3月11日にACLエリート決勝トーナメント1回戦2ndレグが行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のはホームのスタジアム・スルタン・イブラヒムでブリーラム・ユナイテッド(タイ)と対戦し、0-1で敗れて初のベスト8進出を逃しています。
先週3月5日にブリーラム・ユナイテッドのホームで行われた1stレグがスコアレスドローで終わっていた両チームの対戦は、この試合の勝者がサウジアラビアで集中開催され、東西両地区が対戦する準々決勝に駒を進めます。今大会のJDTは、グループステージではホームで3勝1分と圧倒的な成績を残していました。
両チームの先発は以下の通り。JDTは1stレグで先発したムリロ・エンリケ、パク・ジュンホン、アンセルモ・デ・モラエスに代わり、サム・カスティジェホ、シェーン・ローリー、そしてアフィク・ファザイルがこの2ndレグでは先発。スペイン出身の7選手が先発に名を連ねています。


現在はイスラム教の断食月「ラマダン」中で、日の出から日没までは飲食ができません。試合が行われたジョホール州のこの日の日没は午後7時16分、そしてこの試合のキックオフは午後8時と、アリフ・アイマンやアフィク・ファザイルらムスリム(イスラム教徒)の選手にとっては調整が難しい時間でした。
そんな中、開始1分にはブリーラムGKニール・エザリッジのセーブからこぼれたボールをJDTのベルグソン・ダ・シルバが押し込み、先制点か!となりましたが、これはVAR が介入するとオフサイドとなり、結局、幻のゴールに終わります。それでもJDTは35,000名を超えるサポーターの声援を背に、序盤から積極的にブリーラムの守備を脅かし、一方のブリーラムはその猛攻をしのぎ、そこからカウンターを仕掛ける展開となります。
JDTにとって最大のチャンスは27分でした。連続攻撃からフリーとなったアフィク・ファザイルがグラウンダーのシュートを放ちますが、これはゴールポストを直撃して絶好の先制機を逃してしまいます。一方のブリーラムは要所要所での的確な守備でJDTの攻撃陣に十分な仕事をさせず、前半は0-0で終了します。
後半に入ると、今度はブリーラムが攻勢に転じ、53分にはペテル・ジュリがミドルシュートでゴールを狙いますが、ボールはクロスバーを越えてしまいます。しかしその5分後、ついにこの試合唯一の得点が入ります。中盤でJDTのパスをゴラン・チャウシッチがカットすると、そこからスパナット・ムアンタとのパス交換で一気にJDTゴール前へ上がります。これをJDTのDFエディ・イスラフィロフがスライディングタックルで止めに入りますが、このクリアボールが右サイドでフリーになっていたスパナット・ムアンタの足元へ。スパナット選手が躊躇せず、絶妙なカーブをかけて放ったシュートは、JDTのGKアンドニ・スビアウレの指先を掠めるようにゴールイン!ついにブリーラムが先制します。JDTはボールを奪われた中盤の選手が全力で戻ろうとせず、さらに守備陣の足が一瞬止まってしまったことが悔やまれます。
リードを許したJDTのエクトル・ビドリオ監督は、71分にヘベルチ・フェルナンデスを投入し、その後もヘセ・ロドリゲス、ホルヘ・オブレゴンと次々に攻撃のカードを切り、試合の流れを変えようとします。84分には、そのヘベルチ・フェルナンデスが25メートルの位置から直接FKを狙いますが、相手の壁に阻まれ、同点のチャンスを逃します。ブリーラムはその後も、GKニール・エザリッジを中心に鉄壁の守備を見せてJDTにフリーでシュートを打たせません。7分と長いロスタイムには、ホルヘ・オブレゴンがあわや同点ゴールかという芸術的なシュートを決めますが、これもVARが入って、結局オフサイドと判定され、試合はそのまま終了します。
この結果、JDTはクラブ史上初となるACLエリートの準々決勝進出を逃し、一方のブリーラム・ユナイテッドは東南アジア唯一の代表として、4月25日からサウジアラビアで開催される集中開催方式の準々決勝へと駒を進めています。なお、ブリーラム・ユナイテッドの対戦相手は来週3月17日に、マレーシアのクアラ・ルンプールにあるAFCハウスで行われる抽選で決まります。
ACLエリート2024/25 決勝トーナメント1回戦2ndレグ
2025年3月11日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 0-1 ブリーラム・ユナイテッド(通算成績:0-1)
⚽️ブリーラム:スパナット・ムアンタ(58分)