2023マレーシアスーパーリーグ
第20節結果とハイライト映像(1)-開幕20連勝のジョホールがリーグ10連覇に王手

8月13日から14日にかけてマレーシアスーパーリーグ第20節の4試合が行われています。なお、今節の残り試合のペナンFC対クダ・ダルル・アマンFCは8月22日に、クランタン・ユナイテッド対クチンシティFCは9月4日にそれぞれ順延されています。またスリ・パハン対PDRMも順延されていますが、こちらは新たな日程は発表になっていません。
 また8月18日から20日にかけてはマレーシアカップ1回戦のセカンドレグが行われるため、次節第21節は8月25日から27日に開催が予定されています。
 (試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年8月13日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:6,462人
サバ 3-2 KLシティ
⚽️サバ:スチュアート・ウィルキン(51分)、パク・テス(79分)、ガブリエル・ペレス(90分)
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(60分)、ハキミ・アジム(70分)
🟨サバ:ゲイリー・スティーヴン・ロバト
🟨KLシティ:ロメル・モラレス
MOM:スチュアート・ウィルキン(サバ)

 前節のジョホール戦では、疑惑の判定があったもののジョホールに1-5と大敗したリーグ5位のサバ。今節対戦する7位のKLシティとは今季3度目の顔合わせで、4月のリーグ戦(アウェイ)は0-2、5月のFAカップ(ホーム)は1-2と、ここまで2連敗中です。この試合ではホームのサバ、アウェイのKLシティとも前半から好機を作り、過去2試合でいずれもゴールを決めているKLシティのT・サラヴァナンが開始2分でシュートを放つもサバのGKダミアン・リムが好反応を見せてブロック、また28分には右サイドのスチュアート・ウィルキンからのクロスを代表FWダレン・ロックがダイレクトでシュートを放つも、KLシティのケヴィン・メンドーザがこれを止めるなど両GKの好セーブなどでゴールを奪えず前半は0-0で終了します。
 しかし後半に入るとギアを挙げた両チームが激しくせめぎあいます。後半開始にインドネシア代表FWサディル・ラムダニを投入したサバは、51分にウィルキン選手のゴールで先制すると、60分にKLシティがロメル・モラレスのヘディングシュートで同点に追いつきます。さらに70分には今季3試合目の先発となったKLシティの20歳FWハキミ・アジムが今季初ゴールを決めて、逆にKLシティがリードを奪います。しかし79分にパク・テスの放ったシュートがKLシティDFセバスチャン・アバンジニに当たって角度が変わりゴールへ。これにGKのメンドーザ選手が反応できずサバが再び同点に追いつくと、90分にはリザル・ガザリの絶妙なクロスをガブリエル・ペレスが足を出して角度を変えるとそのままゴールイン。KLシティ戦の連敗を止めたサバが4位に浮上しています。KLシティは自陣ゴール前でのDF陣の綻びが3失点につながっています。

2023年8月13日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:11,622人
ジョホール・ダルル・タジム 5-0 ペラ
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス(21分)、マシュー・デイヴィーズ(27分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(35分)、オスカル・アリバス(55分)、フアン・ムニス(66分)
⚽️ペラ:
🟨ジョホール:オスカル・リバス、フェロズ・バハルディン、
🟨ペラ:アイマン・ユスニ、フィルダウス・サイヤニ、シヴァン・ピレイ
MOM:フアン・ムニス(ジョホール・ダルル・タジム)

 リーグを独走する首位ジョホールがペラを破って開幕から20連勝し、リーグ10連覇に王手をかけています。
 2012年にザスパ草津(現ザスバクサツ群馬)やセレッソ大阪で、また2013年には仙台でプレーし、ACLでも2試合出場を果たしているヘベルチ・フェルナンデスのミドルシュートが21分に決まって先制したジョホールは、ヘベルチ選手のチーム加入から3試合連続のゴールから前半はさらに2ゴール、後半も2ゴールを追加し、前節のサバ戦に続く2試合連続の5得点で圧勝しています。なお今季5得点以上挙げた試合はこれが9試合目でした。(苦笑)なお、ジョホールは8月26日の次節第21節クダ戦で勝利すると、勝点差17で追う2位スランゴールが残り6試合を全勝してもジョホールの勝点を上回ることができず、リーグ10連覇が決定します。
 リーグ前半13試合を2勝2分9敗で折り返したペラは、後半戦はここまで2勝1分3敗と徐々に調子を上げてきていましたが、シュート数でジョホール24対ペラ2(前半14対1)と圧倒され、やはりジョホールの敵ではありませんでした。
 なおポルトガル1部のカサ・ピアACからのジョホールへの加入が8月12日に公式発表されたばかりの邦本宜裕選手は、チーム公式SNSでは練習参加の様子も紹介されていましたが、この試合はベンチ外でした。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第20節途中)

順位チーム勝点
1JDT2020007947560
2SEL20141545192643
3KDA19131537211640
4SAB21123647321539
5SRP19114430201037
6KLC207763434030
7TRE198562923629
8PDRM187381823-524
9NSE194962534-921
10PEN1954102330-719
11PRK2044121643-2713
12KLU1915131948-298
13KEL1922152268-468
14KCH1814131437-236
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第20節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)176130716
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)164530320
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)157329316
4クパー・シャーマン(SRP)103620319
5アブ・カマラ93715117
6ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ファイサル・ハリム(SEL)83424718
ステファノ・ブルンド(SRP)83617018
ロメル・モラレス(KLC)83117217
10パウロ・ジョズエ(KLC)74323318
ジオゴ(JDT)7181029
フアン・ムニス(JDT)73618418
イヴァン・マムート(TRE)74822115
パク・テス(SAB)72210020
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ
第19節結果とハイライト映像

8月8日から9日にかけてマレーシアスーパーリーグ第19節の6試合が行われています。なお、今節予定されていた8月9日のPDRM対クチンシティ(MBPJスタジアム)は9月10日に日程が変更になっています。

2023年8月8日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:517人
クランタン・ユナイテッド 1-4 トレンガヌ
⚽️クランタン:イスマイル・アキナルデ(86分)
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(29分PK)、ソニー・ノルデ(72分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(84分)、ハキミ・アブドラ(90+3分)
🟨クランタン:イスマイル・アキナルデ、カイルル・アズリン、ファンディ・オスマン
🟨トレンガヌ:アリフ・ファジラー、サフワン・マズラン
MOM:スハイミ・フシン(トレンガヌ)

 トレンガヌがイヴァン・マムートらのゴールで4点を上げて快勝。一方のクランタン・ユナイテッドは6試合白星なしで12位のままも、11位のペラとは勝点差8と開いています。

2023年8月8日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:4,144人
クダ・ダルル・アマン 2−0 スリ・パハン
⚽️クダ:イフェダヨ・オルセグン(4分)、J・パルティバン(40分)
🟨クダ:ロドニー・ケルヴィン
🟨スリ・パハン:マイケル・グラソック、ヌルシャミル・イスズハン
MOM:J・パルティバン(クダ・ダルル・アマン)

 クダはトランスファーウィンドウで新加入した選手の活躍でスリ・パハンとの3位争いを制しています。新加入のイフェダヨ・オルセグンが4試合で5得点目となるゴールを挙げれば、KLシティから期限付き移籍してきたJ・パルティバンも移籍初ゴールを決めています。、

2023年8月8日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:7.964人
スランゴール 2−0 KLシティ
⚽️スランゴール:ハリス・ハイカル(32分)、エイロン・デル・ヴァイエ(76分)
🟨スランゴール:サフワン・バハルディン、V・ルヴェンティラン
🟨KLシティ:パウロ・ジョズエ、ジャンカルロ・ガリフオコ
MOM:ブレンダン・ガン(スランゴール)

 共に首都圏を含むクラン渓谷(クランバレー)本拠地とする「クランバレーダービー」は、出場停止処分中のファイサル・ハリムやファズリ・マズラン、ケガでベンチ外となったシャルル・ナジームやアレクサンダー・アギャルカワなど主力が欠場で苦しいスランゴールが、前後半にそれぞれゴールを決めて勝利しています。KLシティはインドネシア1部プルシブ・バンドンへ移籍したボヤン・ホダック前監督に代わるネナド・バチナ新監督の初戦を勝利で飾ることはできませんでした。

2023年8月9日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:15,203人
サバ 1-5 ジョホール・ダルル・タジム 
⚽️サバ:フィルダウス・チュウ(13分)
⚽️ジョホール:フアン・ムニス(17分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(25分、62分、73分)、ヘベルチ・フェルナンデス(48分)
🟨サバ:ドミニク・タン、ラモン・マチャド
🟨ジョホール:フアン・ムニス、アリフ・アイマン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

 ベルグソン・ダ・シルヴァのハットトリックやヘベルチ・フェルナンデスの2試合連続ゴールなどで首位のジョホールが快勝。ケガで欠場中のリーグ得点王、フェルナンド・フォレスティエリや、ケガで今季絶望となったレアンドロ・ヴェラスケス不在が全く感じられない破壊力でサバを粉砕しています。

2023年8月9日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:505人
クランタン 2-0ヌグリスンビラン 
⚽️クランタン:レオナルド・ロロン2(2分、30分)
🟨クランタン:ナタニエル・シリンゴ・リンゴ、M・ラケシュ、アリー・プトラ・アズリ
🟨ヌグリスンビラン:ハリズ・カマルディン
🟥ヌグリスンビラン:ハリズ・カマルディン(🟨x2)
MOM:レオナルド・ロロン(クランタン)

 クランタンが3月5日以来となる今季2勝目を挙げています。新エースのレオナルド・ロロンが2試合連続を含む2ゴールを挙げています。ヌグリスンビランは、攻守の要のエラルド・グロン不在が響き、ハイン・テット・アウン(ミャンマー、スランゴールFCから期限付き移籍)とユセフ・エゼジャリ(スペイン、タイ1部コンケーン・ユナイテッドから移籍)の新加入ツートップも機能しませんでした。

2023年8月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:3,864人
ペラ 3-1 ペナン
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイゴチェア(5分)、ワン・ザック・ハイカル(28分)、ソ・ソンウン(77分)
⚽️ペナン:アリフ・イクマルリザル・アヌアル(74分)
🟨ぺラ:サンディ・アフォラビ
🟨ペナン:アフマド・ハジク、ファリス・シャー
MOM:ルシアノ・ゴイゴチェア(ペラ)

 11位のペラが10位のペナンを破り今季4勝目を挙げるとともに、ペナンとの勝点差を3としています。JFL時代のFC琉球に所属したこともあるワン・ザック・ハイカルが今季初ゴールを挙げ、後半戦好調のルシアノ・ゴイゴチェアと、ソ・ソンウンもそれぞれ後半戦2ゴール目を決めています。一方のペナンは3連敗となっています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第19節終了)

順位チーム勝点
1JDT1919007447058
2SEL20141545192643
3KDA19131537211640
4SRP19114430201037
5SAB20113644301436
6KLC198653331230
7TRE198562923629
8PDRM187381823-524
9NSE194962534-921
10PEN1954102330-719
11PRK1834111337-2413
12KLU1915131948-298
13KEL1922152268-468
14KCH1814131437-236
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第19節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)186130716
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)164530320
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)146828315
4クパー・シャーマン(SRP)103620319
アブ・カマラ93715117
6ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ファイサル・ハリム(SEL)83424718
ステファノ・ブルンド(SRP)83617018
9パウロ・ジョズエ(KLC)74323318
ロメル・モラレス(KLC)72916216
ジオゴ(JDT)7181029
イヴァン・マムート(TRE)74822115
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

8月8日のニュース
国内女子サッカーリーグの2023年シーズンが開幕
フットサル代表監督にタイ出身のラクポル・サイネッガム氏が就任
AFF U23選手権出場のU23代表候補合宿参加者25名が発表
ムルデカ大会のチケット情報が発表

国内女子サッカーリーグの2023年シーズンが開幕

国内女子サッカーリーグ(マレーシア語ではLWN)2023年シーズンが8月5日に開幕し、ハンナ・ヨー青年スポーツ相やマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長が開幕戦が開催されたスランゴール州シャーアラムのマラ工科大学UITMで開催された開会式に出席しています。

昨季までは地域ごとに分かれて開催されていたLWNは、今季から全国リーグとなっていますが、その開会式ヨー青年スポーツ相は、全国リーグとなったことで、より多くの女性が自分たちもサッカーができることを自覚し、国内に多くの女子サッカー選手を生み出すことにつながると述べ、女子サッカー人口の増加、そして女子代表の強化にもつながるだろうと述べています。その上で、女子選手が増えれば、女子指導者も増え、女子指導者が増えれば女子チームの数が今後も増えることが期待できるとも話しています。

全国リーグ初年度となった今季は、8月から11月までの間にホームアンドアウェイ形式で行われ、当初は10チームの参加が発表されていましたが、その後はスランゴールFC、LMSタイグレスFC、マレーシアスポーツスクールパハン校(SSMP)、マレーシア大学、サバFC、クラナ・ユナイテッドFCの6チームで開幕しています。

ヨー青年スポーツ相は他のクラブや各州代表など、今後はより多くのチームの参加を期待したいと開会式後の記者会見で述べていますが、FAMのハミディン会長は、リーグ拡大には多くのスポンサーが必要だと述べる一方で、スポンサーとなりうる企業は全国リーグとなったLWNの今後の運営状況などを見た上で参入する可能性があることから、リーグ拡大には数年はかかるだろうと話しています。

なお開幕戦となった8月5日の試合では、スランゴールFCがマレーシア大学を1-0で、マレーシアスポーツスクール・パハン校がLMSタイグレスFCを1ー0で破っています。

フットサル代表監督にタイ出身のラクポル・サイネッガム氏が就任

マレーシアサッカー協会FAMは、フットサル代表の監督にタイ出身のラクポル・サイネッガム氏が就任することを公式サイトで発表しています。2年契約を結んだ44歳のラクポル氏はタイの強豪で、今年5月に開催された東南アジアサッカー連盟AFFフットサルクラブ選手権2023年大会優勝のブラックスティールFCの監督からの転身となります。なおラクポル氏はAFCフットサルアジアカップ2024年大会予選の突破を目標としてあげています。

男子と女子のフットサルタイ代表監督や、やはりタイの強豪チョンブリー・ブルーウェーブ監督時代にはAFCフットサルクラブ選手権にも優勝しているラクポル氏は、オランダ出身のヴィクトル・ヘルマン(1996年)、ブラジル出身のシルヴィオ・マシャド(2003年から2006年まで)とマルセロ・セルパ(2014年から2017年まで)に続く、4人目となる外国籍のフットサル代表監督です。なおフットサルマレーシア代表の監督は、昨年2022年にベトナムのハノイで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズでマレーシアフットサル代表がグループステージ全敗で予選リーグ敗退となり、チュウ・チャンヨン監督が解任された後、空席となっており、マレーシアサッカー協会FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、マレーシア国外から新監督候補数名と面談中であると今年2月ごろに明らかにしていました。

フットサルマレーシア代表はラクポル新監督のもと10月7日に開幕するAFCフットサルアジアカップ2024年大会予選に向けた代表候補合宿を来月9月10日から行うことも発表されています。マレーシアはウズベキスタンで開催される予選G組に入り、10月7日の初戦でイラク、同9日にウズベキスタン、そして同11日にカンボジアと対戦します。この予選では各組の1位8チームと、各組2位のうち成績上位7チームが、開催国(未定)と共に本大会へ出場します。

ラクポル新監督の就任記者会見の様子。FAMの公式YouTubeチャンネルより
AFF U23選手権出場のU23代表候補合宿参加者25名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは今月13日から始まるU23代表候補合宿の参加メンバー25名を発表しています。E・エラヴァラサン監督率いるU23代表は、今月26日タイのラヨーンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場します。

POS氏名年齢所属
GK シャーミ・アディブ・ハイカル20SEL
GKラーディアズリ・ラハリム22TRE
GKアジム・アル=アミン22KLC
DF V・ルヴェンティラン22SEL
DFジクリ・カリリ21SEL
DFウマル・ハキーム21JDT II
DF M・ラケシュ22KEL
DFフィルダウス・ハスノディン21KEL
DFハリズ・マンソル21KDA
DFナズウィン・サレー22KLC
MF シャヒル・バシャー22SEL
MFナジムディン・アクマル20JDT II
MFファーガス・ティアニー20JDT II
MFダリル・シャム21JDT II
MFシャフィ・アズワド・サパリ22PEN
MFムスリフディン・アティク・マット・ザイド22TRE
MFウバイドラー・シャムスル・ファジリ20TRE
MFサイフル・ジャマルディン22SRP
MFシャーリル・スパルマン22SRP
MFハズミ・アブ・ザイド22IMI
FWアリフ・イズワン・ユスラン19SEL
FWアリフ・イクマルリザル・アヌアル21PEN
FWハジク・クティ・アバ19PEN
FW ハリス・ アキフ22KEL
FW アイマン・アフィフ22KDA
チーム名:SEL-スランゴールFC、JDT II-ジョホール・ダルル・タジムII(U23)、PEN-ペナンFC、TRE-トレンガヌFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、IMI-イミグレセンFC(3部M3リーグ)
ムルデカ大会のチケット情報が発表に

10年ぶりに復活する今年のムルデカ大会は今大会が42回大会となりますが、この大会のチケット情報をマレーシアサッカー協会FAMが公式サイトで発表しています。10月開催のムルデカ大会については、当初は8月1日からチケット発売が予定されていましたが、今回の発表では明日8月9日からオンラインで発売となるということです。

直近のFIFAランキング136位のマレーシアが主催し、パレスチナ(同96位)、インド(同99位)、レバノン(同100位)と格上のチームを招いて開催される大会は、10月13日(金)に2試合が、10月17日(火)に優勝決定戦と3位決定戦が、いずれもクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われます。

チケットは1日券が一般40リンギ(およそ1,250円)、6歳から12歳までの子ども5リンギ(およそ160円)、メインスタンドが60リンギ(およそ1,880円)、プレミアム席が80リンギ(およそ2,500円)となっています。また一般席の2日間通し券もあり、こちらは70リンギ(およそ2,200円)で、明日8月9日から9月5日まで販売され、それ以外の席は9月6日からいずれもオンラインで販売されるということです。

*****

マレーシア語で「独立」を意味するムルデカの名がつけられたこの大会は、1957年8月31日にマラヤ連邦(現在のマレーシアのマレー半島部)が英国から独立したことを記念して、独立当日の1957年8月31日から第1回大会が開催されました。時代を感じさせる第1回大会の参加チームは、ホストのマラヤ連邦(シンガポールやサラワク、サバとともにマラヤ連邦がマレーシアとなるのは1963年まで待たねばなりません。)の他、南ベトナムやビルマ(いずれも当時)、シンガポール、タイ、インドネシア、カンボジア、そして香港リーグ選抜の8チームが出場し、香港リーグ選抜が優勝しています。

また第1回大会の試合会場となったムルデカ・スタジアムはマラヤ連邦独立記念式典が開催された会場ですが、起工式が前年1956年9月ながら、1年経たずに完成させたのは、この独立式典に間に合わせるためだったと言われています。現在はスタジアムとしては使われていませんが、国の重要文化遺産に指定されています。

8月7日のニュース
マレーシアは来年1月のアジアカップ開幕前にオマーン、サウジアラビアと練習試合で対戦
協会会長-1ヶ月間出場停止処分中のファイサル・ハリムの9月の代表戦招集はキム・パンゴン監督に一任
マレーシアプレミアフットサルリーグ決勝ファーストレグ-パハンレンジャーズがジョホールに先勝

