2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節 試合結果とハイライト映像・<br>ジョホールが12連覇に向けて好発進<br>・マレーシアリーグ17年ぶり復帰のブルネイDPMMは引き分け<br>・トップリーグ初参戦のイミグレセンFCは完封負け

2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグが8月8日に開幕しました。来年5月までの10ヶ月間に渡る戦いは、絶対王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のリーグ12連覇を阻むチームが現れるのか、はたまたその包囲網をJDTが潜り抜けてスーパーリーグ記録更新となる4季連続の国内三冠(リーグ、マレーシアカップ、FAカップ)を達成するのかどうかに注目が集まります。
 開幕節となる第1節ですが、今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、佐々木匠、常安澪の両選手が所属するヌグリ・スンビランFCは今節は試合がありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月8日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 スランゴールFC
⚽️ジョホール:ジャイロ・ダ・シウバ(2分)、エディ・イスラフィロフ(64分)、アリフ・アイマン(73分)
MOM:ジャイロ・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

12連覇へ向けて快勝スタート。

昨季のリーグ王者とマレーシアカップチャンピオンが対戦するスンバンシーカップ、(「スンバンシー」はマレーシア語では「寄付、貢献」)は、英国のコミュニティシールドを模したいわゆるスーパーカップ。本家が中立地のウェンブリー・スタジアムで行われるのに対し、スンバンシーカップはリーグ1位の本拠地で開催され、また本家は公式戦開幕前に行われるのに対し、スンバンシーカップはリーグ開幕戦、つまり公式戦の一環として行われます。

昨季までリーグ11連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が昨季2位のスランゴールFCをホームに迎えて行われたこの試合は、シスコ・ムニョス新監督率いる王者が、開始1分で先制します。スランゴールFCの中途半端なクリアを拾ったMFサム・カスティジェホ(前スペイン1部バレンシアCF)から左サイドを上がった左SBホナタン・シルバ(スペイン1部CFから加入)へボールが渡ると、シルバはこれをダイレクトでゴール前へ。これをFWジャイロ・ダ・シルバ(キプロス1部パフォスFCより加入)が体勢を崩しながらも押し込み、JDTがあっという間に先制します。

ローン移籍先のパファスFCでチームメートだった「シルバ」コンビの活躍で先制したJDTは先制点を演出したカスティジェホが26分に接触プレーから退場するアクシデントがあったものの、ベンチスタートとなっていた昨季32ゴールの得点王ベルグソン・ダ・シルバが交代出場してその穴を感じさせないプレーを見せました。一方のスランゴールは41分にFWファイサル・ハリムからのパスを右サイドで受けたFWクリゴール・モラエス(タイ1部ブリーラム・ユナイテッドから加入)がGKと1対1となるチャンスを得ますが、マレーシア代表GKシーハン・ハズミがシュートを弾き、スランゴールは同点のチャンスを阻まれてしまいます。

前半をJDTのリードで折り返すと、後半64分に得たコーナーキックを若きエース、FWアリフ・アイマンが蹴ると、それに合わせて走り込んできたCBエディ・イスラフィロフが頭で合わせる絶妙のセットプレーでリードを広げたJDTは、さらにアリフ自身が73分にダメ押しのゴールを得意の右サイドの角度のないところから決めて完勝。12連覇に向けて快調なスタートを切っています。

昨季途中に就任し、今季は開幕からスランゴールFCの指揮を取る喜熨斗勝史監督も開始2分での失点について「集中力を失っていなければ防ぐことができたミスであり、JDTのような強いチームはそんなミスを許容しない。」と述べて、競った試合でこのようなミスをしている限りはスランゴールFCはチャンピオンになれない、とチームに苦言を呈するとともに、次戦に向けてミスの修正を直ちに行うとも述べています。

また喜熨斗監督はJDTとスランゴールFCとの間にフィジカルと技術の両方で大きな差があると述べ、今後はより厳しい練習をしていく必要性についても言及しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン・スタジアム)
イミグレセンFC 0-3 クアラ・ルンプール・シティFC
⚽️クアラ・ルンプール:リザル・ガザリ(30分OG)、サファウィ・ラシド(56分)、マヌエル・イダルゴ(83分PK)
MOM:クインシー・カメラード(クアラ・ルンプール・シティFC)

JDTのセカンドチームかと見紛うクアラ・ルンプール・シティFC(KLシティFC)が、今季から新規参入のイミグレセンFCに格の違いを見せつけて快勝。

先発ではライアン・ランバート、サファウィ・ラシド、マヌエル・イダルゴがJDTからローン移籍、またシャズワン・アンディクはJDTからの完全移籍、さらにベンチにはローン移籍中のデクラン・ランバート、完全移籍のニコラオ・ドゥミトルの合計6名が昨季はJDTの所属選手。そのKLシティはイミグレセンFCのキャプテンでDFリザル・ガザリのオウンゴールで先制すると、試合前にはシファ・メルビン夫人が2人目の子どもを懐妊したことを明らかにしたFWサファウイ・ラシドが56分に、そして83分にはザフリ・ヤーヤが倒されて得たPKをマヌエル・イダルゴが決め、過去30年間で初となる開幕戦でのクリーンシートで勝利しています。

イミグレセンFCは、昨季はサバFCで9試合にプレーして7ゴールを挙げたFWジョアン・ペドロ(ベトナム1部ホーチミンシティFCから加入)が72分に、またアディショナルタイムにはFWラファエル・オールシュテイン(リオグランデドスル州2部ECパッソ・フンドから加入)の新加入FWコンビがいずれもPKを外すなど、無得点に終わっています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチン・シティFC 4-0 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC
⚽️クチン:ロナルド・ンガ2(6分、71分)、ジョアン・ペドロ(18分)、ラマダン・サイフラー(90+3分)
MOM:ワンジャ・ンガ(クチン・シティFC)

前年の13位から昨季は4位と大躍進を果たしたクチンシティFCがホームで完勝

2022年シーズンにはクダ・ダルル・アマンFC(当時1部、現在は3部A1セミプロリーグ)で23試合に出場し15ゴール5アシストの記録を残していたFWロナルド・ンガ(イラク1部アル・カラバアSCから加入)がマレーシアリーグ復帰初戦で2ゴール、さらに新加入の東ティモール代表FWジョアン・ペドロ(カンボジア1部アンコール・タイガーFCから加入)、そして昨季はJDTからローン移籍ながら、今季は完全移籍となったFWラマダン・サイフラーがゴールを挙げて、クチンシティFCが白星スタート。

次節第2節は試合がないクチンシティは、第3節8月24日に王者JDTと対戦します。

クチン・シティFCの谷川由来選手はベンチ外でした。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 2-2 DPMMFC
⚽️PDRM:パク・テス2(68分、72分)
⚽️DPMM:ラマダン・サナンタ(3分)、ミゲル・オリベイラ(6分)
MOM:パク・テス(PDRM FC)

マレーシアリーグ復帰のブルネイDPMM FCはPDRM FCと引き分け

17年ぶりのマレーシアリーグ復帰となったDPMM FCは、インドネシア代表FWラマダン・サナンタ(インドネシア1部プルシス・ソロから加入)、FWミゲル・オリベイラ(前クウェート1部アル・ヤルムークSC)のゴールで6分までに2点をリードします。ホームのPDRM FCは、24分にMFパク・テス(サバFCから加入)とDPMM FCのGKクリスティアン・ナウモフスキが交錯し、PDRM FCはPKを獲得しますが、MFアフマド・イスライワの蹴ったPKはナウモフスキが反応よく弾いてゴールを守ります。

しかし後半に入るとパクが68分には頭で、72分にはゴール前のこぼれ球を蹴り込んで同点に追いつき、その後は両チームとも得点を挙げられず、このまま試合終了。

DPMM FCのジェイミー・マカリスター監督は、好機を活かせていれば早い段階で試合の行方を決めることができたと話す一方で、後半はPDRMに押されていたことを認めながらも、いずれの失点もミスからであることを悔やんでいました。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月10日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-3 トレンガヌFC
⚽️トレンガヌ:アザム・アズミ(50分)、ガブリエル・シルバ(55分)、カーラフ・ラスカム(89分)
MOM:ガブリエル・シルバ(トレンガヌFC)

前半から両チームともにチャンスを得ながらゴールに繋がらない、フラストレーションが溜まる試合は、後半開始とともに動きます。

先制したのはアウェイのトレンガヌ。左サイドのサフワン・マズランからのボールはペナンDFラインの裏へ。そこに抜け出したアザム・アズミが狙いすましてファーサイドを狙ったシュートをペナンGKカイルルアズハン・カリド(スランゴールFCから加入)が止められず、トレンガヌがリードします。さらにその5分後にはガブリエル・シルバがペナンDFに競り勝って2点目のゴールを決めます。ペナンはダニロ・シポヴァツ(ボスニア1部FK BSKバニャ・ルカから加入)らのシュートがトレンガヌGKスハイミ・フシンにことごとく止められ、その間に途中出場のカライフ・ナスカムが3点目を決めて、トレンガヌがそのまま逃げ切っています。

ペナンFCの鈴木ブルーノ選手は58分から交代出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第1節終了時点)

チーム勝点
1クチン11004043
2ジョホール11003003
2KL11003003
2トレンガヌ11003003
5PDRM10102201
5DPMM10102201
7サバ00000000
7マラッカ00000000
7ヌグリ・スンビラン00000000
10ペナン100103-30
10イミグレセン100103-30
10スランゴール100103-30
13クランタン100104-40

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第1節終了時点)

得点選手名所属試合
12ワンジャ・ンガクチン1
12パク・テスPDRM1
31ミゲル・オリヴェリアDPMM1
31アリフ・アイマンジョホール1
31マヌエル・イダルゴKL1
31ジョアン・ペドロクチン1