ACL2: 喜熨斗新監督の初陣ならず-スランゴールはムアントンに逆転負けでグループ3位に転落
ACL2の第5節が11月28日に行われ、H組2位のスランゴールFCは勝点差2で同3位のムアントン・ユナイテッド(タイ)をホームに迎えて対戦しましたが、1−2と逆転負けで敗れています。この結果、ムアントンがH組の2位に浮上し、スランゴールは3位に後退しています。
この試合に勝てばACL2ノックアウトステージ進出が決まる試合は、5日前にスランゴールFC監督就任が発表された喜熨斗勝史新監督の初陣でもありました。注目されたスランゴールFCの先発XIですが、5日前のマレーシアカップ1回戦スリ・パハン戦で先発したFWファイサル・ハリムとMFムカイリ・アジマルがベンチスタートとなる代わりに、FWアルヴィン・フォルテスとDFウマル・エシュムラドフが入った以外は大きな顔ぶれの変化もなく、チーム合流からわずか3日では喜熨斗監督の独自性も見られませんでした。
試合前から激しく降る雨でピッチが緩む中、スランゴールは開始5分で先制します。ヨハンドリ・オロスコの放ったシュートはムアントンDFに跳ね返されますが、そのこぼれ球をクエンティン・チェンが落ち着いて決め、ホームのスランゴールが幸先よくリードします。その後もスランゴールは守備陣が相手にチャンスを与えない一方で、攻撃陣は得点機でシュートが枠を捉えられないなど追加点を奪えず、前半はスランゴールが1点のリードのまま折り返します。
後半に入ると同時に2枚の交代カードを切ったムアントンが積極的に攻め、これが53分に実ります。左コーナーキックからのボールをムアントンのアボス・オタホノフと競ったDFハリス・ハイカルが痛恨のクリアミスでゴール前に落としてしまうと、これをフェリシオ・ブラウン・フォルベスが押し込んで、ムアントンが同点に追いつきます。
このゴールでスランゴールもペースを上げ、その後は猛攻に転じますが、少なくとも3本のシュートがゴールポストに当たるなどチャンスを生かせず試合が進むと、76分には右コーナーキックからポラメット・アルジビライが直接ゴールを狙いますが、これはスランゴールのジクリ・カリリがブロック。しかしそのこぼれ球を再びポラメット・アルジビライが豪快に蹴り込んで、ついにムアントンが逆転します。
そこからスランゴールは再び同点を狙いますが、ここでもシュートがゴールポストに弾かれるなどそれまでと同様の展開が続き、結局このままタイムアップ。シュート数25本と相手の3倍以上のシュートを放ちながら、枠内わずか3本とその制度を書いたスランゴールは、前節の全北現代モーターズFC戦に続き2試合で3つのコーナーキックから失点し、ACL2で2連敗となり3位に後退しています。この試合の前にダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)を破った全北現代モーターズFCは既にH組の首位突破を決めていますが、ノックアウトステージへの残り1枠は、次節で全北限代と対戦するムアントンが引き分け以上ならムアントンが、またムアントンが敗れてスランゴールがセブを破った場合にはスランゴールがH組2位となりノックアウトステージに進出します。
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新監督就任後初の試合にもかかわらず、今シーズンのスランゴールを象徴するようなフラストレーションの溜まる試合でした。ゴールを決めたら罰ゲームなの?と思わせるようにペナルティエリア内でパスを回し、結局シュートを打てないうちにクリアされる。ゴールが見えてもシュートが枠に行かない。ニザム・ジャミル前監督の時から何も改善されていないのは監督ではなく、選手のメンタルの問題のようにも思えました。試合後はスランゴールのウルトラス「ウルトラセル」がこれまで同様「6シーズンで5人の監督(喜熨斗監督は6人目です)。次は?」というメッセージの書かれた横断幕を掲げると、その後は全員が大合唱。”CEO Bangsat”と言っていたそうですが、Bangsatは知らないマレーシア語の単語だったので、近くの方に聞いてみると「クソッタレ」のような意味でした。
また喜熨斗監督については、流石に数日でチームに変化もたらすことはできず、その評価はまだできないでしょう。明後日12月1日には第1戦を1−1で引き分けているマレーシアカップ1回戦スリ・パハン戦の第2戦がホームで、そして12月5日にはACL2グループステージ最終戦となるダイナミック・ハーブ・セブFC戦がアウェイでありますが、いずれも勝利が求められる試合です。万が一、この2試合のどちらかで敗れることがあれば、今度は喜熨斗監督の手腕に対して批判の矛先が向う可能性もあります。
ACL2 H組第5節
2024年11月28日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 1-2 ムアントン・ユナイテッド
⚽️スランゴール:クエンティン・チェン(5分)
⚽️ムアントン:ェリシオ・ブラウン・フォルベス(53分)、ポラメット・アルジビライ(76分)
H組のもう1試合は、全北限代がセブに快勝し、H組1位を確定させています。
ACL2 H組第5節
2024年11月28日@全州W杯スタジアム(韓国北特別自治道全州市)
全北現代モーターズFC 4-0 ダイナミック・ハーブ・セブFC
⚽️全北現代:イ・スンウ(6分)、チョン・ビュンクワン(29分)、チョン・ジンウ(52分)、ソン・ミンギュ(73分)
ACL2 H組順位表(第5節終了)
試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 | ||
1 | 全北現代 | 5 | 4 | 0 | 1 | 16 | 3 | 13 | 12 |
2 | ムアントンU | 5 | 2 | 2 | 1 | 15 | 10 | 5 | 8 |
3 | スランゴール | 5 | 2 | 1 | 2 | 5 | 5 | 0 | 7 |
4 | DHセブ | 5 | 0 | 1 | 4 | 4 | 22 | -18 | 1 |
11月のFIFAランキング発表:マレーシアは132位に上昇も、東南アジア3位のインドネシアとの差はさらに拡大
最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回の133位から1つ順位を上げて132位となっています。
10月のランキング発表後、マレーシアは11月14日にラオスと対戦し3−1で勝利し、11月18日にはインドと1−1で引き分けていました。
現在はパウ・マルティ監督代行が指揮を取るマレーシア代表は、ランキングポイントが1,117.35を積み上げて132位となっています。なお前後には130位キプロス、131位マラウィ、133位ニカラグア、134位クウェートと言った国々があります。
東南アジアではタイが1ランク下げたものの97位で域内1位を守り、以下ベトナム(3ランク上昇で同115位)、インドネシア(5ランク上昇で同125位)と続いています。特に2026W杯アジア3次予選に東南アジア勢として唯一残っているインドネシアは前回10月の発表の130位から125位と躍進、昨年11月はマレーシアより下の146位だったことを考えると1年間で20位近くランキングを上げたことになります。
東南アジアの他国のランキングは、フィリピン149位(↓4位)、シンガポール161位(↑1位)、ミャンマー167位(↓2位)、カンボジア180位(↑1位)、ブルネイ184位(±0)、ラオス186位(↑1位)、東ティモール196位(±0)となっています。