2024/25シーズンFAカップ準々決勝1stレグの結果とハイライト映像

スランゴール州スルタン、ジョホール州皇太子、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)、そしてマレーシアサッカー協会(FAM)を巻き込んだ国内サッカーを揺るがす事態が発生する中、今季2024/25シーズンのマレーシアFAカップ準々決勝1stレグが6月28日と29日に行われています。注目は1回戦でスーパーリーグのPDRM FCを破った、3部のセミプロA1リーグ所属マレーシア大学チームですが、リーグ10連覇中の王者ジョホール・ダルル・タジムFCの壁は厚かったようです。なおFAカップ2ndレグは、7月5日と6日に開催される予定です。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月28日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0−1 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クダ:モハマド・ハスブラー(74分)
🟨ペナン(2)、🟨クダ(4)、🟥ペナン:ファイルズ・ザカリア(🟨x2)
MOM:ハビブ・ハルン(クダ・ダルル・アマンFC)

いずれもマレーシア北部にあるクダ州とペナン州に本拠地を持つ両チームの「北部ダービー」は、前週6/22のリーグ戦でも同じカードが組まれ、そのときはクダが1−0でペナンを破っていましたが、再戦となったこの日も同じスコアでアウェイのクダが先勝しています。

この試合唯一の得点は74分に生まれました。ペナンのペナルティーエリア正面やや左でFKを得たクダは、キャプテンのソニー・ノルデが直接、ゴールを狙いました。ペナンGKシーク・イズハンの正面に飛んだシュートはゴールを破れなかったものの、シーク・イズハンが捕球し損ねたボールを、これに詰めていたモハマド・ハスブラーが押し込んでゴールを決めています

クダはその4分後にも、左サイドのシュクロブ・ヌルラエフからパスを受けたファズルル・ダネルのクロスをエベネゼル・アシフアーが蹴り込みますが、VARのチェックが入り、このゴールは認められませんでした。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月29日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4−0 サバFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(9分)、イスマヒル・アキネード2(37分、45+3分)、マリン・ピルジ(42分)
🟨トレンガヌ(4)、🟨サバ(2)
MOM:ヌリーロ・トゥクタシノフ(トレンガヌFC)

トレンガヌが予想外とも言える大勝でサバを破り、準決勝進出に近づいています。

トミスラフ・シュタインブリュックナー監督が新型コロナ感染により不在な中、バドロル・アフザン・ラザリ コーチが代行として指揮を取ったこの試合は、開始9分でマヌエル・オットが先制弾を決めて、トレンガヌがりーどします。そして今季ここまでリーグ戦4試合で1ゴールの成績でサポーターから批判を受けていたFWイスマヒル・アキナーデが2点目を決めると、42分にはマリン・ピルジが3点目のゴールを、さらに前半ロスタイムには再びイスマヒル選手がこの試合2点目となるゴールを決め、前半だけで4ゴールのトレンガヌが、後半も優勢に試合を進めて、勝利しています。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月29日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
マレーシア大学FT 0−5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ラヴェル・コービン=オング(3分)、フランシスコ・ジェラルディス2(48分、62分)、シャールル・サアド(72分)、ロメル・モラレス(81分)
0🟨マレーシア大学(1)、🟨ジョホール(0)
MOM:フランシスコ・ジェラルディス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

3部に当たるセミプロA1リーグのマレーシア大学(MUFT)がホームの試合は、昨季のFAカップ王者のジョホール・ダルル・タジム(JDT)の本拠地スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催され、JDTが5−0と圧勝しています。

準々決勝からはホームアンドアウェイ方式ということもあり、JDTは外国籍選手はゼロ、マレーシア人選手のみが名を連ねた先発XIには、GKイズハム・タルミジ、DFシャーミ・サファリ、MFモハマドゥ・スマレ、MFサフィク・ラヒム、MFナチョ・インサ、そして今季から登録名をプテラ・ナデール・アマルハン・マデルナーと変更したDFジュニオール・エルドストールら今季初先発となるメンバーが半数以上を占めました。それでもこの「1.5軍」は早くも3分にラヴェル・コービン=オングのゴールで先制し、セミプロチームを圧倒します。

それでも自陣に引いて守る守備とGKアシュラフ・ファディルの奮闘もあり、MUFTの前半の失点はこの1点のみでした。

も後半開始とともにJDTのエクトル・ビドリオ監督は代表FWロメル・モラレスとMFフランシスコ・ジェラルディスを投入して、試合を決めにかかります。それに応えるように48分、60分とジェラルディス選手が、さらにシャールル・サアドが2013年のチーム創設以来通算1000得点となるゴールをヘディングで決めると、最後は81分にはロメル・モラレスがゴールを決めて、追加点を奪うと、そのままのリードを保って勝利しています。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月2日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2−1 スランゴールFC
⚽️クチンシティ:ジェイムズ・オクゥオサ(45+7分)、ジョーダン・ミンター(64分)
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(31分)
🟨クチンシティ(2)、🟨スランゴール(2)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)

これがカップ戦!リーグ戦では今季まだ勝利がないクチンシティですが、この試合ではリーグ2位のスランゴールに逆転勝利しています。

先制したのはスランゴールでした、ここまでリーグ戦3試合出場で3ゴールを挙げているロニー・フェルナンデスがヨハンドリ・オロスコのFKからのこぼれ球を押し込んでゴール!しかし前半終了間際に左サイドでFKを得たクチンシティは、今季マレーシアスーパーリーグでプレーする最年少外国籍選手でブラジル出身の21歳、ルイス・フェルナンド・ウェルターがキッカーに。フェルナンド選手の蹴ったボールにジョーダン・ミンターが頭で合わせますが、スランゴールGKサミュエル・サマビルがこれをブロック。しかし、こぼれたボールを詰めていたジェイムズ・オクウォサが蹴り込んで、クチンシティが前半で追いつきます。

後半に入るとギアを上げたホームのクチンシティが、何度も好機を作り、スランゴールにプレッシャーをかけます。そしてついに64分、スランゴールに痛恨のミスが出てしまいます。ゴール前に上がったボールをDFシャルル・ナジームが胸でトラップしてGKのサマビルにパスしようとしますが、二人のコミュニケーションが悪く、ボールは空いたスペースへ。ここへ走り込んできたジョーダン・ミンターが蹴り込んでゴールを決めルト、逆転したクチンシティがそのまま逃げ切り、スーパーリーグ昇格以来、初めてスランゴールに勝利しています。また、クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

6月29日のニュース・マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分内容が迷走・今度はジョホール州皇太子がMFLを皮肉を込めて批判

スランゴールFCが今季開幕戦の出場を辞退したことへの処分が発表された6月26日以来、マレーシアサッカーは大混乱に陥っていますが、今度はジョホール州スルタンの長男で皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)を批判しています。

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分内容が迷走

イスマイル殿下の発言に触れる前に、ここまでの出来事を時間軸に沿って振り返ってみましょう。

5月5日
スランゴールFCに所属するファイサル・ハリムがスランゴール州内のショッピングモールで酸をかけられる事件が起こる。

5月8日
スランゴールFCは5月10日に出場する予定だった今季リーグ開幕戦兼*スンバンシーカップについて、「安全上の理由」からMFLに延期を求める。しかし、MFLはマレーシア警察から試合での選手の安全を保証するという確約を得たことを理由に、スランゴールFCの要求を拒否。その結果、スランゴールFCは、後援者でもあるスランゴール州スルタンの同意を得た上で、この試合への出場辞退を表明。

*スンバンシーカップ:前年のマレーシア1部スーパーリーグ王者とマレーシアカップ優勝チームが対戦するいわゆる「スーパーカップ」ながら、リーグ開幕戦も兼ねて開催される。2023年シーズンはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がスーパーリーグとマレーシアカップの両方で優勝したため、JDTがリーグ2位のスランゴールとJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで対戦するはずだった

5月10日
スランゴールFCがスンバンシーカップの出場辞退を決定したことからMFLは、対戦相手のジョホール・ダルル・タジムFCを3-0で不戦勝として、勝点3とスンバンシーカップを授与。また出場辞退したスランゴールFCについては、後日、その処分が課されると発表。

6月26日
MFLがスランゴールFCに対する以下の4項目の処分を発表。なお、MFLは下の4番目の項目、無観客試合については、JDTのホームゲームでもあったスンバンシーカップが中止となったことによる入場料収入の損失を考慮し、スランゴールFCのホームでの同じカードでスランゴールが入場料収入を得るのは公平でないと、その理由も丁寧に説明した。またスランゴールFCがこれらの処分内容に納得しない場合には、不服申し立てを行うことができることも併せて発表。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償
  (具体的な金額はこの時点で発表なし)
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪
4. 今季第14節にスランゴールのホームMBPJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDTを無観客試合として実施

この処分内容が明らかになると、スランゴールFCサポーターからは、罰金は法外で、処分は非人道的だという批判が沸き起こった。そしてスランゴールFCの後援者であるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が公式声明を発表し、MFLとマレーシアサッカー協会(FAM)に対して失望、および厳しい言葉で非難するなど不満を表明。特にFAMのハミディン・アミン会長に対しては、かつてスランゴール州サッカー協会(FAS)の事務局長を1995年から2013年まで務めたこともあり、スランゴールFCの窮状に何も言及しない姿勢について、特に名指しで厳しく非難。

FAS副会長で、FAM理事の一人でもあるシャーリル・モクタル氏がFAMでの全ての役職(スポンサー及びマーケティング委員会委員長、U23代表チームマネージャなど)を即時辞任し、ハミディンFAM会長は時評を受理したことを明かす。なお、シャーリル氏は今回のスランゴールFCへの処分とFAMの役職辞任は無関係であると説明。

6月27日
MFLが、前日に発表した処分内容から、「自主的」に再検討した新たな処分内容を発表。MFLは新たな処分発表の中で、今回の再検討が、スランゴール州スルタンの「命令」に対する敬意と承諾の結果であるとも説明。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)から6万リンギへの減額
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償は変更なし
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪の撤回
4. 今季第14節にスランゴールのホームMBPJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDTを無観客試合として実施から観客の入場を認めることに変更

スランゴール州スルタンから名指しで非難されたFAMのハミディン会長がシャラフディン殿下への謁見を希望する文書を送付したことをメディアに明らかに。

またスランゴールFCも公式声明を発表し、MFLには未だ不服申し立ては行なっていないと説明した上で、MFLが再検討した処分内容に基づいて、不服申し立てを行う予定があることを公式発表明。

6月28日
ハミディンFAM会長がスランゴール州スルタンとの謁見承認の返事を受け取ったこと、そして謁見はスルタン多忙のため7月7日以降に予定されたことを明らかにする。

今度はジョホール州皇太子がMFLを皮肉を込めて批判

スンバンシーカップではスランゴールFCと対戦予定だったJDTのオーナーで、ジョホール州スルタンの皇太子、現在は父君のスルタン・イスマイル殿下がマレーシア国王の職を務めているため、ジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下は一連の流れに沈黙してましたが、6月28日にMFLによるスランゴールFCへの処分軽減を非難する内容をSNSに投稿しています。

「今後は、どのクラブも規則を破ってMFLから処分を受けた場合には、そのクラブがある州のスルタンに怒りを表明する公式発表を行なってもらえば良い。MFLはスルタンに対する敬意をもとに、処分を撤回してくれることが明らかになった。もしMFLが処分を撤回しなければ、なぜスランゴールFCが処分を逃れたのかをMFLに問えば良い。」との投稿したいイスマイル殿下は、今回のMFLの決断が悪しき前例を作ってしまったとしています。

さらにイスマイル殿下は、2013年にスーパーリーグの審判とその判定を公に非難し、1万8000リンギ(およそ61万円)の罰金と、全てのサッカー活動を6ヶ月間禁止する処分を下され、また2023年には試合中にサポーターが発煙筒を焚いたことに対して12万リンギ(およそ410万円)の罰金処分をFAMから受けています。しかしいずれもジョホール州スルタンで父君のスルタン・イブラヒムはこの処分に不服を申し立てることはしなかったとも述べています。

「MFLは、スランゴールFCからの不服申し立てがなされる前に、処分を再検討した。スランゴールFCへの処分についてMFLを責め立てていた皆が、手のひらを返すようにMFLを称賛している。」と述べたイスマイル殿下は、今回の一件で、マレーシアサッカーでは誰が本当の「権力者」なのかが明らかになったと、皮肉混じりの投稿も行なっています。

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結果的にスランゴール州王家とジョホール州王家の「直接対決」の様式を呈してきた今回の一件には、一般のサッカーファンはもちろん、国内にあと7名いる各州のスルタンやその王家も注目していることでしょう。

実はイスマイル殿下は、上の内容の他にも、スランゴール州スルタンのシャラフディン殿下の声明の内容に言及しています。シャラフディン殿下は、マレーシアサッカー協会のハミディン・アミン会長がかつてはスランゴール州サッカー協会(FAS)の事務局長を18年務めたことに触れ、スランゴール州に対する貢献に対して、日本では褒賞に該当する「ダト」と呼ばれる称号を自身から与えられたにもかかわらず、沈黙を守っていることを批判しましたが、イスマイル殿下は、これについても触れ、スランゴールFCとMFL/FAMの関係が他のクラブとはとなるのではないかと示唆しています。

なおスランゴール州王室は、この記事を執筆している時点では、イスマイル殿下のSNS投稿については何もコメントを出していません。

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インドネシアで開催中のアセアンU16選手権や、FAMがプトラジャヤに建設を予定している新しいトレセンの鍬入れのイベントなど、今週はいくつもニュースがありましたが、それが全て吹っ飛ぶほどマレーシアサッカーが揺れています。

個人的にはここまで一連の流れの中で、いくつか思うことがあるので、それについて書いてみたいと思います。

1. スランゴールFCのスンバンシーカップ出場辞退の理由
  5月5日のファイサル選手への酸攻撃を受けて、スランゴールFCは「安全上の理由」からMFLにスンバンシーカップの延期を求めました。しかし、MFLは地元警察はもとより、全国警察のトップからも安全を保障する確約を受けていました。マレーシア人は対面を重んじることもあり、この状況下では「安全上の理由」での辞退は警察へも、MFLへも信用がないといっているのと同じですので、辞退の理由としては不十分だったのではないか、と思います。その後、スランゴール州スルタンのシャラフディン殿下は、ファイサル選手が襲われた後、チーム内に動揺があり、精神的に試合をする状況ではないことを理解していると述べていますが、スランゴールFCも「安全上の理由」ではなく、「選手の精神状態」を理由にしていれば、MFLも受け入れやすかったのではないかと考えます。

2. スンバンシーカップがリーグ戦を兼ねている点
  日本で言えば、富士フィルムスーパーカップに当たるこのスンバンシーカップは、本来ならば中立地で、リーグ戦とは別に行われる独立大会であるべきカップ戦だと考えます。リーグチャンピオンとカップ戦の王者が対戦するこのスーパーカップは多くの国で開催されていると思いますが、これをリーグの一環として、しかも中立地ではなく、リーグ王者のホームで行う仕組みでなければ、スランゴールへの処分がそもそもこれほど酷くはなかったのではないかと考えます。

3. マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の過度な商業化方針
  スンバンシーカップをJDTのホームで開催すれば、MFLは会場費用を持ち出すこともない一方で、収容人数4万人がほぼ満員で埋まるであろうスルタン・イブラヒム・スタジアムの入場料収入や放映権料などから、一部を受け取ることができたはず。(具体的にはMFLがスランゴールFCに課した「損失」の補填を処分内容に含めています。)この試合を中立地、例えば、代表戦などが行われるブキ・ジャリル国立競技場でMFLが主催して行えば、会場費用の持ち出しに加え、おそらくはスルタン・イブラヒム・スタジアムほどは観衆を集めることができず、試合開催自体が赤字興行になってしまう可能性もあることから、ジョホール州開催に拘っているのではないかと考えます。

6月28日のニュース・スルタンの怒りに慄いた?MFLが朝令暮改でスランゴールFCへの処分大幅軽減を発表・サッカー協会会長はスランゴール州スルタンへの謁見を求める・スランゴールFCはMFLの処分大幅軽減にもかかわらず不服申し立てを行うと発表

スルタンの怒りに慄いた?MFLが朝令暮改でスランゴールFCへの処分大幅軽減を発表

5月10日の今季開幕戦スンバンシーカップへの出場を「安全上の理由」から辞退したスランゴールFCに対して、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が非常に厳しい内容の処分を課したことについては、昨日のこのブログで取り上げました。この処分が発表された後、マレーシアサッカー協会(MFL)の理事の一人で、スランゴール州サッカー協会(FAS)副会長のシャーリル・モクタル氏がFAMの全ての役職を辞職することを発表、さらにスランゴールFCの後援者でもあるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下がMFLの処分について激しい不満と憤りを明らかにしていました。

MFLは今回の処分発表時には、スランゴールFCには処分内容に対する不服申し立てを行う資格があるとしていましたが、そのスランゴールFCが不服申し立てを行う前に、なんとMFLが「自主的に」処分内容を軽減することを発表しています。その内容は以下の通りです。

1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)を6万リンギに減額
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償は減額なし
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪処分の取り消し
4. 今季第14節にスランゴールのホーム、MPBJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDT戦の無観客開催処分の取り消し

一連の反発に慄いたのか、MFLの公式サイトで発表された朝令暮改とも言える処分軽減については「今回の処分再検討はスルタン・シャラフディン殿下の公式声明に対して敬意を払った結果である。しかし今後、スランゴールFCが同様の違反行為を行えば、より厳しい処分が課されるだろう。」と説明されています。

