2024/25ナショナルフットボールアウォーズ各賞の候補者が発表
ニュースと言うほど新しい話題ではないですが、今季2024/25シーズンのナショナルフットボールアウォーズ(マレーシア語での呼称はABK24/25)の各賞の最終候補が発表になっています。
日本で言えばJリーグアウォーズにあたるナショナルフットボールアウォーズは、2-24/25シーズンのマレーシア国内リーグ(Mリーグ)において活躍した選手や監督を中心に、今季のマレーシアサッカー界に貢献したさまざまな関係者の功績を称えるために開催されます。
2023年にはU23チームが争うMFLカップが創設されましたが、ABK24では、このMFLカップ出場選手を表彰する「MFL最優秀選手」や「MFLカップ得点王」という2つの新しいカテゴリーを含めて16部門と、2019年シーズン以来となる復活した「最優秀サポーター」を合わせた以下の全17分門が表彰対象となります。
1)最優秀ゴールキーパー
2)最優秀ディフェンダ
3)最優秀ミッドフィルダー
4)最優秀フォワード
5)最優秀監督
6)最優秀外国人選手
7)最優秀若手選手
8)最優秀MFLカップ選手
9)最優秀選手 (MVP)
10)フェアプレー賞
11)最優秀チーム
12)ベストゴール賞
13)FAN XI(サポーターが選んだベストXI)
14)ゴールデンブーツ賞 – MFLカップ部門
15)ゴールデンブーツ賞 – スーパーリーグ (マレーシア人選手)
16)ゴールデンブーツ賞 – スーパーリーグ
17)最優秀サポーター賞
最終選考を前に今季のMリーグでプレーした合計498名の選手の中からABK24/25選考委員会によって各部門のトップ10選手が既に選ばれています。なお各選手は、それぞれのクラブが登録したポジションに基づいて選出されています。各賞の受賞者はマレーシア1部スーパーリーグ13クラブの監督、キャプテン、MFL出場13クラブの監督、キャプテン、そして26名のメディア関係者の投票により決定されます。なお以下は8部門のトップ10選手のリストです。
1)最優秀ゴールキーパー
アズリ・ガニ (クアラルンプール・シティFC)
ブライアン・シー (PDRM FC)
ダミアン・リム (サバFC)
ハジク・ナズリ (ペラFC)
カラムラ・アル=ハフィズ (セランゴールFC)
シャリル・サアリ (クチン・シティFC)
シーク・イズハン (ペナンFC)
シーハン・ハズミ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ワン・シャズミン (ケダ・ダルル・アマンFC)
ザリフ・イルファン (スリ・パハンFC)
2)最優秀ディフェンダー
アダム・ノー・アズリン (スリ・パハンFC)
ダニエル・ティン (サバFC)
ドミニク・タン (サバFC)
フェロズ・バハルディン (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ハリス・ハイカル (セランゴールFC)
イブラヒム・マヌシ (スリ・パハンFC)
ジミー・レイモンド (クチン・シティFC)
クエンティン・チェン (セランゴールFC)
シャルル・ニザム (トレンガヌFC)
ウバイドゥラー (トレンガヌFC)
3)最優秀ミッドフィルダー
アキヤ・ラシド (トレンガヌFC)
サファウィ・ラシド (トレンガヌFC)
アミルル・ヒシャム (ケダ・ダルル・アマンFC)
アリフ・アイマン (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ダニアル・アミル (クチン・シティFC)
ファズルル・アミル (ケランタン・ダルル・ナイムFC)
ノーア・ライネ (セランゴールFC)
スチュアート・ウィルキン (サバFC)
シャミル・クティ (ペナンFC)
ワン・ザック・ハイカル (ペラFC)
4)最優秀フォワード
ダレン・ロック (サバFC)
ジャフリ・フィルダウス・チュウ(サバFC)
パウロ・ジョズエ (クアラルンプール・シティFC)
ハキミ・アジム (クアラルンプール・シティFC)
ガブリエル・ニーステルロイ(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ロメル・モラレス (ジョホール・ダルル・タジムFC)
シャフィク・アフマド (ケダ・ダルル・アマンFC)
ラマダン・サイフラー (クチン・シティFC)
シャーレル・フィクリ (PDRM FC)
エセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)
5)最優秀監督
エクトル・ビドリオ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
アブディ・ハサン (セランゴールFC-MFLカップ)
P・マニアム (PDRM FC)
ミラスロフ・クリヤナッチ (KLシティFC)
バドロル・アフザン・ラザリ (トレンガヌFC)
ヴィクター・アンドラン (ケダ・ダルル・アマンFC)
ユスリ・チェ・ラー (ペラFC)
ファンディ・アフマド(スリ・パハンFC)
アイディル・シャリン (クチン・シティFC)
喜熨斗勝史 (Selangor FC)
6)最優秀外国人選手
ベルグソン・ダ・シルヴァ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ヘベルチ・フェルナンデス(ジョホール・ダルル・タジムFC)
フアン・ムニス(ジョホール・ダルル・タジムFC)
アリ・オルワン(スランゴールFC)
ヨハンドリ・オロスコ(スランゴールFC)
アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティFC)
クパー・シャーマン(スリ・パハンFC)
マヌエル・イダルゴ(スリ・パハンFC)
ルチアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)
7)最優秀若手選手
アダム・ダニアル(クランタン・ダルル・ナイムFC)
アリフ・イズワン(セランゴールFC)
ハイカル・ダニッシュ(セランゴールFC)
ラーマン・ダウド(セランゴールFC)
アズハド・ハラズ(サバFC)
ダニエル・ハキミ(ペラFC)
G. パヴィスラン(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ハキミ・アジム(KLシティFC)
ウバイドゥッラー・シャムスル(トレンガヌFC)
8)最優秀MFLカップ選手
アフィーク・イクマル(ケダー・ダルル・アマンFC B)
アフィク・ヒルマン(KLシティ・エクステンション)
アイリエル・ザフラン(スリ・パハンFC)
アスラフ・アリフディン(クランタン・ダルル・ナイムFC)
ガブリエル・ニステルローイ(ジョホール・ダルル・タジムII)
ハリー・ダニッシュ(セランゴールFC)
ハイカル・ダニッシュ(セランゴールFC)
ラーマン・ダウド(セランゴールFC)
ロヒシャム・ハイカル(セランゴールFC)
S. ビマル・ナイル(ヌグリ・スンビランFC)
なお以上の候補を選んだABK24-25 選考委員会メンバーは以下の通りです。
ナフジ・ザイン -マレーシア U23代表監督
ラズマン・ロスラン – マレーシアプロサッカー選手協会(PFAM)副会長
スレイマン・フシン – マレーシアプロサッカーコーチ協会(PJBM)役員
フィルダウス・ハシム – マレーシアスポーツ記者協会(SAM)役員
イズワン・モハド・ノール – マレーシアリーグ公式放送代表(HB)
首都圏のクラブが書類偽造問題でリーグ除名の危機に
クアラルンプールからスランゴール州にかけての首都圏一体はその地域を流れる川に因んでクラン渓谷とも呼ばれていますが、マレーシアのメディア、マジョリティはこのクラン渓谷に本拠地を持つあるサッカークラブが、クラブライセンス取得のための文書手続きを簡略化しようとした結果、リーグから除名されるリスクに直面していると報じています。なおクラン渓谷に本拠地を持つクラブはスランゴールFC、KLシティFC、そしてPDRM FCの3つのクラブです。
この記事の中でスポーツ関連を専門とするザフリ・アミヌラシッド弁護士は、文書偽造は刑法に基づく重大な違反行為であると指摘している他、この問題はマレーシアサッカー協会(FAM)の規定に基づく処分を受ける恐れがありとしています。FAMの懲戒規定第64条によると、文書偽造に関与した個人には罰金および12カ月以上のサッカー活動停止処分が科される可能性があり、さらに、関与したクラブはリーグ除名などの厳しい処分を受けるリスクがあるということです。
ザフリ弁護士の説明によると「FAMの懲戒委員会が調査を行い、必要に応じて処分を決定する。警察に報告された場合、当局が追加調査を行い、十分な証拠がそろい起訴が許可されれば、加害者は裁判にかけられる可能性もある」と述べ、さらに文書偽造の問題は、関与したクラブだけでなく、マレーシアリーグ全体の評判にも悪影響を及ぼすこともあるとして、罪を犯したクラブはライセンスの取り消し、罰金、勝点の減点、出場停止処分などさまざまな制裁を受ける可能性があるとも話しています。また、FAMがこの問題を放置すれば、国際サッカー連盟(FIFA)から制裁を受ける恐れもあるとも警告しています。
以前、このマジョリティは、スーパーリーグのクラブがクラブライセンスおよびアジアサッカー連盟(AFC)ライセンス申請の際、文書を偽造したと報時ています。またこのクラブのサポーターの間でもこの問題は話題になっており、その一部がクラブオーナーに直接、質問する場面も見られました。しかし、クラブオーナーはこの件についての情報を持っておらず、サポーターからはクラブ運営の透明性に対する不信感が高まっています。
また、マジョリティの取材に対して、国内リーグを運営するマレーシアンサッカーリーグ(MFL)のモハド・シャズリ・シャイク・モハドCEO代行は、この件について調査を進めると述べたと言うことです。
来季のU23リーグが廃止に-各クラブの財政圧迫が原因
国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は3月24日に、来季2025/26シーズンのMFLカップの廃止が決定したことを発表しています。なおこの決定は、2月19日に行われた国内1部スーパーリーグの13クラブとMFLとの協議を経て決定されたと言うことです。
若手選手の育成を目的として、スーパーリーグ参加クラブのU23チーム同士のリーグ戦として2023年に創設されたMFLカップは、国内クラブライセンス取得要件の一つとなっており、それまでU23チームを持たなかったクラブも含めた全13クラブはMFLカップに出場するU23チームを編成することが求められました。
しかし2023年、2024/25年と2シーズンを経た結果、MFLは、選手の給与や移動費などの運営費が各クラブにとって大きな負担となり、MFLカップの運用費用だけで全クラブの総費用が2800万リンギ(およそ9億5000万円)に達していたことを明らかにしています。この結果、全13クラブの意見を踏まえた上で、MFLはクラブの財政状況を強化し、安定させるためにMFLカップの廃止を決断する必要があると考えました。
さらに、MFLは、MFLカップに出場していた20歳から23歳の選手は年齢制限のある大会に出場するよりも、トップチームでのポジション争いに挑む時期であるとの認識で一致したと、MFLの公式サイトでは発表されています。
来季2025/26シーズンからMFLカップは行われなくなりますが、若手選手の育成は引き続き重要視されており、20歳以下の「プレジデントカップ」および18歳以下の「ユースカップ」は引き続き開催されるとしています。ただしこのプレジデントカップとユースカップは、MFLではなくマレーシアサッカー協会(FAM)が主催し、しかもプレジデントカップは1985年から、ユースカップは2007年から開催されているリーグ戦であり、MFLカップ廃止とは全く無関係に行われる大会です。
なおMFLは、23歳以下のリーグであるMFLカップが廃止となる一方で、スーパーリーグの強化に引き続き取り組んでいくとしていますが、国内クラブの民営化に伴い、2015年に発足したマレーシアンフットボールリーグは、2部プレミアリーグの廃止も行なっており、これをMFLが主張する通り各クラブの財政の健全化のための産みの苦しみと見るのか、目先の利益と引き換えに将来につながる若手世代育成を切り捨てる悪手なのかは、今後明らかになるでしょう。