2025/26ACLエリート ラウンド16 1stレグ:ジョホールはホームで広島に勝利-2点の貯金を持って2ndレグへ

2025/26AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のラウンド16の1回戦が3月4日に行われ、マレーシアから出場のジョホール・ダルル・タジム(ジョホール)はホームでサンフレッチェ広島と対戦し、1stレグとなるこの試合に3-1で快勝しています。

ACLEの前身ACL時代の2019年に初出場を果たしたジョホールは、同年5月8日の鹿島戦での勝利以来、Jリーグのクラブ相手に8試合白星がありませんでしたが、今季のACLEリーグステージ最終戦で、すでにノックアウトステージ進出を決めていた神戸を相手に勝利し、そしてこの広島戦勝利はクラブ初となるJリーグクラブ相手の連勝となりました。またこの試合では観客数も、今季ホーム開催のACLEでは最大となった神戸戦(3万1673人)に次ぐ、3万1225人を集めています。


試合前日に行われた会見にはキャプテンのナチョ・インサとシスコ・ムニョス監督が出席しています。インサ選手はその席上で、守備、攻撃のいずれもよく組織されている日本のチームは、ボールを素早く動かし、試合のあらゆる局面で強さを発揮すると述べる一方で、ジョホールとしてはコンパクトに、そして互いに連動してスペースをコントロールしたいと話していました。

さらにホームアンドアウェイ方式では、180分間を通じた冷静さと知性が求められるとも話し、その上で熱気に満ちたスタジアムで1stレグを戦えることは重要だとも述べています。また勝利の鍵は個人の輝きではなくチームワークにあると強調した上で「我々はボールを保持し、プレッシャーに対処し、相手が前から圧力をかけてきたときにも対応できることを示してきた。ACLEでの戦い方をチームは理解しており、試合に向けて自信はある。」とも話していました。

またシスコ・ムニョス監督もインサ選手の見解に同意するとともに、試合開始1分から全力で試合に入る必要があると述べる一方で、90分間すべてをコントロールすることはできないことは承知しているとも話しています。「特に(広島が)我々を押し込んでくる場面では、耐えなければならない時間帯もあるだろう。試合にはさまざまな局面があり、良い時間帯もあれば悪い時間帯もある中で、あらゆる面で強さを発揮し、チャンスを生かし、あらゆる可能性に備えたい。」

さらにムニョス監督は、広島が3トップと攻撃的ミッドフィールダー2人で臨み、積極的にプレスをかける攻撃的なアプローチを取ることを予想しているとも述べて、それに備えながらも、いつリスクを取り、どう切り替えるのかを見極めたいとも話していました。


そして以下のこの試合の両チームの先発XIです。リーグステージ最終戦の神戸戦からはMFエクトル・へヴェルとFWベルグソン・ダ・シウバに代わり、警告累積で神戸戦は出場停止になっていたWGオスカル・アリバス、そしてFWジャイロが復帰しています。また「マレーシアの至宝」MFアリフ・アイマンをケガで欠くチームは、リーグステージ最終戦の神戸戦同様、マレーシア生まれの選手が1人もいない先発XIとなっています。25番のFWジョアン・フィゲイレド、30番のキャプテンでMFナチョ・インサ、28番のMFナチョ・メンデスの3選手は、マレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手でマレーシア人として登録されています。またベンチ入りの12名を見てもマレーシア生まれの選手はMFアフィク・ファザイルとGKシーハン・ハズミの2名のみで、この試合の出場登録23選手中21名が、マレーシア以外で生まれ育った選手です。

またフィゲイレド選手とベンチスタートとなったDFジョン・イラザバルは、現在スポーツ仲裁裁判所(CAS)で審理が行われている国籍偽装疑惑を持たれている7名のマレーシア代表選手のうちの2名でもあります。

前回2月10日のリーグステージでの対戦では、ホームのジョホールとは気温差が30度近くある極寒の広島での試合だったことに加え、開始16分でCBホナタン・シルバがハンドにより1発レッドとなった結果、早い時間帯で10人となってしまったこともあり、先制しながらも逆転負けしたジョホール。勝手知ったるホームでは開始から積極的に仕掛けると、3分にはラウル・パラのパスを受けたジョアン・フィゲイレドが広島DFキム・ジュソンをドリブルでかわして強烈なシュートを放ちますが、広島GK大迫敬介が素早く反応し、枠の外へ弾き出します。一方、広島も14分に先制の絶好機を迎えたが、ペナルティエリア手前からの川辺駿のフリーキックは得点には至りません。さらに17分にはオスカル・アリバスからのパスを受けたナチョ・メンデスがシュートを放ちますが、今度は大迫選手がセーブします。

24分にはジョホールにアクシデントが起こります。今年6月には40歳となるキャプテンのナチョ・インサがケガで交代を余儀なくされ、ムニョス監督はアヘル・アケチェを投入します。さらにその直後にはジョホールGKアンドニ・スビアウレの中途半端なゴールキックを鈴木章斗がカットし、シュートを放つもののスビアウレの正面に飛び、ジョホールはことなきを得ます。

しかしその直後に今度は広島にトラブル。ネネに肘打ちした広島DFキム選手が26分にショーン・エヴァンス主審からこの試合2枚目のイエローをもらい、早々と退場し、3週間前の試合とは逆に、広島が残る60分以上を10人で戦うこととなります。

数的有利となったジョホールは32分、ショートコーナーからペナルティエリアの外でフリーとなっていたメンデスへパス。そこからのシュートはGK大迫選手の手が届かなかったものの、ゴールポストに弾かれ、先制機を逃します。一方の広島も給水タイムからの再開後にジョホール陣内へ攻め込み、まずは小原基樹のクロスを荒木隼人が至近距離からヘディングシュート、さらに松本泰志 、中野就斗が続けてゴールを狙いますが、いずれも枠を捉えられません。

前半終了間際にはマルコス・ギリェルメのシュートをフィゲイレドが頭で合わせてコースを変えるもゴールポストに阻まれ、続くアケチェのシュートはGI大迫選手ががっちりセーブします。結局、前半はジョホールのシュートが11本(枠内4本)、広島のシュートが5本(同2本)、ボールの保持率はジョホール64%、広島36%に終わり、両チームともに無得点で折り返します。

後半に入ってもジョホールの勢いは衰えず、ジャイロ・ダ・シウバとフィゲイレドの両FWを中心にゴールを狙うと、51分、ついに試合が動きます。ギリェルメのコーナーキックはクリアされたものの、それを拾ったメンデスからフリーとなっていた右サイドのアケチェに渡ると、ペナルティエリアの外から放ったシュートが決まり、ついにジョホールが均衡を破ります。

さらに63分にはエディ・イスラフィロフのシュートが広島の選手に当たるとこれが後半から出場のベルグソン・ダ・シウバの足元へ。国内リーグでは今季17試合で19ゴールを挙げながら、ACLE では出場機会がなかなか与えられない不遇のエースがこれを蹴り込むと、これが自身の今季ACLE初ゴールとなり、ジョホールはリードを広げます。

さらに85分には「Jクラブキラー」として今年1月に獲得した前東京のギリェルメが、先月の広島戦、神戸戦に続く、対Jクラブ3連発となるゴールを決めるとスルタン・イブラヒム・スタジアムは大興奮状態に盛り上がります。

しかしその1分後には広島のロングスローから荒木選手が放ったシュートをGKスビアウレがブロックするも、これがゴール前のネネに当たってオウンゴールとなり、広島は1点を返しますが、試合はこのまま終了し、ジョホールが2点のリードを持って2ndレグに臨みます。


胸スポンサーで見るとトヨタ(ジョホール、実際にはトヨタとマレーシアの現地企業との合弁会社「UMWトヨタモーター社」がスポンサー)対マツダ(広島)の対戦となった試合は、終わってみれば、ジョホールのシュート28本(枠内8本)、広島は8本(同4本)と、地の利を生かして勝ち切ったジョホール。この試合の勝利でジョホールとJクラブとの通算対戦成績は14試合3勝2分9敗となりました。(途中で出場辞退となった2020年の神戸戦の結果を含む)

次戦となる広島との2ndレグは来週3月11日に行われますが、気になるのは、ジョホールの3勝が全てホームゲームで、アウェイではJクラブ相手に勝利を挙げた経験が1度もないこと。いずれもコロナ禍により集中開催となった2021年(タイのバンコク)、2022年(ジョホール)のACLの結果を除けば、日本国内での試合は6試合0勝1分5敗、2得点18失点と惨敗した記録しか残っていません。マレーシアのクラブとして初のベスト8進出を目指すジョホールにとっては、このアウェイのジンクスを覆すことができれば、悲願のベスト8進出となります。

2026/26ACLエリート リーグステージ第8節
2026年3月4日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 3-1 サンフレッチェ広島
⚽️ジョホール:アヘル・アケチェ(52分)、ベルグソン・ダ・シウバ(63分)、マルコス・ギリェルメ(85分)
⚽️広島:ネネ(分OG)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。