2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節 試合結果とハイライト映像<br>・FAカップ準決勝の前哨戦はスランゴールが勝利<br>・クチンはロナルド・ンガのハットトリックなどで3位堅守<br>・イミグレセンが待望の1部昇格後初勝利

国籍偽装疑惑へのFIFAの処分に対して、7選手とマレーシアサッカー協会(FAM)が控訴を行いましたが、その最終判断が発表される予定だった10月30日から既に3日が経ちました。この間の報道によると、FIFAはこの件がマレーシアサッカー界だけでなく、今後世界中で帰化や資格問題がどのように扱われるかに関わる繊細な問題であることを理解しており、その規模と影響を考慮して、FIFAは慎重なアプローチを取り、最終判断を急いでいない、などと報じられています。

そんな状況下でもマレーシアスーパーリーグは平常運転。第9節の4試合が10月31日から11月1にかけて行われています。なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はマラッカFCの試合はありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


ジョホールは難敵トレンガヌを相手にジャイロのハットトリックなどで完勝

先日のFAカップ準々決勝ではクチン・シティに敗れて敗退が決まったトレンガヌ。そこから気持ちを切り替えて、という時に当たったのは絶好調のジョホールでした。

開始5分でベルグソン・ダ・シウバが自身の持つマレーシアスーパーリーグ最多ゴール記録を114に更新する先制ゴールを決めてジョホールがリードを奪います。しかしトレンガヌもケガから復帰し3試合ぶりの先発となった前ジョホールのアキヤ・ラシドを中心に反撃しますが、何度かあった同点機を逃します。そうする間にジョホールはコロンビア出身のマレーシア代表FWロメル・モラレスがゴールを決めてリードを広げ、前半を終了します。

後半に入ると途中出場のジャイロ・ダ・シルバが出場わずか3分でゴールを決めるとそこからトレンガヌのミスなどもあり出場からわずか16分でハットトリックを達成。大量点に守られたジョホールが完勝し、開幕から9連勝を飾っています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年10月31日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 0-5 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール;ベルグソン・ダ・シウバ(5分)、ロメル・モラレス(31分)、ジャイロ・ダ・シウバ3(64分、71分、77分)
MOM:ハイロ・ダ・シウバ(スランゴール)


FAカップ準決勝の前哨戦はスランゴールが勝利

奇しくも11月30日のFAカップ準決勝と同じカードとなったこの試合は、今季リーグ戦は未勝利のサバがホームにスランゴールを迎えての対戦となりました。

U23代表FWファーガス・ティアニーの移籍後初ゴールで先制したサバでしたが、前半終了間際にアルヴィン・フォルテスのゴールでスランゴールが追いつき、前半は1-1で終了します。

後半は両チームがせめぎ合う中、60分にスランゴールが逆転します。この試合がトップチーム初出場となったスランゴールU23キャプテン、ライミ・シャムスルが右サイドからペナルティエリアに侵入にし、ゴール前へ低いクロス。これはサバDFドミニク・タンがクリアしたものの、そのボールは左サイドを駆け上がったエース、ファイサル・ハリムの足元へ。このボールを落ち着いて蹴り込んだファイサルのゴールで挙げた1点を守り切り、スランゴールが遅まきながら今季初の連勝となりました。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年11月1日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
スランゴール 2-1 サバ
⚽️スランゴール;アルヴィン・フォルテス(45分)、ファイサル・ハリム(60分)
⚽️サバ:ファーガス・ティアニー(9分)
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴール)


クアラルンプールは無敗記録を8に伸ばす

首位ジョホールを勝点差7で追う2位のクアラルンプールが、今季初の連勝を狙うクラン担と対戦。

昨季はわずか2勝で最下位に終わったクランタンは、今季は第8節を終えて既に3勝。さらにこの試合前までは6位と好調です。そんなクランタンを相手にクアラルンプールは無得点で前半を折り返します。

試合が動いたのは65分。チーム得点王のサファウィ・ラシドがドリブルでペナルティエリアにボールを持ち込むと、クランタンDFを引きつけてからカットバックでゴール前へパス。これをクパー・シャーマンが落ち着いて押し込み今季初ゴール。クアラルンプールが先制します。

さらに81分には交代出場のザフリ・ヤーヤが追加点を決めたクアラルンプールが、クランタンの反撃を1点に抑えて勝利。無敗記録を8に伸ばしています。

この試合で気になったのは、クランタンは今季ここまでの7試合でいずれも先発し、チームトップの4ゴールを挙げていたキャプテンのFWイフェダヨ・オルセグン、そして6試合先発のMFハビブ・ハルーンがなぜかベンチスタートだったこと。E・エラバラサン前監督の「休養」に伴い就任したアクマル監督はこの試合が2試合目の采配でした。が、「より熱心にトレーニングに取り組み、試合の戦術プランに合致する選手を地元選手、若手選手、外国人選手を問わず、起用していく。」と試合後の会見で説明しています。昨季はペナンの監督してスタートしながら「休養」となったアクマル監督ですが、チームの主力といえども容赦ない器用には賛否が分かれそうです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年11月1日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプール・シティ 2-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️クアラルンプール;クパー・シャーマン(65分)、ザフリ・ヤーヤ(81分)
⚽️クランタン:シャフィク・イスマイル(90+2分)
MOM:ザフリ・ヤーヤ(クアラルンプール・シティ)