マレーシアは来年1月のアジアカップ開幕前にオマーン、サウジアラビアと練習試合で対戦

今年11月から始まるFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選では、マレーシアはD組に入りオマーン、キルギス、プレーオフの台湾対東ティモールの勝者と同組となっていますが、その内のオマーンと来年1月にも対戦するとマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長が発表しています。

来年1月にはカタールでAFC選手権アジアカップ2023年大会が開催されますが、その直前にマレーシアはサウジアラビアとはカタールのドーハで練習試合を行い、オマーンとは敵地に乗り込んでの試合となるということです。

FIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選では、マレーシアとオマーンの対戦は3月21日の第3節にオマーンで、またその5日後の3月26日の第4節にはマレーシアのホーム、ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)で対戦します。

なお来年1月のアジアカップ2023年大会では、マレーシアは韓国、ヨルダン、レバノンとE組に入っています。

協会会長-1ヶ月間出場停止処分中のファイサル・ハリムの9月の代表戦招集はキム・パンゴン監督に一任

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、現在、マレーシアスーパーリーグ出場停止処分を受けているファイサル・ハリム(スランゴールFC)の9月の代表招集については、キム・パンゴン監督次第と述べるにとどまっています。

ファイサル選手は4月27日のFAカップ準決勝サバ戦後にメディアの取材に応えたコメントの内容がFAMの設ける規定に違反するものだとして1年間の観察処分付きで1か月の出場停止処分を科されています。この出場処分は7月25日から8月23日までとなっており、FAMはファイサル選手がチーム練習に参加することは許可するとしていますが、1ヶ月間実戦から離れるファイサル選手について、代表戦の出場について疑問の声にハミディン会長が直接応えています。

マレーシアは9月のFIFA国際マッチカレンダーで9月6日にシリアと、また9月9日には中国といずれも中国南西部にある四川省の州都、成都市で対戦します。

マレーシアプレミアフットサルリーグ決勝ファーストレグ-パハンレンジャーズがジョホールに先勝

国内フットサルリーグの頂点を決めるマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLの決勝ファーストレグが行われ、ヘラルド・カラス監督率いるパハンレンジャーズがセルヒオ・ジャムール・デ・ソーザの2ゴールなどで、今季新参入ながら決勝まで駒を進めたジョホール・ダルル・タジムを7-3で破っています。

ホームアンドアウェイ方式で行われる決勝のファーストレグはパハンレンジャーズのホーム、パハン州クアンタンのスクパ総合競技場で行われ、7分にPKを得たジョホールがアワルディン・マット・ナウィのゴールで先制したものの、その2分後にはハリス・ナイム・ナシルのゴールでパハンレンジャーズはすぐさま同点に追いつきます。さらに8分にはスフリ・シャミルのゴールでパハンレンジャーズがリードを奪いますが、16分にはジョホールがアブ・ハニファ・ハサンのゴールで再び同点に追いつきます。そして前半終了間際の18分にセルヒオ・ジャムール・デ・ソーザのゴールで3-2とパハンレンジャーズがリードを奪い返して前半が終了します。

下手なMリーグの試合より多い3,000人近いのホームサポーターの声援を受けたパハンレンジャーズが後半から一気にギアを上げました。3分にセルヒオ選手がこの試合2点目となるゴールを決めて、4-2とすると、ハリス・ナイム選手が28分、29分と立て続けにゴールを決めて自身のハットトリックを達成すると共に、パハンレンジャーズのリードを4点に広げます。

ジョホールは少しでも点差を詰めようと守勢に回ることなく攻め続けますが、逆にハリス・ナイム選手がジョホールのパワープレーからボールを奪うと、この試合4点目となるゴールを試合終了間際に決めて、パハンレンジャーズが決勝ファーストレグで勝利しています。なおセカンドレグは、8月14日(月)にジョホールのホーム、ジョホール州パシル・グダンのMBPG屋内スタジアムで行われます。

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2019年からマレーシアプレミアフットサルリーグと名称が変更されたこのリーグは、2021年と2022年シーズンは新型コロナの影響で中止に追い込まれており、今大会が実質3回目です。2019年と昨季2022年はスランゴールMACが連覇していましたが、今季2023年シーズンは、準決勝でそのスランゴールMACと対戦し1勝1分で退けて決勝に進出したパハンレンジャーズと、フットサル日本代表の平田ネト・アントニオ・マサノリ選手が在籍したスランゴールTOTとの準決勝を2連勝(ただし、平田選手は準決勝前に退団しスペイン移籍)で勝ち上がってきたジョホール・ダルル・タジムの決勝となっています。

2019年、2022年といずれも決勝でスランゴールMACに敗れて準優勝に終わっていたパハンレンジャーズが悲願の優勝を果たすのか、今季初参入ながら各チームからマレーシア代表をかき集めてチームを作ったジョホールが、サッカー同様マレーシア王者としての第一歩を踏み出すのか、興味深い決勝セカンドレグになりそうです。

マレーシアプレミアフットサルリーグMPFL2023決勝ファーストレグ
2023年8月5日@スクパ総合競技場屋内スタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:2,900人
パハンレンジャーズ 7-2 ジョホール・ダルル・タジム

この試合のハイライト映像。balrz TVの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ1回戦
ファーストレグ結果とハイライト映像(1)

8月3日から1回戦が始まったマレーシアカップ。第1回大会(当時の名称はマラヤカップ)が開催されたのはこの国がマラヤと呼ばれ、まだ英国の植民地だった1921年、年号で言えば大正10年でした。同じ1921年に第1回大会が開かれたサッカー天皇杯とともにアジア最古のカップ戦として知られるマレーシアカップは、開催当初は各州代表チームによる対抗戦として始まった経緯もあり、郷土のチームをサポーターが熱狂的に応援する様子はさながら高校野球の甲子園大会を思わせます。1942年から1947年までは日本による英領マラヤ占領により休止に追い込まれたこともあり、今年2023年の大会は第97回大会となっています。

このマレーシアカップは、これまではリーグ戦終了後に行われ、1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チームの合計16チームによって争われてきましたが、今季はスーパーリーグとプレミアリーグの統合によりスーパーリーグが14チーム編成となったことに加え、プレミアリーグが休止となったことから、今大会はスーパーリーグの全14チームと、3部リーグにあたるM3リーグで現在首位のKLローヴァーズFCと2位ハリニ・スランゴールFCの2チームの合計16チームが参加します。なお大会のフォーマットは1回戦から準決勝まではホームアンドアウェイ形式で行われ、決勝のみが一発勝負となっています。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月3日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:2,100人
PDRM 1-4 スランゴール
⚽️PDRM:ハディ・ファイヤッド(25分)
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ2(57分、64分)、ハリス・ハイカル(74分)、ヨハンドリ・オロスコ(90+1分)
🟨PDRM:ファディ・アワド、アミル・サイフル・バデリ
🟨スランゴール:ファズリ・マズラン、アリフ・ハイカル
MOM:エイロン・デル・ヴァイエ(スランゴール)

 いずれもMBPJスタジアムをホームとする両チームの対戦は、立ち上がりからスランゴールが押し気味で進む中、先制したのはPDRMでした。25分に鈴木ブルーノ選手が放ったシュートがゴールポストに当たると、そこに詰めていたハディ・ファイヤッドがこのボールを押し込んでゴール。Jリーグ岡山からマレーシアへ復帰し、期限付き移籍でPDRMへ移ってきたハディ選手とMリーグのベテラン鈴木選手のツートップが絡んだ日本人にとっては胸熱のゴールでPDRMが先制し、そのリードを保ったまま前半が終了します。
 後半に入ると57分にブレンダン・ガンの右サイドからのクロスにエイロン・デル・ヴァイエがPDRMのDFに競り勝って同点ゴールを決めると、さらにその7分後には見事なバイシクルキックから逆転ゴールを決め、その後はマークが甘くなったPDRM守備陣を嘲笑うかのようにハリス・ハイカル、ヨハンドリ・オロスコがそれぞれゴールを決め、終わってみれば、出場停止処分のファイサル・ハリム不在を感じさせないスランゴールが4-1と圧勝しています。なお7月29日のスーパーリーグ第18節ジョホール・ダルル・タジム(JDT)戦では18分に自陣ゴール前の接触プレーにより負傷し途中退場したスランゴールFCのFWリッチモンド・ボアキエは、その後の診断で脳震盪を起こしていたことが判明しましたが、この日は先発に名を連ねてフル出場するなど、大会最多の33回優勝を誇るスランゴールが、2015年以来の優勝に向けて好スタートを切っています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して66分に交代しています。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月3日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:4,088人
ペラ 3-1 クダ・ダルル・アマン
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイコチェア(48分PK)、ルカ・ミルノヴィッチ(55分)、ハキミ・マット・イサ(86分)
⚽️クダ:マヌエル・オット(1分)
🟨ペラ:サンディ・アフォラビ
🟨クダ:マヌエル・イダルゴ
🟥クダ:ロドニー・ケルヴィン
MOM:ルカ・ミルノヴィッチ(ペラ)

 これがまさにカップ戦の醍醐味。リーグ戦では3勝4分11敗の11位のペラが4位のクダに快勝しています。
 開始1分もしないうちに得たコーナーキックからマヌエル・オットのヘディングシュートで先制したクダは、その後は追加点を奪えず1点リードのまま前半を終了します。
 後半に入ってもクダが攻め込む展開ながら、ペラはそこからのカウンターが徐々に機能し始めた48分、自陣ゴール前でクダのDFボヤン・シーゲルがハンドの反則でペラにPKを与えてしまいます。このPKをキャプテンのルシアノ・ゴイゴチェアが決めてペラが同点に追いつくと、55分には新加入のFWルカ・ミルノヴィッチが加入後初ゴールを決めて逆転します。反撃したいクダでしたが、61分にはペラFWソ・ソンウンとのボール争いに苛立ったクダDFロドニー・ケルヴィンがソ選手を倒し、さらにその頭を蹴って1発レッドで退場となると、数的不利になったクダは逆にペラに追加点を許してしまい敗れています。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月3日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:1.201人
ペナン 0-4 KLシティ
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ2(4分、26分)、ザフリ・ヤハヤ(31分)、ロメル・モラレス(84分)
🟨ペナン:ウスマン・ファネ、ラファエル・ヴィトール、A・ナマテヴァン
🟨KLシティ:セバスチャン・アヴァンジーニ、ライアン・ランバート、ケヴィン・メンドーザ、ハキミ・アジム
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティ)

