12月31日のニュース
2023年のマレーシアサッカーを振り返る重大ニュース

2023年も残り数時間となりましたが、今年最後の投稿としてボラセパマレーシアJP的視点で2023年の重大ニュースを選んでみました。なお、各項目に振った数字は順位などではありません。

1. 代表のFIFAランキングが145位から130位に

2021年の東南アジア選手権で準決勝進出を逃して辞任したマレーシア人のタン・チェンホー前監督(現スランゴールFC監督)に代わり、2022年1月に就任したのが韓国出身のキム・パンゴン監督です。昨年はマレーシア代表を43年ぶりに予選突破に導いてAFCアジアカップ出場を決めるなどの実績を積み上げたキム監督は、今年は1月の段階で145位だったマレーシアのFIFAランキングを直近の12月には130位まで引き上げています。特に今年はインドやキルギスといった格上に勝利しただけでなく、中国やシリアとは引き分けるなど、終わってみればFIFAランキングを20位上げたパナマ、19位上げたモルドバに続き、世界では今季3位となる15位のランクアップを成し遂げています。

2. 3名の新たな帰化代表選手が誕生

躍進したマレーシア代表の原動力の一つに帰化選手の増加があります。今年だけでもパウロ・ジョズエ(KLシティFC)とエンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジムFC)の両ブラジル出身MFが2月にマレーシア国籍を取得すると早速、代表選手としてプレーしています。昨年はアルゼンチン出身のMFエゼキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)と英国出身のMFリー・タック(クダ・ダルル・アマンFCを退団)が同様に国籍を取得しており、今月にはコロンビア出身のFWロメル・モラレス(KLシティFC)もマレーシア国籍を取得すると、今月の代表候補合宿には早速、招集されています。彼らはいずれも国内リーグで5年以上プレーを続けた結果、マレーシア人選手としてプレーする資格を得、所属するクラブなどの支援を受けながら国籍を取得しています。マレーシア代表にはこの他、国外生まれながら親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を得るハイブリッド帰化選手も多くおり、現在行われている代表合宿の参加者25名中、マレーシア国内で生まれ育った選手は半数以下の12名となっています。

3. ジョホールがリーグ10連覇と2季連続の国内三冠達成

2位のスランゴールに勝点差15をつけ、第21節で優勝を決めた今季のジョホール・ダルル・タジムFC。リーグはこれで10連覇となり、マレーシアカップ、FAカップと合わせた国内三冠も2年連続で達成しています。今季の成績は25勝1分0敗、得点100失点7と国内では今季負けなし。国内では既に敵なしのチームの今季の目標は、昨季に続きACLでノックアウトステージへ進むことでした。昨季と同じ、川崎フロンターレ、蔚山現代と同組となったグループステージでは、川崎に2敗、蔚山には1勝1敗という結果で3位となり敗退しています。しかし、今季が終了して間もなく、27歳のMFジャリル・エリアスをアルゼンチン1部サン・ロレンソを獲得、さらにマレーシア国籍を取得したコロンビア出身のFWロメル・モラレス(KLシティ)やクダでプレーする元シェフィールド・ウエンズデーU21のMFマヌエル・イダルゴの獲得に動いているという噂もあり、来季からは参戦するAFCチャンピオンズリーグ・エリートへの準備も怠りありません。

と、書きましたが年末にかけて、クラブは年間の運営費用を30-40%カットすることを発表すると同時に、今季国内三冠に導いたエステバン・ソラリ監督とそのコーチングスタッフの退任を発表しています。新監督には2022年シーズン途中から指揮を取り、今季はテクニカル・ディレクターを務めていたエクトル・ビドリオ氏が復帰する他、チームでは主力から外れている複数の高額年棒選手を期限付きで移籍させる方針も合わせて発表されています。この中には2024年1月のアジアカップに出場するマレーシア代表でもプレーするサファウィ・ラシドや、代表戦では今季3ゴールを挙げているアキヤ・ラシドといった選手も含まれています。

4. クランタンがシーズン新記録の121失点

リーグ覇者ジョホールとは好対照だったの最下位のクランタンFC。2勝2分22敗、得点29失点121の成績は、リーグのシーズン最多失点記録を30点近く更新する不明な新記録を打ち立てています。さらに給料未払いからシーズン途中に外国籍選手が次々に退団し、マレーシア人選手も大半はU23の経験が少ない選手たちと、トップチームにで1シーズンを送るには心許ない布陣だったことが今季の悲惨な記録に繋がっています。ただし、これだけの成績ながら、下部リーグに当たるM3リーグのクラブにはいずれも来季の国内クラブライセンスが発給されておらず、入れ替え戦が行われる心配はありません。しかし2012年には国内三冠制覇の経験もあるクランタンFCですが、未払い給料問題は未だに解決しておらず、最悪の場合、来季は成績理由ではなく未払い給料に対する罰則処分としてセミプロリーグの3部M3リーグへ降格となる可能性もあります。

5. 複数のクラブで給料未払いが発覚

マレーシアリーグでは、未払い給料問題は今に始まったことではありませんが、今季も半数近い6クラブで給料未払いが封じられています。このブログでも何度も取り上げているように、マレーシアサッカー協会(FAM)とリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)によりクラブの「民営化」が押し進められたことにより、従来の資金源だった州政府からの支援という公金に頼っていた各クラブの中には、十分なスポンサーを見つけることができず、その結果、シーズン途中に資金繰りが苦しくなり、選手への給料の遅配や未払いが発生するという慣例が続いています。今季はクランタンFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFC、KLシティFC、ヌグリスンビランFCといったチームの他、2023/24シーズンのAFCカップで東南アジア地区準決勝に進出しているサバFCなどでも給料未払いが封じられています。

6. AFC大会に3クラブが出場

昨季のリーグ覇者としてACLに出場したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、昨季に続き今季のACLグループステージでも川崎フロンターレ、蔚山現代と同組になりました。コロナ禍の影響により、昨季はJDTの本拠地、ジョホール州が集中開催地となったこともあり、地の利を生かしたJDTが川崎や蔚山現代を抑えてまさかのグループ1位突破を果たし、クラブ史上初となるノックアウトステージに進出しました。その再現をと臨んだ今季のACLでしたが、川崎には2敗、蔚山現代には1勝1敗、また同じグループのBGパトゥムには2勝したものの今季はグループ3位となり、ノックアウトステージ進出を逃しています。

またAFCカップには昨季2位のトレンガヌFCと同3位のサバFCが出場し、トレンガヌFCは3勝3分とグループステージ無敗ながら、グループ1位のセントラル・コースト・マリナーズFC(オーストラリア)に勝点差1で及ばずにグループステージで敗退しています。一方のサバは既に順位が確定してた最終戦で敗れたものの、来年2月に行われるグループ首位で東南アジア地区準決勝進出を決めています。しかしサバFCは、前述した通り給料未払い問題を抱えており、この記事を書いている12月31日の時点も未払いの精算が完了していないことが報じられています。1995年のAFCカップウィナーズカップ(当時)以来28年ぶりにアジアの舞台に戻ったサバFCですが、ノックアウトステージを勝ち上がった際のメンバーとは大きく顔ぶれが変わってしまう可能性や、給料未払いが解決せずモチベーションが上がらないまま準決勝を迎える可能性などもあります。

なお来季2024/25シーズンから大きく変更されるACLですが、現行のACLに該当し、アジア東地区は12チームで争われるACLエリート(ACLE)へのジョホール・ダルル・タジムFCの出場が決まっています。またAFCカップが発展解消する形のAFC 2へは、今季リーグ2位のスランゴールFCが出場します。

7. 審判への低い評価は変わらず-来季はいよいよVAR導入

基準が不明瞭な判定により、今季も複数の審判が無期限審判停止処分を受けたマレーシアリーグ。国際大会に派遣される審判もおり、全員の評価が低いわけではないですが、一般的にマレーシアサッカーファンは審判への信頼は非常に低くなっています。この状況を改善するためにサポーターだけでなく選手や監督らもVAR導入を求めてきましたが、来季のマレーシアスーパーリーグにはついにVARが導入されることが決まりました。VARを運営する審判のトレーニングは今年半ばから始まっており、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、試合ごとに会場へ機材を持ち込むトラックでの移動式VAR設備も複数台購入済みであることも明らかにしている他、サバFCの本拠地があるボルネオ島には機材を飛行機で持ち込む案なども発表しています。

8. 国立競技場改修もコンサートでピッチは台無しに

マレーシア代表はクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場を本拠地として使っていますが、建設から25年が経った施設は今年1月から大規模な改修工事とピッチの張り替えが行われました。この間、代表戦はマレー半島東北部のトレンガヌ州や南部のジョホール州などで行われ、改修工事終了後の柿落としとして開催されたのが10月半ばのムルデカ大会でした。しかし、この大会では張り替えた高麗芝系のゼオン・ゾイシア芝が十分に根付いておらず、試合中にピッチの表面がごっそり剥がれるなど散々で、対戦したインドやタジキスタンだけでなく、マレーシアの選手からも不評を買いました。スタジアムを管理するマレーシア・スタジアム社(PSM社)も、およそ1ヶ月後に控えていたW杯2026年大会アジア2次予選に向けて補修を行うことを約束しました。

が、11月22日に英国のロックバンド、コールドプレイがブキ・ジャリル国立競技場で7万5000人を集めるコンサートを行った翌日、ピッチは複数箇所で土がむき出しになるなど無残な状態となり、PSM社は12月8日に予定されていた今季国内日程の最終戦となるマレーシアカップ決勝までには、ピッチを90%回復させると約束したものの、試合当日は土が剥き出しの部分も残り、相変わらず表面の芝が剥がれ、マレーシアU23代表選手でもあるトレンガヌのウバイドラー・サムスルがそれに足を取られてケガをし(、退場を余儀なくされるなど事故も起こりPSM社への非難が集まりました。

9. 来季の開幕が5月となることが発表される

今季の重大ニュースと言えるかどうかはわかりませんが、これも今月発表されるとすぐに話題となりました。Jリーグ同様、秋春制への移行を行うマレーシアリーグは、2024/25と2025/26の2シーズンをかけて秋春制への移行を完了する予定を発表しています。1月あるいは2月に開幕するのが通例だったマレーシアリーグですが、2024年は1月にはマレーシア代表が予選を突破して43年ぶりに出場するAFCアジアカップがあり、代表選手がいるチームはプレシーズンに十分な時間が取れないことから、今季の開幕は当初は4月とされていました。しかしU23代表が出場するAFC U23アジアカップが4月にあるなどの理由から、結局開幕は5月3日、そして終了は2025年4月20日と12ヶ月という長さのシーズンとなることが発表されました。また2024年1度目のトランスファーウィンドウは2月3日から4月26日までの12週間となることも明らかになっています。

これまでは2月開幕11月閉幕で、各クラブは1月からの11ヶ月分あるいは2月からの10ヶ月分の給料を支払うのが一般的でしたが、開幕が5月となったことで、リーグが開幕していない期間、つまり入場料収入が期待できない時期が長くなったことで、給料未払い問題がシーズンの早い時期に起こる可能性なども取り沙汰されている他、資金が潤沢にあるクラブとそうでないクラブの格差がさらに広がる懸念もあります。

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以上が今季のマレーシアサッカー重大ニュースとなります。2023年はこの投稿がボラセパマレーシアJPの最後の投稿となります。本年も拙いブログを読んでいただきありがとうございます。皆様も良いお年をお迎えください。

12月24日のニュース(2)国際親善試合-マレーシアU23代表が中国U23代表をロスタイムのゴールで破る

中国遠征中のマレーシアU23代表は、12月23日に上海の金山スポーツセンターで中国U23代表と対戦し、DFハリス・ハイカル(スランゴール)がロスタイムにゴールを決め、1-0で辛勝しています。

11月にコーチから昇格したフアン・トーレス監督にとっては初の対外試合となったこの試合の先発XIは以下の通りです。前任のE・エラヴァラサン監督は先発で使うことがあまりなかったFWファーガス・ティエニーとMFナジムディン・アクマル(いずれもジョホールII)とMFムカイリ・アジマル(スランゴール)の3名が揃って先発しています。


試合開始から中国U23の猛攻を、この試合のヒーローとも言えるGKアジム・アミン(KLシティ)が好セーブを連発して防ぐと、マレーシアU23も徐々にペースを掴み、FWファーガス・ティエニーを中心に相手ゴールを狙いますが、両チーム共に譲らず前半を0-0で折り返します。

後半に入るとマレーシアU23のファン・トーレス監督は6名の交代選手を投入してゴールを目指しますが、試合は0-0のままロスタイムに入ります。このままスコアレスドローかと思われた90+5分にマレーシアU23がコーナーキックを得ると、FWダリル・シャム(ジョホール)の右コーナーキックにハリス選手が合わせてゴールを決め、マレーシアが土壇場のゴールで勝利を挙げています。なおマレーシアU23は、12月26日にも中国U23との対戦が組まれています。

今回の中国遠征は来年4月に開催されるAFC U23アジアカップへの準備の一環として行われています。マレーシアU23は、U23アジアカップではウズベキスタン、ベトナム、クウェートと同組となっています。

この試合のハイライト映像。Balrztvの公式YouTubeチャンネルより

12月24日のニュース
秋春制以降期間となる来季日程をMFLが発表-5月開幕、翌年4月閉幕の長丁場12ヶ月シーズンに
マレーシアはFIFAランキング130位で今年を終える-ランキング上げ幅は今季世界3位
今季最下位のクランタンFC監督が辞任し、インドネシアのクラブ監督就任へ
リーグ10連覇達成のジョホールがチケット売上益9000万円をパレスチナ支援などに寄付

秋春制以降期間となる来季日程をMFLが発表-5月開幕、翌年4月閉幕の長丁場12ヶ月シーズンに

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は公式サイト上で来季日程を発表しています。スーパーリーグはJリーグ同様に秋春制へ移行を進めていますが、移行は2026年まで2シーズンかけて行うことを発表しており、来季2024/25シーズンは、従来とは異なる5月開幕、翌年4月閉幕の12ヶ月となるようです。

2024年の年明け早々にはカタールでAFCアジアカップ2023年大会が開幕し、マレーシア代表は43戦ぶりにこの大会に出場します。また、3月にはFIFAワールドカップ2026アジア2次予選がある他、4月中旬にはマレーシアU23代表も出場するAFC U23アジアカップ2024年大会が開催されるなど、年初から代表戦やU23代表の試合が続きます。

さらにクラブレベルでは、AFCカップの東南アジアゾーングループステージを勝ち上がったサバFCは2月13日または14日に準決勝が予定されており、MFLは当初は来季開幕を4月中旬と発表していましたが、今回、2週間ほど遅らせた5月3日から5日とすることを改めて発表しています。

さらにイスラム教の断食月ラマダンも今回の日程作成を難しくしています。2024年は3月10日から4月9日がこのラマダンにあたり、この期間中、イスラム教徒は日の出から日没まで食事はおろか、水分の補給もできないことから、イスラム教徒のマレー人選手が大半を占める各クラブからはこのラマダンが開幕前の重要な時期と重なることに懸念する声も出ていたことも今回の日程変更と関連している可能性があります。

今回の新たな日程発表に併せて2024/25シーズンの第1回のトランスファーウィンドウは2月3日から4月26日となることも発表されています。

マレーシアはFIFAランキング130位で今年を終える-ランキング上げ幅は今季世界3位

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回11月と同じ130位で2023年を終えています。今年1月には145位だったマレーシアはランキングを15上げていますが、これは20上げたパナマ(FIFAランキング41位)、19上げたモルドバ(同155位)に次ぐ、今季世界3位の上げ幅となっています。

1993年には75位だったマレーシアですが、2018年に178位まで落ちると、そこからは低迷期が続いていましたが、2022年1月に韓国出身のキム・パンゴン(金判坤)監督が就任して以来、当時154位だったランキングは順調に改善され、今年10月にはフィリピンを抜いて東南アジア3位となっています。

とはいえ東南アジアでは84位のベトナムと113位のタイの両国には相変わらずには遅れをとっています。なお今回の発表での東南アジア各国のランキングはフィリピンが140位、インドネシア146位、シンガポール156位、ミャンマー162位、カンボジア179位、ラオス189位、ブルネイ194位、そして東ティモール200位となっています。

クランタンFC監督が辞任し、インドネシアのクラブ監督就任へ

今季は2勝2分22敗、リーグ新記録となる121失点で最下位に終わったクランタンFCの アンヘル・アルフレッド・ヴェラ監督が辞任を表明した上で、現在はインドネシアのクラブと監督就任ついて交渉中だと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

アルゼンチン出身で51歳のヴェラ監督は、Jリーグ大分でプレー経験があるチェ・ムンシク(崔文植)監督、リザル・ザンベリ・ヤハヤ監督代行、フランク・バーンハート監督に続く今季4人目の監督としてシーズン後半からクランタンの指揮を取り、リーグ戦は1勝1分13敗、マレーシアカップ0勝2敗という記録を残しています。

2013年からインドネシアリーグの複数のクラブで監督経験を持ち、インドネシア語を流暢に話すヴェラ氏は、今後は家族が現在も住むインドネシアに戻る予定だということで、既に現地のクラブと監督就任について交渉中だということです。

リーグ10連覇達成のジョホールがチケット売上益9000万円をパレスチナ支援などに寄付

マレーシアスーパーリーグ10連覇と2季連続の国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムFCは、今季のチケット売り上げ収益とリーグ優勝賞金などを合わせた290万リンギ(およそ9000万円)をパレスチナへの人道支援と地元の社会奉仕プログラムに寄付することを発表しています。

クラブ公式SNSに投稿された記事によると、11月と12月の本拠地開催の6試合のチケット売り上げ収益101万700リンギ(およそ3100万円)はパレスチナの人道支援に、またリーグ優勝の賞金190万リンギ(およそ5900万円)は、クラブが設置した基金を通じて地元ジョホール州の社会奉仕プログラムに寄付されるということです。

ジョホールは2013年にジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が設立して以来、クラブが獲得した賞金は全て寄付してきたことも、このSNS投稿では説明されています。


12月22日のニュース
アジア杯出場の代表候補合宿参加メンバーが発表
U23代表も合宿と中国遠征参加メンバーを発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は、公式サイト上で12月26日から始まる代表合宿の参加メンバー26名を発表しています。この合宿は2024年1月12日からカタールで開催されるAFCアジアカップ2023に向けた合宿です。

キム・パンゴン監督は、キルギス、台湾に連勝した11月のFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選出場メンバー25名中、22名を再び招集しています。今回新たに招集されたのは、MFシャマー・クティ・アッバとMFナチョ・インサ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)、DFクザイミ・ピー(スランゴールFC)と、マレーシア国籍を取得したばかりのコロンビア出身FWロメル・モラレス(KLシティFC)の4名で、11月のメンバーからはMFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)とMFノーア・レイン(フィンランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ)が外れています。またDFシャルル・ナジーム(スランゴールFC)とDFアザム・アズミ(トレンガヌFC)の両選手は、ケガのために招集を辞退しています。

1月12日に開幕するAFCアジアカップ2023で、マレーシアはグループステージE組に入り、1月15日にヨルダン、20日にバーレーン、25日に韓国と対戦します。

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今回招集された26名中、リーグ10連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムFCからは13名、2位のスランゴールFCから3名、3位のサバFCから4名、7位のKLシティFCから3名、9位ヌグリスンビランFCから1名が選ばれている他、国外組はタイ1部ブリーラム・ユナイテッドでプレーするディオン・クールズ、インドネシア1部デワ・ユナイテッドでプレーするジュニオール・エルドストールの2名が選ばれています。

また前述のようにコロンビア出身のFWロメル・モラレスが加わったことで、今回招集された帰化選手はモラレス選手の他には、ブラジル出身のMFエンドリック・ドス・サントス(ジョホール)、MFパウロ・ジョズエ(KLシティ)、ガンビア出身のMFモハマドゥ・スマレ(ジョホール)の4名となっています。また国外で生まれ育ったマレーシア人の親を持つハイブリッド帰化選手も10名います。

また今回のメンバーにジョホールのホン・ワンことナサニエル・シオ・ホンワンが選ばれなかったことも一部では話題になっています。英国で生まれ育ったシオ選手は、英国1部ウォルバーハンプトンのU21から2021年シーズン途中に移籍し、今季はジョホールのリーグ戦26試合中25試合に先発していますが、これはチーム最多です。ポジション的にも、今回選ばれているチームメートで37歳のベテラン、ナチョ・インサに代わってボランチのレギュラーとなったこともあり、今季わずか7試合出場のインサ選手が選ばれた一方で、シオ選手が選ばれなかったことには疑問の声も上がっています。個人的にはA代表でなければ、後述するU23代表にチームメートのフェロズ・バハルディンと共に選ばれるべき選手だと思うのですが、国内だけでなくACLでもフル稼働したシオ選手の招集を「見えない手」が阻んだ可能性も否定できません。

2023年12月 マレーシア代表候補合宿メンバー

ポジション氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ27JDT
アズリ・アブドル・ガニ24KLC
シーク・イズハン21NSE
DFマシュー・デイヴィーズ28JDT
ラヴェル・コービン=オング32JDT
シャールル・サアド30JDT
シャーミ・サファリ25JDT
クザイミ・ピー   30SEL
ドミンク・タン26SAB
ダニエル・ティン31SAB
ディオン・コールズ27BRU
ジュニオール・エルドスートル32DWU
MFエンドリック・ドス・サントス28JDT
アリフ・アイマン21JDT
サファウィ・ラシド26JDT
アフィク・ファザイル29JDT
ムハマドゥ・スマレ29JDT
シャマー・クティ・アッバ26JDT
ナチョ・インサ37JDT
ブレンダン・ガン35SEL
スチュアート・ウィルキン25SAB
パウロ・ジョズエ34KLC
FWアキヤ・ラシド24JDT
ファイサル・ハリム25SEL
ダレン・ロック33SAB
ロメル・モラレス26KLC
所属:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SEL-スランゴールFC、SAB-サバFC、KLC-KLシティFC、NSE-ヌグリスンビランFC、BRU-ブリーラム・ユナイテッド(タイ1部)、DWU-デワ・ユナイテッド(インドネシア1部)
U23代表も合宿開催、合宿後には中国遠征も

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイト上で、12月19日から27日まで行われるU23代表合宿の参加メンバー24名を発表しています。U23代表は、A代表のコーチを兼任していたE・エラヴァラサン監督がA代表のコーチに専念したいとの理由で辞任し、U23代表でコーチを務めていたフアン・トーレス新監督が就任して以来、先月11月に続き今回が2度目の合宿となります。マレーシアU23代表は来年4月にカタールで開催されるAFC U23アジアカップ2024年大会出場を決めています。

11月13日から21日まで行われた前回の合宿のメンバーからは、MFムカイリ・アジマル、DF V・ルヴェンティラン(いずれもスランゴールFC)、FWアリフ・ジクリ(ペラFC)の3選手が新たに加わった一方で、MFウバイドラー・シャムスル、DFアダム・ファルハン(ジョホール・ダルル・タジムFC II)、FWハキミ・アジム(KLシティFC)の3選手がケガを理由に招集を辞退しています。なお、ムカイリ選手は前回の合宿は、同時期に開催されていたFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選に向けたA代表合宿に招集されていたため、不参加でした。

U23代表は、既に合宿を終えて遠征先の中国の上海入りしており、明日12月23日と12月26日の両日、中国U23代表との国際親善試合が予定されています。マレーシアサッカー協会(FAM)のSNSでは、マレーシアとの寒暖差が30度を超える気温マイナス4度の中で練習を行なっているU23代表の様子などが紹介されています。

2023年12月 マレーシアU23代表候補合宿参加メンバー
*は9月のAFC U23アジアカップ予選出場者、#は11月のU23代表候補合宿参加者

P氏名年齢所属
GK*#ラーディアズリ・ラハリム22TRE
*#アジム・アル=アミン22KLC
#シャーミ・アディブ・ハイカル20SEL
DF*#ハリス・ハイカル21SEL
*#ジクリ・カリリ21SEL
#ムハマド・アブ・カリル18SEL
*#ウマル・ハキーム21JDT II
#フィルダウス・ラムリ21JDT II
*V・ルヴェンティラン22SEL
*#サフワン・マズラン21TRE
#アイマン・カイルル・ユスニ21PRK
MF#フィルダウス・フアド21PRK
*ムカイリ・アジマル22SEL
*#シャヒル・バシャー22SEL
*#ナジムディン・アクマル20JDT II
*#ファーガス・ティアニー20JDT II
*#T・サラヴァナン22KLC
*#サイフル・ジャマルディン22SRP
FW#ダリル・シャム21JDT
*#アリフ・イズワン・ユスラン19SEL
アリフ・ジクリ20PRK
#*アイマン・アフィフ22KDA
#*アリフ・イクマルリザル・アヌアル21PEN
#*ルクマン・ハキム21UMF
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、JDT II-ジョホール・ダルル・タジムII(U23)、TRE-トレンガヌFC、PRK-ペラFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、UMF-UMFニャルズビークFC(アイスランド2部)

2023マレーシアスーパーリーグ最終第26節結果とハイライト-ジョホールがシーズン通算100ゴールで10連覇に花を添える、最下位クランタンはシーズン121失点

投稿が遅れてしまいましたが、マレーシア1部のスーパーリーグは今季2023年シーズンの最終節となる第26節が行われています。既にリーグ優勝を決めているジョホール・ダルル・タジムFCは最終戦でペナンに8-0と圧勝し、今季通算得点を100としています。一方、最下位のクランタンFCは、同じクランタン州を本拠地とするクランタン・ユナイテッドFCとの「クランタン・ダービー」に臨みましたが、2-6で敗れ、シーズン最多失点記録を大きく更新する121失点で今季を終えています。

スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、来季から2シーズンかけて秋春制に移行することを発表しており、移行期間1年目となる来季は3月の開幕が予定されています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeチャンネルより)

2023年12月16日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:33,169人
ジョホール・ダルル・タジムFC 8-0 ペナンFC
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン4(5分、47分、52分、90+6分PK)、ベルグソン・ダ・シルヴァ2(17分、33分)、アキヤ・ラシド(41分)、ヘベルチ・フェルナンデス(43分)
🟨ジョホール(3):ヘベルチ・フェルナンデス、マシュー・デイヴィーズ、フェロズ・バハルディン
🟨ペナン(5):アイクマル・ロスラン、A・ナマテヴァン、カイルル・アクマル、アディブ・ラオプ、アブディーン・テミトープ
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
ジョホールの邦本宜裕選手はベンチ外でした。

 21歳ながらエースの風格が漂うFWアリフ・アイマンの4ゴールなどでジョホールが8点を挙げて大勝し、今季のリーグ通算得点をリーグ新記録となる100点の大台に乗せています。
 一方のペナンは、外国籍選手登録されているDFリュウ・ヤマグチ選手が今季初出場を果たしています。23歳のヤマグチ選手はカップ戦やU23チームが出場するMFLカップでもプレーしていませんでしたが、この試合では先発して、前半で交代しています。

2023年12月16日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:1,248人
KLシティFC 0-0 スリ・パハンFC
🟨KLシティ(3):カマル・アジジ、ライアン・ランバート、パトリック・ライヒェルト
🟨スリ・パハン(1):アズワン・アリピン
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)

給料未払いが数ヶ月に及ぶことも明らかになっているKLシティは、今季8ゴールを挙げていたチェチェ・キプレを終了ビザが取れないことから観光ビザで働かせていた疑惑が持ち上がっています(家庭の事情を理由にキプレ選手は既にコートジボワールに帰国)。そんなチームの今季最終戦の相手は、直近の5試合を1勝1分3敗と調子を落としているスリ・パハン。何の目標もない両チームの対戦は、スコアレスドローで終わっています。

2023年12月16日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:315人
クランタンFC 2-6 クランタン・ユナイテッドFC
⚽️クランタンFC:アフィフ・ジャズミン2(13分、26分)
⚽️クランタン・ユナイテッド:ハフィ・ハイカル(29分)、S・シャルヴィン2(49分、75分)、イスマイル・アキナーデ(60分)、インドラ・プトラ・マハユディン(90+4分)、ロイザッド・ダウド(90+2分)
🟨クランタンFC(0):
🟨クランタン・ユナイテッド(0):
MOM:S・シャルヴィン(クランタン・ユナイテッドFC)

いずれもクランタン州コタ・バルを本拠地とする両チームによる「クランタン・ダーバー」は、最下位26位のクランタンFCが2-0とリードしたものの、その後は後半だけで5失点し、24位のクランタン・ユナイテッドFCが逆転しています。クランタンFCはこの試合の6失点でシーズン通算121失点と従来の記録を大幅に更新しています。

2023年12月17日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:11,265人
トレンガヌFC 3-0 ペラFC
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(7分)、エンク・ヌル・シャキール(17分)、ノー・ハキム・ハサン(81分)
🟨トレンガヌ(2):アザム・アズミ、リリドン・クラスニキ
🟨ペラ(2):アザリヌラー・アリアス、アイマン・ユスニ
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌFC)

AFCカップでは無敗ながらノックアウトステージ進出を逃したトレンガヌ。5位のスリ・パハンとは勝点差5と話された6位ながら、トミスラフ・シュタインブリュックナー監督の続投が発表されています。そのトレンガヌが順当に若手主体のペラを破っています。

2023年12月17日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:12,317人
サバFC 2-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️サバ:イルファン・ファザイル(7分)、ラモン・マチャド(43分)
🟨サバ(2):ガブリエル・ペレス、ファルハン・ロスラン
🟨クダ(2):モーゼス・アテーデ、J・パルティバン
MOM:ラモン・マチャド(サバFC)

4位のサバが3位のクダを破り、昨季に続き今季も最終順位を3位としています。
85分から出場した42歳のFWアムリ・ヤハヤはこの試合を最後に引退することを表明しています。マレーシア代表では64試合に出場し15ゴールを挙げたアムリ選手は、スランゴールやジョホールなどでもプレーし、国内ではカップ戦なども合わせると通算630試合に出場し173ゴールを挙げたレジェンドプレーヤーです。

2023年12月17日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:10,737人
スランゴールFC 3-1 PDRM FC
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(36分PK)、ブレンダン・ガン(45分)、リッチモンド・ボアキ(88分)
⚽️PDRM:ファディ・アワド(72分)
🟨スランゴール(1):ジクリ・カリリ
🟨PDRM(1):ヌル・イクマル・ハルン
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)
PDRMの鈴木ブルーノ選手は72分から出場しています。

前節で今季2位を確定させていたスランゴールが同じMBPJスタジアムを本拠地とするPDRMとの「スランゴール・ダービー」を3-1で制しています。この試合ではゴールがなかったものの、スランゴールはエースのアイロン・デル・ヴァイエが23ゴールで今季得点王を獲得しています。

2023年12月17日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:941人
ヌグリスンビランFC 1-4 クチンシティFC
⚽️ヌグリスンビラン:シャーレル・フィクリ(4分)
⚽️クチンシティ:ブルーノ・ジバウ2(44分、73分 )、谷川由来(47分)、ペドロ・エンリケ(55分)
🟨ヌグリスンビラン(3):チェ・ラシド、アナス・ラフマット、トミー・マワト
🟨クチンシティ(3):ラメシュ・ライ、ペドロ・エンリケ、アルハム・クシャイリ
MOM:ブルーノ・ジバウ(クチンシティFC)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

今季のスーパーリーグでは開幕戦で勝利して以降、24試合で勝星がなかったクチンシティが最終戦で勝利し、今季2勝目を挙げています。シーズン途中で就任したアイディル・シャリン監督にとってはリーグ戦初勝利となり、また前節25節に今季初ゴールを決めた谷川由来選手が2戦連続となるゴールを決め、これが決勝点となっています。

2023マレーシアスーパーリーグ最終順位表(全日程終了)

順位チーム勝点
1JDT26251010079376
2SEL26201572225061
3SAB26173664333154
4KDA26172752292353
5SRP26136744331145
6TRE26117845341140
7KLC2610884439538
8PDRM26114113537-237
9NSE2669113349-1627
10PEN2666142950-2124
11PRK2664162555-3022
12KLU2645172965-3617
13KCH2626182451-2712
14KEL26222229121-928
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 最終得点ランキングトップ10(全日程終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2344/76526
2ベルグソン・ダ・シルヴァ2138/109622
3フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1935/76720
4アブ・カマラ(KCH)1323/48122
5アリフ・アイマン(JDT1222/521124
クパー・シャーマン(SRP)1224/47723
イフェダヨ・オルセグン(KDA)1221/39111
ファイサル・ハリム(SEL)1230/46823
9パウロ・ジョズエ(KLC)1134/64523
イヴァン・マムート(TRE)1126/58120
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ第25節結果とハイライト-日本人選手がゴールラッシュ
PDRMの鈴木ブルーノがハットトリック、クチンシティの谷川由来も今季初ゴール

マレーシアスーパーリーグ第25節が2週にまたがる形で開催されています。
 今節の注目カードは3位クダ・ダルル・アマンFCが2位スランゴールFCをホームに迎えての直接対決です。勝点差2でスランゴールを追うクダは、この試合に勝てば3位に浮上、スランゴールが勝てば最終節となる次節第26節を待たずに2位が確定します。スーパーリーグの2位には来季から始まるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)の出場権がかかっています。
 また個人タイトル争いも今季ここまで22ゴールを挙げているスランゴールのエイロン・デル・ヴァイエと2位のベルグソン・ダ・シルヴァとの差は4ゴールで、今節ではその差が縮まるのかどうかにも注目が集まりました。
(試合のハイライト映像はマレーシアンスーパーリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年12月1日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:73人
クランタン・ユナイテッドFC 0-4 ヌグリスンビランFC
⚽️ヌグリスンビラン:エラルド・グロン(16分)、ハスブラー・アブ・バカル(25分)、R・バラトクマル2(42分、66分)
🟨クランタン(1):カイヤム・マルジョニ
🟨ヌグリスンビラン(2):ザイナル・アビディン・ジャミル、トミー・マワト
🟥クランタン(1):アリフ・アル=ラシド
MOM:R・バラトクマル(ヌグリスンビランFC)

9位のヌグリスンビランが10位のクランタン・ユナイテッドを破って、今季3度目の2連勝。

2023年12月2日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:20,864人
クダ・ダルル・アマンFC 0-1 スランゴールFC
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ(64分)
🟨クダ(0)
🟨スランゴール(1):アレクサンダー・アギャルカワ
MOM:サミュエル・サマーヴィル(スランゴールFC)

今季リーグ得点王で現在のスランゴールのエース、エイロン・デル・ヴァイエと、スランゴール在籍中の2020年、2021年と2年連続得点王を獲得したストライカー、イフェダヨ・オルセグン(クダ)の対決にも注目が集まったこの試合は、エイロン選手の値千金ゴールで2位争いを制したスランゴールが勝利。今季2位を確定させるともに、来季のACL2の出場権を獲得しています。

2023年12月3日@シティー・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:1,348人
ペナンFC 1-1 トレンガヌFC
⚽️ペナン:ラファエル・ヴィトール(90+10分)
⚽️トレンガヌ:シャーミ・ザムリ(66分)
🟨ペナン(3):ファイルズ・ザカリア、カイルル・アクマル・ロキシャム、ラファエル・ヴィトール
🟨トレンガヌ(2):シャールル・ニザム、アザム・アズミ
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナンFC)

既に6位以下が決定しているトレンガヌは、5日後にジョホールとのマレーシアカップ決勝が控えていたこともありヌ、チーム得点王のイヴァン・マムートら主力がベンチから外れ、先発には6名のU23の選手を供すると、その1人のシャーミ・ザムリが今季初ゴールを挙げ、トレンガヌが先制しました。しかし、ロスタイムにトレンガヌGKラーディアズリ・ラハリムの判断ミスからPKを与えてしまい、これをラファエル・ヴィトールが決めて同点に追いついたペナンが引き分けに持ち込んでいます。。

2023年12月3日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:2,781人
ペラFC 0-1 サバFC
⚽️サバ:パク・テス(85分)
🟨ペラ(0)
🟨サバ(1):ドミニク・タン
MOM:パク・テス(サバFC)

4位サバがペラを僅差で破り5連勝。3位のクダを猛追するサバは、最終節となる次節第26節でこのクダと直接対決が控えており、2季連続となる3位の可能性を残しています。

2023年12月3日@ダルル・マクモル・スタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:5.693人
スリ・パハンFC 0-2 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス(6分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(42分)
🟨スリ・パハン(1):クパー・シャーマン
🟨ジョホール(1):シェーン・ローリー
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム FC)

既にリーグ優勝を決めているジョホールは、開始6分で先制すると終始、試合の主導権を握り、2-0という点差以上にスリ・パハンを圧倒して、完勝。12月8日のマレーシアカップ決勝へ向けて弾みをつけています。

2023年12月10日@MPBJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:187人
PDRM FC 7−2 クランタンFC
⚽️PDRM:ジェイムズ・オクウォサ(19分)、イザック・イズハン(45+6分)、チョー・ミン・ウー(59分)、鈴木ブルーノ3(61分、64分、89分)、ヌル・イクマン・ハルン(74分)
⚽️クランタン:カライフ・ナスカム(63分)、レオナルド・ロロン(72分)
🟨PDRM(1):ハディ・アワド
🟨クランタン(0)
MOM:鈴木ブルーノ(PDRM FC)

鈴木ブルーノ選手のハットトリックなどでPDRMがクランタンに圧勝。クランタンはこの日の7失点で今季リーグ戦通算失点が25試合で115となりました。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場し、3ゴールを挙げる活躍でこの試合のMan of the Match(MOM)に選ばれています。

2023年12月10日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:238人
クチンシティFC 2−3 KLシティFC
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(45+2分PK)、谷川由来(72分)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ2(19分、41分)、アリフ・シャキリン(81分)
🟨クチンシティ(0)
🟨KLシティ(3):アクラム・マヒナン、ライアン・ランバート、ザフリ・ヤハヤ
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)

クチンシティは0-2から、谷川由来選手の今季リーグ初ゴールなどで一旦は同点に追いついたものの、KLシティに逆転を許し破れてます。
 谷川由来選手は先発してフル出場し、今季リーグ初ゴールを決めています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第25節終了)

順位チーム勝点
1JDT2524109278573
2SEL25191569214858
3KDA25172652272553
4SAB25163662332951
5SRP25135744331144
6TRE2510784234837
7KLC2510784439537
8PDRM25114103434037
9NSE2569103245-1327
10PEN2566132942-1324
11PRK2564152552-2722
12KU2535172363-4014
13KCH2516182050-309
14KEL252221271115-888
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキングトップ10(第25節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2342/72525
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1934/75719
ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1935/102421
4アブ・カマラ(KCH)1323/48122
5クパー・シャーマン(SRP)1224/46723
イフェダヨ・オルセグン(KDA)1221/39110
7ファイサル・ハリム(SEL)1127/40722
パウロ・ジョズエ(KLC)1133/61522
8イヴァン・マムート(TRE)1025/55119
ステファノ・ブルンド(SRP)1020/44023
鈴木ブルーノ(JDT)1021/42225
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

マレーシアカップ2023決勝-ジョホールがトレンガヌを3-1で破り優勝、2年連続の国内三冠も達成

12月8日にマレーシアカップ2023の決勝が行われ、ジョホール・ダルル・タジムがトレンガヌを3-1で破り、昨季に続く2連覇を果たすとともに、リーグ戦、FAカップと合わせて国内三冠を2季連続で達成しています。

決勝戦が行われたブキ・ジャリル国立競技場では11月22日に英国のロックバンド、コールドプレイのコンサートが7万5000人を集めて行われた結果、ピッチの一部は芝が禿げて土が見えるほど傷んでいました。試合2日前には、ブキ・ジャリル国立競技場を雲煙するマレーシア・スタジアム社のCEOがピッチの修復状況は90パーセント完了しているとSNSに投稿していました。

しかし、試合前日の会見では公式練習を終えたジョホール、トレンガヌの両チームからピッチの状況に失望する声なども出た結局、マレーシア・スタジアム社は修復を終えるのに十分な時間がなかったとして、両チームとサポーターに謝罪する公式声明を発表する事態となっていました。

実際にテレビの画面で見る限りでも、「修復状況が90パーセント完了」は冗談かと思えるほど酷く、あちこちらで土がむき出しになり、緑に見えているところも芝が根付いておらず、試合中には選手が足を取られる場面なども見られました。

そんなピッチ上で始まった第97回マレーシアカップ決勝は公式発表で8万550人の観衆が見守る中、、開始6分にトレンガヌがPKを与えてしまいます。DFアザム・アズミのジョホールFWフェルナンド・フォレスティエリへの接触は映像で見る限りでは「緩い」ものでしたが、フォレスティエリ選手が派手に倒れる名演技もあってか、S・ロゲスワラン主審は迷わずPKを指示します。トレンガヌの選手たちは主審に激しく詰め寄り抗議しますが、VARのないマレーシアリーグでは判定が変わることもなく、これをFWベルグソン・ダ・シルヴァが難なく決めてジョホールが先制します。

しかしトレンガヌも21分にFWイヴァン・マムートがジョホールDFジョルディ・アマトにやはりPKを決めて同点に追いつきますが、こちらはマムート選手がジョホールGKシーハン・ハズミと1対1になった場面でのファールだったので1発レッドが出てもおかしくない状況でしたが、ロゲスワラン主審はアマト選手にイエローを出しただけでした。

ピッチのコンディションが悪い上、試合前から降り続く雨で滑りやすくなるなど環境が悪化する中、両チームは追加点を奪えず、前半は1-1のまま終了します。

後半に入ると両チーム共にギアを上げ、攻守の切り替えが早い展開となります。そして73分には途中出場のフェロズ・バハルディンがヘベルチ・フェルナンデスのコーナーキックを頭で合わせた見事なゴールを決め、ジョホールが再びリードを奪います。さらに90+5分にはアリフ・アイマンが自ら得たPKを決め、ジョホールが3-1でトレンガヌを破りマレーシアカップ2連覇、そして2季連続となる国内三冠達成を果たしています。

ジョホールの2季連続の国内三冠達成は、当時は秋春制だった2006/07シーズンと2007/08シーズンに連続で国内三冠達成を果たしたクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)以来2チーム目となっています。

マレーシアカップ2023決勝
2023年12月8日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
観衆:80.550人
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-1 トレンガヌFC
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(6分PK)、フェロズ・バハルディン(73分)、アリフ・アイマン(90+5分PK)
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(21分PK)
🟨ジョホール(5):ジョルディ・アマト、マシュー・デイヴィーズ、シャーミ・サファリ、フェロズ・バハルディン、アリフ・アイマン
🟨トレンガヌ(3):エンク・ヌル・シャキル、ハビブ・ハルーン、リリドン・クラスニキ
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
ジョホールの邦本宜裕選手はベンチ入りしませんでした。

試合のハイライト映像。マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeチャンネルより

12月5日のニュース
・マレーシアのFIFAランキングが130位に上昇
・AFCカップ-サバが東南アジアゾーン準決勝出場決定、トレンガヌの準決勝進出は最終節の結果待ち
・PDRMがチャレンジカップ優勝-鈴木ブルーノはチャレンジカップに2度出場した初の選手に
・スランゴールがクダを制して今季2位を確定-来季のAFC2の出場権も獲得

12月に入っての初更新は、前回最終更新の11月29日から12月4日までのニュースを手短にまとめて掲載します。

マレーシアのFIFAランキングが130位に上昇

11月30日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回の137位から130位に上昇しています。先月から始まった北中米W杯アジア2次予選でマレーシア代表は、同97位(対戦時)だったキルギスを4-3で、同152位の台湾は1-0でそれぞれ破り予選D組唯一の2連勝で首位に立つなどの好成績を収めた結果、今回のランキング発表でマレーシアは、30.9ポイントを獲得して8位上昇したコモロ(最新ランキング120位)、26.2ポイントを獲得して5位上昇したルーマニア(同43位)に次ぐ第3位の26.1ポイントを獲得しています。

しかし、その一方で東南アジア1位のベトナムは94位、2位タイは113位と地域内のライバルとの差は相変わらず大きいままでもあります。マレーシアサッカー協会(FAM)は当初、今年末までにマレーシア代表を120位内とする目標を立てていましたが、その実現は難しそうです。 なお当時と現在とでは計算の仕組みが違うという点はありますが、1993年の75位がマレーシアのFIFAランキング最高位で、2018年の178位が過去最低のランキングです。

AFCカップ2023/24第5節-サバが東南アジアゾーン準決勝出場を突破を決める、トレンガヌは首位と引き分けで準決勝進出は最終節の結果待ち

AFCカップ2023/24の東南アジアゾーンのグループステージ第5節が行われ、サバFCはアウェイでシンガポールのホウガン・ユナイテッドと対戦し、雷雨で試合が一時中断する中、相手の2オウンゴールを含む4点を挙げて勝利し、通算成績を4勝1分としています。この結果、今節にインドネシアのPSMマカッサルと1-1で引き分けた2位のハイフォンFC(ベトナム)とは勝点差が5と広がり、最終節を待たずして東南アジアゾーン準決勝進出を決めています。

また同じAFCカップの東南アジアゾーンG組では、首位のセントラル・コースト・マリナーズFCとこれを勝点差1で追う2位のトレンガヌFCが対戦し、トレンガヌFCは、敵地で先制しながらも、残り3分の場面で追いつかれ1-1で引き分けています。この引き分けで自力突破の目が無くなったトレンガヌFCは、最終節でインドネシアのバリ・ユナイテッドFCに勝利した上で、セントラル・コースト・マリナーズFCが今季AFCカップ未勝利のスタリオン・ラグナFC(フィリピン)に破れた場合に準決勝進出が決まります。

PDRMがチャレンジカップ優勝-鈴木ブルーノはチャレンジカップで2度優勝した初の選手に

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)チャレンジカップ決勝セカンドレグが行われ、PDRM FCとクチンシティの対戦は1-1で引き分けたものの、ファーストレグではホームでクチンシティを3-0と破っていたPDRM FCが通算成績を4-1として初優勝を果たしています。

サラワク州の州立スタジアムで行われたこの試合は、前半0-0で折り返した後半の53分にペトラス・シテムビのゴールでクチンシティが先制し、通算成績を1-3してPDRMに迫ります。しかしPDRMは56分にウチェ・アグバが同点ゴールを決めると、通算成績は再び3点差となります。

この後は両チームともゴールを割ることができず、PDRM FCが2018年のトレンガヌFC II、2019年のジョホール・ダルル・タジムFC IIに続き、3チーム目のチャレンジカップ優勝チームとなっています。PDRM FCにとっては、2014年の2部プレミアリーグ(当時)優勝以来の国内タイトル獲得となりました、

クチンシティFCの谷川由来選手対PDRM FCの鈴木ブルーノ選手といった日本人対決でもあったチャレンジカップの決勝でしたが、PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は2018年にトレンガヌFC IIでも優勝経験しており、MFL初となるチャレンジカップで2度優勝を経験した選手となりました。

スランゴールがクダを制して今季2位を確定-来季のAFC2の出場権も獲得

マレーシアスーパーリーグは12月1日から3日かけて5試合が行われています。今節注目のカードはリーグ2位で勝点55のスランゴールFCをリーグ3位で勝点53のクダ・ダルル・アマンFCがホームに迎えて行われた2位攻防の1戦でした。来季のAFCチャンピオンズリーグ2(AFC2)の出場権がかかるリーグ2位を争う両チームの対戦は、守備ではGKサミュエル・サマービルの攻守が、攻撃では途中出場のブレンダン・ガンからのパスをリーグ得点王のエイロン・デル・ヴァイエがゴールし、スランゴールが1-0の僅差で勝利し、連勝記録を6に伸ばしています。この結果、スランゴールFCは次節最終26節を待たずして、今季2位が確定するとともに、2016年以来となるAFCカップ出場の権利も獲得しています。

またこの試合で唯一のゴールを決めたスランゴールのエイロン・デル・ヴァイエは今季23ゴールとなり、残り1節で2位のフェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジムFC)に4点差をつけて得点王争いをリードしています。

一方、敗れたクダは連勝が3でストップしただけでなく、リーグ戦5連勝と好調の4位のサバとも勝点差2となり、最終節となる次節第26節ではリーグ3位を賭けてこの両チームがサバのホームで対戦します。

11月29日のニュース
KLシティのフィリピン代表GKが今季終了を待たずに退団し前監督が指揮するプルシブ・バンドンへ移籍
クランタンUも今季2試合を残してチーム得点王のフィリピン代表FWとの契約を解除
国立競技場で今週金曜日に開催予定だったボリウッドコンサートは延期でサッカーファンは安堵

KLシティのフィリピン代表GKが今季終了を待たずに退団し前監督が指揮するプルシブ・バンドンへ移籍

マレーシアスーパーリーグのKLシティFCは、過去3季に渡りチームのゴールを守ってきたフィリピン代表GKのケヴィン・メンドーザ選手がシーズン終了を待たずに退団することをクラブ公式SNSで発表しています。またその直後には前KLシティ監督のボヤン・ホダック氏が指揮するインドネシアリーグ1部のプルシブ・バンドンがやはりクラブ公式SNSでメンドーザ選手の加入を発表しています。
インドネシアリーグのトランスファーウィンドウは11月1日から28日までとなっており、これに合わせる形での早期契約解除だったようです。
KLシティでは通算64試合に出場し、クリーンシート19回を記録したメンドーザ選手の退団を報じた英字紙ニューストレイトタイムズは、退団理由の一つに2ヶ月以上支払われていない給料未払い問題があった、というメンドーザ選手の談話を掲載しています。
2021年にデンマーク2部のヴェンシュセルFFから加入したメンドーザ選手は、ジョホール・ダルル・タジムFCを破って優勝した2021年のマレーシアカップ決勝を在籍期間中最大の思い出だと述べています。11月26日にKLシティの本拠地、KLフットボールスタジアムで行われたマレーシアスーパーリーグ第24節のクランタン・ユナイテッド戦では出場はなかったものの、試合後にはチームメイトやファンとの別れを惜しんだということです。

クランタンUも今季2試合を残してチーム得点王のフィリピン代表FWとの契約を解除

マレーシアスーパーリーグで現在10位のクランタン・ユナイテッドは、今季リーグで6ゴールを挙げているチーム得点王のO・J・ポルテリアとの契約を双方合意のもとで解除したことをクラブ公式SNSで発表しています。
なお契約解除の理由として、ポルテリア選手が他のクラブからより良いオファーを受けたためだと説明しています。
今季開幕前にクランタン・ユナイテッドに加入したポルテリア選手は前述のケヴィン・メンドーザ選手とはフィリピン代表のチームメートで、今季のマレーシアリーグではリーグ戦とカップ戦合わせて25試合に出場し、今季通算では7ゴール、3アシストの成績を残しています。
残り2試合を残しての契約解除は、11月1日から28日までがトランスファーウィンドウのインドネシアリーグ、あるいは11月14日から12月11日までがトランスファーウィンドウのカンボジアリーグへの移籍が考えられます。

国立競技場で今週金曜日に開催予定だったボリウッドコンサートは延期でサッカーファンは安堵

今週金曜日の12月1日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催予定だった「ボリウッド」スターによるコンサートが延期になったと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

ボリウッドとは、インドのムンバイのインド映画産業全般につけられた俗称で、ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭文字「ボ」と、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を合わせてつけられた俗称です。ボリウッド映画はインド系市民も住む多民族国家マレーシアでも人気があり、今回のコンサートにはインド版アカデミー賞で最優勝男優賞を4度も受賞しているリティク・ローシャンや、ヴァーニー・カプール、サニヤー・マルホートラといったボリウッドの有名スター(らしい)が参加することになっていました。

ボリウッドファンにとっては残念なニュースですが、国内サッカーファンの多くがこのニュースに安堵したはずです。先日このブログでも取り上げた、英国のロックバンドのコールドプレイが11月22日に開催したコンサート後に、ブキ・ジャリル国立競技場のピッチは一部では土がむき出しになるなど悲惨な状況になっており、12月8日に予定されているマレーシアカップ決勝までに芝の修復が終わるかが心配されていました。

ブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシアン・スタジアム社は、ジョホール・ダルル・タジムFCとトレンガヌFCが対戦する今年のマレーシアカップ決勝では、ピッチの状態は完璧にすることを約束していましたが、今週のボリウッドコンサート開催延期のおかげでなんとか実現しそうです。

AFCチャンピオンズリーグ2023/24グループステージI組第5節-ジョホールが屈辱の今季最多5失点で事実上の終戦

ACL2023/24のグループステージI組第5節が行われ、3位のジョホール・ダルル・タジムFCは首位の川崎フロンターレと相手ホームの等々力陸上競技場で対戦し、0-5で敗れています。川崎はこれでI組首位を確定してグループステージ進出を決める一方、ジョホールはこれで通算成績を2勝3敗とし、順位は3位のまま変わらず、2季連続のグループステージ突破がほぼ不可能になっています。

前節第4節ではヘベルチ・フェルナンデスとアキヤ・ラシドのゴールで蔚山現代FCを2-1で破り、ノックアウトステージ進出の可能性を残したジョホール。川崎には9月19日のI組第1節でホーム開催ながらマルシーニョの1発で敗れていますが、この試合では最低でも引き分けを、あわよくば勝利して、ノックアウトステージ進出の可能性を残したいところです。ジョホールのエステバン・ソラリ監督は、これまでの4試合全てに先発したDFシェーン・ローリーが警告累積により出場停止となっていることからDFフェロズ・バハルディンを今季初先発させる一方で、左サイドにはオスカル・アリバスを起用し、右サイドのアリフ・アイマンとともに積極的な攻撃参加を仕掛ける布陣を選択しています。(下はこの試合の両チームの先発XI)


しかし試合は開始早々の8分に川崎の得点を許してしまいます。右サイドから大南拓磨にペナルティエリア内に持ち込まれると、そこから出たボールをファーサイドに走り込んだ家長昭博がフリーで蹴り込んで川崎がリードします。しかし12分には右サイドのヘベルチ・フェルナンデスのクロスをゴール前で競ったボールをオスカル・アリバスの足元へ。これをボレーで蹴り込むとDF登里享平に当たって角度が変わるもGKチョン・ソンリョウが反応よく弾いてゴールとはなりません。

さらに38分には中央のヘベルチ選手とのワンツーパスからベルグソン・ダ・シルヴァがミドルシュートを放つも、再びGKチョン選手が横っ飛びになりながらも弾き出して得点を防ぎます。また前半終了間際には右サイドの家長選手から中央の橘田健人へ絶妙のパスが出るも橘田選手のヘディングシュートはゴールポストに阻まれ、前半は川崎が1点のリードで折り返します。

点差以上に劣勢のジョホールは後半も押し込まれる展開となり、50分には右サイドの家長選手のクロスにあわせて絶妙に動いてスペースを作ったレアンドロ・ダミアンがジョホールDFと競ることなくシュートを放ちます。一旦はゴールポストにあたったシュートは跳ね返ってゴールインし、川崎の2点目となります。その直後には左サイドからオスカル・アリバス、フェルナンド・フォレスティエリと繋いだボールをペナルティエリア内の角度のないところからベルグソン選手がシュートを放ちますが、枠を捉えることはできません。

逆に60分には。右コーナーキックからジョホールがボールを奪ってカウンターを仕掛けるも、ベルグソン選手とアリフ・アイマンのミスコミュニケーションから逆にボールを奪われて反撃に遭います。右サイドの山根視来からゴール前に上げられたクロスにファーサイドのマルシーニョが飛び込みながら頭で合わせて3点目のゴール。ここでも前にいたマシュー・デイヴィーズに周りが声をかけた様子もなく、素晴らしいヘディングではあったものの、この試合全体を通して感じられたDFラインの意思の疎通の悪さが見える場面でした。さらに69分には途中出場の小林悠が自身のヘディングシュートがGKシーハン・ハズミに弾かれると、そのこぼれ球をアクロバティックなシュートで蹴り込んで川崎に4点目を加えると、88分には山根選手がダメ押しの5点目を中央から決めて、川崎がジョホールの息の根を止めています。攻撃面でも川崎のシュート数12(枠内8)に対してジョホールはシュート数6(枠内3)と圧倒されまさに完敗した試合でした。

2023/24 AFCチャンピオンズリーグ グループステージI組第5節
2023年11月28日@等々力陸上競技場(川崎市)
観衆:人
川崎フロンターレ 5-0 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️川崎:家長昭博(8分)、レアンドロ・ダミアン(50分)、マルシーニョ(60分)、小林悠(69分)、山根視来(88分)
🟨ジョホール(5):ホン・ワン、ジョルディ・アマト、フェロズ・バハルディン、シャールル・サアド、アフィク・ファザイル
🟨川崎(3):大南拓磨、遠野大弥
ジョホールの邦本宜裕選手はベンチ入りしませんでした。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式

I組のもう1試合は蔚山現代FC(韓国)がBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)を3−1で破り勝点9として2位を堅持しています。一方の敗れたBGパトゥム・ユナイテッドは5戦全敗となり、来月12月12日の最終第6節のジョホール戦で今季のACL初勝利を目指します。(下はこの試合の先発XI)


2023/24 AFCチャンピオンズリーグ グループステージI組第5節
2023年11月28日@BGスタジアム(パトゥムターニー、タイ)
観衆:人
BGパトゥム・ユナイテッド 1-3 蔚山現代FC
⚽️BGパトゥム:チイゴール・セルゲーエフ(41分)
⚽️蔚山:ジャッカパン・プライスワン(20分OG)、グスタフ・ルドヴィグソン(27分)、イ・ミョンジェ(李明載)(62分)
🟨BGパトゥム(0)
🟨蔚山(0)

2023/24 ACL グループステージI組順位(第4節終了)

順位チーム勝点
1川崎F55001441015
2蔚山現代530210649
3ジョホール5203712-56
4BGパトゥムU5005818-100