3月7日から16日にかけてマレーシアスーパーリーグ第23節が行われています。なおスーパーリーグは3月25日に行われるAFCアジアカップ2027年大会予選のネパール戦とそれに先立つ3月17日からの代表合宿のため一時中断し、次節第23節は4月4日から6日に開催されます。
また今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第22節はクランタン・ダルル・ナイムFCの試合がありません。
*試合のハイライト映像は全てマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のYouTubeチャンネルより。
給料未払い問題を抱えるチーム同士の対戦はKLシティに軍配
勝点剥奪処分を受けた両チームの対戦は、来季の存続が危ぶまれるクダ・ダルル・アマンFCを、資金不足から下部リーグ降格の噂があるKLシティが逆転で破り勝利しています。
給料未払い問題により開幕前に勝点3を剥奪されたクダと、クラブライセンス申請時に財務状況に関する書類に虚偽があったとして勝点6を剥奪されたKLシティが対戦。先日、ジョホール・ダルル・アマンFCのオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下に来季のスーパーリーグではプレーしないだろうとその名をあげられたクダは、複数の主力選手を欠きながらも、エベネゼル・アシフアのクロスにミロシュ・ゴルディッチが合わせ、最後までチームに残る外国籍選手2名の活躍で先制します。一方、最大株主のクアラルンプールサッカー協会(KLFA)の会長が、現在抱える給料未払い問題を解決するために来季のスーパーリーグ撤退、下部リーグ降格を示唆する発表に反発するKLシティは、クラブ最多ゴール記録を持つパウロ・ジョズエのゴールで前半終了間際に追いつきます。
後半に入るとギアを上げたKLシティは、パウロ・ジョズエが自身のクラブ記録を更新する通算76得点目となるゴールを決めて逆転すると、クダも一度はファズルル・ダネルのゴールで追いつくものの、最後はショーン・ジャネッリが決勝ゴールを決めて勝利し、順位は6位のままですが、5位のトレンガヌ勝点差3と迫っています。一方、敗れたクダはペナンFC、スリ・パハンFCと勝点20で並んでいますが、得失差で11位となっています。
2025年3月7日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 2-3 KLシティFC
⚽️クダ:ミロシュ・ゴルディッチ(25分)、ファズルル・ダネル(55分)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ2(45+2分、62分)、ショーン・ジャネッリ(85分)
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)
3位サバと4位トレンガヌの対戦は引き分け
来季のアセアンクラブ選手権出場権がかかる3位を争う両チームの対戦は2-2で引き分けています。
アウェイのサバは前半20分に代表MFスチュアート・ウィルキンの先制ゴールでリードを奪いますが、その4分後にはイスマヒル・アキナデが同点ゴールを決めてトレンガヌがすぐに追いつきます。しかし前半終了間際には先制点をアシストしたサディル・ラムダニがゴールを決めて、サバが再びリードを奪います。しかし84分にサファウィ・ラシドが同点ゴールを決めて引き分けに持ち込んでいます。
今季のスーパーリーグは、既にジョホール・ダルル・タジムFCの1位、スランゴールFCの2位が確定していますが、この両チームが引き分けたことで、3位に浮上したクチンシティFCと4位サバの東マレーシアの両チームが勝点36で並び、5位のトレンガヌが勝点32で、残り2節を残す今季の3位争いが激化しています。
2025年3月7日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-2 サバFC
⚽️トレンガヌ:イスマヒル・アキナデ(24分)、サファウィ・ラシド(84分)
⚽️サバ:スチュアート・ウィルキン(20分)、サディル・ラムダニ(44分)
MOM:サファウィ・ラシド(トレンガヌFC)
ヌグリスンビランは今季初の連勝ならず
前節に今季3勝目を挙げたヌグリスンビランFCは、今季初の連勝をかけてペラFCと対戦しました。しかし前半の30分にハリス・サムスリがペラの得点機のファウルにより一発レッドで退場なるなど苦しい展開となりましたが、結局、試合はスコアレスドローに終わり、今季の12位が確定しています。
2025年3月8日@MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラFC 0-0 ヌグリスンビランFC
MOM:アキル・アブドル・ラザク(ペラFC)
ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は59分から途中出場し、試合終了までプレーしています。
マレーシアカップ決勝進出のスリ・パハンがリーグ戦9試合ぶりの勝利
リーグ戦では昨年10月29日のペナンFC戦以来勝利がないスリ・パハンFCが9試合ぶりの勝利を挙げています。
スリ・パハンは、38分にステファノ・ブルンドのゴールで先制しますが、PDRMは鈴木ブルーノが52分に今季4得点目となるゴールを決め、一時は同点追いつきます。しかしスリ・パハンはクパ・シャーマンが72分、そして78分に決めた2ゴールで一気にPDRMを突き放しています。
この9試合ぶりの勝利により、スリ・パハンは勝点20となりで10位に浮上。一方、リーグ戦では昨年12月以来勝利がないPDRMは勝点21のままで8位をキープしています。
2025年3月8日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-3 スリ・パハンFC
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(55分)
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(38分)、クパー・シャーマン2(72分、78分)
MOM:クパー・シャーマン(スリ・パハンFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、フル出場しています。
クチンシティが今季初の3位浮上-スランゴールは14試合無敗が止まる
現在、最も勢いのあるクチンシティFCが、前節に今季の2位を確定させたスランゴールFCをホームに迎えたこの試合は、個人的には今節最も注目している試合でした。PDRM FCとのチャレンジャーカップ決勝を含め、14試合連続無敗記録を更新中のスランゴールは試合開始からボールを支配しますが、先制したのはホームのクチンシティでした。26分に右サイドを上がったヌル・シャミ・イスズハンのクロスをファーサイドにいたラマダン・サイフラーが押し込んで、クチンシティがリードを奪います。ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からローン移籍中のラマダン選手がこの試合では躍動し、また徐々にクチンシティも攻勢を強め、さらに好機を作りますが、スランゴールGKカラムラー・アル=ハフィズの好守もあり、前半は1-0のまま折り返します。
後半に入るとスランゴールの喜熨斗勝史監督はムカイリ・アジマルを投入しますが、この起用があたり、ムカイリ選手が右サイドでフリーとなっていたクエンティン・チェンからのクロスを蹴り込み、後半の50分にスランゴールが追いつきます。ハーフタイムあたりから降り始めた雨が激しくなり、ボールが転がりにくくなる中、84分に右サイドでフリーとなったジミー・レイモンドがペナルティエリアに切り込んで放ったシュートはGKカラムラー・アル=ハフィズの逆を突き、誰に触れることもなくそのままゴールイン。これが決勝点となり、クチンシティは連続無敗記録を9に伸ばし、暫定ながらクラブ史上最高位の3位に順位を上げています。
なお次節ではクチンシティは今季のリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、またスランゴールは4位のトレンガヌFCと対戦します。
今季の、いやここ数年繰り返されている「勝たなければいけない試合に勝てない」スランゴールそのものでした。喜熨斗監督は、既に=に2位を確定させていたことが敗因ではないと述べ、敗因は自チームのミスによるもので、そこをクチンシティに漬け込まれたと説明し、スランゴールから訪れたサポーターに対しては「遠くまで応援に来てくれたサポーターに謝りたい。勝点3どころか、勝点1すら持ち帰ることができず、申し訳ない」と話しています。
一方、クチンシティのアイディル・シャリン監督はリーグの強豪であるスランゴールを下したことに満足の意を示しています。「選手たちに称賛を贈りたい。簡単な勝利ではなかった。スランゴールの順位や歴史、さらにはACL2での活躍を見れば、彼らが強豪であることは明らかだ。経験豊富で優れた選手を多く擁するチーム相手に、我々は良いプレーができ、勝点を得ることができた。またサポーターの声援も大きな力になった。チームを応援してくれたすべてのサポーターに感謝したい」と述べていました。
2025年3月16日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2-1 スランゴールFC
⚽️クチンシティ:ラマダン・サイフラー(26分)、ジミー・レイモンド(85分)
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル(51分)
MOM:ジミー・レイモンド(クチンシティFC)
イスラフィロフのヘディング2発でジョホールがペナンに勝利
既に今季優勝を決めているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がエディ・イスラフィロフの今季初ゴールを含む2本のヘディングシュートなどでペナンFCに3−0と快勝しています。
JDTは3月11日のACLエリート決勝トーナメント1回戦でタイのブリーラム・ユナイテッドに敗れた後の初めての試合でした。またペナンは直近6試合でわずか1勝という厳しい状況の中でJDTをホームに迎えています。
JDTは先日発表されたアジアカップ2027年大会予選のネパール戦に出場するマレーシア代表メンバーに選ばれた右SBマット・デイビスとCBシャールル・サアドが久しぶりに先発するなど、ACLエリートとは大きくメンバーを入れ替えるなど、「国内戦」仕様で臨みましたが、それでもペナンを圧倒し、20分にはナズミ・ファイズの左コーナーキックをエディ・イスラフィロフが頭で合わせて先制します。さらにその7分後には、ヘベルチ・フェルナンデスの左コーナーキックを再びイスラフィロフ選手がヘディングで合わせてゴール!JDTがリードを広げます。また36分にはJDTがPKを得ますが、ベルグソン・ダ・シルヴァのPKはペナンGKシーク・イズハンが好セーブし、前半はJDTが2点のリードで終了します。
後半に入ると、54分にはそのヘベルチ選手が、やはりマレーシア代表に選出されたロメル・モラレスとのワンツーからのパスを受け、強烈なシュートを決めて3点目を挙げ、JDTがそのまま逃げ切っています。最後は代表選出されているムハマド・スマレ(今季6試合出場、出場時間109分)や、ラヴェル・コービン=オング(同14試合、639分)といった今季はほとんど出場機会がない選手を起用して「虫干し」する余裕すらありました。
2025年3月16日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 ペナンFC
⚽️ジョホール:エディ・イスラフィロフ2(20分、27分)、ヘベルチ・フェルナンデス(54分)
MOM:エディ・イスラフィロフ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第23節終了)
順位 | チーム | 試 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 |
1 | JDT | 21 | 61 | 20 | 1 | 0 | 73 | 7 | 66 |
2 | SEL | 22 | 46 | 14 | 4 | 4 | 41 | 16 | 25 |
3 | KCH | 22 | 36 | 9 | 9 | 4 | 35 | 25 | 10 |
4 | SAB | 21 | 35 | 10 | 6 | 5 | 39 | 31 | 8 |
5 | TRE | 21 | 32 | 8 | 8 | 5 | 32 | 24 | 8 |
6 | #KLC | 21 | 28 | 10 | 4 | 7 | 34 | 28 | 6 |
7 | PRK | 21 | 24 | 6 | 6 | 9 | 33 | 34 | -1 |
8 | PDRM | 21 | 24 | 6 | 6 | 9 | 24 | 33 | -9 |
9 | PEN | 21 | 20 | 4 | 8 | 9 | 25 | 37 | -12 |
10 | SRP | 21 | 20 | 4 | 8 | 9 | 25 | 37 | -12 |
11 | *KDA | 20 | 20 | 6 | 5 | 9 | 19 | 35 | -16 |
12 | NSE | 21 | 13 | 3 | 4 | 14 | 20 | 43 | -23 |
13 | KDN | 21 | 7 | 2 | 1 | 18 | 13 | 66 | -53 |
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第23節終了)
氏名 | 所属 | ゴール | |
1 | ベルグソン・ダ・シルヴァ | JDT | 23 |
2 | パウロ・ジョズエ | KLC | 15 |
3 | ジョーダン・ミンター | KCH | 12 |
4 | ルシアーノ・ゴイコチェア | PRK | 10 |
ロドリゴ・ディアス | PEN | 10 | |
ロニー・フェルナンデス | SEL | 10 | |
7 | アルヴィン・フォルテス | SEL | 8 |
イフェダヨ・オルセグン | PDRM | 8 | |
クレイトン | PRK | 8 | |
クパー・シャーマン | SRP | 8 | |
11 | アリフ・アイマン | JDT | 7 |
ヘベルチ・フェルナンデス | JDT | 7 | |
ジョアン・ペドロ | SAB | 7 |