2024/25シーズンが終了したマレーシアリーグ。オフシーズンに入るとパウロ・ジョズエ(KLシティFC)のベトナムリーグ移籍、スチュアート・ウィルキン、ドミニク・タン(いずれもサバFC)のタイリーグ移籍など、マレーシア代表選手の国外移籍の噂が飛び交っています。多くのチームで給料未払い問題が報じられる中でプロとしての成果を求めたい選手たちにとっては、自分を評価してくれるところへ移るというこの流れは加速する可能性もあります。
6月のベトナム戦はブキ・ジャリル国立競技場で開催
6月10日に予定されている2027年アジア杯3次予選ベトナム戦はクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されることが発表されています。初戦となった先月3月25日に行われたネパール戦は、マレー半島最南端のジョホール州にあるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われ、マレーシアが2−0で勝利しています。
この発表は、マレーシア代表のロブ・フレンドCEO名で、マレーシア代表の公式SNS、Malaysia NTに投稿されています。
ネパール戦へ向けての準備は国内トップの設備を持つJDTの練習施設を使用し、ネパール戦は国内No. 1のピッチとされるスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われたことから、ピーター・クラモフスキー代表監督は、今予選で最も重要なベトナム戦を初戦と同じスルタン・イブラヒム・スタジアムで行うことも検討していると述べていましたが、結局、マレーシア代表のホームでもあるブキ・ジャリル国立競技場での開催となったようです。なお3月25日のネパール戦の観衆は8,000人を切っており、これはブキ・ジャリル国立競技場で行われた昨年末の東南アジア選手権三菱電機カップのシンガポール戦の30,000人超えを大きく下回っていました。
このニュースとは直接、関係はありませんが、今年1月1日付けて就任したピーター・クラモフスキー監督は、コーチ陣を同郷のオーストラリア人で固めていましたが、今月4月10日にそのうちの1人で元オーストラリア代表キャプテンのマーク・ミリガン氏が退陣しています。オーストラリア1部のアデレード・ユナイテッドのコーチ職を辞して、今年1月にマレーシア代表のコーチ陣に加わったばかりでしたが、コーチ就任からわずか3ヶ月でチームを去っています。なお40歳のミリガン氏はオーストラリア1部で監督を解任したニューカッスル・ジェッツの新監督候補に名前が上がっているということです。
AFC主催大会出場に必要なクラブライセンスを交付されたのは4クラブのみ
2024/25シーズンのAFCクラブライセンスについて、マレーシアの第一審機関(FIB)が詳細を発表し、申請を行った6クラブ中、ライセンスを交付されたのは4クラブだったことを明らかにしています。なおこの2024/25シーズンのAFCクラブライセンスは、来季2025/26シーズンのACLエリートやACL2などAFC主催大会に必要となるライセンスです。
国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式ホームページでは、今回AFCクラブライセンス交付を申請したのは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)、スランゴールFC、サバFC、トレンガヌFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFCの6クラブで、この内、JDT、スランゴールFC、サバFC、ペナンFCの4クラブにAFCクラブライセンスが交付されたことが明らかになっています。
JDTのAFC大会での活躍もあり、2025/26シーズンはACLエリート本戦出場枠1、ACL2本戦出場枠1がマレーシアに与えられており、リーグ11連覇の王者JDTはACLエリートに、リーグ2位のスランゴールFCはACL2に、いずれも今季2024/25シーズンに続いて出場することが決まっています。
MFLの発表後、トレンガヌFCが声明を発表し、2024/25年シーズンのAFCクラブライセンスの取得について、「失敗した」のではなく、「申請を継続する意向がなかった」と説明しています。
「トレンガヌFCは、AFCライセンス取得申請を締切前に継続しない旨をMFLに正式に通達した。これは、AFC主催大会にマレーシアから出場する2つの枠が、今季スーパーリーグが終了した4月20日前に、JDTとセランゴールFCの2クラブに既に確定してからである。」
「そのため、クラブはAFCライセンス取得に必要な準備をこの期間内に進めないという決定を下した。なお、AFCライセンスの保持が必要ない東南アジアクラブ選手権「ショッピーカップ」への出場に関しては、何の問題もない。」
と自身の名で公式SNSに投稿したトレンガヌFCのモハド・サブリ・アバスCEOは、この説明により、サポーターは状況をより正確に理解し、クラブに対する否定的な憶測を避けることを願ってる、としています。
ブルネイが17シーズンぶりにマレーシアリーグに復帰濃厚
英字紙ニューストレイツタイムズは、今季はシンガポール1部リーグでプレーしているブルネイのクラブ、ブルネイDPMM FCの来季のマレーシアリーグ入りが濃厚となったと報じています。なおブルネイDPMMは9チームで編成されているシンガポール1部リーグで現在7位につけています。
ブルネイDPMMは、ホームを首都のバンダル・スリ・ブガワンにあるハサナル・ボルキア国立競技場とするとされていますが、ブルネイで試合をする際にはアウェイチームの移動費と宿泊費を負担する用意があるとも報じられています。
ブルネイDPMMの参入についてニューストレイツタイムズがリーグを運営するMFLに問い合わせたところ、今月末までとなっている来季2025/26シーズンの国内クラブライセンス交付申請の結果を待つように、という回答を受け取ったいうことです。
ブルネイDPMMがマレーシアリーグでプレーするのはこれが初めてではなく、2002年から2004年までブルネイ国内リーグで連覇を果たした後、2005/06シーズンにはマレーシア2部(当時)のプレミアリーグに参入しています。そしてこのシーズン3位となって1部スーパーリーグ昇格を果たすと、昇格初年度の2006/07年シーズンには3位、翌年は10位となった後、ブルネイサッカー協会内の問題によりマレーシアリーグを離脱し、翌2009年からはシンガポールリーグに移籍しています。
シンガポールリーグでも、参入初年度にリーグカップで優勝するなど好成績を挙げましたが、ブルネイ政府によるブルネイサッカー協会への介入を理由に、FIFAがブルネイサッカー協会の資格を停止。この結果、この2009年シーズンは5試合を残してリーグ離脱を余儀なくされています。そしてFIFAの資格停止処分が解除された2012年シーズンから、再びシンガポールリーグに復帰すると、2015年にはリーグ優勝を果たしています。
ブルネイDPMMは、2017年には再びマレーシアリーグ復帰の意思を表明しましたが、MFLの前身で当時のマレーシアリーグを運営したフットボール・マレーシアLLPが、1)ホームマッチをマレーシア国内で行うこと、2)ブルネイ国籍の選手は外国籍選手扱いとし、他のクラブ同様マレーシア人を中心としたとチーム編成とすることなどをリーグ参入の条件としたことからこの計画は頓挫し、その後もインドネシアリーグやタイリーグ参入を目指す報道などがあったものの、結局、シンガポール1部リーグに残留し、2019年シーズンにはリーグ優勝を果たしています。
2020年シーズンは新型コロナの影響でシンガポールリーグの開幕が遅れ、さらにブルネイとシンガポール間の移動が制限されたこともあり、結局、前年の覇者がリーグ不参加という事態となりました。さらに翌2021年シーズンもブルネイ政府による国外への移動制限措置が続いたことで、シンガポールリーグ不参加となりました。
2021年そして続く2022年シーズンはブルネイ国内リーグでプレーしたブルネイDPMMは、2023年シーズンにAFCの承認を経て、シンガポールリーグ復帰を果たし、現在に至っています。