2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第14節の結果とハイライト映像<br>・ジョホールがスランゴールとの首位攻防戦を制し独走体制に<br>・4試合ぶりの勝利でクチンシティが5位浮上<br>・アクマル監督更迭も効果なし-ペナンはサバに大敗

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第14節の3試合が10月25日から27日かけて行われています。今節注目のマッチアップは、2位スランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで開催される首位ジョホール・ダルル・アマンFC(JDT)との首位攻防戦でした。試合数日前には、アウェイチームに当たられた700枚も含めてチケットが完売したことが発表されるなど、サポーターの期待が高かったこの試合は、JDTのホーム開催だった第1節の試合がファイサル・ハリムへの酸攻撃の直後だったこともあり、スランゴールが試合の延期を求めるもリーグを主催するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がこれを拒否、その結果、JDTの不戦勝となっていました。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。)

アクマル監督更迭も効果なしーペナンはサバに大敗

今季のマレーシアスーパーリーグでは、ヌグリスンビランFCのアズミ・アジズ、トレンガヌFCのトミスラフ・シュタインブリュックナーに続く、3人目の監督交代となったアクマル・リザル氏のU23チーム監督就任という降格人事が試合前に報じられたペナンFCは、監督交代の効果もなく、サバFCに0−4で敗れています。

開始2分にサディル・ラムダニがペナルティエリアの外から豪快に蹴り込んだ今季初ゴールでリードしたサバは、その4分後、ガブリエル・ペレスのフリーキックが壁の下を遠て直接ゴールインし、あっという間にサバが2点をリードします。さらに35分には、スチュアート・ウィルキンがまたもペナルティーエリアの外からシュートを決めて、サバのリードは3点となると、後半50分にはキャプテンのドミニク・タンがやはり今季初ゴールをまたもペナルティエリアの外から決めて、サバが完勝で3位に浮上しています。

直近の5試合で0勝2分3敗のペナンは、58分には4失点を喫したシーク・イズハンを後退させましたが、焼け石に水。攻守の要、ラファエル・ヴィトール不在では何もできなかったペナンFCは、この試合の指揮を取ったアブデラザク・メルザグア監督代行まさかの大敗で、13チーム中11位となっています。

2024年10月25日@シティー・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-4 サバFC
⚽️サバ:サディル・ラムダニ(2分)、ガブリエル・ペレス(6分)、スチュアート・ウィルキン(35分)、ドミニク・タン(50分)
MOM:ドミニク・タン(サバFC)

クダはホームでPDRMと引き分ける

前節第13節では試合終了間際のゴールで追いつき、リーグ2位のスランゴールFCと引き分けたPDRM FCと、同じく前節第13節ではリーグ3位のトレンガヌを破ったクダ・ダルル・アマンFC戦の対戦となったこの試合は、引き分けに終わっています。

給料未払い問題が続いているクダのホーム、ダルル・アマン・スタジアムで行われたこの試合は、16分にソニー・ノルデのクロスをシャフィク・アフマドがゴールしたように見えましたが、VARの介入により、得点は認められませんでした。しかし30分にはゴール前の混戦から最後はホセ・クレイトンが押し込んで2試合連続ゴールを挙げたクダが先制します。一方、PDRMも後半の56分にサフィー・アフマドがゴール前にボールを送るとこれをクダGKのイフワット・アクマルが補給しきれず、そのこぼれ球をアレム・ティモシーが押し込み、こちらも2試合連続ゴールを決めて1-1で引き分け、両チームが勝点1を獲得しています。

MSL2024/25 第14節
2024年10月25日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-1 PDRM FC
⚽️クダ:クレイトン(30分)
⚽️PDRM:アレム・ティモシー(56分)
MOM:ソニー・ノルデ(クダ・ダルル・アマンFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、87分に交代しています。


クランタンとスリ・パハンは引き分け

本拠地のスルタン・モハマド4世スタジアムが改修工事中で使えないクランタン・ダルル・ナイムFCは、スリ・パハンFCのホーム(といってもこちらも本拠地のダルル・マクモル・スタジアムが改修工事中で、間借り中の)MPTスタジアムで主催試合を行い、パレスチナ代表のオデイ・アロウブのフリーキックが直接ゴールインした先制ゴールでリードするも、60分にGKフィクリ・チェ・ソーの捕球ミスからのこぼれ球を押し込んだアダム・ノー・アズリンに同点ゴールを決められて引き分けています。なお、この試合のアディショナルタイムにオデイ・アロウブの兄で、今季からクランタンでプレーするレイス・カロウブが2枚目のイエローで退場処分となっています。

2024年10月25日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
クランタン・ダルル・ナイムFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️クランタン:オデイ・カロウブ(22分)
⚽️スリ・パハン:アダム・ノー・アズリン(60分)
MOM:アダム・ノー・アズリン(スリ・パハンFC)


4試合ぶりの勝利でクチンシティが5位浮上

開始1分のゴールで先制したクチンシティが4試合ぶりの勝利を挙げ、2連勝中だったKLシティを破り、順位を2つ挙げて5位に浮上しています。

開始早々に右サイドでフリーキックを得たクチンシティは、ペトラス・シテムビがゴール前へ蹴り込むと、これをKLシティのジャンカルロ・ガリフオコがクリアしますが、そのクリアが不十分で、ジェイムズ・オクゥオサがこのボールをディングシュートすると、ガリフオコ選手が再びこれをクリアしようとしますが、そのクリアがオウンゴールとなり、開始1分も経たずにクチンシティが先制します。さらに前半終了間際位には、チェチェ・キプレが頭で落としたボールをペトラス・シテムビがゴール右隅に狙い澄ましたゴールを決め、前半はクチンシティがリードして終了します。

