マレーシアFAカップ決勝:2季連続国内三冠を目指すジョホールが2連覇を果たしてまず一冠

7月23日に今季国内カップ戦初の決勝となるマレーシアFAカップの決勝が行われ、国内リーグでトップを独走するジョホール・ダルル・タジム(JDT)が、KLシティを2-0で破り、昨季に続く2連覇を達成しています。
 (試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年7月22日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:33,598人
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 KLシティ
⚽️ジョホール:ナサニエル・シオ・ホンワン(66分)、レアンドロ・ヴァレスケス(74分)
🟨ジョホール:フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス、ジョルディ・アマト
🟨KLシティ:ザフリ・ヤハヤ、セバスチャン・アヴァンジニ、カマル・アジジ
MOM:ナサニエル・シオ・ホンワン(ジョホール・ダルル・タジム)

ジョホールは、今季リーグ戦17試合で17ゴールを挙げている得点王のフェルナンド・フォレスティエリがワントップ、同じく今季10ゴールのベルグソン・ダ・シルヴァのツートップを含めベストメンバーが先発、一方のKLシティも7月15日の第17節ヌグリスンビラン戦で負傷のため途中退場したジャンカルロ・ガリフオコが先発するなど、こちらもベストメンバーが先発する試合となりました。

前半からジョホールがボール保持し、KLシティサイドでのプレー時間が長くなったものの、おそらくこれはKLシティのゲームプラン通りで、GKケヴィン・メンドーザや、ガリフオコ選手やセバスチャン・アヴァンジニ、マトコ・ジルダムの外国籍選手で構成するバックラインがゴール前ではチャンスを作らせず、そこからのカウンターを狙います。そしてこれが功を奏したかに見えた14分、マレーシア代表MFでキャプテンのパウロ・ジョズエのフリーキックはジョホールDFラインを抜け出したジルダム選手が合わせるも、そのシュートはジョホールGKのシーハン・ハズミがブロックし、ゴールとはなりませんでした。

その直後、今度はジョホールのアフィク・ファザイルが放ったシュートは枠内に飛んだものの、KLシティGKメンドーザの延ばした指先に触れてコースが変わり、ゴールポスト直撃でKLシティは難を逃れます。さらに40分にはKLシティのロメル・モラレスが、右サイドで粘った末、ジョホールDFフェロズ・ばハルディンをかわしてゴール前へクロスを上げると、これを受けたファーサイドのT・サラヴァナンがGKシーハンと一対一となりながら、シュートを枠の外へ外して、貴重なチャンスを逃してしまいます。

前半は0-0を終え、後半に入るとジョホールに焦りが見え始めましたが、それを一変させたのが66分にナサニエル・シオ・ホンワンのゴールでした。30メートルはあろうかという距離から放ったロングシュートが決まり、ジョホールが先制します。このゴールを決めたシオ選手は、母親はマレーシア人ながら英国生まれで、英国1部のウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズのU23から一昨年ジョホールへ移籍しています。愛称ホンワンで知られるシオ選手はボランチとしてプレーし、今季リーグ戦でもまだゴールはないどころか、ジョホール加入以来、ゴールは1つも決めていませんでしたが、チーム加入後初ゴールとなった大舞台での豪快な1発は、そこまでジョホールの猛攻に持ち堪えていたKLシティの心を折るには十分でした。さらにわずかに残って反撃ムードは、レアンドロ・ヴェラスケスのゴールで74分に追加点を奪われる万事休す。2点リードのままジョホールが逃げ切って、FAカップ2連覇(通算3度目の優勝)を果たすとともに、2季連続での国内三冠獲得へ向けて、まず一冠を獲得しています。

この勝利後、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガザリ州首相は、この勝利を祝って翌日7月23日(日)を州の祝日とすることを発表し(マレーシアでは「あるある」です(笑)、ジョホール州民には棚ぼたの祝日にもなりました。

7月22日のニュース:今日のFAカップ決勝を前に両監督が会見
最新FIFAランキングでマレーシアは136位に
マレーシア代表は9月にエジプト代表あるいは中国代表と対戦

今日のFAカップ決勝を前に両監督が会見

今日7月22日はマレーシアFAカップ2023の決勝戦が、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)とのホームであるスルタン・イブラヒムスタジアムで開催されます。2年連続4度目(前身のジョホールFA時代を含む)の優勝を狙うJDTと、24年ぶり4度目の優勝を狙うKLシティの対戦は、今季リーグでも開幕から17連勝中のJDTの勝利が濃厚ですが、名将ボヤン・ホダック監督率いるKLシティは、2021年のマレーシアカップ決勝ではJDTを相手に2-0で勝利。さらにマレーシアカップで出場権を獲得したAFCカップでは決勝まで上り詰めるなど、カップ戦を得意としている一筋縄ではいかないチームです。

この決勝を前にKLシティのホダック監督とJDTのエステバン・ソラリ監督が試合前記者会見を行っています。給料遅配が明らかになり、それが選手のモチベーションに影響が出ていないかを問われたホダック監督は、今季初タイトルがかかる試合に向けて選手たちの持つプロ意識の高さからその不安を一蹴した上で、国内最強の看板のためにもJDTにとっては負けられない試合であることからむしろJDTにプレッシャーがかかるだろうと予測した上で、今夜の試合の最大の懸念は審判であると述べ、試合をしっかりコントロールして欲しいと注文をつけています。

一方、JDTのソラリ監督は、連覇がかかる今晩の決勝について、チームにはケガ人もおらず、準備も滞りなく行われていると述べ、選手にはKLシティとの対戦に勝つことだけに集中するように伝えたということです。さらにホームのスルタン・イブラヒムスタジアムでの試合ということで、サポーターからの応援の後押しがあるだろうと述べる一方で、KLシティの強さは理解しており、簡単な試合にはならないだろうと述べています。

*****

JDT有利という予想の中、KLシティは先日のスーパーリーグ第17節ヌグリスンビラン戦で途中退場したDFジャンカルロ・ガリフオコが今日の試合までにケガから回復しているかどうかが鍵になりそうです。リーグ得点王のフェルナンド・フォレスティエリを筆頭に強力なFW陣を擁するJDTに対してカウンター中心の戦術を取ることが予想されますが、そのためにKLシティは最終ラインを安定させることが重要になり、そのキーマンとなるガリフオコ選手が出場できれば、2021年マレーシアカプ決勝の再現も十分あり得ます。

最新FIFAランキングでマレーシアは136位に

7月20日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回6月に発表された137位から1つランクを上げて136位となっています。この136位という順位はAFC内では24位、東南アジアサッカー連盟AFF内ではベトナム(FIFAランキング95位、AFC内では15位)、タイ(同113位、21位)、フィリピン(同135位、23位)に次ぐ4位となっています。

今回発表された136位というランキングは、2006年5月に127位となって以来、過去17年間でのマレーシアの最高位となっています。

AFF内の他の国については、インドネシアとシンガポールはいずれも前回と変わらずそれぞれ150位(AFC内では28位)と158位(同33位)となり、以下ミャンマー(FIFAランキング160位、AFC内では34位)、カンボジア(同176位、36位)、ラオス(同187位、40位)、ブルネイ(同190位、42位)、東ティモール(同192位、43位)と続いています。