 2021年のマレーシアカップチャンピオンのKLシティが敵地で圧勝しています。
 ボヤン・ホダック監督がインドネシア1部のプルシブ・バンドン監督就任のため退団し、後任のネナド・バチナ監督がまだマレーシア入りしていないKLシティは、この日もミロスロフ・クルヤナッチ コーチが指揮を取っていますが、スタメン復帰したパウロ・ジョズエが監督不在を感じさせないプレーでチームを鼓舞し、チームも試合開始からペナンを圧倒し前半だけで3ゴールを挙げて圧勝しています。
 ペナンは新戦力のFWアブドル・アブディーン・テミトープも不発で良いところなく敗れています。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月4日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:495人
KLローヴァーズ 0-4 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート3(18分、45+1分、67分)、エンカウ・シャキル(51分)
🟨KLローヴァーズ:ラフィ・マット・ヤアコブ、イクマル・イドリス
🟨トレンガヌ:なし
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌ)

 M3リーグ首位のKLローヴァーズは開幕から14連勝中。今季のスーパーリーグで7位のトレンガヌに対してどのようなプレーを見せるのかに注目が集まりました。元代表MF R・ゴピナタン、元U23代表らが所属しているものの、外国籍選手はおらず、選手の大半は大学生やフードデリバリー配達員などアマチュア選手で構成されているKLローヴァーズのワン・ムスタファ監督は、試合前記者会見ではいわゆる「バスを停める」戦術で臨むことを明言していました。
 かつてのKLシティFCのような白赤の斜めストライプのユニフォームを着用したKLローヴァーズですが、バスを停めても、トレンガヌの猛攻に持ち堪えられたのは17分まででした。それまでスーパーセーブを繰り返してチームの窮地を救っていたKLローヴァーズのGKアメルル・イクワンでしたが、18分にソニー・ノルデのパスを受けたイヴァン・マムートのシュートが決まり、トレンガヌが先制すると、前半終了間際にも相手ミスからマムート選手がゴールを決めて、トレンガヌが2-0としリードして前半を折り返します。
 後半に入ってもトレンガヌがマムート選手がハットトリックを達成するなど、シュート数はトレンガヌの28本(枠内8本)に対してKLローヴァーズは4本(同0本)と、むしろKLローヴァーズの失点が4点で済んで良かったと思えるような試合でした。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月4日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:1,700人
クランタン 1-5 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️クランタン:カライフ・ナスカム(85分)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(6分)、ヘベルチ・フェルナンデス2(15分、24分)、シャールル・サアド(50分)、ナズミ・ファイズ(67分)
🟨クランタン:レオナルド・ロロン、ハフィザン・ガザリ、ユスリ・ユハスマディ
🟨ジョホール:オスカル・アリバス
MOM:フェロズ・バハルディン(ジョホール)

 給料未払いにより新規選手獲得禁止処分を受けていたクランタンは、数日前にこの処分を解除され、すぐさま新外国籍選手獲得を発表したものの、この試合には間に合わず、外国籍選手はナサニエル・シリンゴ・リンゴ(インドネシア)とレオナルド・ロロン(アルゼンチン)のFW2名だけ、さらにマレーシア人選手も多くと契約を解除し、先発XIの半数以上がU23チームからの昇格、ベンチの選手も合わせると20名中14名がU23やU18チームからの昇格組で占められており、ジョホール相手には明らかに役不足でしたが、試合結果もその通りの散々なものになっています。
 ジョホールでは新加入のヘベルチ・フェルナンデスがリーグ戦デビューとなった7月29日のスランゴール戦に続いてゴールを挙げ、ケガで離脱中のフェルナンド・フォレスティエリやジオゴの穴を埋めて余りある活躍を見せています。ケガで今季絶望と言われるレアンドロ・ヴェラスケスに代わっては邦本宜裕選手の獲得も噂されており、マレーシアカップ連覇へ向けて死角なしです。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月4日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:161人
ハリニ・スランゴール 2-3 スリ・パハン
⚽️ハリニ:フィクリ・シャー(59分)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(74分)
⚽️スリ・パハン:デヴィッド・ローリー(20分)、シャズワン・アンディク(54分)、バキウディン・シャムスディン(90+2分)
🟨ハリニ:フィクリ・シャー、ノーシャルル・イドラン・タラハ
🟨スリ・パハン:アズリフ・ナスルルハク、マイケル・グラソック
MOM:K・ルーベン(ハリニ・スランゴール)

 こちらはカップ戦の怖さが出た試合と言えるかも知れません。リーグ4位のスリ・パハンが3部M3リーグ2位のハリニ・スランゴールにロスタイムのゴールで辛勝。
 前半を1−0、後半にも1点を追加して2-0とリードしたスリ・パハンに対し、ハリニはマレーシア代表で80試合以上出場し14ゴールを挙げているノーシャルル・イドラン・タラハのゴールなどで追いつき、あわや引き分けかと思われたロスタイムにスリ・パハンがバキウディン・シャムスディンのゴールで勝ち越しています。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:194人
クランタン・ユナイテッド 0-1 ヌグリスンビラン
⚽️ヌグリスンビラン:ショーン・セルヴァラジ(29分)
🟨クランタン:アリフ・アル=ラシド
🟨ヌグリスンビラン:エラルド・グロン
MOM:シーク・イズハン(ヌグリスンビラン)

 リーグ9位のヌグリスンビランが1、リーグ2位で今季未だ1勝のクランタン・ユナイテッドにこちらも辛勝しています。29分にショーン・セルヴァラジのヘディングシュートが決まり先制したヌグリスンビランですが、むしろ試合の主導権はクランタン・ユナイテッドが握りながら進みました。リーグ戦ではアイルトン・シルヴァ監督就任以降2分2敗の成績ですが、この試合ではトランスファーウィンドウで獲得したDFアズルル・ナズリスと共にトレンガヌから期限付き移籍したMFファイズ・ナシルが良い動きを見せるなど、僅差で敗れたもののクランタン・ユナイテッドにとっては、セカンドレグに期待が持てる試合展開でした。
 リーグ戦から得点力不足が課題のヌグリスンビランは、スランゴールから期限付き移籍で獲得したミャンマー代表FWハイン・テット・ウアン、同時に2チームで加入が発表されて話題になったユセフ・エゼジャリの両FWを後半から投入したものの追加点が奪えず、この試合のMOMとなったシーク・イズハンが好セーブを連発したおかげで最小得点での逃げ切りに成功しましたが、ホームでのセカンドレグも厳しい戦いになりそうです。

マレーシアカップ20231回戦ファーストレグ
2023年8月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:763人
クチンシティ 0-3 サバ
⚽️サバ:ラモン・マシャド2(4分、7分)、ダニエル・ティン(15分)
🟨クチンシティ:アブ・カマラ、ペドロ・エンリケ、アミル・アムリ、ラメシュ・ライ
🟨サバ:リザル・ガザリ
MOM:ラモン・マシャド(サバ)

 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームによる「ボルネオダービー」は、現在のスーパーリーグでのチーム状態を反映するかのようにリーグ5位のサバが開幕戦以来勝ち星がない11位のクチンシティに快勝しています。
 先週、クチンシティの監督に就任が発表されたばかりのアイディル・シャリン新監督にとっては就任後初の試合でしたが、先手を取ったのはサバでした
 リーグ戦4試合で4ゴールを挙げている新加入のラモン・マシャドがこの試合でも開始4分に強烈な右足のシュートで先制ゴールを決めると、さらに7分には左サイドを上ったコ・グァンミンのクロスを頭で合わせて追加点となる2ゴール目を挙げ、立ち上がりからクチンシティに落ち着く時間を与えません、さらに15分にはクチンシティDFの中途半端なクリアボールを拾ったダニエル・ティンのゴールが決まり、試合開始から15分で3−0とリードし、前半はこのまま終了します。
 後半に入るとペースダウンしたサバに対し、この試合がクチンシティで初采配となるアイディル・シャリン監督もヌルシャミル・アブドル・ガニやペドロ・エンリケなど次々とFWを投入しますが、ゴールには至らず、サバがクチンシティを完封しています。
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

8月3日のニュース
邦本宜裕選手がリーグ9連覇中の王者ジョホール加入か
クランタンが4名の外国籍選手獲得も色々と問題あり
スーパーリーグの2チームが同一選手をそれぞれ新加入選手として発表
アイディル前クダ監督は噂通りクチンシティ監督に就任

一昨日8月1日は今年2度目のトランスファーウィンドウ最終日でしたが、新規選手獲得禁止処分が解かれたリーグ最下位のクランタンFCが駆け込みで4名の外国籍選手を獲得するなどいくつか動きがありましたので、今日は移籍・新加入選手に関するニュースを中心に取り上げます。

邦本宜裕選手がリーグ9連覇中の王者ジョホール加入か

マレーシアスーパーリーグに新たな日本人選手がやって来るようです。スーパーリーグで9連覇中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)のチーム公式SNSでは、日本を匂わせるようなティーザー動画がアップされていますが、マレーシアの噂系サイトではポルトガル1部のカーザ・ピアACから邦本宜裕選手が移籍するような記事が上がっています。

