8月16日から18日にかけてマレーシアFAカップ(マレーシア語ではPiala FA)の1回戦1stレグ8試合が行われています。今季2025/26年シーズンは、国内1部スーパーリーグの13チームと、2部プレミアリーグが休止中のため実質2部に当たる3部A1セミプロリーグの3チームの合計16チームが出場し、1回戦からホームアンドアウェイ形式で対戦します。1990年から始まったこの大会は、現在はジョホール・ダルル・タジムFCが3連覇中です。
カップ戦の楽しみといえばジャイキリだと思いますが、マレーシアFAカップで採用されているのはホームアンドアウェイ制。2試合ではさすがに地力で勝るチームが有利で、アップセットもなかなか起こりづら。集客のためにもホームアンドアウェイ制は大会を主催するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)にも考えてもらいたいところです。
FAカップ1回戦の2ndレグは9月12日から14日に予定されています。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月16日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
UM・ダマンサラ・ユナイテッドFC 0-5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ホナタン・シルバ2(43分、54分)、テト・マルティン(79分)、、ジョアン・フィゲイレド(90分PK)、セルソ・ベルメホ(90+1分)
MOM:ホナタン・シルバ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
この日は3部A1セミプロリーグのUM・ダマンサラ・ユナイテッドFCのホームゲームながら、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催ということで、奇しくもJDTのアウェイユニフォーム今季初披露となりました。
この試合の4日前に行われたスーパーリーグ第2節ヌグリ・スンビランFC戦からは10名を入れ替えて臨んだJDTでしたが、39分に2枚目のイエローでUM・ダマンサラ・ユナイテッドFCのキャプテン、ハリス・マンソルが退場となると、その4分後にはホナタン・シルバのゴールで先制します。
後半に入るとホナタン・シルバが54分に追加点となるヘディングシュートを決めると、79分には今季初出場となったフィリピンのヘリテイジ帰化選手で23歳のテト・マルティン(スペイン3部CDテネリフェから加入)がデビュー戦ゴールを決めます。さらに20歳で身長190センチのCFセルソ・ベルメホ(スペイン5部ビジャレアルCF Cから加入)も途中出場ながらやはりデビュー戦ゴールを決めるなど、JDTが実力差と選手層の厚さを見せて1stレグながら5点差をつけて圧勝しています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
マレーシア大学 1-3 スランゴールFC
⚽️マレーシア大学:アイマン・ダニアル・チェ・ラムラン(83分)
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム2(4分、44分)、アルビン・フォルテス(24分)
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)
マレーシア大学のホームゲームもスランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで開催され、アウェイユニフォームを着用したスランゴールFCが、マレーシア大学の守備陣に苦しみながらも地力の差を見せて、ファイサル・ハリムの今季初ゴールを含む3点を挙げて快勝しています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月16日@ハサナル・ボルキア・スタジアム(ブルネイ)
DPMM FC 3-2 クチン・シティFC
⚽️DPMM:アズワン・アリ(5分)、ミゲル・オリベイラ(49分)、ジョーダン・マレー(79分)
⚽️クチン:ワンジャ・ンガ(43分)、ジェイムズ・オクゥオサ(47分)
MOM:クリスティアン・ナウモフスキ(DPMM FC)
リーグ戦では第2節を終えて未勝利のDPMM FCが、クチン・シティFCに逆転勝ちし、17シーズンぶりにマレーシアの地で勝利を挙げています。今季初のホーム開催となったこの試合は、開始5分でキャプテンのアズワン・アリのゴールでDPMM FCが先制しますが、クチン・シティもエース、ワンジャ・ンガのゴールで追いつき、前半は1-1で終了します。
後半に入ると、クチン・シティはコーナーキックからロニー・ケルヴィンが頭で落としたボールをジェイムズ・オクウォサが押し込んで逆転に成功します。しかしクチン・シティは、その2分後にそのオクウォサがクリアミスからオウンゴールしてしまい(記録はミゲル・オリベイラのゴール)、試合は振り出しに戻ります。さらにこの試合の決勝点もオクウォサのミスからでした。開幕からの2試合はケガのため出場がなかったジョーダン・マレー(インド1部ジャムシェードプルFCから加入)が、79分にボールを奪うと、そこからクチン・シティGKハジク・ナズリ(スリ・パハンFCから加入)との1対1を制して決勝ゴールを決めます。クチン・シティはアディショナルタイムにPKを得ますが、この試合のMOMとなったDPMMのGKクリスティアン・ナウモフスキがガブリエル・ニーステルロイ(ジョホール・ダルル・タジムFCからローン移籍)のキックを止めて逃げ切りに成功しています。
クチン・シティFCの谷川由来選手はケガのため、この試合はベンチ外となっています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月17日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセンFC 2-1 トレンガヌFC
⚽️イミグレセン:ラファエル・オールシュテイン(54分)、ジョアン・ペドロ(90+1分)
⚽️トレンガヌ:ヤン・マベラ(47分)
MOM:エルヴィス・カムソバ (イミグレセンFC)
リーグ戦では未勝利のイミグレセンFCが、現在リーグ2位のトレンガヌFCにアディショナルタイムのゴールで逆転勝ちしています。
トレンガヌは前半から試合を優勢に進め、ヤン・マベラが14分、36分とゴールネットを揺らすも、いずれもVARの介入が入りゴールは認められず、試合は0−0で前半を折り返します。
後半に入ると、三度目の正直とばかりに47分にマベラがゴールを決めて、トレンガヌに待望の先制点が入ります。しかしイミグレセンも開幕戦となったクアラ・ルンプール・シティFC戦では揃ってPKを外していたFWコンビがこの試合では結果を出しました。まずはラファエル・オールシュテインが54分に同点ゴールを、そして90+1分にはオールシュテインからこの試合のMOMに選ばれたエルヴィス・カムソバ(マルタ1部バルザンFCから加入)と渡り、カムソバのシュートはトレンガヌGKサイド・ナスルハクが弾いたものの、そのこぼれ球をジョアン・ペドロが押し込んで劇的な逆転勝利を挙げています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月17日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ブンガラヤFC 0-5 サバFC
⚽️サバ:ダレン・ロック3(11分、48分、53分PK)、ファーガス・ティアニー(19分)、ジェフリ・フィルダウス・チュウ(45+1分)
MOM:ダレン・ロック(サバFC)
サバFCが3部A1セミプロリーグのブンガラヤFCを相手に代表FWダレン・ロックのハットトリックなどで圧勝しています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月17日@ハン・ジェバ・スタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカFC 0-2 ペナンFC
⚽️ペナン:ディラン・ウェンツル=ホールズ2(48分、81分)
MOM:ディラン・ウェンツル=ホールズ(ペナンFC)
リーグ戦では1分1敗のペナンFCがディラン・ウェンツル=ホールズのあわやハットトリックかという活躍で今季初勝利を挙げています。
前半は両チームが拮抗する中、41分にはウェンツル=ホールズがシュートを決めますが、VARが介入するとこのゴールは無効となり、前半は0−0で終了します。
しかし後半開始直後の48分にウェンツル=ホールズが正真正銘のゴールを決めてペナンが先制します。さらに81分にもウェンツル=ホールズが2点目を決めてペナンを勝利に導いています。マラッカはいずれも中盤でペナンに奪われてからのカウンターで失点しています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月18日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリ・スンビランFC 5-0 PDRM FC
⚽️ヌグリ・スンビラン:ヨヴァン・モティカ2(2分、40分)、ジョセフ・エッソ2(43分、79分)、常安澪(75分)
🟥アグブレ・ノエル(PDRM FC)
MOM:ヨヴァン・モティカ(ヌグリ・スンビランFC)
開幕戦ではジョホール・ダルル・タジムFCに3−5で破れていたヌグリ・スンビランFCが今季初勝利。
試合開始からわずか2分にヨヴァン・モティカのFKで先制したヌグリ・スンビランは、40分に佐々木匠がペナルティエリア内に持ち込んでからのカットバックをモティカがダイレクトで押し込みリードを広げます。その3分後には再び佐々木のパスをモティカがシュート。PDRMのGKイフワット・アクマル(クチン・シティFCから加入)が弾いたものの、そのこぼれ球をジョセフ・エッソが押し込み、前半だけでヌグリ・スンビランは3点をリードします。
後半の75分には、開幕戦では出番のなかった常安澪(J3鳥取からローン移籍)がペナルティエリア内のPDRMのDF陣を巧みに交わしてゴール!デビュー戦で公式戦初ゴールを挙げます。その後は佐々木のシュートからのこぼれ球をエッソが押し込み、大量5点を挙げたヌグリ・スンビランが今季初勝利を挙げるとともに、ベスト8進出がかかる2ndレグに向けて大きなアドバンテージを獲得しています。
PDRMにとっては、DFアグブレ・ノエル(チュニジア2部EGSガフサより加入)が早々と9分に一発レッドで退場し、試合の大半の10名で戦うことを強いられたのが誤算でした。また前半3失点のGKイフワットを交代させるなどの策も功を奏しませんでした。
ヌグリ・スンビランFCの佐々木匠選手はこの試合でもキャプテンとして先発し、フル出場しています。また常安澪選手は65分から交代出場してマレーシアリーグデビューを果たすとともに、75分に公式戦初ゴールを挙げています。
2025/26マレーシアFAカップ1stレグ
2025年8月18日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC 3-1 クアラ・ルンプール・シティFC
⚽️クランタン:イフェダヨ・オルセグン2(5分、14分)、ショーン・セルヴァラジ(64分)
⚽️クアラ・ルンプール:シャミル・クティ(86分)
MOM:イフェダヨ・オルセグン(クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC)
リーグ戦ではここまで0勝1分1敗、得点1失点5のクランタンがホームで今季初勝利。
クランタンの先制点は開始5分でした。クアラ・ルンプール・シティDFドミトロ・リトヴィン(アゼルバイジャン2部FKサバイルより加入)の不注意なバックパスをすかさず奪ったクランタンのキャプテン、イフェダヨ・オルセグンがGKクインシー・カメラード(フィリピン1部ワン・タギッグFCから加入)をかわしてゴールを決めます。さらに14分にはT・サラヴァナン(スリ・パハンFCから加入)のシュートをカメラードが弾いたところを押し込んで、クランタンが2−0とします。
後半の64分にはショーン・セルヴァラジ(スリ・パハンFCから加入)のゴールでリードを広げたクランタンに対し、クアラ・ルンプール・シティも86分にシャミル・クティ(ジョホール・ダルル・タジムFCからローン移籍)のゴールで1点を返し、さらにアディショナルタイムにライアン・ランバートがクランタンのペナルティエリア内で倒されてPKを得ます。しかしキッカーのサファウィ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムFCからローン移籍)がゴールポストの上に外れるキックで好機を活かせず、クランタンが今季初勝利を飾っています。