サッカー協会会長はスランゴール州スルタンへの謁見を求める

スランゴールFCに対するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分大幅軽減はクラブの後援者でもあるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が公式声明として発表したMFLに対する強い不満が理由であることは、上の記事で取り上げましたが、シャラフディン殿下は、同時にマレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長に対しても、MFLの処分に対して沈黙を続けたことで不満をぶつけています。

「私は驚きと失望を感じている。ハミディンFAM会長は、1995年から2013年までFASの元事務局長であり、スランゴール州のサッカーに広範な経験を持ちながらも、真剣に懸念を表明しなかったことが信じられない。」とハミディンFAM会長の姿勢を批判したシャラフディン殿下ですが、これに対してハミディン会長が緊急でスルタンに謁見を求めていると、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

ハミディン会長は、自身が受けた「叱責」についてスルタン・シャラフディン殿下に謁見の許可を求める公式文書を送ったことを明らかにしていますが、その詳細などにはコメントを控えています。

「MFLの決定に対するシャラフディン殿下の不満については十分理解している。そこで昨日(6月26日)はスランゴール州王宮に連絡を入れ、今日(6月27日)には謁見を求める公式文書を送付した。もし殿下と謁見できれば、今回の件について状況を説明して殿下の不満を解消したいと考えている。」と話したハミディン会長は、MFLの決定に不満だけでなく、同時に深い失望と悲しみも表明したシャラフディン殿下との謁見を望んでいるとしています。

またハミディン会長は、突然、辞意を表明したFAM理事でスランゴール州サッカー協会副会長のシャーリル・モクタル氏からの辞表を受理したことも明らかにしています。FAMスポンサー及びマーケティング委員会の委員長やU23代表のチームマネージャーなどを務めていたシャーリル氏の後任については、来年の年次総会で後任を決定するとしています。

スランゴールFCはMFLの処分大幅軽減にもかかわらず不服申し立てを行うと発表

上記のようにマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、スランゴールFCに対して当初の40%減となる罰金の減額や勝点剥奪や無観客試合などの処分撤回を発表しましたが、スランゴールFCは規定て認められている権利である不服申し立てをおこうなうい子があることをクラブ公式SNSで発表しています。

SNSに投稿された声明では、「スランゴールFCは、今季の開幕戦スンバンシーカップ出場辞退に対する処分について、MFL理事会が見直しを行なったことを理解した上で、未だ行なっていない不服申し立てを行う予定がある。この申し立ては見直された処分内容について行う予定である。」

複数のメディアによると、MFLが発表した処分軽減の内、スランゴールFCのスンバンシーカップ出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償については減額されておらず、おそらくスランゴールFCはこれについて不服申し立てを行うものと見られています。

6月27日のニュース・MFLが試合辞退のスランゴールに対する処分発表-サッカー協会も巻き込んだ「戦争」に発展も

開幕戦辞退のスランゴールへ処分発表:勝点剥奪・罰金及び賠償・無観客試合

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、リーグ開幕戦となるスンバンシーカップの出場を辞退したスランゴールFCに対しての処分を6月25日に公式サイト上で発表しています。

5月10日に予定されていたこの試合は、今季2024/25スーパーリーグ開幕戦であるとともに、前年のリーグ覇者とマレーシアカップ優勝チームが対戦する「スンバンシーカップ」を兼ねた試合で、スランゴールFCは前年のリーグ覇者でマレーシアカップ優勝チームでもあるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホームゲームとして、ジョホール州イスカンダル・プテリにあるスルタン・イブラヒム・スタジアムで対戦する予定でした。

しかし、この試合の直前の5月5日にスランゴールFCに所属する代表FWファイサル・ハリムが酸をかけられるという事件があったことから、スランゴールFCはMFLに対して試合の延期を求めました。これに対してMFLはマレーシア王立警察本部などから安全を保証を確約されたとしてスランゴールFCの要請を拒否しました。

しかしスランゴールFCはMFLの説明に納得せず、結果的にこのスンバンシーカップの出場を辞退しました。この結果、試合はJDTの3-0で不戦勝となり、JDTは勝点3を獲得しました。

そしてこの件についてのMFL理事会が課した処分は以下の通りです。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償(具体的な金額はこの時点で発表なし)
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪
4. 今季第14節に予定されているスランゴールFC対JDTの試合の無観客実施

なおスランゴールFCは、この処分に対して不服申し立てを行うことを、クラブ公式SNSで直ちに発表しています。

各方面からの反発を受けたMFLは処分の理由をあらためて説明

MFLによる処分が発表されるとスランゴールFCの関係者やサポーターはもとより、各方面からその厳しさに批判や疑問の声が上がりました。これを受けてMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが6月26日にメディアに対応して、処分内容についての説明を行っています。

スチュアートCEOは、スランゴールFCは今回課された処分内容について不服申し立てを行う権利がある、と説明した上で、特に批判の声が多いスランゴールFCの無観客試合について説明しています。

今季第14節にはスランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムでスランゴールFC対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の試合が予定されていますが、MFLは処分の一環として、この試合を無観客で行うことを命じました。

「MFL理事会はこの無観客試合処分を、商業的な観点から下している。本来であれば5月10日に(JDTのホーム)スルタン・イブラヒム・スタジアムで試合が行われ、それに伴う収入が発生していたはずである。その収入を失ったことに対して、スランゴールFCのホームでの試合で収入が発生するべきでないことが今回の処分の根拠であり、無観客試合はあくまでも商業的な公正さという観点の処分であることを理解して欲しい。」

「マレーシアのクラブは入場料収入が収入の大きな割合を占めていることは承知している。(スランゴールFC対JDTのような)ビッグマッチでの収入が重要なことも承知している。」

スチュアートCEOは、不服申し立てを受け付けることができるのは数日以内だとして、MFLの不服申し立て委員会を通して正式に申し立てをすることを求めるとともに、スポーツ仲介裁判所(CAS)に直接、この件を持ち込まないように釘を刺しています。

スランゴール州スルタンはハミディンFAM会長の沈黙に失望

MFLによる処分が発表された後、スランゴール州スルタン、スルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が、マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長に失望と不満を表しています。

スルタンとはマレーシア各州のイスラム教の最高位であり、いわば「州王」とも言える存在です。スランゴール州のスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下はスランゴールFCの後援者ですが、今回発表されたMFLの「過激な措置」に対して極めて失望し、悲しんでいるとともに、ハミディンFAM会長が「真剣に懸念を表明しなかった」ことにも不満を示しました。

元スランゴール州サッカー協会(FAS)会長でもあるスルタン・シャラフディン殿下は、6月26日に以下のような公式声明を発表しています。

「私は驚きと失望を感じている。ハミディンFAM会長は、1995年から2013年までFASの元事務局長であり、スランゴール州のサッカーに広範な経験を持ちながらも、真剣に懸念を表明しなかったことが信じられない。」

「私はこの最新のMFLの決定に非常に怒りを覚えている。これは無責任で、思いやりに欠け、不人道的で、起こった不正に対する関心を示していないと考える。」

「5月5日に、スランゴールFCとマレーシア代表のサッカー選手ファイサル・ハリムに対する生命を脅かす酸による攻撃事件が発生しました。同じ週に他のプロサッカー選手への暴行事件も発生した。このため、選手たちがまだトラウマと恐怖に苛まれている状態であるため、スンバンシーカップの試合の延期を要求するよう(後援者として)私はスランゴールFCに許可しました。

「しかし、MFLは延期要求を拒否し、3-0で対戦相手の勝利とスンバンシーカップを授与しました。」という発言に加え、スルタン・シャラフディン殿下は自身がFASの会長ならスランゴールFCの一定期間のリーグ撤退すら考えるととその怒りを表明しています。

なお、これを報じた英字紙ニューストレイトタイムズは、ハミディンFAM会長にがコメントを求めたところ、「申し訳ないが、今は(回答は)無理だ。」とという返答を受け取ったということです。

スランゴール州サッカー協会副会長がFAMの全てのポストを辞任

スランゴール州サッカー協会(FAS)副会長のシャリル・モクタール氏が、マレーシアサッカー協会(FAM)の全てのポストを辞任しています。なお、シャリル氏は、彼の決定がマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がセランゴールFCに科した処罰に関する騒動とは無関係であると述べました。

これを報じた英字紙ニューストレイツタイムズU12代表のチームマネージャーを務めたこともあ李、FAM理事であり、またFAMスポンサー及びマ=ケティング委員会の委員長でもあるシャリル氏は、6月26日にハミディン・アミン会長が率いるFAMに対して辞任の意思を伝えたということです。

「私は今朝(6月26日朝)、ハミディン・アミン氏に対してFAMの全てのポストを即時に辞任することを伝えた。私の辞任の理由は、私とFAMとハミディン氏の間に留めておきたい」と述べたシャリル氏は、この決断はこれまで長期間にわたり検討していたものであり、MFLによる処分とは無関係である点を強調しています。

スランゴール州政府はセランゴールFCのための連帯基金を立ち上げ

スランゴール州政府は、同州スポーツ評議会(MSNS)を通じて、スランゴールFC連帯基金を設立することを発表し、6月26日から7月2日まで寄付を集めるということです。

同州青年スポーツ委員会のナジュワン・ハリミ委員長は、この取り組みは、今シーズンのスンバンシーカップの試合を辞退したスランゴールFCに対して10万リンギの罰金を科したマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の「不公正で抑圧的な」決定を受けて行われると述べています。

「これまで、人々を団結させるスポーツとして称えられてきたサッカーが、暴力と過激主義によって汚され、分裂を引き起こすまでになっている。スランゴール州政府は、スランゴールFCが直面する様々な問題や不公正に対するスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下の断固とした姿勢と感受性を尊重する。」

「この取り組みは、州境を越えて全国全てのマレーシア人およびサッカーファンに、セランゴールFCを支持するためにRM1の貢献をする機会を提供することを目的としている。」と述べましたナジュワン委員長は、集められた資金はスランゴールFCに渡され、MFLによる処罰に対して「最高レベルでの正義を求める」助けになるとナジュワン委員長は説明しています。

6月25日のニュース・ジョホール監督はリーグ最高額選手ジャリル・エリアスの退団を否定・アセアンU16選手権-マレーシアは初戦の東ティモール戦に大勝・頑固な外国籍選手がヌグリスンビラン不調の原因か

ジョホール監督はリーグ最高額選手ジャリル・エリアスの退団を否定

英字紙ニューストレイツタイムズは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のエクトル・ビドリオ監督がジャリル・エリアスは現在もJDTに所属しているという談話を報じています。

アルゼンチン生まれでシリア代表のジャリル・エリアスは今年1月、アルゼンチン1部のサン・ロレンソからJDTに加入していますが、5月18日のマレーシアスーパーリーグ第2節ヌグリスンビラン戦からベンチ入りしておらず、SNS上では退団の噂もでていました。

ビドリオ監督は、守備的MFのエリアス選手ががチームと共にトレーニングを続けていると話しています。「彼は良い選手だが、我々には他にも強力なMF陣がいる」と説明し、あくまでも戦術的な理由から出場機会がないことを説明しています。

エリアス選手はTransfermarktによれば300万ユーロ(およそ5億1000万円)の価値があるとされています。これは現在、マレーシアスーパーリーグ(MSL)でプレーする選手の中では最も高額の評価を受けている選手ですが、そのエリアス選手が1ヶ月以上試合に出場していないことから、クラブを離れるかも知れないという憶測が広まっています。なお、この件については、JDTからの公式発表はありません。

アセアンU16選手権-マレーシアは初戦の東ティモール戦に大勝

インドネシアの中部ジャワ州スラカルタで開催中の東南アジアサッカー連盟(AFF)U16選手権はマレーシアが入っているC組の第1節が行われ、マレーシアは東ティモールを5-0で圧倒し、素晴らしいスタートを切っています。

ハビエル・ホルダ・リベラ監督率いるマレーシアU16代表は、、イズディン・アフィフ(35分)、ファフミ・ファリザマル(55分)、アワル・ワフィ(66分、89分)、アラヤン・ハキム(78分)のゴールで初戦を快勝し、勝点3でC組のトップに立っています。

C組のもう1試合はタイU16代表とオーストラリアU16代表が対戦し、こちらは0−0に終わっています。マレーシアU16代表の次戦は、6月26日の第2節でオーストラリアと対戦します。

頑固な外国籍選手がヌグリスンビランの不調の原因か

マレーシア語紙ブリタハリアンは「頑固な外国籍選手がヌグリスンビランの不調の原因か」という見出しの記事を掲載しています。

マレーシアスーパーリーグは先週末で第4節まで終了していますが、ネグリセンビランFC(NSFC)は開幕から3連敗中で、その間に行われたFAカップ1回戦も含めるとここまで4試合で0勝4敗で得点1失点14という大不調に陥っています。

この記事の中でNSFCのファリク・フィルダウスCEOは、チームが4試合で14失点するとは予想していなかったと述べ、目に見える不調の原因を解明するための検討を行うと述べています。

「これまでのところ、チーム内の連携は満足のいくものではない。選手が各自の意見を述べることで、アズミ・アジズ監督のゲームプランにも影響が出る。チームは、多様なバックグラウンドを持つ外国籍選手を迎え入れている一方で、彼らはアズミ監督のゲームプランや指示に従うべきだが、そうなっておらず、これを改善する必要がある。」と述べたファリクCEOは、全ての選手が監督の指示に従っていないことがチームのパフォーマンスの質に影響を与えているとしています。

また4連敗という結果ながら、チームはアズミ監督を信頼しており、今後の状況が改善することを期待しているとも話しています。

今季のNSFCは開幕戦でジョホール・ダルル・タジム(JDT)に1-3で敗れ、次戦はセランゴールに0-4、そして先週末の第4節ではKLシティに0-3で敗れました。またFAカップ1回戦でもセランゴールに0-4で敗れて敗退しています。

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ヌグリスンビランには、今季から佐々木匠選手が加入しており、この記事の中で「監督の指示を聞かない外国籍選手」に佐々木選手が含まれるのかどうかは不明です。ちなみにヌグリスンビランの試合はリーグ戦のスランゴール戦と、FAカップのスランゴール戦の2試合を現地観戦していますが、素人目ではいずれの試合もスペイン出身のFW、ミカことミゲル・アンヘル・フンコ・マルティネスと他の選手との連携の悪さが目につきました。パスを求める一方で、自分が詰められても無理してかわそうとし、結果として相手に奪われるという場面も少なからずあり、あまり良い印象ではありませんでした。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第4節の結果とハイライト映像(1)・今季未勝利同士の対戦はKLシティに軍配で佐々木選手のヌグリスンビランは開幕3連敗・谷川選手が今季初ゴールを決めるもクチンシティは今季初勝利ならず

2026W杯アジア2次予選などで中断していたマレーシアスーパーリーグ(MSL)がおよそ1ヶ月ぶりに再開し、6月21日から23日にかけて第4節が開催されています。しかしマレーシアのスポーツメディアは、連日、ユーロ2024、そして先日開幕したコパ・アメリカ2024のニュースで溢れ、国内サッカーの記事は片隅に追いやられ、両大会が終わるまでは、そういった冷遇状態が続きそうです。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第4節はサバFCの試合はありません。 第5節は7月12日(金)から14日(日)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより

MSL2024/25第4節
2024年6月21日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0~3 KLシティFC
⚽️KLシティ:ブレンダン・ガン(28分)、パウロ・ジョズエ(73分)、S・シャルヴィン(90+3分)
🟨ヌグリスンビラン(0)、🟨KLシティ(0)、🟥ヌグリスンビラン(1):ジャック・フェイ
MOM:ブレンダン・ガン(KLシティFC)

ヌグリスンビランは今季初のホーム開催となったこの試合は、KLシティにとっては今季初のアウェイゲームとなり、ヌグリスンビランのダークレッドのホームユニフォームも良かったですが、この試合で初披露となったKLシティのロイヤルブルーのアウェイユニは、それ以上に良く、今季のMSLチームのアウェイユニの中で個人的に一番気に入りました。

ここまで0勝2敗で得点1失点7のヌグリスンビランと、0勝1分1敗で得点2失点6のKLシティといういずれも今季未勝利同士の対戦となったこの試合は。アウェイのKLシティが先制しました。28分、右サイドのパウロ・ジョズエからのクロスをブレンダン・ガンが頭でドンピシャに合わせてゴール!ブレンダン・ガンの今季初ゴールでKLシティが1点をリードしました。

KLシティのリードで折り返した後半の50分、危険なタックルでイエローカードを出されたヌグリスンビランのジャック・フェイがVARのチェックが入り、レッドカードで退場となると、それまで押し気味に試合を進めていたKLシティは数的有利を生かして2点を追加し、今季初勝利を挙げています。特に73分のパウロ・ジョズエのゴールは開幕から3試合連続、カップ戦も入れれば4試合連続となるとともに、在籍7シーズン、出場120試合目でクラブ最多記録を更新する通算43ゴール目となっています。

一方のヌグリスンビランはこれで開幕から3連敗で最下位に沈み、FAカップも合わせると4戦4敗で今季通算では得点1失点14となりました。なおヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発して、フル出場しています。

試合後の会見で、移籍後初ゴールを挙げたブレンダン・ガンは、この試合のゴールが次節7月14日の「クラン渓谷ダービー」スランゴール戦に向けて自身を鼓舞するゴールになったと述べています。昨季まで4季にわたりキャプテンを務めていた古巣との対戦については、「スランゴールは(酸をかけられて負傷した)ファイサル・ハリムのためにチーム一丸となっていると言われているが、ファイサル・ハリムを思う気持ちはスランゴールだけでなく、どのチームにもある」と述べ、次はホームでの今季初勝利のために全力で臨みたいと話しています。

MSL2024/25第4節
2024年6月22日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 スリ・パハンFC
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス3(5分、67分、87分)
🟨ジョホール(2)、🟨スリ・パハン(3)
MOM:ヘベルチ・フェルナンデス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェルナンド・フォレスティエリの両FWがベンチ外ながら、代わりの選手が遜色なく活躍したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がヘベルチ・フェルナンデスのハットトリックで開幕4連勝を飾っています。

MSL2024/25第4節
2024年6月22日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 1-1 トレンガヌFC
⚽️クチンシティ:谷川由来(28分)
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(50分)
🟨クチンシティ(2)、🟨トレンガヌ(1)
MOM:谷川由来(クチンシティFC)

今季未勝利のクチンシティは、谷川由来選手の今季初ゴールで引き分けに持ち込んでいます。

前半をスコアレスで折り返した試合は、後半は激しい雨の中で行われました。自陣ペナルティエリア内で、クチンシティのロドニー・セルビンがイスマヒル・アキナデを倒すと、VARのチェックが入った結果、トレンガヌにPKが与えられます。この試合ではキャプテンバンドをつけたサファウィ・ラシドがこのPKを決めて、トレンガヌが先制します。

しかし80分にクチンシティは左サイドでFKを得ると、チェチェ・キプレはゴール前に蹴り込みます。トレンガヌGKスハイミ・フシンがキャッチに失敗してこぼれたボールを谷川由来が押し込みます。これもVARのチェックが入りますが、ゴールが認められてクチンシティが同点に追いつきます。

しかしその後は共に追加点を奪えず、1−1のまま終了しています。クチンシティの谷川由来選手は、先発してフル出場し、今季初ゴールを決めています。ユキは混乱した状況で賢明な行動をとってボールをトレンガヌのゴールに押し込んだ。

MSL2024/25第4節
2024年6月22日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-1 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クダ:エベネゼル・アシフアー(77分)
🟨ペナン(2)、🟨クダ(1)
MOM:エベネゼル・アシフアー(クダ・ダルル・アマンFC)

マレー半島北部にあるクダ州とペナン州の「北部ダービー」は、アウェイのクダがペナンを破り、今季初の勝点を獲得しています。

今季ここまで未勝利のペナンはホームでの勝利を目指しましたが、先日のFAカップ1回戦ではハットトリックを決めているエベネゼル・アシフアーが、途中出場ながら今季リーグ戦初ゴールで上げた1点を守り切ったクダに敗れています。

この両チームは来週7月5日にFAカップ準々決勝で再び顔を合わせますが、今季就任したペナンのアクマル・リザル監督は、試合後の会見では全体としてチームのパーフォーマンスは良いと話す一方で、些細なミスがこの日の敗戦の原因だと分析し、その上で、カップ戦も含めて過去5試合で2得点の攻撃陣の奮起を促したいと話しています。またこの試合では攻撃の中心として期待されているロドリゴ・ディアスがケガで欠場しましたが、来週のFAカップでは復帰できるだろうとも話しています。

MSL2024/25第4節
2024年6月23日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 2-1 ペラFC
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス2(24分、40分PK)
⚽️ペラ:ヌル・アズファル・フィクリ・アズハル(78分)
🟨スランゴール(1)、🟨ペラ(3)
🟥スランゴール(1):アレクサンダー・アギャルカワ、🟥ペラ(1):シャールル・ニザム・ムスタファ コーチ
MOM:ロニー・フェルナンデス(スランゴールFC)

30分以上10人での試合を強いられたスランゴールが逃げ切って、開幕から3連勝を飾っています。

24分にチリ出身のFWロニー・フェルナンデスのゴールで先制したスランゴールは、38分にアルヴィン・フォルテスがペラのトミー・マワトにペナルティーエリア内で倒されてPKを得るとこれもフェルナンデス選手が決めて、リードを2点に広げます。

前半から好機を作っていたペラは、64分にスランゴールのアレックス・アギャルカワが元FC琉球のワン・ザック・ハイカルへの激しいタックルがファールとなり、一発レッドで退場となると、数的有利を活かして78分にヌル・アズファル・フィクリ・アズハルのゴールで1点差に迫ります。しかし、試合終盤にペラが得点機を活かせなかったこともあり、スランゴールがなんとか逃げ切り、首位のジョホール・ダルル・タジムFCの勝点差3で追う2位に浮上しています。

MSL2024/25第4節
2024年6月23日@スルタン・モハマド4世・スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ダルル・ナイムFC 1-0 PDRM FC
⚽️クランタン:オデイ・ハロウブ(29分PK)
🟨クランタン(2)、🟨PDRM(2)
MOM:オデイ・ハロウブ(クランタン・ダルル・ナイムFC)

試合前には、この試合に勝てば選手や監督コーチにも特別の勝利給が与えられることを発表したクランタン・ダルル・ナイム(KDN)は、ホームでPDRMを1-0で破り、待望の今季初勝利を挙げています。

そこの試合唯一の得点は28分のパレスチナ代表FWオデイ・ハロウブのPKによるものでした。28分にPDRMのアリフ・ナジミ・シャイニがペナルティエリア内でミハル・ジラベクを倒すと、VARのチェックが入り、判定はPKとなります。これをオデイ・ハロウブが決めて、KDNがリードします。なそオデイ・ハロウブは母国パレスチナの国旗をカメラに示してゴールを祝う場面も見られました。の後は両チームとも得点がなく、KDNが今季初勝利を挙げています。

PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、フル出場しています。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第4節終了)

順位チーム勝点
1JDT41240014212
2SEL49301743
3TRE48220725
4SAB37210532
5KLC3411156-1
6PDRM4411245-1
7SRP3411135-2
8KCH4303156-1
9*KDA4320223-1
10PEN4303112-1
11PRK4310368-2
12KDN4310337-4
13NSE30003110-9
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

6月21日のニュース・最新FIFAランキングでマレーシアは3ランクアップの135位も東南アジア3位奪還ならず・アセアンU16選手権出場の23名が発表

最新FIFAランキングでマレーシアは3ランクアップの135位も東南アジア3位奪還ならず

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回より3ランクアップして135位となっていますが、東南アジア3位奪還はなりませんでした。

先日終了したFIFA2026W杯アジア2次予選で敗退したマレーシアは、東南アジアのチームでは唯一、最終予選進出を決めた134位のインドネシアに1.15ポイント差で及ばず135位、東南アジア4位となっています。なお、キム・パンゴン監督が就任した2022年1月では、昨年11月の130位が最高位です。

今回の発表では、タイが100位で東南アジア1位、以下ベトナム(116位)、インドネシア(134位)、マレーシア(135位)、フィリピン(147位)、シンガポール(159位)、ミャンマー(164位)、カンボジア(180位)などが続いています。

アセアンU16選手権出場の23名が発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は本日6月21日に開幕する東南アジアサッカー連盟(AFF)U16)選手権に出場するマレーシアU16代表のメンバー23名を発表しています。インドネシアのジャワ島にある中部ジャワ州スラカルタ市で開催される大会では、マレーシアは東ティモール、オーストラリア、タイと同じ予選C組に入っています。予選A組からC組の各1位と最も成績良い2位チームが7月1日の準決勝に進出し、決勝は7月3日に予定されています。

マレーシアU 16代表23名の顔ぶれは、ジョホール・ダルル・アマンFC(JDT)から12名、国内エリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーから10名、そしてマレー半島北部のプルリス州を拠点とするプルリス・ヤング・ライオンズFCから1名となっています。

先月5月にJDTのU21チーム監督から転身したハビエル・ホルダ・リベラ監督が、今回のU16代表23名中、JDT出身者を半数以上選んだのは予想されたことですが、中でも注目選手の一人がファーミ・ノー・ファリザマル(JDT)です。マレーシアの全国中学生サッカー大会にあたるMSSNの2023年大会得点王です。またマレーシア教育省(KPM)とFAMが共催するKPM-FAMカップU14大会得点王のアラヤン・ハキーム(JDT)も今回のU16メンバーに入っています。なおこのアラヤン選手は、元ペラFA(現ペラFC)のストライカーで2001年のリーグ得点王、ノリザム・アリ・ハサンの息子でもあります。

6月20日のニュース・開幕1ヶ月で早くも複数のクラブで給料未払い発生か・ヘリテイジ帰化選手候補のコービー・チョンがMSLクラブとの交渉のために来馬・W杯予選で活躍したシンガポールGKは中国からの「投げ銭」に困惑

ユーロ2024は第1節の全試合が終了しましたが、この大会が始まって以来、マレーシアの新聞はスポーツ欄の大半がユーロ2024の試合結果や予想、さまざまな写真を掲載し、連日、8から10ページが割かれている一方で、マレーシアサッカーの記事は全て合わせても1ページになるかどうか…。そんな中で、マレーシアでは年中行事とも言える給料未払い問題が早くも起こっているようです。

開幕1ヶ月で早くも複数のクラブで給料未払い発生か

今季2024/25シーズンのマレーシアリーグ(MSL)は、5月10日に開幕し、FIFAデイズによる中断期間までに第3節まで終了しています。そんな開幕1ヶ月足らずのMSLの複数のクラブで既に給料未払いが問題になっていると、英字紙スターが報じています。

ペラFCでは、現在、選手に対して給料の半分しか支払えていないことをボビー・ファリド・サムスディンCEOが認めています。

「それ(=給料が半月分しか支払われていないことは)事実である。クラブはユニフォームや記念SIMカードなどを販売しているが、それが現在、我々ができる唯一のことだ。」

「政府系企業からの支援はなく、ユニフォームの売り上げも伸びない。そして入場料は値上げすればファンの足が遠のくため、低く抑えられたままだ。この状況でいったなにができるのか。」と述べたボビー・ファリドCEOは、他の複数のクラブでも給料の未払いが起こっており、これらのクラブが選手に給料を支払っていない期間はペラFCよりも長いと聞いていることも明らかにしています。

また、KLシティFCでもその期間は2ヶ月とも4ヶ月とも言われる給料未払いが起こっているとされており、同クラブのスタンリー・バーナードCEOは、未払いとなっている給料があることは認めたものの、すぐに解決する予定だと説明しています。

「(未払いとなっている給料は)今週中に支払えるだろう。クラブの株主でもあるクアラルンプールサッカー協会(KLFA)はこの問題を理解しており、それを解決する責任も方法も持っている。またクアラルンプール市役所もクラブのスポンサーとなることを表明しており、そのスポンサー料がクラブに支払われれば、未払い給料は直ちに解決すると話しています。

この他、スリ・パハンFCでも選手が昨季から4ヶ月の給料が支払われていないと噂されており、スターの記者がファンディ・アフマド監督にその実態を尋ねていますが、ファンディ監督は「そういった問題が起こっているかどうかはわからない(?)と述べ、さらに追及する記者の質問を遮り、他の質問に応えたということです。またチームの外国籍選手クパー・シャーマンにも同様の質問をしたようですが、やはりノーコメントだったということです。

さらにサバFCでは、選手や監督、コーチが4ヶ月分の給料が支払われていないと主張する一方で、クラブはこれを否定し、未払い分は1ヶ月から2ヶ月分で、それも支払いが行われつつあるということです。サバFCのジョー・ウィド社長は、クラブの出費は毎月170万リンギ(およそ5700万円)であるとし、状況は逼迫しているものの、選手はクラブとファンのために全力を尽くしてくれており、この状況はすぐに解決するだろうと、話しているということです。

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なお、サバFCについては、FIFAデイズによるリーグ中断期間にインドネシアのジャカルで開催された大会に出場し、3位/4位決定戦でPSISスマランを2−1で破っていますが、その勝利が決まると選手たちは4本指を見せて勝利を祝う場面がありました。(写真はスタジアム・アストロの公式サイトより)

この「4本指」のジェスチャーについては、何かを伝えたいのではという憶測が出ていましたが、上の記事の未払い給料4ヶ月分を示唆しているのではないか、というのが現在、最も有力とされています。

また、スターの記事では取り上げられていませんが、クダ・ダルル・アマンFCは給料未払い問題解決が遅れた頃により、今季開幕前に勝点3を剥奪される処分を受けており、マレーシアスーパーリーグ13チーム中、早くも5チームが開幕からわずか1ヶ月で給料未払い問題を抱えていることになります。リーグは来年4月の閉幕まであと10ヶ月ありますが、果たしこれらのクラブはこの長丁場を乗り切れるのでしょうか。

ヘリテイジ帰化選手候補のコービー・チョンがMSLクラブとの交渉のために来馬

英国で生まれ育った22歳のコービー・チョンは、マレーシア人の父とジャマイカ人の母を持ち、英国、ジャマイカ、そしてマレーシアの3つの国で代表選手となる資格を持っています。特にマレーシアでは、ルーツを持つヘリテイジ帰化選手の候補として、これまで何度も名前が上がっています。ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFC(WBA)のユース出身のチョン選手は、現在は英国6部のキングズ・リン・タウンFCでプレーしていますが、現在はマレーシア訪問中です。

そのチョン選手は現在、マレーシア滞在中ですが、アストロ・アリーナとのインタビューに応じ、今回の来馬については、マレーシアスーパーリーグ(MSL)のクラブと入団交渉を行うことも目的の一つだと話しています。

「今回、マレーシアに来たのは、親類や友人に会うためだが、MSLのクラブと入団交渉を行うためでもある。既に複数のクラブから打診を受けており、そういったクラブを訪れる予定もある。また(ここでプレーするとなる前に)マレーシアの雰囲気も知っておきたいと思っている。」

「交渉の結果、実際に入団に同意となればここに残るが、そういった具体的な話をするにはまだ時期尚早だと思っている。」と答えたチョン選手は、さらに英国のリーグとはいえ、6部でプレーしているチョン選手に対して一部のサッカーファンから否定的なコメントが出ていることに対しては、大半のマレーシア人サッカーファンは、プレミアリーグ(EPL)しか知らないからだろうと話しています。

さらにチョン選手は「英国6部は(サバFCとマレーシア代表でプレーする)ダレン・ロックや、(元トレンガヌFCとマレーシア代表でプーレした帰化選手の)リー・タックもかつてプレーしていたリーグであり、競争力は非常に高い。(自分への批判者に対しては)プレーを見せることで、実力を判断してもらいたい。ダレン・ロックやリー・タックが代表でプレーできたなら、自分にできないはずはないと思っている。自分は(彼らより)はるかに若く、(セミプロチームでプレーしていた両選手とは違い)プロチームでプレーしている。」と話しています。

またマレーシアでプレーすることの意義については「今後の選手キャリアを考えた際には、自分のルーツがあるマレーシアやアジアでプレーできる機会があるのであれば、それは良いことだと考えている。また代表チームでプレーする機会があれば、それは自分の運命を帰るきっかけにもなる可能性がある」とも語っています

W杯予選で活躍したシンガポールGKは中国からの「投げ銭」に困惑

先日終了した2026W杯アジア2次予選のC組で、中国とタイが勝点、得失差、得点で並びましたが、両チームの直接対決では中国の1勝1分だったことから、中国はグループ2位となりアジア最終予選へ進み、タイは3位となり予選敗退となっています。

最終第6節のタイ対シンガポールの試合はタイが3−1で勝利しましたが、この試合であと1点多くとっていれば、順位はタイがC組2位となり最終予選に進み、中国は同3位で予選敗退になっていたことから、中国サポーターの間では、タイのシュート11本を防いだシンガポール代表GKハサン・サニのおかげで最終予選に進めたとして、ハサン選手が一躍ヒーローとなりました。そしてそれが中国本土からの「投げ銭」へと発展します。’

アルビレックス新潟シンガポールでプレーする40歳のハサン選手は。シンガポールのタンピネスでナシ・レマやロントンなどのマレー料理を出す「ダプル・ハサン(ダプルはマレー語で「台所、キッチン」)という食堂を夫人と経営していますが、この店には試合の翌日から多くの中国代表サポーターが訪れ、さらに支払い用QRコードが中国国内のソーシャルメディアで拡散され、それを使って多くの「投げ銭」がハサン選手宛てに送られていると、シンガポールのメディア、チャンネル・ニューズ・アジア(CNA)が報じています。

これに対してハサン選手は「しばらく(投げ銭が投げられることを)楽しんでいましたが、これはいつ終わるのか、またこの行為に違法性ないかなど疑問を感じどこかで終わりにしなければならない」とCNAの取材に答えています。また拡散しているQRコードの中には偽のQRコードもあり、ファンが詐欺に巻き込まれる可能性があることも警告しています。その上で、ハサンはこれ以上の投げ銭は行わないように訴えています。

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上の記事が出たのは、W杯予選が行われた6月11日から数日経った時期でしたが、その続報を紹介します。ハサン選手は、中国代表のためにプレーしたのではなく、シンガポール代表の勝利のためにプレーした結果だとして、集まった「投げ銭」は自分が受け取るべきではないことから、全額を寄付することを発表しています。さらに今週の月曜日はイスラム教の祝日で週末からの3連休だったこともあり、中国で複数のショッピングモールなどを運営するシンガポール政府系不動産会社のキャピタランドがハサン選手と家族を上海に招待し、そこでメディアやファンの歓待を受けたということです。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦結果とハイライト映像(2)+観戦記・ファイサル・ハリム観戦のスランゴールはヌグリスンビランに大勝

マレーシアFAカップ1回戦:ファイサル・ハリム観戦のスランゴールはヌグリスンビランに大勝

試合から3日も経ってしまいましたが、2024/25マレーシアカップ1回戦のスランゴールFC対ヌグリスンビランFCの試合は、MBPJスタジアムに足を運んだので、その時の様子も含めた観戦記も加えてお伝えします。

この日の試合は珍しく午後5時30分と早い時間のキックオフだったので、試しに公共交通機関を使って試合会場のMBPJスタジアムへ向かいました。使ったのはLRTクラナジャヤ線です。KL国際空港からのKLIAエクスプレスなども乗り入れているKLセントラル駅からはプトラハイツ方面へ12駅目のGlenmarie(グレンマリー)駅が最寄駅になります。駅の改札を出ると案内板があるので、MBPJスタジアムの別称Stadium Petaling Jayaと書かれている右手へ進みます。


階段あるいはエレベーターを使って地上階に降りたら、道路を右、建物を左にして歩いて行きます。駅からスタジアムまでの距離はおよそ800mで、途中には案内板があるのでそれに従って進みます。


道に沿って進むと交差点があるので、そこを左折して、さらに直進するもうスタジアムです。


グレンマリー駅から歩くと、この表示物の前に到着します。これをさらに左に進むとメインスタンド(マレーシアではGrand Standという表示です)、右に進むとバックスタンド(同じくOpen Standと表示されます。)へ向かいます。また、この表示物の裏手に見えているのはアウェイチームのゴール裏席です。試合によってはアウェイチームのチケットでは、ここからしか入場できない場合もあります。


上の表示物の左へ進むと、スタジアムの正面入り口に到着します。MBPJスタジアムは、スランゴールFCが今季のACL2へ出場することから昨年オフに改修工事が行われ、外観もチームカラーの赤に塗られたばかりです。正面入り口のスクリーンには酸をかけられたスランゴールFC所属のファイサル・ハリムへのメッセージも見えます。


マレーシアスーパーリーグは午後9時キックオフの試合が多いのですが、この日はキックオフの時間も早く、子ども連れの観客が多いように感じました。


こちらはスランゴールFCのゴール裏に陣取るウルトラスのみなさんです。ちなみにここに見えている屋根も、スタジアム改修の一環として今季から設置されています。


この日は翌6月18日(日)が父の日でした。他のスタジアムでは選手が自分の子どもと入場するといったイベントもあったようですが、この試合では、選手たちが自分の父親と入場していました。


また試合前には、スコアボードの下に横断幕が掲げられました。そこに書かれていたのは”All zionists are bastard.”「全てのシオニストはクソッタレ。」シオニストとは、ユダヤ人国家建設を目ざす思想を持つ人やそういった運動を行う人を指しますが、この思想に基づいて建国されたイスラエルをマレーシアは国家として承認していません。また、人口の半数以上がイスラム教徒が占めるマレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、米国、英国などからテロ組織指定されているハマスの指導者とも会談するなど、国家としてハマスを支援することも明言しています。


しかし、試合が始まるとこの横断幕のところに制服を着た一団(おそらく警察の機動隊)がやってきて、何やら交渉を行っていました。


その結果、ハーフタイムにこの横断幕は撤去されていました。


またこの試合には、サプライズでファイサル・ハリム選手が家族とともに観戦に訪れ、サポーターから拍手で迎えられると、元気そうに手を振って応えていました。(下の写真は英字紙ニューストレイツタイムズより)


数日前には、このファイサル選手に代わる左ウィングとして開幕直前に獲得したヨルダンU23代表のレジク・バニ・ハニが足首を痛めて最低でも6週間の離脱が発表されました。FIFAデイズによるリーグ戦中断中に、スランゴールFCはインドネシアのジャカルタで開催された大会に出場しましたが、その大会の決勝、プルシブ・ジャカルタとの試合でレジク選手は、仕掛けた選手が退場になるほどの激しいタックルを受けていました。なおレジク選手欠場で、スランゴールFCのニザム・ジャミル監督は、U23代表のムカイリ・アジマルを左ウィングに起用しています。

5月29日の今季第3節では同じMBPJスタジアムでヌグリスンビランFCと対戦し、4-0と圧勝しているスランゴールFCは、この試合も開始と同時に主導権を握り、ヨハンドリ・オロスコが7分のゴールを決めると、14分にはヌグリスンビランFCのDFのミスからボールを奪ってゴールを決め、早々とリードを2点に広げます。さらに前半終了前には、代表でもプレーするノーア・レインがペナルティエリア内のアルヴィン・フォルテスへ絶妙のパスを出すと、これをゴール左隅に決めたフォルテス選手のゴールで前半は3−0として折り返します。

後半に入っても、スランゴールFCの優位は変わらず、64分のロニー・フェルナンデスのPKはヌグリスンビランFCのGKシャーミ・アディブに止められたものの、その3分後にはヨハンドリ・オロスコのパスを受けたアルヴィン・フォルテスがこの試合2点目のゴールを決めて、スランゴールFCがヌグリスンビランFCが圧倒しています。なおスタッツを見ると、この試合のシュート数はスランゴールFCの14本(枠内5本)に対し、ヌグリスンビランFCは5本(枠内1本)と、スランゴールFC優勢だったことがわかります。

また試合後、スランゴールFCのニザム監督はファイザル選手がロッカールームを訪れたことで、今までチームにかけていたものが戻り、チームの士気が高まったと述べ、チーム全員が早い復帰を望んでいるとも話しています。

ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発して、フル出場しています。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月15日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 4-0 ヌグリスンビランFC
⚽️スランゴール:ヨハンドリ・オロスコ2(7分、14分)、アルヴィン・フォルテス2(45分,67分)
🟨スランゴール(1)、🟨ヌグリスンビラン(1)

この試合のハイライト映像。スランゴールFCの公式YouTubeより。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦(1)・3部リーグの大学生チームが1部のPDRMをジャキリ・JDTは2季連続国内三冠へ向けてクランタンを粉砕

今季最初のカップ戦となるマレーシアFAカップ(FAカップ)の1回戦が6月12日から始まっています。今季のFAカップは1部スーパーリーグ13チームと3部セミプロA1リーグ8チームの16チームしか参加せず、この1回戦に勝てば既にベスト8というなんとも寂しい規模のカップ戦です。

新型コロナ禍以前最後となった2020年大会は3部や4部のクラブなど58チームが参加していた大会でしたが、2022年は33チーム、昨季2023年は20チーム、そして今季はついに16チームの大会となってしまいました。特に下部リーグのクラブにとっては、マレーシアスーパーリーグを頂点とするこの国のサッカー界の一員ということが実感できる貴重な大会だと思うのですが、運営側のマレーシアンフットボールリーグ(MFL)にはそういった気持ちが共有されていないのかも知れません。
*各試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアFAカップ1回戦:初戦からいきなりジャイキリ!3部リーグの大学生チームが1部のPDRMを3-0で破る

サッカー天皇杯では、筑波大学がJ1首位の町田ゼルビアを破る「ジャイキリ」を果たしていますが、今季2024/25シーズン初のカップ戦となったFAカップ1回戦でも、マレーシア3部リーグのセミプロA1リーグに所属するマレーシア大学フットボールチーム(MUFT)が1部スーパーリーグのPDRM FCを3-0(前半2-0)で撃破し、ジャイキリを達成しています。

先週マレーシアで行われ、U20全日本大学選抜が優勝を果たしたアジア大学サッカートーナメントでは、準優勝の韓国とグループリーグで引き分けるなど、これまでの大会で最高記録の5位に終わったMUFTは、鈴木ブルーノ選手やヨルダン代表MFファディ・アワド、ミャンマー代表DFチョー・ミン・ウーら外国籍選手全員がベンチ外、マレーシア人選手だけで編成されたPDRM FCに対し、開始5分であっさり先制します。

MUFTのシャヒール・ラーマンがペナルティエリアの外から放ったシュートはPDRM FCのDFに当たり角度が変わり、そのままゴールイン。さらにその4分後にはヴィキィ・オウエン・マリナスがセンターサークル付近から前線に絶妙のパス。これを受けたハディ・モハマドが2人のPDRM FCのDFをかわしてゴール!開始から10分でMUFTがプロを相手に2−0とリードを広げます。

MUFTが2点リードしたまま前半を折り返すと、後半にはPDRMも試合のペースを上げて反撃を試みますが、MUFTのGKアシュラフ・ファディルのスーパーセーブもありゴールを破れず、逆にMUFTは途中出場のザリフ・ナザンがロスタイムにゴールを決め、ジョホール・ダルル・タジムFCとの準々決勝に駒を進めています。

スタッツ的にはPDRM FC、MUFTともシュート数11で並んでいますが、PDRM FCは枠内2に対して、MUFTは枠内6とまさっています。しかしこの試合のMOM(Man of the Match、優秀選手)にはなぜか0-3 で敗れたPDRM FCの選手が選ばれています…。

PDRM FCの鈴木ブルーノ選手はベンチ外でした。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月12日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 0-3 マレーシア大学フットボールチーム(MUFT)
⚽️MUFT:シャヒール・ラーマン(5分)、ハディ・モハマド(9分)、ザリフ・ナザン(90+2分)
🟨PDRM(2)、🟨MUFT(2)
MOM:アミルル・ワイィ・ヤアアコブ(PDRM FC)

マレーシアFAカップ1回戦:クチンシティがロスタイムの決勝ゴールで前年準優勝のKLシティを撃破

今季リーグ戦未勝利のクチンシティと対戦した昨季2024年シーズンのFAカップ準優勝を果たしたKLシティFCは、延長戦のロスタイムに決勝ゴールを許して1回戦で敗退しています。

いずれも6月11日のW杯アジア2次予選台湾戦に出場したハキミ・アジムとパウロ・ジョズエのゴールで2点を挙げたホームのKLシティFCはクチンシティFCはヌル・シャミー・イスズワンらのゴールで追いつくと、レギュレーションタイム内では2−2と両チーム譲らず、延長戦に入ります。

延長戦も120分を過ぎてロスタイムに入り、PK戦かと思われたそのとき、右サイドをドリブルで上がったヌル・シャミー・イスズワンからのクロスを途中出場のザフルル・ニズワン・ズルキフリが決め、この決勝ゴールでクチンシティFCが勝利しています。クチンシティFCは準々決勝でスランゴールFCと対戦します。

クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月14日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 2~3 クチンシティFC
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム(14分)、パウロ・ジョズエ(39分)
⚽️クチンシティ:フィレモン・アニー・スタンリー(26分)、ヌル・シャミー・イスズワン(68分)、ザフルル・ニズワン・ズルキフリ(120+3分)
🟨KLシティ(3)、🟨クチンシティ(5)
MOM:ジェイムズ・オクゥオサ(クチンシティFC)

マレーシアFAカップ1回戦:スリ・パハンはPK戦で今季未勝利のペナンに敗れる

ホームのダルル・マクモル・スタジアムでピッチ改修工事が行われているため、今季はおよそ140km離れたテメルロー・スタジアムでの試合を強いられているスリ・パハンFCは、今季リーグ戦で開幕から3引き分けと勝利のないペナンFCと対戦し、PK戦で敗れています。

前半終了間際にナビル・ラトピのゴールでペナンFCがリードすると、後半にはスリ・パハンFCがミコラ・アガポフのゴールで追いつき、試合は延長戦に突入します。しかし延長でも決着がつかずPK戦へ。するとここでスリ・パハンFCは、エースのクパー・シャーマンが1人目のキッカーとなることを拒否。試合後の会見でファンディ・アフマド監督は事前にPK戦の順番は決めてあったと話すなど、明らかに混乱があったスリ・パハンFCは2人がPKを外し、最後はナビル・ラトピが決めて、ペナンFCをベスト8へ導いています。なおペナンFCはクダ・ダルル・アマンFCと「マレー半島北ダービー」となった準決勝で対戦します。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月14日@テメルロー・スタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 1-1 ペナンFC(PK戦 3-4)
⚽️スリ・パハン:ミコラ・アガポフ(79分)
⚽️ペナン:ナビル・ラトピ(41分)
🟨スリ・パハン(3)、🟨ペナン(4)
MOM:ナビル・ラトピ(ペナンFC)

マレーシアFAカップ1回戦:トレンガヌは逆転でペラを破りベスト8入り

リーグ2位のトレンガヌFCは同8位のペラFCを逆転で破り、ベスト8を決めています。先制したのはペラFCでした。フリーキックからのセットプレーでDFルイス・エンリケ・モッタがゴール前のこぼれ球を蹴り込んでペラFCが6分に1点をリードします。しかしDFトミー・マワトが自陣ペナルティエリアでマヌエル・オットを倒してトレンガヌFCにPKを与えてしまいます。これをサファウィ・ラシドが決めて追いついたトレンガヌは、さらに、42分にはマリン・ピルがペナルティエリアの外から低い弾道の強烈なゴールを決めて、前半でトレンガヌFCが逆転します。

後半追いつきたいペラにとって痛かったのは、フィルダウス・サイユディが69分にサファウィ・ラシドへのファールで一発退場となったこと。最初出されたカードはイエローでしたが、VARによるチェックが入るとレッドとなりました。ペラはGKラマダン・ハミドが好セーブを連発して、トレンガヌFCの攻撃を耐えていただけに、この退場でペラFCは一気に勢いを失いました。トレンガヌFCはケガから復帰したアザム・アズミを終盤に起用しするなどして逃げ切り、準々決勝ではサバFCと対戦します。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月14日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-1 ペラFC
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(36分PK)、マリン・ピル(42分)
⚽️ペラ:ルイス・エンリケ・モッタ(6分)
🟨トレンガヌ(1)、🟨ペラ(2)、🟥ペラ(1):フィルダウス・サイユディ
MOM:マリン・ピル(トレンガヌFC)

マレーシアFAカップ1回戦:クダはエベネゼル・アシフアーのハットトリックで3部のブキ・タンブンに圧勝

クダ・ダルル・アマンFC(クダFC)は、エベネゼル・アシフアーのハットトリックを含む5ゴールで、3部セミプロA1リーグのブキ・タンブンFCに快勝し、準決勝ではペナンFCと「マレー半島北ダービー」で対戦します。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月14日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 5-0 ブキ・タンブンFC
⚽️クダ:ミロシュ・ゴルディッチ(15分)、アミルル・ヒシャム・ケチク(21分)、エベネゼル・アシフアー3(39分、69分、79分)
🟨クダ(0)、🟨ブキ・タンブン(1)、🟥クダ(1):アイマン・アフィフ
MOM:エベネゼル・アシフアー(クダ・ダルル・アマンFC)


マレーシアFAカップ1回戦:サバは3部のKLローヴァーズをラモン・マシャドのハットトリックなどで一蹴

コタ・キナバルで行われた一戦は、代表ストライカーのダレン・ロックとCBのガブリエル・ペレスをケガで欠くサバFCが、3部セミプロA1リーグのKLローヴァーズFCを7-0で破り、準々決勝進出を決めています。

FIFAデイズによるリーグ中断期間には、ジャカルタで開催された大会に出場したサバFCは、試合感も問題なく、開始17分にサディル・ラムダニのフリーキックが直接、ゴールし先制すると、ラモン・マシャドも2ゴールを挙げ、前半だけで3−0とKLローヴァーズFCを圧倒しますが、後半に入っても攻撃の手を休めず、パク・テスやラモン・マシャドのゴールでさらに4点を追加して圧勝しています。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 7~0 KLローヴァーズFC
⚽️サバ:サディル・ラムダニ(17分)、ラモン・マシャド3(28分、45分、59分)、パク・テス(51分)、ジャフリ・フィルダウス・チュウ(71分)、ラフィ・ナゴールガニ(90+3分OG)
🟨サバ(1)、🟨KL(2)
MOM:ラモン・マシャド(サバFC)

マレーシアFAカップ1回戦:JDTは2季連続国内三冠へ向けてクランタンを粉砕

昨季のFAカップ覇者のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、今季リーグ戦では開幕から3連敗中のクランタン・ダルル・ナイムFC(KDN FC)とホームで対戦し、4-0で快勝しています。

KDN FCは試合開始から自陣に引き気味の布陣だったこともあり、JDTの先制点は44分でした。右サイドのムリロ・エンリケからのクロスをベルグソン・ダ・シルヴァがヘディングシュート、ゴールライン上でこのボールをフェルナンド・フォレスティエリが押し込んで、JDTが先制します。

JDTが1点のリードを保って折り返した後半は、途中出場のロメル・モラレスやアリフ・アイマンら今月の代表戦の招集を「ケガ」を理由に辞退した選手たちが躍動、さらにこちらもGKシーハン・ハズミもフル出場し、代表合宿を辞退して十分な英気を養った様子が窺い知れました。JDTはこの勝利でベスト8進出を決め、マレーシア大学フットボールチーム(MUFT)との対戦が決定しています。

2024/25マレーシアFAカップ1回戦
2024年6月15日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 4-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ(44分)、ロメル・モラレス(61分)、パク・テス(51分)、フランシスコ・ジェラウデス(52分)、アリフ・アイマン(90+4分)
🟨ジョホール(1)、🟨クランタン(2)
MOM:アフィク・ファザイル(ジョホール・ダルル・アマンFC)