国内リーグは開幕から18連勝中で、既に2位のスランゴールと勝点14をつけ、今季のリーグ優勝もほぼ手中にしているチームが目指すのは、ACLで昨季のベスト16以上の成績を残すことです。そこでACLでのプレー経験がある邦本選手に白羽の矢が立ったのかもしれません。韓国リーグでは慶南FCや全北現代で活躍しながら、不祥事で退団しポルトガルへ移ると、そこでも活躍している選手です。実力も実績もある選手であることは周知の事実なので、マレーシアリーグでの日本人選手の評価を上げるためにも入団の暁には、ぜひ、活躍してほしいです。

クランタンが4名の外国籍選手獲得も色々と問題あり

今年2度目のトランスファーウィンドウ最終日となった昨日8月1日に、リーグ最下位のクランタンFCが5名の外国籍選手と1名のマレーシア人選手の加入を発表しています。クランタンFCは4月と5月分の選手への給料および日本の年金に該当する労働者積立基金EPFの雇用主負担分の支払いを行なっておらず、マレーシアフットボールリーグMFLの独立組織でクラブライセンスの交付を行う第一審機関FIBから7月3日に新規選手獲得禁止処分を科されていましたが、その後、「支払い済みを証明するための必要書類が提出された」ことを理由にFIBが7月28日に処分解除を発表していました。

今回のトランスファーウィンドウでクランタンFCに加入したのは以下の選手です。
FWデニス・ブシェニング(タイ、タイ3部MHナコーンシーから移籍)
マレーシアスーパーリーグでは2020年シーズンにはサバFC、21年シーズンにはUITM FC(現在はMリーグから脱退)、そして昨季22年シーズンにはクダ・ダルル・アマンFCでもプレー経験があり、通算成績は3シーズンで合計14試合出場6ゴール1アシストの記録を持っています。

DFアリー・セサイ(シエラレオネ、香港1部理文(リー・マン)FCから移籍)
英国生まれながら、シエラレオネ代表でのプレー経験もあるセサイ選手は28歳ながら、英国の株リーグやスウェーデン、ブルガリア、アゼルバイジャンリーグでプレーした後、インドネシア1部プルスバヤ・スラバヤやPSISスマランでもプレー経験があります。なおシエラレオネ代表としてのキャップ数は10。

MFアフメド・マグディ(エジプト、エジプト1部アル・ムカウルーン・アル・アラブSCから移籍)
今回が初めての東南アジアのリーグ参戦となる33歳のアフメド選手は、2012年のロンドンオリンピックに出場したU23エジプト代表のメンバーでした。

GKアリアクバル・アフメディ(イラン、イラン3部 Vahdat Aghashtから移籍)
イランのU19代表で数試合の出場経験があるアリアクバル選手も東南アジア初参戦です。

なおクランタンFCは2度目のトランスファーウィンドウが開く前に、開幕から在籍していたDFミゲル・フエンテス、MFマリオ・アルケス(いずれもスペイン)、FWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア)、FWヌハ・マロング(ガンビア)の4名の外国籍選手との契約を解除していました。

クランタンFCの監督には、アルゼンチン出身で昨季はインドネシア1部ペルシタ・タンゲランでシーズン終了直前まで監督を務めたアンヘル・アルフレド・ヴェラ氏が就任しています。インドネシアリーグでは、プルシタ・タンゲランの他にもプルシプラ・ジャヤプラ、プルスバヤ・スラバヤ、プルシバ・バリクパパンで監督を務め、2016年シーズンにはプルシプラ・ジャヤプラの監督にシーズン途中で就任しながら、チームを優勝に導いています。インドネシアリーグに長く在籍したことで、インドネシア語が担当なヴェラ監督が、この新戦力を得てどのような戦いを見せてくれるのでしょうか。

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4名の新外国籍選手加入が発表されたクランタンですが、実はチーム公式SNSでは大量7名の外国籍選手加入が紹介されていました。しかし上で取り上げた4名以外の選手とは最終的に契約に至らなかったことが複数のメディアで報じられています。

加入が発表されながら、結局、契約に至らなかった一人はトレンガヌFCでプレーするFWジョーダン・ミンターでした。トミスラフ・スタインブリュックナー監督が就任した今季は昨季に比べて出場機会を減らしているミンター選手は、戦力が不十分なクランタンFCに移籍することで多くの出場時間を得られる可能性があり、十分に考えられる移籍でしたが、チーム公式SNSでミンター選手加入を知らせる投稿がされてから程なくして、投稿が削除されました。

またかつてクダ・ダルル・アマンFCやスランゴールFCでプレー経験があるMFアンディク・ヴェルマンサもクランタンFCのチーム公式SNSで加入が発表されながら、結局、契約に至らなかった選手です。2013年にはヴァンフォーレ甲府へ「練習生」として参加したこともあるアンディク選手は、その年の12月にスランゴールFCへ加入し2014年から4年間プレーし、2018年にはクダ・ダルル・アマンFCでもプレー経験があります。そのアンディク選手も契約について協議していながら、いわゆる「ドタキャン」になってしまったようです。そして3人目の選手の話が次の記事になっています。

スーパーリーグの2チームが同一選手をそれぞれ新加入選手として発表

上の記事で取り上げたクランタンFCの新加入選手ですが、実はチーム公式Facebookでは、以下の選手も新加入選手として発表されていました。

FWユセフ・エゼジャリ(スペイン、タイ1部コンケーン・ユナイテッドから移籍)
2021年からインドネシア1部のプルシク・ケディリ、バヤンカラFCなどでプレーし、昨季はタイと東南アジアでプレー経験を持つストライカーです。

このブログに記事を書く際に私は、選手の経歴を確認するためにトランスファーマルクトを使うのですが、このエゼジャリ選手のページを見ると現在の所属がクランタンFCではなく、同じスーパーリーグのヌグリスンビランFCになっていることに気づきました。そしてその後、ヌグリスンビランFCのチーム公式SNSを見るとエゼジャリ選手の加入が発表されていました。

この奇妙な状況に頭が混乱していたのですが、そんな中でマレーシア語紙ブリタハリアンが速報を掲載し、その背景が説明されています。このエゼジャリ選手の代理人とされる人物が自身のインスタグラムでクランタンFCに対して公式謝罪し、エゼジャリ選手は7月31日にクランタンFCとの契約書に署名した一方で、一昨日8月1日にはヌグリスンビランFCとの契約書にも署名をしていたことを明らかにしています。さらにエゼジャリ選手が複数のチームの契約書に署名していたことは知らされていなかったとしながらも、このような行為は到底許されることではないとして、エゼジャリ選手と話し合いを持つということです。(以下は左がクランタンFCの、右がヌグリスンビランFCのそれぞれチーム公式SNSで告知されたエゼジャリ選手の加入)

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アイディル前クダ監督は噂通りクチンシティ監督に就任

スーパーリーグで13位で谷川由来選手が所属するクチンシティFCは、シンガポール出身でクダ・ダルル・アマンFC前監督のアイディル・シャリン氏が監督に就任することをチーム公式SNSで発表しています。なお契約期間は今季終了までということです。

クチンシティFCは今季開幕戦でクランタンFCを破り、2部プレミアリーグから昇格した6チームの中では最速で1部スーパーリーグで勝利を挙げたものの、その後は0勝4分13敗と苦しみ、先月にはイルファン・バクティ監督とスライマン・フシン コーチがそろって辞任していました。そしてその後任として噂されていたのが、昨季途中からインドネシア1部リーグのプルシカボ1973の監督に就任し、今季2023/24シーズン開幕から4試合を終えて突然、監督を辞任していたアイディル氏でした。

就任記者会見の様子を伝えたマレーシア語紙ウトゥサンボルネオ電子版では、アイディル新監督の「自分の仕事は、自信を持って勝利を目指せるように選手の士気を高めることだ。」とのコメントを掲載し、さらにチームワークとハードワークをチームに求める一方で、ピッチ上で監督、コーチと選手が実力を出し切れるようにしたい、とも話しています。

またチームも退団したGKジュリアン・シュワルツァー(インドネシア1部アレマFCへ移籍)、MFデシ・マルセルに代わり、ナミビアとタジキスタン出身のDFとFWを獲得する予定も明らかにしており、既にクランタンFCから獲得した2021年2部プレミアリーグのマレーシア人得点王FWヌルシャミル・アブドル・ガニ、そしてプルシカボ1973ではアイディル監督のもとでプレーしたFWペドロ・エンリケ・コルテス、MFブルーノ・ジバウのブラジル出身コンビなど新戦力も補強されており、あとはアイディル監督のお手並み拝見、と言ったところでしょうか。

8月1日のニュース
9月のFIFAカレンダーでマレーシアはシリア、中国との対戦が決定
キャップ数60超えの元代表選手が現役引退し州議会選出馬も「マニフェストは当選後に発表する」
元ジョホール選手が強盗容疑で起訴されるも罪状否認

9月のFIFAカレンダーでマレーシアはシリア、中国との対戦が決定

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、マレーシア代表が9月のFIFA国際マッチーカレンダーでマ中国、シリアの両代表チームと対戦することを発表しています。試合はいずれもアウェイマッチで中国南西部にある四川省の省都、成都市で開催され、9月6日にはシリア代表と、そして9月9日には中国代表と対戦するということです。

最新のFIFAランキングでは、マレーシアの136位に対してシリアは94位、中国は80位といずれも格上の相手となります。今年に入ってからのマレーシア代表は3月のFIFAカレンダーではトルクメニスタン代表に1-0、香港代表に2-0、また6月のFIFAカレンダーではソロモン諸島とパプアニューギニアの両代表にそれぞれ4-1、10-0と4連勝中ですが、これらの相手はマレーシア代表とほぼ同ランクか、格下の(失礼!)相手でした。

このような相手との試合が続いたのは、今月27日に行われたFIFAワールドカップ2026年大会アジア予選兼AFCアジアカップ2027年予選の組み合わせ抽選会までは2回戦から出場できるアジア26位以内を維持するためでしたが、組み合わせも決まり、強いチームとの試合を組んで負けた場合のFIFAランキングが下がることよりも、FIFAワールドカップ予選や来年1月にカタールで開幕するアジアカップ2023年大会に向けて、チームを強化するために強豪との対戦が可能になったということでもあります。

キャップ数60超えの元代表選手が現役引退し州議会選出馬も「マニフェストは当選後に発表する」!?

