10月24日のニュース<br>・ACL2第3節:スランゴールが全勝の全北現代との首位攻防戦を制す

スランゴールFCがかつてはACL(現ACLエリート)で二度の優勝を果たしている「韓国の強豪」全北現代モーターズを破っています。ACL2のH組首位攻防戦となったこのカードの勝利は、先週末のマレーシアスーパーリーグではPDRM FCと引き分けて、嫌な雰囲気となっていたチームを活気づけ、さらに今週末のビッグマッチ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)戦へ向けて士気が上がる勝利となっています。ホームサポーターの前でスランゴールがJDTを破るようなことがあれば、スランゴールサポーターの溜飲も下がるはずですが、JDTもACLエリートの光州FC戦に続く連敗はプライドが許さないはず。果たして両チームがどのような試合を見せてくれるのか。間違いなく今季最注目の試合は10月27日20時15分(マレーシア時間)キックオフです。

ACL2第3節:スランゴールが全勝の全北現代との首位攻防戦を制す

ACL2グループステージH組の第3節が行われ、ここまで2連勝の全北現代モーターズFCを1勝1分のスランゴールFCがホームのMBPJスタジアムへ迎えた一戦は、大方の予想を覆してスランゴールが2−1で全北限代を破り、H組首位に浮上しています。

全北現代は韓国国内リーグのKリーグではリーグ優勝回数最多を誇るだけでなく、旧ACL(現ACLエリート)では2006年、2016年と優勝を果たしているアジアトップクラスの強豪です。しかし今季は成績が低迷、しかもKリーグが採用した「スプリット方式」により、下位6チームが出場する降格プレーオフに回っています。このため、主力はこの降格プレーオフに専念し、ACL2には若手中心の言わば「リザーブチーム」が出場。4日前に行われた降格プレーオフの大田ハナシチズン戦に先発した選手は1人もおらず、ベンチ入りした選手も2名と全く別のチームです。ちなみに全北現代は2018年シーズンにマレーシアリーグのヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)でプレーしたこともあるキム・ドゥヒョン監督が率いています。

それでもACL2H組の第1節ではダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)を5−0、同第2節のムアントン・ユナイテッドFC(タイ)戦を4-1といずれも大勝しており、H組を1位通過するだけの実力を見せています。一方のスランゴールは国内リーグのマレーシアスーパーリーグでは現在2位につけるものの、4日前のリーグ戦では6位のPDRMにロスタイムのゴールで引き分けて連勝が止まっていました。またスランゴールはいずれもケガでリーグ戦を欠場中のキャプテンのCBサフワン・バハルディン、マレーシアU23代表ではキャプテンを務めるMFムカイリ・アジマルに加え、PDRM戦では負傷退場したヨルダン代表MFノー・アル=ラワブデが膝前十字靱帯を痛めて長期離脱することが発表されたほか、今季チーム2位の4ゴールを挙げているウィングのアルヴィン・フォルテスも膝の調子が思わしくないとして、この試合ではベンチ外となっています。

そんな満身創痍のチームを率いるニザム・ジャミル監督が3連勝を目論む全北現代相手に採用したのが、なんとリーグ戦でも使ったことがない5バックでした。左右サイドバックにジクリ・カリリとクエンティエン・チェン、中央にはヨルダン代表のムハマド・アブアルナディ、この試合のキャプテンとなった22歳のハリス・ハイカル、そしてウズベキスタン代表のウマル・エシュムラドフの3人を配置、中盤はノーア・レインとニコラ・ジャンボルがディフェンシブハーフ、ヨルダン代表アリ・オルワンとヨハンドリ・オロスコがサイドハーフで、ロニー・フェルナンデスがワントップという5−4−1は、守備に重きを置いた窮余の一策だったのかも知れません。


しかしこの策はこの試合では見事にハマりました。試合の立ち上がりこそ、全北現代に押し込まれる場面があったものの、途中からは特に右サイドバックのクエンティン・チャンが攻守で機能し始めると、スランゴールが徐々に優勢に試合を進めます。何度かあった好機を活かせなかったものの31分には中央付近で得ます。ヨハンドリ・オロスコの蹴ったボールをウマル・エシュムラドフがゴール前で落とすと、そこに走り込んできたハリス・ハイカルがこのボールを蹴り込んでゴール!スランゴールが先制します。さらにその2分後には、中央をドリブルで上がったノーア・レインからのパスをアリ・オルワンが相手DFを交わしてゴールを決めて、スランゴールがリードを2点に広げます。

一方の全北現代はスランゴールDF陣が中央を固めるように守るのを見計らうようにサイド攻撃を繰り返し、40分には右サイドのチョン・ウジェに簡単にクロスを上げさせてしまうと、このボールをクォン・チャンフンが頭で押し込んで、全北現代が1点差に爪より前半を終了します。

後半は一進一退を繰り返しながらも、最後はヨハンドリ・オロスコが後ろからのタックルで2枚のイエローをもらい、10人になったスランゴールでしたが、逃げ切って勝点3を獲得、H組の首位に浮上しています。

2024/25 ACL2 H組第3節
2024年10月23日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 2-1 全北現代モーターズFC
⚽️スランゴール:ハリス・ハイカル(30分)、アリ・オリワン(32分)
⚽️全北現代:クォン・チャンフン(40分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

H組のもう1試合は、ここまで未勝利同士の対戦で、ムアントン・ユナイテッドがこの大会ではホームとしているバンコクのラジャマンガラ・スタジアムに、日本人選手3名を擁するダイナミック・ハーブ・セブFCを迎えての対戦でした。セブFCが1−0とリードして前半を終えると、後半に2ゴールを挙げたムアントン・ユナイテッドが逆転して逃げ切りを図りますが、途中出場の濱 琳太郎選手がアディショナルタイムに劇的な同点ゴールを決め、セブFCに今大会初の勝点をもたらしています。

2024/25 ACL2 H組第3節
2024年10月23日@ラジャマンガラ・スタジアム(タイ、バンコク)
ムアントン・ユナイテッドFC 2-2 ダイナミック・ハーブ・セブFC
⚽️ムアントン:フェリシオ・ブラウン・フォルベス(53分)、エミル・ロバック(79分)
⚽️セブ:ライノ・グーティエ(16分)、濱琳太郎(90+3分)
セブFCのDF小林 雅弥、MF冨樫 凌央の両選手は先発し、小林選手はフル出場しています。また富樫選手は59分に交代しています。また濱 琳太郎選手は、富樫選手と交代で59分から出場し、同点ゴールを決めるなど試合終了までプレーしています。

ACL2 H組の次節第4節は、11月7日に第3節と同じカードがホームとアウェイを入れ替える形で行われ、全北現代モーターズFC対スランゴールFCが韓国、全州市の全州ワールドカップスタジアムで、またダイナミック・ハーブ・セブFC対ムアントン・ユナイテッドFCがフィリピン、マニラのリザル・メモリアル・スタジアムで行われる予定になっています。

2024/25 ACL2 H組順位表(第3節終了)
勝点
スランゴール32104227
全北現代320111386
ムアントンU302147-32
DHセブ301229-71