2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第13節の結果とハイライト映像(2)・PDRMがジャイキリ-スランゴールがビッグマッチを前に痛恨の引き分け・監督交代も効果なし- トレンガヌが給料未払い問題渦中のクダに敗れる

シーズン前半で早くも今季リーグの灯が消えた…。FIFA国際マッチカレンダーで中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、10月19日に第13節の3試合が行われています。首位ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)を勝点差5で追っていた2位スランゴールがPDRMと痛恨の引き分け。今節は試合がないJDTとは次節第14節での直接対決を前に少しでも勝点を詰めておきたかったスランゴールにとっては痛い引き分けです。そしてそのスランゴールを勝点差8で追っていた3位のトレンガヌは、給料未払いで揺れるクダに敗れています。前節前に監督交代の切り札を切ったトレンガヌですが、その効果はまだ出ていません。今季ここまで11勝1分のJDTは、1試合多く消化している2位スランゴールとは勝点差5、3位のトレンガヌとは勝点差14となり、前半戦終了前にJDTのリーグ11連覇が濃厚となりました。なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はJDTの試合はありません。

今季最多の4失点でペラの連勝は3でストップ

ペラFCのホーム、ペラ・スタジアムが排水施設改修と芝の張り替えのため使えないことから、今季の残り試合はペラ・スタジアムがあるイポーから90キロほど離れたマンジュンにあるMPMスタジアムで行われますが、この試合はそのMPMスタジアムでの初戦でした。

直近の3試合ではヌグリスンビランに1−0、KLシティにも1-0、そしてスリ・パハンには3−0と下位チームを相手に3連勝中のペラは、現在8位ながらも、昨季3位のサバと対戦しています。FWダレン・ロック、MFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タン、ダニエル・ティンと各ポジションにマレーシア代表を擁するサバに対し、ペラはルチアーノ・ゴイコチェアのPKで先制しますが、サバはコ・グァンミンが39分にペナルティーエリアの外から強烈なミドルシュートを放って同点に追いつくと、その5分後にはペラがクリアしきれなかったボールをスチュアート・ウィルキンが蹴り込み、サバが逆転して前半を終了します。

後半開始直後には左コーナーキックからクレイトン・ダ・シルヴァがDFをかわしてヘディングシュートを決め、ペラは一度は同点に追いつきますが、試合終盤に2失点し、連勝は3で止まっています。

MSL2024/25 第13節
2024年10月19日@MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラFC 2-4サバFC
⚽️ペラ:ルチアーノ・ゴイコチェア(30分PK)、クレイトン・ダ・シルヴァ(49分)
⚽️サバ:コ・グァンミン(39分)、スチュアート・ウイルキン(44分)、ジョアン・ペドロ・ボエイラ・ドアルテ(83分)、ミゲル・シフエンテス(88分)
MOM:スチュアート・ウィルキン(サバFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
PDRMがジャイキリースランゴールはビッグマッチを前に痛恨の引き分け

大事な試合を前にこの引き分けは痛すぎる…。

首位のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)を勝点差5で追う2位のスランゴール(勝点25)は5位のPDRM(同15)との「裏クランバリー・ダービー」で対戦しています。この試合はスタジアムで観戦しましたが、試合会場となったスラヤンのMPSスタジアムはスランゴール州内ということもあり、いつものPDRMの試合よりもはるかに多くの観衆が集まり、その多くが赤と黄色のユニフォームを纏ったスランゴールサポーターでした。

先週のFIFA国際マッチカレンダーでは、GKアジム・アル=アミン、MFノーア・レイン、DFハリス・ハイカルがマレーシア代表に、そしてFWアリ・オルワン、MFノー・アル=ラワブデ、DFモハマド・アブアルナディはヨルダン代表で、DFウマル・エシュムラドフはウズベキスタン代表で、それぞれ2026W杯アジア最終予選に出場しており、疲労が溜まっている選手がいたかも知れないスランゴールですが、ここから3週間の日程はさらに多忙を極めます。

スランゴールは、来週10月23日にはACL2の全北現代モーターズ戦、同27日にはJDTとの首位攻防戦がいずれもホームのMBPJスタジアムで、そして11月2日はクダ戦、同7日には全北現代とのいずれもアウェイマッチが続く厳しい日程が待ち構えており、このPDRM戦に勝って弾みをつけたいところです。しかしこの日の相手のPDRMは簡単な相手ではありません。今季のPDRMはここまで4勝3分4敗ながら、サバやKLシティを破り、トレンガヌそしてJDTとも引き分けるなどいわゆる「ジャイキリ」を繰り返すダークホースとも言える存在です。

そんな両チームの対戦は、開始からスランゴールが優勢に試合を進め、開始16分にはこの日は左サイドに入ったアルヴィン・フォルテスが相手DFのクリアミスを頭で押し込んで、スランゴールがあっさりと先制します。この後もスランゴールは何度も好機を得ますが、PDRMはGKブライアン・シーを中心にシュートの機会を与えず、前半は1−0とスランゴールリードのまま終了します。

後半に入っても同じような展開が続きます。受け身に回ったPDRMはボールを得ても、エースのイフェダヨ・オルセグンにまでボールがつながらず、また左サイドでは鈴木ブルーノ選手が何度かペナルティエリアまでボールを持ち込むものの、そこからのサポートがなく、決定機を作ることができません。

