クラモフスキー代表監督が自身の発言をマレーシアサッカー協会に謝罪-協会軽視の意図は否定
国籍偽装疑惑によりFIFAから処分を受けたのはマレーシアサッカー協会(FAM)の落ち度であると、FAMを公の場で批判していたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督が一転、FAMに謝罪しています。
10月9日に行われたアジア杯2027年3次予選のラオス対マレーシア戦後の会見で、「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会(FAM)であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。」と述べるなど、自身の雇用主が誰なのかを忘れた物言いのクラモフスキー監督に対し、その発言があまりにも無礼であるとの指摘がメディアやSNSで上がっていました。
クラモフスキー監督は、本日10月14日に行われるアジア杯2027年3次予選のマレーシア対ラオス戦前の会見の席上で、10月8日の自身の発言についてFAMを非難する意図はなかったと謝罪しています。さらに自身が集中するべきはサッカーであり、代表チームを揺るがしている事務方の混乱ではないとも述べています。
その一方で「実際のところ、FAM自体が事務手続き上のミスがあったこと発表しており、自分はそのことについて触れただけである。」と述べるなど謝罪が本意でないことも仄めかしています。
さらに現在の代表チームはピッチ外の「雑音」を遮断して、10月14日の試合に向けて集中していると述べ、自身の発言によって自分が嫌われても、自分のなすべき仕事を続け、この国のサッカーを少しでも前に進めたいと話しています。
マハティール元首相-「国籍偽装疑惑は『法を超越する』」権力者によって引き起こされたスキャンダル」
国籍偽装疑惑についてはマレーシアの多くの政治家がさまざまな発言をしていますが、元首相のマハティール・モハマド氏は「ヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)の国籍偽装疑惑の裏には『法を超越する』権力者が存在する」という自説を展開しています。
マレーシア語紙シナル・ハリアンのポッドキャスト番組に出演したマハティール元首相は、その根拠が疑わしい状況にもかかわらず7名の選手に国籍が付与された事件には当惑していると述べています。
「(ヘリテイジ帰化選手の祖父母の一人の)本当の出生地はアルゼンチンであるにもかかわらず、(マレーシアの)ペナンと書いた書類を提出したが、それは全くの嘘である。」と述べたマハティール元首相は、それは故意に不正を働いた行為であり、マレーシアには、そういった不正行為などの悪事を働いたとしても、その責任を回避できるほどの権力を持つ人物がいると断言しています。
マハティール元首相は、一部の人物に特定して法が執行されているパターンがあるとして、悪事を働いていないにもかかわらず、捜査対象となる人物がいる一方で、悪事を働いても何も問われない人物もいる。つまりその人物が悪事を働いても、その人物が持つ権力は強大なので決して捕まることはない。(国籍偽装の調査をFIFAに求めたとされる)ベトナムサッカー協会が指摘しているのもおそらくこの点だろう。」
「(FIFAのような)国際的な組織を相手に嘘をつき、文書を偽造するような行為は非常に強い影響力を持つ人物、つまり権力を持つ人物にしかできない。そしてその影響力のせいで、今回のようなことをしても逃げ切れると考えているに違いない。しかし残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない。」とも話しています。
「残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない」としているマハティール元首相ですが、首相在任時代にはマレーシア国王やスルタンに対する批判を繰り返し、最終的には憲法を改正して国王やスルタンの政治的権利の縮小に成功しています。その際には特にジョホール州のスルタン(現国王スルタン・イブラヒムの父君)とは対立したことが知られていることから、この記事でマハティール元首相が「法を超越している」権力者と読んでいるのは、現在のヘリテイジ帰化選手による代表強化方針の中心的人物でもある「あの方」を指しているに違いないと、多くのマレーシア人は推測しています。
