9月17日のニュース・移籍情報:給料未払い問題のクダを退団した代表GKがACL2出場のスランゴールに加入・イタリア出身の元ラ・リガのマレーシア駐在員が国内リーグCEOに就任

移籍情報:給料未払い問題のクダを退団した代表GKがACL2出場のスランゴールに加入

9月16日に開幕するACL2に出場するスランゴールFCは、クダ・ダルル・アマンFCとの契約解除を発表したGKカラムラー・アル=ハフィズの加入を公式サイトで発表しています。

29歳のカラムラー選手は、フェルダ・ユナイテッドFC(現在は解散)でプロ生活を始め、2019年からPJシティFC(現在は解散)に加入し、4年間プで54試合に出場しています。PJシティFC解散後の昨季はケダ・ダルル・アマンFCに加入し、今季途中までで通算36試合に出場し、クリーンシート14回を記録しています。

また2022年12月9日には、カンボジア代表との国際親善試合で代表デビューを果たしていますが、その後は代表には招集されているものの出場はなく、シーハン・ハズミ(ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)の控えとなっています。

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給料未払いにより主力選手が練習参加をボイコット中のクダの退団第1号となったカラムラー選手の加入はスランゴールFCにとっては大きな補強になりそうです。今季開幕からほとんどの試合でゴールを守っていた代表歴もあるGKサミュエル・サマヴィルが8月24日のFAカップ決勝でJDT相手に67分までに4失点すると、「『自信喪失』を防ぐために」(ニザム・ジャミル監督談)途中交代しています。その後の最初の試合となった9月13日のクチンシティFC戦にはマレーシアU23代表GKアズミ・アル=アミンが起用され、サマヴィル選手はベンチ外になっていました。

イタリア出身の元ラ・リガのマレーシア駐在員が国内リーグCEOに就任

マレーシア国内プロリーグのマレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、先月8月31日に任期満了で退任したスチュアート・ラマリンガム氏に代わる新たなCEOとして、イタリア出身のジョルジオ・ポンピリ・ロッシの就任を発表しています。

ロッシ新CEOは、2017年から2021年までスペインのラ・リガのマレーシア駐在員として勤務経験もあり、また前任者のスチュアート氏とともに仕事をした経験もあるため、マレーシアのサッカー界には馴染みがある人物だと英字紙ニューストレイツタイムズは報じています。

スポーツマネジメント、スポーツマーケティング、スポーツ&エンターテインメントマネジメンの3つの修士号を持つロッシ氏は、2017年にラ・リーガに加入し、マレーシア駐在員に任命されると、2021年にはタイ駐在となり、ラオス、カンボジア、ミャンマー各国のリーグ運営にもアドバイスなどをしてきたということです。

マレーシアリーグ新CEOがクラブライセンス発給条件厳格化とリーグの規模縮小

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)のジョルジオ・ロッシ新CEOは、就任後最初の記者会見でリーグの財政枠組みとクラブライセンス発給城家の見直しに着手する計画があると発言しています。

複数のクラブが抱える財政困難の原因となっている問題に対処しながら、リーグの構造を徹底的に見直すつもりだとも述べたロッシCEOは、リーグの財政的安定を確保するためにも長期戦略の必要性を強調しています。

「クラブライセンス発給条件とリーグ構造の見直しは行うが、それだけが各クラブが抱える財政困窮の原因とは考えていない、私が目指すのは強靭な財務状況であり、そのためにはMFLに適した仕組みを新たに構築する必要があると考えている。」

さらにロッシCEOは、勝点剥奪や新規選手獲得禁止などの財政問題を抱えるクラブに対する処分は必要であるとしながらも、問題の解決にはなっていないとも指摘しています。

またロッシCEOは、スーパーリーグに所属するためのクラブライセンス発給条件であるトップチーム以下、リザーブチーム(U23)、プレジデントカップチーム(U21)、ユースカップチーム(U19)の保有義務についても見直しを検討していると述べただけでなく、競争力を高めながらもクラブの財政負担を軽減するためのスーパーリーグ自体の構造の見直しを行う予定があるとしています。

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今季は既にクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCが給料未払いなどを理由に勝点剥奪処分を受けていますが、ロッシCEOの言うとおり、クラブに対する処分は科すことができても、給料未払い問題が解決するわけではなく、むしろその処分を受け入れればクラブは存続できることにもなり、結局苦しむのは選手という図式は何も変わりません。

リーグ構造を見直すことにまで言及しているロッシCEOですが、そこで考えられるのがリーグの縮小です。2022年には1部スーパーリーグ12チーム、2部プレミアリーグ10チームで構成されていたMFLですが、2023年に行われたリーグ再編成、具体的には1部と2部の合併により、1部スーパーリーグは14チーム編成、2部プレミアリーグは休止となりました。

2022年のプレミアリーグでは3チームがリザーブチームであったことから、この3チームとマレーシアサッカー協会が運営する育成プロジェクトチームのFAM-MSNプロジェクトの4チームは、2023年に新設されたリザーブリーグのMFLカップに移っています。さらに残る6チームのうち、大学チームのUITM FCは3部アマチュアリーグへの降格を選択し、結局、5チームがスーパーリーグに合流しました。しかし2022年のスーパーリーグでプレーしたマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドはともに給料未払い問題未解決により2023年のクラブライセンスが交付されず、3部のアマチュアリーグへ降格、またPJシティFCは資金調達の目処がつかないとして解散し、9チームがスーパーリーグに残りました。この結果が14チーム編成となった2023年のスーパーリーグでした。

そして今季2024/25シーズンは、クランタンFCがやはり給料未払いによりクラブライセンスが交付されず、今季は異例の奇数チームによる13チーム編成となっています。

しかしこの13チームすら、現在のMFLでは多すぎるのかも知れません。確かに多くのチームが競うリーグは魅力的ですが、果たしてその「質」は担保されているのか。例えば、今季ここまで60試合が終わっているスーパーリーグですが、その中で3点差以上ついて試合は15試合、4点差以上ついた試合は8試合ありました。リーグが拡大しても、単に数合わせのチームが増えるだけでは、試合への興味はむしろ削がれてしまいます。となればリーグの規模縮小は一つの改革方法です。

しかしその一方で、各州対抗のカップ戦から発展したマレーシアのサッカーにおいては、各クラブは各州の代表、いわば州の「顔」であり、もしリーグの参加チーム数削減とな利、クラブがトップリーグから排除されれば、その州のサッカー選手育成にも大きな影響を与える可能性があります。

このリーグ再編についてはさまざまな観点が必要でもあるので、また別の機会に書いてみたいと思いますが、まずはロッシCEOが打ち出す改革案に注目してみたいと思います。