なお、マレーシアサッカー協会FAMは2023年末までにFIFAランキング130位以内を目指すとしています。

マレーシア代表は9月にエジプト代表あるいは中国代表と対戦

マレーシアの通信社ブルナマは、今年9月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)でマレーシア代表がエジプト代表または中国代表と対戦する可能性があると報じています。

直近のFIFAランキングでは34位とマレーシアの100位以上も上にいるエジプト、そして80位の中国との対戦について、マレーシアサッカー協会FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、9月に予定されている2試合の代表戦はいずれもアウェイとなると話した上で、移動上の制約からエジプト、中国の両国への遠征は難しいとして、エジプトあるいは中国のどちらかの代表チームと相手のホームで対戦し、さらにエジプトあるいは中国で対戦可能な別の代表チームとの対戦となると話しています。

アズマン事務局長は、エジプト、中国の両サッカー協会と交渉を進めており、近いうちに正式発表できるだろうと、ブルナマの取材に答えています。

なお9月のFIFAカレンダーでのマレーシア代表の対戦相手には、これまで日本代表イラク代表などと共に中国の名前も上がっていましたが、今年11月から始まるFIFAワールドカップ2026年大会アジア予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選に向けて、マレーシア代表は実力がはるかに上のチームと対戦することになりそうです。この他、10月には2013年以来10年ぶりの開催となるムルデカ大会でパレスチナ、レバノン、インドとの対戦も予定されています。

マレーシア代表は、今年3月にトルクメニスタンと香港をいずれも相手を零封して勝利、また先月6月にはソロモン諸島とパプアニューギニア相手に14得点1失点と国際Aマッチ4連勝中ですが、これらの対戦相手はいずれもFIFAランキングがマレーシアとほぼ同じか、マレーシアよりも下のランクのチームが相手でした。


2023マレーシアスーパーリーグ
第17節結果とハイライト映像

 前回の更新からだいぶ時間が空いてしまいましたが、7月14日から16日にかけてマレーシアスーパーリーグ第17節が開催されています。
 今月2日から開いているトランスファーウィンドウで、各チームとも選手の入れ替えを行なっていますが、新加入の選手たちが早速、チームに貢献しています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年7月14日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:5,932人
クダ・ダルル・アマン 3−1 クランタン・ユナイテッド
⚽️クダ:イフェダヨ・オルセグン2(55分、74分)、アミールベク・ジュラバエフ(86分)
⚽️クランタン:イスマヒル・アキネード(90+1分)
🟨クダ:リー・タック
🟨クランタン:ファウザン・ファウジ、ドミニク・バリッチ、シロジディン・ラクマトラエフ、ファンディ・オスマン
🟥クランタン:ファンディ・オスマン(🟨x2)
MOM:イフェダヨ・オルセグン(クダ・ダルル・アマン)

 前節第16節のPDRM戦では、チーム加入後の挨拶代わりのPKを決めるなど加入後、即ゴールを挙げたイフェダヨ・オルセグンがこの試合でも2ゴールを挙げて、チームの連勝に貢献しています。2020年、2021年と2年連続でリーグ得点王に輝いたオルセグン選手のマレーシアリーグ復帰は、他のチームには脅威になりそうです。
 クランタン・ユナイテッドも同じクランタン州にホームを持つクランタンFCから移籍したイスマヒル・アキネードがゴールを挙げましたが、反撃はこの1ゴールのみに終わっています。

2023年7月14日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:2,500人
クランタン 0−5ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ2(10分、60分)、オスカル・アリバス(24分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(65分)、アキヤ・ラシド(78分)
🟨クランタン:ガファル・アブドル・ラーマン
🟨ジョホール:アフィク・ファザイル
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

 首位を独走するジョホールが最下位のクランタンに順当に勝利し、開幕から無傷の17連勝。リーグ得点王のフェルナンド・フォレスティエリが2ゴールを挙げ、今季17ゴールとしています。
 一方のクランタンは給料未払い問題により、今季開幕戦に先発した外国籍選手5名中4名が退団、しかもこの給料未払い問題により、今回のトランスファーウィンドウでは新規選手獲得禁止処分を受けており、戦力の補強ができない状況で11連敗となっています。

2023年7月15日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:688人
KLシティ 1-1 ヌグリスンビラン
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(40分)
⚽️ヌグリスンビラン:ザイナル・アビディン(94分)
🟨KLシティ:アンワル・イブラヒム、ケニー・パッラジ
🟨ヌグリスンビラン:トミー・マワト
MOM:ロメル・モラレス(KLシティ)

 この試合はスタンドから観戦しました。午後5時30分キックオフながら気温が30度越え中で始まった試合は、観ているだけでも汗だくになるほどで、この暑さの中、両チームとも体力消耗を恐れてか、試合はゆっくりとした展開で始まります。3バックをジャンカルロ・ガリフオコ、セバスチャン・アヴァンジーニ、マトコ・ジルダムといずれも185cm越えの長身選手で固めたKLシティを相手に、エースのカサグランデをケガで欠くヌグリスンビランは中盤ではボールを奪えるものの、ゴール前の好機を作ることができません。
 一方で昨季在籍したスランゴールで14ゴールを挙げながら、今季わずか1ゴールと期待外れに終わったカイオンとの契約を解除したKLシティは、U23代表のT・サラヴァナンをFWに起用してゴールを目指しますが、ヌグリスンビランGKシーク・イズハンの好セーブもあり、得点を挙げることができません。それでも40分に左コーナーキックからの折り返しをロメル・モラレスがヘディングシュートを決め、KLシティが先制します。
 後半に入ると、ヌグリスンビランがボールを試合する時間が増えますが、KLの最終ラインを崩すことができず、72分には二人しかいない外国籍選手の一人、エラルド・グロンがケガで交代してしまいます。攻守の要となっていたグロン選手が退き、ヌグリスンビランの攻撃もここまでかと思われましたが、今度は85分にやはりケガによりガリフオコが交代すると、KLシティの最終ラインに綻びが生じます。ボヤン・ホダック監督が勝利を確信し始めた選手たちの緩慢に目始めたプレー対する怒声がスタンドまで聴こえる中、ロスタイムにヌグリスンビランがコーナーキックを得ます。ゴール前に上がったこのキックはKLシティDF陣に競り勝ったナスルラー・ハニフ・ジョハンからファーサイドで完全にフリーとなっていたザイナル・アビディン・ジャミルの足元へ。これをザイナル・アビディン選手が押し込み、ヌグリスンビランで土壇場で追いつき、そのまま試合終了。
 前節のトレンガヌ戦同様、ホームでリードしながら追いつかれたKLシティは、ヌグリスンビランと勝点を分け合っています。

2023年7月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・バル)
観衆:8,022人
サバ 4-0 スリ・パハン
⚽️サバ:ダレン・ロック2(9分、65分)、ラモン・マシャド(43分)、スチュアート・ウィルキン(69分)
🟨サバ:ガブリエル・ペレス
🟨パハン:なし
MOM:ダレン・ロック(サバ)

