3月25日のニュース:2027年アジア杯3次予選ネパール対マレーシア戦試合前日会見

2027年アジア杯3次予選がいよいよ本日から始まります。来年2026年3月までと12ヶ月の長丁場ですが、F組でベトナム、ラオス、ネパールと同組になっているマレーシアは、アジア杯2大会連続出場を果たすためには、マレーシアはこの組を突破する最有力候補のベトナム戦以外の全試合に勝つことが大前提となります。

またこの試合は、今年1月1日付で就任したピーター・クラモフスキー監督が初めて指揮を取る試合でもある他、オランダ生まれのAMFエクトル・へベル(29歳、ポルトガル2部ポルティモネンセ)と、スペイン生まれで左SBを得意とするガブリエル・パルメロ(23歳、スペイン4部CDテネリフェB)の両帰化選手も代表合宿に合流しており、この試合で新監督と新戦力がマレーシア代表サポーターをがっちりと掴めるかどうかに注目が集まります。

その一方でこの試合は、マレーシア代表のホームで、首都クアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場ではなく、ジョホール・ダルル・タジムFCの本拠地、ジョホール州にあるスルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催となっています。またイスラム教の断食月ラマダン中ということもあり、午後10時のキックオフとなっていることもあってか、昨日3月24日の夜9時の時点では、マレーシアサッカー協会の発表によると、これまでに売れたチケットの枚数が2,374枚と代表戦としてかなり寂しい数字になっています。

FIFAランキングは指標にならない-クラモフスキー監督

2027年アジアカップ3次予選の初戦でFIFAランキング132位のマレーシアは、同175位のネパールと対戦します。この試合が就任後初の対外試合となるピーター・クラモフスキー監督は、ランキングの差をチーム力の差を示す指標として考えるべきではないと強調しています。

オーストラリア出身のクラモフスキー監督は、同じオーストラリア出身のマシュー・ロス監督率いるネパール代表との初戦を勝利で飾ることを目指し、良い結果とともに良いパフォーマンスを見せたいと、試合前会見で述べています。

クラモフスキー監督は、マレーシア代表の選手たちには戦術やサッカー哲学を理解するだけでなく、勝者のメンタリティを築くことが求められていると述べています。。

「勝者のメンタリティは、日々の取り組みの中で一貫性を保つことが重要である。これまで良い日々を積み重ねてきたが、その勢いを維持し続ける必要がある。だからこそ、明日(3月25日)の試合では良いスタートを切り、強いチームとしての姿勢を見せたいと考えている。そして、その後も勝者のメンタリティを築き、トップチームの一員として自らの地位を確立していきたい」と述べています。

自身初の代表監督就任でもあり、試合に向けたプレッシャーについて質問された際、クラモフスキー監督は、「プレッシャーは私の辞書にはない。またネパール戦は私個人に関することではなく、マレーシア代表に関することであり、マレーシア国民に誇りを持ってもらえるような魅力的なサッカーを目指している。」と述べ、またサポーターからの評価も高かった前任のキム・パンゴン監督(現蔚山HD監督)との比較も気にしていないと語っています。

ファイサル・ハリムには物語がある-クラモフスキー監督

またピーター・クラモフスキー監督は、代表に復帰したファイサル・ハリムについて会見で問われると「相手を混乱させるほどの攻撃的なプレーができる俊敏な選手」だと評価し、代表復帰は非常にふさわしいとも述べています。

「彼が代表チームに戻ってきたのは本当に素晴らしいことだ。彼は優れたウィングで、相手に大きな脅威を与えられる選手である。彼のプレーには明確な意図と激しい攻撃のリズムがあり、今が代表復帰に最適なタイミングだと考えている。」

「彼はそのチャンスにふさわしい選手であり、彼には語るべき物語がある。その物語は、彼のさらなる成長とともに続いていくだろう」とも述べたクラモフスキー監督は、ファイサル選手のチームへの適応力を高く評価した上で、(代表合宿が始まってからの)8日間の合宿で全選手が良い反応を示していると説明しています。

「彼は非常にうまくチームに溶け込んでおり、それは他の選手たちも同様です。選手たちのフィジカル面にはとても満足している。」

「重要なのは、選手一人ひとりをどう成長させられるかです。合宿は8日間でしたが、私たちの焦点はその期間だけではありません。現在の代表メンバー以外の選手に対しても、合宿以外の場面でフィジカル強化に取り組むための戦略があります」と語った。

2024年は、1月アジア杯韓国戦でゴールを挙げるなどの活躍を見せたファイサル選手は、同年5月5日にスランゴール州内のショッピングモールで何者かに酸をかけられ、身体の一部に第4度のやけどを負い、約10日間集中治療室(ICU)で治療を受けました。その後のW杯予選なども出場できず、今回が酸攻撃以来初めての代表合宿参加となる。

なおファイサル選手自身は、は3月8日のスーパーリーグ、セランゴールFC対ケランタン・ダルル・ナイムFC戦ではハットトリックを決め、さらに復帰後初となるフル出場を果たすなど、完全復活を印象付けるような活躍もしています。

ネパールを侮ってはいけない-マレーシア代表キャプテン

試合前会見に出席したDFマット・ディヴィーズは、ネパール戦は、非常に厳しい試合になるだろうと語っています。

ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)所属の右SBであるディヴィーズは、昨年3月15日に行われた非公開の親善試合でマレーシアがネパールに5-1で勝利したものの、その結果は参考にならないと強調しています。

今回の試合でキャプテンを務めるディヴィーズ選手は、今回のネパール代表は、マシュー・ロス監督の下で数名の新戦力が加わり、チームがより強化されていると指摘しています。ネパールは先週金曜日の国際親善試合で格上のシンガポールに1-0で勝利しています。

「ネパールは新監督の戦術に慣れてきており、戦術面での成長が見られる。そのため、我々は警戒して戦わなければなりません。ネパールの選手たちの実力を過小評価することはできない。同時に、私たちも戦術プランに沿って安定したプレーをし、プレッシャーを感じることなく良い結果を目指して試合に臨みたい」とディヴィーズ選手は語っています。


このディヴィーズ選手は1995年にオーストラリア生まれましたが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2015年に代表デビユーを果たしています。このディヴィーズ選手は会見の冒頭で、代表チームに練習施設を提供したジョホール州摂政で、自身が所属するJDTのオーナーでもあるトゥンク・イスマイル殿下に対してマレーシア語で感謝の意を表明しています。この会見映像がSNSで広がると、ディヴィーズ選手のマレーシア語が非常に流暢だったこともあり、「これこそ帰化選手のあるべき姿だ」とあちこちで称賛の声が上がっています。

マレーシア戦は新たなスタートになる-ネパール代表監督

一方、ネパール代表のマシュー・ロス監督は、マレーシア戦に向けた戦術を問われると、引き分けを狙うつもりはないと語っています。

「今回のマレーシア戦は、ネパールサッカーにとって新たな章の始まりである。我々はアジア杯予選でどのチームとも戦える実力があることを証明したいと考えている。シンガポール戦での1-0の勝利は、マレーシアとの試合に向けての自信につながっている。」と話したロス監督は、「最初から引き分け狙いの姿勢では結局負けてしまうので、明日の試合は前向きな結果を目指して臨みたい。選手たちはトレーニングで非常に真剣に取り組んでおり、これが現実的な目標だと確信している。」とロス監督は自身を見せています。

「シンガポールでの親善試合後、短期間のリカバリーと戦術分析を行い、各ポジションをさらに強化するための対策を講じた。あとは選手たちが再び100%のコンディションに戻れるように努めているところである」と語っています。

ピーター・クラモフスキー監督が就任して初の対外試合となるマレーシア代表のプレースタイルを分析するのは難しいとも述べたロス監督は、その理由として、新たな帰化選手たちがチームに加わっていることも理由に挙げています。

「マレーシア代表に加わった帰化選手自体にについては特にコメントはない。カタールやUAEのような国々でも同様のことが行われており、それば全て規定に基づいたものです。一方、ネパール代表の選手は全員がネパールで生まれ育った選手だけで構成されており、帰化選手は一人もいない。そして我々はそのことに誇りを持ってい」とロス監督は語っています。

集中してベストを尽くしたい-ネパール代表キャプテン

またネパール代表のキャプテン、キラン・クマール・リンブは、昨年キム・パン・ゴン監督率いるマレーシアに1-5で敗れた過去にはこだわらず、その悔しさを糧にして明日の試合に臨むと意気込みを語っています。

「もちろん、前回の試合の敗戦は我々にとって痛手だったが、それを教訓にして立ち直った。過去の出来事は忘れ、マレーシア戦に集中してベストを尽くしたいと考えている。」

「確かに、我々は厳しいグループに入っている。マレーシアだけでなく、ラオスやベトナムとも対戦しなければならず、これら3チームに対してどれだけ戦えるかが私たちの試練となるだろう」とリンブ選手は語っています。

なおマレーシアとネパールはこれまで過去8試合対戦しており、その結果はマレーシアの6勝2分となっています。

1983年9月19日 – マレーシア 7-0 ネパール
1985年3月16日 – ネパール 0-0 マレーシア
1985年3月31日 – マレーシア 5-0 ネパール
1989年5月23日 – マレーシア 2-0 ネパール
1989年6月7日 – マレーシア 3-0 ネパール
2008年10月15日 – マレーシア 4-0 ネパール
2019年6月2日 – マレーシア 2-2 ネパール
2024年3月15日(非公開試合)- マレーシア 5-1 ネパール