色々とスッキリしない点もあるが、スランゴール再生へのきっかけが見えたのか。
MFLチャレンジカップの決勝2ndレグが2月22日にスランゴール州のMBPJスタジアムで行われ、1stレグで勝利していたスランゴールFCが0−4で昨季のチャンピオンPDRM FCを破り、2015年のマレーシアカップ優勝以来となる国内タイトルを獲得しています。
1週間前の2月15日にスランゴールのホーム、MBPJスタジアムで行われた1stレグに対し、この日の2ndレグは本来ならPDRMのホーム、MPSスタジアムで行われる予定でしたが、MBPJスタジアムが「決勝開催のための条件を満たしている」ことを理由に試合会場の変更を主催者であるマレーシアン・フットボール・リーグ(MFL)に申請し、MFLもこれを認めることを2月18日に発表しました。
1週間前の1stレグは3-2とスランゴールが勝利したもののその差は1点と、2ndレグではPDRMも逆転優勝を狙えると思われていましたが、試合前日に驚くようなニュースが飛び込んできます。
MFLは公式サイト上で、マレーシアサッカー協会(FAM)の懲戒委員会が、2月15日のチャレンジカップ決勝1stレグで、出場資格のない選手を起用したことを理由にPDRM FCに処分を下したことを発表しました。具体的には、準々決勝と準決勝でそれぞれイエローをもらっており、決勝1stレグは警告累積により出場停止処分を受けていたはずのモハマド・サフィー・アフマドが58分に交代出場したことが原因でした。MFLの発表を読んだだけでは、なぜこのサフィー選手がそもそもベンチ入りしていたのか、また本人も含めてチーム内でそれに気づく者がなぜ1人もいなかったのか、など不明な点が多すぎますが、この規定違反についてMFLは以下のような処分内容を発表しました。
1. 2月15日の決勝1stレグはスランゴールに3−0の勝利を与える
2. 3,000リンギ(およそ10万円)の罰金
3. 厳重注意処分が与えられ、同様の違反が繰り返された場合にはより重い処分が課される
さらにMFLの公式サイトではこの決定については上訴不可であること、選手の出場停止に関する全ての事案は、MFLではなく、FAMの懲罰委員会の管轄にあることなども説明されていました。この結果、PDRMは決勝2ndレグを3点ビハインドの状態で始めることになってしまいました。
この時点でPDRMのチーム内の士気が消沈したことは予想できますが、さらに驚くニュースが続きました。決勝2ndレグを前に、PDRMはP・マニアム監督の「休養」を発表し、決勝2ndレグ、そして今季終了まではエディ・ガピル コーチが監督代行としてチームを指揮することを発表しました。重要な試合前日の監督の「休養」も、またその理由も発表されず、メディアでもチーム内が混乱していることも報じられましたが、真相は藪の中です。
試合前からそんな波乱に富んだ決勝2ndレグですが、スランゴールは1stレグで退場になったキャプテンのCBサフワン・バハルディンに代わり、マレーシア代表でもプレーする22歳のアリフ・ハイカルを起用した以外は1stレグと全く同じ布陣、一方のPDRMは鈴木ブルーノ、シャーレル・フィクリの2トップを中心に早い段階でのゴールを狙います。
PDRMがこのFWコンビを中心に積極的に前に出る中、先制点はスランゴールでした。決勝1stレグでは左サイドハーフとして起用されると機動性を発揮してPDRM守備陣を翻弄したアルヴィン・フォルテスがこの試合でも躍動。これに引っ張られるようにPDRM守備陣が動くと、これまで中央でパスを受けることが多かったいわゆる「アウトアンドアウトストライカー」のロニー・フェルナンデスが、この試合では大きな身体に似合わず積極果敢に空いたスペースに走ってボールを受けるなど新たな一面を見せ、まずは開始4分でアリ・オルワンの先制ゴールをアシストします。さらにその6分後には左サイドに開いたフェルナンデスからのクロスをヨハンドリ・オロスコが頭で合わせて2点目のゴールを決め、開始10分でスランゴールが通算成績で5−0とします。
PDRMにとって痛かったのは、22分のイズルル・アシュラフの1発レッドによる退場でした。ボールを持つヨハンドリ・オロスコへチャージした際、その足を踏みつけた行為はVARが介入した結果、イエローがレッドとなり5点を追うPDRMは10人になってしまいます。30分にはここまで2アシストのロニー・フェルナンデスがヘディングシュートで3点目を決めると、前半だけでこの試合の行方は決まってしまいました。
後半にはPDRMの正GKブライアン・シーがケガで後退を余儀なくされると、さらに1点を加えたスランゴールがこの試合を4−0で制し、通算成績7−0でMFLチャレンジカップの優勝を果たした試合でした。なおこの試合のMOM2は1ゴール2アシストと活躍したロニー・フェルナンデスが選ばれています。(写真上は試合後の記念写真。Juaraはマレーシア語でチャンピオンを意味します。写真下は大会最優秀選手賞を受賞したロニー・フェルナンデス選手。)


しかし冷静になって考えると… 優勝とは言え、この大会は国内で最も権威のあるマレーシアカップでベスト8進出を逃したチームのための大会で、手放しで喜ぶほどのタイトルではありません。しかしその一方で、前述の通り、アルヴィン・フォルテスやロニー・フェルナンデスに新たな可能性を見出した喜熨斗勝史監督が、今季は大事なところで勝ちきれなかったスランゴールを再生させている印象はしっかりと感じられる大会でした。なお、スランゴールの次戦は2月27日のリーグ戦22節で、勝点差8でスランゴールに次ぐ3位のサバと対戦します。この試合に勝利すれば、今季の2位が確定する重要な試合で、チャレンジカップ決勝の2戦で見せたサッカーが、リーグ3位のサバを相手にはたして機能するのかに注目したいと思います。
MFLチャレンジカップ決勝2ndレグ
2025年2月22日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
PDRM FC 0-4 スランゴールFC(通算成績:0-7)
⚽️アリー・オルワン(4分)、ヨハンドリ・オロスコ2(10分、80分)、ロニー・フェルナンデス(30分)
MOM:ロニー・フェルナンデス(スランゴールFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して67分に交代しています。