ゴール付近まではボールを持ち込むものの、横パスを繰り返してばかりでシュートを打たないスランゴールFW陣に対しては、PDRMサポーターをはるかに上回るスランゴールサポーターにもフラストレーションが募り、しまいには怒号まで飛び交い始めます。そしてアディショナルタイム6分が告げられます。試合はこう着状態となり、イフェダヨ・オルセングン、鈴木ブルーノ両選手がすでに交代していたPDRMに対し、クダからの移籍後初先発となったGKカラムラー・アル=ハフィズも安定したプレーを見せていたスランゴールがこのまま逃げ切るかと思われた90+2分、左サイドをシャーレル・フィクリが抜け出すとゴール前へクロスを上げます。これをスランゴールDFがクリアするも、このボールが途中交代した元J2岡山のハディ・ファイヤッドへ。そしてハディ選手が走り込んできたアレム・ティモシーへこのボールを流すと、ティモシー選手が落ち着いてゴールに蹴り込み、土壇場でPDRMが追いつきます。スランゴールは再逆転を狙いますが、試合はそのまま1−1で終了しています。

この引き分けで、リーグ前半戦を終えて1位のJDTと2位のスランゴール、3位のトレンガヌのいずれとも引き分けたPDRMはこの3チームから勝ち点を上げたリーグ唯一のチームとなり、また4位サバ、さらに勝点剥奪処分を受けていなければ3位のはずのKLシティも破るなど、前半戦でリーグ上位相手に結果を残したPDRMは後半戦でも大風の目になりそうです。

一方のスランゴールにとっては、引き分けを挟んで続いていた連勝記録が5で止まっただけでなく、来週に控えるACL2の全北現代戦、そしてJDTとの首位攻防戦とビッグマッチの前に痛すぎる引き分けとなりました。試合後にはサポーターが大挙して選手出口に集まるなど、フラストレーションが残る結果となっています。

MSL2024/25 第13節
2024年10月19日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-1 スランゴールFC
⚽️PDRM:アレム・ティモシー(90+2分)
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(16分)
MOM:ブライアン・シー(PDRM FC)
PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して、73分に交代しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
監督交代も効果なし- トレンガヌが給料未払い問題渦中のクダに敗れる

現在3位ながら、不安定なパフォーマンスを見せるチーム状況をを改善しようとトミスラフ・シュタインブリュックナー前監督を事実上更迭したトレンガヌFCは、監督交代後の前節ではPDRMに追いつかれて引き分けていますが、続くこの試合では0−1で敗れて、5試合連続で勝ち星なしとなっています。

3位と11位の対戦ながら、11位のクダは給料未払い問題未解決のために勝点3剥奪処分を受けている上、いまだに給料未払いが続いているということで、主力選手が練習をボイコットするなどチーム状態は最悪です。さらに先月行われたアウェイマッチのKLシティ線では、主力が遠征に帯同せず、U21とU23の選手のみで臨んだ試合では0−5 と大敗しています。

それでもホームでは2勝3分1敗の成績を残しているクダは、この試合でもアグレッシブに攻め、トレンガヌもこれに応じる形で接戦となります。いずれもJDTからローン移籍しているクダのシャフィク・アフマド、トレンガヌのアキヤ・ラシドがともに積極的に仕掛けますが、ゴールには至りません。その後はトレンガヌがペースを上げ、ネルソン・ボニーラ、イスマヒル・アキナデらが次々をシュートを打ちますが、クダはDFクレイトンを中心に失点を許しません。

クダも36分に元トレンガヌのソニー・ノルデのシュートがゴールを割りますが、これはVARが入り、得点とはなりません。一方のトレンガヌもアキヤ・ラシドがペナルティエリア内で倒されますが、やはりVARが入り、PKとはなりません。しかしその直後の45+6分にクダがクレイトンのヘディングシュートでついに先制します。結局この1点を守り切ったクダが勝利を挙げ、順位を2つ上げています。

皮肉なことに勝ったクダ・ダルル・アマンFCのナフジ・ザイン監督は、2019年途中から2022年までトレンガヌFCの監督を務め、2020年からの3シーズンでは4位、2位、3位という成績を収めながら、経営陣から「この監督では優勝できない」と契約を更新されなかった人物です。2023年のトレンガヌは6位、また今季はここまで3位ながら首位のJDTとは勝点差14ですが、ナフジ監督が監督を続けていたら違った結果になっていたのではないかと思ってしまいます。

MSL2024/25 第13節
2024年10月19日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-0 トレンガヌFC
⚽️クダ:クレイトン(45+6分)
MOM:ソニー・ノルデ(クダ・ダルル・アマンFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第13節途中)
順位チーム勝点
1JDT1131101041635
2SEL122682222913
3TRE121745315132
4SAB111752417170
5PDRM12164441317-4
6PRK111550617170
7#KLC121462422148
8KCH11143531416-2
9*KDA11124341119-8
10SRP11112541418-4
11PEN11112541319-6
12KDN1262010930-21
13NSE1151281225-13
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第13節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT14
2パウロ・ジョズエKLC9
3ロニー・フェルナンデスSEL8
4ルシアーノ・ゴイコチェアPRK6
5ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ジャック・フェイNSE5
9ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ロドリゴ・ディアスPEN4
ジョヴァン・モティカKLC4
アルヴィン・フォルテスSEL4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC