1月24日のニュース:2024/25アセアンクラブ選手権:主力2人にレッドカードのKLシティがハノイ公安に逆転負け<br>マレーシア代表がプーマの新ユニフォーム発表<br>クラモフスキー新代表監督が初めて公の場に

2024/25アセアンクラブ選手権:主力2人にレッドカードのKLシティがハノイ公安に逆転負け

東南アジアサッカー連盟クラブ選手権(ACC)ショッピーカップのB組第4節が行われ、マレーシアから出場のKLシティFCはベトナムのハノイ公安FCを相手に一時はリードを奪ったものの、2名の退場者を出し、最後は逆転を許して敗れています。

開幕から2連勝も、前節1月9日の試合でライオン・シティ・セイラーズに0−2で敗れたKLシティは、ここまで3連勝中のハノイ公安をホームに迎えました。試合前会見ではケガ人が多く、控え選手の活躍が鍵になると話していたミロスラフ・クリヤナッチ監督でしたが、この日の先発は司令塔ブレンダン・ガンを欠いたもののマレーシア代表FWパウロ・ジョズエ、同じく代表選手のDFデクラン・ランバート、そしてフィリピン代表FWパトリック・レイヒェルトらが先発に名を連ねています。

試合開始からKLシティは積極的に攻めるものの、10分にはパスを受けたグエン・クアン・ハイがワントラップでKLシティDFをかわして先制ゴールを決めます。代表戦ではマレーシアが何度も痛い目にあっているグエン・クアン・ハイがここでもスーパースターぶりを見せ、ハノイ公安が早々とリードを奪います。

しかしKLシティはその15分後、右コーナーキックを得ると、パウロ・ジョズエからのボールをアドリアン・ルドビッチが絶妙なバックヘッドでゴールを決めて同点に追いつきます。さらに32分には右サイドを上ったヨヴァン・モティカがファーサイドへクロスを上げると、待ち構えていたパウロ・ジョズエが狙い澄ましたヘディングシュートを放ちます。それまで何度も好セーブを見せていたハノイ公安GKフィリップ・グエンの指先を掠めるようにゴールイン。ついにKLシティが逆転し、そのまま前半が終了します。 

後半に入ると、67分には右コーナーからブイ・ホアン・ヴィエット・アインがヘディングで同点ゴールを決め、ハノイ公安が同点に追いつきます。この試合が今季2度目の先発となったKLシティGKハフィズル・ハキムはそれまでも好セーブを見せていましたが、これを止めることはできませんでした。この同点ゴール以降、両チームの選手が激しく当たり合いますが、76分には後ろから押されて倒れたカマル・アジズが相手に足をかけて倒すと、主審は当初はイエローカードを出したもののVARが介入するとこの判定が変わってカマル・アジズは1発レッドで退場となってしまいます。それまでも不可解な判定をくりかえていた主審に対してKLシティサポーターからは怒号が上がります。さらに88分には、執拗なマークを振り解こうとしたパウロ・ジョズエの手がハノイ公安DFの顔に当たったとして、こちらも1発レッドで退場となり、KLシティは9人となってしまいます。こうなると試合は完全にハノイ公安ペースとなり、ロスタイムに入るとKLシティはついに失点してしまいます。不用意と言われればそれまでのプレーで2名が退場になったKLシティに反撃する力は残っておらず、ベトナム代表選手の3ゴールに破れています。

2024/25アセアンクラブ選手権A組第4節
2025年1月23日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 2-3 ハノイ公安FC
⚽️KLシティ:アドリアン・ルドビッチ(24分)、パウロ・ジョズエ(32分)
⚽️ハノイ公安:グエン・クアン・ハイ(10分)、ブイ・ホアン・ヴィエット・アイン(67分)、レ・バン・ドー(90+1分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

またB組の他の試合は、ACLエリートと掛け持ちで、なぜこの大会に出ているのかわからないタイの絶対王者ブリーラム・ユナイテッドがやはりACLエリートにも出場しているライオン・シティ・セーラーズとスコアレスドロー、またインドネシアのボルネオFCサマリンダはフィリピンのカヤFCイロイロを2−1で破っています。

第4節を終了し、ここまで全勝のハノイ公安はB組1位での準決勝進出が決定し、残る2位の座をブリーラム・ユナイテッド、KLシティ、ボルネオFCが争います。なお最終節となる2月6日の第5節では、ブリーラム・ユナイテッドとハノイ公安がそれぞれ、ホームにKLシティとボルネオFCを迎えます。

アセアンクラブ選手権ショッピーカップB組順位表(第4節終了)

勝点
1ハノイ公安4400124812
2ブリーラムU4211122107
3KLシティ420245-16
4ボルネオFC420256-16
5ライオンシティ・セーラーズ411228-63
6カヤFCイロイロ4004212-100

マレーシア代表がプーマの新ユニフォーム発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は、2025年から使用するプーマ製のマレーシア代表ユニフォームをスランゴール州内にあるプーマの最大店舗で発表しています。FAMはプーマと2025年から4年間のユニフォームパートナー契約を結んでいます。

「マレーシアサッカーの新時代の幕開けを象徴」していると報じられているこの新ユニフォームの発表には、マレーシア代表のサファウィ・ラシド(トレンガヌFC)、シャメル・クティ・アッバ(ペナンFC)、ノア・ライネ(スランゴールFC)、などの代表選手が新しいホームとアウェイのユニフォームを披露しています。また、特別ゲストとしてマレーシア代表のピーター・クラモフスキ新監督もこのイベントに参加しています。

メディアリリースによると、この新しいホームとアウェイのユニフォームは、「チームの象徴である黄色と黒を採用し、誇りと強靭さを表現している」ということです。また「プーマの革新的な「ULTRAWEAVE」テクノロジーが使用されており、軽量で快適性、柔軟性、耐久性を兼ね備えており、選手たちは、このユニフォームにより国内外で最高のパフォーマンスを発揮できるようになる」らしいです。

プーマ社の東南アジア・オセアニア地区マネージングディレクターのサンジェイ・ロイ氏は、「FAMとのパートナーシップは、PUMAがマレーシアサッカーで存在感を拡大する上で重要な節目となります」と述べています。また退任が決まっているにもかかわらずなぜかこの契約締結を強行したハミディン・アミンFAM会長は、「プーマとFAMのコラボは、マレーシアサッカーにとって革新的かつエキサイティングな序章となるだろう。プーマのスポーツウェア革新の専門性と世界的な認知度は、選手たちに最高レベルで戦うための道具を提供するだけでなく、チームとサポーターの絆を強化する助けにもなる」と語っています。

なおこの限定版ユニフォームは、319リンギ(1リンギはおよそ35円なのでおよそ1万1200円)で全国のプーマ店舗にて購入可能だということです。(写真下の黄色がホーム、黒がアウェイユニフォーム。)

2007年から18年間にわたる契約を結んでいたナイキからプーマに乗り換えたFAMですが、契約更新にあたりプーマは、契約続行を希望していたナイキの他、アディダス、さらにいずれもスペインのケルメ、ホマ、インドネシアのミルズ(MIlls)などの中から選ばれています。

昨日の発表直後からのSNS上やメディアでの反応を見ると、「黄色と黒で作ればいいんでしょ。」という感じのデザインには、一般的に否定的なものが多く、特に既存のデザインの色違いといった指摘も目立ちますが、プーマのような多くの顧客を抱えるメーカーがFIFAランキング130位前後の国のために新たにデザインするなどと考えられるはずもなく、それの望むのであれば、交渉できる相手とユニフォーム契約を結べば良いわけですが、そういった企業であれば、ナイキやプーマほどの契約料が入ってくることも期待できないので、今回も結局一番の大金をぶら下げてきたところと契約したのだろうと推測できます。まぁFAMはサポーターが求める「代表のプライド」や「独自のデザイン」などには関心はなく、契約相手がいくら払うのかが最大の関心でしょうから、そんな声は届かないでしょう。

クラモフスキー新代表監督が初めて公の場に

12月16日の就任発表から1ヶ月以上経過した1月22日にマレーシア入りした前東京FC監督のピーター・クラモフスキ新代表は、前述の代表新ユニフォーム発表会に参加し、メディア対応し、マレーシア出身選手であっても、ルーツが海外にある選手であっても、全ての選手を歓迎し、代表ユニフォームを着る機会を提供する「オープンドア方針」を実施すると明言し、全ての選手が公平に自分の実力を示すチャンスを得られることを強調しています。

「どれほどの実力があっても、何歳であっても、能力を証明できるなら、代表チームに招集される価値はある。そこで招集される選手には全力を尽くしてもらい、ピッチ上で繰り広げられるプレーでサポーターをワクワクさせて欲しい」と述べています。

オーストラリア出身のクラモフスキー監督は、現在の代表チームには強固な基盤がある一方で、2027年AFCアジアカップ予選に向けては改善が必要な部分があるとも指摘しています。2027年AFCアジアカップ3次予選は、3月25日から31日に開催され、マレーシアはベトナム、ネパール、ラオスと共にF組に入っています。この3次予選では、各組首位のみが、2027年1月7日から2月5日までサウジアラビアで開催される本大会への出場権を得ることができます。

また一昨日にマレーシアに到着したばかりのクラモフスキ監督は、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーで、現在進められている代表チーム改革の中人人物でもあるジョホール州摂政のトゥンク・イブラヒム殿下の持つビジョンが、今回の代表監督就任、そして代表チーム改革に参加を決める=る決定的な要因だったとも述べています。

イスマイル殿下はマレーシアサッカー協会とは別に「マレーシア代表の改革」を掲げており、「友人」のティム・ケイヒルとともに、このクラモフスキー監督やカナダ出身のロブ・フレンド氏の代表チームCEO就任、さらに代表チームのスポーツ医療チームの責任者としてオーストラリア出身のクレイグ・ダンカン博士の採用などを次々に決めています。クラモフスキー監督についてもその発表前に自身のSNSで、近いうちに新監督が発表になることなどを告知するなど、マレーシアサッカー協会からは独立した形での代表運営に意欲を見せ、自身のチームJDTでプレーするベルグソンを含めた帰化選手構想を発表していますが、この協会の外からの代表運営ついては国内では意見が分かれており、代表が強くなるのであれば良い、という声がある一方で、教会の存在意義が脅かされている、さらには協会が機能していないのでやむを得ないなどの様々な意見が出ています。