 昨季開幕前にクダ・ダルル・アマンからサバに移籍し、これまでに41試合に出場、キャプテンも務めていたバドロル・バクティアルが、この試合を前にチーム退団を表明し、激震が走ったサバ。SNS上では出身地のクダ州議員選に立候補すると言った噂がある一方で、チームの主力選手でもあるバドロル選手のシーズン途中の退団は、上位進出を目指すチームにとっては痛手です。しかし、そんなサバがリーグ4位のスリ・パハンをホームに迎えた試合は、16試合で14失点とリーグ最少失点2位のスリ・パハンを相手に4ゴールを挙げて快勝しています。
 サバはマレーシア代表FWのダレン・ロックのゴールで先制すると、今年2度目のトランスファーウィンドウで加入したブラジル出身FWラモン・マシャド(アゼルバイジャン1部のガバラFKから加入)が前節のクチンシティ戦に続き2試合連続ゴールを前半終了間際に決めて、前半は2-0とリードします。後半にも2点を追加したサバがこの試合に勝利し、4位のスリ・パハンに勝点1と迫っています。
 一方のスリ・パハンは、前節では2位のスランゴールを破るなど3連勝中でしたが、この試合ではシュート数が4本、しかも枠内へのシュートは0本に抑えられ、今季チーム最多の4失点を喫して敗れています。

2023年7月15日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:6,245人
スランゴール 3-0 ペナン
⚽️スランゴール:ヌール・アル=ラワブデ(29分)、リッチモンド・ボアキエ(59分)、ファイサル・ハリム(78分)
🟨スランゴール:アレクザンダー・アギャルカワ、クザイミ・ピー、サフワン・バハルディン
🟨ペナン:ニック・アキフ
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴール)

 前節のスリ・パハン戦敗戦で首位ジョホールと勝点差14となった2位スランゴールが、ペナンを下して2位を堅持しています。
 ノール・アル=ラワブデのゴールで先制したスランゴールは、後半開始から投入された新外国籍選手のリッチモンド・ボアキエ(リビア1部アル・アクダルFCから加入)が移籍初ゴールを決めるなど3ゴールでペナンを破っています。しかし、ペナンFW陣のフィニッシュの精度の低さに助けられた場面もあり、上位クラブ相手では不安が残る勝利でした。またDF陣も最終ラインを突破される場面が何度かあり、課題の守備についても楽観はできません。

2023年7月16日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:640人
クチンシティ 1-2 ペラ
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(33分)
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイコチェア(13分)、ソ・ソンウン(80分)
🟨クチンシティ:アズリディン・ロスリ、ジミー・レイモンド
🟨ペラ:サンディ・アフォラビ、ハフィズル・モハマド、ハキミ・マット・イサ、アザリヌラー・アリアス
MOM:セリオ・サントス(クチンシティ)

 開幕戦以来勝ち星のないクチンシティが、引き分けを挟んで5連敗中のペラをホームに迎えた一戦は、一度は追いつかれたペラが終盤のゴールで逆転すると、そのまま逃げ切って今季3勝目を挙げています。
 成績不振を理由にリム・ティオンキム監督を更迭後も1分3敗だったペラは、トランスファーウィンドウで加入したDFイエスペル・ニホルム(フィリピン、タイ1部ムアントン・ユナイテッドから加入)が前節に続いて先発、またFWルカ・ミルノヴィッチ(セルビア、セルビア1部FKラドニチュキ1923から加入)が初先発しています。そのペラはこの試合でキャプテンを務めるルシアノ・ゴイコチェアのゴールで先制します。しかし、クチンシティもこの試合では積極的に攻撃に絡んだ谷川由来選手が放ったシュートはペラGKのT・シャヒースワランに阻まれたものの、そのこぼれ球をエースのアブ・カマラが押し込んで、同点に追いつきます。
 しかし後半80分には、ケガにより3ヶ月以上チームを離れていたチーム得点王のソ・ソンウンが復帰初戦でゴールを決め、これが決勝点となってチームに4月28日以来の勝ち星をもたらしています。
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2023年7月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:920人
PDRM 0-0 トレンガヌ
🟨PDRM:ジェイムズ・オクウォサ、アリフ・ナジミ・シャアニ
🟨トレンガヌ:アルグジム・レゾヴィッチ、アディサック・クライソーン、ハビブ・ハルーン、ズアシュラム・ズルキフリ
MOM:ジェイムズ・オクウォサ(PDRM)

  前節のクダ・ダルル・アマン戦では0-2で敗れていたPDRMは2試合連続無得点ながら、トレンガヌを無得点に抑えて引き分けに持ち込んでいます。トレンガヌは前節のKLシティ戦に続き2試合連続の引き分けとなっています。
 トレンガヌはこの試合で新加入の攻撃的MFヌルリロ・トゥクタシノフ(ウズベキスタン、ウズベキスタ1部ネフチ・フェルガナから加入)がスーパーリーグデビューを果たしていますが、得点に絡むことはできませんでした。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して、73分に交代しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第17節終了)

順位チーム勝点
1JDT1717006736451
2SEL17101342172537
3KDA17111534211334
4SRP17104329181134
5SAB17103441231833
6TRE177462421325
7KLC176742728-125
8PDRM177281621-523
9NSE174852431-720
10PEN175482228-619
11PRK1734101336-2313
12KLU1714121642-267
13KCH1613121234-226
14KEL1611141761-444
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)176130716
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)143825317
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)106024313
4クパー・シャーマン(SRP)93117317
5ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ファイサル・ハリム(SEL)83222717
ステファノ・ブルンド(SRP)83114016
8パウロ・ジョズエ(KLC)73922317
ジオゴ(JDT)7181029
アブ・カマラ(KCH)72811115
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

7月3日のニュース
成績不振で更迭された前ペラ監督が不当解雇を訴える
クランタンは給料未払いにより新規選手獲得が1年間禁止に
今季3人目の監督就任発表のクランタンでバーンハート前監督の処遇が不透明に

イスラム教の最大の祝日の一つ、アイディル・アドハクランタンを挟んでリーグ戦のない期間が続いていますが、その間にマレーシアリーグでは年中行事(笑)とも言える給料未払い問題が複数報じられています。スーパーリーグの大半のチームは、各州政府など運営母体からの公的資金によるチーム運営の仕組みから脱却し、完全プロ化へ移行している過渡期とはいえ、チームの運営側や事務方のプロ意識が相変わらず低く、プロ選手に給料を払わない一方で勝利を求めるといったマレーシアサッカーの風潮はいまだに一部のチームでは問題にすら思われていないようです。
 また今週水曜日の7月5日からは今季2度目のトランスファーウィンドウが開き、選手の移動がありそうですが、こちらについては既に発表になっているものも含め、別記事で取り上げます。

成績不振で更迭された前ペラ監督が不当解雇を訴える

第15節に入った今季のマレーシアスーパーリーグで2勝3分10敗の11位に低迷するペラFCは、昨季終盤から指揮を取っていたリム・ティオンキム監督を5月末に解任し、ペラFC U23チームのユスリ・チェ・ラー監督を監督代行に指名していますが、このリム監督がペラFCに対して不当解雇であるとして、2年契約の残りとなる16ヶ月分の給料支払いを求めて産業関係局に不服申し立てを行なったと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

リム監督は、チームが設けたKPI(重要業績評価指標)を達成できなかったことを理由にした契約解除は不当であるとして、2年契約を満了する前の契約解除はチーム都合だとして、契約内容に基づいた給料の支払いを求めて、今回の不服申し立てを行なったとしています。また同席した弁護士は、産業関係局に調停を求める一方で、この調停が失敗に終わった場合には労働関係裁判所に訴訟を起こす予定があると話しています。

*****

チーム創立100周年を迎えた2021年には、給料未払いによりこのシーズンの開幕戦先発XIのほぼ全員が退団し、11位に終わったペラは、2022年に当時の2部プレミアリーグに降格しました。給料未払いにより新規選手獲得禁止処分を受けたこともあり、U19とU21チームの選手でやりくりしながらも10チーム中9に終わったことから、チームは元U17代表監督で、ドイツ1部バイエルン・ミュンヘンでユースコーチを長年務めたリム監督を起用し、若い選手主体のチームの底上げを求めました。その状況ではすぐに結果が出ないことは、リム監督を起用したチーム経営陣が一番分かっていたはずですが、成績不振を理由とした更迭にはリム監督はもちろん、多くのサポーターもSNS上でその理由に疑問を呈していました。

今季実施された1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの合併という大規模なリーグ改編により、本来ならば1部スーパーリーグには昇格できていないはずの昨季のプレミアリーグ下位クラブでは、ペラの他、Jリーグ大分でのブレー経験もあるチェ・ムンシク監督を更迭したクランタンFC、元ペナン監督のトマス・トルチャ監督を解雇したクランタン・ユナイテッドFCが前半戦で監督を交代していますが、トップリーグで戦うだけの戦力補強が不十分なまま、成績不振を理由に監督を交代させるチームに仕える監督は不遇としか言いようがありません。

クランタンは給料未払いにより新規選手獲得が1年間禁止に

マレーシアサッカー協会FAMは、スーパーリーグで現在14位最下位のクランタンFCについて、未解決の給料未払い問題があるとして、クランタンFCとスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLに対して、新規選手獲得を禁止する処分を課したことを書面で通知したことを発表しています。

FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、今回の処分が給料未払いが原因であると説明し、処分の期間が今季一杯となることも明らかにしています。またクランタンFCは今回の処分に対して不服申し立てを行なったものの、給料未払い問題が未だ解決されていないことから、この不服申し立ては受け入れられなかったということです。これによりクランタンFCは、今月7月5日から開くトランスファーウィンドウでの新戦力補強は不可能となっています。

給料未払いによる新規選手獲得禁止処分は、昨季はサラワク・ユナイテッドFCがFAMではなく、FIFAから処分を課せられていますが、これは給料未払いとなっていた外国籍選手がFIFAの紛争解決室に訴え出たことが理由で、FIFAはサラワク・ユナイテッドFCに対してトランスファーウィンドウ3回に渡り、新規選手獲得禁止処分を課しています。

今季3人目の監督就任発表のクランタンでバーンハート前監督の処遇が不透明に

第15節に入った今季のマレーシアスーパーリーグで1勝1分12敗の最下位14位に低迷するクランタンFCは、開幕から指揮を取っていた、Jリーグ大分でのブレー経験もあるクランタンFCのチェ・ムンシク監督を更迭後、チームのテクニカルディレクターで、元マレーシアU23代表監督も務めたフランク・バーンハート氏を監督に据えてリーグ戦を戦ってきましたが、交代したバーンハート監督もチームの連敗を止めることができませんでした。そのクランタンFCは、チーム公式Facebookでアルゼンチン出身のアンヘル・アルフレド・ヴェラ新監督の就任を発表しています。

選手として、そしてその後は指導者としてインドネシアリーグに関わってきたヴェラ監督に後半戦を託すことにしたノリザム・トゥキマン オーナーですが、その一方でバーンハート氏は、自身がテクニカルディレクターに復職するのか、このまま契約解除となるのかが定かではないと、マレーシア語氏ブリタハリアンが報じています。なおマレーシアサッカー協会FAMの公式記録サイトでは、この記事執筆時点で未だにバーンハート氏の名が監督として掲載されています。

バーンハート氏は「トップリーグの監督は試合で活躍できる選手がいるチームを選んで、そこで結果を出すことが求められるが、クランタンではトップリーグで試合をしながら選手を育成することが求められるなど、監督の仕事は簡単ではない。」と述べ、今月7月5日か8月1日までとなっている今年2度目のトランスファーウィンドウで新戦力を獲得できないことから、後半戦ではU23チームの選手が主力としてプレーすることになるだろうと話しています。

2023マレーシアスーパーリーグ
第15節結果とハイライト映像(2)

2023年6月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:297人
クランタン・ユナイテッド 0-3 サバ
⚽️サバ:サディル・ラムダニ(23分)、スチュアート・ウィルキン(45+2分)、バドロル・バクティアル(62分)
🟨クランタン:ヤン・ヴィクトル
🟨サバ:バドロル・バクティアル
MOM:スチュアート・ウィルキン(サバ)

 ホームのクランタン・ユナイテッドは2連敗中で、なんとしても先制点が欲しいこの試合では、開始直後からO・J ・ポルテリア、シャズワン・ザイノンと立て続けにシュートを放ちますが、サバGKカイルル・ファーミの好セーブもあり、ゴールを奪うことはできません。先制点が欲しいのは同じく2連敗中のサバも同様でしたが、23分にゲリー・スティーヴン・ラバトがクランタン・ユナイテッドDFライン裏へ絶妙のロングパスを送り、これを受けたサディル・ラムダニが先制ゴールを決め、サバがリードを奪いました。4月27日のスランゴール戦以来の出場となったサディル選手のゴールで勢いづいたサバは、前半終了間際に今度はサディル選手からやはり相手DFラインの裏へ出たパスをスチュアート・ウィルキンが受けてシュート。これが決まって、サバは前半で2-0として折り返します。
 後半に62分には、再びサディル選手がドリブルでペナルティエリア内に持ち込み、DFを引きつけた上でバドロル・バクティアルにラストパス。これをバドロル選手が決めて3-0としたサバが勝利し、連敗を2で止めて5位をキープ、一方のクランタン・ユナイテッドは13位となっています。

2023年6月26日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:998人
ヌグリスンビラン 1-1 ペナン
⚽️ヌグリスンビラン:トミー・マワト(88分)
⚽️ペナン:ジオヴァネ・ゴメス(49分)
🟨ヌグリスンビラン:フィレモン・アニー、トミー・マワト
🟨ペナン:なし
MOM:シーク・イズハン(ヌグリスンビラン)

 今季ホームでは2勝3分2敗の成績となっているリーグ9位のヌグリスンビランは、4試合続けて勝星がありません。一方の10位のペナンも直近の5試合を0勝2分5敗と苦しい試合が続いています。そんな両チームの対戦は、いずれも相手の守備を崩すことができず、前半は共に無得点で終了します。
 後半に入るとシステムを変えたペナンがリズムを掴み、49分に素早いカウンターから、ジオヴァニ・ゴメスのヘディングシュートが決まり、1-0とリードします。このゴールから反撃に転じたヌグリスンビランでしたが、後期は作るものの得点には結び付かず、このまま終了かと思われた88分に、ヌグリスンビランは相手ペナルティエリアの外でフリーキックを獲得します。これをトミー・マワトが直接ゴールし、ヌグリスンビランは土壇場で同点に追いつき、試合はそのまま1-1で終了しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節途中)

