5月26日のニュース<br>・マンU対アセアンオールスターズの試合にマレーシアから出場する選手5名が発表<br>・国内無敗もACLで結果を出せなかったジョホール監督が退団-後任は英国プレミアリーグ監督経験者か<br>・スーパーリーグ不参加決定のペラとクダでも無条件での下部リーグ受け入れはしない-AFL会長

来月のアジアカップ2027年大会3次予選のベトナム代表戦に向けてマレー半島南端のジョホール州で合宿中のマレーシア代表をアンワル・イブラヒム首相が訪問し、自身のSNSには「全てのマレーシア国民は代表チームに揺るぎない支援を送るだろう」と激励の言葉を添えた投稿を行っています。6月10日にホームのブキ・ジャリル国立競技場で行われるベトナム代表戦は、両チームが属する予選F組の首位攻防戦ですが、対ベトナム代表戦ではマレーシア代表は現在5連敗中、しかもこの5試合では1得点10失点と明らかに分が悪い相手です。この試合に負ければアジアカップ2大会連続出場が遠のくだけに、代表強化に公金1500万リンギ(およそ5億円)を注ぎ込んでいるマレーシア政府のトップとしてアンワル首相も気が気でないかもしれません。

マンU対アセアンオールスターズの試合にマレーシアから出場する選手5名が発表

今週5月28日に行われるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦にマレーシアから出場する5名の選手が発表になっています。

翌日5月29日には前述のベトナム代表戦に向けてのウォームアップとなる国際親善試合マレーシア代表対カーボベルデ代表戦があるため、当然ながら主力代表選手は出場せず、今回発表になったのは代表合宿参加中のGKハジク・ナズリ(ペラFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、DFデクラン・ランバート(クアラルンプールシティFC)、DFアディブ・ラオプ(ペナンFC)、そしてアルゼンチン出身の帰化選手MFセルヒオ・アグエロ(スリ・パハンFC)の5名です。この内、ハジク選手は代表合宿参加メンバーで、アザム、アディブ、アグエロの3選手は代表合宿のサブメンバーとなっています。またハジク、アザム、ランバートの3選手はジョホール・ダルル・タジムFCからローン移籍中の選手です。

2009年のプレシーズンツアー以来のマレーシア来訪となるマンチェスター・ユナイテッドは5月21日のUEFAヨーロッパリーグ決勝で同じプレミアリーグのトットナム・ホットスパーズに惜敗したばかりですが、今回のツアーにはブルーノ・フェルナンデス、カゼミーロ、アレハンドロ・ガルナチョ、マタイス・デ・リスト、ラスムス・ホイルンドら主力が帯同すると報じられています。このマンチェスター・ユナイテッドと対戦するアセアン・オールスターズは、東南アジア選手権2024年大会優勝のベトナム代表を率いるキム・サンシク監督が指揮を取流ことが発表されています。

マレーシアからは当初、いずれもマレーシア代表でプレーするDFドミニク・タン、MFスチュアート・ウィルキン(いずれもサバFC)が参加すると発表されましたが、両選手は今オフでの国外移籍が噂されており、最終的には上記の5選手に落ち着いたという経緯があります。他国でも当初は出場が発表されていたベトナム代表のエース、グエン・クアン・ハイが過密日程を理由に出場を辞退している他、タイ代表のニコラス・ミケルソンは所属するデンマーク1部オデンセBKが招集を拒否した結果、出場取りやめとなっています。


この親善試合が5月28日にマレーシア代表のホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で行われ、翌日5月29日のマレーシア代表対カーボベルデ代表戦が収容人員1万8000人のKLフットボールスタジアムで行われるのは個人的には釈然としませんが、観客動員力という点ではマンチェスター・ユナイテッドの方が上なのは事実ですので、致し方ありません。なおマンチェスター・ユナイテッド戦の方は一番安い席が50リンギ(およそ1700円)、一番高い席が1500リンギ(およそ5万円)なのに対し、マレーシア代表対カーボベルデ代表戦は一律40リンギ(およそ1400円)となっています。

国内無敗もACLで結果を出せなかったジョホール監督が退団-後任は英国プレミアリーグ監督経験者か

5月23日にジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は公式SNS上で過去3シーズンに渡り監督を務めたエクトル・ビドリオ監督の退任を発表しています。2022年シーズンに監督に就任したベネズエラ出身のビドリオ監督は、途中テクニカル・ディレクターなども務めながら、2022シーズンと2024/25シーズンにはリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を達成しています。しかも監督在籍時には、JDTは国内で無敗と無双し続けました。しかし国外に目を転じると、2022年のACL、そして今季のACLエリートでは、いずれもグループステージを突破しながら、ノックアウトステージ1回戦の壁に跳ね返された結果、今回、その責任を取る形で退任します。英字紙スターは、このビドリオ監督の後任として、スペイン出身で44歳のシスコ・ムニョス氏の名前が上がっていると報じています。

JDTのCEOに就任したやはりスペイン出身のルイス・ガルシア氏とも近いことからも監督就任が有力視されているムニョス氏は、現役時代はバレンシアやレアル・ベティスなどでウィングとして活躍しました。晩年にプレーしたジョージアのディナモ・トビリシで指導者生活を始めたムニョス氏は、2020年に前年のコーチから監督に昇格するとその年のリーグ優勝を果たしました。翌2021年には英国2部のワトフォードで監督に就任するとリーグ2位の成績を残し、クラブを1部プレミアリーグへ昇格させました。しかし、翌年2021/22シーズンのプレミアリーグでは開幕からの7試合を2勝1分4敗として14位に沈むと解任されてしまいました。その後の2021/22シーズンはスペイン2部のSDウエスカで9勝12分9敗の成績で退団し、2022/23シーズンはキプロス1部のアノルトシス・ファマグスタで3勝2分7敗としました。、2023/24シーズンは再び英国に戻り、3部のシェフィールド・ウエンズデーで監督となりますが、10試合で0勝2分8敗の最下位となると解任され、スロバキア1部リーグのドゥナイスカー・ストレダで2023年11月監督に就任しました。当初は2023/24シーズン終了までの契約でしたが、就任10試合で6勝3分1敗の成績を上げると、契約が2年間延長されました。しかし今季2024/25シーズンは開幕からの15試合を6勝4分5敗とすると、2026年6月までの契約を解除されて昨年11月に退団しています。

英字紙スターは、ムニョス氏がスペイン国内メディアとのインタビューで自信を冒険好きと評し、さまざまな国のサッカーを見たり、新しい環境に挑戦することも好きだと述べたことがJDT監督就任を示唆する発言ではないかと報じています。

またJDTにはスペイン出身のFWサム・カスティジェホ、MFフアン・ムニョス、DFオスカル・アリバス(登録はフィリピン=東南アジア枠)、DFエディ・イスラフィロフ(登録はアゼルバイジャン)らがいることからチームに入って行きやすく、監督就任の際には同胞のセットピースコーチのロベルト・ケスト、アナリストのトニー・ヴァジェの両氏を連れてくるだろうと予想しています。

スーパーリーグ不参加決定のペラとクダでも無条件での下部リーグ受け入れはしない-AFL会長

来季2025/26シーズンのマレーシアスーパーリーグ参加に必要な国内クラブライセンスが交付されなかったケダ・ダルル・アマン(KDA)FCとペラFCは、代わりに3部にあたるA1セミプロリーグへ参戦する可能性がありますが、リーグやカップ戦で優勝経験のある両名門クラブであっても、このA1セミプロリーグへ無条件で参加することはできないようです。

A1セミプロリーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)のユソフ・マハディ会長は、両クラブとも依然としてAFLの規定の対象であり、登録選手が20人以上いることなど、リーグ参加の基本基準を満たさなければならないと述べていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。。

その一方でユソフAFL会長は、両クラブが財政問題に直面していることを理解した上で、AFLが求める財政的義務を果たすことができれば、リーグ参加については特に問題はないと述べた。

「選手や監督、コーチに給与を払い、チームをうまく運営できれば、両クラブともA1リーグへの参加に何の障害もない」と語ったユソフ会長は、「A1セミプロリーグの運営コストはスーパーリーグでのプレーに比べてそれほど高くなく、300万から400万リンギ(およそ1億から1億4000万円)あれば、シーズンを通してチームを運営するには十分である」と述べています。

リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を初めて2季連続で達成したクダ・ダルル・アマンFC、そして創設100年を超えるペラFCの両名門クラブは、クラブ経営状況に問題ありとして第一審機関(FIB)が今季の国内クラブライセンス交付を行わないことを発表された直後に、ユソフAFL会長は、両クラブがA1セミプロリーグでプレーしながら、財政再建を続けていくことで、将来のスーパーリーグ復帰に向けた「生き残る」を図ることができると、A1セミプロリーグへの参入を歓迎する発言をしていました。