力体制を取ると述べています。

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毎年のように起こる国内リーグでの給料未払い問題ですが、被害にあった選手はPFAMを通じてマレーシアサッカー協会FAMに報告し、FAMの紛争調停委員会が審査を行なった上で、選手とチーム間での話し合いを仲介し、それでも問題が解決しない場合にはチームに処分を与える、というのが現行の仕組みで、これまではMFLはこの問題解決には直接関わることはありませんでした。この協力関係が構築されることで、給料未払い問題を起こすチームが減ることに期待したいです。

AFFフットサルクラブ選手権-パハン・レンジャーズが準決勝進出を決める

タイで開催中の東南アジアサッカー連盟AFFフットサルクラブ選手権に出場しているパハン・レンジャーズは、グループステージを1勝1敗の2位として準決勝進出を決めています。

グループステージA組に入ったパハン・レンジャーズは、初戦のホンイェン・タカム(タイ)戦では1-3と敗れたものの、2戦目となったヴィクトリア・ユニヴァーシティ・カレッジ(ミャンマー)戦は一時は4点あったリードを最後は4-3と迫られながらも勝利し、A組2位となり準決勝進出を決めています。

今日5月5日に予定されている準決勝では、B組1位のブラック・スチール・パプア(インドネシア)と決勝進出をかけて対戦します。

昨季パハンを実質クビになったギャメル氏がベトナムU22代表のコーチに

2021年シーズンにスーパーリーグのスリ・パハンの監督に就任した元アメリカ代表キャプテンのトーマス・ドゥーリー監督の元でコーチを務めていた、フランス出身のクリストファー・ギャメル コーチは、ドゥーリー監督が開幕からわずか2試合で「休養」となると同時に、スリ・パハンのU21チームのコーチへと配置転換されます。しかし翌2022年シーズンには、今度はスリ・パハンの監督に就任しますが、シーズン半ばで合意の上契約解除となりました。

そのギャメル氏が同じフランス人のフィリップ・トルシェ監督率いるベトナムU23代表とA代表のコーチを務めていると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。マレーシアは活躍できなかったギャメルコーチが指導するベトナムU22代表とマレーシアU22代表は、現在開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズのグループステージでは同組となっており、両チームは5月8日に対戦します。

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スリ・パハン監督時代には11試合で2勝しか挙げられず、シーズン途中で契約解除になったギャメルコーチですが、その当時に知ったマレーシア人選手の情報をトルシェ監督と共有していることでしょう。いや、大会3連覇を狙うベトナムにはそんな情報は不要かも知れませんが。


5月4日のニュース
東南アジア競技大会-男子はラオスに勝利で好発進、女子は強豪ベトナムに完敗
サッカー協会はスーパーリーグに外国人審判採用を検討
トレンガヌはスタインブリュックナー監督交代を否定する公式声明を発表

東南アジア競技大会-男子はラオスに勝利で好発進、女子は強豪ベトナムに完敗

昨日5月3日に東南アジア競技大会通称シーゲームズの男女サッカーでマレーシアが初戦に臨んでいます。U22代表が対戦する男子サッカーでグループステージB組のマレーシアは第1節に試合がなく、この日のラオス戦が初戦となりました。昨年の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権ではラオスにまさかの2連敗を喫したマレーシアですが、その試合でもプレーしたV・ルヴェンティランやウバイドラー・シャムスルらがこの試合でも先発XIに入っています。(以下はこの日の先発XI)

この試合で先制したのはマレーシアでした。カウンターから開いて陣内に攻め込み、アリフ・イズワンのシュートは相手GKにブロックされたものの、そのこぼれ球に詰めていたウバイドラー・シャムスルがシュート。これが決まって、開始4分でマレーシアがリードを奪います。しかしラオスもその後反撃に転じ、マレーシアは防戦一方となった20分には右サイドからのクロスを、マレーシアの先制ゴールを決めたウバイドラー選手がクリアミスからオウンゴールし、試合は1-1となります。その後もラオスが押し気味に試合を進める中、マレーシアのサフワン・マズランのクロスを今度はラオスDFがオウンゴールし、28分に再びマレーシアが2-1とリードを奪い、前半はそのまま終了します。

ベトナム、タイとの対戦の前に負けるわけにはいかないマレーシアのE・エラヴァラサン監督は後半に入ると次々と交代カードを切りますが、これが見事なほどハマります。、75分には右サイドからのスローインをファーガス・ティエニーがゴール前に流すとこれを受けたシャヒール・バシャーのシュートが決まり、途中出場の2人の連携が決まり3-1とします。さらにリードを広げると、ロスタイムにはシャヒール選手のロングシュートがクロスバーに当たって跳ね返ったところを、やはり途中出場のナジムディン・アクマルが押し込んで4-1、さらにラオスDFのオウンゴールで5-1としたマレーシアが終わってみれば圧勝で試合を終えています。

5-1の勝利とは言え、そのうち2点は相手のオウンゴールであり、試合展開でも序盤ではラオスに押し込まれ、ディフェンスラインとGKシーク・イズハンの連携が撮れていない場面も見られるなど、ベトナム、タイとの対戦までには多くの修正が必要な印象を残した試合でした。

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組第2節
2023年5月3日@ヴィサカスタジアム(プノンペン、カンボジア)
マレーシア 5-1 ラオス
⚽️マレーシア:ウバイドラー・シャムスル(4分)、アナタンザ・シーポンファン(20分OG)、シャヒール・バシャー(75分)、ナジムディン・アクマル(90+2分)、フォウタウォン・サンウィライ(90+4分)
⚽️ラオス:ウバイドラー・シャムスル(20分OG)

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第6節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム220051+46
2マレーシア110051+43
3タイ110031+23
4シンガポール200226−40
5ラオス200217−60
https://youtu.be/Sa_Mf12xfTk
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

この日は女子サッカーでもマレーシアが登場し、ワールドカップ出場のベトナムと対戦しましたが、こちらはオウンゴールを含む0-3で敗れています。この試合は見ていませんが、報道では試合開始から自陣に押し込まれたマレーシアは4分、23分、34分と前半だけで3失点し、後半に入っても状況は変わらず、反撃どころか無失点に抑えるのが精一杯だったようです。次戦もワールドカップ出場国のフィリピンと対戦するマレーシアにとっては、2大会ぶりのシーゲームズ出場は経験を積む場となりそうです。

サッカー協会はスーパーリーグに外国人審判採用を検討

マレーシアサッカー協会FAMは今季のマレーシアスーパーリーグに外国人審判を採用する予定があることを明らかにしています。今季は3月17日のペナン対サバ戦で3つの「疑惑の」PKを与えたズルカルナイン・ザカリア主審が無期限の職務停止処分を受けていますが、これまでも国内審判の「質」はスーパーリーグのチームだけでなく、サポーターからの批判の対象になっていました。

FAMのハミディン会長は、マレーシア人審判の質が低いと考えているわけではないことを強調する一方で、外国人審判を採用することによって、彼らとの意見交換により’審判技術の向上が図れると考えていると説明し、既にスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサン会長と外国人審判採用についての協議を進めていることを明らかにしています。

FAMは、2019年のマレーシアFAカップ決勝ペラ対クダ戦の審判に岡部拓人、八木あかね、野村修の三氏を招いた前歴がありますが、この試合を担当した日本人審判三氏には両チームからだけでなく、メディアなどからも高く評価された実績があります。

トレンガヌはスタインブリュックナー監督交代を否定する公式声明を発表

このブログでも取り上げたトレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督の更迭の噂について、トレンガヌが公式SNSでこれを全面的に否定する声明を発表しています。

昨季は2位のトレンガヌは、今季開幕からの10試合で4勝1分5敗の8位と低迷し、今季から就任したスタインブリュックナー監督が、クランタンのチェ・ムンシク監督、クランタン・ユナイテッドのトマス・トルチェ監督に続く今季スーパーリーグで3人目となる監督交代となるのではという噂が広まっており、その後任にはマレーシアリーグを熟知し、AFCカップ出場経験もあるアイディル・シャリン前クダ監督が新監督に就任するという実しやかな噂まで出ています。

しかしトレンガヌはチーム公式SNSで声明を発表し、この噂を否定するとともに、スタインブリュックナー監督の評価を早急には行う予定はないとしています。「トレンガヌは監督交代の噂を全面的に否定する。監督交代についてはチームの技術委員会が精査し、チームを運営するTFC社取締役員会の承認を得る必要がある。現時点ではこういった手続きは行われておらず、監督交代の噂はチーム対して悪意があるものだと考えられる。現在はリーグ再開となる5月19日の試合に向けてチーム一丸で準備している段階であり、また今年2回目のトランスファーウィンドウで獲得を希望する選手のリストアップを行なっている段階であり、性急な行動を起こす時期ではないと考えている。」として、サポーターに落ち着きを求めています。