国外で生まれながらマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手による代表強化を進めてきたマレーシア。そして2025年にはブラジル、アルゼンチン、スペイン、オランダといったサッカー強豪国出身のヘリテイジ帰化選手7名が突如現れます。彼らのおかげ、東南アジアの強豪、ベトナムを11年ぶりに破るなど快進撃を続けたマレーシアは、2025年を7勝1分と無敗で終え、FIFAランキングは何と20年ぶりに110位代まで上昇するなど大躍進しました。
しかしそんなバブルが弾けたのが、その7名のヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題の発覚です。降って涌いたような話にはやはり裏がありました。FIFAは7選手には12ヶ月の出場停止を科し、そしてマレーシアは彼らが出場した国際Aマッチ3試合の結果はいずれもマレーシアが0-3で負けとなる処分を受け、4月から右肩上がりだったFIFAランキングが下がりました。
FIFAの裁定を不服とするマレーシアサッカー協会(FAM)は現在、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴中ですが、裁定が覆る可能性は低く配色濃厚です。またCASでも上訴が却下されれば、今度はAFCによる処分が待っています。マレーシアはAFCアジア杯2027予選で既に5試合を戦いましたが、初戦のネパール戦と第2戦目のベトナム戦にはヘリテイジ帰化選手が出場していることから、この2試合も試合結果が無効となる可能性があります。アジア杯予選では首位のマレーシアですが、試合結果が無効となればベトナムに次ぐ2位に陥落します。しかしさらに怖いのは2027年大会に続く2031年大会予選出場禁止処分の可能性があること。今回と似たケースでアジア杯2019予選でブラジル出身の複数の選手に国籍を付与して出場させた東ティモールは、次大会となるAFCアジア杯2023予選への出場禁止処分をAFCから受けています。この例に倣えば、マレーシアはアジア杯2031予選への出場資格剥奪処分をAFCから受ける可能性があります。
今回はヘリテイジ帰化選手に振り回された2025年を振り返ります。
1月
1月1日:ピーター・クラモフスキー代表監督就任
前年の2024年7月に蔚山HD監督に就任するためにキム・パンゴン氏(現トンガ代表監督)が代表監督を辞任した後は、暫定監督を置いて代表戦を戦ってきたマレーシア代表。同年12月16日にマレーシアサッカー協会(FAM)がその後任としてに発表したのは前FC東京監督のピーター・クラモフスキー氏でした。
都合7年を過ごした日本のサッカーファンには、FC東京や横浜Fマリノスコーチ、清水エスパルスやモンテディオ山形の監督を歴任したことが知られていますが、英国プレミアリーグの人気が高いマレーシアのメディアでは、トットナム・ホットスパーズのアンジ・ポステコグルー監督(当時)の「右腕」と紹介されました。
2月
2月15日:FAMの新会長にモハマド・ジョハリ氏が就任
前FAM副会長だったジョハリ氏は、現職のハミディン・アミン会長が再選を目指さなかったことから、単独候補として選出され、無投票で当選しています。
2016年に会長に就任したジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、マレーシア代表のFIFAランキングが過去最低となる178位まで下がった際に批判を受けると、就任からわずか1年であっさりと辞任。その後任として、当時FAM事務局長だったハミディン氏が2018年7月に会長に就任しました。ハミディン氏は2021年に再選されて、会長職2期目となり、今年2025年までが任期でした。
3月
3月18日:ガブリエル・パルメロとエクトル・ヘヴェルがマレーシア国籍取得
この日にマレーシア国籍を取得したスペイン生まれのDFパルメロ選手は3月17日に、オランダ生まれのMFヘヴェルは3月18日にそれぞれ国籍取得申請を行なったことが、後述する10月6日にFIFAが公開した報告書で明らかにされています。パルメル選手は新生の1日ごに、へヴェル選手は申請したその日のうちに国籍が付与されたことになります。
3月19日:FAMがへヴェル選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際にはへヴェル選手の祖父がマレーシアのマラッカ生まれであることを示す出生届のコピーも提出されました。
3月20日:FAMがパルメロ選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際にはパルメロ選手の祖母がマレーシアのマラッカ生まれであることを示す出生届のコピーも提出。
