喜熨斗勝史スランゴールFC新監督にとっての初戦となるACL2のムアントン・ユナイテッド戦が本日行われます。今日の試合のわずか5日前に慌ただしく発表された喜熨斗監督就任ですが、トランスファーマルクトによると監督経験がない上、フィットネスコーチなどの肩書きなどを理由に、スランゴールサポーターからは両手を上げて歓迎という空気は伝わってきません。リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とはフィジカル面でも大きく差をつけられているのは事実で、そこを強化しなければいけないことは理解はできるという声が上がる一方で、今のチームに監督経験がない人物を据えることにはチームOBやサポーターからも疑問の声が上がっています。今季最も重要な試合の一つと考えられる今日のムアントン戦は「勝たなければいけない」試合であり、この試合で勝てばスランゴールサポーターが全面的に支持に回るでしょうが、万が一負けてしまうと、必要以上にサポーターから攻撃されてしまう可能性があります。実際に合流からわずか数日でチームを変えることはできないのは自明の理ですし、強雨の1試合だけで評価が決まるのは筋違いではありますが、それだけ喜熨斗監督が期待されているのも事実なので、なんとしてでも今日の試合では勝利して欲しいです。もちろん私もスタンドから応援します。
ACLエリート第5節:ジョホールは山東泰山に惜敗で5位に後退
ACLエリート(ACLE)第5節が11月26日に行われ、マレーシアから出場のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)はアウェイで山東泰山と対戦し、0-1で敗れて通算成績を2勝1分2敗として、勝ち点7で5位に後退しています。
山東泰山に向けてはロングボール対策が重要と話していたJDTは、前節の3-0で勝利した蔚山HD戦と全く同じ11名が先発しています。’
ACLEではここまでの4試合で1勝のみ、しかも3日前の中国FAカップでは、JDTがACLE第1節で対戦し2-2で引き分けている上海海港と対戦して1−3と敗れていた山東泰山に対し、JDTは試合開始とともに積極に攻めると4分にはアリフ・アイマンがドリブルで相手ペナルティエリアに持ち込むなど、好機を作ります。互いに好機を作るもJDTがやや有利に試合を進める中、山東泰山GKワン・ダレイ(王大雷)が再三、攻守を見せた前半は0−0で折り返します。
後半に入ると、JDTのエクトル・ビドリオ監督は国内リーグで好調のベルグソン・ダ・シルヴァを投入しますが、ベルグソン選手も絶好機を逃すなど、JDTが押し気味に試合を進める中で、山東泰山は68分、中央でボールを得たクリゾンからJDTのバックライン裏にボールを出すと、これを受けたゼカがDFエディ・イスラフィロフ、GKアンドニ・スビアウレをかわしてゴールに押し込み、いずれも途中出場のブラジルコンビの連携で山東泰山がついに先制します。
この後も好機を得ながら追いつくことができなかったJDTは両チーム合わせてイエロー10枚が出された試合にこの1失点で敗れ、いずれもアウェイマッチとなる今季のACLE2敗目を喫し、通算成績を2勝1分2敗としています。なおJDTの次節第7節は12月3日にホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでブリーラム・ユナイテッドFC(タイ)と対戦します。
ACLエリート東地区第5節
2024年11月26日@済南オリンピック・スタジアム(中国山東省済南市)
山東泰山 1-0 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️山東泰山:ゼカ(68分)
東南アジアサッカー連盟女子選手権開幕:マレーシアは初戦でインドネシアに敗れる
東南アジアサッカー連盟(AFF)女子選手権「アセアン女子カップ」がラオスのヴィエンチャンで開幕し、マレーシアはインドネシアに0−1で敗れ、黒星スタートとなっています。
今年3月にびわこ成蹊スポーツ大総監督から転身した望月聡監督率いるインドネシアは、カンボジアとともに予選B組に入るマレーシアは、11月26日に首都ヴィエンチャンにある新ラオス国立競技場でインドネシアと対戦し、ド15歳のクラウディア・シュエネマンに79分にゴールを決められて敗れています。クラウディア選手はこのゴールが代表通算5ゴール目ということです。
昨年の女子W杯に出場したフィリピンやベトナム、前回2022年大会準優勝のタイなどが参加していない今大会には6チームが参加し、予選A、B両組の2位までが準決勝に進出します。B組ではインドネシアは11月23日に行われた初戦のカンボジア戦で0-0と引き分けて勝点4でB組の首位となっており、この日の敗戦で勝点0のマレーシアが準決勝に進出するためには、明日11月29日のカンボジア戦での勝利が必要となります。なおこの大会でのマレーシアの最高成績は2007年のベスト4進出となっています。
サバFC退団のオン前監督はインドネシア1部プルシル・ソロの監督に就任
現在マレーシアスーパーリーグ3位のサバFCとの契約が11月30日で切れ、クラブからの契約延長オファーを断り退団したオン・キムスウィ氏が、インドネシア1部のプルシブ・ソロの新監督に就任したことをクラブの公式SNSが伝えています。
2007年にマレーシア人指導者としては初めてラジャ・イサことラジャ・イサ・ラジャ・アクラム・シャー氏がプルシプラ・ジャヤプラの監督に就任して以来となる、オン氏のプルシス・ソロ監督就任は、2024/25シーズンの第11節を終えたインドネシア1部で現在、2勝1分8敗で18チーム中16位に低迷するプルシスからの熱烈なオファーによるものとされています。
オン氏は2022年途中にサバFC監督に就任すると、2022年、2023年と2季連続で3位でシーズンを終え、今季2024/25シーズンもサバFCはジョホール・ダルル・タジムFC、スランゴールFCに次ぐ3位となっています。また昨季はAFCカップ(現ACL2)のアセアン地区準決勝まで進出しており、このアセアン地区準決勝もグループステージから2ヶ月後のマレーシアリーグが完全シーズンオフの時期に行われており、シーズン中に行われていたら…と悔いの残るシーズンでした。
ムハマド・ハナフィン前監督に代わりオン新監督を迎えるプルシス・ソロは中部ジャワ州のスラカルタに本拠地を持つクラブで、ジョコ・ウィドド前インドネシア大統領の次男で28歳の実業家でユーチューバー(!)のカエサン・パンガレップ氏と、インドネシアサッカー協会会長で、先月10月にプラボウォ・スビアント大統領の新内閣で国営企業相に再任されたエリック・トヒル氏が共同オーナーとなっています。両氏がオーナーになった2021年は2部のクラブでしたがその年に2部優勝を果たし、2022年からは14年ぶりとなる1部に復帰しています。
マレーシアU23代表監督として東南アジアのオリンピック、東南アジア競技大会で優勝1回、準優勝1回を経験するなど若手位の育成で定評があるオン新監督は、「プルシスには多くの有望な若い選手がいると聞いているが、トップリーグで他のチームと争うには若手だけでなく経験のある選手もチームには必要である。どのポジションでもバランスよくチームを編成して、若手とベテランが融合するチームを作りたい’」と話し、そのためには、まずは選手や他のコーチ、スタッフらと積極的に対話をしてチームを知ることを優先し、まずはチームを降格圏から安全な順位に引き上げることを優先したいと話しているということです。
スランゴールFCがマレーシア1部2人目の日本人指導者となる喜熨斗勝史氏の監督就任を発表
マレーシアスーパーリーグ1部で現在2位のスランゴールFCは、辞任したニザム・ジャミル前監督の後任としてセルビア代表でコーチを務めていた喜熨斗勝史氏の新監督就任を発表しています。マレーシアリーグの日本人指導者としては、かつてはクランタン・ユナイテッドFC(現クランタン・ダルル・ナイムFC)監督で、現在はスランゴールFCユースコーチの東山晃氏に次ぐ2人目となります。
60歳の喜熨斗氏の経歴は日本のメディア報道を参考にさせていただくと、J1名古屋などでドラガン・ストイコビッチ監督の「右腕」として、2021年からはセルビア代表となったストイコビッチ監督の要請で同国代表コーチに就任、現在に至るということのようです。
11月25日にチーム合流から3日で迎える本日のACL2のH組第5節ムアントン・ユナイテッド戦前の公式会見では、サポーターに対して良い試合を期待して欲しいと話しています。「先週はセルビア代表のコーチとしてデンマークやスイスと対戦したが、現在は(スランゴールFCのホームがある)プタリン・ジャヤにいる。そして今回の挑戦を自分はとても楽しみにしている。これまで2度チーム練習を行ったが、選手たちはムアントン戦に向けて準備ができている。」と話しています。
会見でどのようなシステムでムアントンに臨むかを問われた喜熨斗監督は、特にシステムについては気にしていないと話し、積極的なプレーと諦めない姿勢で臨みたいと答え、勝点差2でスランゴールに迫るムアントンとの試合では、ノックアウトステージ進出が近づく勝点3を取りに行くつもりだと話しています。