2025/26マレーシアスーパーリーグ第16節 試合結果とハイライト映像<br>・ジョホールはクチンに苦戦も逆転勝利で首位固め<br>・ホーム初采配のキム監督率いるスランゴールが連勝で2位浮上<br>・クアラルンプールは好調ペナンに惜敗

前節第15節に行われたヌグリ・スンビラン対ジョホールの試合を、このブログでは「ヌグリ・スンビラン相手にジョホールが辛勝も主審が好試合を台無しに」という見出しをつけて紹介しました。この試合ではS・ロゲスワラン主審が試合開始からファウルの基準を明確にしないまま試合を進めた上、ジョホールDFエディ・イスラフィロフの明らかに悪質なファウル(しかもその1つのジョセフ・エッソの顔面への肘打ち行為は1発レッドカードが出てもおかしくありませんでした)を2度にわたって無視し、さらにアディショナルタイムが7分と示される中で、それ以上のアディショナルタイムをとった結果、ジョホールが90+8分にマヌエル・イダルゴの決勝ゴールで勝利しています。

これまでもマレーシアリーグでは、ジョホール戦では主審の判定がジョホールに有利であることはジョホールサポ以外が常に主張していることですが、このヌグリ・スンビラン対ジョホール戦も試合後からSNS上ではジョホールサポ対アンチジョホール勢の舌戦が繰り広げられていました。しかも前述のファウルの場面をさまざまな角度から映しているものもあり、見れば見るほどイエローすら出なかったのは明らかに主審、そして主審をサポートするVARのミスのように思えるものでした。

そんな中、マレーシアサッカー協会(FAM)が公式見解を発表しています。国籍偽装疑惑に関与しながら復職したノー・アズマン事務局長が発表している段階で正直、モヤモヤしますが、その内容はS・ロゲスワラン主審と、この試合のVARを務めたムハマド・ウサイド・ジャマル審判による「不適切な判定」があったという、FAM審判パフォーマンス評価委員会の評価結果と、この両審判に対してパフォーマンス改善のために2週間の研修・再教育コースの受講を発表しています。

と発表されても、試合結果が変わるわけではなく、エディ・イスラフィロフが処分を受けるわけでもなく、これまで通りジョホール有利の判定が続く可能性は高そうです。マレーシアの多くのサッカーファンもそんなことは先刻承知ですので、審判への処分は状況を改善しようというFAMによる対外的な「ポーズ」としか思われていないでしょう。さらに言えば、昨年から続く国籍偽装問題について、何ら責任を取る姿勢を見せないFAMに処分を行う正当性はあるのかすら疑問です。


マレーシアスーパーリーグ第16節の5試合が1月14日から11日にかけて行われています。1月5日に開いた今季2度目のトランスファーウィンドウでは、各チームとも、前半戦で露呈した弱点を補強するため、多くの選手が去る一方で、それに代わる新戦力の加入が発表されています。その新規獲得選手がすでに今節から試合に出場しているチームもある一方で、給料未払い問題によりリーグから新規選手獲得禁止処分を受けたクランタンとPDRM、そして同様の給料未払い問題でこちらはFIFAからら新規選手獲得禁止処分を受けているクアラルンプールの3チームは現有戦力での後半戦を強いられています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第16節はイミグレセンの試合はありません。(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)


トレンガヌが2連勝、DPMMは2連敗

チームの不調もあってかホームゲームとしては2,000人弱とやや寂しい観衆の前でトレンガヌが連勝を飾っています。なおホームのスルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアムでの勝利は昨年10月以来、5試合ぶりです。

試合は開始からトレンガヌがDPMMを圧倒するも得点に繋がらない展開が続きました。それでも2試合ぶりの先発となったFWアンク・シャキールが、43分に右サイドをドリブルで駆け上がり、ペナルティーエリアの外から放ったゴールが決まり、前半はトレンガヌのリードで終了します。

この試合では新加入のタジキスタン代表コンビもマレーシアリーグデビューを果たしています。退団したMFヌリロ・トゥクタシノフに代わりタジキスタンの強豪FCイスティクロル・ドゥシャンベから加入したMFエーソン・パンジシャンベは好機を演出するだけでなく、自身も積極的にシュートを放つなど、今後に期待できるようなプレーを見せていました。一方、FWシェルヴォニ・マバチョエフはシュートは放ちましたが、DPMMの脅威とはなりませんでした。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月13日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 1-0 DPMM
⚽️トレンガヌ:アンク・シャキル(43分)


クランタンは連敗を6で止める

現在開いているトランスファーウィンドウで、DFダニエル・ティンがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍したサバ。さらに同じくマレーシア代表でもプレーするMFスチュアート・ウィルキンがジョホールへ移籍したサバは、一気に主力2人が流失するなど大きな戦力ダウンを強いられる中、5連敗中のクランタンと対戦しています。そのクランタンも今季ここまでチームの13ゴール中4ゴールを上げてチーム得点王のFWイフェダヨ・オルセグンがやはりこのトランスファーウィンドウで退団しています。

そんな両チームの戦いは、いずれも今季初ゴールとなったアレクサンドレ・ヤウーレ、シメン・リンボ、アスラフ・アリフディンによる合計3ゴールで、サバの反撃を2点に抑えて逃げ切っています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月13日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 3-2 サバ
⚽️クランタン:アレクサンドレ・ヤウーレ(7分)、シメン・リンボ(18分)、アスラフ・アリフディン(23分)
⚽️サバ:ダレン・ロック(9分)、アジディン・ムヤギッチ(90+7分PK)


ジョホールはクチンに苦戦も逆転勝利で首位固め

ジョホールはクチンに先制を許すも、後半の2ゴールで逆転して開幕から15連勝を達成しています。

ホームのジョホールが優勢に試合を進める中、クチンもラマダン・サイフラーとロナルド・ンガを中心に積極的に攻め込む展開の中、先制したのはクチンでした。40分にペトラス・シテムビからの絶妙のパスがジョホールのオフサイドトラップをうまく抜け出したラマダンへ。これをゴール前に流すと、そこへ走り込んできたスコット・ウッズが蹴り込みます。VARが入ったもののこれが認められて、前半はクチンがリードして終了します。

後半の55分、ジョホールはキャプテンのナチョ・インサがオフザボールの場面でウッズへヘッドバッドし、1発レッドカードで退場となってしまいます。1点ビハインドの状況で10人となったジョホールでしたが、57分、交代出場のマヌエル・イダルゴのクロスをクチンDF陣が不十分なクリアだったところを、ナチョ・メンデスがペナルティエリアの外からゴール左隅にボレーシュートを叩き込み、同点に追いつきます。

さらにイダルゴは、64分の逆転弾もアシストします。ニアポストでラヴェル・コービン=オングからパスを受けると、ファーサイドでフリーのベルグソン・ダ・シウバへ浮き玉で絶妙なパスを送ると、これをベルグソンがボレーシュートでゴールを決め、ついに2-1とジョホールがリードすると、このまま逃げ切り開幕から15連勝を達成しています。またこの勝利で、ジョホールは国内リーグ99戦連続無敗と記録を更新しています。

クアラルンプールにローン移籍しながら、シーズン前半を終えると呼び戻されたマヌエル・イダルゴが前節のヌグリ・スンビラン戦に続きキーマンとなったジョホールは、これで、2位争いを繰り広げているクアラルンプール、スランゴール、クチンの3チームを撃破し、2位のスランゴールとの勝点差を14に広げるとともに、リーグ12連覇にまた一歩近づいています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月14日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ
ジョホール 2-1 クチン
⚽️ジョホール:ナチョ・メンデス(58分)、ベルグソン・ダ・シウバ(64分)
⚽️クチン:スコット・ウッズ(41分PK)


クアラルンプールは好調ペナンに惜敗

スランゴール、クチンシティと2位を争うクアラルンプールが、前節のサバ戦に続き、またも下位チーム相手に勝点を落としています。

この試合では、2連勝中と好調のペナンが開始からホームのクアラルンプールにプレッシャーをかけます。開始2分には5試合ぶりの先発となった鈴木ブルーノからのパスを受けたフィルダウス・サイヤディがシュートを放つなど果敢に攻め込みます。

そして35分、ペナンはこの試合が2試合目の出場となった新加入のエリック・ブレンドンのコーナーキックをステファノ・ブルンドが頭で落とすと、そのボールをフェイス・フライデー・オビロルが見事なバイシクルキックのシュートを決めます。このゴールにはVARによる7分という長さの検証が入ったもの、最終的には認められてペナンが先制します。

後半に入ると、60分にはクアラルンプールのザフリ・ヤハヤが放ったロングシュートが決まったかに思えましたが、これはVARにより取り消されてしまいます。その後も70分のパウロ・ジョズエのフリーキックはペナンGKラマダン・ハミドがパンチングで逃れ、75分のサファウィ・ラシドのフリーキックはゴールポストにあたるなど、いずれも得点とはなりません。

ペナンは89分にアディブ・ラオプが2枚目のイエローで退場となり、10人でのプレーを余儀なくされたものの、逃げ切って今季初の3連勝を3試合連続無失点で飾るとともに、今季最高位の7位まで順位を上げています。

一方のクアラルンプールは、今季中盤をになっていたMFシャミル・クティがローン期間終了でジョホールに戻ったこともあり明らかに戦力ダウンし、今季ここまではジョホールに敗れた1敗のみでしたが、まさかのペナンに敗れて2敗目を喫しています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月14日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプール 0-1 ペナン
⚽️ペナン:フェイス・フライデー・オビロル(36分)


ホーム初采配のキム監督率いるスランゴールが連勝で2位浮上

前節からスランゴールを指揮するのは、前マレーシア代表監督のキム・パンゴン新監督は、ホームのMBPJスタジアムは初采配。この試合はスタンドから観戦しましたが、バックスタンドが今季初の売り切れとなるほど多くのサポーターがこの試合に足を運んでいます。観客の入りも首位のジョホールを迎えた1月4日の第14節より明らかに良く、キム監督への期待が大きいことが伝わります。

しかし相手のヌグリ・スンビランは、スランゴールが第14節に0−2で敗れたジョホールを相手に前節第15節では90分間無失点に抑え、アディショナルタイムの失点で敗れるなど調子を取り戻しつつあり、油断は禁物です。

そんな両チームの試合は開始からスランゴールが主導権を握り、開始2分でクリゴール・モラエスがシュートを放つなど、ヌグリ・スンビランを圧倒します。しかし前節のジョホール戦でベルグソンを抑えた大城蛍とルイス・エンリケ・ンスエの両CBとGKアズリ・ガニを中心に、ヌグリ・スンビランも粘り強く守ります。

前半を両チーム無得点で折り返すと、ペースを上げたスランゴールがさらにヌグリ・スンビランを圧倒し、ついに60分、キム監督就任以来、前線まで上がってプレーする機会が増えたノーア・ライネが2戦連続となるゴールを頭で決めて、ついにスランゴールがリードを奪います。

終盤には、スランゴール、ヌグリ・スンビランとも激しくせめぎ合いますが、結局、ライネ選手のゴールがこの試合唯一の得点となり、スランゴールがジョホールに続き、今季10勝目を挙げ、2位争いを一歩リードしました。

ヌグリ・スンビランにとっては、ジョセフ・エッソとともにチーム得点トップのヨヴァン・モティカが体調不良のため2戦連続でベンチ外だったこと。ジョホール戦に続き、この試合も無得点で敗れています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月14日@MBPJスタジアム
スランゴール 1-0 ヌグリ・スンビラン
⚽️スランゴール:ノーア・ライネ(61分)


マラッカが今季2勝目で、エラバラサン新監督は初勝利

初采配となった前節のペナン戦では0−5と惨敗したマラッカのE・エラバラサン監督が嬉しい初勝利を挙げるとともに、チームも5試合ぶりの勝利で今季2勝目を挙げています。

55分にシャレル・フィクリのヘディングシュートで先制したマラッカは、3分後にPDRMのバドルル・アフェンディのオウンゴールで追加点を奪うと、最後はアジム・ラヒムのゴールでダメ押し点を上げて勝利しています。

前半戦を1勝3分6敗の12位で折り返したマラッカは、190cmの長身MFディノ・カレシッチ(ボスニア2部NKチェリク・ゼニツァから加入)、PDRMから移籍したDFノエル・アグブレ、マレーシア人DFのV・ルヴェンティラン(フィリピン1部アギラスUMakから加入)などを現在開いているトランスファーウィンドウで次々と獲得し、チーム再建に着手しています。一方、1勝3分10敗とマラッカと最下位を争うPDRMは、給料未払いにより新規選手の獲得をリーグから禁止されている中、前述のノエル・アグブレや、インドネシア1部バヤンカラへ移籍したFWバーナード・ドゥムビアクチンシティ移籍が噂されているMFアフマド・イスライワーらがチームを去るなど、後半も苦しい状況が続きそうです。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第16節
2025年1月14日@ハン・ジェバ・スタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ 3-0 PDRM
⚽️マラッカ:シャーレル・フィクリ(55分)、バドルル・アフェンディ(58分OG)、アジム・ラヒム(90分)


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第16節終了)

チーム勝点
1ジョホール1515006866245
2スランゴール15101433161731
3クアラルンプール1585226141229
4クチン148422781928
5トレンガヌ157352823524
6ヌグリ・スンビラン144552019117
7ペナン155281926-717
8DPMM155282039-1917
9イミグレセン144372228-615
10サバ143561929-1014
11クランタン154291330-1714
12マラッカ14239933-249
13PDRM1513111144-336

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第16節終了)

得点選手名所属
116クリゴール・モラレススランゴール
214ベルグソン・ダ・シウバジョホール
312ジャイロ・ダ・シウバジョホール
49ロナルド・ンガクチン
58サファウィ・ラシドクアラルンプール
8アジディン・ムヤギッチサバ
77アリフ・アイマンジョホール
7ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
96ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
6ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン
6チェチェ・キプレペナン
6エドゥアルド・ソーサイミグレセン