マレーシアカップ
準々決勝セカンドレグ結果とハイライト映像(2)-KLシティとトレンガヌがベスト4進出を決める

ACLとAFCカップによるリーグ中断期間が終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝セカンドレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まる中、そのジョホールは順当に準決勝進出を決め、さらにKLシティとトレンガヌが続いています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月24日@ダルル・マクモル・スタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:4,041人
スリ・パハン 1-1 KLシティ
(通算成績:スリ・パハン 1-2 KLシティ)
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(90+6分PK)
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(29分)
🟨スリ・パハン(1):ステファノ・ブルンド、ファドリ・シャス
🟨KLシティ(1):パウロ・ジョズエ、ライアン・ランバート、ジャンカルロ・ガリフオコ
MOM:ロメル・モラレス(KLシティ)

ファーストレグではホームのKLシティがロメル・モラレスのゴールで1-0で勝利しているこのカードですが、セカンドレグは豪雨のため試合開始が1時間以上遅れて始まりました。水が浮いたピッチではボールは転がらず、選手は足を取られる劣悪なコンデションの中、29分に右サイドでKLシティがフリーキックを得ると、パウロ・ジョズエの蹴ったボールをゴール前のロメル・モラレスが頭で合わせてゴール!KLシティが先制すると共とに、通算成績でも2-0とリードを広げます。

KLシティがリードして前半を折り返すと、後半はパハンがギアを上げてKLシティゴールに迫りますが、強固なKLシティDF陣を崩すことはできません。終了間際のロスタイムにKLシティのDFジャンカルロ・ガリフオコがペナルティエリアでクパー・シャーマンを倒してスリ・パハンにPKを与え、これをステファノ・ブルンドが決めて1-1に追いつきますが、スリ・パハンの得点はこの1点にとどまり、KLシティが通算成績2-1でベスト4進出を決めています。

スリ・パハンのファンディ・アフマッド監督は、現役時代にはKLシティの前身、KLFAで1987年から1989年までマレーシアカップ3連覇を達成していますが、監督としてのマレーシアカップ挑戦は準々決勝止まりとなりました。

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月24日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:10,743人
スランゴール 1-1 トレンガヌ
(通算成績:スランゴール 1-3 トレンガヌ)
⚽️スランゴール:サフワン・バハルディン(69分)
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(23分PK)
🟨スランゴール(0):ノー・アル=ラワブデ
🟨トレンガヌ(0):スハイミ・フシン
🟥スランゴール(1):ヤザン・アル=アラブ
MOM:サフワン・バハルディン(スランゴール)

ファーストレグではホームのトレンガヌが2-0で勝利しており、先制点が欲しいスランゴールは試合開始からボールを前に送りますが、トレンガヌは先日のAFCカップ、セントラル・コースト・マリナーズFC戦で完封劇を演じた若い4バックが決定機を許さず、逆にスランゴールからボールを奪ったトレンガヌがカウンターに転じるなど、試合は両チームがせめぎ合って進みます。

好機を作りながらスランゴールが得点できない中、先制したのトレンガヌでした。20分にスランゴールDFサフワン・バハルディンがペナルティエリア内でノー・ハキム・ハサンを倒してトレンガヌにPKを与えてしまいます。これをイヴァン・マムートがど真ん中に決めて先制するとともに、トレンガヌが通算成績でも3-0とリードを広げて前半を終了します。

スランゴールは後半の69分にPKを与えたサフワン・バハルディンが右コーナーキックからのヘディングシュートを決めて1-1と追いつきますが、直近の12試合で無敗のトレンガヌは、この後はスランゴールに得点を許さずに逃げ切って、通算成績3-1で準決勝進出を決めています。なおこの試合終了後には、主審に執拗に抗議したスランゴールのヨルダン代表、ヤザン・アル=アラブが退場処分になっていますが、その際には審判を蹴る様子が映像に残っており、マレーシアサッカー協会FAMから厳しい処分を受ける可能性があります。

昨季はマレーシアカップ決勝でジョホールに敗れているスランゴールは、2021年大会に続く準々決勝敗退となりました。今年で97回目となるマレーシアカップで優勝33回、準優勝17回と圧倒的な記録を誇る「赤い巨人」ことスランゴールですが、2015年の優勝が最後となっています。

マレーシアカップ
準々決勝セカンドレグ結果とハイライト映像(1)-ジョホールがベスト4進出を決める

ACLとAFCカップによるリーグ中断期間が終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝セカンドレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まる中、そのジョホールは順当に準決勝進出を決めています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月23日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:10,561人
ジョホール・ダルル・タジム 4-1 ヌグリスンビラン
(通算成績:ジョホール・ダルル・タジム 7-1 ヌグリスンビラン)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ2(6分、11分)、フアン・ムニス(29分)、フェルナンド・フォレスティエリ(90+1分)
⚽️ヌグリスンビラン:ザムリ・ピン(39分)
🟨ジョホール(0)
🟨ヌグリスンビラン(2):ザムリ・ピン、ハリズ・カマルディン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

今季は既にFAカップに優勝し、リーグ戦も次節には優勝が決定する可能性があるジョホールが、マレーシアカップでも準決勝進出を決めて、2季連続の国内三冠に近づいています。

ACLの川崎フロンターレ戦から中3日となったこの試合は、その川崎戦の先発XIからはFWベルグソン・ダ・シルヴァ、MFフアン・ムニスとホン・ワン以外の8名を入れ替える大幅なローテーションを行なったエステバン・ソラリ監督。しかし、結果を出したのはベルグソン、ムニスの両選手でした。

ファーストレグを終えて通算成績では既に3-0とリードしているジョホールですが、ACLでの敗戦の鬱憤を晴らすかのように試合開始から積極に攻め、早くも6分には右サイドのフアン・ムニスからのクロスにベルグソン・ダ・シルヴァがダイビングヘッドで合わせてゴール!ベルグソン選手にとっては2021年3月21日のUITM FC戦でゴールを決めて以来、ジョホールでの通算100得点目となるゴールでこの試合もジョホールが先制します。

さらにその5分後にも、右サイドからのムニス選手のフリーキックに再びベルグソン選手が頭で合わせて通算101点目のゴールを決めると、29分にはムニス選手がペナルティエリアの正面から直接フリーキックを決めて、ジョホールは開始30分で3-0とします。その後もジョホールは攻撃の手を緩めず狭続けるものの得点には至らず、一方のヌグリスンビランは39分にザムリ・ピンのゴールで1点を返しますが、前半は3-1とジョホールがリードして終了します。

前半を終えて通算成績を6-1としたジョホールのソラリ監督は、ハットトリックの期待もかかったベルグソン選手に代えてジオゴを、さらにムニス選手に代えてフェルナンド・フォレスティエリを起用します。ケガのためベンチ外が続いていたフォレスティエリ選手にとっては7月14日以来およそ2ヶ月ぶりとなる試合出場でしたが、後半終了間際のロスタイムにはジオゴ選手からのパスを受けたフォレスティエリ選手がゴールを決めて、完全復帰を印象付けています。

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この試合の2ゴールで、ジョホールでの通算101ゴールを挙げたベルグソン選手は、通算92試合出場で1試合1ゴール以上を挙げている計算になりますが、101ゴールの内訳はリーグ戦で67ゴール、マレーシアカップで22ゴール、FAカップで6ゴールそしてACLでも6ゴールとなっています。

この試合のハイライト映像。MFLの公式YouTubeチャンネルより。

9月24日のニュース
最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて134位
U23代表のエラヴァラサン監督が辞任
U23代表新監督候補にキム・ドンジン傑志FC TDらの名前が浮上
サウジアラビア遠征中の女子代表は2試合連続スコアレスドロー

最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて134位

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回7月20日発表時の136位から2つ順位を上げて134位となっています。この134位というランキングは、2015年に123位となって以来、近年の最高位です。

マレーシアは今月のFIFA国際マッチカレンダーではいずれも格上のランキング93位のシリアとは2-2、80位の中国とは1-1といずれも引き分けており、通算獲得ポイントが前回発表時の1091.57から3.33ポイント増えた1094.9となっています。(ランキングはいずれも対戦時)

マレーシアの134位というランキングはアジアサッカー連盟AFC内では24位で、AFCの1位は日本(全体19位)で、以下2位イラン(同21位)、3位韓国(同26位)と続いていいます。また、東南アジアサッカー連盟内ではベトナム(95位-前回95位)、タイ(112位-同113位)、フィリピン(132位-同135位)に続く4位となっています。

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マレーシアサッカー協会FAMはマレーシア代表のFIFAランキングトップ100入りを目指していますが、今回発表されたランキング100位のカザフスタンの獲得ポイントは1206.94で、マレーシアとは112.04の差があります。前述のように今月のFIFAデイズでランキング上位の2チームとの引き分けて3.33ポイントを獲得したマレーシアですが、112.04ポイントを獲得するためには、単純計算でもランキング上位チームと34試合の引き分けが必要です。現状では東南アジアの2強、ベトナムとタイの壁を超えることにすら苦しんでいるマレーシアにとっては100位以内への道のりはまだまだ遠そうです。

U23代表のエラヴァラサン監督が辞任

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、U23代表監督を務めていたE・エラヴァラサン氏がその職を辞任し、A代表のコーチに専念することを発表しています。それれまでU23代表監督を務めていたブラッド・マロニー氏(現オーストラリアU17代表監督)が12試合で4勝3分7敗の成績を残して任期満了で退任すると、A代表とU23代表の連携を考慮したFAMが、A代表キム・パンゴン監督のもとでコーチを務めていたエラヴァラサン氏を2022年9月1日にA代表コーチと兼任でU23代表監督に任命しました。

今年61歳のエラヴァラサン氏が監督就任後のU23代表(就任時はU22代表)は、今年3月にシンガポールで開催された4カ国出場のマーラインオンカップでカンボジアU22、そして香港U22代表を破って優勝しましたが、5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズではベトナム、タイと同組となったグループステージを突破できずに敗退、さらに6月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権では準決勝に進出したものの、そこでベトナムに1-4と大敗しています。また今月にタイで行われたAFC U23アジアカップ予選ではグループステージでタイに敗れてグループ1位での予選突破は逃したものの、各組2位の上位4チームが出場権を得られる中で4番目のチームとしてアジアカップ出場権を獲得しています。

FAMの発表によると、このU23アジアカップ予選終了後にエラヴァラサン氏とFAMのハミディン・アミン会長の間で今後のU23代表の強化方針について話し合いが持たれた際に、エラヴァラサン氏からはA代表コーチの職に専念したい希望が出された他、来年2024年にカタールで開催されるU23アジアカップに向けては自分以外の人物を監督に起用して欲しい旨の発言があったということです。

なおFAMによるとエラヴァラサン氏の後任については、これから人選が行われるということです。

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このブログでもAFC U23アジアカップ予選後に、多くのファンからエラヴァラサン氏に批判が集まっただけでなく、解任要求も出ていることは紹介しましたが、FAMもその声に対してエラヴァラサン氏を守る声明を発表することもなく、監督交代はFAMの既定路線でもあるように見えました。U23代表強化には時間がかかることを繰り返して述べていたエラヴァラサン氏ですが、好成績を収めているA代表に執着し、各年代代表の強化を疎かにしているようにも見えるFAMにエラヴァラサン氏が嫌気をさした、とも思える辞任劇です。

U23代表新監督候補にキム・ドンジン傑志FC TDらの名前が浮上

上の記事でも取り上げたように、AFC U23アジアカップの出場権を獲得しながら、国内ファンからは指導力に疑問の声が上がるなどした結果、E・エラヴァラサン氏がU23代表監督を辞任しましたが、空席となったU23代表監督候補に複数の名前が上がっていると英字紙スターが報じています。

この記事によると、U23代表監督後任の有力候補の1人が現在は香港1部リーグの傑志FCでテクニカルディレクター(TD)兼コーチを務めている韓国出身のキム・ドンジン氏ということです。キム・ドンジン氏は、マレーシア代表のキム・パンゴン監督が2008年から2017年まで香港1部のサウスチャイナFCや香港U23代表、そして香港代表の監督などを歴任していた際にを務めていた際にキム・パンゴン監督のもとでコーチを務めていたことがあることから、キム・ドンジン氏を有力候補としています。

