ディオン・クールズがC大阪に加入-マレーシア人選手として初めて J1でプレーへ
発表が時間の問題とされていたマレーシア代表DFのディオン・クールズのセレッソ大阪入りが正式に発表されています。これによりクールズ選手はマレーシア人選手としては初めてJ1の舞台でプレーすることになります。
父親がベルギー人、母親がサラワク州クチンの出身であるクールズ選手はセレッソ大阪への加入が発表された6月4日が誕生日でこの日29歳になりました。ベルギーではU21代表などの年代別代表などでもプレーした後、ベルギー1部のクラブ・ブルッヘ、デンマーク1部のFCミッティラン、ベルギー1部のSVズルテ・ワレヘム、チェコ1部FKヤブロネツなどでプレーし、2012年にマレーシアのパスポートを取得して代表入りし、同年6月3日のW杯2022アジア予選のアラブ首長国連邦戦で代表デビューしています。さらに2022/23シーズン途中にタイ1部のブリーラム・ユナイテッドに移籍すると、当時の石井正忠監督(現タイ代表監督)のもとでもプレーし、このシーズンからブリーラム・ユナイテッドの3季連続の国内三冠獲得、さらには今季のアセアンクラブ選手権優勝にやACLエリートでのベスト8進出にも貢献しています。
マレーシア代表では、これまで31試合に出場してキャプテンも務めるなど、こちらでも主力選手として主にセンターバックやサイドバック・ウイングバックとして出場し、通算4ゴールを挙げています。
クールズ選手がJ1で成功すれば、J1クラブからマレーシア人選手への注目も集まる可能性もあり、是非とも素晴らしいパフォーマンスを期待したいところです。なおクールズ選手は6月10日のアジア杯2027年大会予選のベトナム代表戦にも出場が予想されることから、J1デビューは6月14日のFC東京戦が有力とされています。
マレーシア人選手はこれまで3名がJリーグで、1名が JFLでのプレーを経験しています。新しいところではいずれも昨シーズン、J3のY.S.C.C.横浜でプレーしたFWルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイクからローン移籍)や、同じJ3のFC大阪にスランゴールFCから5ヶ月間のローン移籍したムハンマド・カリル、そして2019年に当時J2のファジアーノ岡山に加入し、J3のアスルクラロ沼津を経て2023年に退団したFWハディ・ファイヤッド(PDRM FC)がいます。
しかし、2016年AFC U16選手権(現U17アジア杯)で得点王となった経験もあるルクマン選手は、リーグ戦とカップ戦合わせて9試合に出場(出場時間134分)、ムハンマド選手は出場0で退団しています。また19歳でマレーシアU23代表に選ばれるなど将来を嘱望されたハディ選手は、所属していたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーでジョホール州皇太子(当時)のトゥンク・イスマイル殿下の反対を押し切り、JDTとの契約を解除してまで移籍した岡山でしたが、結局出場機会はなく、そこから出場機会を求めてローン移籍した沼津での練習中に右膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、そのリハビリなどで結局、沼津での3試合(出場時間43分)のみでマレーシアに戻っています。
2013年には当時JFLのFC琉球に、マレーシアU22代表のワン・ザック・ハイカルとナジルル・ナイムが加入しています。2012年ロンドンオリンピック予選で日本に0−2と敗れたマレーシアでしたが、この両選手がスカウトの目に留まったと言われています。2013年3月に両選手は2年契約を提示されましたが、ワン・ザック選手は2試合(試合出場81分)、ナジルル選手は出場なしでともにマレーシアに戻っています。JDTからのオファーを蹴ったこともあるワン・ザック選手は昨季はペラFCでプレーし、ナジルル選手は今季は出場記録がありません。(記録はTransfarmarktを参照しています。)
マレーシア代表にアルゼンチン出身2名、ブラジル出身1名、スペイン出身1名の計4名の帰化選手が合流
6月10日のベトナム代表戦を前にマレーシア代表の補強が加速しています。
昨日のこのブログでも新戦力候補について取り上げましたが、マレーシアサッカー協会(FAM)は6月4日に正式に4名の帰化選手の代表合宿合流を発表しています。実際にはこの4選手は既に合宿に参加しています。この4選手は既にFIFAとAFCの承認を受けており、いずれも6月10日に行われるアジア杯2027年大会予選ベトナム代表戦に出場が可能だということです。
今年3月のアジア予選ネパール代表戦でデビューしたMFエクトル・へヴェル(ポルトガル2部ポルティモネンセ)、5月29日に行われた国際新全試合カーボベルデ代表戦でデビューしたSBガブリエル・パルメロ(スペイン4部CDテネリフェB)に続き、この合宿では今季ラ・リーガで15位に終わったディポルティーボ・アラベスでプレーするアルゼンチン出身の25歳、ファクンド・ガルセスがマレーシア代表候補となったことをマレーシアサッカー協会(FAM)が既に発表しています。身長189cmのガルセス選手はアルゼンチン2部のCAコロンから今年1月にディポルティーボ・アラベスに移籍し、今季のラ・リーガでは20試合にベンチ入りし、7試合に先発、3試合に途中出場しています。
6月4日に新たにマレーシア代表入りが公式発表されたのは、アルゼンチン出身のFWロドリゴ・オルガド(29歳、コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)とFWイマノル・マチュカ(25歳、アルゼンチン1部CAべレス・サルスフィエルド)、スペイン出身のDFジョン・イラザバル(28歳、アゼルバイジャン1部サバフFK)、そしてブラジル出身のFWジョアン・フィゲイレード(29歳、トルコ1部イスタンブール・バシャクシェヒルFK)の4選手です。
オルガド選手は今季ここまで15試合に出場して7ゴール1アシストの成績を残している一方、ブラジルのフォルタレーザECからローン移籍中のマチュカ選手は出場2試合となっています。またFWのフィゲイレード選手は2023年2月からプレーするトルコ1部リーグで90試合で18ゴール2アシストを記録、イラザバル選手は、リーグ5位のサバフFKの今季リーグ戦とカップ戦を合わせた39試合中37試合で先発を果たしています。
なおこれまで噂に上がっていたギリシャ1部パンセライコスSCで今季19ゴールを挙げて得点王に輝いたスペイン出身のFWヘフテ・ベタンコール(31歳、ギリシャ1部パンセライコスSC)については、マレーシア代表入りの発表はありませんでした。
ジョホールが早くも来季に向けてスペイン出身DFを獲得
代表強化のニュースに隠れて王者ジョホールもひっそりと補強
マレーシアスーパーリーグの2025/26シーズンは8月に開幕しますが、3シーズン連続国内三冠を達成した王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が新戦力として、スペイン出身のCBアントニオ・グラウデルの加入を発表しています。来季に向けての契約第1号となった29歳のグラウデル選手は、バルサやビジャレアル、エスパニョールなどのユースを経て、CFフエンラブラダ、SDエイバル、アルバセテ・バロンピエ、カディスCFなどでのプレー経験があります。
グラウデル選手の加入は、クラブの公式SNSで発表されていますが、その投稿映像中でに身につけたユニフォームの背番号が5だったことが、マレーシアのサッカーファンをざわつかせています。今季のJDTの背番号5を担っていたのはインドネシア代表で同じスペイン出身のCBジョルディ・アマトでしたが、多くの外国籍選手を放出することを明らかにしているJDTは現時点ではアマト選手の去就が発表しておらず、このまま退団となる可能性が取り沙汰されています。