2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第11節の結果とハイライト映像(1)・練習ボイコットの主力が復帰したクダはスリ・パハンと引き分け・ジョホールはベルグソンの今季3度目のハットトリックなどでクランタンを圧倒

9月20日から9月22日にかけてマレーシアスーパーリーグ(MSL)2024/25第11節が行われました。このタイミングでMSLは規約を変更し、ACLエリートやACL2に出場するチームは最大で12名の外国籍選手の登録が可能になる中、現在開いているトランスファーウィンドウでは、アジアで勝負するため量5名の外国籍選手を獲得したジョホール・ダルル・タジムFCのようなチームがあります。その一方で、給料未払いが数ヶ月に及び、主力が練習をボイコットする事態が起こったクダ・ダルル・アマンFCのように新戦力補強どころか主力選手が流出するチームもあり、リーグ内の「持つ者」と「持たざる者」の格差がさらに広がっています。

なお、今季のマレーシアスーパーリーグ(MSL)は13チーム編成で、今節第11節はクチンシティFCの試合がありません。また9月22日に予定されていたトレンガヌFC対スランゴールFCの試合は、スランゴールFCが9月19日にACL2のムアントン・ユナイテッド戦を戦ったことから、9月28日に変更されています。(各試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより)

練習ボイコットの主力が復帰したクダはスリ・パハンと引き分け

MSL2024/25 第11節
2024年9月20日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 2-2 スリ・パハンFC
⚽️クダ:ハリム・サアリ(58分)、シュクロフ・ヌルロエフ(64分)
⚽️スリ・パハン:エセキエル・アグエロ(52分)、クパー・シャーマン(80分)
🟨クダ(2)、🟨スリ・パハン(1)
MOM:シュクロフ・ヌルロエフ(クダ・ダルル・アマンFC)

数ヶ月に及ぶ給料未払いにより、主力が練習をボイコットしていたクダは、前節第10節のKLシティ戦は、リザーブチーム(U23)とプレジデントカップチーム(U21)の選手でメンバーを編成して試合に臨みました0-5と惨敗しました。そしてホーム開催は今節は、主力が先発XIに戻ったものの、スリ・パハンと引き分けに終わってます。

前半を0−0で終えた試合は、後半の52分にエセキエル・アグエロの今季初ゴールでスリ・パハンが先制しますが、その6分後にはハリム・サアリがやはり今季初ゴールを決めて同点に追いつきます。さらにクダはシュクロフ・ヌルロエフのゴールで64分に逆転しますが、スリ・パハンもエースのクパー・シャーマンが2試合連続となるゴールを決めて追いつき、試合はそのまま引き分けに終わっています

試合後の会見で自チームの選手たちが見せた「プロ意識」と「チーム愛」を称賛する発言を行ったクダのナフジ・ザイン監督は、チームはこの試合の数日前に練習を1度行っただけであることを明かし、このため出場した選手たちのフィットネスレベルが低い中で、勝点1を獲得できたことに満足しているとも話しています。またナフジ監督は、今季開幕前に既に勝点3の剥奪処分を受ける原因となった給料未払い問題が解決していない現状では、その解決が優先であり、現在開いているトランスファーウィンドウでの戦線力の補強は行わないとも述べています。

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給料未払い問題解決の目処が立っていないクダは、最悪の場合には今季途中でリーグ参加停止となる可能性も噂されています。今回はホーム開催ということで主力選手が出場しましたが、次節第12節はアウェイのサバ戦があります。飛行機でしか移動できないサバへは前節第11節のようにU23とU21の選手のみで遠征するのか、あるいは練習ボイコット中の主力が帯同するのかに注目です。

PDRMは交代出場のチーム得点王が決勝ゴールを決める

MSL2024/25 第11節
2024年9月21日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-0 サバFC
⚽️PDRM:イフェダヨ・オルセグン(80分)
🟨PDRM(1)、🟨サバ(3)
MOM:ブライアン・シー(PDRM FC)

前節第10節スリ・パハン戦では鈴木ブルーノ、イフェダヨ・オルセグン、シャーレル・フィクリの3トップを起用しながら、守備が崩壊して5失点で敗れたPDRM。P・マニアム監督は、チーム得点王のイフェダヨ・オルセグンをベンチスタート、代わりにチディ・オスチュクウを4試合ぶりに先発に起用しましたが、後半の65分からそのオスチュクワ選手と交代で出場したオルセグン選手が80分にこの試合唯一のゴールを決めて、PDRMを勝利に導いています

PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して85分に交代しています。

ホーム初勝利のペラは今季初の連勝

MSL2024/25 第11節
2024年9月21日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
ペラFC 1~0 KLシティFC
⚽️ペラ:ルカ・ミルノヴィッチ(62分)
🟨PDRM(3)、🟨サバ(3)
MOM:ルシアノ・ゴイゴチェア(ペラFC)

ペラがルカ・ミルノヴィッチのゴールで今季ホーム初勝利を飾っています。前節のヌグリスンビラン戦では1−0と今季初のクリーンシートで勝利したペラは、ルカ・ミルノヴィッチのゴールで挙げた1点を守り切り、2試合連続のクリーン使徒で勝利し、今季初の連勝を記録しています。

敗れたKLシティは、前節ではクダを相手に5−1と大勝していましたが、この試合ではここまで6ゴールを挙げているチーム得点王でキャプテンでもあるパウロ・ジョズエと、マレーシア代表でもプレーするハキミ・アジムの両FWをケガで欠く布陣が機能しませんでした。

新戦力がいずれもゴールのペナンとヌグリスンビランは引き分け

MSL2024/25 第11節
2024年9月22日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 2-2 ヌグリスンビランFC
⚽️ペナン:ロドリゴ・ディアス(14分)、ディラン・ヴェンツェル=ホールズ(16分)
⚽️ヌグリスンビラン:ハディン・アズマン(1分)、セバスチャン・アヴァンジニ(45+3分)
🟨ペナン(3)、🟨ヌグリスンビラン(3)
MOM:セバスチャン・アヴァンジニ(ヌグリスンビラン)

今季ここまで2勝のペナンと1勝のヌグリスンビランの対戦は、開始1分にゴール前の混戦からヌグリスンビランのハディン・アズマンが放ったシュートはゴールポストを直撃するものの、その跳ね返ったボールがペナンDFのアキル・イルファヌディンの頭に当たってそのままゴールインし、ヌグリスンビランが先制します。しかしペナンもに14分にはニック・アキフからのクロスをロドリゴ・ディアスがDF2人をかわしてゴールを決めると、その2分後には新加入のディラン・ウェンツェル=ホールズがシャミル・クティのクロスをダイレクトで蹴り込んで、ペナンが一気に逆転します。このままペナンリードで前半が終わるかと思えたロスタイムに、今度はヌグリスンビランの新戦力で、昨季はKLシティでプレーしたセバスチャン・アヴァンジニがペナルティエリアの遥か外からロングシュートを決めて同点で前半が終了します。

後半は両チームとも無得点に終わった試合は2−2で引き分けとなり、テクニカル・ディレクターに「昇格」したアズミ・アブドル・アジズ前監督に代わってヌグリスンビランの指揮を取って3試合目となったN・ナンタクマル監督はこの試合も初勝利はなりませんでした。この試合の結果、ペナンは勝点11で9位、ヌグリスンビランは同5点で12位と順位は変わっていません。

ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発して72分に交代しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
ジョホールはベルグソンの今季3度目のハットトリックなどでクランタンを圧倒

MSL2024/25 第11節
2024年9月22日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
クランタン・ダルル・ナイムFC 6-1 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️クランタン:レイス・カロウブ(65分)
)⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(42分、45分、71分)、アリフ・アイマン2(56分、58分)、ウマル・アズナン(75分OG
🟨クランタン(1)、🟨ジョホール(0)
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)

今季ここまでの9試合で33得点(4失点)と他を圧倒してリーグトップを走るジョホール・ダルル・タジム(JDT)が、これまたリーグの得点王争いをリードするベルグソン・ダ・シルヴァの今季3度目のハットトリックやアリフ・アイマンの2ゴールなどで、リーグ最下位のクランタン・ダルル・ナイムを粉砕しています。

この試合はJDTのスタジアムでの開催ながら、ホームのスルタン・ムハマド4世スタジアムが改修工事で使えないクランタンがホームチームとして行われています。この試合の前までは9試合でわずか4得点(19失点)のクランタンは、昨日終了した今季2度目のトランスファーウィンドウでは、2021年にスリ・パハンでプレー経験もあるミャンマー代表アウン・カウン・マン(タイ1部ナコーンラーチャシーマーFCから加入)、そして今季加入したパレスチナ代表オディ・カロウブの兄レイス・カロウブ、そして2019年から2020年にかけてPJシティFC(現在は解散)でプレーしたブラジル出身のワシントンと3名の外国籍FWを含め6名の新戦力を獲得しています。

試合は開始直後から「アウェイ」のJDTが猛攻を見せるも、クランタンDF陣が給料未払い問題を抱えるクダから移籍してきた地元クランタン州出身のGKフィクリ・チェ・ソーを中心に必死の防戦でこれに耐え続けます。そしてこのままクランタンがJDTを抑えて前半を終えるかと思われた42分、左サイドのナズミ・ファイズからのクロスを胸で落として落ち着いてゴールへ流し込んだベルグソン・ダ・シルヴァのゴールで均衡が破れます。さらに前半終了間際にはヘベルチ・フェルナンデス、ロメル・モラレス、再びヘベルチ、そして最後はベルグソンとショートパスを繋いでゴールを決めたJDTが2点をリードして前半を終了します。

後半には56分、58分とゴールを決めたアリフ・アイマンが71分にはベルグソンのハットトリックをアシストするなど、圧倒的な力を見せつけたJDTがクランタンをレイス・カロウブの1ゴールに抑えて快勝し、開幕からの無敗記録を10に、そして2021年から続く国内リーグの無敗記録を70へと伸ばしています。

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JDTは、代表でも26試合のプレー経験がある26歳のDFシャーミ・サファリがケガの治療のためにスペインに渡航し、今季の残り試合出場を断念したことを発表しています。前節のJDTにPKが3度与えられるという波乱があったペナンFC戦では77分から途中出場したものの、後ろからのタックルで膝を裂くひねるように倒れてタンカで運ばれていました。JDTはこれまでもマシュー・ディヴィーズがドイツで、現在はペナンFCにローン移籍中のシャミル・クティ、そしてクチンシティにやはりローン移籍中のラマダン・サイフラーがいずれもスペインで手術を受けています。また、この試合前にはJDTの選手たちが「シャーミ、我々は君と共にいる」と書かれたTシャツを着てピッチ入りしていました。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第11節途中)
順位チーム勝点
1JDT102891039534
2SEL102271220812
3TRE91644114104
4KCH10143521314-1
5SAB10144241315-2
6PDRM10144241115-4
7PRK9124051213-1
8SRP10112531415-1
9PEN10112531115-4
10#KLC101042415114
11*KDA1093341019-9
12NSE1041171022-12
13KDN103109525-20
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第11節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT13
2ロニー・フェルナンデスSEL7
3パウロ・ジョズエKLC6
4ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ロドリゴ・ディアスPEN4
6チェチェ・キプレ他10名KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハン、PEN-