セレッソ大阪でプレーするマレーシア代表DFディオン・クールズが、Jリーグ移籍後の初ゴールを京都サンガ戦で決めています。マレーシア人選手としてもJリーグ初とな利、本来ならマレーシア国内では大きく報道されそうですが、ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑に揺れるマレーシアサッカー界はそれどころではありません
ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑に新展開-FIFAはイスラエル問題から世間の目を逸らすためにマレーシアに制裁⁉︎
昨日のブログでも書いた通り、本来ならば発表までの手順に時間をかけるべきマレーシアサッカー連盟と国籍を偽装してアジアカップ予選に出場したとされる7名のヘリテイジ帰化選手への制裁措置について、マレーシアの一部メディアはFIFAがこの制裁措置をを唐突に発表したのは、別の目的があるのではと報じています。
ここまでのできこととを改めて時系列で整理すると次のようになります。
6月12日:FIFAがヘリテイジ帰化選手7名の試合出場を許可
6月25日:7名の選手がAFCアジアカップ予選・ベトナム戦に出場
7月5日:AFCが「不服申立ては出されていない」と発表
9月28日:FIFAが一転し、「書類捏造」を理由に制裁処分を発表
当初は正式に出場許可が出ていたため、FIFA自身の判断を覆す形となり、マレーシア国内では「なぜ急に処分を下したのか」という疑問が広がると当時に、FIFAには何か別の目的があるのではという疑惑へ繋がっています。
一部のマレーシアメディアは、FIFAの対応の背後には「イスラエル問題」があり、この「イスラエル問題」から世論の目を逸らすために制裁が行われたのではと分析しています。実際、現在のW杯予選ではイスラエルの参加資格を巡る議論がヨーロッパサッカー連盟(UEFA )内では激化しているとされています。
さらにFIFAとUEFAは2022年にロシアを即座に資格停止とした一方で、パレスチナ自治区への攻撃を続けるイスラエルには同様の措置を取っていないことが、「ダブルスタンダード」であるとして批判が集まっています。
UEFAでは、来週にもイスラエルのW杯予選参加を停止するかどうかの緊急採決が予定されており、可決されれば代表・クラブともに国際大会から締め出される可能性があります。こうした状況の中で、FIFAが「敢えて」マレーシアに焦点を当てたのではないか、という見方が浮上しているのです。
またマレーシアはパレスチナを国家として承認しており、政府も世論もパレスチナ支持を鮮明にしています。その一方でイスラエルとは国交を持たず、強い批判姿勢を示してきました。
その一例が、今月ジョホール州で行われたマレーシア対パレスチナの国際親善試合です。試合前にはジョホール州摂政トゥンク・イスマイル殿下が、パレスチナ代表に250万リンギ(約8900万円)を寄付するという行動も話題になりました。
こういった点を踏まえると、今回のマレーシアへの制裁は、単なる国籍偽装疑惑の問題ではなく、国際政治が深く絡んでいるとの見方も出ています。真相は不透明ですが、FIFAの判断基準に対する不信感と「ダブルスタンダード」批判は、今後さらに強まるかも知れません。
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別のマレーシアメディアは、この状況下で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は著名なサッカー関係者などに個人的に連絡をとり、イスラエルが資格取り消しにならないように手を尽くしたとしています。そして最終的にはアメリカのトランプ大統領まで巻き込み、トランプ大統領はFIFAのジャンニ・インファンティーの会長に対しイスラエルが資格停止された場合には、その影響として2026年北中米W杯の開催が危うくなる可能性も言及したとしていますが、流石にここまで行くと「陰謀論」のようにも聞こえます。
マレーシアサッカー協会は書類提出の際の「軽微なミス」を認めるもヘリテイジ帰化選手の国籍取得の正当性を主張
マレーシアサッカー協会(FAM)が9月29日に声明を発表し、FIFAへの書類提出の際に職員による「軽微なミス」があったことを明らかにし、この「軽微なミス」がFIFAが今回の制裁に踏み切った理由である可能性があると説明しています。
FAMのノー・アズマン事務局長は「職員による書類提出の過程において『軽微なミス』があることが発覚した。FAMはこの事態を重く見ているが、このミスは7名のヘリテイジ帰化選手がマレーシア国籍を持っているという事実には何ら影響を及ぼすものではない。」と述べています。
またFIFAによる7名のヘリテイジ帰化選手とFAMへの制裁措置に対する不服申し立てについては、現時点ではFIFAによる制裁判断を説明する公式文書が届くのを待っている最中だとし、それを受け取った上で、法的手順に則って行う予定であるとも説明しています。
