8月31日はマレーシアリーグの第1回のトランスファーウィンドウ最終日。下で取り上げたジョホールの2選手の他、PDRMでプレーするミャンマー代表CBチョー・ミン・ウーがトレンガヌへ移籍しています。トレンガヌは8月27日のスランゴール戦では5失点で敗れており、DF陣の補強に直様動いたようです。
ジョーダン・ミンターがマレーシア国籍取得-国内9人目のマレーシアにルーツを持たない帰化選手として試合出場
クチン・シティFC は8月29日に、所属するガーナ出身のFWジョーダン・ミンターのマレーシア国籍取得を発表しています。これによりミンター選手は、マレーシアリーグでは9人目となる「マレーシアにルーツを持たない」帰化選手として、早速、この日に行われたヌグリ・スンビランFC戦にマレーシア人選手登録されて出場しています。
ミンター選手は2020年にフィリピンのカヤFCからトレンガヌFCのセカンドチーム、トレンガヌFC IIに加入してマレーシアリーグでのプレーを始めました。その後、2021年には2部プレミアリーグ(当時)でプレーするトレンガヌFC IIで16ゴールを挙げてリーグ得点王となるなど3シーズンで30ゴール(32試合出場)、さらにトップチームのトレンガヌFCでも14試合で9ゴールを挙げますが、なぜかレギュラーとして起用されることがなく、2022年シーズン途中にクアラ・ルンプール・シティFCへ移籍します。しかしクアラ・ルンプールでは10試合出場で3ゴール、そして翌2023年シーズンにはトレンガヌに復帰するも10試合で5ゴールをかつてのようなゴール量産とはならず、2024/25年シーズン開幕前にクチン・シティFCに移籍しました。
するとクチン・シティでは21試合に出場してチーム総得点38点の三分の一以上となる14ゴールを挙げるなど、リーグ3位のゴールを挙げ、前年の13位から4位へと大躍進を果たしたチームの中心選手として活躍しています。
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マレーシアリーグでプレーした「マレーシアにルーツを持たない」帰化選手はミンター選手を含めてこれまでで9名おり、その第1号は2018年にマレーシア国籍を取得したガンビア出身のFWモハマドゥ・スマレです。2006年、12歳の時に家族と共にガンビアからマレーシアに移り住んだスマレ選手は、2013年にPDRMでリーグデビューを果たすと当時所属していたパハンFAを運営するパハン州サッカー協会の支援もあり、2018年4月にマレーシア国籍を取得します。同年10月の国際親善試合対スリランカ代表戦で代表デビューを果たすと、その試合では代表初ゴールも挙げ、2019年までに19試合出場6ゴールという成績を残しました。
スマレ選手の成功を見ると、今度は2019年にマレーシアサッカー協会(FAM)内に「帰化委員会」が発足、FAMが主導する形で「帰化選手育成プログラム」が発足します。代表強化を目的に発足したこのプログラムでは、既に国内リーグで5年以上プレーしている外国籍選手を対象にマレーシア国籍取得をFAMが支援するというものでした。このプログラムで白羽の矢が立ったのが、コソボ出身のMFリリドン・クラスニキとブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラとでした。所属するクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)では、
いずれも2015年シーズンからプレーしている両選手は、国内では実力、人気とも兼ね備えた上にFIFAが帰化選手の代表入りの条件とする国内で5シーズン以上プレーする点もクリアしており、クラスニキ選手は2020年5月に、デ・パウラ選手は2021年3月にマレーシア国籍を取得し、新型コロナ禍による中断から2022年W杯アジア2次予選にマレーシア代表選手として出場しました。しかし、公式戦デビューとなった2021年6月のアラブ首長国戦、そして続くベトナム戦でも目立った活躍を残せなかった両選手には、チームが予選敗退となったこともあり批判が集まりました。両選手の帰化を主導したFAMにも批判が集まり、この結果、FAMは帰化選手育成プログラムの無期延期を発表する事態に追い込まれました。
その一方で、各州サッカー協会による帰化選手支援についてはFAMは干渉しない方針も明らかにし、そこからはアルゼンチン出身のMFエゼキエル・アグエロ(タイ1部カーンチャナブリー・パワー)、英国出身のMFリー・タック(引退)、コロンビア出身のFWロメル・モラエス(ジョホール・ダルル・タジム)、MFパウロ・ジョズエ(クアラ・ルンプール・シティ)、MFエンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジムからベトナム1部ホーチミン・シティにローン移籍)と6名の帰化選手が誕生し、引退したタック選手を除く5名は、現在も代表でプレーしています。また、いずれもジョホール・ダルル・タジムに所属するFWベルグソン・ダ・シルバ(ブラジル)、MFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)が今季でマレーシアリーグでのプレーが5年となるため、マレーシア国籍の取得と代表入りが噂されています。
AFC女子チャンピオンズリーグ予選-マレーシアから出場のクラナ・ユナイテッドは1分2敗で敗退
AFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)2025/26の予選C組の最終節が8月31日に行われ、マレーシアから出場のクラナ・ユナイテッドはヨルダンのエティハド・クラブと対戦し、0−4で敗れ、通算成績を1分2敗としてC組最下位となり、予選敗退となっています。
初戦のアジアゴール・ビシュケク(キルギス)戦をスコアレスドローとしたクラナ・ユナイテッドは、第2節では日本人選手5名を擁するライオン・シティ・セイラーズに1-3と破れていました。第3節ではライオン・シティ・セイラーズがアジアゴール・ビシュケクを3-0で破っており、クラナ・ユナイテッドはこの試合でエティハド・クラブに勝利すれば勝点で上回ってC組2位となり、ノックアウトステージ進出のチャンスがありました。しかし前半はオウンゴールを含む2失点、後半も2失点と良いところなく敗れています。
AFC女子チャンピオンズリーグ2025/26 予選C組最終結果
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得失差 | 勝点 | |
| 1 | LCセイラーズ | 3 | 3 | 0 | 0 | 7 | 9 |
| 2 | エティハドC | 3 | 2 | 0 | 1 | 4 | 7 |
| 3 | AGビシュケク | 3 | 0 | 1 | 2 | -5 | 1 |
| 4 | クラナU | 3 | 0 | 1 | 2 | -6 | 1 |
トランスファーウィンドウ終了直前にジョホールが新たに2名のスペイン出身選手を獲得-これで外国籍選手は19名に
マレーシアリーグの今年1回目のトランスファーウィンドウは8月31日が最終日。その最終日にジョホール・ダルル・タジムFCは、WGアヘル・アケチェとDFラウール・パラ・アルタルの加入を発表しています。31歳のアケチェ選手はスペイン2部レアル・サラゴサから加入しますが、レアル・サラゴサでは昨季は主に右WGで38試合に出場し2ゴール3アシストの記録を残しています。またポルトガル2部GDエストリル・プライアから加入すつ25歳のパラ選手は、昨季はイラク1部のアル・ミーナーSCで8試合(先発8試合)、GDエストリル・プライアでは12試合(先発4試合)に出場しています。
ジョホールはこの2選手の加入で19名の外国籍選手を抱えることになりますが、リーグ登録可能な外国籍選手は15名となっており、1部の選手は今月16日に初戦となるAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のみの選手として起用されることになりそうです。