マレー半島にある6つの州で議会が解散し、今月12日に州議会選挙の投票日を迎えますが、サッカーファンからの注目が集まっているのが、マレーシアスーパーリーグのサバFCで今季も13試合に出場し、4ゴールを決めていながら、シーズン途中に現役を引退して州議会選挙に立候補したバドロル・バクティアルです。

7月15日に行われたスーパーリーグ第17節のスリ・パハン戦を最後に引退したバドロル氏は、出身地クダ州の州議会選挙に立候補しています。クダ州議会解散前の与党連合で最大議席を獲得していたイスラム原理主義を掲げる汎マレーシアイスラム党PASから出馬するバドロル氏ですが、立候補後の発言が議論を呼んでいると、マレーシア語紙のブリタハリアンが伝えています。

その発言とは「自分自身には確固たるマニフェスト(政策綱領)があるが、それは私が当選後に明らかにする。」というものです。選挙運動期間中にもかかわらず固くなにマニフェストを公表することを拒み、まずはとにかく自分に投票して欲しいと繰り返すバドロル氏の姿勢に対して、多くのサッカーファンからはバドロル氏は何の方針もないまま立候補したのでは、と疑問の声が上がっています。

当然のことながらこの発言には、州議会選を争う野党からもサッカーで人気があるからと言って、政策なしで当選できるほど政治の世界は甘くない。と言った批判の声も出ています。またバドロル氏が立候補している選挙区にはPASの有力な地盤がないことから、勝算のないままバドロル氏の人気だけを頼りに立候補させたのではと言った同情の声すら出ています。昨季サバに移籍するまではユースの頃から16年間クダでプレーし、長年キャプテンも務めたてきたバドロル氏ですが、その好印象だけで当選できるのかどうかは、今週末のクダ州議会選挙開票後に明らかになります。

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バドロル氏を担ぎ出した汎マレーシアイスラム党PASは、マレーシアにイスラム国家成立を目標にしているイスラム原理主義を標榜する政党です。このPASが与党となっているマレー半島東海岸のクランタン州では、「堕落した娯楽である」との理由で映画館が閉鎖され、ギャンブルを禁止するイスラム教義に反するとして宝くじの販売が禁止されています。またスーパーマーケットなどでは買い物客の列が男性用、女性用とそれぞれ別れていますし、先日は自身が経営する衣料品店の店内でショーツを履いていた店主が不謹慎な格好であるとして罰金処分を、また女性に男性の髪を切らせたという理由でヘアサロンの経営者が罰金処分を受けています。
 保守化は現在の世界の潮流ではありますが、このように厳格なイスラム主義を適用するPASは、マレー半島北部のクランタン、トレンガヌ、クダの各州で最大議席を確保していいます。またマレーシア国会では野党第一党ながら議席数だけで見れば最大議席数を獲得しており、今回の州議会選挙で多民族国家マレーシアを否定するその勢力がさらに広がるのかどうかに注目が集まっています。

元ジョホール選手が強盗容疑で起訴されるも罪状否認

議員を目指す元Mリーグ選手もいれば、犯罪者になってしまう元Mリーグ選手もいるようです。

マレーシア語紙ブリタハリアンは、マレー半島南部のジョホール州で連続して怒っていた強盗容疑で逮捕されたグループの中に元Mリーグ選手がいたことを報じています。

昭和初期に「マレー蘭印紀行」を記した詩人の金子光晴が滞在したことでも有名なジョホール州のバトゥ・パハやムアルなどを中心に、今年5月から合計13件の押し入り強盗を働いていた犯罪者集団5名が逮捕されましたが、その中に元プロサッカー選手のアジニー・タイブが含まれていることが捜査を担当したジョホール州警察から発表されています。

ペナンやジョホール・ダルル・タジムなどでプレー経験があるアジニー容疑者は、先日行われた裁判では、現在も逃走中の2名の仲間とともに行った1件の押し込み強盗を含めた3件の押し込み強盗と盗難品所持の容疑を否認したということです。報道によると、これらの犯罪で有罪となった場合には最大で14年の懲役刑に加えて鞭打ち刑(!)にもなるということです。

2023マレーシアスーパーリーグ
第18節結果とハイライト映像

 マレーシアスーパーリーグ第18節は7月28日から30日にかけて開催されました。今節最大の注目カードは首位ジョホールと2位スランゴールの直接対決でしたが、新加入のヘベルチ・ヘルナンデスのゴールなどでジョホールが快勝、エースのファイサル・ハリムが出場停止処分を受けている2位スランゴールとの勝点差を大きく広げてました。
 (試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年7月28日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:5,025人
トレンガヌ 1-1ヌグリスンビラン
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(66分)
⚽️ヌグリスンビラン:エラルド・グロン(89分)
🟨トレンガヌ:シャールル・ニザム
🟨ヌグリスンビラン:アルーン・クマル
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌ)

 前節、前々節といずれも引き分けのトレンガヌは5名の外国籍選手が先発XIに名を連ねる一方で、2連敗中のヌグリスンビランはDFエラルド・グロン(フランス)がただ一人の外国籍選手です。そんな両チームの対戦は、6分にトレンガヌDFシャールル・ニザムペナルティエリア内でハンドの反則を犯し、ヌグリスンビランが先制のチャンスを得ます。しかしグロン選手が蹴ったPKはスハイミ・フシンに止められ、ゴールとはなりませんでした。
 トレンガヌが押し気味に進めたものの、ゴール前での精度が低く、前半は0−0で終わります。そして、迎えた後半66分、トレンガヌに待望の先制点が入ります。66分にソニー・ノルデのクロスにイヴァン・マムートが頭で負わせて、トレンガヌが1-0とリードします。その後もトレンガヌは何度かチャンスを作りますが、ヌグリスンビランGKシーク・イズハンの好セーブなどもあり、追加点を奪えません。すると88分にはコーナーキックからグロン選手のヘディングが決まり、ヌグリスンビランが1-1に追いつきます。そして試合はそのまま終了し、ホームのトレンガヌは3試合連続の引き分け、ヌグリスンビランは連敗を2で止めています。

2023年7月28日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:540人
クランタン・ユナイテッド 2-2 PDRM
⚽️クランタン:O・J・ポルテリア(56分)、S・シャーヴィン(71分)
⚽️PDRM:ナビル・ラトピ(47分)、ウチェ・アグバ(54分)
🟨クランタン:アザルル・ナザリス、ラティフ・スハイミ
🟨PDRM:チョー・ミン・ウー、ファディ・アワド
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

 リーグ7位のPDRMが2度のリードを守れず、13位のクランタン・ユナイテッドと引き分けています。この試合では75分にペラから期限付き移籍してきた元J岡山のハディ・ファイヤッドがPDRMでデビューしています。ペラでは6月に入ってからトップチームので出場が1試合だけで、その後はベンチ入りすらしていなかったので、この移籍をきっかけにU23代表のエースに返り咲いて欲しいです。
 数日前には英字紙スターで特集されていたPDRMの鈴木ブルーノ選手は85分から出場、試合終了までプレーしています。

2023年7月29日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
観衆:1,037人
KLシティ 5-1 クランタン
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ(25分)、ロメル・モラレス3(47分、66分、90+1分)、J・パルティバン(83分)
⚽️クランタン:レオナルド・ロロン(54分)
🟨KLシティ:T・サラヴァナン
🟨クランタン:レオナルド・ロロン
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

 インドネシア1部のプルシブ・バンドンの監督に就任するために、数日前にホダック監督が突然退任したKLシティは、かつてホダック監督の元でコーチを務め、そのホダック氏の後任となるネナド・バチナ新監督がチームに合流するのが8月初旬ということで、この試合ではミロスラフ・クルヤナチ コーチが監督代行を務めました。またホダック監督退任と関係があるかどうかはわかりませんが、この試合では今季ここまでの17試合全てでキャプテンを務めてきたパウロ・ジョズエが今季初めてベンチ外となりました。
 それでも今季未だ1勝で最下位に沈むクランタン相手には何の心配もなく、KLシティはロメル・モラレスのハットトリックなど後半だけで4ゴールを挙げて快勝しています。
 給料未払いによる新規選手獲得禁止処分を受けているクランタンは、63分に見事なフリーキックで今季2点目となるゴールを決めたレオナルド・ロロンと、インドネシア出身のナサニエル・シリンゴ・リンゴの外国籍選手2名では、FAカップ決勝まで進んだKLシティには見劣りし、結局、今季7度目の5失点ゲームで敗れ、今季の総失点が18試合で68点となりました。

2023年7月29日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:22, 526人
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 スランゴール
⚽️ジョホール::ヘベルチ・ヘルナンデス(78分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(90+3分PK)
🟨ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ
🟨スランゴール:シャルル・ナジーム、アレクサンダー・アギャルクワ、ファズリ・マズラン、クエンティン・チェン、ハリス・ハイカル、ブレンダン・ガン
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