3月24日:FIFAがへヴェル選手にマレーシア代表としてプレーする資格ありとFAMに書簡で回答
3月25日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア2-0ネパール
クラモフスキー監督初采配となるアジア杯2027予選の初戦はマレーシアが快勝。この試合では、前日にマレーシア代表としてのプレーが認められたへヴェル選手が早速、代表デビューを先発で飾り、先制ゴールも決めています。またパルメロ選手はベンチ外でした。
4月
4月3日:2025年第1回のFIFAランキング発表で、マレーシアは前年2024年11月の132位から131位へ上昇
5月
5月29日:国際親善試合 マレーシア 1-1 カーボベルデ
国際Aマッチとして行われた試合は、FIFAランキング132位(当時)のマレーシアが同72位(当時)と格上のカーボベルデ相手に引き分けと大検討。なおこの試合でパルメロ選手がマレーシア代表デビューを果たしています。
6月
6月3日:ジョアン・フィゲイレド、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョン・イラザバルの5選手がマレーシア国籍取得
ブラジル生まれのFWフィゲイレド選手、いずれもアルゼンチン生まれのDFガルセス、FWオルガド、FWマチュカの3選手、そしてスペイン生まれのDFイラザバル選手は、ガルセス選手は6月1日に、他の4選手は6月3日に国籍取得申請を行ったことが後述する10月6日にFIFAが公開した報告書で明らかにされています。ガルセス選手は申請の2日後、他の4選手は申請当日に国籍が付与されるというスピードでした。
6月6日:FAMがフィゲイレド、ガルセス、オルガド、マチュカ、イラザバル各選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際には選手の祖父母がペナン、ジョホール、サラワク生まれであることを示す出生届のコピーも提出しています。
6月9日:FIFAが3月に照会があった5選手がマレーシア代表としてプレーする資格ありとFAMに書簡で回答
6月10日:アジア杯2027予選 マレーシア 4-0 ベトナム
マレーシアの対ベトナム戦の勝利は11年振り。この試合には今年に入ってマレーシア国籍を取得したヘリテイジ帰化選手7名全員が出場し、代表デビューとなったフィゲレイド選手が先制点、2点目は同じく初代表戦となったオルガド選手が挙げています。
6月11日:前日のベトナム戦に出場したヘリテイジ帰化選手5選手について、公式の不服申し立てをFIFAが受領
これが明らかになったのは4ヶ月後の10月7日のことでした。これを明らかにしたFIFAのホルヘ・ポラシオ控訴委員会副委員長は、前日のベトナム戦に出場したヘリテイジ帰化選手5名について、マレーシア国籍取得から代表戦出場までの期間があまりにも近いことについての不服申し立てであることは公表しましたが、その不服申し立てを行ったのは誰(あるいはどの組織)なのかは明らかにしていません。
7月
7月6日:ディオン・クールズがマレーシア人初となるJリーグデビュー
ベルギー人の父親とマレーシア人の母親を持ち、2021年から代表でもプレーするクールズ選手は、ベルギー、デンマーク、チェコなどのクラブを経て、タイリーグ王者のブリーラム・ユナイテッドに移籍すると、2023/24、2024/25と2年連続となる国内三冠達成に貢献します。そしてタイリーグ終了後の6月3日にJリーグのセレッソ大阪に完全移籍したクールズ選手のJ1デビューは、今季第23節、7月5日のガンバ大阪戦でした。72分からの途中出場でしたが、その後は出場時間を増やし、終わってみればリーグ戦19試合中14試合出場(先発10試合、途中出場4試合)と主軸として活躍しました。
7月10日:2025年第2回のFIFAランキングが発表され、前回4月の131位から125位へ上昇
6月に格上のベトナム相手に勝利していたこともあり、6ランクを大きくアップしました。マレーシアのFIFAランキングが120位代となったのは2006年5月以来19年ぶりのことです。
7月21日:東南アジアサッカー連盟(AFF)U23選手権2025で、マレーシアはグループステージ敗退
グループステージでは、この大会で準優勝を果たすフィリピンに敗れるなど、1勝1分1敗で敗退しています。
8月
8月22日:FIFAの規律委員会が第22条(書類の偽造及び改ざん)違反の疑いで、マレーシアサッカー協会(FAM)と7名のヘリテイジ帰化選手に対する懲戒手続きを正式に開始
