ACL2敗退のスランゴールはCEOが逃げ、試合後はベンチ外だったキャプテンが怒れるサポーターに応対
11月6日にスランゴール州のMBPJスタジアムで行われたACL2グループステージG組第4節では、ホームのスランゴールFCが前半で挙げた2点のリードを守りきれず、後半に3得点を挙げたプルシブ・バンドンが逆転で勝利しています。
これによりスランゴールは2シーズン連続となるACL2グループステージ敗退が決まりました。この試合後には怒れるスランゴールサポーター数百人がスタジアム外に集まり、クラブ経営陣との対話を求めましたが、ジョハン・ハミドンCEOらは早々とスタジアムを去っており、サポーターを落ち着かせたはこの試合では膝のケガによりベンチ外だったキャプテンのファイサル・ハリムだったと報じられています。(ちなみにこの日は現地観戦しましたが、不穏な空気を感じたので、試合後には私はすぐにスタジアムを後にしました。)
サポーターらはファイサル選手に対して、経営陣に対して今シーズン当初から続く不安定なチーム状況の改善を直ちに行うことを求める、というメッセージを託したということですが、SNS上には、暴走した一部サポーターがハミドンCEOを探してスタジアムのVIPエリアに侵入しようとして保安係に止められる映像なども上がっています。
スランゴールは今季開幕からのリーグ戦5試合を2勝3敗でスタートすると、昨年11月に就任した喜熨斗勝史監督を解任しています。なお喜熨斗氏は2020年以降にスランゴールが解任した7人目の監督です。その一方で2016年に就任したジョハン・ハミドンCEOの元では国内タイトルは1つも獲得できておらず、度々サポーターからの批判を受けてきました。過去2シーズン2位のチームは現在、4勝1分3敗で6位、しかも首位のジョホール・ダルル・タジムからは勝点差14と大きく離され、さらにACL2では4戦全敗で敗退となっています。
今月のアジア杯予選に向けた代表27名が発表-キャプテンのマシュー・ディヴィーズが復帰
11月18日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われる2027アジア杯予選のネパール戦に臨むマレーシア代表27名が発表されています。10月に行われた同じアジア杯予選ラオス戦で招集された29名からDFシャールル・サアド(ジョホール)、リチャード・チン(スコットランド2部レイス・ローヴァーズ)、MFアフィク・ファザイル(ジョホール)、FWロメル・モラレス(ジョホール)が外れる一方で、ケガから復帰したキャプテンでDFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール)が復帰、さらにMFライアン・ランバート(クアラルンプール)が代表に初めて招集されています。なおマレーシア代表にはライアン選手の双子の兄弟、デクラン・ランバートも招集されていますが、代表チームで双子の兄弟が同時にプレーするのは2019年のアイディル・ザフアンとザクアン・アドハ兄弟以来2組目ということです。
直近のFIFAランキングでは2005年11月以来となる118位のマレーシアは、同180位のネパールとクアラルンプールで対戦しますが、この試合はネパールのホームゲームとして行われます。これは、試合会場となるはずだったネパール国内のスタジアムがアジアサッカー連盟(AFC)から承認を受けなかったため、自国での試合開催できなくなったことに伴う措置です。
なおネパールは2027アジア杯予選の初戦となった3月25日の試合もネパールで行う予定でしたが、このときはカトマンズのダシャラート・スタジアムが改修工事中だったため、ネパールサッカー協会(ANFA)がこの試合をマレーシアのホームゲームとするよう要請し、スルタン・イブラヒム・スタジアムに変更されていました。
ネパールへの移動が不要になったマレーシア代表は、マレーシア国内で本日11月10日から試合前日の17日まで代表合宿を行います。
2027アジア杯予選に向けた11月合宿に参加するマレーシア代表(全27名)
| P | 氏名 | 年齢 | 所属 |
| GK | シーハン・ハズミ | 29 | ジョホール |
| シーク・イズハン | 23 | スランゴール | |