この他には、かつてはMリーグのフェルダ・ユナイテッドFC(現在は解散)で監督を務めていたスランゴールFCのニザム・ジャミル コーチ、クダFCのナフジ・ザイン監督、そしてU23代表のトーレス・ガリド コーチらの名前も記事の中では挙げられています。

サウジアラビア遠征中の女子代表は2試合連続スコアレスドロー

サウジアラビアのタイフで開催中のサウジアラビアサッカー協会SAFF主催の国際大会に出場中のマレーシア女子代表は、パキスタン女子代表と対戦し、0-0で引き分けています。グループステージ二試合目となったこの試合では、FIFAランキング89位のマレーシア女子代表は同157位のパキスタンと引き分けており、初戦となった同172位のサウジアラビアとの0-0に続いて、2試合連続でスコアレスドローとなっています。

試合後にメディアの取材に答えたソリーン・アル=ズウビ監督は、チームの状態は初戦のサウジアラビア戦よりは改善され、試合では主導権を握っていたと話す一方で、FWを中心に得点につながる攻撃力が不十分だとして、これを改善点に上げています。

ラオス(FIFAランキング87位)、レバノン(FIFA同137位)、ブータン(同169位)も出場しているこの大会は、3チームずつに分かれたグループステージの勝者が準決勝に進みますが、マレーシアが入っているA組は、マレーシアが2分、パキスタンとサウジアラビアが1分となっており、今日9月24日行われるパキスタン対サウジアラビアの結果によって、マレーシアが準決勝に進出できるかどうかが決まります。

AFCカップ2023/24東南アジアゾーン
G組第1節-トレンガヌが相手OGで勝利
H組第1節-サバがダレン・ロックの2ゴールなどで快勝

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に続き、AFCカップの2023/24シーズンが開幕しています。ACLの下位大会に当たるAFCカップではマレーシアからは2015年にジョホール・ダルル・タジムFCが優勝、昨季2022年にはKLシティFCが準優勝しています。

ACLとは違い、決勝までの道のりは東南アジア(ASEAN)地区のチームにとっては果てしなく、まずはASEAN地区内でのグループステージで1位あるいは各組2位チームの中で最高位成績を残して、ノックアウトステージとなる地区内準決勝、さらに地区内決勝で勝ち抜けてASEAN1位とならなければなりません。続く南アジア地区代表との地区間準決勝に勝つと、もう一つの地区間準決勝である東アジア地区代表と中央アジア地区代表の勝者と対戦する地区間決勝で勝利すると決勝戦に進出します。決勝では西アジア地区代表となる中東のチームと対戦し、これに勝って初めて優勝となります。このようにASEAN地区からではノックアウトステージで4試合連続で勝利してやっと決勝進出となるのに対して、西アジア地区はノックアウトステージで2勝すれば決勝進出となります。

昨季は新型コロナ禍もあり、グループステージが集中開催方式で行われ、準優勝したKLシティFCはホームのKLフットボールスタジアムがその集中開催地の一つとなるなどアドバンテージもありましたが、今季からはグループステージの開催方法がホームアンドアウェイ方式に戻ります。また来季からはこのAFCカップはAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)とリブランドされることも決まっており、AFCカップの名称で行われる大会は今季が最後となります。

AFCカップ2023/24 東南アジアゾーンG組第1節-トレンガヌが相手OGで勝利

11年ぶりにAFCカップ出場のトレンガヌがまず1勝

AFCカップ2023/24のグループステージが開幕し、G組のトレンガヌFCは第1節でオーストラリアのセントラル・コースト・マリナーズFC(マリナーズ)とホームで対戦しています。昨季2022/23シーズンのリーグ2位としてAFCカップに出場するマリナーズは、現在のマレーシア王者ジョホール・ダルル・タジムFCの前身、ジョホールFAや当時はMリーグに所属していたシンガポールFAなどで1990年代にプレーしていたアバス・サアド氏が暫定監督として指揮を取るチームです。またオーストラリアは2013年から東南アジアサッカー連盟AFFに加盟していますが、AFCカップにオーストラリアのチームが参戦するのは今大会が初めてです。

下はこの試合の両チームの先発XIです。この試合では、トレンガヌは通常の黒白基調のユニフォームではなく、下のような白一色のAFCカップ用ユニフォームを着用。またオーストラリアリーグのセントラル・コースト・マリナーズは、マレーシアの格安航空会社エア・アジアが胸スポンサーというのも、個人的には興味深いところです。

試合は開始1分でマルコ・トゥリオがシュートを放つなどマリナーズが積極的に攻め、10分にはアルー・クオルがトレンガヌGKスハイミ・フシンと1対1になる場面もありましたが、これをスハイミ選手が好セーブでしのぎます。その後もマリナーズは好機を作るもののFW陣のシュートの精度の低さに助けられ、トレンガヌはゴールを許しません。逆にトレンガヌは前半終了間際の45分に右サイドからヌリロ・タクタシコフがゴール前のイヴァン・マムートへクロスを送ります。マムート選手をカバーしていたネイサン・ポールがこれをクリアしようとしたもののGKダニー・ヴコヴィッチが反応できずにオウンゴールとなり、トレンガヌが先制して前半を終了します。

後半に入ってもマリナーズが優勢に試合をするめる中、結局、前半のオウンゴールがが決勝点なり、これを守り切ったトレンガヌが勝点3を獲得する好スタートを切っています。ボールの保持率はマリナーズ53%、トレンガヌ47%、またシュート数がマリナーズが23本(枠内7本)、トレンガヌが11本(枠内3本)と試合を通してマリナーズがトレンガヌを圧倒しましたが、先月から今月にかけてのリーグ戦やカップ戦直近4試合を全て零封しているトレンガヌがこの試合でもマリナーズを完封しています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第1節
2023年9月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:5.996人
トレンガヌFC 1-0 セントラル・コースト・マリナーズFC(オーストラリア)
⚽️トレンガヌ:ネイサン・ポール(45+1分OG)
🟨トレンガヌ(2):ヌリロ・タクタシコフ、スハイミ・フシン、
🟨CCマリナーズ(2):ジェイコブ・ファレル、クリスティアン・セオハラス

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

G組第1節のもう一試合はインドネシアのバリ・ユナイテッドFCがフィリピンのスタリオン・ラグナFCのホームで5-2と勝利し、得失差でG組首位となっています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第1節
2023年9月20日@ビニャン・フットボール・スタジアム(ラグナ州ビニャン、フィリピン)
観衆:350人
スタリオン・ラグナFC 2-5 バリ・ユナイテッドFC
⚽️スタリオン:ジュニオール・ンゴン・サム(30分)、エイブラハム・プラシト(88分)
⚽️バリ:イリヤ・スパソイェヴィッチ2(27分、72分)、ハウディ・アブディラ(33分)、モハメド・バッシム(53分)、ムハマド・ラフマト(69分)
🟨スタリオン(1):フアン・トゥリオ
🟨バリ(2):アディルソン・マリンガ、エリアス・ドラ
 スタリオン・ラグナFCの野村悠太選手は57分から交代出場、中村玲央選手はベンチ外でした。

AFCカップ2023/24 グループステージG組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1バリ・ユナイテッド11005233
2トレンガヌ11001013
3セントラル・コースト100101-10
4スタリオン・ラグナ100125-30
AFCカップ2023/24 東南アジアゾーンH組第1節-サバがダレン・ロックの2ゴールなどで快勝

各国のカップ戦覇者が対戦したAFCカップウィナーズカップ(現在は廃止)に1995年に出場して以来、28年ぶりにアジアの舞台に戻ってきたサバ。この試合の両チーム先発XIは以下の通りです。


昨季のマレーシアスーパーリーグ3位と昨季のシンガポールカップ覇者の対戦となったこの試合は、雨が激しく降り頻る中で始まり、サバが開始5分、カブリエル・ペレスのゴールで先制します。さらに代表FWのダレン・ロックが36分にゴールを決め、サバが2点をリードして前半を終了します。

後半に入るとホウガン・ユナイテッドは髙山和真選手が61分にヘディングシュートを放ち、サバGKのダミアン・リムがゴールラインギリギリでこれを防いだように見えましたが、オーストラリア人のジョナサン・バレイロ主審はボールがラインを超えていたとしてゴールと認定、試合は1点差となりましたが、その2分後にロック選手がこの試合2点目となるゴールを決めて、サバが再びリードを広げると、試合はそのまま終了し、グループステージ初戦を制しています。

AFCカップ2023/24 グループステージH組第1節
2023年9月21日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
 サバFC 3-1 ホウガン・ユナイテッドFC 
⚽️サバ:ガブリエル・ペレス(5分)、ダレン・ロック(36分、63分)
⚽️ホウガン:髙山和真(64分)
🟨サバ(0)
🟨ホウガン(0)
ホウガン・ユナイテッドの日本人選手、髙山和真、栗山直樹両選手はいずれも先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

H組第1節のもう一試合は、ベトナムのハイフォンFCがPSMマカッサルを3-0で破っています。

AFCカップ2023/24 グループステージH組第1節
2023年9月21日@ラックチャイ・スタジアム(ハイフォン、ベトナム)
ハイフォンFC 3-0 PSMマカッサル 
⚽️ハイフォン:エルウィン・グタワ(8分OG)、ルオン・ホアン・ナム(79分)、ジョセフ・ムバンデ(86分)
🟨ハイフォン(0)
🟨マカッサル(0)
PSMマカッサルの日本人選手、南部健造選手は先発してフル出場しています。

ACL2023/24 グループステージH組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1ハイフォン11003033
2サバ11003113
3ホウガン・ユナイテッド100113-20
4PSMマカッサル100103-30

AFCチャンピオンズリーグ2023/24
グループステージI組第1節-ジョホールはマルシーニョのゴールで川崎に敗れる

2023/24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕し、ACL5季連続出場となったジョホール・ダルル・タジムFC(ジョホール)はグループステージI組の初戦となる川崎フロンターレ戦に臨み、0-1で敗れています。

今季のジョホール・ダルル・タジムFC(ジョホール)はリーグ戦が20勝1分、カップ戦は既にFAカップ優勝を決め、現在進行中のマレーシアカップも準々決勝進出と、年間通算成績が27勝1分0敗で得点114失点8と国内では相変わらずの無双ぶりを見せており、公式戦での敗戦は昨年8月16日のACLベスト16浦和レッドダイアモンズ戦まで遡らなければなりません。そのジョホールは今季のACLでは、奇しくも昨季のACLグループステージと同じ川崎フロンターレ、蔚山現代と同組になっており、クラブ史上初となった昨季のグループステージ突破に続く2季連続となるノックアウトステージ進出に期待がかかります。とは言え、昨季は新型コロナ禍の影響もあり、グループステージI組はジョホールの本拠地での集中開催となったアドバンテージがあったののも事実。本来のホームアンドアウェーに戻った今季のACLで、グループステージを突破して、来季から始まるACLエリート入りを果たしたいところです。

この試合の両チームの先発XIは以下の通りです。ジョホールのエステバン・ソラリ監督は、今季リーグ戦17試合先発のフェロズ・バハルディンではなく、その高さに期待してか今季先発4試合のシェーン・ローリーをCBに起用した以外は、リーグ戦とは大きく変わっていません。なお17ゴールでリーグ得点王争い2位のフェルナンド・フォレスティエリ、5ゴールのレアンドロ・ヴェラスケスはいずれもケガのためベンチ外、また今季途中から加入した邦本宜裕選手もこの試合ではベンチ外となっています。


試合開始から、両チームが激しくせめぎ合う展開となった中、11分にはフアン・ムニスのバックパスをカットしたバフェティンビ・ゴミスが抜け出そうとするところをホン・ワンが倒してPKを与えてしまいます。このPKはジョホールの壁にあたりコーナーキックになりますが、今度はこのコーナーキックからゴール前でフリーとなった家長昭博のシュートが外れるなど、ジョホールは連携の悪さが序盤から目につきました。逆にジョホールは17分、自身がマルシーニョに倒され得たFKをフアン・ムニスが蹴りますが、これを頭で合わせたベルグソン・ダ・シルヴァのシュートは大きくゴールを外れます。

