11月18日のニュース<br>・辞任の噂をクラモフスキー監督自ら否定<br>・国籍偽装問題:FIFA控訴委員会が処分決定の理由を公表<br>・国籍偽装問題:FIFAはマレーシアサッカー協会の内部運営も調査か<br>・国籍偽装疑惑:FIFAはアルゼンチンやスペイン当局に文書偽造の調査を勧告

辞任の噂をクラモフスキー監督自ら否定

昨日のこのブログでも伝えたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督辞任の噂ですが、これをクラモフスキー監督自身が否定しています。

本日11月18日キックオフの2027アジア杯予選ネパール戦の試合前会見が行われ、その席上でこの噂を尋ねられたクラモフスキー監督は、キッパリと否定し、現在の契約が満了となる2026年末までマレーシア代表を指揮する意向を明らかにしています。

会見でクラモフスキー監督は、勝点3を獲得して予選F組首位の座を維持することでサポーターからの信用を得られるだろうと述べる一方で、アジア杯出場に向けては、一歩一歩積み上げていくことが重要であり、現在は明日(11月18日)の試合に向けて集中していると述べています。

11月10日からの代表合宿を経てネパール戦に向けてできる準備は全て行なったと述べたクラモフスキー監督は、11月13日に行なった親善試合でバングラデシュとの試合を2−2と引き分けたネパールは高いモチベーションで臨んでくるとして、楽な試合とはならないと考えていると話しています。

しかしマレーシア代表もケガから復帰のマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)やファイサル・ハリム(スランゴール)など全員が先発できる状態にあるとして、誰を起用するかに頭を悩ませていると話す一方で、サポーターにはこのチームを誇りに思ってもらえるようなサッカーを見せたいと意気込んでいました。


国籍偽装問題:FIFA控訴委員会が処分決定の理由を公表

FIFAの控訴委員会は、7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の国籍偽装のための文書偽造問題に関してマレーシアサッカー協会(FAM)と7選手に対する処分を維持する決定の理由を明らかにしています。

FIFAは11月18日に公式サイトを通じて、11月3日に発表されていた控訴委員会の決定に関する64ページにわたる詳細な報告書を公開しています。

FIFAの調査によると、FAMがFIFAに提出した書類には7選手の祖父母をマレーシア生まれと記載していたが、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、オランダから入手した記録により、彼らが関係国で生まれたことが証明された。

さらにFAMは矛盾した文書を提出、ルーツについても不当な主張をしながら、FIFAから繰り返し説明を求められたにもかかわらず適切な調査を行わなかったと告発されています。

偽造された文書は、7名の選手たちがマレーシア代表として試合に出場する上で重要な役割を果たし、その結果、6月のアジア杯予選ベトナム戦に4-0で勝利した試合では、7選手の内2選手が得点を挙げて勝利に貢献しとしています。

また控訴委員会は調査結果の中で、偽造はマレーシアに「不当な利益」を与えたと述べ、偽造は軽微なもの、あるいは単に事務上の問題であるというFAMの主張を完全に否定しいます。

控訴中、FAMはFIFAに対し、事務局長が一時的に職務停止処分を受けた他、ラウス・シャリフ元最高裁判所長官が率いる独立委員会が国内でこの問題を調査するために任命されたと伝えていましたが、FIFAの上訴委員会は、処分を覆す、あるいは軽減する根拠はないとの結論を下し、FAMの対応は誠実さを損ねるものだと主張しています。

9月にFIFAの規律委員会はFAMに35万スイスフラン(およそ6800万円)の罰金を科し、7人の選手にもそれぞれ2,000スイスフラン(およそ39万円)の罰金と12か月間のあらゆるサッカー関連活動からの出場停止処分を科しています。

今回処分を受けた7選手はスペイン出身のガブリエル・パルメロとジョン・イラサバル、アルゼンチン出身のファクンド・ガルセス、ロドリゴ・ホルガド、イマノル・マチュカ、ブラジル出身のジョアン・フィゲイレド、そしてオランダ出身のエクトル・ヘヴェルで、いずれの選手も祖父母がマレーシア国内生まれだとして、マレーシア国籍を取得した上でマレーシア代表として試合に出場しています。


国籍偽装問題:FIFAはマレーシアサッカー協会の内部運営も調査か

マレーシア語紙ブリタ・ハリアンによると、ヘリテイジ帰化選手7名が関与した文書偽造問題を受けて、FIFAはマレーシアサッカー協会(FAM)の内部運営について調査を行うようです。

FIFAの控訴委員会が11月18日に発表した64ページにおよぶ報告書では、控訴委員会は、提出された証拠と事件の審理結果に基づき、FIFA規律規定第30条、第35条、第55条(1)(f)および第55条(2)に従ってさらなる調査を開始する強力な根拠があると判断したと書かれているということです。

「この規定は控訴委員会に対して、不正行為のあらゆる側面またはその影響が十分に調査されることを保証する権限を与えている。この点に関して、控訴委員会は控訴委員会の事務局に対し、FAMの内部活動に関する正式な調査を開始するために直ちに措置を取るよう指示した。」

「この調査は、文書偽造の責任者を特定し、FAMのコンプライアンス体制と内部統制の妥当性と有効性を評価し、FAM職員に追加の懲戒処分を課すべきかどうかを判断することを目的とする。」

控訴委員会が発表した報告書の中で、「最初の調査対象として、FAMノー・アズマン事務局長(現在は職務停止処分中)と、今回の手続きで名指しされた2人の代理人、ニコラス・プッポとフレデリコ・モラエスの役割を検証する必要がある。彼らの関与は深刻な懸念を提起しており、徹底的な調査が必要だ」と新たに2名の代理人の名前が挙げられています。これはFAMによる会見では全く上がらなかった名前です。また今回の文書偽造の責任を負うべき個人あるいは団体が特定できないことにFIFAはFAM構造上の問題を指摘しています。


国籍偽装疑惑:FIFAはアルゼンチンやスペイン当局に文書偽造の調査を勧告

またFIFA控訴委員会の報告書では、マレーシア代表の7名のヘリテイジ帰化選手が関与した文書偽造疑惑は、該当国で裁判にかけられるべきだと考えており、関係5カ国にこの「犯罪」の調査を勧告しています。

「公文書の偽造という『犯罪』の性質と重大性を考慮し、控訴委員会は事務局に対し、ブラジル、アルゼンチン、オランダ、スペイン、マレーシアの管轄の刑事当局に通知するための適切な措置を講じるよう指示する。」

「偽造は刑事犯罪であり、適切な捜査と刑事訴訟が行えるよう当局に通知することが重要だ」とFIFAの報告書には記されています。