3月2日のニュース<br>・JDTの好成績によりマレーシアがAFCクラブランキングでアジア10位に躍進<br>・ACLエリートで対戦するブリーラムUオーナーの発言がジョホール戦力強化のきっかけ?<br>・アジア杯予選:ネパールは仮想マレーシアのシンガポールと対戦<br>・アジア杯予選:マレーシア代表の初戦はジョホールで開催<br>・代表入り目前オランダ出身選手の移籍先に注目が集まる

イスラム教の断食月が始まりました。1ヶ月続くこの断食月ラマダン中、ムスリム(イスラム教徒)は日の出から日没まで飲食をしません。首都圏ではおよそ午前6時から午後7時30分までがこの断食時間に当たりますが、国民の60%強がムスリムのマレーシアでは、この間の国内リーグのキックオフ時間も従来の午後9時から午後10時になり、翌日仕事があるサポーターにはなかなか厳しい時間帯の試合となります。(ムスリムが比較的少ないサバ州とサラワク州での試合を除く)ただし、今季は既に残り2節となっていることや、3月にはFIFA国際マッチカレンダーがあることで、ラマダン中の国内リーグは1節のみ、しかも週末開催となっています。

JDTの好成績によりマレーシアがAFCクラブランキングでアジア10位に躍進

アジアサッカー連盟(AFC)クラブコンペティションランキングの最新ランキング(シーズン中間発表)が行われ、マレーシアはACLエリートでベスト16進出を果たしたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の活躍により、その順位をこれまでの12位から10位に浮上しています。マレーシアのポイントは現在39.508と、前回の発表では10位だったイラク(39.280)と11位だったオーストラリア(36.920)をそれぞれ抜き去っています。

今季のACLにはマレーシアからはACLエリートにJDTが、ACL2にはスランゴールFCが出場しています。JDTはグループステージで4勝2分1敗の成績を残して21.290ポイントを、スランゴールは同じくグループステージで3勝1分2敗の成績により8.667ポイントを獲得し、合計で29.957ポイントを獲得していますが、このポイントはその国からACLで出場している参加チーム数で割って平均を求めるので、今季ここまでのマレーシアのポイントは14.978となります。

スランゴールFCはグループステージで敗退していますのでこれ以上のポイントの積み上げはありませんが、JDTは、ACLエリート東地区で横浜Fマリノス、川崎フロンターレに次ぐ3位でノックアウトステージへ進出し、その1回戦でタイのブリーラム・ユナイテッドと3月5日にアウェイで、また3月11日にホームで対戦が決まっており、この試合の結果次第では、さらにポイントの上積みが期待できます。

またこのAFCクラブコンペティションランキングの東地区では、現在5位のマレーシアですが、4位にいるのがタイでそのポイント差は14.142です。5位のマレーシアは、2028/27シーズンのACLエリートへ1チーム、ACL2へ1チームの出場枠がありますが、4位のタイはさらにACLエリートのプレーオフへの1チームの出場枠を持っています。今後、マレーシアがタイに代わって4位に浮上すれば、さらにマレーシアのクラブがアジアの舞台で戦える機会が増えるので、マレーシアサッカーファンとしてはJDTに是非とも頑張ってベスト8入りを果たしてもらいたいところです。

ACLエリートで対戦するブリーラムUオーナーの発言がジョホール戦力強化のきっかけ?

ACLエリート東地区のノックアウトステージ1回戦ではジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とタイのブリーラム・ユナイテッドが対戦しますが、この両チームはグループステージでも対戦しており、昨年12月3日のACLエリート第6節にJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われた試合では0-0と引き分けています。

この試合後にブリーラム・ユナイテッドのネ―ウィン・チドチョーブ会長はタイのメディアに対して「JDTとはまた会うことになるだろう。でも、今度はブリーラムが勝つ。JDTはそれほど強いチームじゃない」と話したネーウィン会長は、JDTのオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下に対して、さらに挑発的な発言を行なったとされています。

「JDTは多くの外国人選手を獲得しているが、特に気にすることはない。」「(JDTのオーナーであるトゥンク・イスマイル殿下には、もっと投資することをお勧めする。そうすれば、来年(2025年)の対戦はもっと面白くなるはずだ」と昨年語っています。

この発言の後、JDTは第7節のセントラル・コースト・マリナーズ戦に2-1、第8節の浦項スティーラーズ戦に5−2と連勝。同時にラ・リーガやセリエAでプレー経験のあるアルバロ・ゴンサレス。ジョナタン・ビエラ、ロケ・メサ、アンセルモ・モラエス、そしてサム・カスティジェホの5名を次々と補強し、第7節のセントラルコースト・マリナーズ戦ではアルバロ・ゴンザレスが2ゴールを挙げるなど、決勝トーナメント進出を決めています。

ACLエリート第8節終了時点では、東地区5位のJDTは同4位の光州FC(韓国)と、また同6位のブリーラム・ユナイテッドは同3位のヴィッセル神戸と対戦するはずでしたが、山東泰山のまさかの最終節出場辞退によって順位が大きく変動した結果、3位となったJDT対ブリーラム・ユナイテッドの対戦が実現しています。

まさに運命とも言える再戦が実現したこの両チームの対戦で、ネーウィン会長の発言によってJDTが成長したのかどうかが、この決勝トーナメント1回戦で明らかになりそうで

アジアカップ予選:ネパールはシンガポールを仮想マレーシアとして対戦

3月25日に開幕する2027アジアカップ最終予選を前に、初戦でマレーシアと対戦するネパール代表は3月21日にシンガポール代表との国際親善試合を予定していると、東南アジアのサッカーニュースを報じるAsean Football のSNSが伝えています。。予選F組に入っているマレーシアは、このネパールの他、F組大本命のベトナム、そしてラオスと同組になっています。

また、この試合はイタリア出身のヴィンチェンツォ・アネーゼ前監督に代わり、昨年10月からネパール代表の指揮を取るオーストラリア出身で前韓国女子代表コーチのマット・ロス新監督にとっても初の試合となるということです。

1989年6月以来となる両チームの対戦は、ネパールだけでなく、シンガポールにとっても予選第1節の香港代表戦の準備となりそうです。

アジア杯予選:マレーシア代表の初戦はブキ・ジャリル国立競技場ではなくジョホールのホーム、スルタン・イスマイル・スタジアムで開催

2027アジア杯最終予選でマレーシアの初戦となる3月25日のネパール戦が、クアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場ではなく、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催されることをアジアサッカー連盟(AFC)が正式に承認したことを、マレーシアの英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

マレーシア出身のウィンザー・ポールAFC事務局長は、マレーシアサッカー協会(FAM)がスルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催を要請し、AFCがそれを承認したと明らかにしています。

「試合会場の選択は開催国側に委ねられており、マレーシアはスルタン・イブラヒム・スタジアムを選択しました。このスタジアムはACLエリートの試合開催会場としてAFCにより承認されているため、追加の検査は不要である」と、ウィンザー事務局長は取材したニューストレイツタイムズに説明しています。

当初の予定では、第1節はネパールのホームマッチとして開催予定でしたが、AFCが試合会場として予定していたカトマンズのダサラス・スタジアムを視察した結果、スタジアムのピッチの状態、セキュリティ対策、練習施設、照明設備などが国際基準に達していないとして、アジア杯予選の開催基準を満たしていないことから開催地変更が発表されていました。今回の変更により、ネパールはまずマレーシアで試合を行い、2025年11月に予定されているリターンマッチをネパールで開催することになりました。


AFCは女子サッカーやクラブ大会の国際試合については、このダサラス・スタジアムでの開催を認めているものの、男子のネパール代表がW杯およびアジア杯予選のホームゲームを国外で行うのは、これで2大会連続となります。なお前回の予選では、ネパールはバーレーン戦とUAE戦をそれぞれバーレーンとサウジアラビアで開催しています。

代表入り目前とされるオランダ出身選手の移籍先に注目が集まる

インドネシアの躍進に見られるように、東南アジアの多くの国が自国にルーツを持つ選手の帰化を進めていますが、マレーシア代表入りが時間の問題とされているのがオランダ出身のFWフレディ・ドルイフ(オーストリア1部ラピード・ウィーン)です。27歳のドルイフ選手は、マレーシア国籍取得に関する手続きがすでに完了したとも報じられており、今月のアジア杯予選を前に代表入りするとされています。

190cmの大型ストライカーである26歳のドルイフ選手について、マレーシアのメディア、マジョリティが、マレーシアではなく隣国インドネシアのサッカーファンの間でも話題となっていると報じ、その反応を紹介しています。

「ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT」はマレーシア人としてドルイフ選手を獲得する絶好の機会で、既に受け入れる準備ができているはずだ」、「ACLエリートで決勝トーナメントに進んでいるJDTにとって理想的なストライカー候補だ。獲得する価値は十分ある」といった声がある一方で、オランダ国内のメディアはドルイフ選手が、かつて堂安律選手や板倉滉選手が所属したオランダ1部のFCフローニンゲン加入の可能性を報じています。SKラピッド・ウィーンとの契約が2024年2月5日に終了したドルイフ選手は、現在フリーエージェントとなっていますが、オランダ1部で現在8位で、上位進出を目指すFCフローニンゲンがその獲得に関心を示しているとしています。


マレーシアサッカー協会(FAM)は、このドルイフ選手の他、22歳のDMFセム・シェペルマン(オランダ1部ヘラクレス・アルメロ)、27歳のDFディラン・ファン・ヴァーヘニンゲン(オランダ1部スパルタ・ロッテルダム)の代表入りを近々発表するとされています。3月16日に予定されているマレーシアスーパーリーグ第23節終了後の翌日3月17日からは、今年1月に就任したピーター・クラモフスキー監督が初めて行う代表合宿が予定されており、この合宿に上記の3選手が合流するのではないかと期待されています。