2025/26ACLエリート リーグステージ第2節試合結果とハイライト映像:ヘリテイジ帰化選手3名を欠くジョホールはホームで町田相手にスコアレスドロー

マレーシアサッカー界がヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑の問題で揺れる中、ACLエリートのリーグステージ第2節が行われています。主力3選手を欠くジョホール・ダルル・タジムFCは第1節ではブリーラム・ユナイテッド(タイ)に1-2と破れています。またACLエリート初参戦の町田ゼルビアは第1節ではホームでFCソウルと引き分けと、初料理を目指す両チームがジョホールのホーム、スルタン・イスマイル・スタジアム対戦しています。

この日の両チームの先発XIは以下の通り。国籍偽装疑惑の渦中にいるFWジョアン・フィゲイレド、MFエクトル・ヘヴェル、DFジョン・イラザバルはいずれもFIFAによる12ヶ月の出場停止処分によりこの試合はベンチ外。今季リーグ戦では、ここまでの6試合でチームが挙げた26点中、フィゲイレドが6点、イラザバルが4点をそれぞれ挙げており、戦力低下は否めません。しかし、その代わりに国内リーグ最多の108ゴールを挙げているベルグソン・ダ・シウバが今季のACLエリートで初先発を果たしています。

またこの試合でマレーシア代表GKシーハン・ハズミがACLエリートデビューを果たしています。2023年シーズンにジョホールに加入して以来、リーグ戦やカップ戦ではこれまで74試合に出場し、代表でも32試合に出場するマレーシアNo.1のGKのシーハン選手ですが、ACLエリートとなった昨季はジョホールが戦った10試合は全試合ベンチ入りも出場なし。代わってスペイン出身のGKアンドニ・スビアウレが昨季のACLエリートは全試合で先発、今季も初戦のブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦でも先発していました。しかしこの試合ではスビアウレがベンチ、シーハンが先発となっています。

ちなみにこの試合のジョホールの先発XIの内、GKシーハン、この日はキャプテンマークをつけ、へヴェル選手に代わって入ったMFアフィク・ファザイル、FWアリフ・アイマンの3名のみがマレーシア出身、残る8名は外国籍選手という平常運転です。

一方、ACLエリートでは初のアウェイマッチとなった町田も、9月27日のJリーグ岡山戦で先発から外れた相馬勇紀、藤尾翔太、望月ヘンリー海輝らが先発に名を連ねる一方で、G大阪から加入したイスラエル代表MFネタ・ラヴィをチームに帯同させませんでした。同じイスラム教国としてパレスチナを国家として承認しているマレーシアは、イスラエルを「違法国家」と呼んで承認していないため、イスラエルパスポートの保持者は入国できないことが理由でしょう。

ちなみに最も最近イスラエルパスポートの保持者がマレーシアに入国した例は、2011年7月にEPLのチェルシーがマレーシアを訪れて親善試合をした際、「特別措置」により入国が認められたイスラエル代表のヨッシ・ベナユンがいます。しかしマレーシア選抜との試合に出場した際には、ボールに触るたびに85,000人が集まったスタンドから大ブーイングを浴びせられ続けて前半で交代し、最終的にマレーシアサッカー協会が「騒いだのは一部観衆のみ」としながらも、チェルシーと「この件に係る選手」に謝罪したというオチもついています。

なおAFCのXに投稿された両チームの先発XIを伝える下の写真は、ホームのジョホールがアウェイユニ、アウェイの町田がホームユニの写真なのはご愛嬌。(第1節はジョホールがアウェイ、町田がホームだったのでその試合からの流用でしょう)

試合は開始からジョホールが受け身に回る展開となります。ジョホールの選手はボールを受けてもなかなか前を向けない中、12分にはオスカル・アリバスの苦し紛れのバックパスに藤尾選手が反応。あわやというところに判断よくシーハン選手が飛び出し、なんとかクリアします。

さらに16分には町田が右サイドで得たコーナーキックのボールを仙頭啓矢選手が繋ぎ、ゴール前で待ち構えていた増山朝陽選手がシュートを放つも、再びシーハン選手が身体でブロックして失点を許しません。

そして20分、相馬選手の左コーナーキックはペナルティエリアのナ・サンホへと渡りますが、ホナタン・シウバが後ろから倒してしまい、キム・ジョンヒョク主審はPKと判定します。しかしこのPKを相馬選手がなんとゴールポストに当ててしまい、得点とはなりません。

そしてジョホールも徐々にペースを掴み始め、この試合では出場停止のフィゲイレドのポジションに入ったアヘル・アケチェが26分、そして43分といずれもシュートを放ちますがゴールを破ることができません。

町田優勢ながらも前半を0-0で終えて迎えた後半も、同様の試合展開となり、60分にはカウンターから町田がチャンスを掴み、左サイドを上がった相馬選手のクロスにナ・サンホ選手が反応するも、再びGKシーハン選手が身を挺してシュートを防ぎます。

試合終了間際にはアケチェ選手、そして途中出場のテト・マーティンらのシュートも決まらず、結局、試合は0−0のまま終了。ジョホールは今季初の勝ち点1を獲得し、町田は2試合連続の引き分けとなっています。第3節は10月21日に行われ、ジョホールはここまで1勝1敗の成都蓉城(中国)とアウェイで、町田は同じく今季未勝利の上海海港(中国)とやはりアウェイで対戦します。

2025/26ACLエリート リーグステージ第2節
2025年9月30日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 0-0 町田ゼルビア

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

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リーグ得点王のベルグソン・ダ・シウバもマレーシアの至宝アリフ・アイマンもゴールにすら近づくことができなかった試合は、相手のPKミスもあり、「負けなくてよかった」という試合でした。出場停止となっているフィゲレイド、へヴェル、イラザバルはマレーシアサッカー協会の不服申し立てが認められない限り今後も出場停止が続きますが、逆にベンチを温め続けているマレーシア出身選手にとっては貴重な出場機会を得るチャンス。その機会に輝くことができれば、この試合のシーハン選手のようにシスコ・ムニョス監督の信頼を得ることができそうです。