順位チーム勝点
1JDT1414005425242
2SEL14101337152231
3SRP1594228141431
4KDA1491429181128
5SAB1583433201327
6KLC146532218423
7PDRM157171619-322
8TRE146262018220
9NSE154742328-519
10PEN154471822-416
11PRK1523101034-249
12KCH13139726-196
13KLU1513111438-246
14KEL1411121452-384
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第15節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)155628714
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)133224314
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)94218110
クパー・シャーマン(SRP)92816315
4ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ステファノ・ブルンド(SRP)82914014
6ファイサル・ハリム(SEL)72217614
8パク・テス(SAB)6198014
パウロ・ジョズエ(KLC)63318314
チェチェ・キプレ(KLC)6167113
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

マレーシアFAカップ準決勝結果とハイライト映像
PK戦を制したKLシティが24年ぶりに決勝進出、ジョホールはアリフ・アイマンのハットトリックでスランゴールを粉砕し2連覇に王手

 6月24日と26日にマレーシアFAカップ準決勝の2試合が行われ、スーパーリーグで現在6位のKLシティが同8位のトレンガヌをPK戦で破り、この大会で最後に優勝した1999年以来24年ぶりとなる決勝進出を決めた一方で、昨季の王者でリーグ1位にジョホール・ダルル・タジムは若きエース、アリフ・アイマンのハットトリックなど、同2位のスランゴールを一蹴して2連覇に大手をかけています。
 FAカップの決勝は来月7月22日にジョホールのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムで開催されます。
 (試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアFAカップ2023 準決勝
2023年6月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:26,540人
トレンガヌ 0-0 KLシティ
(PK戦:トレンガヌ 2-4 KLシティ) 
🟨トレンガヌ:アザム・アズミ、リリドン・クラスニキ、サフワン・マズラン
🟨KLシティ:カマル・アジズ、ザフリ・ヤハヤ、パウロ・ジョズエ
MOM:アズミン・アル=アミン(KLシティ)

 いずれもクロアチア出身のトミスラフ・シュタインブリュックナー(トレンガヌ)、ボヤン・ホダック(KLシティ)両監督が率いるチームの対戦となったこの試合は、ホームサポーターの声援を受けて積極的に攻撃を仕掛けるトレンガヌにKLシティが組織的な守備で対抗する形の試合となりました。互いに好機を作りながら、ゴールを挙げられなかった両チームは90分内に決着をつけることができず、試合は延長戦に入りましたが、ここでも両チーム無得点だったことから、PK戦に突入しました。
 このPK戦では、KLシティはマットコ・ジルダムがPKを外したものの、U23代表候補のGKアズミン・アル=アミンが、トレンガヌのニック・シャリフ・ハセフィとリリドン・クラスニキのシュートを止め、KLシティがPK戦4-2でFAカップ決勝進出を決めています。
 KLシティはこの試合の前にブラジル出身のFWカイオンの退団を発表しました。KLシティのスタンリー・バーナードCEOは、カイオン選手がベトナム1部のハノイFCに移籍すること、またハノイFCが過去数週間に渡り、カイオン選手獲得に熱心だったことも明らかにしています。カイオン選手は昨季在籍したスランゴールでは、リーグ2位となる14ゴールを挙げたものの、スランゴールとは契約を延長せず、今季はKLシティと契約していました。しかし今季リーグ戦では14試合中、FWチェチェ・キプレ(コートジボワール)、MFロメル・モラレス(コロンビア)、DFセバスチャン・アヴァンジーニ(イタリア)、DFマットコ・ジルダム(クロアチア)ら他の外国籍選手との先発争いに敗れ、先発したのは7試合でしかもわずか1ゴールと期待外れに終わっていました。

マレーシアFAカップ2023 準決勝
2023年6月26日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:32,257人
ジョホール・ダルル・タジム 4-0 スランゴール
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン3(20分、33分、38分)・フェルナンド・フォレスティエリ(47分)
🟨ジョホール:アリフ・アイマン
🟨スランゴール:ヤザン・アル=アラブ、クザイミ・ピー、ムカイリ・アジマル、ブレンダン・ガン
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)

 リーグ戦では首位のジョホールと2位ののスランゴールの対戦となったもう1試合の準決勝は、スルタン・イブラヒムスタジアムに今季最多の3万2000人を超える大観衆を集める注目のカードでしたが、改めてジョホールの強さが思い知らされた試合結果となりました。
 先日のFIFA国際マッチデーでは、ソロモン諸島戦で代表初ゴールを挙げ、続くパプアニューギニア戦では4ゴールを挙げた21歳のアリフ・アイマンが、この試合でも躍動。前半38分でハットトリックを達成する活躍で、ジョホールを2年連続の決勝へ導いています。本来は右ウィングながら、今季のアリフ選手はクロスをあげるだけでなく、時には自身で中へ持ち込んでシュートを打つ場面も多く見せていますが、この試合でも詰められればパス、シュートを打つスペースがあればゴールを狙うなど、積極的なプレーが印象に残りました。
 リーグ戦での対戦では、今季チーム最多の4失点でジョホールに敗れていたスランゴールは、立ち上がりこそ両サイドに大きく展開し、また効果的なカウンターを見せるなどジョホールと渡り合ったものの、ジョホールGKシーハン・ハズミの好守に得点を阻まれ、早い段階で失点を重ねたことで徐々に劣勢に回り、2017年以来となるジョホール戦勝利も、2018年以来のFAカップ決勝進出も実現しませんでした。

6月25日のニュース
クランタンに今季3人目の監督が就任
上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に
M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ

今日6月25日はマレーシアFAカップ準決勝、ジョホール・ダルル・タジム対スランゴール、トレンガヌ対KLシティの2試合が予定されています。特に注目はリーグ9連覇中の王者ジョホールと、このジョホールが台頭するまでは王者としてリーグに君臨してきたスランゴールとの一戦です。近年はジョホールが圧倒的な力を見せ、今季もリーグ戦ではジョホールがスランゴールを4-0と一蹴してはいるものの、両チームの選手はもちろん、お互いのサポーターもプライドを賭けた激しい試合になることが予想されています。
 またもう1試合のトレンガヌ対KLシティはトレンガヌのホームであるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで開催されますが、トレンガヌ州警察はこの試合に400名の警官を動員して不測の事態に備えると発表しています。

クランタンに今季3人目の監督が就任

今季ここまで1勝1分12敗で最下位となっているクランタンが、アルゼンチン出身のアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任をチーム公式SNSで発表しています。ベラ新監督はインドネシアリーグの現役時代はインドネシアリーグでもプレーし、引退後はインドネシアの複数のクラブで監督を務め、昨季は1部リーグのペルシタ・タンゲランを指揮して9位(18チーム中)の成績を収めています。

プルシプラ・ジャヤプラやペルスバヤ・スラバヤなどでの監督経験もあるベラ監督は、元大分で韓国出身のチェ・ムンシク、元マレーシアU23代表監督でドイツ出身のフランク・バーンハート両氏の解任を受けて、クランタンの今季3人目の監督に就任しました。

上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に

最下位に沈むクランタンの監督交代は理解できますが、こちらは全く理解不可能な監督人事が行われています。リーグ前半戦はスランゴール、クダ、サバのリーグ上位チームを破り、リーグの台風の目となっているPDRMが6勝1分7敗の成績を収めたアジズ・アズミ監督を休養させています。なお、英字紙ニューストレイトタイムズによると、アジズ氏自身もその理由を説明されないまま、突然「休養」を言い渡されたということです。なお後任にはコーチのエディ・ガピルが監督代行として指名されています。

昨季は2部プレミアリーグで6位だったPDRMはマレーシア王立警察を母体とするチームで、今季のリーグ改編に伴い1部スーパーリーグへ昇格しています。鈴木ブルーノ選手がチームトップの4ゴールを挙げているPDRMですが、これまでの6勝には現在2位のスランゴール、4位のクダ・ダルル・アマン、5位のサバといった上位チーム相手の勝利も含まれており、この成績を残している監督「休養」については全く疑問ですが、同じ時期にマレーシア王立警察の警察庁長官も交代していることから、これと関連する監督交代などもSNS上では指摘されていますが、真偽は全く不明です。

M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ脱退

マレーシアリーグ(Mリーグ)3部に当たるM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)はリーグ公式Facebookで、BRM FCがM3リーグへの残り試合について出場を辞退したことを発表しています。

AFLはユソフ・マハディ会長名でおこなれた投稿で、6月19日にから出場辞退する旨を伝える連絡を書面で受け取った一方で、事態を思いとどまるようチームと交渉を重ねたものの、チームの意思は変わらなかったことから、これを了承したと説明しています。またこの結果、BRM FCと他のチームとの対戦成績は勝点、得失点など全て無効とし、残るチームでM3リーグを続けることも発表しています。

一方、BRM FCもチーム公式Facebookで声明を発表しています。ペラ州の都市クアラ・カンサーにホームを持つBRM FCは、ガファール・ナシルCEO名で投稿された声明で、契約したチームスポンサーから契約内容通りの資金提供がなかったことから、チームの運営に支障をきたしたことが出場辞退の理由であると説明し、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている給料については全額を保証する一方で、分割して支払う予定であることも明らかにしています。

*****

今季は9試合を終えて2勝7敗で12位に低迷していたBRM FCは、開幕前にもリーグ出場辞退を発表するなどトラブル続きのクラブでした。ユニフォームの胸スポンサーとして契約した企業が電子タバコ販売の企業でしたが、タバコ会社がスポンサーとなることを認めていないAFLが問題視したことから、このメインスポンサーとの契約を解除したことで、BRM FCは一旦は今季のM3リーグ参加辞退を発表しましたが、その後は新たな胸スポンサーとして名乗りをあげたイスラム教の教育機関Raudhah Islamic Schoolと契約していました。

2023マレーシアスーパーリーグ
第15節結果とハイライト映像(1)-監督休養のPDRMは4連勝で7位浮上、クランタンは今季5度目の5失点大敗

 FIFA国際マッチデーが終了し、中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、6月24日には第15節の2試合が行われています。今週末はマレーシアFAカップ準決勝も開催されるため、この準決勝に出場するジョホール・ダルル・タジム、スランゴール、トレンガヌ、KLシティについては第15節の試合は来週7月3日に順延されています。
 (試合にハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年6月23日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:1,313人
ペラ 1-2 PDRM
⚽️ペラ:ジェームズ・オクウォサ(73分OG)
⚽️PDRM:ウチェ・アグバ(49分)、ナビル・ラトピ(56分)
🟨ペラ:アリフ・シャキリン・スハイミ、カイルル・アシュラフ・ラムリ
🟨PDRM:アミル・サイフル、ナビル・ラトピ
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

 リーグ戦上位のスランゴール、サバを破って3連勝中だったにも関わらず、アズミ・アジズ監督が突然「休養」となったPDRMは、やはり監督を交代したペラを2-1で破って連勝を4に伸ばしています。一方、敗れたペラは5連敗となり、ユスリ・チェ・ラー監督代行は就任以来3試合未勝利のままとなっています。
 両チームが拮抗しながら進んだ試合は、PDRMが徐々にペースを掴むものの、FW陣が決定機を決めきれず、またペラGKのT・シャーイスワランの好セーブもあり前半は0-0で折り返します。後半に入ってもPDRMは好機を作るものの、その前にシャーイスワランが立ちはだかりますが、49分にウチェ・アグバのゴールで先制すると、56分にはコーナーキックからのこぼれ球をナビル・ラトピが押し込んでリードを2点に広げます。72分にはジェームズ・オクウォサがクリアミスからOGとするも、ペラの反撃をこの1点に抑えてPDRMが4連勝を飾っています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は84分から出場し、最後まで出場しています。

2023年6月23日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:3,528人
クランタン 0-5 スリ・パハン
⚽️パハン:エゼキエル・アグエロ(7分)、ファドリ・シャス2(48分、61分)、クパー・シャーマン2(58分、86分)
🟨クランタン:アリプ・アミルディン
🟨パハン:ヌル・シャミー・イスズハン、ケヴィン・イングレッソ、アズワン・アリピン
MOM:ファドリ・シャス(スリ・パハン)

 前半戦では1-4で敗れているスリ・パハンをホームに迎えたクランタンはここまで8連敗中ですが、この日は先発に外国籍選手が1人もいない上、今季初出場となった若手選手4名を含む布陣で臨んでいます。そんなクランタンに対してスリ・パハンは容赦なく、ケガから3試合ぶりに先発に復帰したエゼキセル・アグエロが試合開始7分にゴールを決めて先制します。クランタンも数少ないながらも好機を作りますが、シュートの精度が低く得点に至らず、前半はスリ・パハンが1-0とリードして折り返します。
 後半に入ると48分にファドリ・シャスが、さらに58分にはクパー・シャーマンがそれぞれゴールを決めてリードを広げたスリ・パハンが、その後もファドリ、シャーマン両選手がそれぞれこの試合2得点目となるゴールを決めて、終わってみれば5-0で大勝しています。スリ・パハンはこの勝利で勝ち点31となり2位のスランゴールと並びましたが、勝点差で3位となっています。
 一方のクランタンはこの日の大敗で1勝1分12敗、得点14失点52と、リーグ最下位から抜け出せそうな気配がありません。クランタンは今季開幕時に監督を務めた元大分のチェ・ムンシク監督を1勝1分4敗となったところで解任し、さらにその後任として起用した元マレーシアU23代表監督のフランク・バーンハート監督も就任後7試合を全敗すると、この試合前にはアルゼンチン出身でインドネシアリーグでの監督経験もあるアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任を発表しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節途中)

順位チーム勝点
1JDT1414005425242
2SEL14101337152231
3SRP1594228141431
4KDA1491429181128
5SAB1473430201024
6KLC146532218423
7PDRM157171619-322
8TRE146262018220
9NSE144642227-518
10PEN1443717210-415
11PRK1523101034-249
12KLU1413101435-216
13KCH13139726-196
14KEL1411121452-384
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第15節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)155628714
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)133224314
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)94218110
クパー・シャーマン(SRP)92816315
4ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ステファノ・ブルンド(SRP)82914014
6ファイサル・ハリム(SEL)72217614
8パク・テス(SAB)6188013
パウロ・ジョズエ(KLC)63318314
チェチェ・キプレ(KLC)6167113
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