21分にはペナルティエリアの中でアリフ・アイマンがGKと接触して倒れるも今季からグループリーグにも導入されたVARによりファウルとならず、さらにその直後にはムニス選手のパスにベルグソン選手が反応するも、ゴールのわずか左に外れてしまいます。さらに30分には今季のACLに出場している唯一のインドネシア人選手でCBジョルディ・アマトのミスからボールを奪ったマルシーニョがGKシーハン・ハズミと1対1となるも、シーハン選手がシュートをブロックで難を逃れると、その1分後にはベルグソン選手のミドルシュートをGKチョン・ソンリョンが弾くなど両チームの応酬が続きます。

そしてこのまま0-0で終了かと思われた前半終了間際の45分、右サイドの家長選手からのクロスはゴール前の瀬古樹へ、これにGKシーハン選手が遅れ気味に飛び出してしまうと、がら空きとなったゴールに瀬戸選手からの浮き球をファーサイドでフリーとなっていたマルシーニョがオーバーヘッドキックでシュート。これが無人のゴールにきまります。一見するとオフサイドにも見えたこのシュートにもVARが使用されますが、得点が認められた川崎が先制して前半を終了します。

後半開始で選手を入れ替えなかったジョホールは47分にアリフ選手が右サイドから得意のドリブルでペナルティエリアにボールを持ち込みます。この場面、中央にはベルグソン選手がフリーでいましたが、アリフ選手はシュートを選択。しかしGKチョン選手にブロックされて得点には至りません。60分にはジョホールDFラインの裏に抜け出した瀬古選手とGKシーハン選手が交錯するもボールが無人のゴールへ転がりますが、ローリー選手がゴールライン間際で蹴り出して失点を防ぎます。

ホームでの勝点が何としても欲しいジョホールは、FWジオゴをMFアフィク・ファザイルと、MFエンドリック・ドス・サントスをDFラヴェル・コービン=オングと入れ替えるなど攻撃モードに入り、最後まで好機を作りますが、試合終盤に向けて守備の選手を増やした川崎の牙城は崩せず、無得点で敗れていますが、昨季のACLグループステージでも川崎とのファーストレグは0-0、セカンドレグは0-5と合わせると3試合続けて無得点となっています。またこの日の敗戦でジョホールとJリーグチームとのACL通算対戦成績は2勝1分4敗、得点4失点10となりました。(途中で出場中止となった2021年のACLは除く)

この試合のスタッツを見るとボール保持率は川崎51%、ジョホール49%ほぼ互角ですが、ジョホールはパスの出しどころを封じられてDF陣の間でボールを回す場面なども見られ、また国内リーグではドリブルが売りのアリフ・アイマンが全くスペースを得られずドリブルをさせてもらえないなど、試合を見た印象では0-1という点差以上に川崎とは力が離れているように感じました。ゴール前ではマークが厳しくなるこういう試合こそ、ミドルやロングシュートを狙うフェルナンド・フォレスティエリやレアンドロ・ヴェラスケスが元気ならば…というのは恨み節になりますが、個人的には個人技で切り込んで状況を打開できるアキヤ・ラシドがセカンドレグでプレーすることを期待したいです。


ACL2023/24 グループステージI組第1節
2023年9月19日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 0-1 川崎フロンターレ
⚽️川崎:マルシーニョ(45分)
🟨ジョホール(5):ホン・ワン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、ジオゴ、シェーン・ローリー、フアン・ムニス
🟨川崎(3):車屋紳太郎、橘田健人、ジョアン・シミッチ

試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

なおI組のもう1試合はホームの蔚山現代がアーダーム・マルティンのハットトリックで、タイのBGパトゥム・ユナイテッドを破っています。

ACL2023/24 グループステージI組第1節
2023年9月19日@蔚山文殊サッカー競技場(蔚山広域市)
蔚山現代 3-1 BGパトゥム・ユナイテッド
⚽️蔚山:アーダーム・マルティン3(28分、73分、78分)
⚽️BGパトゥム:ライハン・スチュワート(41分)
🟨蔚山(1):チョン・スンヒョン
🟨BGパトゥム(1):チャオワット・ウィーラチャート 

ACL2023/24 グループステージI組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1蔚山現代11003123
2川崎F11001013
3ジョホール100101-10
4BGパトゥムU100113-20

マレーシアカップ
準々決勝ファーストレグ結果とハイライト映像(3)-KLシティがPKの1点を守って勝利

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月17日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-0 スリ・パハン
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(73分PK)
🟨KLシティ:ケニー・パッラジ、ザフリ・ヤハヤ
🟨スリ・パハン:ケヴィン・イングレッソ、アザム・アジー
🟥KLシティ:ケニー・パッラジ(🟨x2)
MOM:ロメル・モラレス(KLシティ)

リーグ5位のスリ・パハンと同7位のKLシティの対戦となった準々決勝ファーストレグ最後のカードですが、今季両チームは第13節にスリ・パハンのホームで対戦したものの、KLシティがチェチェ・キプレとパウロ・ジョズエのゴールで2-1と勝利しています。

この試合は開始から両チームのGKが忙しくなる場面があったものの、スリ・パハンGKイズハム・タルミジ、KLシティGKケヴィン・メンドーザとも何度も好セーブを見せるなど得点を許さず、前半は0-0で終了します。

後半に入ると両チームとも積極的に攻め、KLシティがやや優勢で試合が進みますが、いずれも得点に至りません。そして試合が動いたのは74分でした。スリ・パハンDFシャズワン・アンディックがペナルティエリア内でKLシティのパウロ・ジョズエを倒してPKを与えると、このPKをロメル・モラレスが決めてKLシティが先制します。しかしKLシティは82分にクパー・シャーマンを倒してこの試合2枚目のイエローが出されたケニー・パッラジが退場となってしまいます。数的有利となったスリ・パハンですが、これを生かすことはできず、試合は1-0のまま終了しています。準々決勝セカンドレグはスリ・パハンのホーム、ダルル・マクモルスタジアムで9月24日に予定されています