この試合前まで開幕から17連勝中の首位ジョホールと2位で勝点40のスランゴールが対戦でしたが、終わってみればシュート数はジョホールの16に対してスランゴールは0と、さらにはイエローカードがジョホール1枚に対してスランゴールは6枚と、一方的な試合展開ではあったものの、全員が体を張ったスランゴールがジョホールの連勝を止めるのでは、という空気が出始めた78分、ジョホールの今季9人目の外国籍選手がその均衡を打ち破るゴールをあげています。
 タイ1部バンコク・ユナイテッドから期限付き移籍してきたヘベチ・ヘルナンデスは後半開始とともに投入されると、78分にはデビュー戦で挨拶がわりのゴールを決め、この試合ではケガによりベンチ外となっていた現在のリーグ得点王フェルナンド・フォレスティエリ不在を感じさせない活躍を見せました。
 スランゴールはエースのファイサル・ハリムが、メディアに向けて行った発言がマレーシアサッカー協会FAMの処分対象となり、この試合を含めて1ヶ月の出場停止処分となっており、リーグ戦のいわば天王山にベストメンバーで望めなかったことに悔いが残ります。
 この試合の結果、首位ジョホールと2位スランゴールの差は勝点差14となり、早ければ来月末にもジョホールのリーグ9連覇が決まります。

2023年7月29日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:22, 526人
クチンシティ 0-1 クダ・ダルル・アマン
⚽️クダ::イフェダヨ・オルセグン(39分)
🟨クチンシティ:アミルル・シャフィク、ミハイロ・ヨヴァノヴィッチ
🟨クダ:なし
MOM:イフェダヨ・オルセグン(クダ・ダルル・アマン)

 今年2度目のトランスファーウィンドウでクダに加入したイフェダヨ・オルセグンがこの試合まで出場2試合で3ゴールを挙げ、途中退団した元J甲府のウィリアン・リラ(タイ1部チョンブリーFCに移籍)やリー・タックの開けた穴を埋める活躍を見せていますが、この試合でも決勝ゴールを決め、早くもチーム得点王となっています。
 クチンシティはエースのアブ・カマラにボールを集めるものの、ゴールには至らず、この日の敗戦で17試合勝利なしとなりました。
 前節は今季初のベンチスタートとなった谷川由来選手は、この試合では先発してフル出場しています。

2023年7月30日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:4,100人
スリ・パハン 1-0 ペラ
⚽️パハン:クパー・シャーマン(55分)
🟨パハン:エゼキエル・アグエロ
🟨ペラ:ファディル・イドリス、ルカ・ミルノヴィッチ、アフィフ・アシュラフ、ソ・ソンウン
MOM:クパー・シャーマン(スリ・パハン)

 2位スランゴールを破るなど3連勝出迎えた前節では、今季最大となる4失点でサバに敗れたスリ・パハン。AFCカップ出場のかかる2位争いに残るには下位チームとの試合で確実に勝星を詰め上げていく必要があります。現在リーグ4位のスリ・パハンが11位のペラをホームに迎えたこの試合は、立ち上がりは両チームともた慎重に試合を進めますが、徐々にペースをつかみ始めたスリ・パハンは、ケヴィン・イングレッソのフリーキックにステファノ・ブルンドが頭で合わせるとゴールポストを直撃、さらに新外国籍選手のクヴォンディク・ルジエフもミドルシュートを放つもバーの上を越え、さらにバキウディン・シャムスディンのシュートもポストに嫌われるるなど得点には至らず、前半を0-0で終えました。
 後半に入っても試合を優勢に進めたスリ・パハンは55分にエース、クパー・シャーマンのゴールが決まり、先制するとその後の好機で追加点は奪えなかったものの、この1点を守って逃げ切っています。

2023年7月30日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:2,434人
ペナン 1-2 サバ
⚽️ペナン:アリフ・イクマルリザル(76分)
⚽️サバ:イルファン・ファザイル(9分)、ラモン・マシャド(45+1分)
🟨ペナン:ハディン・アズマン、ウスマン・ファネ、ハジク・プアド、
🟨サバ:ダニエル・ティン、ゲイリー・スティーヴン・ロバト、イルファン・ファザイル、コ・グァンミン
MOM:ダニエル・ティン(サバ)

 先週は2位のスランゴールとの直接対戦で敗れているものの、スリ・パハン同様、2位争いに残りたい5位のサバが、この試合でもエースのソニー・サアド、さらにDF陣ではカイルル・アクマル・ロキシャムやファリス・シャーなど主力をケガで欠く苦しい布陣の10位ペナンと対戦しています。
 試合開始とともにホームのペナンが押し気味に進めた試合でしたが、自力に勝るサバが早々と9分にイルファン・ファザイルのゴールで先制すると、前半終了間際には今月7月加入後の出場3試合全てでゴールを決めているラモン・マシャドがこの試合でもゴールを挙げ、サバがリードして前半を終えます。
 後半に入ると、ペナンもKリーグ挑戦からMリーグに戻ったコギレスワラン・ラジらを投入しますが、サバがペナンの反撃を1点に抑えて勝利しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第18節終了)

順位チーム勝点
1JDT1818006936654
2SEL19131543192440
3KDA18121535211437
4SRP18114330181237
5SAB19113543251836
6KLC188643329430
7TRE187562522326
8PDRM187381823-524
9NSE184952532-721
10PEN185492330-719
11PRK1834111337-2413
12KLU1815121844-268
13KCH1814131437-236
14KEL1812141963-445
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第18節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)176130716
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)154127319
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)116225314
4クパー・シャーマン(SRP)103319318
アブ・カマラ93715117
6ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ファイサル・ハリム(SEL)83222717
ステファノ・ブルンド(SRP)83516017
9パウロ・ジョズエ(KLC)73922317
ロメル・モラレス(KLC)72615215
ジオゴ(JDT)7181029
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

7月28日のニュース
2026年W杯アジア予選2回戦の組み合わせ決定-マレーシアはオマーン・キルギスと同組に
スランゴールの代表FWファイサルが観察期間付き1ヶ月の出場停止処分
FIBによるクランタンの新規選手獲得処分が解除-しかしFAMとFIFAによる処分は解けず

2026年W杯アジア予選2回戦の組み合わせ決定-マレーシアはオマーン・キルギスと同組に

今年10月から始まるFIFAワールドカップ2026年大会予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選の組み合わせ抽選がクアラルンプールにあるFCハウスで行われ、予選2回戦から出場するマレーシアはオマーン、キルギス、そして台湾と東ティモールによる1回戦の勝者とともに予選D組となりました。

直近のFIFAランキングでは、マレーシアの136位に対してオマーンが73位、キルギスが97位、台湾が153位、東ティモールが192位となっており、格上の2チーム入るものの、このD組にW杯出場経験のあるチームが入らなかったことはマレーシアにとってはわずかながら朗報と言えるかも知れません。

マレーシアの通信社ブルナマの報道によると、マレーシアとオマーンの通算対戦成績はマレーシアの0勝3敗で最後の対戦は2015年でその際には0-6の大差で敗れており、キルギスとの通算対戦成績0勝1敗で2018年に対戦しているということです。

今回の組み合わせ抽選ではFIFAランキングでAFC27位から46位の20チームはFIFAワールドカップアジア予選1回戦から登場し、この1回戦の勝者10チームと残る26チームの合計36チームが、2回戦の予選A組からI組までの9組に分かれて対戦します。2回戦では各組の上位2チームが3回戦に出場するとともに、2027年にサウジアラビアで開催されるAFC選手権アジアカップの出場権を獲得します。

2020年のキム・パンゴン監督就任以来、着実に力をつけているマレーシアは、来年1月のアジアカップ2023年大会に予選突破では42年ぶりの出場を決めており、今年11月16日から始まる今回のFIFAワールドカップ2026年大会アジア予選では、2回戦で上位2位までに食い込んで2大会連続でのアジアカップ出場を決め、さらに上位18チームによる3回戦進出が現実的な目標となりそうです。

FIFAワールドカップ2026年大会予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選の組み合わせ

国名
A組カタール・インド・クウェート・アフガニスタン対モンゴルの勝者
B組日本・シリア・北朝鮮・ミャンマー対マカオの勝者
C組韓国・中国・タイ・シンガポール対グアムの勝者
D組オマーン、キルギス、マレーシア、台湾対東ティモールの勝者
E組イラン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・香港対ブータンの勝者
F組イラク・ベトナム・フィリピン・インドネシア対ブルネイの勝者
G組サウジアラビア・ヨルダン・タジキスタン・カンボジア対パキスタンの勝者
H組アラブ首長国連邦・バーレーン・イエメン対スリランカの勝者・ネパール対ラオスの勝者
I組オーストラリア・パレスチナ・レバノン・モルジブ対バングラデシュの勝者
スランゴールの代表FWファイサルが観察期間付き1ヶ月の出場停止処分

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、マレーシア代表の主力選手でもあり、スランゴールでプレーするFWファイサル・ハリムに対してFAMは懲戒委員会が1ヶ月間の出場停止処分を課したことをノー・アズマン事務局長名で発表しています。

この発表によると、ファイサル選手は4月27日に開催されたマレーシアスーパーリーグ第10節のサバ対スランゴール戦後にメディア向けに発言した内容がFAMの規約に違反したとして指摘されています。なお懲戒委員会はファイサル選手の出場停止期間を4ヶ月(!)としていましたが、7月25日から8月24日までの1ヶ月の出場停止処分が明けてからの1年間の観察処分を条件に、残る3ヶ月の出場停止処分が保留されているということです。

なおファイサル選手は、チームメートのクザイミ・ピーとともに6月26日に行なわれた今年2023年のマレーシアFAカップ準決勝のジョホール・ダルル・タジム戦では審判と揉めるなどの出来語がありましたが、こちらについては厳重注意だけで、出場停止などの処分はないということです。またこれらの処分について、ファイサル選手はFAMの控訴委員会に不服申し立てを行うことも可能であるとも発表されてます。

FAMの発表の最後はMリーグでプレーする選手たちに対してメディア向けの不用意な発言を行わないよう、今回の処分から学んでほしいと締め括っています。

なおこの処分により、ファイサル選手は首位のジョホール・ダルル・タジムと2位スランゴールが直接対決する今週末の第18節、いずれも首都圏を本拠地とするKLシティとの第19節「クランヴァリーダービー」(8月8日)、第20節のヌグリスンビラン戦(8月13日)さらにはPDRMとホームアンドアウェイで行われるマレーシアカップ1回戦(8月3日と19日)に出場できなくなりました。

*****

ファイサル選手は4月27日のサバ戦後に、主審による判定に不満を述べ、審判が「まるでスランゴールを勝たせないようにしている」といった発言をメディアにしており、これが懲戒委員会の対象になりました。発言の内容は審判を侮辱しており、メディア向けにすべきではない内容で処分は免れないと思いますが、一部SNS上で疑問の声が上がっているのは処分発表までにかかった時間の長さです。上にもあるように試合は4月27日とおよそ3ヶ月前に行われており、この処分発表遅れの結果、2位スランゴールが首位ジョホールとの差を詰める絶好の機会である今週末の第18節にファイサル選手が「偶然にも」出場できなくなったことで、これが「誰かの『陰謀』」ではないか、といった議論も巻き起こる事態となっており、FAMに説明責任があるとする声も上がっています。

FIBによるクランタンの新規選手獲得処分が解除-しかしFAMとFIFAによる処分は解けず

マレーシアでは7月5日から8月1日までが今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっていますが、マレーシア国内のクラブライセンス交付を司る第一審機関FIBは、マレーシアスーパーリーグで現在最下位のクランタンに対して科されていた新規選手獲得禁止処分を7月27日付けて解除することを発表しています。

この発表の中でFIBはクランタンから必要な書類が提出された結果の処分解除であることを明らかにする一方で、マレーシアサッカー協会FAMと国際サッカー連盟FIFAから科されるている同様の新規選手獲得禁止処分については別であるとして、FAMとFIFAによる処分は解除されていないことも説明しています。

クランタンは6月30日が期限とされていた4月と5月分の選手及び監督コーチへの給与支払い証明や、マレーシアでは強制加入となっている労働者積立基金EPFの雇用主負担分の支払い証明が提出されなかったことから、7月3日にFIBにより新規選手獲得禁止処分を受けていました。

FIBによる処分とは別に、かつてクランタンに在籍したマレーシア人選手と外国籍選手への給与未払い問題が解決していないことから、FAMとFIFAによる処分は解除されておらず、こちらの問題が解決されない限り、17試合を終えて勝点5と最下位に沈むクランタンは、残り5日ほどとなったトランスファーウィンドウでの選手補強は難しそうです。


7月27日のニュース
Kリーグ挑戦のコギレスワランがMリーグ復帰
KLシティのホダック監督がインドネシア1部のプルシブ・バンドンの監督に就任
インドネシア1部プルシカボ1973を退任したアイディル監督はMリーグ復帰か
帰化した代表選手リー・タックがクダを退団

今季2度目のトランスファーウィンドウが開いている中、選手だけでなく監督・コーチの退任、移籍、加入が続々と発表されていますので、今回は注目されるものを中心にまとめてみました。

Kリーグに挑戦したコギレスワランがペナンに加入でMリーグ復帰

韓国リーグ(Kリーグ)2部の清洲FCと契約していた元マレーシアU23代表のFWコギレスワラン・ラジがスーパーリーグのペナンFCと契約したことを、英字紙スターが報じています。今年初めに清洲FCと契約したコギレスワラン選手は、両者同意の上で契約を解除しています。

Kリーグクラブと契約した初のマレーシア人選手となったコギレスワラン選手には、KLシティ、スランゴール、トレンガヌなども興味を示していたということですが、清洲FCとのシーズン途中での契約解除の理由については、詳細は明らかにできないと説明する一方で、自身のパフォーマンスが原因ではないと説明しています。

「コギ」の愛称で知られるコギレスワラン選手は今年24歳のフォワードで、A代表で8試合(2ゴール)の記録を残している他、U16、U19、U23の各年代代表でもプレー経験がありますが、清洲FC移籍後は、4月に開催された韓国FAカップ3回戦のソウル中浪FC戦1試合に出場しただけでした。

清洲FCとは良好な関係を維持したまま退団となったと述べたコギレスワラン選手は、シーズン途中での退団についての補償も受け取ることになっていると説明する一方で、退団理由を明らかにすれば、逆に損害賠償で訴えられる可能性もあるして、その理由は明らかにしていないと、スターは報じています。

*****

この記事では、コギレスワラン選手の最大の目標は来年1月に開催されるAFCアジアカップで代表復帰であり、それを果たすためにマレーシアへ戻ることを決めたとも話し、ペナンに加入したことで清洲FCに比べて給料が4分の1になったものの、出場機会を得ることが最優先と考えた結果だと説明しています。

KLシティのホダック監督が退任し、インドネシア1部のプルシブ・バンドンの監督に就任

マレーシアスーパーリーグで現在6位のKLシティは、チーム公式SNSでクロアチア出身のボヤン・ホダック監督の退任を発表しています。マレーシアリーグでは名将の一人でもあるホダック氏は、隣国インドネシア1部のプルシブ・バンドンの監督に就任することも発表されています。

2021年1月にKLシティの監督に就任したホダック氏は、同年マレーシアカップ決勝ではジョホール・ダルル・タジムを決勝で破り、チームにとっては22年ぶりとなるマレーシアカップ優勝に導くと、このマレーシアカップ優勝で出場資格を得た昨季2022年AFCカップ(ACLの下部大会、UEFAチャンピオンズリーグに次ぐUEFAヨーロッパリーグのような大会)では、アル=シーブ(オマーン)に敗れたものチームを決勝に導き、さらに今季はマレーシアFAカップ決勝にも出場するなど、過去3シーズンでKLシティを3度のカップ戦決勝に導いています。

なおKLシティは、ホダック氏の元でコーチを務めていた経験を持つ同じくクロアチア出身のネナド・バチナ氏が監督に就任することも発表しています。バチナ氏は、KLシティでもコーチを務めた他、ホダック氏がジョホール、マレーシアU19代表、そしてインドネシア1部PSMマカッサルでもホダック氏の元でコーチを務めた他、シンガポール1部のホウガン・ユナイテッドやタムピネス・ローヴァーズ、JDTのセカンドチームJDT IIやペナンでは監督経験もあり、昨年12月からはサウジ・アラビアリーグのアル=フェイハFCのアカデミー責任者に就任していました。

また新たに監督に就任するプルシブ・バンドンもホダック監督を発表しています。2022/23シーズンは3位に終わったプルシブ・バンドンはフィリピン代表の佐藤大介選手が所属していますが、今月開幕したインドネシア1部リーグ2023/24シーズンで、チームが開幕から3連敗すると契約2年目を迎えたスペイン出身のルイス・ミラを解任していました。

*****

ホダック氏は、クラブレベルではクランタンやジョホール・ダルル・タジムで、また代表レベルではマレーシアU18/19代表の監督経験があり、2012年から13年まで監督を務めたクランタンでは2012年にリーグ、FAカップ、マレーシアカップの全てに優勝して国内三冠を達成している他、2014年にはジョホールでもリーグ優勝を果たし、またU18/19代表では2017年と翌18年に東南アジアサッカー連盟AFFU18選手権、翌年のU19選手権と2連覇を果たし、2018年にはAFC U19選手権にも2006年以来となる12年ぶりとなる出場に導いています。

インドネシア1部プルシカボ1973を退任したアイディル監督はMリーグ復帰か

行く人もいれば、来る人もいる。

マレーシアスーパーリーグのKLシティが、ボヤン・ホダック監督の退任を発表し、隣国インドネシア1部のプルシブ・バンドン監督就任がチームから発表された一方で、同じインドネシア1部のプルシカボ1973を退任したアイディル・シャリン氏が、マレーシアスーパーリーグに復帰するのでは、という噂が出ています。

シンガポール出身のアイディル氏は、昨年1月、2022/23シーズンの半ばにプルシカボ1973の監督に就任し、その後は契約を延長して今季も開幕からチームの指揮を取っていましたが、今季第4節となった7月22日にバヤンガラFCを相手に3-1と今季初勝利を挙げ、開幕からの4試合を1勝1分2敗とした後の7月24日に、チーム公式SNSでアイディル監督の退任を発表しています。。

アイディル氏は、プルシカボ1973と契約する前にはスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンで2019年から4季監督を務め、前年2018年の6位から4位にチームを引き上げると、そこから2位-2位-8位という成績を収め、2019年にはマレーシアカップ準優勝、マレーシアFAカップ優勝も達成しています。また監督在任中にはACL予選やAFCカップにも出場するなど、実績は抜群の指導者でもあります。

現時点では、今季第17節を終えて1勝のクチンシティがアイディル氏と契約するのでは、という噂が出ています。成績不振の責任をとってイルファン・バクティ監督が既に辞任していることから、アイディル氏がマレーシアに復帰するのであればこのクチンシティが最有力候補とみなされています。また日本人選手の谷川由来選手が在籍するクチンシティは現在開いているトランスファーウィンドウでMFブルーノ・ジバウを獲得していますが、このジバウ選手はアイディル氏がプルシカボ1973で監督を務めていたときに在籍していた選手でもあることから、噂の信憑性も高まっています。

帰化した代表選手のリー・タックがクダを退団

マレーシアスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンは、チーム公式SNSを通じて、英国出身の帰化選手リー・タックの退団を発表しています。

チーム公式SNSでは、双方の合意の上での契約解除となったことが説明されている一方で、今季は13試合に出場し、チーム2位の5ゴールを挙げているタック選手の突然とも思える退団については、理由や移籍先など何の説明もされていません。

今年35歳になるタック選手は、タイやバングラデシュでプレーした後、2017年にヌグリスンビランに移籍すると、そこからは一貫してマレーシアリーグでのプレーを続けて、スリ・パハン在籍中の2022年にマレーシア国籍を取得すると、同年11月にA代表デビューを果たし、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップなどこれまでに9試合に出場して3ゴールを挙げています。