6月24日のニュース
国際親善試合-パプアニューギニアに大勝で国際Aマッチ4連勝もマッチメークに問題はなかったのか
AFCアジアカップ-U17代表は最終戦でラオスに勝利でグループ最下位を逃れる
東南アジアサッカー連盟U23選手権の組み合わせと日程が発表

ニュースというには古いネタばかりになってしまいましたが、A代表と年代別代表関連のニュースをまとめました。

国際親善試合-パプアニューギニアに大勝で国際Aマッチ6連勝もマッチメークに問題はなかったのか。

マレーシア代表にとっては6月のFIFA国際マッチカレンダー最終戦となるパプアニューギニア代表戦が6月20日に行われ、マレーシアは10−0(!)でパプアニューギニアを破っています。

先週6月14日のソロモン諸島代表戦からは、いずれもブラジル出身の帰化選手MFパウロ・ジョズエ(KLシティ)、エンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてレガシー帰化選手(国外生まれながら親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を選択した選手)のスチュアート・ウィルキン(サバ)の3選手以外の8名を入れ替えたキム・パンゴン監督は、GKにA代表戦初出場のシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)を先発起用し、センターバックのシャールル・サアド(ジョホール)をキャプテンに初指名しています。(以下がこの日の先発XI)

数日前にシンガポール代表と2-2で引き分けていたパプアニューギニア代表でしたが、この日は前半からマレーシア代表が一方的に支配する展開となりました、好機を活かしきれないマレーシアFW陣のおかげもあり、前半はロスタイムに喫したサファウィ・ラシドのゴールでの失点のみで1-0で折り返します。後半に入ると、マレーシアは59分にジョズエ選手のゴールを皮切りに、57分にアリフ・アイマン(ジョホール)、59分にファイサル・ハリム(スランゴール)が立て続けにゴールを決めると、パプアニューギニアは完全に戦意喪失。ジョズエ選手がハットトリック、アリフ選手は4ゴールを決めるなど、後半だけで10ゴールを挙げたマレーシアが圧勝しています。

FIFAランキング138位のマレーシアが同159位のパプアニューギニアを順当に破った試合となりましたが、翌日の新聞では「ハリマウ・マラヤ(代表の愛称、マレーシア語で「マラヤの虎」)がついに鋭い爪を見せた」「アジアカップに向けて自信が高まる試合」などの見出しが踊りましたが、果たしてこんな試合がこの時期に必要だったのか、というのがテレビ観戦しての印象でした。当初対戦を予定していたイエメン(FIFAランキング157位)が直前になって対戦を取りやめた結果、6月16日にシンガポールで試合が組まれていたパプアニューギニアに急遽、対戦を求めたことから実現した試合でしたが、今月のFIFAカレンダーは1試合目がプロ選手が1人だけのソロモン諸島、2試合目がこの10-0のパプアニューギニアと、来年1月のアジアカップの準備としては、残念ながら何のメリットもない試合だったように感じました。

国際親善試合
2023年6月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バタ)
マレーシア 10-0 パプアニューギニア
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(45+1分)、パウロ・ジョズエ3(52分、63分、69分)、アリフ・アイマン4 (56分、 60分、 87分、88分)、ファイサル・ハリム(59分)、ダニエル・ティン(76分)

パプアニューギニア戦のハイライト映像。マレーシアサッカー協会FAMの公式YouTubeチャンネルより
AFCアジアカップ-U17代表は最終戦でラオスに勝利でグループ最下位を逃れる

タイで開催中のAFC U17アジアカップに出場中のマレーシアU17代表は、グループステージ最終戦となるラオスU17代表戦に勝利しています。

既に2敗でグループステージ敗退が決まっている両チームの対戦は、得失差で3位のラオスが Sayfon Keohanamのゴールで12分に先制します。年代別代表戦では昨季もU23代表が敗れるなどラオスとは相性の悪いマレーシアでしたが、前半終了間際の43分にダニエル・マット・ディサ(モクタル・ダハリアカデミー)が今大会チーム初のゴールで同点に追いつくと、77分には再びダニエル選手がゴールを決めて、ラオスを逆転するとそのまま逃げ切っています。

グループステージA組のもう1試合は、タイがイエメンを1−0で下してグループ1位となり、2位のイエメンと共にノックアウトステージ進出を決めています。

AFC U17アジアカップ2023
グループステージA組第3節
2023年6月21日@タマサートスタジアム(タイ)
マレーシアU17 2-1 ラオスU17
⚽️マレーシア:ダニエル・マット・ディサ2(43分、77分)
⚽️ラオス:Sayfon Keohanam(12分)

ラオスU17戦のハイライト映像。アストロアリーナの公式YouTubeチャンネルより

グループステージA組順位表(第1節終了)

順位チーム得失差勝点
1タイ33006069
2イエメン32016246
3マレーシア310228-63
4ラオス300336-30
東南アジアサッカー連盟U23選手権の組み合わせと日程が発表

8月17日からタイのチョンブリーで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23のグループステージの組み合わせと日程が発表になっています。E・エラヴァラサン監督率いるマレーシアU23代表は、インドネシア、東ティモールと同じB組となり、インドネシアとは8月18日に、東ティモールとは8月20日に対戦します。

今大会は東南アジア11カ国中、シンガポールが出場せず10カ国が3つのグールプに分かれてグループステージを戦い、各組の1位チームと3つのグループで最も成績の良い2位チームが準決勝のノックアウトステージに進出します。グループステージの組み分けはA組がタイ、ミャンマー、カンボジア、ブルネイの4カ国、C組はベトナム、フィリピン、ラオスは3カ国となっています。

マレーシアU23代表候補合宿は既に第1次合宿を今月19日に終了していますが、この合宿の参加者は以下の通りです。東南アジア競技大会通称シーゲームズのグループステージで敗退したメンバーからは15名が残っています。

U23代表候補合宿参加メンバー

ポジション氏名年齢所属
MFアリフ・イズワン19SEL
DFV・ルヴェンティラン22SEL
DFアブドル・カリリ18SEL
DFハリス・ハイカル21SEL
DFジクリ・カリリ21SEL
MFナジムディン・アクマル19JDTII
MFファーガス・ティアニー20JDTII
FW ダリル・シャム21JDTII
MF アダム・ファルハン19JDTII
FWアイマン・アフィフ22KDA
DFアズリン・アフィク21KDA
DFアイマン・ファルハン21KDA
DFハリズ・マンソール21KDA
MF T・サラヴァナン22KLC
MFナズウィン・サレー22KLC
GK アジム・アル=アミン22KLC
DF サファウィ・マズラン21TRE
GKラーディアズリ・ラハリム22TRE
DF ウバイドラー・シャムスル20TREII
FWムスリフディン・アティク22TREII
MF ハジック・クティ・アバ19PEN
MF イズルズワン・ダウド22PEN
DF アリフ・ジクリ21PRKII
MF フィルダウス・ハスノディン21KEL
GKフィルダウス・イルマン22NSE
チーム名:JDTII-ジョホール・ダルル・タジムII、TRE-トレンガヌFC、TREII-トレンガヌFCII、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、PRKII-ペラFCII

