マレーシア戦にまさかの敗戦でベトナムも帰化選手による強化策採用か
マレーシア代表は6月10日に行われたアジア杯2027年大会3次予選でベトナム代表に4-0と大勝しましたが、この勝利はいずれもマレーシア国外で生まれ育ち、マレーシアにルーツを持つ「ヘリテイジ帰化選手」の活躍によるものでした。2025年だけでもマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手7名がマレーシア代表に初召集されており、彼らを中心に構成された「新」マレーシア代表が東南アジアの雄、ベトナム代表に11年ぶりとなる勝利をあげています。
昨今話題となる帰化選手による代表強化ですが、東南アジアの国で唯一、2026W杯アジア3次予選に残ったインドネシア代表は、かつての宗主国オランダ出身者を中心としたヘリテイジ帰化選手によって強化されたことはよく知られているかと思いますが、この地域ではフィリピンも伝統的に帰化選手による代表強化を行っています。昨年末開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権「三菱電機カップ」に出場したフィリピン代表はヘリテイジ帰化選手14名が含まれており、この大会がFIFA国際マッチカレンダー外で行われたことから「海外組」を招集できなかったインドネシア代表をグループリーグで破り、8年ぶりの準決勝進出を果たしています。
話を戻しましょう。6月10日のアジア杯予選でマレーシア代表と対戦したベトナム代表では、スロバキア出身のヘGKフィリップ・グエンと、元フランスU18でのプレー経験もあるフランス出身のジェイソン・ペンダントの2名のヘリテイジ帰化選手が先発(ペンダント選手はこの試合がベトナム代表デビュー)しましたが、一方のマレーシア代表はWGアリフ・アイマン、GKシーハン・ハズミ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)を除く先発11名中9名がヘリテイジ帰化選手でした。そして4-0の試合の4ゴール全てを異なる4名のヘリテイジ帰化選手が決めており、まさにヘリテイジ帰化選手の力を見せつけた試合になりました。
かつての宗主国オランダ出身のヘリテイジ帰化選手が主力のインドネシアに対して、マレーシアのヘリテイジ帰化選手の出身はブラジルやアルゼンチン、オランダ、スペインと多彩であり、しかも彼らはアルゼンチンやコロンビア、スペイン、トルコなどのリーグでプレーしており、こういったヘリテイジ帰化選手が増えれば、短期間での強化も十分可能です。
そんな中でYahooニュースが興味深い記事を掲載しています。韓国メディアによる報道からの引用記事によると、ベトナムの国内法が改正され、二重国籍の許容とベトナム国籍取得条件の緩和によりベトナムリーグでプレーしている全ての外国籍選手がベトナム国籍を取得できるようになるということです。ベトナム代表は韓国出身のキム・サンシク監督がおり、この記事ではこの法改正により東南アジア内でのパワーバランス赤割るだけでなく、今後はベトナム代表が日本代表や韓国代表の脅威になる可能性を挙げています。10月のアジア予選最終戦はベトナム代表ホームでの対戦となるマレーシア代表は、帰化選手で溢れるベトナム代表との対戦となるかもしれません。
ジョホールのベルグソンにブラジルクラブ移籍の噂
2021年シーズン途中にジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に加入して以来、141試合に出場し150ゴール31アシストと驚異的な記録を残してきたFWベルグソン・ダ・シウヴァにブラジルクラブ移籍の噂が報じられてます。
マレーシア語紙ブリタハリアンは、ベルグソン選手に対してブラジルの有力クラブであるスポルチ・レシフェがその獲得に興味を示しているというブラジルのメディアによる報道を紹介しています。
34歳のベルグソン選手に関心を示しているとされるスポルチ・レシフェは現在ブラジル1部セリエAに所属しているクラブで、1987年にブラジル・セリエA、また2008年にコパ・ド・ブラジルで優勝してクラブだということです。
また、この噂に拍車をかけているのがJDTのクラブ公式SNSで、そこではブラジル生まれのベルグソン選手とJDTサポーターとの映像を投稿し、ベルグソン選手がJDTを去る可能性を示唆しているようにも見えることです。
この投稿はベルグソン選手がリーグ通算100ゴールを決めた際のアーカイブ映像で「ベルグソンは記念の100ゴール目を決めた後、(JDTのサポーターグループ)『ボーイズオブストレイツ』と時間を過ごし、皆が大好きな決めポーズで締めくくった!」というコメントが付けられています。
国内リーグでの圧倒的な得点力で、昨年までは将来のマレーシア代表入りが大いに期待されていたベルグソン選手ですが、国外で生まれ育ちマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手が次々と代表入りし、前述のベトナム代表戦で11年ぶり勝利を挙げるなど結果が出始めている中で、FIFAの規定を満たしてマレーシア代表入りするまでには1年かかるベルグソン選手を今さら待つ必要もなく、さらに年齢を考えれば今が売り時という判断をクラブがしようとしているのかも知れません。なおJDTからは現時点で何のコメントも出されていません。
急転!東ティモール代表FWはKLシティではなくクチンシティと契約
昨季リーグ4位のクチンシティFCは、東ティモール代表FWジョアン・ペドロの加入をクラブ公式SNSを通じて発表しています。
このブログでは、6月16日のニュースでペドロ選手がクアラルンプールシティFC(KLシティ)入りと伝えましたが、KLシティFCを運営するクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジドKLFA会長自身が加入を認めていたにも関わらず、なぜかクチンシティFCが移籍先となったようです。主に左WGでプレーするペドロ選手は昨季はカンボジア1部のアンコール・タイガーでプレーし、26試合で7ゴール6アシストを記録を残している他、、PSMマカッサル(インドネシア)、ベンフィカ・デ・マカオ(マカオ)、ウボン・ユナイテッド(タイ)などでプレー経験もあり、5月に行われたマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦には東ティモール代表として出場しています。
27歳のペドロ選手はマレーシアリーグでは2020年シーズンに当時1部のUITM FC(現UITMユナイテッドFC)でプレーしており、およそ5年ぶりのマレーシアリーグ復帰となります。
またクチンシティFCへは、ペドロ選手に加えてノルウェイ出身のフィリピン代表SBスコット・ウッズがカンボジア1部ボーウング・ケットFCから、また元クダ・ダルル・アマンFCでカメルーン出身のCFワンジャ・ロナルド・ンガがイラク1部のアル=カーラバーSCから加入しています。190センチの大型ストライカーのンガ選手は2022年シーズンにクダ・ダルル・アマンFCで28試合に出場して15ゴールを挙げています。
さらにクチンシティFCは、昨季のU23リーグにあたるMFLカップで24ゴールを挙げて得点王と最優秀選手賞を受賞したガブリエル・ニステルローイがジョホール・ダルル・タジムFC (JDT)U23チームのJDT IIからローン移籍することも発表しています。クチンシティFCの本拠地があるサラワク州のミリ出身の25歳は、昨季は同じくJDTからクチンシティFCへローン移籍し、今季は完全移籍となったFWラマダン・サイフラーや、昨季はやはりJDTからペラFCへローン移籍し、こちらも完全移籍でクチンシティに加入するGKハジク・ナズリ、そしてスランゴールFCでは伸び悩んでいた元U23代表FWダニアル・アスリとともに、昨季の4位からトップ3入りを狙うクラブの強力な新戦力となりそうです。