クチンはロナルド・ンガのハットトリックなどで3位堅守

過去2試合はいずれも下位のサバ、ペナンを相手に2試合で2ゴールのみのクチンは、2戦連続で無得点で敗れているPDRMと対戦。このためこの試合も僅差の試合が予想されました。

しかし、クチンは13分に谷川由来選手のヘディングシュートで早々と先制すると、そこからはエースのロナルド・ンガが38分までにハットトリックを決め、前半だけで4点をリードします。

この試合は現地観戦しましたが、前半は両チームともにチャンスはあり、それを確実に得点につなげたクチンとそれができなかったPDRMという展開でした。ただしボールの競り合いになるとクチンの選手が競り勝つ場面が多く、ボールへの執着はクチンが圧倒していました。また主審の判定も不安定で笛を吹くタイミングが悪く、PDRMに不利な判定に思える場面がいくつかありました。

クチン・シティの谷川由来選手は先発して今季初ゴールを決め、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年11月1日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM 0-5 クチン・シティ
⚽️クチン:谷川由来(13分)、ロナルド・ンガ3(20分、31分、38分)、ラマダン・サイフラー(54分PK)
MOM:ロナルド・ンガ(クチン・シティ)


ヌグリ・スンビランはPK2本を許して引き分けに

昨季は13チーム中12位だったヌグリ・スンビランは、シーズン当初はスランゴールを破るなど絶好調でしたが、シーズンが進むにつれてやや息切れ気味。10月に入るとFAカップは準々決勝でスランゴールに4失点で敗れ敗退、リーグ戦でも下位のペナンに今季初勝利を許すなど、不安定な試合が続いています。

そんな中でこの日は今季からマレーシアリーグに参入したDPMMと対戦。前節はジョホールに10失点の相手は今季ここまで1勝と苦しんでおり、この試合に勝って勢いをつけたいところでした。

前半を0−0で折り返した試合は、ヨヴァン・モティカのフリーキックをジョセフ・エッソが頭で合わせてヌグリ・スンビランが54分に先制します。しかし62分に今度はペナルティエリア手前でフリーキックをDPMMに与えると、ハキミ・ヤジド・サイードのFKがゴール前に作った壁にいたクザイミ・ピーの手に当たってしまいます。VARが入った結果、判定はハンド。これにより得たPKをジョーダン・マレーが決めて、DPMMは同点に追いつきます。

しかしヌグリ・スンビランはその4分後、ヨヴァン・モティカのゴールで再びリードを奪いますが、今度は81分にこの試合がマレーシアリーグ出場2試合目となったモンゴル代表DFフィリップ・アンダーソンがペナルティ・エリア内でハンド。この試合2度目のPKを得たDPMMは再びマレーが決めて、試合は引き分けに終わっています。

ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手はキャプテンとして先発してフル出場、常安澪選手は80分から交代出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年11月2日@ハサナル・ボルキア国立競技場(ブルネイ)
DPMM 2-2 ヌグリ・スンビラン
⚽️DPMM:ジョーダン・マレー2(62分PK、81分PK)
⚽️ヌグリ・スンビラン:ジョセフ・エッソ(54分)、ヨヴァン・モティカ(66分)
MOM:ジョーダン・マレー(DPMM)


イミグレセンが待望の1部昇格後初勝利

クラブ史上初の1部昇格を果たしたイミグレセンFCは、マレーシア政府の出入国管理局(イミグレーション)が母体のクラブ。元々は出入国管理局がある行政首都のプトラ・ジャヤに本拠地を置くクラブですが、リーグ基準に合うスタジアムがないことから、1部昇格に伴い、今季はペナン州バトゥ・カワンにあるペナン州立スタジアムをホームとしています。

初の1部ということもあってか、イミグレセンは今季ここまで3分4敗と未だ勝利がなく、この試合前は最下位に低迷しています。同じペナン州を本拠地とするペナンFCと初の「ペナンダービー」となったこの試合は、前半は0-0で終了します。

今季1勝のペナンを相手に先手を取ったのは未勝利のイミグレセンでした。59分にファズルル・ダネルのシュートをペナンGKが弾いたところをヴィルマー・ホルダンが押し込んでリードを奪います。

両チームとも今季7試合通算得点がいずれも5得点ということもあってか、その後は共にゴールを奪うことができず、結果的にイミグレセンが逃げ切り、待望の1部初勝利を挙げています。またこの結果、イミグレセンは一気に8位まで順位を上げています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第9節
2025年11月2日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-1 イミグレセン
⚽️イミグレセン:ヴィルマー・ホルダン(59分)
MOM:ザリフ・イルファン(イミグレセン)


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第9節終了)

チーム勝点
1ジョホール99004834527
2クアラ・ルンプール86201641220
3クチン85211841417
4トレンガヌ84132014613
5スランゴール84131410413
6ヌグリ・スンビラン73221411311
7クランタン9324916-711
8イミグレセン8134617-116
9PDRM8134822-146
10ペナン8125516-115
11DPMM8125628-225
12サバ8044518-134
13マラッカ603339-63

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点トップ10(第9節終了)

得点選手名所属
110ベルグソン・ダ・シウバジョホール
10ジャイロ・ダ・シウバジョホール
37アリフ・アイマンジョホール
7ロナルド・ンガクチン
56ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
85クリゴール・モラエススランゴール
5サファウィ・ラシドクアラルンプール
5ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン