2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節 試合結果とハイライト映像<br>・無敗のチームは早くもジョホールとクアラ・ルンプールの2チームのみに<br>・ヌグリ・スンビランは今季未勝利のイミグレセンと引き分け<br>・クチンがスランゴールに勝利し4位浮上

2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグ第5節の6試合が9月19日から22日にかけて行われています。第5節を終えて未勝利のチームが5つある一方で、首位のジョホールは開幕から6連勝で2位とは既に勝点差8をつけるなど、興味は優勝争いではなく2位争いになりつつあります。
今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節は鈴木ブルーノ選手が所属するペナンFCの試合がありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月19日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4-0 マラッカFC
⚽️トレンガヌ:ヤン・マベラ2(26分、45+5分)、ヌリロ・トゥクタシノフ(34分)、カレッカ(45+2分PK)
MOM: ガブリエル・シウバ(トレンガヌFC)

ヤン・マベラの2ゴールなどで大量4点を挙げたトレンガヌが、開幕から引き分けを挟んで4連勝。開幕から好調のアキヤ・ラシドがゴール前でのFWとしてだけでなくパサーとして2点目のゴールを演出するなど、久しぶりの代表招集の可能性を感じさせるプレーを見せました。

開幕からカップ戦も含めて全試合に出場していたCBヴィトール・カルヴァーリョが手の骨折で全治6週間、さらにバーナード・アーサー、ホアン・ダグラスの両FWを欠くなど既に満身創痍のマラッカは、この試合では前半終了間際の45分にチェ・ラシド・チェ・ハリムが自陣ペナルティエリア内でのハンドで退場となった直後に立て続けに失点し、前半だけで4失点して敗れています。なおクラブのヌル・アズミ・アフマド会長はK・デヴァン監督を含めた首脳陣に対し、ここまで未勝利のクラブを立て直す期限を第8節までの2試合とし、結果が出なければ容赦無く監督やコーチを更迭すると明言しています。なお2022年のクラブ創設以来初の1部スーパーリーグに昇格したマラッカは既に成績不振からFWアンデルソン・ブリトーとDFチャールズ・ダバオとの契約を解除したことが明らかになっています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月20日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセンFC 1-1 ヌグリ・スンビランFC
⚽️イミグレセン:ウィルマー・ホルダン(26分)
⚽️ヌグリ・スンビラン:ジョヴァン・モティカ(45+1分)
MOM: ガブリエル・シウバ(トレンガヌFC)

今季未勝利のイミグレセンと1勝のヌグリ・スンビランの対戦は1−1の引き分けに終わっています。前節のスランゴール戦に勝利し、FAカップもベスト8進出を決めるなど調子が上がっていたヌグリ・スンビランは、試合を優勢に進めながらもイミグレセン相手に痛い引き分けで上位進出の機会を逃しています。そんな中で朗報を探すとすれば、元横浜Y.S.C.C.のルクマン・ハキムが66分に途中出場してマレーシアリーグデビューを果たしたこと。調整不足を理由にニザム・ジャミル監督が起用を避けてきた「早熟の天才」がついにベールを脱いでいます。

イミグレセンは、前節マレーシアリーグデビューを果たしたDFヴィニシウス・ミラーニ、MFペドロ・サントス(ブラジル4部カンピネンセ・クルーベから加入)に続き、この試合ではDFケロン・オーンチャイヤプーム(タイ1部プラチュワプFCから加入)、FWウィルマー・ホルダン(ホンジュラス1部FCモタグアから加入)がリーグ戦初出場を果たすなど合流が遅れていた外国籍選手が揃いつつあり、FAカップでもリーグ2位のトレンガヌに勝利するなど、この日のヌグリ・スンビランのように油断すると足元を掬われかねないチームになりつつあります。

ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手は先発して78分に交代、常安澪選手は佐々木選手と交代で出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月20日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 3-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC
⚽️PDRM:ヘンリ・ドゥンビア2(27分、35分)、イムラン・サムソ(55分)
⚽️クランタン:イフェダヨ・オルセグン(45分PK)
MOM: ヘンリ・ドゥンビア(PDRM FC)

開幕してから2ヶ月も経たないうちに給料未払い問題が報じられているPDRMが、エースのヘンリ・ドゥンビアの2発などで今季初勝利を挙げています。27分の1点目はPDRMに復帰した元岡山のハディ・ファイヤッドが右サイドを駆け上がってからのクロスを押し込んでのゴール、さらにその8分後にはクランタンのオフサイドトラップを抜け出し、GKと1対1となるもそれをかわしてゴールを決めています。この勝利でPDRMは6位に浮上しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月21日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチン・シティFC 1-0 スランゴールFC
⚽️クチン:ラマダン・サイフラー(68分)
MOM: ラマダン・サイフラー(クチン・シティ FC)

今年6月にシンガポール代表の小倉勉氏(現JFA技術委員会副委員長)が辞任した際には、その後任候補として名前も上がったアイディル・シャリン監督率いるクチン・シティが今季2勝目を挙げるとともに4位に浮上しています。今季はジョホールに0−1で惜敗するなど昨季の4位からさらに上位を狙うクラブは、そのジョホールから完全移籍を果たしたラマダン・サイフラーのゴールを守り切って勝利しています。

9月18日のACL2第1節バンコク・ユナイテッド戦で敗れた後、ACL2に加えてアセアン(東南アジア)クラブ選手権(ACC)にも出場するスランゴールには「ローテーションするだけの選手が揃っていない」と会見でぶちまけた喜熨斗勝史監督ですが、前節のヌグリ・スンビラン戦での敗戦に続き、チームはこの日の敗戦で既に今季3敗目。なお、今季既に3敗以上しているのはスランゴールを除けばあとは最下位のペナンのみです。前節のヌグリ・スンビラン戦ではアレクサンダー・アギャルカワ、この日のクチン・シティにはスダニアル・アスリと、昨季は喜熨斗監督率いるスランゴールでプレーした選手たちが移籍先でも主力として活躍する様子を見ると、スランゴールの問題点は選手層の薄さではないような気もします。今週9月24日のACCタンピネス・ローヴァーズFC(シンガポール)で万が一、破れるようなことがあれば、喜熨斗監督の去就問題が起こる可能性があります。

レッドカードによる出場停止処分が明けたクチン・シティの谷川由来選手は、先発してフル出場しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月21日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 8-0 サバFC
⚽️ジョホール:オスカー・アリバス(6分)、ジョアン・フィゲイレド3(11分、23分、45+1分)、ラウル・パラ(44分)、ベルグソン・ダ・シウバ3(61分PK、74分、90+2分)
MOM: ベルグソン・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

開幕から5連勝中のジョホールが今季最多の8ゴールでサバを破り、連勝を6に伸ばすとともに、早くも2位に勝点差8をつけています。ブラジル出身のヘリテイジ帰化選手ジョアン・フィゲイレドと昨季のリーグ得点王ベルグソン・ダ・シウバが揃ってハットトリックを決めています。なおこれまでインドラ・プトラ・マハユディンの持つスーパーリーグの最多ゴール記録106に並んでいたベルグソン選手は、この試合でのハットトリックで一気に新記録を達成するとともにこれを109にまで伸ばしています。ベルグソン選手は2021年7月にジョホールに加入しており、従来の記録を5シーズンもかからずに更新したことになります。

過去3シーズン続けて3位と安定した成績を収めてきたサバは4試合を終えて未勝利と苦しんでいます。パク・テス(PDRM FCへ移籍)、サディル・ラムダニ(インドネシア1部プルシブ・バンドンへ移籍)その安定した成績を支えていた外国籍選手がチームを去っただけでなく、オン・キムスウィー前監督(現インドネシア1部プルシク・ケディリ)を引き止めることができなかた影響が昨シーズン後半あたりから見えていましたが、今季は開幕らそれが明らかになっています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第5節
2025年9月22日@ハサナル・ボルキア国立競技場(ブルネイ)
DPMM FC 0-4 クアラ・ルンプール・シティFC
⚽️クアラ・ルンプール:ユラ・インデラ・プテラ(25分PK)、ヴィクター・ルイス(56分)、サファウイ・ラシド2(64分、84分)
MOM: サファウイ・ラシド(クアラ・ルンプール・シティFC)

DPMMのDFユラ・インデラ・プテラのバックパスをGKハイミ・アブドラ・ニャリンが足で止め損なうお粗末なオウンゴールで先制したクアラ・ルンプールは、後半にはサファウィ・ラシドの2ゴールなどでリードを広げて完勝し、リーグ2位に浮上しています。

一方のDPMMは立ち上がりこそインドネシア代表FWラマダン・サンタナにボールを集めて好機を作りますが、それを逃すとそこからずるずると失点を重ねて敗れています。なおチームはハサナル・ボルキア国王の甥で、今季はタイ1部ラーチャブリーFCに所属するブルネイ代表主将のファイク・ジェフリ・ボルキアの獲得する方針を明らかにしています。サッカーの実力ではなく、育った家庭環境から「世界一裕福な」サッカー選手として知られるファイク選手の加入がどれほど戦力補強になるかはわかりませんが、参入初年度で最下位の屈辱は避けたいところでしょう。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第5節終了)

チーム勝点
1ジョホール66002632318
2クアラ・ルンプール54101331013
3トレンガヌ5311167910
4クチン42117347
5スランゴール52039816
6PDRM51318806
7ヌグリ・スンビラン412189-15
8クランタン512238-55
9マラッカ403126-43
10サバ4031210-83
11イミグレセン402228-62
12ペナン5014213-111
13DPMM4013210-121

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第5節終了)

得点選手名所属
16ジョアン・フィゲイレドジョホール
16ヘンリ・ドゥンビアPDRM
35サファウィ・ラシドクアラ・ルンプール
44アリフ・アイマンジョホール
44ベルグソン・ダ・シウバジョホール
44ジャイロ・ダ・シウバジョホール
44ジョン・イラザバルジョホール
44クリゴール・モラエススランゴール
44イフェダヨ・オルセグンクランタン
44ヤン・マベラトレンガヌ
113ワンジャ・ンガクチン
113ジョン・イラザバルジョホール
113ジョヴァン・モティカクチン
113カレッカトレンガヌ
152常安澪他9名ヌグリ・スンビラン