5月28日のニュース<br>・ベトナム戦に臨むマレーシア代表にスペイン出身のパルメロは正式合流もアルゼンチン出身のホルガドの合流は未定<br>・FIFAデイズでマレーシアと対戦するカーボベルデがメンバー36名を発表-スランゴールでプレーするFWも招集<br>・マレーシア代表はCBタンがケガで離脱-ベトナム戦も出場不可に

クアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦を控え、地元のスポーツメディアはこの試合に関する報道一色ですが、同じクアラルンプールでは東南アジア諸国連合(ASEAN)の2025年の議長国がマレーシアであることから、5月26日よりASEAN首脳会議が始まっています。ASEAN首脳会議と言っても、サウジアラビア、クウェート、カタールなどペルシャ湾岸6カ国で作る湾岸協力会議(GCC)や中国首脳との会談なども行われ、会場のクアラルンプール市内はあちこちで交通規制が敷かれており、私も含めて市民はこの期間中は不便な生活を強いられています。

そんなASEAN首脳会議が開催される中、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相がベトナムのファム・ミン・チン首相にサッカーの話題を振ったことが報じられています。マレーシア代表はベトナム代表との試合は現在5連敗中と分が悪いのですが、6月10日にクアラルンプールで開催される2027アジア杯予選、マレーシア代表対ベトナム代表の試合を前に、アンワル首相は今回のマレーシア代表には注意するよう、冗談まじりに警告したということです。「ファン首相には、今回の対戦に向けて我々は本当に全力を尽くして準備しているので、あまり自信過剰にならないように伝えた。ベトナムは非常に強いチームで、マレーシアにとっては今回の試合も厳しい試合になるだろうが、現在のチームは情熱と粘り強さに満ちている。」と自信をのぞかせる発言をしたアンワル首相は、試合に勝った場合はチン首相に電話し、負けたら電話せずそのまま寝るとチン首相に話してメディアの笑いを誘ったということです。

ベトナム戦に臨むマレーシア代表にスペイン出身のパルメロは正式合流もアルゼンチン出身のホルガドの合流は未定

6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選ベトナム代表戦に向けた合宿中のマレーシア代表には、スペイン生まれのガブリエル・パルメロ選手が参加しています。23歳の左SBのパルメロ選手はスペイン1部のUDラス・パルマスのユースチームやBチームを経て、現在、4部のCDテネリフェBにローン移籍中です。パルメロ選手は今年3月のアジア杯予選ネパール代表戦前の代表合宿にも参加していましたが、このときはまだ帰化手続きが終了しておらず、合宿だけの参加となっていました。

その一方で、コロンビア1部のアメリカ・デ・カリに所属するFWロドリゴ・ホルガドが6月1日に行われる南米サッカー協会(CONMELBOL)が主催するクラブチームによる国際大会、コパ・スダメリカーナのグループステージ、ホームでのラシン・クラブ・デ・モンテビデオ(ウルグアイ)戦の出場メンバーに入っていることが明らかになっています。

マレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督がアルゼンチン出身のホルガド選手のマレーシア代表入りを認め、、所属するアメリカ・デ・カリのホルヘ・ダ・シルヴァ監督もクラブに代表招集の知らせが来たことを認めていますが、代表入りに必要な手続きが全て済んでいるかどうかはわからないと述べる一方で、代表に招集される場合にはクラブや監督がそれを止めることはできないとも話しています。

コロンビアでの6月1日の試合に出場した場合、6月3日に非公開で行われるカーボベルデ代表との国際親善試合に出場できるのかどうかが気になります。もしカーボベルデとの試合に間に合わなければ、6月10日のAFCアジアカップ2027年大会3次予選がいきなり代表デビュー本番となりますが、今予選では絶対に負けられないベトナム代表が相手なだけに、クラモフスキー監督も難しい判断を迫られそうです。

FIFAデイズでマレーシアと対戦するカーボベルデがメンバー36名を発表-スランゴールでプレーするFWも招集

今年最初のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)でマレーシア代表は5月29日にアフリカのカーボベルデ代表と対戦します。この試合に先立ちカーボベルデサッカー連盟は5月29日と非公開で行われる6月3日の両試合のために招集された36名のリストを発表しています。

直近のFIFAランキングでは、6月10日にアジアカップ2027年大会予選で対戦するベトナム代表(109位)よりも上の72位のカーボベルデ代表には、セリエAのエラス・ヴェローナFCでプレーする24歳のFWダイロン・リブラメントや、オランダ1部PECズヴォレでプレーするMFジャミロ・モンテイロらが含まれる一方で、当初はメンバーに含まれていたラ・リガ、ビジャレアルのDFローガン・コスタがメンバー発表後のセビージャ戦で負傷したということで、今回の遠征メンバーから外れました。また2020年1月からカーボベルデ代表の監督を務めるブビスタことペドロ・レイトン・ブリト監督は、スランゴールFCでプレーし、今季チームトップタイの10ゴールを挙げたFWアルヴィン・フォルテス、そして同じ東南アジア組でインドネシア1部PSMマカッサルのCBユラン・フェルナンデスも今回の36名のメンバーに招集しています。

マレーシア代表はCBタンがケガで離脱-ベトナム戦も出場不可に

スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、マレーシア代表合宿に参加中のCBドミニク・タンが合宿中に鼠径部を負傷したため、カーボベルデ代表との2試合、そして6月10日のベトナム代表戦も出場を見送ったと報じています。。

サバFCでプレーするタン選手は、2日目のトレーニングの後、戦列を離れなければならなかったと伝えられる一方で、現在はチームのハイパフォーマンス・スポーツ医学部長のクレイグ・ダンカン医師のリハビルプログラムに沿って回復に勤めているということです。

スランゴールはジョホールとの「マレーシアのパトリック・ヴィエラ」の争奪戦に敗れたか

今シーズン文字通り彗星のように現れたスリ・パハンFCのMFイブラヒム・マヌシは、そのプレースタイルや風貌から英国1部のアーセナルFCやフランス代表でも活躍した名選手に因んで「マレーシアのパトリック・ヴィエラ」などとも呼ばれるなど、多くの注目を集めました。今シーズン最終戦となったマレーシアカップ決勝でも、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)を相手に中盤の攻守を豊富な運動量で担い、国内三冠の王者の手を焼かせました。6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム代表戦では代表合宿に呼ばれてないないのは謎ですが、このイブラヒム選手の来季所属先についても謎が深まっています。

マレーシアカップ決勝後にスリ・パハンFCのオーナーで、パハン州王子のトゥンク・アブドル・ラーマン・イブニ・スルタン・ハジ・アフマド・シャー殿下が、来季についてはクラブから手を引くと宣言したころから、多くの選手が放出されることが予想されています。このイブラヒム選手もその1人で、その去就が注目されていますが、当初は中盤の強化を望むスランゴールFC入りが噂されていました。

しかし、ここ数日はその雲行きが怪しくなり、多くの国内若手有力選手と同様にこの23歳のイブラヒム選手も方向転換してJDT入りが濃厚という報道が出始めています。それどころか、一部のメディアはイブラヒム選手はすでに新たな移籍先となるJDTと契約済みであるとも伝えています。

6月10日のベトナム代表戦がクアラルンプールで行われる中、5月18日から始まっている代表合宿が400キロ以上離れたジョホール・バルで行っているのは、兎にも角にもその練習環境が充実しているからに他なりません。そんな環境を提供しているのがJDTで、JDTの充実した練習施設を見れば誰でもそこでプレーしたくなると言われています。さらに選手の待遇も良いことで知られるJDTに誘われたのであれば、今季が初めてフルシーズンの出場となったイブラヒム選手もスランゴールFCではなくJDTを選んでしまったのかも知れません。