国際親善試合:マレーシア対パレスチナ-試合前日会見
FIFAランキング100位以内を目指すFIFAランキング125位のマレーシアは、本日9月8日に同98位のパレスチナと対戦します。
マレーシアにとっては2015年11月以来の対戦となるパレスチナですが、最後にパレスチナに勝利したのは24年以上前のこと。2001年3月25日のW杯2002年大会予選で4-3で破っていますが、その後はW杯2016年大会予選で再び同組となるもホーム、アウェイとも6−0と大敗しています。
今年1月に就任したピーター・クラモフスキー監督の元、マレーシアは、FIFAランキング74位のカーボベルデと2度対戦して1分1敗となった以外は、ネパール(同176位)、ベトナム(同113位)、シンガポール(同159位)相手に勝利を収めており、FIFAランキング100位以内の相手との対戦で、どのようなプレーを見せてくれるかが注目です。
先日のシンガポール戦からは、いずれも先発XIに名を連ねたDFディオン・クールズ(セレッソ大阪)、DFファクンド・ガルセス(スペイン1部デポルティーボ・アラベス)が所属クラブへ戻り、またFWファイサル・ハリム(スランゴールFC)は膝のケガと家庭の事情でチームを離脱しており、守備陣に不安が残る一方で、シンガポール戦を欠場したアルゼンチン出身のヘリテイジ帰化選手FWロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)の出場が期待され、歴史的勝利を挙げた6月のAFCアジア杯予選ベトナム戦の強力FW陣がそろいます。
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そして昨日9月7日には試合前会見が試合会場となるジョホール州のスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われています。
24年ぶりの勝利を目指すマレーシアのクラモフスキー監督は、質の高い選手をそろえたパレスチナに対して敬意を払うが、自分たちのプレースタイルを通りにプレーするようにしたいと話しています。
「この試合は我々にとって困難なものになるとは思うが、勇敢に、そして積極的な試合運びを目指し、スペースを上手く活用しながら、ポゼッションサッカーで臨みたい。(9月4日の)シンガポール戦では多くあった得点機を活かすことができなかったので、ゴールエリア内でのパスの精度を上げるようと選出には伝えた」と話しています。
「シュートの精度を上げることも必要で、それができればサポーターを満足させるような試合を見せられるだろう。」と話したクラモフスキー監督は、先発とベンチスタートの選手全員がそれぞれ重要な役割を担っており、全員が全力でプレーすることが重要で、単に個人個人ではなくチームとして機能できるかどうかが最優先されるとも話しています。
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一方パレスチナのイハブ・アブ・ジャザール監督は、開口一番、複数の主力選手がケガのためこの試合を欠場することを明らかにしており、DFムサーブ・アル・バタート(カタール1部カタールSC)、DFモハメド・サレハ、DFアメード・マハイナ(いずれもカタール1部アル・ラーヤンSC)、MFアミード・サワフタ(ヨルダン1部アル・サルトSC)、MFアグスティン・マンズール(パラグアイ1部クラブ・グアラニー)、FWアサド・アル=ハムラウィ(ルーマニア1部CSウニヴェルシタテア・クライオヴァ)といった主力選手が今回のチームには帯同していないと説明しています。
イハブ監督は、主力選手が欠場するこの試合は新たな選手が自身の能力を示す良い機会だと話す一方で、FIFAランキングのポイントを考えると、経験のある選手たちも出場することになるだろうとも述べています。
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パレスチナだけでなく、これまで西アジア諸国との対戦でマレーシアは直近では21試合で3勝、得失差が-41と苦手意識が強く、これがヘリテイジ帰化選手の大量加入で払拭できるのかどうかも、今日の試合の注目点となりそうです。
マレーシアサッカー協会がFIFAの指示に基づき給料未払いのプルリス州サッカー協会を除名処分
マレーシアサッカー協会(FAM)は、傘下のプルリス州サッカー協会(PFA)を除名処分とすることを発表しています。これによりPFAはマレーシア国内でのあらゆるサッカー活動に関わることができなくなります。
FAMのモハマド・ユソフ・マハディ会長代行は、FAMが除名処分前に6ヶ月の猶予を与えて問題解決を求めてきたが、その猶予期間が終了することに伴う処分であり、FAM理事会での決議を経て最終的な判断として除名が決まったと説明しています。
なおユソフ会長代行は、国内リーグ3部のA1セミプロリーグにプルリス州から出場しているプルリスGSA FCについては、PFAとは無関係のため処分の対象外であることも明かしています。
昨年12月にFAMはPFAに対して2019年1月から5月までPFAのテクニカル・ディレクターを務めたマット・ホランド氏(現香港代表コーチ)への給料が未だ支払われていないとしてPFAの資格を一時停止する処分を下し、6ヶ月以内のその支払い指示を出していました。なおFAMは、これらの指示が全てFIFAからのものであるとしています。
プルリス州サッカー協会会長が反論「現在のFAMこそマレーシアサッカーの最大の危機」
FAMによる除名処分に対してプルリス州サッカー協会(PFA)のザムリ・イブラヒム会長は、処分の不当性と州サッカー協会の存在意義を否定するものだと反論しています。
まず、プルリス州に本拠地を持つプルリスGSA FCがPFAとは無関係とする判断についてザムリ会長は、プルリスGSA FCはPFA傘下であるとし、各クラブが所属する州のサッカー協会経由ではなく、FAMが直接、処分を下すのであれば、州サッカー協会の存在意義を脅かすとしています。
「このような判断はFAMの規則に基づいておらず、危険な前例を作ることになる。また州サッカー協会がこれまで担ってきた役割も否定することになり、結局は州サッカー協会は不要ということになるだろう。」
また自身が弁護士でもあるザムリ会長は、PFAの資格停止や除名処分について、その手続きには間違いや矛盾があるとも指摘しています。
「FAMからPFAに宛てて送られた公式文書には問題解決の期限が「6ヶ月」とは明言されておらず、また期限内に解決できなければ「除名」となることも書かれていない。またFIFAがPFAを資格停止あるいは除名を求めた事実も存在しない。未払い給料問題が解決しない場合にFIFAが求めたのは、FAMからPFAへの助成金の20%カットと更なる助成金削減だけである。もしPFAの資格停止や除名がFIFAの指示によるものだと主張するのであれば、FAMはその指示書を公開するべきだ。
さらにザムリ会長は、「FAMは、その傘下にある州サッカー協会が『深刻な規則違反』を行なった場合にはその資格停止や除名の処分を科すことができる」という規則第17項を行使したことについても、PFAがホランド氏に未払いとなっているのは「わずか」90万リンギ(およそ3200万円)であり、それも未払いの罰則として課せられている年5%の利子によって金額が膨らんだものだと説明する一方で、この90万リンギが「深刻な規則違反」であるならば、ペラFCやクランタンFC(現クランタン・レッド・ウォリアーズFC)、マラッカ・ユナイテッドFC、クダ・ダルル・アマンFCなどそれぞれが数百万リンギの給料未払い問題を抱えているクラブやそれを運営する州サッカー協会への処分とPFAに対する処分の違いについての説明をFAMに求めています。
ザムリ会長は、PFAがプルリス州内のサッカー活動にも関わることができないというFAMの発言にも異を唱えて、今後もプルリス州サッカーリーグなどを運営していく方針を明らかにした他、州サッカー協会を蔑ろにして悪しき前例を作ろうとしているFAMこそがマレーシアサッカーの最大の危機であると激しく非難しています。