なおこの他にアイスランド2部ニャルズヴィークFCに所属するFWルクマン・ハキムもU23代表候補合宿参加メンバーとなっていましたが、このAFF U23選手権がFIFA国際マッチカレンダー外のため、その後、チームからリリースされなかったとして合宿不参加がマレーシアサッカー協会FAMから発表されています。なおU23代表は、9月にやはりタイのバンコクで開催されるAFC U23アジアカップ予選が控えていますが、ルクマン選手はアイスランドリーグが春秋制であることから、アジアカップ予選には招集される可能性が高そうです。

6月20日のニュース
U17代表はタイに敗れて2試合目でU17アジアカップ敗退決定
マレーシアカップ1回戦のカードが決定
サッカー協会会長-来年のアジアカップを多くのサポーターが現地観戦できるよう尽力することを約束

今日6月20日にはFIFAランキング138位のマレーシア代表はFIFA国際マッチカレンダーに開催される国際親善試合の2戦目となるパプアニューギニア代表戦をトレンガヌ州ゴン・バダのスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで午後9時(マレーシア時間)から行います。6月16日にはシンガポールと対戦し2-2と引き分けたFIFAランキング159位のパプアニューギニアとは、これまでに4回対戦し、3勝1敗の記録が残っており、直近では2016年に対戦しており、その時は2-1で勝利しています。

U17代表はタイに敗れて2試合目でU17アジアカップ敗退決定

タイで開催中のAFC U17アジアカップに出場中のマレーシアU17代表はグループステージ第2節でタイU17代表と対戦し、0-3で敗れて2回戦進出を前に敗退が決まっています。

初戦のイエメンU17代表戦を0-4で落としていたマレーシアU17代表は、この日、BGパトゥム・ユナイテッドのホーム、パトゥム・ターニースタジアムで行われるタイ戦に勝ってグループステージ突破の可能性を残したいところでした。この試合では、マレーシアは粘ってタイの得点を防ぎ続けましたが、前半終了間際のロスタイムにタイのキャプテンPacharaphol Lekkunにゴールを許し、前半を0-1で折り返します。後半に入ると54分にはChanasorn Choklap、そしては78分にはChanothai Kongmengのゴールで0-3となり、そのまま試合は終了し、マレーシアは2試合連続無得点で敗れています。

この試合の前に行われたラオスU17代表対イエメンU17代表の試合は、イエメンが2-1でラオスを下してタイと勝点6で並んだもののの、得失差で首位をキープ、以下2位タイ、3位ラオス、そして4位マレーシアとなっています。マレーシアはグループステージ最終節の第3節となる6月21日に2敗同士のラオスと対戦します。

AFC U17アジアカップ2023
グループステージA組第2節
2023年6月18日@パトゥム・ターニースタジアム(タイ)
マレーシアU17 0-3 タイU17
⚽️タイ:Pacharaphol Lekkun(45+2分)、Chanasorn Choklap(54分)、Chanothai Kongmeng(78分)

グループステージA組順位表(第1節終了)

順位チーム得失差勝点
1イエメン22006156
2タイ22005146
3ラオス200224-20
4マレーシア200207-70
マレーシアカップ1回戦のカードが決定

国内カップ戦の一つマレーシアカップは、1921年(大正10年)に第1回大会が開催された伝統ある大会で、今年の大会は第97回大会と日本の天皇杯と並ぶアジア最古のカップ戦です。マレーシアカップ(第1回当時はマラヤカップ)は各州の代表チームが対戦する形で始まった歴史もあり、日本で言えば高校野球の甲子園大会のような強度の誇りをかけた大会で、国内ではリーグ戦以上に盛り上がります。

このマレーシアカップは、昨季まではリーグ戦終了後に行われ、1部スーパーリーグの11位までと、2部プレミアリーグの5位までの合計16チームが参加する大会でしたが、スーパーリーグとプレミアリーグ合併など今季の大幅なリーグ改編により、開催時期が8月に前倒しとなり、さらに改編後のスーパーリーグが14チーム編成となったことで、3部リーグのM3リーグの上位2チームにも門戸が開かれることになりました。そしてこの新装なったマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選が、6月15日にオンラインで開催されました。

昨季2022年シーズンのマレーシアカップ決勝はジョホール・ダルル・タジムとスランゴールが対戦し、ジョホールが2−1で勝利しましたが、現在リーグ首位のジョホールと2位のスランゴールは抽選の結果、それぞれ別の山となり、この両チームが顔を合わせるとすれば再び決勝戦となります。

連覇を目指すジョホールのベスト16での相手は、現在リーグ最下位のクランタンに決まっています。この試合に勝つと、ベスト8では同13位のクランタン・ユナイテッドと同9位のヌグリスンビランの勝者と対戦し、ベスト4では順当に行けば同3位のクダ・ダルル・アマンあるいは同5位のサバと顔を合わせることになりそうです。

一方のスランゴールは、リーグ戦では0−1で敗れているリーグ8位のPDRMがベスト16の相手で、この試合に勝てば、ベスト8では同7位のトレンガヌとM3リーグ1位チームの試合の勝者と、そしてベスト4ではスリ・パハン、ペナン、KLシティのいずれかとの対戦となりそうです。

マレーシアカップは1回戦から準決勝までは全てホームアンドアウェイ形式で開催され、8月に予定されている1回戦から12月に予定されている決勝までおよそ4ヶ月間続きます。

<マレーシアカップ1回戦組み合わせ>
ジョホール・ダルル・タジム対クランタン
スランゴール対PDRM
スリ・パハン対M3リーグ2位チーム
クダ・ダルル・アマン対ペラ
サバ対クチンシティ
KLシティ対ペナン
トレンガヌ対M3リーグ1位チーム
ヌグリスンビラン対クランタン・ユナイテッド

協会会長-来年のアジアカップを多くのサポーターが現地観戦できるよう尽力することを約束

来年1月にカタールで開催されるAFCアジアカップ2023年大会に出場するマレーシアは、2007年にタイ、ベトナム、インドネシアとの共同開催の際には開催国枠でのアジアカップ出場はあるものの、予選突破による出場となると1980年のクウェート大会以来43年ぶりとな李ます。この大会についてマレーシアサッカー協会FAMは、できるだけ多くのサポーターが現地観戦できるよう、内外の関係機関と協議を行う予定があると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

先日開かれた、およそ150人のサポーターと2時間を超える質疑応答の際に、マレーシア代表のサポーターグループ「ウルトラス・マラヤ」の代表者から、現地での応援について航空券、試合のチケット入手、そして宿泊手配について問われたFAMのハミディン・アミン会長は、在カタールのマレーシア大使に既に連絡を入れて、これらの試合に向けてサポーターの宿泊手配の支援を求めたことを明らかにした他、現地までの移動については、観戦希望のサポーターの数にもよるとしながらも、代表の公式スポンサーの一つであるマレーシア航空とチャーター便の手配について協議したいと話しています。

「マレーシア、カタール間の往復航空券は通常は4500リンギから5000リンギ(およそ14万円から15万円)するが、これを少しでも下げられるようにしたい。またカタールにはマレーシア企業所有の宿泊施設もあり、適切な価格を提供してもらえるよう交渉する予定である。試合のチケットの入手と適切な費用が提供されれば、多くのサポーターがカタールまで応援に来てくれることを期待している。」とハミディン会長は話しています。

アジアカップではグループステージE組に入ったマレーシアは1月15日のヨルダン戦を皮切りに、バーレーン戦(1月20日)、韓国戦(1月25日)と対戦します。