調査の結果、7名のヘリテイジ帰化選手の祖父母全員がマレーシア国外で生まれたことを示す出生届の「原本」が「発見」されたことをFIFAの規律委員会が発表。この後、マレーシアサッカー協会(FAM)からFIFAに提出されていた7選手の祖父母の出生届については、「原本」が見つけられなかったため、マレーシア政府の国民登録局により『原本が再発行されていた』ことも明らかになりました。またFIFAはFAMに対して、9月22日を期限として、この件についての説明と回答を求めました。
8月27日:FAMのモハマド・ジョハリ会長が就任から半年で辞任
今年2月に就任したばかりのモハマド・ジョハリ会長が「個人的な理由」で突如、辞任しています。任期は2025年から2029年まででしたが、就任からわずか半年での辞任には、「見えない手」が動いたのではなどといった噂も流れましたが、真相は藪の中です。
9月
9月8日:国際親善試合 マレーシア 2-1 シンガポール
国際Aマッチとして行われたこの試合にはフィゲイレド、パルメロ、ガルセス、イラザバルの4選手が出場し、フィゲイレド選手はゴールも決めています。
9月8日:国際親善試合 マレーシア 1-0 パレスチナ
国際Aマッチとして行われたこの試合にはオルガド、フィゲイレド、パルメロの3選手が出場し、フィゲイレド選手は2戦連続となる決勝ゴールも決めています。
9月9日:AFC U23アジア杯2026予選敗退
タイ、レバノンなどと同組となった予選では、1勝2敗で4チーム中3位で敗退しています。
9月18日:2025年第3回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回7月の125位から123位へ上昇
ここまで今季無敗のマレーシアは2ランクアップしています。
9月22日:FAMとヘリテイジ帰化選手7名がFIFAに対して公式回答と弁明書を提出
その中で各選手は、マレーシア当局が検証した文書に基づき、誠意を持って行動したと主張し、国籍偽装の意図があったことを否定しています。さらにFAMは「我々も選手たちも、FIFAに提出された文書が偽造されている可能性を全く認識していなかった。現在、偽造とされている文書は、いずれも我々が作成したものではない。」と回答したことが後に明らかになっています。
9月25日:FIFAの規律委員会がFAMと7選手に対しての処分を発表
FAMには35万スイスフラン(およそ6,900万円)の罰金、また国籍を偽装したとされるヘリテイジ帰化選手7名には、2,000スイスフラン(およそ40万円)と12ヶ月間のあらゆるサッカー活動への関与の禁止が言い渡されています。処分を受けたのは、いずれも今年に入ってマレーシア国籍を取得した7名のヘリテイジ帰化選手7選手で、FIFAの規律委員会は、FAMが提出した書類には改ざんがあり、この7選手にはマレーシア代表としての試合出場資格がないにも関わらず国際Aマッチに出場したことを処分理由としています。
9月27日:FAMは処分内容の見直しを求めて、FIFAの控訴委員会へ上訴
FAMは該当7選手がマレーシア代表としてプレーする資格があることを示すためにFIFAに提出した書類は本物であるとして、上訴を行うことを発表しています。
9月29日:FAMはFIFAに提出した書類に「形式的な誤り」があったことを認める
FAMは上訴を行うことを発表した翌日、事務局職員によるFIFAへの書類提出において「技術的なミス」を発見し、現在内部調査中であると発表しています。しかしその一方で、今回の処分対象となっている7選手は正式な手続きを経てマレーシア国籍を取得したことを、記者会見の席上でノー・アズマンFAM事務局長が説明しました。
10月
10月6日:FIFAの控訴委員会は、FAMと該当7選手が提出した書類の改ざん内容を説明する報告書を公開。
この報告書で明らかになったのは、FIFAによる調査の際に、マレーシアへの帰化手続きを行う国家登録局からの説明で「選手の祖父母の出生届の原本が国籍申請の一部として提出されたことは一度もなかった」という声明があったことでした。さらに国家登録局は「アルゼンチン、ブラジル、スペインからの文書と『二次情報』に基づいて、『新たに独自の出生届』の写しを発行した」とも説明しています。これらの説明により、FIFAはFAMがヘリテイジ帰化選手の資格についての検証プロセスが一次資料に基づいておらず、FAMのデューデリジェンス(Due Diligence、当然行われるべき注意や努力)が徹底されていないとしました。
10月7日:FAMはFIFAの報告書の内容を不正確と否定する声明発表
FAMは、7名のヘリテイジ帰化選手に関するFIFAの調査結果について、選手たちが「偽造文書を入手した、あるいは知っていた」という主張には根拠がなく、確固たる証拠も提示されていないという声明を発表しています。その上で、今回の問題は、FAMの事務局職員が誤って国家登録局発行の公式文書ではなく、選手代理人が発行した文書をアップロードした事務上のミスが原因だと説明しています。さらに今後は、マレーシア政府が発行した真正かつ検証済みの文書を用いて、「マレーシアサッカーの公正性を守る」ために異議申し立ての準備を進めているとしています。
10月9日:7選手への国籍付与は正当な手続きによるものであると担当大臣が説明
マレーシア政府のサイフディン・ナスティオン・イスマイス内務相は、7選手への国籍付与はマレーシア憲法および国内法に基づき行われたことを国会で答弁しています。その一方でマレーシア政府による国籍付与条件と、FIFAの設ける代表選手資格は全く別の問題であると指摘し、この問題はFAMとFIFAとの間で解決されるべきとも述べています。
10月9日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 3-0 ラオス
FIFAによる処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名は全員がベンチ外でした。
10月14日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 5-1 ラオス
FIFAによる処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名は全員がベンチ外でした。
10月17日:FAMが事務局長を無期限職務停止することを発表
FAMは、7選手の代表チーム出場登録申請の責任者だったノー・アズマン・ラーマン事務局長の無期限職務停止を発表しています。
しかし職務停止処分を受けた後もノー・アズマン事務局長は、11月にマレーシアを訪れたFIFAのインファンティーノ会長と談笑する様子がメディアで取り上げられ、FAMの処分の有効性に疑問の声も上がりました。
10月17日:2025年第4回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回9月の123位から118位へ上昇
マレーシアのFIFAランキングが110位代となったのは2005年11月に116位となって以来20年ぶりのことでした。
10月27日:FAMが国籍偽装疑惑に関わる内部調査を行う独立調査委員回設置を発表
FAMは、FIFAから処分を受けたヘリテイジ帰化選手7名に関する書類問題を調査するため、ムハンマド・ラウス・シャリフ元最高裁判所長官を委員長とする独立調査委員会を設置することを発表しました。FAMはこの調査委員会が公平性と透明性を確保するため、FAM関係者の関与なく独立して運営されると説明し、徹底的かつ専門的な調査を行うとしています。
11月
11月3日:FAMによる上訴をFIFAの控訴委員会が却下
11月3日:独立調査委員会が初会合開催
ムハンマド・ラウス・シャリフ委員長は、独立委員会の他の3人のメンバーとの初会合後に記者会見し、「6週間以内に調査を完了し、FAMに報告書を提出するよう努める」と述べています。
11月18日:FIFAが第2弾となる報告書を公表
この報告書では、ニコラス・プッポ、フレデリコ・モラエス両代理人とノー・アズマンFAM事務局長が7選手の国籍偽装に使われた偽の「祖父母の出生届」作成に関与した可能性について「さらに詳細な捜査」を推奨するとともに、この7選手の母国であるブラジル、アルゼンチン、スペイン、ベルギーの捜査当局に対しても捜査を推奨しています。
11月18日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 1-0 ネパール
処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名はこの試合も全員がベンチ外。2025年の最終戦を勝利で飾ったマレーシア代表は、年間通算成績を7勝1分で終えました。
11月19日:2025年第5回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回10月の118位から116位へ上昇
マレーシアのランキングが116位となったことで、4月の132位からは7ヶ月間で16ランクアップしていますが、これは2003年に119位から99位に上がって以来の大きな上げ幅となります。FIFAランキングの算出方法は2006年と2018年に変更されているので、過去のランキングとの単純比較はできませんが、それでも驚くべき上げ幅です。しかしこれがFIFAの規則違反のヘリテイジ帰化選手の力によるものだとすると、単純に喜べないどころか、その違反行為が逆にマレーシアのランキング下降をもたらすことも考えられます。
12月
12月8日:FAMがスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴
FIFA控訴委員会への上訴が却下されたことを不服としたFAMは、さらにスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴しています。なお、この記事の執筆時点ではその判決はまだ出されていません。
12月16日:独立調査委員会が調査報告を公表-FAMの手続きの問題点指摘も書類偽装者は特定できず
FAMが10月26日に設置を発表した独立調査委員会は最終報告をまとめ、これをFAMに提出しています。この報告の中で、7名のヘリテイジ帰化選手のマレーシアとのルーツを裏付けるために使用された複数の重要書類に、十分な真正性と裏付けとなる証拠が欠けていると結論付け、FAMの事務手続きに重大な欠陥があると指摘しています。また、FIFAへの提出前に書類上の問題を検出するための内部チェック体制も不十分であったと指摘しています。
さらに報告では、調査の過程で「7選手の祖父母の出生届を真正と認証した*公証人のリー・リンジー弁護士を含めた複数の人物の協力が得られず」「7選手の代理人を務めたニコラス・プッポ、フレデリコ・モラエス両氏の所在先が不明」など証人喚問や原本提出を強制する法的権限がないため、書類を偽装した首謀者を特定できなかったことも明らかにしてます。
*公証人:特に公文書および国際文書を認証し、その真正性を証明する権限を有する法的に任命された人物。
また書類の真正性が確認されておらず、出生届の原本も国家登録局から入手できなかったにもかかわらず、書類をFIFAに提出するよう指示したのはノー・アズマンFAM事務局長(現在は無期限停職処分中)であると認定し、ノー・アズマン事務局長には懲戒処分を下すべきであると勧告しています。
さらにFAMに対しては、公文書偽造疑惑はマレーシア刑法上の犯罪行為である一方で、犯罪行為を捜査する権限は独立調査委員会にはないため、本格的な刑事捜査を可能にするため、警察への報告書提出も要請しています。
この報告では、7選手に付与されたマレーシア国籍は合法と明言している一方で、マレーシア政府による7人の選手への国籍付与決定の有効性について審査、評価、あるいは疑問を呈する権限は独立調査委員会にはなく、それを判断する権限を持つのはマレーシアの裁判所と述べるなど、なんとも歯切れの悪い内容が並び、結局は時間と費用を無駄遣いしただけ、と言った声がこの報告発表後には上がりました。
12月17日:FIFAが処分を受けたヘリテイジ帰化選手が出場した国際Aマッチ3試合をいずれもマレーシアの不戦敗とすることを発表
この国際Aマッチとは、今年5月のカーボベルデ戦、同9月のシンガポール戦とパレスチナ戦のいずれも国際親善試合です。FIFAはこの3試合の結果をいずれも0−3でマレーシアの負けとすることを決定しています。
12月18日:第33回東南アジア競技大会でU22代表が銅メダル獲得
東南アジアのオリンピックとも言われる東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、男子サッカーは各国のU22代表が対戦します。この大会でマレーシアは2017年の第29回大会での銀メダル獲得以来4大会ぶりとなるメダルを獲得しています。この大会で3位決定戦に回ったマレーシアはフィリピンを2-1で破り、銅メダルを獲得しています。A代表とは異なり、ヘリテイジ帰化選手が1人もいないU22代表が戦前の下馬評を覆しました。
12月22日:2025年最後となる第5回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回11月の116位から121位へ下降
FIFAが12月17日に発表した国際Aマッチ3試合の結果が2勝1分から0勝3敗とされたことにより、ランキングを決めるポイントも剥奪(はくだつ)された結果、今年4月の132位から順調に116位まで上がってきた順位ですが、ここからは今後の処分次第でさらに加工する可能性があります。
12月22日:FAMは独立委員会の報告を公式サイトからわずか1日で突如削除
FAMが設置した独立捜査委員会の報告書は、12月21日よりFAMの公式サイト上で閲覧が可能でしたが、この日、突然削除されています。FAMのユソフ・マハディ会長代理は、報告書の公開に異議はないと述べる一方で、報告書の公開時期についてはスポーツ仲裁裁判所(CAS)で進行中の訴訟手続きに影響を与える可能性があると説明しています。なおユソフ会長代理は、法的手続きが完了次第、この報告書は再び公開されるということです。
