中国サッカー協会(CFA)主催の4ヵ国対抗大会に出場していたマレーシアU19代表は、最終戦となったベトナムU22代表との試合では大会初ゴールを挙げたものの、1−2で敗れています。この大会では初戦のウズベキスタンU21代表には0−2で、続く中国U21には0−1で敗れており、3戦全敗の最下位で大会を終えています。
ブキ・ジャリル国立競技場の劣悪ピッチに批判が集まる
またマレーシアが11年ぶりに優勝して幕を閉じたムルデカ大会ですが、その一方で、試合会場となったブキ・ジャリル国立競技場では芝が剥がれたり、根付いていない芝に足を取られて選手がバランスを失う場面が見られ、そのピッチ状態の悪さが目についた大会でもありました。マレーシアの初戦となったフィリピン戦ではアフィク・ファザイル(ジョホール・ダルル・タジムFC)が途中で膝を痛めて途中交代を余儀なくされ、その後はMCL(内側側副靭帯損傷)で完治までおよそ6週間と診断されています。また決勝のマレーシア対レバノン戦では、ドミニク・タンが芝に足を引っ掛けて倒れ、背中を痛めて担架で退場する場面もありました。
これについてタン選手が所属するサバFCのオン・キムスイ監督は自チームの主力選手がプレーする代表チームがケガの恐れがあるピッチで試合を行うことに疑問を呈しています。タン選手の他に代表に召集されたダニエル・ティンとダレン・ロックは、今週末に再開するマレーシアスーパーリーグの第10節トレンガヌFC戦に備えて、チームに合流していますが、タン選手についてはケガの診断結果を待っているところだということです。
「当たられたり、削られたりしてのケガは試合の一部なので理解できるが、ピッチの状態が悪いことによるケガを望んでいる選手などおらず、しかもそれが(ブキ・ジャリル)国立競技場で起こったことは見過ごすことはできない。どのコーチも自チームの選手がケガをすれば、チームの戦術を見直さねばらならない。もしそのようなひどいピッチしか用意できないのならば、マレーシアサッカー協会(FAM)はブキ・ジャリル国立競技場以外のスタジアムで国際試合を開催することも真剣に検討するべきだ。」
「選手の能力を引き出すためにも安全は最優先されるべきで、さらにブキ・ジャリル国立競技場の劣悪なピッチの問題は昨年から話題になっているにもかかわらず 、何も解決されていない。」としてブキ・ジャリル国立競技場の運営者であるマレーシア・スタジアム社を非難しています。
またこれに関して、マレーシアサッカー協会(FAM)のフィルダウス・モハメド競技委員長もブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシア・スタジアム社(MSC社)から大会前にはピッチ状況は良好という説明を受けていたとして、
「ブキ・ジャリル国立競技場のピッチ状態が悪いのではないかということを我々(FAM)も心配していたが、MSC社からは大会には問題ないという話を聞かされていたが、結局、ケガをする選手が出てしまい、所属するクラブに迷惑をかけることになった。」
「MSC社は外部の専門家による評価を受けた上で、ピッチ状態が問題ないという保国すべきだった。もしピッチ状態が試合に適していなければ、それを真摯に伝えるべきだったが、残念ながらそれがなされなかった。」とやはりMSC社を批判するコメントをしています。
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これらの批判に対してMSC社のイリヤス・ジャミルCEOは、同じブキ・ジャリル国立競技次で8月24日に行われたマレーシアFAカップ決勝はその前日練習も含め、出場したジョホール・ダルル・タジムFC、スランゴールFCからも特に不満が聞かれなかったと説明しています。その一方でムルデカ大会は、前日練習に加え、中3日で2試合ずつという「過密日程」により、ピッチ状態が回復するのに十分な時間がなかったと説明しています。
またイリヤスCEOは、今年11月と12月に予定されている東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」までには、ブキ・ジャリル国立競技場のピッチは回復させられると胸を張っています。
給料未払いによる練習ボイコット発生中のクダは今週末の試合にU23チームの選手を起用か
9月の国際マッチデー期間が終わり、明後日9月13日からはマレーシアスーパーリーグが再開します。そんな中、給料未払いにより先週から主力選手の練習ボイコットが起こっているクダ・ダルル・アマンFCは、9月14日のKLシティFC戦にリザーブチームであるU23チームの選手を出場させて急場を凌ぐようだと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
昨季の給料未払い問題が未解決であることから、クダは今季開幕前に既に勝点3剥奪処分を受けていましたが、今季が始まっても状況はあまり完全していないようで、複数の選手がSNS上で不満をぶちまける事態が続いたのち、今月に入ってからは、このブログでも貴方の通り主力選手による練習ボイコットが始まっています。
ここ数日の練習の様子を伝えるクラブ公式SNSでも、リザーブチームのU23チームの選手が映った写真のみがアップロードされていることから、ナフジ・ザイン監督はこの若い選手たちをKLシティ戦で起用する可能性が高いとブリタハリアンは伝えています。
移籍情報:スランゴールのレジク・バニハニは出場機会を求めて母国ヨルダンのACL2出場クラブに移籍
スランゴールFCは、今季開幕直前に加入したヨルダンU23代表FWレジク・バニハニがわずか5ヶ月で退団し、母国ヨルダンのアル・フセイン・イルビドSCに完全移籍することをクラブ公式SNSで発表しています。アル・フセイン・イルビドSCは昨季のヨルダン1部リーグ優勝チームで、ACL2に出場する強豪です。
22歳のレジク選手は、今季開幕前にやはりヨルダンのアンマンを本拠地と知るアル・ファイサリーSCから加入しています。スランゴールではリーグ戦7試合(先発2試合)、FAカップ3試合(先発0試合)の計10試合に出場し、2ゴール1アシストという記録を残している一方で、出場時間は343分でした。
レジク選手は今月から始まった2026W杯アジア3次予選に出場しているヨルダン代表にも選ばれており、9月6日のクウェート戦では89分に交代出場し、A代表デビューを果たしています。また9月10日にクアラ・ルンプールで行われたパレスチナ戦では出場がありませんでしたが、この試合がレジク選手のマレーシアでの最後の試合となりました。
なおこのレジク選手には移籍の噂なども出ておらず、いわば電撃移籍なのですが、マレーシア語紙のマジョリティは、出場機会を求めての移籍だったのではと分析しています。スランゴールにはこのレジク選手の他、やはりヨルダン代表のMFノー・アル=ラワブデが在籍していますが、現在開いている今年2度目のトランスファーウィンドウでこちらもヨルダン代表のセンターフォワード、24歳のアル・オルワンを獲得しており、同じセンターフォワードながら、スランゴールのニザム・ジャミル監督のもとでは左ウィングでの起用が多かったレジク選手は、同じヨルダン代表のチームメートとセンターフォワードを争えば、今季同様出場機会が増えないことを懸念して、オルワン選手加入が引き金となった移籍ではないかと分析しています。