2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節 試合結果とハイライト映像<br>・ジョホールがベルグソンの4発を含む今季最多の10ゴールでブルネイDPMMを粉砕<br>・昨季最下位のクランタンが快勝で6位浮上<br>・クチン・シティは5戦負けなしも上位との差を詰められず<br>・クラン渓谷ダービーはスコアレスドロー

10月24日から26日にかけて行われていたアセアン(東南アジア諸国連合)首脳会談のせいで、クアラ・ルンプール市内ではあちこちで交通規制が引かれ、市民にとっては不便な週末でした。高市新首相(忙しい日程の中で当地の日本人墓地の慰霊碑で献花をされたことも報じられています)やトランプ大統領もマレーシアを訪れるなど世間の注目を集めた中で、サッカー関連でいえば、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長のマレーシア訪問、そしてインファンティーノ会長が発表したFIFA アセアンカップの開催がニュースと言えそうです。特にFIFAアセアンカップに対しては、1996年から行われてる東南アジア選手権(かつてのスズキカップ、三菱電機カップで、次回大会からは現代自動車が冠スポンサーとなるため現代カップに名称変更)との兼ね合いなど、不明な点が残ったままの発表でした。

さて本題。前節からは3週間以上開いた2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグ第8節は、6試合が10月24日から26日にかけて行われています。なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はトレンガヌFCの試合がありません。

また前回、マレーシアサッカー協会(FAM)の公式記録サイトがハッキングの被害にあっているニュースを取り上げましたが、その後、FAMの新たなサイトを立ち上げ、これまでの試合結果などを見ることができるようになっています。。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


昨季最下位のクランタンが快勝で6位浮上

昨季は24試合でわずか2勝、しかも12位とは勝点差9と圧倒的な最下位13位に終わったクランタン。それを払拭するかのように今季はチーム名やロゴを変更するなどリブランディングを行いました。しかし外見だけでなく中身も変わったようで、今季は第6節までに2勝を挙げるなど、昨季の勝ち数に並んでいます。

そんなクランタンが今季1部初昇格を果たしたマラッカをホームに迎えた試合は、この時期のマレー半島東海岸特有のモンスーンの時期もあり、雨中の対戦となりました。今季ここまで未勝利のマラッカは、アウェイながらクランタン相手に接戦を演じますが、ゴール前へのクロスをクリアしようとしたマラッカのCBマイケル・オゾルがクリアミスからオウンゴールし、クランタンが先制します。

前半を1-0で折り返したクランタンですが、その後は追加点を奪えず、逆にマラッカが果敢に責めますが、クランタンGKダミヤン・ダミヤノフが好セーブを連発して失点を防ぎます。そして終了間際にはダニアル・ハキムが勝利を決定づけるゴールを決めたクランタンがマラッカの反撃を1点に抑えて逃げ切り、アクマル・リザル新監督に初勝利をプレゼントするとともに、早くも昨季の勝ち星を上回っています。

公式発表はないものの、クランタンは今季開幕から指揮をとっていたE・エラヴァラサン監督を「休養」させる一方で、この試合では昨季はペナンFCの監督を務めたアクマル・リザル氏がベンチで指揮をとる様子が見られました。初勝利を挙げたアクマル新監督ですが、昨季はペナンFC U21監督からトップチームの監督に就任していました。しかし自身初となるスーパーリーグでの監督成績は19試合で3勝8分8敗(18得点37失点)で、シーズン途中に解任されています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月24日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC 2-1 マラッカFC
⚽️クランタン:マイケル・オゾル(37分OG)、ダニアル・ハキム(89分)
⚽️マラッカ:フアン・ドゥグラス(90+12分PK)
MOM:ダニアル・ハキム(クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC)


クチン・シティは5戦負けなしも上位との差を詰められず

過去4試合を2勝2分のクチン・シティは、2位のクアラ・ルンプール・シティとは勝点差3の3位につけています。しかも今季のホームゲームはジョホールに敗れた試合以外は全てクリーンシートでの勝利と無類の強さを発揮しています。一方のペナンは前節第7節で今季初勝利を挙げています。

そんな両チームの対戦は、昨季はクチン・シティで25試合に出場し5ゴール7アシストを記録したチェチェ・キプレが、ディラン・ウェンゼル=ホールズのクロスに頭で合わせ、2試合連続ゴールを決めて、ペナンが先制します。しかし、クチン・シティも前半終了間際にフライデー・オビロルのハンドで得たPKをロナルド・ンガが決めて、前半は1−1で終了します。

後半に入っても互いに好機を活かせず、試合はこのまま終了。上位を狙うクチン・シティにとっては痛い引き分け、またペナンにとっては貴重な勝ち点1となりました。

クチン・シティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。またペナンの鈴木ブルーノ選手は90+3分から出場して、最後までプレーしています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月25日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチン・シティFC 1-1 ペナンFC
⚽️クチン・シティ:ロナルド・ンガ(45+7分)
⚽️ペナン:チェチェ・キプレ(14分)
MOM:ハジク・ナズリ(クチン・シティFC)


ジョホールがベルグソンの4発を含む今季最多の10ゴールでブルネイDPMMを粉砕

10月21日に今季のACLエリートで初勝利を挙げたジョホールがその勢いのまま、今季新規参入組のブルネイDMFを今季最多となる10ゴールで粉砕しています。ジョホールはこれで開幕から8連勝隣、2位との勝点差を今季最大となる7に広げています。

この日の主役は昨季のリーグ得点王で、マレーシアリーグ通算最多ゴール記録も持つベルグソンでした。前半3ゴール、後半1ゴールを挙げ、今季通算得点を5から9に伸ばして、一気に得点王争いの1位に浮上しています。これだけゴールを挙げても、ACLエリートでは3試合で通算82分という出場時間しか与えられていない鬱憤を晴らすような活躍でした。

一方のDPMMは前節では同じ初昇格組のマラッカ相手に今季初勝利を挙げていましたが、ジョホールが相手では連勝とはなりませんでした。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月25日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ
ジョホール・ダルル・タジムFC 10-0 DPMM FC
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シウバ4(9分、35分、37分、73分)、オスカル・アリバス(45+1分)、マヌエル・イダルゴ(57分)、ユラ・インデラ・プテラ(63分OG)、アリフ・アイマン(68分)、ハイロ・ダ・シウバ(82分)、ロメル・モラレス(88分)
MOM:ベルグソン・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジムFC)


ヌグリ・スンビランは連敗ストップで5位浮上

リーグ戦ではペナンに1−2、そしてFAカップ準々決勝1stレグではスランゴールに0-4と大敗するなど、10月に入って勝星がなかったヌグリ・スンビラン。特に連敗中は、それまで無敗だったホームで敗れ、また新エースのジョヴァン・モティカも不発とチームはどん底でした。

しかしこの試合ではそのモティカがゴールを挙げるなど、前節にジョホール相手に7失点と大敗していたPDRMを相手に連敗をストップ。順位も一つ挙げて5位に浮上しています。

ヌグリ・スンビランFCの佐々木匠選手は先発して65分に交代しています。また常安澪選手は佐々木選手と交代で出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月25日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリ・スンビランFC 2-0 PDRM FC
⚽️ヌグリ・スンビラン:ジョセフ・エッソ(53分)、ジョヴァン・モティカ(59分)
MOM:ジョセフ・エッソ(ヌグリ・スンビランFC)


12位対13位の対戦は引き分けに

ともに今季まだ勝ち星のない両チームの対戦は引き分けに終わっています。しかしDPMMがジョホールに10失点と大敗したため、得失差でDMFに並んだサバが12位から10位に浮上しています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月26日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセンFC 2-2 サバFC
⚽️イミグレセン:ジョアン・ペドロ(27分)、エドゥアルド・ソーサ(79分)
⚽️サバ:スチュアート・ウィルキン(50分)、ミゲル・シフエンテス(53分)
MOM:ザリフ・イルファン(イミグレセンFC)


クラン渓谷ダービーはスコアレスドロー

クラン川沿いにあるスランゴール州とそれに囲まれるように位置するクアラルンプールをそれぞれ本拠地にするスランゴールFC対クアラルンプール・シティFCの対戦は「クランヴァリー(クラン渓谷)ダービーとして知られています。

この「ダービー」前まで5勝1分で現在リーグ2位のクアラルンプール・シティは、FAカップでもすでに敗れており、9月27日のトレンガヌ戦以来、ほぼ1ヶ月ぶりの試合でした。一方のスランゴールは3勝3敗で5位ながら、10月18日にはFAカップ準々決勝、10月23日にはACL2でプルシブ・バンドン(インドネシア)とのアウェイゲームを戦うなど8日間で3試合という過密な試合日程とも戦っています。

この試合は現地観戦しましたが、スランゴールは喜熨斗勝史監督解任後、それまでの5バックから4バックへと変更したシステムが素人目ながらまだ馴染めているようには見えず、この試合でも後ろを取られるのが怖いのか、両SBの攻撃参加も少なく、また今季初出場となったAMFのシャヒール・バシャーがあまり機能しないなど、試合終了間際を除けば、チャンスらしいチャンスもない展開でした。一方で守備陣はサファウィ・ラシド、クパー・シャーマンらクアラルンプールのFW陣に仕事をさせず、スコアレスドローは順当な結果のように見えました。

この結果、クアラルンプールは2位を堅持、一方のスランゴールは7位へと順位を下げています。

スラヤにとって痛いのは、試合後に発表された「アフロ」の愛称でサポーターからの人気も高いシャルール・ナジームが試合中のケガが左膝ACL損傷だったこと。10月29日にはFAカップ準々決勝2ndレグが控えるチームにとって、大きな損失です。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第8節
2025年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 0-0 クアラルンプール・シティFC
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第8節終了)

チーム勝点
1ジョホール88004334024
2クアラ・ルンプール75201431117
3クチン7421134914
4トレンガヌ74122091113
5ヌグリ・スンビラン73221411311
6クランタン8323814-611
7スランゴール7313129310
8PDRM7133817-96
9ペナン7124515-105
10サバ7043416-134
11DPMM71154216-224
12マラッカ603339-63
13イミグレセン7034517-123

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第8節終了)

得点選手名所属
19ベルグソン・ダ・シウバジョホール
27ジャイロ・ダ・シウバジョホール
7アリフ・アイマンジョホール
46ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
65クリゴール・モラエススランゴール
5サファウィ・ラシドクアラルンプール
5ジョヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
94ジョン・イラザバルジョホール
4ヘンリ・ドゥンビアPDRM
4イフェダヨ・オルセグンクランタン
4ロナルド・ンガクチン
133ダニアル・アスリら6名クチン