後半に入ってもクチンシティ優勢で試合が進む中、60分にはゴール前の競り合いからジェイムズ・オクゥオサがブレンダン・ガンを肘打ちして1発レッドで退場となり、そこで得たPKをパウロ・ジョズエが決めて、KLシティは1点差に迫ります。しかしその7分後には今度はクチンシティがPKを得ると、チェチェ・キプレがこのPKを決めて、クチンはリードを再び広げます。しかしさらにここでKLのGKアズリ・ガニと接触したキプレ選手が1発レッドで退場となり、クチンシティは9名となりますが、それでもKLシティの反撃を許さずに逃げ切り、4試合ぶりの勝利で順位を5位に上げています。

この試合のMOMはペトラス・シテムビですが、GKのワン・アザレイは好セーブを連発し、2試合ぶりの先発となったボラセパ・マレーシアが推す「未完の大器」ダニエル・アミルとこの試合が2試合目となるJDTからローン移籍中のラマダン・サイフラー、そしてウィングのシャミー・イスズワンと、ここのポジションでもKLシティに引を取らないメンバーのクチンシティは、やはり侮れない存在として今季のリーグに旋風を起こしそうです。

2024年10月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 3-1 KLシティFC
⚽️クチンシティ:ジャンカルロ・ガリフオコ(1分OG)、ペトラス・シテムビ(45+2分)、チェチェ・キプレ(68分PK)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(62分PK)
MOM:ペトラス・シテムビ(クチンシティFC)
クチンシティFCの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

ペラとトレンガヌも引き分けで、3位以下は大混戦に

2024年10月26日@MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラFC 2-2 トレンガヌFC
⚽️ペラ:ルカ・ミルノヴィッチ(9分PK)、ルチアーノ・ゴイコチェア(57分PK)
⚽️トレンガヌ:ネルソン・ボニーヤ(44分)、シャリフィ・ハセッフィ(90+4分PK)
MOM:ルチアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)

ジョホールがスランゴールとの首位攻防戦を制し独走体制に

今季ここまで10勝1分0敗で首位を快走するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、同じく8勝2分2敗で試合数は1試合多く紹介しているものの勝点差5につけるスランゴールFCが対戦しましたが、結果はJDTが3−0と力の差を見せて完勝しています。

8月に行われた今季のマレーシアFAカップ決勝では、JDTに1−6と惨敗していたスランゴールは、この首位攻防戦の4日前にはACL2で全北現代モーターズFCに勝利するなど、チーム内のモチベーションも上がっていました。スランゴールのニザム・ジャミル監督は全北現代戦の1-4-5から従来の3−4−3にシステムを戻した他、12試合で8ゴールを挙げているチーム得点王ながら、ここ数試合は効果的なプレーを見せられていなかったエースのロニー・フェルナンデスに代えて、20歳のアリフ・ユズランを今季初先発に起用する大胆采配を見せています。

試合からペースを上げるJDTに対して、スランゴールはその攻撃に耐え、逆にカウンターから好機を作るなどともにせめぎ合う拮抗した展開でした。主導権を握るためにも先制点が欲しいスランゴールでしたが、30分に右コーナーからロメル・モラレスのヘディングシュートが決まり、JDTが先制します。さらに前半終了間際の44分には右サイドを上ったアリフ・アイマンからのクロスをリーグ得点王を独走するベルグソン・ダ・シルヴァが押し込んでリードを広げます。1点目はロメル・モラレス2マークを外され、オフサイドにも見えた2点目はベルグソンへの対応が遅れるなど、いずれもスランゴールDF陣がJDTのプレーに対応できずに許した失点でした。

後半の56分には、ペナルティエリアにドリブルで切り込んだアリフ・アイマンをモハマド・アブアルナディが倒してPKを与え、これをベルグソンが自身2点目となるゴールを決めると、万事休す。ACLエリートの光州戦での敗戦を全く引きずらなかったJDTが、3連勝を含む7試合無敗記録を続けていたスランゴールを止めたJDTが、リーグ11連覇にまた一歩近づいています。

試合後の会見でスランゴールのニザム・ジャミル監督は、昨季に比べてスランゴールとJDTの差は縮まっているものの、両チームの差はまだ歴然と存在していると話していますが、まさにその通りでした。スランゴールにとって惜しかったのは、試合開始早々に、数少ないJDTの弱点に見えた左サイドからの攻撃、特にフェロズ・バハルディンの裏を突く攻撃を徹底できなかったこと。またこの試合では全北現代戦でベンチ外だったアルヴィン・フォルテス、サフワン・バハルディンがベンチ入りしたものの、ケガが完治していないのか、この2枚のカードを切る前に2失点したことも敗戦につながった要因でした。

2024年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 0-3 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ロメル・モラレス(30分)ベルグソン・ダ・シルヴァ2(42分、54分)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第14節終了)
順位チーム勝点
1JDT1234111044638
2SEL1326823221210
3SAB122062421174
4TRE131846317152
5KCH131746318180
5PDRM13164541418-4
6PRK121551619190
7KCH12153631517-2
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA12134441220-8
11PEN13112561324-11
12KDN13721101031-21
13NSE1261381326-13
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第14節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT16
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
4ルシアーノ・ゴイコチェアPRK7
5ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
9ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ジャック・フェイNSE4
ジョヴァン・モティカKLC4
アルヴィン・フォルテスSEL4
チェチェ・キプレKLC4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC