10月14日にAFCアジア杯2027年大会3次予選F組の第4節が行われています。なお10月9日に行われた前節第3節では、主力選手のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名が国籍詐称疑惑でFIFAから12ヶ月間の出場停止処分を受けてから初の試合でしたが、苦しみながらもホームのラオスを3-1で破って予選3試合全勝としています。
マレーシアのピーター・クラモフスキー監督は、前節のラオス戦の先発XIからナズミ・ファイズ(ジョホール・ダルル・タジム)に代えてファイサル・ハリム(スランゴール)を左WGに起用した以外は変化なし。なおファイサル・ハリムはクラモフスキー監督就任以来、初の先発となっています。以下がこの試合の先発XIですが、一緒に写っているファイサル選手は前回のアジア杯本大会の韓国戦では引き分けとなる同点ゴールを決めるなど、代表の主力として活躍していましたが、昨年5月に顔や手足に酸攻撃を受け、皮膚の移植手術を受けて以来の先発復帰となっています。

7名のヘリテイジ帰化選手に対する出場停止処分発表後、初のホーム開催となったこの試合は私も現地観戦しましたが、試合会場となったブキ・ジャリル競技場のあるクアラ・ルンプール市内が豪雨に見舞われたためか客足も悪く、試合開始時点ではスタンドの半分どころか三分の一程度しか埋まっていませんでした。
この試合も5日前の試合同様、開始からマレーシアが優勢に試合を進めますが、ラオスは全員が自陣に戻る守備的な布陣で応じます。ボールを保持しながら、シュートまでには至らないマレーシアは、前の試合でも先発しながら無得点に終わったロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)が数少ない好機ではなったシュートがいずれも枠外となるなど嫌な雰囲気となります。所属するジョホールでは今季出場2試合、出場時間37分のモラレスを先発起用しなければならない現在の代表チーム状況は、まさにヘリテイジ帰化選手の出場停止処分の影響が出ています。
そうする内に、チャンターウィサイ・クトーンフォンが放ったミドルシュートが、それをクリアしようとしたDFシャールル・サアドの頭に当たって角度が変わり、意表をつかれる形になったGKシーハン・ハズミが反応できずゴール。ラオスがチャンターウィサイ・クトーンフォンの代表初ゴールでリードします。
まさかの後手に回る形になったマレーシアは26分にはアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)のコーナーからラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジム)がヘディングシュートを放つもラオスGKコブ・ロックパティフの正面となり、さらに前半終了間際にはモラレスがGKと1対1となるもシュートはまたも枠外に外れ、前半はラオスが1点リードで終了します。
後半に入ってもクラモフスキー監督は動かず、ラオス側ハーフで進むも得点が取れないまま試合が進む中、59分にマレーシアはラオスペナルティエリアのすぐ外でファイサル・ハリムが倒されてフリーキックを得ます。これをファイサル選手自身が直接決めて、ついにマレーシアが追いつきます。そしてその6分後にはペナルティエリア内でアリフ・アイマンとのパス交換からロメル・モラレスが身体を反転させてシュート。モラレスの2024年9月以来となる代表戦8試合ぶりのゴールでついにマレーシアがラオスを逆転します。
さらに70分には、アリフ・アイマンのコーナーキックをディオン・クールズ(セレッソ大阪)が落としたボールを再びモラレス選手が押し込み、さらにリードを広げると、79分にはゴール前に上がったボールをラオスの17歳DFカムナン・タンパスットがクリアしようとしたボールがオウンゴールとなってしまいます。
その後はファイサル選手と交代で出場のパウロ・ジョズエ(クアラ・ルンプール)がゴール前のこぼれ球を押し込んでダメ押しの5点目を決めるなど、この日の試合は終わってみれば大勝、F組で唯一全勝を守ったマレーシアが首位を守っています。
AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア 5-1 ラオス
⚽️マレーシア: ファイサル・ハリム(59分)、ロメル・モラレス2(65分、70分)、 カムナン・タンパスット(79分OG)、パウロ・ジョズエPaulo Josue
⚽️ラオス:チャンターウィサイ・クトーンフォン(19分)
なおF組のもう一試合はベトナムのホーチミンで行われ、ベトナムとネパールが対戦しています。悪天候により試合開始が30分ほど遅れて始まった試合は、開始5分にネパールDFスマン・シュレスタのオウンゴールでベトナムがリードすると、結局これが決勝点となり、ベトナムがそのまま逃げ切っています。
なおこの試合はネパールのホームマッチですが、ネパールが試合の開催を予定していたダサラス・スタジアムがAFCの求める国際試合開催開催基準に合わないことから、ベトナムでの開催となっています。
AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@トンニャット・スタジアム(ホーチミン、ベトナム)
ネパール 0-1 ベトナム
⚽️ベトナム:スマン・シュレスタ(5分オウンゴール)
F組の次節第5節は11月18日に行われ、マレーシアはネパールとブキ・ジャリル国立競技場で(ただし前述のベトナム戦同様ネパールのホームゲームとして開催)、またベトナムはラオスとのアウェイマッチでそれぞれ対戦します。
アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第4節終了)
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | マレーシア | 4 | 4 | 0 | 0 | 14 | 1 | 13 | 12 |
| 2 | ベトナム | 4 | 3 | 0 | 1 | 9 | 5 | 4 | 9 |
| 3 | ラオス | 4 | 1 | 0 | 3 | 3 | 14 | -12 | 3 |
| 4 | ネパール | 4 | 0 | 0 | 4 | 2 | 8 | -6 | 0 |
