2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第13節の結果とハイライト映像(3)・クチンシティとヌグリスンビランの日本人対決は引き分けに終わるもヌグリスンビランは最下位脱出・スリ・パハンはアウェイ今季初勝利

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第13節の残り2試合が行われています。今節第13節を終えたMSLは、11試合消化のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が勝点31で首位を独走し、12試合消化のスランゴールFCが勝点26の2位となっています。その一方で3位以下は大混戦で、3位のトレンガヌから9位のスリ・パハンまでの7チームが勝点差3の中でひしめき、さらに11位のペナンFCまでは勝点差6となっています。

また今週はACLエリートとACL2が開催され、ACLエリート出場のJDTは明日10月22日に東地区首位の光州FC(韓国)とのアウェイで首位攻防戦を、ACL2東地区グループステージH組2位のスランゴールFCはH組首位の全北現代モーターズFCと明後日10月23日にホームでやはり首位攻防戦が控えています。なおMSLの次節第14節は10月25日から27日にかけて予定されています。

クチンシティとヌグリスンビランの日本人対決は引き分けに終わるもヌグリスンビランは最下位脱出

昨季は14チーム中13位と低迷したクチンシティは、昨季途中に就任したアイディル・シャリン監督が行うチーム改革が功を奏し、今季は上位を狙えるクラブとなっています。前節のJDT戦、前々節スランゴールFC戦と上位対決には敗れたものの、それまでは3勝6分1敗と、既に昨季の勝点12を上回っています。そんなクチンシティにとって重要なのは下位チーム相手に取りこぼしをしないこと。この試合前までは最下位のヌグリスンビラン相手には勝点3を上げることが求められます。

一方のヌグリスンビランは、2021年に就任し当時2部にいたチームを1部に昇格させ、2022年には4位、昨季は9位という成績を残したK・ディヴァン監督(現3部マラッカFC監督)が辞任し、今季は前PDRM FC監督のアズミ・アジズ監督が就任しましたが、成績不振のため、アズミ氏をテクニカルディレクター、そしてコーチだったK・ナンタクマル氏を監督に変える配置転換を行っています。ナンタクマル監督就任以降は、0勝2分2敗となっていますが、敗れた試合はいずれも1点差の試合で、チーム状態は改善しているように見えます。

クチンシティにはマレーシアリーグ4シーズン目を迎える谷川由来選手が、ヌグリスンビランには今季から加入した佐々木匠選手がおり、日本人選手対決ということもあり、この試合は個人的にも注目のカードでした。

蓋を開けてみると、この試合は何か既視感のある試合でした。それはちょうど10月19日に行われたPDRM FC対スランゴールFCと同じような展開でした。雨が降り頻る中、ホームのクチンシティがヌグリスンビランを圧倒しながらも、なかなかゴールを割ることができない試合は、スランゴールがPDRMの守備をこじ開けられずに次々に好機を無駄にする展開とほぼ同じでした。それでもスランゴールは開始15分で先制を挙げましたが、この試合はクチンシティがボール保持率7割という圧倒的な優勢を見せながら、前半どころか、後半の90分を過ぎてもゴールが奪えないという展開でした。

アディショナルタイムが6分と発表され、このまま0−0で終了するかと思われた試合は、そこから急展開を見せました。90+5分に途中出場のハズワン・バクリがゴール前の混戦からこぼれ球を押し込んで、ついにクチンシティが先制します。ヌグリスンビランはその前のプレーでハンドがあったと猛抗議しますが、VARの介入を経てこのゴールが認められると、攻撃は最大の防御なり、とばかりにクチンシティはさらにダメ押しを狙って猛攻を続けます。

途中でプレーが何度も止まったこともあり、アディショナルタイムの6分をすでに大きく上回った90+15分(!)に自陣ゴール前からボールが出ると、佐々木匠選手が相手DFに倒されながらもオフサイドを避ける絶妙のタイミングでパスを出すと、右サイドを抜け出したヌグリスンビランの選手をペナルティエリの外で谷川由来選手がたまらずファウルで止めてイエローカードとなります。このプレーで得たフリーキックを蹴った佐々木選手のボールはファーサイドにいたキャプテンのアナス・ラフマットへ。そしてこれをアナス選手がゴールポスト右隅へ絶妙にヘディングシュートを決めて、なんとヌグリスンビランが同点追いつきます。ちなみにこのラストワンプレーで同点に追いついた場面は、これまた先日のPDRM戦と酷似していました。まさにデジャブ。

クチンシティにとっては勝点2を失った気分でしょうし、ヌグリスンビランにとっては最後まで諦めない執念のプレーでもぎ取った1点でした。クチンシティはこの引き分けで5位浮上を逃し、ヌグリスンビランはクランタン・ダルル・ナイムと勝点で並んだものの、得失差で上回り最下位を脱出しています。

MSL2024/25 第13節
2024年10月20日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 1-1 ヌグリスンビランFC
⚽️クチンシティ:ハズワン・バクリ(90+5分)
⚽️ヌグリスンビラン:アナス・ラフマット(90+15分)
MOM:アナス・ラフマット(ヌグリスンビランFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
スリ・パハンはアウェイ今季初勝利

シンガポールサッカーのレジェンド、ファンディ・アフマド監督が指揮するスリ・パハンFCは、2勝5分4敗の10位で前半戦を終えて、昨季の5位を大きく下回っています。特に今季はアウェイでの成績が0勝4分1敗と勝星がないこともこの成績の原因の一つですが、そのスリ・パハンがペナンFCのホームで今季アウェイで初勝利を挙げています。

ペナンを相手に1-0の僅差の勝利を挙げたスリ・パハンですが、前半ロスタイムにこの試合唯一のゴールを挙げたのが今季加入のミコラ・アハポフでした。ウクライナ出身のストライカーのアハポフ選手は、、昨季はカザフスタン2部のFCアクジャイクでプレーし、リーグ戦では28試合に出場し、24ゴール9アシストという成績を収めており、昨季は終盤に失速したスリ・パハンの得点力アップにつながると期待されていましたが、今季ここまでは0ゴール1アシストと期待外れに終わっていました。

この試合のゴールも左サイドからのエゼキエル・アグエロのシュートをペナンのGKシーク・イズハンがファンブルしたボールを押し込んだいわゆる「ごっつあんゴール」でしたが、それでも今季初ゴールを記録したことで、ここからの爆発に期待したいところです。

敗れたペナンは、この試合の敗戦で直近5試合で0勝2分3敗となり、またこの間は6得点14失点と精彩を欠いており、今季から就任したアクマル・リザル監督の去就も話題になり始めています。

MSL2024/25 第13節
2024年10月20日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-1 スリ・パハンFC
⚽️スリ・パハン:ミコラ・アハポフ(45+1分)
MOM:ザリフ・イルファン(スリ・パハンFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第13節終了)
順位チーム勝点
1JDT1131101041635
2SEL122682222913
3TRE121745315132
4SAB111752417170
5PDRM12164441317-4
6PRK111550617170
7KCH12153631517-2
8#KLC121462422148
9SRP12143541518-3
10*KDA11124341119-8
11PEN12112551320-7
12NSE1261381326-13
13KDN1262010930-21
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第13節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT14
2パウロ・ジョズエKLC9
3ロニー・フェルナンデスSEL8
4ルシアーノ・ゴイコチェアPRK6
5ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ジャック・フェイNSE5
9ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ロドリゴ・ディアスPEN4
ジョヴァン・モティカKLC4
アルヴィン・フォルテスSEL4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC