12月2日のニュース<br>・2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ試合結果とハイライト映像:決勝の組み合わせは4連覇を狙うジョホール対27年ぶり決勝進出のサバに決定<br>・U17アジア杯予選:全勝対決もベトナムに大敗のマレーシアは本戦出場を逃す<br>・国際プロサッカー選手会が、FIFAによる国籍偽装が疑われるマレーシア代表7選手へ処分を批判

決勝の組み合わせは4連覇を狙うジョホール対27年ぶりの決勝進出のサバに決定

11月30日にマレーシアFAカップの準決勝2ndレグが行われ、ジョホール・ダルル・タジムとサバが決勝進出を決めています。

ジョホールがクチンを完封で4連覇に王手

この試合のジョホールの先発XIでは、11月18日のアジア杯2027年大会予選ネパール戦では、開始9分でケガのため途中退場したアリフ・アイマンはこの試合でもベンチ外でした。(ちなみにアリフ選手は自身のSNSに検査・治療のため出国したことを投稿しています)。一方のクチンは、カップ戦6ゴール、そしてリーグ戦7ゴールといずれもチーム最多ゴールを挙げているロナルド・ンガが警告累積のため出場停止となっています。

11月9日にクチンのホームで行われた準決勝1stレグでは。ジョホールが2−1と勝利しており、ジョホールは引き分け以上で決勝進出が決まります。またこの試合はマレーシア代表でも正GKのジョホールGKシーハン・ハズミと、代表の第二GKハジク・ナズリの対戦でもあります。ちなみに27歳のハジク選手は昨季までの8シーズンはジョホールに所属していましたが、29歳のシーハン選手とのポジション争いに敗れ、今季からはクチンに所属しています。

試合は守備的布陣のクチンに手を焼いたジョホールが26分、クチンDFが一瞬、隙を見せたところをベルグソン・ダ・シウバがゴールを決めて先制します。このゴールで通算成績が2ゴール差となったクチンは反撃を仕掛けたいところでしたが、この試合最初のシュートが40分過ぎと、チャンスを作ることができません。

後半に入ってもクチンはこの試合のMOMとなったGKハジク・ナズリが好セーブを連発しますが、83分に失点して万事休す。通算成績を4−1としたジョホールが12月14日のFAカップ決勝進出を決めるとともに、4季連続通算5度目のFAカップ優勝に王手をかけています。

2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ
2025年11月30日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ・スタジアム)
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 クチン・シティ(通算成績4-1)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シウバ(26分)、エディ・イスラフィロフ(83分)
MOM:ハジク・ナズリ(クチン・シティ)


サバがスランゴールとのPK戦を制して27年ぶりの決勝進出

11月9日にサバのホームで行われた準決勝1stレグでは0−0で終わっています。スランゴールのホームで行われたこの日の試合は無観客で行われています。理由は10月29日に同じMBPJスタジアムで行われたヌグリ・スンビランとのFAカップ準々決勝2ndレグでの観客への迷惑行為と警備措置違反です。サポーターによる観客席破壊や爆竹の投げ込みなどがあり、マレーシアサッカー協会(FAM)の規律委員会は主催義務を遵守していないとして、罰金と10万リンギ(およそ380万円)とFAカップ2試合を無観客で行う処分を下しています。スランゴールはこれに対して異議申し立てを行いましたが、FAMの控訴委員会はこれを却下しています。(スランゴールはこれを不服として、さらにアジア国際仲裁センターに控訴しています。)

試合はホームのスランゴールがリードを奪えば、すかさずサバが追いつく展開となりました。スランゴールに悔いが残るとすれば73分にファイサル・ハリムがこの試合2点目となるゴールを決めて逆転してからの展開でした。とにかく逃げ切るでもなく、かと言って追加点を奪って引き離しにかかるでもないものでした。

その一方でスランゴールに明らかに不利な判定に思えるものもありました。その一つがスランゴールDFライミ・シャムスルが自陣ペナルティエリア内でファルハン・ロスランを倒した場面でした。サバの同点ゴールにつながるPKとなったこのプレーはVARも介入しませんでした。さらにアディショナルタイムで出されたママドゥ・ディアラへのレッドカードはVARのチェックがありましたが、1発レッドほどの反則には見えませんでした。

PK戦に入った試合は、サバGKダミアン・リムがスランゴールのハリス・ハイカル、モハメド・アブアルナディの2本のPKを止めてサバに勝利をもたらし、27年ぶりの決勝進出に導いています。

2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ
2025年11月30日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 3-3 サバ(通算成績5-5、PK戦4-5)
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム2(33分、73分)、クリゴール・モラレス(51分)
⚽️サバ:デイン・インガム(47分)、アジディン・ムヤギッチ2(62分、88分PK)
MOM:ダミエン・リム(サバ)


U17アジア杯予選:全勝対決もベトナムに大敗のマレーシアは本戦出場を逃す

U17アジア杯2026年大会予選C組の最終節が行われ、いずれもここまで全勝のマレーシアとベトナムが対戦し、マレーシアはベトナムに0-4で敗れて、来年2026年にサウジアラビアで開かれる本大会出場を逃すとともに、前回2023年大会まで続いていた連続出場記録が4で途絶えました。

この予選の前に行ったクロアチアでの合宿では、クロアチアU16代表と対戦して0−11で敗れるなど、ジョホール・ダルル・タジムのユースチームのコーチから転身したスペイン出身のハビエル・リベラ監督に批判が集まっていましたが、それでも予選が始まると、イマン・ダニシュ・シュコールのハットトリックなどで北マリアナ諸島に13-0と勝利、やはりイマン・ダニシュのゴールで香港を1−0で破りました。続くマカオ戦、そしてシンガポール戦でもイマン・ダニシュがそれぞれゴールを決めるなどして5−0、2−1で勝利していました。

最終節でのベトナムとの対戦は、同じ全勝とは言え、勝点差で6話されていたマレーシアは、予選突破のためには勝利が必要でした。しかし、開始4分でベトナムにリードを許すと、前半終了間際にも失点し、後半にも2点を失い0−4と完敗しています。

U17アジア杯2026年大会には東南アジアからは、ベトナムの他、タイ、インドネシア、ミャンマーが出場します。

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このU17代表の予選敗退により、マレーシアは今年行われたU19アジア杯をはじめ、U23アジア杯2026年大会、U17アジア杯2026年大会と年代別代表は全ての大会で予選は致しています。問題を起こしているヘリテイジ帰化選手による強化策によってFIFAランキングを上昇させ、ベトナムやタイに追いつけ追い越せの勢いのA代表とは違い、ヘリテイジ帰化選手なしの年代別代表では、地域内ではまだまだ太刀打ちできていないことを思い知らされます。またヘリテイジ帰化選手による強化策の負の側面が、年代別代表やそもそもの育成年代に表れていそうです。


国際プロサッカー選手会が、FIFAによる国籍偽装が疑われるマレーシア代表7選手へ処分を批判

国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が、国籍偽装が疑われるマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツがある帰化選手)7名にFIFAが科した12ヶ月間の出場停止処分について批判しています。

これを報じている英字紙スターの記事によると、FIFPROはこの処分を非常に不適切だとし、選手は自身の誤った行いではなく、事務方の手違いの「犠牲者」となっていると主張しています。

「実際のところ、該当選手たちはこの問題では被害者であるのは明らかだ。FIFAによる裁定の説明でも、マレーシア代表としてプレーする資格を得る目的で選手たち自身が書類を直接偽装したのではないこと、また、代表資格取得のために提出された書類が本物であるとも述べられている。」

「7名もの選手が同じ状況に置かれていることからも、書類偽装は選手一人一人が個人的に行った行為ではないことの証拠でもある。」

「さらに選手たちには自分たちが代表選手としてプレーする資格があるかどうかをFIFAに確認する方法さえない。なぜならばこれは現行の規則のもとでは義務化されていないからだ。」

といった声明を発表したFIFPROは、各国のサッカー協会がFIFAに提出した書類の内容に関して責任を持つのは困難だとも説明し、選手自身が発行、あるいは提出したわけではない書類の内容が正しいことを証明することも同様に困難だ、としています。

FIFFPROの声明では、該当選手たちは、1)個人文書を提出、2)マレーシア当局に出頭、3)国籍取得のための宣誓手続きを完了、4)政府発行のパスポートを取得、そして5)マレーシアサッカー協会(FAM)からの資格承認を待つ、という必要な手続きを踏んでいるともしています。そして全ての手続きは選手自身が管理できない組織によって行われたものであるにもかかわらず、選手たちは所属クラブから出場停止や契約解除といった深刻な影響を受けているとしています。

その上でFIFPROは、マレーシアサッカー協会(FAM)が予定しているFIFAの裁定に対するスポーツ仲裁裁判所(CAS)への控訴を全面的に支持するとともに、CASがFIFAによる「不当な採決」を覆すと強く信じていると、声明を結んでいます。

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FIFPROは、その役割から7名の選手生命を守るための声明を発表していますが、FIFAによる調査結果云々の前に、そもそも7名全員が自身の口からマレーシアにルーツを持っていることを公的に認めていない時点で、おそらくその事実はないのだろうとない推測できます。となると7名がマレーシア代表選手としてプレーする資格を得るための書類を提出する点で、全員が自分の祖父母の出生地を証明する書類が偽装されることは理解していたはず。それを横に置いての選手の権利の主張は、話題のすり替えにしか思えないのですが、この問題まだまだ解決には時間がかかりそうです。