| ハジク・ナズリ | 27 | クチン | |
| DF | ラヴェル・コービン=オング | 34 | ジョホール |
| マシュー・デイヴィーズ | 30 | ジョホール | |
| ジュニオール・エルドストル | 34 | ジョホール | |
| ハリス・ハイカル | 23 | スランゴール | |
| クエンティン・チェン | 26 | スランゴール | |
| デクラン・ランバート | 27 | クアラルンプール | |
| ダニエル・ティン | 33 | サバ | |
| ドミニク・タン | 28 | サバ | |
| アザム・アズミ | 24 | トレンガヌ | |
| ウバイドラー・シャムスル | 22 | トレンガヌ | |
| ディオン・クールズ | 29 | セレッソ大阪 | |
| MF | ナズミ・ファイズ | 31 | ジョホール |
| ノーア・ライネ | 23 | スランゴール | |
| ライアン・ランバート | 27 | クアラルンプール | |
| スチュアート・ウィルキン | 27 | サバ | |
| エンドリック・ドス・サントス | 30 | ホーチミン市公安 | |
| エゼキエル・アグエロ | 31 | カーンチャナブリパワー | |
| FW | アリフ・アイマン | 23 | ジョホール |
| ファイサル・ハリム | 27 | スランゴール | |
| アリフ・イズワン | 21 | スランゴール | |
| サファウィ・ラシド | 28 | クアラルンプール | |
| パウロ・ジョズエ | 36 | クアラルンプール | |
| ラマダン・サイフラー | 25 | クチン | |
| ジョーダン・ミンター | 30 | クチン |
国籍偽装疑惑のガブリエル・パルメロは所属クラブが契約を解除
国籍偽装が疑われるマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名に対してFIFAが罰金と12ヶ月の出場停止の裁定に対す控訴を却下した余波が現れ始めているようです。
英字紙ニューストレイツタイムズは、出場停止処分を受けたヘリテイジ帰化選手の1人でスペイン出身のDFガブリエル・パルメロが所属クラブから契約解除を発表されたと報じています。
11月3日にFIFAがパルメロ選手を含む7選手の控訴を却下したことを受け、期限付き移籍中であったスペイン3部のウニオニスタス・デ・サラマンカと、パルメロ選手の所属元であるクルブ・デポルティーボ・テネリフェが、パルメロ選手の期限付き移籍および契約を終了したと発表したということです。
ウニオニスタスによる11月7日の公式声明は以下の通りです。。
「ウニオニスタス・デ・サラマンカは、FIFAから9月25日に通知を受け、11月3日に選手の控訴が棄却されたことを受け、クルブ・デポルティーボ・テネリフェとガブリエル・パルメロのレンタル契約を解除することで合意した。この合意には、クラブ側に金銭的な負担は一切発生していません。ウニオニスタス・デ・サラマンカは、サラマンカ在籍中に示した選手の献身に感謝の意を表します。」
一方、テネリフェも声明を発表し、パルメロ選手とのとの契約が11月7日付で終了したこと発表しています。「ガブリエル・パルメロのウニオニスタス・デ・サラマンカへの期限付き移籍契約およびクルブ・デポルティーボ・テネリフェとの契約は、11月7日をもって終了した」
パルメロ選手は、マレーシア代表としてプレーするために書類を偽造したとしてFIFAから出場停止処分を受けたヘリテイジ帰化選手7名の1人です。この他に処分を受けているのは、ロドリゴ・オルガド、ファクンド・ガルセス、ジョン・イラサバル、ジョアン・フィゲイレド、ヘクトル・ヘーベル、イマノル・マチュカの6選手で、FIFAの控訴委員会は11月3日にパルメロ選手を含む7選手全員の控訴を棄却し、12か月間の出場停止と各選手に2,000スイスフラン(およそ38万円)の罰金という処分を確定させています。
なおパルメロ選手の他には、コロンビア1部のアメリカ・デ・カリが、同じく処分を受けたアルゼンチン出身のロドリゴ・オルガドとの契約を解除する手続きに入っていることをニューストレイツタイムズが報じています。