マレーシアカップ 準々決勝
ファーストレグ結果とハイライト映像(2)-サバとペラは引き分け、トレンガヌはホームで快勝

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:6,216人
サバ 2-2 ペラ
⚽️サバ:ダレン・ロック(4分)、ラモン・マシャド(46分)
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイコチェア(10分)、ワン・ザック・ハイカル(54分)
🟨サバ:ラウィルソン・バトゥイル、サディル・ラムダニ
🟨ベラ:シヴァン・ピレイ、カマル・アリフ・アズライ
MOM:ラモン・マシャド(サバ)

 リーグ4位のサバと同11位のペラは今季は既にスーパーリーグ第12節で対戦しており、そのときはダレン・ロック、パク・テス、そして州議会議員に転身するために今季途中に現役引退したバドロル・バクティアルの3ゴールでサバが勝利しています。

 そんな両チームの対戦は試合開始直後から動き、先日の FIFA国際マッチデーではシリア戦でゴールを挙げたダレン・ロックがコ・グァンミンのパスを受けルト、2人のペラDFに競り勝ってヘディングシュートが決め、4分にサバが先制します。しかしその6分後には、ペラがキャプテン、ルシアノ・ゴイコチェアがペナルティエリアの外から蹴ったフリーキックが直接ゴールとなり、すぐさま同点に追いつきます。その後はサバ、ペラ両チームとも好機を作りながら得点には至らず、前半は1-1のまま終了します。

 後半開始早々には再びサバがリードを奪います。インドネシア代表のサディル・ラムダニが右サイドで粘ってからのパスを受けたラモン・マシャドが出場8試合で7ゴール目となるヘディングシュートを決めて、46分に再びサバがリードします。しかしペラも反撃に転じ、JFL時代の琉球FCでもプレー経験があるベテランのワン・ザック・ハイカルがコーナーキックからルースボールを蹴り込んでで同点とし、試合を振り出しに戻します。その後はサバが猛攻を見せ、何度も好機を作りますが、結局ゴールを挙げることはできず、試合は2-2で終了しています。準々決勝セカンドレグは9月25日にペラのホーム、ペラスタジアムで予定されています。

 準々決勝セカンドレグの前に同じリカススタジアムでAFCカップグループステージで栗山直樹、髙山和真両選手を擁するホウガン・ユナイテッド(シンガポール)との対戦が9月21日に控えているサバにとっては、この試合に勝ってAFCカップ初戦に臨みたかったところでしたが、後半戦から調子を上げてきているペラの勢いを止めることができませんでした。

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月16日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:13,118人
トレンガヌ 2-0 スランゴール
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(45+2分)、シャーミ・ザムリ(90+4分)
🟨トレンガヌ:ヌリロ・タクタシノフ、イヴァン・マムート
🟨スランゴール:クザイミ・ピー
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌ)

 今季の両チームはスーパーリーグ第9節で対戦し、スランゴールがエイロン・デル・ヴァイエの2ゴールを含む5ゴールを挙げたスランゴールが5-1で圧勝していますが、この試合はホームのトレンガヌが開始直後から優勢に試合を進めます。しかし、好機を作る一方でゴールを破れない展開が続く中、前半のロスタイムにスランゴールDFクエンティン・チェンがヌリロ・タクタシノフをペナルティエリア内で倒し、トレンガヌがPKを得ると、これをイヴァン・マムートが決めてついにトレンガヌがリードを奪います。

 後半開始とともにスランゴールのタン・チェンホー監督は、FIFAデイズではヨルダン代表としてチームを離れていたノー・アル=ラワブデや、ヨハンドリ・オロスコらを投入すると、彼らが前半では見られなかった得点機を演出しますが、トレンガヌGKスハイミ・フシンの好セーブもあり、得点を奪うことができません。逆に後半ロスタイムにはFWシャーミ・ザムリが今季初ゴールでトレンガヌが2点にリードを広げ、そのまま試合が終了しています。

 リーグ2位のスランゴールは、この試合前半のシュート数2(枠内2)とトレンガヌのシュート数14(枠内5)に大きく差をつけられ、試合全体でもシュート数11(枠内4)はトレンガヌのシュート数20(枠内8)の半分ほどでした。この試合では左サイドバックのファズリ・マズランがベンチ外で、その代役として出場したクザイミ・ピー、V・ルヴェンティランが試合の中で消えてしまう場面が多かった点が気になりました。なお準々決勝セカンドレグは9月24日にスランゴールのホーム、MPBJスタジアムで予定されています。

一方のトレンガヌは、9月20日にAFCカップのセントラル・コースト・マリナーズ戦が同じスルタン・ミザン・ザイナル・アビィディンスタジアムで予定されていますが、この日の勝利でグループステージ初戦となる9月20日の試合に勢いがついたのではないでしょうか。

マレーシアカップ
準々決勝ファーストレグ結果とハイライト映像(1)-ジョホールは快勝でACL川崎フロンターレ戦に向けて準備万端

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月13日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-3 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(20分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ2(31分PK、90+1分)
🟨ヌグリスンビラン:ナスルラー・ハニフ
🟨ジョホール:アフィク・ファザイル、フアン・ムニス、ナズミ・ファイズ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

FIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)では、マレーシア代表に9名(!)が、またジョルディ・アマトがインドネシア代表に招集されるなど、多くの選手がチームを離れていたジョホールですが、この試合ではGKシーハン・ハズミや代表SBマシュー・デイヴィーズ、さらにジョルディ・アマトとアリフ・アイマンが先発XIに名を連ねる一方で、シリア戦でゴールを決めたアキヤ・ラシド、ラヴェル・コービン=オング、シャーミ・サファリはベンチスタート、さらにFIFAデイズ中にケガをしたシャルル・サアドの他、サファウィ・ラシドとエンドリック・ドス・サントスはベンチ外となっています。

