試合結果の投稿は1ヶ月ぶりとなってしまいましたが、4月19日から20日にかけてマレーシアスーパーリーグの今季2024/25シーズン最終節となる第26節が行われています。今節は試合がなかったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、国内3シーズン連続無敗を含めたリーグ11連覇を既に決めており、2位スランゴール、3位サバまでは既に順位が確定するなど、最終節での大きな順位変動はなく、強いて言えば、アセアンクラブ選手権出場枠がかかる4位争いが最終節では注目でした。
また今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第26節はJDTの試合がありません。
*試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
2位確定のスランゴールは最終戦勝利
既に今季の2位を確定させていたスランゴールはPDRMとのもう一つの「クラン渓谷ダービー」で対戦し、2-0で勝利しています。
今季で退団も噂されている元代表GKサミュエル・サマーヴィルが、喜熨斗勝史監督就任以来初先発した試合は、21分にペナルティエリア内での相手のハンドでスランゴールがPKを得ます。しかしロニー・フェルナンデスのキックはPDRMのGKノー・ハキム・ハミダンに止められてしまいます。チャンスは作るもののゴールに至らない、まさに今季を象徴する嫌な雰囲気の展開で、前半は0-0で終了します。
しかし後半に入り、ゴールを狙う姿勢がより積極的になったスランゴールは49分、相手DFからボールを奪ったアルヴィン・フォルテスがドリブルで一気にペナルティエリア内まで持ち込み、左足を一閃。これが先制ゴールとなり、スランゴールがリードを奪います。その後はスランゴールが追加点を奪えない中、PDRMもなかなか前線までボールが繋がらず、このまま終了かと思われた90+2分でした。途中出場のアレクサンダー・アギャルカワを起点にアリフ・イズワン・ユスラン、ダニアル・アスリ、そしてフォルテスと繋ぎ、最後はヨハンドリ・オロスコがゴール前のこぼれ球を押し込んでダメ押しのゴール。スランゴールがPDRMを突き話し、今季最終戦を勝利で飾っています。
途中交代したシンガポール代表のサフワン・バハルディンや、期待の大きさに応えられず批判を浴び続けたロニー・フェルナンデスなど、複数の主力選手がチームを去ることが予想されます。中途半端な補強では絶対王者JDTの牙城を崩すことは無理なので、来季はあえて大金をかけて目先の補強を行うよりも、喜熨斗監督のもとでノーア・ライネ、ハリス・ハイカル、ジクリ・カリリなど20代前半の選手を核にした長期的なチーム作りの第一歩を踏み出して欲しいです。
一方のPDRMは9位で今季を終了しました。開幕後は好スタートを切りながら、シーズン途中の不透明な監督解任劇などもあり、最後はしりすぼみになってしまった印象です。鈴木ブルーノ(今季6得点)、イフェダヨ・オルセグン(同8得点)、シャーレル・フィクリ(同4得点)といった攻撃陣の役者は揃っていながら、今季のゴール数は13チーム中9位、1試合平均1点強の25ゴールと、自慢の攻撃陣までボールがなかなかつながらず、FWが前線で孤立するシーンを多く見たシーズンでした。
2025年4月19日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 2-0 PDRM FC
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(49分)、ヨハンドリ・オロスコ(90+2分)
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して56分に交代しています。
4連勝でシーズンを終えたスリ・パハンはマレーシアカップ決勝に弾み
リーグ戦は今節が最終節ですが、国内サッカーは4月27日のマレーシアカップ決勝が今季最後の試合となります。3シーズン連続の国内三冠を目指すJDTとその決勝で対戦するのがスリ・パハンです。このスリ・パハンはマレーシアカップこそ決勝まで駒を進めているものの、リーグ戦では20試合を終えて3勝8分9敗の11位と低迷していました。
しかしそこから破壊チームとの対戦か続いたこともあり、この試合も含めて4連勝し、一気に8位まで順位を上げています。カザフスタンリーグ2部の得点王として加入しながら、今季ここまで1ゴールと期待を裏切ったミコラ・アハポフが18分に先制ゴールを決めたスリ・パハンは、粘るペナンに二度追いつかれたものの、アハポフノコの試合2点目となるゴールが決勝点となり、リーグ戦4連勝で来週末のマレーシアカップ決勝に弾みをつけています。
敗れたペナンは、コーチから昇格した元代表FWのアクマル・リザル監督が成績不振でシーズン半ばで解任されるなど苦しい状況が続き、最終的には10位でリーグを終えています。
2025年4月19日@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 3-2 ペナンFC
⚽️スリ・パハン:ミコラ・アハポフ2(18分、87分)、シャズワン・アンディック(57分)
⚽️ペナン:アリフ・イクマルリザル(48分)、ステファン・ブルンド(64分OG)
MOM:ミコラ・アハポフ(スリ・パハンFC)
3位サバは最終戦を飾れず
既に3位を確定させていたサバはホームでペラと対戦し0−1で敗れています。
ペラの守備的な布陣を崩せずにいたサバは、29分にキャプテンのラウィルソン・バトゥイルのクリアミスからオウンゴールで失点すると、42分にはR・デニシュがボールに伸ばした足がペラのダニエル・ハキミの顔に当たり、このプレーでデニシュ選手は一発レッドで退場となってしまいます。結局この1点が決勝点となり、ペラが1−0で勝利し、採取順位を7位としています。
サバは、既にこのブログでも取り上げたように前インドネシア代表FWサディル・ラムダニは、母国のプルシブ・バンドン移籍が噂されていますが、この他にもいずれも代表でプレーするMFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タンの両選手のタイリーグ移籍などの話もあり、来季のチームの顔ぶれが大きく変わりそうです。
またペラは最近になって、給料の未払いが5ヶ月間に渡っていることが明らかになるなど、サッカー界に新たな激震が走っていました。ペラFCのアブドゥル・アジム会長は、ペラFCの経営陣が、近いうちに選手やコーチングスタッフと話し合いを行うということですが、未払い給料については全額支払えるかどうか、またどのような方法で支払うかはまだ確定していないということです。
さらにアブドゥル・アジム会長は、通信会社XOXが過去3年間でペラFCに3,000万リンギ(1リンギはおよそ32円)を支出してきたが、その資金は既に尽きてしまったとも説明しています。
2025年4月20日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 0-1 ペラFC
⚽️ペラ:ラウィルソン・バトゥイル(29分OG)
MOM:ルシアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)
連敗ストップのトレンガヌは5位でシーズンを終える
前々節のスランゴールFC、前節のPDRM FCを相手にいずれも0−1と敗れていたトレンガヌは、ホームに戻りクダ・ダルル・アマンFCを3-0で破ってシーズンを終えています。
今季チーム最多の4,281人が足を運んだ試合は、前半終了間際のゴールで先制したトレンガヌが、後半に2点を追加して勝利しています。
一方、やはり給料未払い問題を抱えるクダは、FWベネザー・アシフアがこの試合を前に本国ガーナへ帰国し、この試合では外国籍選手がついにミロス・ゴルディッチ1人となり、また、JDTからローン移籍中だった元代表FWシャフィク・アフマドもベンチ外、など戦力的には明らかに劣勢でした。
2025年4月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 3-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(45+4分)、ウバイドラー・シャムスル(75分)、ヌリロ・トゥカタシノフ(90+1分)
MOM:サファウィ・ラシド(トレンガヌFC)
クチンシティはクラブ史上最高位の4位達成
日本人所属クラブ同士の対戦となったこの試合は、谷川由来選手が所属するクチンシティFCが、佐々木匠選手のヌグリスンビランFCを相手に3−1と快勝しています。
今季のクチンシティは、就任2季目のアイディル・シャリン監督のもと、ジェイムズ・オクウォサや元代表ヌル・シャミル・イズワン、いずれもJDTからローン移籍のダニアル・アミル、ラマダン・サイフラーといった新加入組、そしてアイディル監督がクダ・ダルル・アマンFC監督時代の選手だったシャーリル・サアリ、ロニー・ケルヴィン、チェチェ・キプレらが、今季5シーズン目の谷川選手やジミー・レイモンドなどこれまでクチンシティでプレーしてきた選手らと融合し、昨季の13位(2勝6分18敗)から10勝9分5敗の4位へと大躍進を果たしています。
またヌグリスンビランは、この試合で敗れて今季は4勝4分16敗の12位となりましたが、シーズン途中に今季加入した佐々木選手との契約延長を発表しており、来季は佐々木選手を中心としたチーム編成となる可能性が高そうです。
2025年4月20日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 1-3 クチンシティFC
⚽️ヌグリスンビラン:A・セルヴァン(70分)
⚽️クチンシティ:ジョーダン・ミンター2(17分、90+6分)、ペトラス・シテムビ(37分OG)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)
ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は、警告累積のため出場停止でベンチ外でした。
クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
KLシティは最終戦で大勝
最下位のクランタン・ダルル・ナイムFCをホームに迎えたKLシティFCは二度のリードを追い付かれる危うい展開だったものの、最後は地力の差を見せて突き放しています。
給料未払い問題を抱えるKLシティは、勝点6剥奪の処分を受けながら今季は6位に終わっています。なおこの試合のゴールで今季はリーグ2位の17ゴールを挙げた、キャプテンでエースのパウロ・ジョズエは、今オフでのベトナムリーグ入りが噂されており、文字通りクラブの顔が移籍となれば、予算の少ないクラブ事情からも大型補強は期待できず、来季は苦しい試合を強いられそうです。
2025年4月20日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 5-2 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ2(24分、45+1分)、パウロ・ジョズエ(71分)、ハキミ・アジム(75分)、ライアン・ランバート(86分)
⚽️クランタン:アダム・ダニアル(45分)、ファズルル・アミル(53分)
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティFC)
2024/25マレーシアスーパーリーグ最終順位表
順位 | チーム | 試 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 |
1 | JDT | 24 | 70 | 23 | 1 | 0 | 90 | 8 | 82 |
2 | SEL | 24 | 52 | 14 | 4 | 4 | 44 | 16 | 28 |
3 | SAB | 24 | 40 | 11 | 7 | 6 | 41 | 33 | 8 |
4 | KCH | 24 | 39 | 10 | 9 | 5 | 38 | 28 | 10 |
5 | TRE | 24 | 35 | 9 | 8 | 7 | 35 | 26 | 9 |
6 | #KLC | 24 | 31 | 11 | 4 | 9 | 40 | 33 | 7 |
7 | PRK | 24 | 30 | 8 | 6 | 10 | 36 | 36 | 0 |
8 | SRP | 24 | 29 | 7 | 8 | 9 | 35 | 39 | -4 |
9 | PDRM | 24 | 27 | 7 | 6 | 11 | 25 | 36 | -11 |
10 | PEN | 24 | 26 | 6 | 8 | 10 | 31 | 37 | -7 |
11 | *KDA | 24 | 21 | 6 | 6 | 12 | 21 | 51 | -30 |
12 | NSE | 24 | 16 | 4 | 4 | 16 | 23 | 49 | -26 |
13 | KDN | 24 | 7 | 2 | 1 | 21 | 16 | 82 | -66 |
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ最終得点ランキング
氏名 | 所属 | ゴール | |
1 | ベルグソン・ダ・シルヴァ | JDT | 32 |
2 | パウロ・ジョズエ | KLC | 17 |
3 | ジョーダン・ミンター | KCH | 14 |
4 | ルシアーノ・ゴイコチェア | PRK | 11 |
ロドリゴ・ディアス | PEN | 10 | |
ロニー・フェルナンデス | SEL | 10 | |
アルヴィン・フォルテス | SEL | 10 | |
ロメル・モラレス | JDT | 10 | |
9 | イフェダヨ・オルセグン | PDRM | 8 |
クレイトン | PRK | 8 | |
クパー・シャーマン | SRP | 8 | |
11 | アリフ・アイマン | JDT | 7 |
ヘベルチ・フェルナンデス | JDT | 7 | |
ステファノ・ブルンド | SRP | 7 | |
ジョアン・ペドロ | SAB | 7 | |
サファウィ・ラシド | TRE | 7 |