アジア杯2027予選-帰化選手の4ゴールでマレーシアはベトナムに完勝
6月10日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場でアジア杯2027年大会3次予選のF組第2節が行われ、マレーシア代表がベトナム代表を4-0で破っています。2014年12月の東南アジア選手権での勝利を最後に、ベトナム代表戦は引き分けを挟んで連敗中だったマレーシア代表にとっては11年ぶりの勝利となりました。
監督2試合目となるマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督が選んだ先発XIは以下の通り。
GKはシーハン・ハズミ(ジョホール・ダルル・タジムFC-JDT)、CBにファクンド・ガルセス(スペイン1部デポルティーボ・アラベス)、左右のSBがマシュー・ディヴィーズ(キャプテン、JDT)、ジョン・イラザバル(アゼルバイジャン1部サバフFK)で構成。中盤は左右のSHにラヴェル・コービン=オング(JDT)、ディオン・クールズ(セレッソ大阪)、中央にはノーア・ライネ(スランゴールFC)とエクトル・へヴェル(ポルトガル2部ポルティモネンセ)を配置。そして前線は左右のWGにジョアン・フィゲイレド(トルコ1部イスタンブール・バシャクシェヒルFK)、アリフ・アイマン(JDT)そしてCFにはロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)という布陣でした。国内組はJDTのシーハン、ディヴィーズ、コービン=オング、アリフ、そしてスランゴールFCのライネの5名、またガルセス、イラザバル、フィゲレイド、オルガドの4名はこの試合がマレーシア代表デビュー戦です。
代表戦としては久しぶりに6万人を超える観衆が集まった試合の前半は右サイドのアリフ・アイマンが複数の選手にマークされる中、左サイドからジョアン・フィゲレイドが積極的に仕掛けます。その後はベトナムもペースを掴み、マレーシアに押し込まれながらも決定機を作らせず、0−0のまま試合が進みます。この試合のフセイン・アボ・イェヒア主審(レバノン)は、接触プレーの多くをそのまま流し、両チームが徐々にプレーを荒くしていく中、マレーシアは35分にディオン・クールズのミドルシュートがゴールポストに阻まれると、39分にもフィゲイレドヘディングシュートを放ちますがベトナムGKグエン・フィリップが素晴らしい反応でセーブします。フィリップ選手は前半終了間際にもカウンターからDFをかわして1対1となったアリフ・アイマンのシュートを弾くなど、優勢に試合を進めるマレーシアの前に立ちはだかり、前半はこのまま0-0で終了します。
攻撃陣と守備陣で選手を入れ替えて流れを変えたいベトナムに対し、後半に入ってもマレーシアは積極的に攻め続け、遂に均衡が破れます。49分にセンターサークル付近で相手パスをカットしたフィゲイレドがそのまま持ち込みペナルティエリアの外からシュート!これがベトナムのキャプテン、ド・ドゥイ・マンに当たって高く舞い上がり、GKのフィリップ選手が全く反応できず、ボールはそのままベトナムのゴールに吸い込まれ、マレーシアが代表デビューとなったフィゲイレド選手のゴールで待望の先制点を挙げます。
さらに58分には、やはり代表デビューとなったロドリゴ・オルガドが代表初ゴールを決めます。右サイドハーフのディオン・クールズから前半に比べてマークが緩くなって右サイドのアリフ・アイマンへ出たボールを、アリフ選手が落ち着いて中央へ。これをオルガド選手がベトナムDFを交わして流し込み、マレーシアが追加点を奪います。
ベトナムもペースを上げますが、逆にマレーシアは67分に今度は中央を上がったクールズから再び右サイドのアリフ選手へパスが出ます。アリフ選手はこのボールをファーサイドへ送ると、そこへ走り込んだラヴェール・コービン=オングが押し込んでマレーシアのリードは3点と広がります。
クラモフスキー監督はこの後、オルガド選手に代えてイマノル・マチュカ(アルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルド)を投入し、合計5名の帰化選手がこの試合で代表デビューを果たしています。
戦意喪失のベトナム相手にはマレーシアは89分に4点目を挙げます。セレッソ大阪の入団発表からとんぼ返りで日本から戻ったクールズ選手が、アリフ選手に代わって途中出場のエンドリック・ドス・サントス(ベトナム1部ホーチミンシティFC)のクロスを頭で合わせ、89分にゴールを決めています。
マレーシアにルーツがある帰化選手(ヘリテイジ帰化選手)4名が挙げた4ゴールの完勝は、ベトナムのシュートが僅かに2本とファクンド・ガルセス、マシュー・ディヴィーズ、ジョン・イラザバルといったやはりヘリテイジ帰化選手で固めたバックラインがベトナムの攻撃陣を完璧に封じたこと、そしてベトナムの大黒柱グエン・スアン・ソンことラフェエルソンがアセアン選手権のケガが完治せず欠場となっていたことも勝利の要因です。この勝利で11年続いたベトナムの「呪い」を帰化選手の活躍で粉砕したマレーシアは、この勝利で予選F組のトップとなり、各組1位のみが出場する2大会連続のアジア杯出場に一歩近づいています。
なおF組のもう1試合はラオスがネパールを2-1で破り3位に浮上しています。アジア杯2027年大会予選F組の第3節でマレーシアは10月9日にアウェイでラオスと対戦します。
この試合後の会見でマレーシア代表のクラモフスキー監督は、「前半は好機を活かせなかったものの、集中力を切らずにそのまま後半に入り、結果を出したことは素晴らしい。彼らの姿勢が勝利につながったと思っている。」と話す一方で、まだまだ修正すべき点はあるとして、この勝利で浮かれることなく、次戦に向けてさらなるレベルアップをして行かなければならないとも話しています。
一方ベトナム代表のキム監督は今回はマレーシアに圧倒されたと認めながらも、ホームでの対戦が残っていることから、この借りは返すチャンスがあると発言しています。
「この試合に関してはマレーシアはとても強かった。以前よりも良いパフォーマンスを見せるだろうと予測はしていたが、これまで我々が知っているマレーシアよりはるかに強かった。前半は我々のプラン通りの展開となったが、後半は負傷により主力DF(グエン・タイン・チュン、ブイ・ティエン・ドゥン)が2人交代し、これが大きく影響した。」と説明しています。
2027年アジア杯3次予選F組第2節
2025年6月10日@ブキジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア代表 4-0 ベトナム代表
⚽️マレーシア:ジョアン・フィゲイレド(49分)、ロドリゴ・オルガド(58分)、ラヴェル・コービン=オング(67分)、ディオン・クールズ(89分)
2025年6月10日@ラオス新国立競技場(ヴィエンチャン、ラオス)
ラオス代表 2-1 ネパール代表
⚽️ラオス:ダモト・トンカムサヴァス(13分)、ピーテル・パンタヴォン(49分)
⚽️ネパール:マニッシュ・ダンギ(73分PK)
順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
1 | マレーシア | 2 | 2 | 0 | 0 | 6 | 0 | 6 | 6 |
2 | ベトナム | 2 | 1 | 0 | 1 | 5 | 4 | 1 | 3 |
3 | ラオス | 2 | 1 | 0 | 1 | 2 | 6 | -4 | 3 |
4 | ネパール | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | 4 | -3 | 0 |