11月17日のニュース<br>・クラモフスキー監督辞任の噂もサッカー協会は否定

クラモフスキー監督辞任の噂もサッカー協会は否定

明日11月17日は2027アジア杯予選ネパール戦。2025年最後の代表戦ですが、何とこのタイミングでそのマレーシア代表を指揮するピーター・クラモフスキー監督の去就がSNSを中心に話題となっています。

このブログでも取り上げてきた通り、7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の国籍偽装疑惑で揺れるマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、クラモフスキー監督が辞任を検討しているのではとの憶測がSNS上で飛び交っています。その中には明日のネパール戦がクラモフスキー監督にとってマレーシアでの最後の試合になるかもしれない、と言った投稿なども流れてきます。

しかしこれを報じた英字紙ニューストレイツタイムズは、代表チーム関係者の話として、「クラモフスキー監督辞任の噂について『全く根拠がなく』『単なる雑音に過ぎない』と主張している」と伝えています。

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ネパールは11月13日に行われたバングラデシュとの国際親善試合に2−2で引き分けるなど調子は良いようですが、ヘリテイジ帰化選手7名を欠くマレーシアであっても順当に行けば勝利は間違いないでしょう。

今年1月に就任したクラモフスキー監督はこれまでの7試合を6勝1分としており、ネパール戦に勝利すれば、2025年を無敗で終えることになります。しかしその一方で2027アジア杯最終戦となる来年3月のベトナム戦は7名のヘリテイジ帰化選手不在、しかも今年6月の対戦ではケガでベンチ外だったブラジル出身の帰化選手で元J仙台のラファエルソンがベトナムのラインアップに復帰すれば、大敗する可能性があるだけでなく、最終戦に敗れることでアジア杯出場を逃しかねません。

また7選手の国籍偽装疑惑への処分について控訴予定のスポーツ仲裁裁判所(CAS)がFIFAの裁定を支持すれば、AFCはそれを理由にヘリテイジ帰化選手たちが出場したアジア杯予選3月のネパール戦と6月のベトナム戦はいずれも無効試合となり勝点6を失い、ベトナムと対戦する前に予選敗退が決定する可能性もあります。

そう考えるとクラモフスキー監督が明日のネパール戦後に代表監督して無敗のまま辞任すれば、自身のキャリアに傷がつくことも無いどころか、むしろ辞任には絶好のタイミングのようにすら思えてきます。またクラモフスキー監督は7選手へのFIFAによる裁定についてマレーシアサッカー協会(FAM)を激しく批判した一方で、マレーシア代表を「善意のサポーター」として支援するジョホール州皇太子(現在は摂政)のトゥンク・イスマイル殿下は「何も悪くない」と支持するなど、FAMとは一線を画しているようです。

もし大量のヘリテイジ帰化選手加入と自身のマレーシア代表監督就任がセットだったと仮定すると、帰化選手の代表チーム復帰の可能性が消滅した場合、クラモフスキー代表監督にとっては、当初の契約条件(明文化されているかどうかは別として)が反故になるわけです。言い換えれば、沈みつつある泥舟から逃げ出す絶好のタイミングであるとも言えますが、果たしてどうなるでしょうか。