マレーシアカップ第98回大会の1回戦組み合わせが決定
1921年(大正10年)に第1回大会が行われたマレーシアカップ(当時はマラヤカップ)は、今季が第98回大会の伝統ある大会で、同じ1921年から続く天皇杯全日本サッカー選手権大会とともにアジア最古のカップ戦の一つです。そのマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選が行われています。なお今大会はマレーシアの通信事業企業のUnifi(ユニファイ)が冠スポンサーとなり「ユニファイ・マレーシアカップ」という名称になっています。
マレーシアカップはこれまでトップリーグの16チームにのみ開かれた大会でしたが、1部リーグにあたるマレーシアスーパーリーグが今季は13チーム編成となっていることから、今大会は3部にあたるセミプロA1リーグからの3チームを加えた計16チームが、今月11月20日から始まる1回戦をホームアンドアウェイ方式で戦います。
大会2連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、1回戦では3部セミプロA1リーグのKLローヴァーズとの対戦となっており、ベスト8進出は問題ないでしょう。また2021年大会優勝のKLシティFCの1回戦の相手は過去5回優勝のクダ・ダルル・アマンFCで、この試合の勝者がベスト8でJDTと対戦します。
また大会最多の33回優勝を誇るスランゴールFCは、過去4回優勝のスリ・パハンFCと、またスランゴールFCに次ぐ優勝回数8回のペラFCは、クランタン・ダルル・ナイムFCとそれぞれ1回戦で対戦します。
また過去3回優勝のヌグリスンビランFCはPDRM FCと対戦しますが、この1回戦では佐々木匠選手と鈴木ブルーノ選手の対決でもあります。また谷川由来選手が所属するクチンシティFCは、1回戦では過去4回優勝のペナンFCとの対戦が決まっています。
セミプロA1リーグから参加する他の2チームでは、現在セミプロA1リーグ首位のマラッカFCは過去1回優勝のトレンガヌFCと、また同3位のPTアントラーFCは、過去3回優勝のサバFCと対戦します。
マレーシアカップは、11月20日から始まる1回戦から準々決勝、そして準決勝までは全てがホームアンドアウェイ方式で行われ、来年2025年4月に予定されている決勝戦のみが一発勝負となります。また1回戦で敗退した8チームは、この8チームのためのミニカップ戦であるMFLチャレンジカップに回ります。
開幕から就労ビザなしでプレーし続けた韓国人選手の代理人が所属クラブをFIFAに提訴
国外で居住や就職する場合には滞在国のビザの取得が最優先事項ですが、マレーシアスーパーリーグで今年5月の開幕から現在までプレーする韓国出身の選手やコーチが就労ビザなしの、言わば「不法就労」状態が続いているとして、彼らの代理人が所属チームを国際サッカー連盟FIFAに正式に提訴したことが明らかになっています。
韓国出身の代理人のチョン・ミョンホ氏は、現在リーグ12位のクランタン・ダルル・ナイムFCが雇用主として就労ビザ取得の努力を怠ったまま、自身が代理人を務める韓国出身のコーチにチームの指揮を取らせ、韓国出身の選手を試合に起用し続けたとして、クランタン・ダルル・ナイムFCをFIFAに提訴したと、スポーツメディアのアストロ・アリーナが報じています。なおこの記事では、就労ビザの問題に加え、3ヶ月分の給料の未払いとなっていることも併せてFIFAに通報されたとしています。
チョン氏はこれまでクラブと何度か話し合いを重ね、ビザ取得や給料未払いの問題解決のために時間的な猶予を与えたと説明し、クラブ側は速やかな対応を約束する一方で、その後も状況が一向に変わらないことに業を煮やした結果、FIFAへの提訴となったとしています。
チョン氏は既に韓国出身のMFジャン・ビョンジュとボリビア出身のFWダビド・リベラの両選手が「不法就労者」として国外退去処分を受け、マレーシアに再入国できなくなっていることも明らかにしています。
クランタン・ダルル・ナイムFCに対しては、チョン氏はこれまでもSNSなどを通じて自身が代理人を務めている、元韓国代表のパク・ジェホン監督や、FWベ・キョンワン、MFク・アオイ、DFキム・リグァンの就労ビザ取得を求め続けていることを明らかにしていた他、今季途中から加入したミャンマー代表MFのアウン・カウン・マンについても同様の状況にあるしています。またビザ問題に加えて、過去3ヶ月分の給料が未払いになっている他、契約に盛り込まれている住居や自動車の手当ても支払われておらず、当初住んでいた家から退去させられる事態になっていることも今回の提訴の理由の一つであると説明しています。
さらにチョン氏は就労ビザがないため、同じマレーシア国内ながら外国人の場合は空港でパスポートの提示が求められるボルネオ島のサバ州やサラワク州へは移動できないことも明らかにしています。なお、今季のクランタン・ダルル・ナイムFCはサバ州に本拠地を持つサバFC、サラワク州に本拠地を持つクチンシティFCとはいずれもアウェイで対戦しましたが、チョン氏の主張を裏付けるように上記の韓国籍3選手やアウン・カウン・マン選手については両試合ともベンチ入りもしていません。
このチョン氏の提訴についてクランタン・ダルル・ナイムFC会長でクランタン州議会議員でもあるロジ・モハマド氏は、この問題を認識しているとした上で、就労ビザ取得が遅れていることについては、クラブが直面している「技術的な問題と申請手続き」についてチョン氏に誤解があるとして、近々解決する見通しであると説明しています。
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私自身もマレーシアでは外国人であることからビザの重要性はよく理解しています。現在のマレーシアの就労ビザ(正式にはemployment pass、就労許可証)は、入国前に申請を行い、申請が認められてビザ発給が決まった段階で入国する仕組みになっているるはずです。我々一般人であれば6ヶ月間もビザなし就労、つまり違法就労すれば間違いなく国外退去処分となり、雇用主にも罰金処分が下るはずですが、それを隠すことなく堂々と選手を試合に出場させ続けたクラブに対しては、マレーシア政府の入国管理局だけでなく、マレーシアリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)からも重い処分が下されることになりそうです。