試合開始からジョホールが圧倒する中、FIFAデイズでは目立った活躍ができず2試合とも途中交代となったアリフ選手がスーパーリーグでは相変わらずの無双ぶりを見せて、得意の右サイドから20分にゴールを決めてジョホールが先制します。さらに31分には、ヌグリスンビランDFナスルラー・ハニフがペナルティエリア内でベルグソン・ダ・シルヴァを倒し(映像では微妙でしたが)PKを与えてしまいます。ヌグリスンビランは正GKシーク・イズハンが前日9月12日にタイでマレーシアU23代表の試合に出場したため、この試合では今季4試合目の先発となったGKフィルダウス・イルマンが立ちはだかりますが、ベルグソン選手自身がこのPKを難なく蹴り込んでジョホールはリードを広げます。

後半に入ってもジョホール優位は変わらず、試合終了前にはベルグソン選手がヌグリスンビランのオフサイドトラップのミスをついて自身2点目となるゴールを決めるなど、現在のヌグリスンビラン相手では十分とも言える3点のアドバンテージをもって9月23日にホームのスルタン・イブラヒムスタジアムで予定されているセカンドレグに臨むことになりました。

FIFAデイズ前のスーパーリーグ第21節では、開幕からの20連勝がクダ・ダルル・アマンFCとの引き分けで止まったジョホールですが、代表選手複数名を欠く一方で、ベルグソン選手やヘベルチ・フェルナンデスら外国籍選手活躍による快勝で、来週9月19日のACL川崎フロンターレ戦に向けて弾みがつきました。

ジョホールの邦本宜裕選手は後半開始から出場し、試合終了までプレーしています。

9月14日のニュース
AFC U23アジアカップ予選-またもタイの壁に跳ね返されてグループ1位通過ならず
AFC U23アジアカップ予選-マレーシアは予選2位チーム中の成績上位4番目でカタール行きが決定
AFC U23アジアカップ出場決定もサポーターはエラヴァラサン監督交代を望む

来年2024年4月にカタールで開幕するAFC U23アジアカップに、すったもんだのあげく、滑り込みで出場が決まったマレーシアU23代表。タイU23代表との試合に敗れてから、カタール行きが決まるまでは20時間近く経っていました。

AFC U23アジアカップ予選-またもタイの壁に跳ね返されてグループ1位通過ならず

9月12日にはアジア各地でAFC U23アジアカップ予選が行われ、バンコクのチョンブリーではマレーシアがが入るH組の最終節となる第3節が行われました。第2節を終えていずれも2勝のマレーシアU23代表とタイU23代表が対戦したH組は、この試合の勝者がグループ1位で本戦突破、敗れた方は他の組の結果次第で本戦出場が決まるか否かという状況です。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。マレーシアは第2節のフィリピン戦からは2名を入れ替えています。1人はこの予選初出場となるGKシーク・イズハン、そしてフィリピン戦で2ゴールを挙げたT・サラヴァナンに代えて初戦のバングラデシュ戦でゴールを決めているアリフ・イズワンを起用ししています。なおGKは初戦、第2戦、そしてこの第3戦といずれも異なる選手が先発しています。


ちなみに下は先月8月26日に東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権の3位決定戦でこの両チームが対戦したときの先発XI。今回の予選と違いFIFA国際マッチカレンダー外だったことから、今日の試合とは大きくメンバーが異なります。なおこの試合は90分で決着がつかずにPK戦まで絡れ込み、最後はタイが4-3でマレーシアを破っています。

 

試合はマレーシアは10分にノーア・レインがゴールを狙うもわずか左に逸れるなど好機を活かせない中、タイは10分に右サイドをフリーで上がったフォンサコン・トリサットからのクロスをゴール正面で頭で合わせたヨッツァコーン・ブラファのシュートにGKシーク・イズハンが反応できず、タイが先制します。マレーシアも反撃に出ますが、アリフ・イズワンのシュートがタイGKの正面に飛ぶなどゴールを破れません。結局、この地元チョンブリーFCコンビが演出した1点を守り切ったタイがそのまま逃げ切り、1-0で勝利しH組1位となるとともに、AFC U23アジアカップ本戦出場を決めています。

AFC U23アジアカップ予選H組第3節
2023年9月12日@チョンブリースタジアム(タイ、チョンブリー)
タイ 1-0 マレーシア
⚽️タイ:ヨッツァコーン・ブラファ(20分)

AFC U23アジアカップ予選H組 最終順位

順位チーム勝点
1*タイ33009099
2マレーシア32016156
3フィリピン310219-83
4バングラデシュ300306-60
*H組1位となったタイがAFC U23アジアカップ出場決定

H組最終節のもう1試合は、フィリピンU23代表がドイツ4部の1.FCシュヴァインフルト05でプレーする18歳のギャビン・ムエンズのゴールでバングラデシュU23代表に1-0で勝利し、3位フィリピン、4位バングラデシュの順位が決定しています。

この試合のハイライト映像。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)
AFC U23アジアカップ予選-マレーシアは予選2位チーム中の成績上位4番目でカタール行きが決定

東南アジアからは、ベトナム、インドネシア、そしてタイがそれぞれAFC U23アジアカップ2024予選を所属する組1位での予選突破を決める中、マレーシアが本戦に出場するためには、各組2位の中の成績上位4チームに与えられる出場権を得られるかどうかが焦点となりました。時差の関係から中東や中央アジアの国が開催地となっている組はマレーシア時間では翌9月13日早朝となりましたが、その結果で予選突破か敗退かが決まることから、マレーシアでは多くのサッカーファンが最終順位を気にしていました。

今回の予選では3チームで構成される組と4チームで構成される組があることから、各組2位チームの内の上位4チームの決定については、4チーム編成の組では最下位のチームとの対戦結果を除いた勝点、得失差が採用されることになっていました。2位のチームが1位のチームと引き分けていたF組のクウェート、I組のタジキスタン、G組の中国はいずれも勝点4で上位4チームに入ることが決まり、残る1枠をめぐる争いとなりました。

そしてこの最後の枠にはマレーシア同様、最終節で敗れたイランがいずれも勝点3、得失差4、総得点4と全く同じ成績で並びました。勝点も得失差も得点も同じチームが並んだ場合、AFCはフェアプレーポイントが少ない方を上位とすると規定しています。マレーシアは今回の予選を通じてタイ戦で3枚、フィリピン戦で1枚のイエローカードをもらっていましたが、一方のイランは最終戦となったウズベキスタン戦の4枚を含め7枚のイエローカードが出されていたことから、マレーシアのフェアプレーポイント-4に対してイランは-7となり、まさにギリギリのところで本戦出場を決めています。

フェアプレーポイントと言えば、グループステージのポーランド戦で日本が0-1と負けていながらゆっくりボール回すなどして、ブーイングの嵐の中でさらなる失点を避けた結果、やはり勝点、得失差、総得点で並んだセネガルをフェアプレーポイントの差で上回り決勝トーナメント進出を決めた、2018年ワールドカップロシア大会を思い出す方がいるかも知れません。

ちなみにSNS上では、ウズベキスタンU23代表の選手がイエローを2枚もらいながらプレーを続けたとしてイランがAFCに抗議している、などといった噂も飛び交い、最終的にAFCの公式サイトにマレーシアを含めた予選突破16チームのリストが掲載されたのは、マレーシアU23代表対タイU23代表戦が終わってから20時間近く経った9月13日の午後18時を過ぎていました。

AFC U23アジアカップ出場決定もサポーターはエラヴァラサン監督交代を望む

何はともあれ、U23アジアカップ2024年大会出場を決めたマレーシアU23代表ですが、昨年9月にA代表のコーチでもあるE・エラヴァラサン氏がU23代表監督に就任して以来、ことし5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズではタイU23代表に0-2、ベトナムU23代表に1-2、先月8月の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権ではベトナムU23代表に1-4、タイU23代表に0-0(PK戦3-4)、そして今回の予選では再びタイU23代表に0-1と敗れており、東南アジアの2強に対しては1分4敗と白星がありません。今月のFIFA国際マッチカレンダーでは、FIFAランキングで格上のシリア、中国相手にいずれも引き分けているA代表がキム・パンゴン監督のもとで順調に強化が進んでいるのとはまさに好対照です。

上にも書いたようにベトナムとタイを相手に5試合で2得点9失点という成績は、多くのサポーターを失望させる結果となっており、また今回のU23アジアカップ予選でもタイを相手に戦術的な工夫もなく、良いところなく敗れたチームを指揮するエラヴァラサン監督の手腕には疑問の声が上がっています。

今年5月のシーゲームズではタイ、ベトナムと同組となったこともあり、最低目標とされていた準決勝進出を逃したことから、エラヴァラサン監督交代の声はその当時も上がりましたが、マレーシアサッカー協会FAMはその時点でAFF U23選手権とAFC U23アジアカップ予選が控えていることを理由にエラヴァラサン監督続投を決定した経緯があります。しかしAFF選手権では準決勝に進出したもののベトナムに1-4と一蹴され、今回のAFC U23アジアカップ予選もタイに敗れ、最後はフェアプレーポイントのおかげでなんとか本戦出場を決める事態に及ぶと、その指導力不足などを理由にエラヴァラサン監督交代論がSNS上で一気に噴出しています。

SNS上ではエラヴァラサン監督退陣を求める#ElaOutといったハッシュタグまで登場する始末で、FAMは新たな監督候補を探すべきといった提言や、元マレーシアU17監督で今季途中でペラFC監督を解任されたリム・ティオンキム氏を推す声、さらにA代表でコーチを務める元バルセロナU18コーチのポー・マルティ氏を推す声なども上がっています。

9月11日のニュース
フットサルカップ決勝-パハンレンジャーズがジョホールを破り二冠達成
フットサルカップ3位決定戦-樋口岳志選手のゴールなどでスランゴールMACがトレンガヌに勝利

フットサルカップ決勝-パハンレンジャーズがジョホールを破り二冠達成

マレーシアフットサルカップの決勝が9月10日にスランゴール州シャー・アラムで開催され、マレーシアプレミアフットサルリーグMPFLで初優勝を果たしたパハンレンジャーズFCがMPFLでも決勝で対戦したジョホール・ダルル・タジムをPK戦で破り、リーグ戦に次ぐ国内二冠を達成しています。

MPFLの決勝ではファーストレグとセカンドレグ合わせて9-6とジョホールに辛勝したパハンレンジャーズは、このフットサルカップでは樋口岳志選手が在籍するスランゴールMACを破って決勝に進出したジョホールと再び決勝で相見えています。

先制したのはジョホールでした。エクマル・シャーリンが開始2分で先制ゴールを決めると、パハンもリズワン・バクリが16分にゴールを決めて追いつき、前半はこのまま1-1で終了します。

後半に入るとジョホールは開始3分に再びエクマル選手がゴールを決めて再びリードを奪うと、35分にはアズワン・イスマイルが追加点を挙げてリードを広げます。しかしパハンもその直後に、自軍GKと交錯したジョホールのサアド・アブドル・サニのOGで点差を詰めると、さらにパワープレーからリズワン選手が38分にこの試合2点目のゴールを決めて、ついに同点に追いつきます。その後、延長戦となった試合はパハンはセルヒオ・ジャムル、ジョホールはアワルディン・マット・ナウィがそれぞれゴールを決めるものの4-4と譲らず、この試合はついにPK戦へとも連れ込みました。

PK戦では、パハンは2人目のアミン・ナスロラー以外の3人がゴールを決めたのに対し、ジョホールでゴールを決めたのは2人目のタナトル・タダヴィロットただ1人。この結果、パハンがPK戦を3-1で制してMPFLに続き、ジョホールを破ってリーグ優勝とカップ優勝の二冠を達成しています。

マレーシアフットサルカップ2023決勝
2023年9月10日@ムラワティスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
パハンレンジャーズFC 4-4 ジョホール・ダルル・タジム(PK戦3-1)

この試合のハイライト映像。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)
フットサルカップ3位決定戦-樋口岳志選手のゴールなどでスランゴールMACがトレンガヌに勝利

またこの試合の前に行われた3位決定戦では、樋口岳志選手が在籍するスランゴールMACが樋口選手のゴールを含む7ゴールを挙げてトレンガヌを破り3位となっています。

マレーシアフットサルカップ2023 3位決定戦
2023年9月10日@ムラワティスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
スランゴールMAC 7-3 トレンガヌ

この試合のハイライト映像。樋口選手のゴールは4分5秒辺りから。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)